2015年12月09日
由愛「私の挑戦」
モバマス 成宮由愛ちゃんメインのSSです。
よろしければお付き合いください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1448878901
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秋、某日。事務所――
モバP「皆に集まって貰ったのは他でもない、大きめの仕事が入ったんだ」
モバP「秋の大イベントに、ユニットとして参加して欲しい」
成宮由愛(以下由愛)「……は、はいっ」
吉岡沙紀(以下沙紀)「大きめの仕事っすか、はてさてね」
喜多日菜子(以下日菜子)「今回は四人ユニットなんですね〜」
荒木比奈(以下比奈)「んで、そのお仕事っていうのはなんなんス?」
モバP「ああ、その仕事ってのは……聞いて驚け」
モバP「秋のアイドル大運動会だ!」
四人「………」
モバP「まぁ、この名前聞いただけじゃそういう顔すると思ってたよ」
沙紀「アタシら、特別に運動が得意って面子じゃないっすからね」
比奈「1500m走れって言われたら卒倒する自信あるッスよ」
由愛「あの、えっと…私も運動は、あんまり……」
モバP「安心してくれ、皆には別のジャンルでの活躍を期待している」
日菜子「別のジャンル、ですかぁ?」
モバP「ああ。その詳細については現場を見て貰った方が理解も早いと思うから、明日その時に詳しく話す」
比奈「勿体付けるっスね」
モバP「それだけの価値はあるさ」
モバP「それで、今回のユニットについてなんだが、リーダーはこちらから指定させて貰いたい」
沙紀「あれ、ってことは年長者の比奈さんじゃないってことっすか?」
モバP「ああ。今回のユニットのリーダーは……」
由愛「……リーダー、は?」
モバP「由愛に任せたい」
由愛「………?」
モバP「由愛が、リーダーだ」
由愛「……? ………?? ………え?」
由愛「ええーーーー!?」
※ ※ ※
翌日。スタジオホール前――
由愛「私がリーダー、Pさんが任せてくれた……」
由愛(しっかり、しないと……!)
日菜子「由愛ちゃぁん?」
由愛「ひゃあ! ひ、日菜子さん……!」
日菜子「むふふ。緊張してますかぁ? リーダー、大役ですものねぇ」
日菜子「でも、やるからには楽しんだ方がいいですよ?」
由愛「は、はい……」
由愛(全然気づかなかった……。気が緩んでたのかな? もっとしっかりしなきゃ!)
日菜子「むふふ♪ 比奈さん達はもう到着してるそうですからぁ、私達も急ぎましょうねー」
由愛「……はいっ」
由愛(Pさん、私…頑張ります……から!)
比奈「お、来たっスね。こっちっスよー」
由愛「…おはようございます!」
沙紀「気合十分って感じ? こりゃ負けられないね」
日菜子「Pさんはどこです〜? 女の子を待たせるなんて亭主関白な……むふ、むふふふ♪」
沙紀「こっちも朝から絶好調っすね。Pさんなら先にスタジオ入りして、全員揃ったら来いって言ってたっすよ」
比奈「昨日勿体付けたからには、ちょっと期待していくっスよ」
由愛「ここ、大きめのスタジオですよね? どんなことをするのかな…」
沙紀「そりゃ、行ってみてのお楽しみって感じっしょ。行くっすよ〜」
スタジオホール――
モバP「おっ、皆揃ったみたいだな。改めておはようございます、だ」
由愛「おはようございます、Pさん……。えっと…」
比奈「……ひゃー」
日菜子「これは、見上げちゃいますねぇ」
沙紀「……お、お」
モバP「どうやら、何をするか分かってくれたみたいだな。おおよそ想像の通りだ」
モバP「今回のイベントで皆に挑戦して貰うのは、縦2.5m横5mのこの大画用紙に」
モバP「協力して絵を描いて貰う!」
沙紀「いやっほぅーーーー!!!」
由愛「!?」
沙紀「自分、こういう仕事を待ってたんっすよ! アイドルとして、存分に自分らしさを振るえるこんな仕事を!」
モバP「方向性としてはバラエティに属する物だが、得意分野だもんな」
比奈「そっスね。絵を描くって事に関しては一家言あるつもりっスから。それでこの人選なんスね」
日菜子「蘭子ちゃんが居ないのは……」
モバP「蘭子は運動会の方で頑張るからな。応援してやってくれ」
神崎蘭子「我、駿馬の嘶きを轟かせん!(1500m頑張ります!)」
白坂小梅「無理しちゃ…ダメ、だよ?」
モバP「テーマは『秋』。それ以外はこの紙の上ならどんな表現をしてもいい。皆の感性を輝かせてくれ」
モバP「これも当日の正式な競技だ。制限時間は3時間と限られているから気を付けてくれよ」
由愛「………」
由愛(とっても大きい。私、こんな大きな絵、描いた事ない…どうしよう)
由愛(それに時間制限まで……)
由愛「……あの、Pさ…」
比奈「3時間、書きあげるには少し時間が足りないような……ま、やるしかないッスか」
沙紀「3時間もあれば余裕っすね。アーティスティックに決めるぜ!」
日菜子「むふっ」
由愛「っ…」
由愛(不安になってるの、私だけ? ……リーダー、なのに)
モバP「? どうした由愛?」
由愛「! い、いえ。何でも……ないです…」
由愛(……しっかりしなきゃ)
モバP「……そっか。それじゃ由愛、挑戦になるけどリーダー、よろしく頼んだぞ?」
由愛「あ…、はい!」
モバP「それじゃ皆、俺は別のアイドルの様子も見に回ってくるから、それまで打ち合わせを詰めてくれ」
モバP「あと、その画用紙は練習用に張った物だから描きこんでも大丈夫だぞ。それじゃまた後で!」
由愛「行ってらっしゃい、Pさん。また…後で……」
由愛(行っちゃった…)
由愛(行く前に、手、握って貰いたかったな……)
日菜子「………」
日菜子「由愛ちゃん」
由愛「……ふぅ」
日菜子「由愛ちゃん?」
由愛「……はぁ」
日菜子「むふふ、ゆーめーちゃーん?」(フゥー
由愛「ひぁぁぁぁぁ!? み、耳っ……!?」
日菜子「妄想は私の特技ですよぉ?」
由愛「ち、違いますっ。ちょっと、考えごとしてて…」
日菜子「むふっ。そんなことより、あれ。放っておいていいんですかぁ?」
由愛「あれ?」
比奈「でっかい物には、まず当たりを付けて……」
沙紀「最初はドドンと、ペンキでGO!」
由愛「も、もう描き始めてる…!?」
日菜子「むふふ、情熱的な方達ですからねぇ」
由愛「まだ、何も相談してない…のに。止めなきゃ……!」
日菜子「あ、由愛ちゃん。足元――」
由愛「はい? あっ」
ボチャン ガッ バシャーンッ
沙紀「うわわっ、何すか!?」
比奈「あっ、由愛ちゃん。大丈夫ッスかー? ペンキ、盛大にぶちまけたっスね」
由愛「う…ひう……」
日菜子「日菜子の注意が遅れました。すみません」
比奈「とりあえずタオルっスよ、タオル」
由愛(私、ダメダメだなぁ……皆をまとめるどころか、迷惑かけちゃってる)
日菜子「お湯も持ってきますねぇ」
由愛(Pさん。私じゃリーダー、務まらないんじゃないでしょうか…)
沙紀「それよかシャワーっすよ。あっちにあるんで連れてかないと」
由愛(どうしてPさんは、私なんかをリーダーに指定したんだろう……?)
日菜子「それじゃあ私が連れていきますねぇ。由愛ちゃん、行きましょう?」
由愛「……はい」
由愛(教えて下さい。Pさん……)
※ ※ ※
スタジオ、更衣室――
日菜子「…とりあえず、服はクリーニングに出しましょうねぇ。ジャージ、サイズ合ってますか?」
由愛「はい…。ありがとうございます……」
由愛(結局、何から何まで上手くいってないや。始めからこんな調子で、どうしよう…)
日菜子「………」
由愛「それじゃ、戻りましょう……。日菜子さん」
日菜子「ふむ」
由愛「……?」
日菜子「由愛ちゃん。リーダー、辛いですかぁ?」
由愛「……え?」
日菜子「プロデューサーさんから頼まれたこととはいえ、必要以上に苦しんでまでするものでもないかとー」
由愛「………」
由愛(そう、なのかな? 必死になって、大変で、苦しい……もんね)
日菜子「由愛ちゃんが良ければ、日菜子が代わりにリーダー出来ないか、Pさんにお訊ねしますよぉ」
由愛「……えっと」
由愛(任せちゃって、いいの、かな……? 私が、頼まれたこと……)
由愛「……あの、日菜子さん」
日菜子「はい、なんでしょうー?」
由愛「Pさんは…どうして私に、リーダーを任せてくれたんでしょうか? ……私、分からなくて…」
日菜子「……ふむ。なるほどぉ」
由愛(こんなこと、日菜子さんに聞いても分かるわけないのに……)
日菜子「むふふ。これは、日菜子の妄想なんですが……きっと、プロデューサーは見たかったんですよ」
由愛「? 見た…かった?」
由愛(何、を…?)
日菜子「秋のアイドル大運動会。華やかに活躍するのは運動場、スタジアムでの競技ですよねぇ。様々な事務所から来
たアイドル達がしのぎを削って、実際に体を大きく動かして、ファン達の前で頑張る姿を見せるんですからぁ」
由愛「……はい」
日菜子「私達の競技は、場所をとりますし、天候などを考えても行われるのは屋内ですからぁ、きっと中継で出場する
んだと思うんですよぉ。そうなりますとー、私達が画面に映るタイミングは、始めと、途中経過を数回、そして完成し
た時、と。かなり限られてしまうと思いますー」
由愛「そう、ですね…」
日菜子「それはつまり、私達に与えられたチャンスがそれだけだという事であり、それだけのチャンスをPさんは掴ん
で来てくれた、とも取れるんです。私は、そのチャンスを絶対に無駄にはしたくありません」
由愛「………」
日菜子「そのPさんが、リーダーを由愛さんだと言った。それはつまり、その数少ないチャンスの内で、Pさんがその
目に見てみたいと思ったのが、由愛さんがリーダーとして活躍する画、だったんだと思いますよぉ」
由愛「私が…」
由愛(挑戦、って。Pさんは言ってた。それって、きっと…出来る出来ないじゃ、なくて……)
日菜子「由愛ちゃんは4人の中でも最年少ですからー、変に気負って苦しんでしまうくらいなら、逃げてもいいと思う
んですよね。多分、日菜子はその為にここに居るんだって思ってますからー」
由愛「え?」
日菜子「妄想を形にする為にー、日菜子は絵を描いてるじゃないですかぁ。だから、テーマを先に決められての絵って
、少し方向性が違うんですよねぇ。ってことはぁー、日菜子には別の役割があるんじゃないかって、そう思ってたんで
す」
由愛「日菜子さん…」
日菜子「比奈さんも沙紀さんもー、表現方法は違っても絵に対する情熱はとても熱い方ですからね。ちょっとだけ、周
りが見えなくなる事もあると思うんです。私が妄想の世界から戻って来れなくなってる時みたいにぃ…むふっ♪」
由愛「………」
日菜子「だからその分、日菜子が日菜子として皆に出来ること、やっていきたいなぁって思っていたんです」
由愛「………」
由愛(日菜子さん、こんなに皆のことちゃんと見てて、支えようって頑張ってたんだ……それに比べて私は…)
日菜子「由愛ちゃん。無理してきついことはしなくていいと思うから、ダメなら言って下さいねー?」
由愛「……日菜子さん」
由愛(日菜子さんの方がよっぽどリーダーに向いてると、思う。でも……!)
由愛「私、リーダー…やります……! やらせて、下さい…!」
日菜子「でも、ずっと見てましたけど、辛そうでしたよー?」
由愛「私、リーダーが何なのか、どうして自分がリーダーなのか…分からないまま、ただ、頑張らなきゃって…思って
たんです」
由愛「でも」
由愛「リーダーってそうじゃなくて、もっと皆を見て、皆のために、そして……何より、そんな私を見たいって思ってく
れる誰かのために、胸を張ることが大事なんだって、そう思ったんです…」
日菜子「………」
由愛「それって、アイドルとして頑張ることと同じ……ですよね? だったら私、挑戦したい…です……!」
日菜子「……むふふ」
日菜子「……そしてPさんの視線を独り占め、ですか?」
由愛「そう、Pさんに……え? Pさん? ……っ!?」
日菜子「むふふー♪ 由愛ちゃん可愛いです〜」
由愛「ちょ、ちょっと……あの、その…! そういうんじゃなくて…その……」
日菜子「分かってますよぉ。リーダーってお仕事、やってみたいって、話ですよねぇ? 由愛ちゃんがそう仰るならー
、日菜子はそれを、応援するだけですよぉ」
由愛「は、はい……!」
由愛(ひ、日菜子さんって、やっぱり、すごい……!)
日菜子「だったらこうしてはいられません。今頃画用紙を前にして二人の情熱がぶつかり合う頃ですよー」
由愛「……! そうですね。行きましょう!」
由愛(Pさん、見てて下さい。今度こそ、成宮由愛……リーダー頑張ります!)
スタジオホール――
比奈「ちょ、ちょっと! こっちまだ下書き中なんスよ?」
沙紀「えっ、いやいや。ここジャーってライン引くんすから、下書きとか止めて欲しいっす」
比奈「っていうか何でいきなり彩色してるんスか、中りつけて描かないと全体像が…」
沙紀「ベースカラーで大きく汚してから、その上を削ったりしてやる方法があってっすね……」
ヤイノヤイノ ギャイギャイ
日菜子「案の定、ですねー…」
由愛「……もう、大丈夫です。私に任せて下さい」
日菜子「……むふふ♪」
由愛「………」
比奈「必殺、筆ペン早描き召喚……! ドラゴン! やっつけるッス」
沙紀「そんなものペンキの上塗りで一発っす!」
由愛「………」(スゥ…
由愛「マジカル、リーーーーーフ!!」
比奈・沙紀「「!?」」
由愛「喧嘩しちゃ、めっ、です。それに、相談もなしに描きだすのも、めっ、です…!」
由愛「皆で話し合って、一緒に、同じ目標に向かって……頑張りましょう…!」
由愛「Pさんが私達に期待してくれているのは、そんな姿だと、思います……!」
比奈・沙紀「「………」」
比奈「そ……っスね。ちょっと熱くなりすぎてたっス」
沙紀「自分も、ちょっと周りが見えてなかったっていうか。舞い上がってたっていうか…」
比奈・沙紀「「ごめんなさい」」
由愛「……はい。皆、仲良し…です」
日菜子「むふふ…♪ 流石はリーダー、ですねぇ」
比奈「いやぁ、びっくりしたっス」
沙紀「由愛ちゃん、マイクなしでも結構声出るんすね…」
由愛「……えへへ」
由愛「それじゃ、皆でどんな絵を描くのか、話し合いましょう」
沙紀「了解っす」
比奈「まずは、秋に合わせた題材選びからっスかね?」
由愛(……出来た。ううん、これから頑張るんだ…!)
日菜子「…むふふ」
由愛「私、お二人の絵を見て一つ閃いた事が……」
沙紀「お、なんすかなんすか?」
由愛(自分に出来ること、探しながら、自分なりのリーダーを……)
比奈「あー、いいっスね。したい感じ分かるっスよ」
日菜子「日菜子はー、ここを担当するんですねぇ?」
由愛「はいっ。お願いします…!」
※ ※ ※
秋、大運動会当日。屋内スタジオ――
アナウンサー「さぁ、盛り上がっております秋のアイドル大運動会! 屋内スタジオの様子はどうですかー?!」
リポーター「はーい、こちら屋内スタジオ、アーティスティックゾーンに来ていまーす。ご覧ください、辺り一面が芸術の花畑です!」
比奈「リポート、回って来てるっスよ!」
沙紀「そんじゃ、例のアレ、かますっすね!」
リポーター「各所で活躍する芸術肌のアイドル達が熱い情熱を……を?」
由愛「日菜子さん……!」
日菜子「はぁーい、それぇ♪」
ダバーッ バッシャーーーーンッ!!
リポーター「うわあああ!! 何という事でしょう! 描きかけの絵に赤いペンキが思い切りかけられました!」
リポーター「これ、大丈夫なんですかー? ええっと、ここのリーダーさんは…」
由愛「! 私、です……!」
リポーター「絵、台無しにしちゃってませんか?」
由愛「大丈夫、です。これで、問題ない……です!」
リポーター「ほほー、一体どんな仕掛けがあるのやら。これは次の中継でも目が離せません!」
比奈&沙紀&日菜子「「「………♪」」」
由愛「はい。楽しみにしてて、下さい……!」
リポーター「以上、アーティスティックゾーンでした!」
比奈「とりあえず、第一段階はOKっスね」
日菜子「私達、目立ってましたねぇ…むふふ」
沙紀「インタビューお疲れ様っす」
由愛「はい! ……でも、どきどきします」
日菜子「むふふ。ですねぇ」
1時間後――
アナウンサー「さぁ、そろそろお待ちかね、屋内スタジオの様子を確かめたいと思います! リポーターさーん!」
リポーター「はい! こちらアーティスティックゾーン! 創作活動も終盤、残り時間あと僅かです!」
リポーター「皆さん先程のとんでもパフォーマンスは覚えておりますでしょうか? それがこちらです!」
沙紀「カメラ、きたっすね!」
比奈「ペンキも乾いてるっス!」
日菜子「由愛ちゃん、今度は一緒に……」
由愛「……はい!」
四人「「「「せーのっ!」」」」
ベリベリベリベリ!!
リポーター「おああああ!? 何ということでしょう! 今度はペンキ塗れの紙を破いてしまったぁぁぁ!」
リポーター「これ、本当に大丈夫なんですか!?」
比奈「ふふっ、よく見て下さい。破ったんじゃないっスよ」
日菜子「マスキングといってー、ある範囲を守るために別の紙を張り付けていたんです」
沙紀「ダミー込みっすから、手は込んでたっすよ?」
由愛「見て、下さい。私達のテーマ……!」
リポーター「! ……こ、これは!」
リポーター「赤い紅葉に包まれた、大きなカエデのマークです!」
リポーター「それにそれだけではありません! カエデの中には色とりどりのモチーフが沢山あります!」
日菜子「むふふ、それは秋と聞いて思いついた物、ぜーんぶ描き込んだんですよぉ」
比奈「細かなイラストは、私の本分っス」
沙紀「派手なカラーリングはグラフィティの真骨頂っすよ!」
由愛「これが私達皆で考え、表現する――」
四人「「「「秋です!」」」」
※ ※ ※
沙紀「―――っし! 競技トップっす!」
比奈「あれだけ話題をかっさらったっスからねぇ」
日菜子「絵にも手は抜いていません」
由愛「皆、お疲れ様でした。いっしょに頑張って、いい結果残せて、良かったです……」
比奈「これも、由愛ちゃんの頑張りあってのことっス。ね?」
沙紀「タイムキーパーまでやるって聞いた時にはビックリしたっすよ。何でもやろうってしてたし」
由愛「頑張るって、Pさんに言いましたから……!」
日菜子「今頃Pさんは、スタジアムの方で頑張ってるアイドルの応援してるんでしょうね」
比奈「アタシらは画面越し、さて。見て貰えたのやら……」
由愛「……大丈夫です。Pさんは、きっと。見てくれました…」
比奈「……そっスね。Pさんっスもんね」
沙紀「アタシらも急いで着替えて、あっちの応援に行こうか」
日菜子「はい〜」
由愛「………」
日菜子「……? ……むふふ」
日菜子「お疲れ様です、由愛ちゃん」(フゥー
由愛「ひぁぁぁぁぁぁ!?」
日菜子「どきどき、止まらないですねぇ。私達、やりきったんですから」
由愛「は、はい。本当に、上手くいって、良かった……」
日菜子「比奈さんも沙紀さんもその手の経験者ですからー。私は心配してなかったですよ」
由愛「そうじゃなくて、その…」
日菜子「……ああ、リーダーですかぁ? そうですね。立派、だったと思います〜」
由愛「ありがとう、ございます……嬉しい、です」
日菜子「…むふふ♪ 私も、好き放題に秋について想いを馳せる事が出来ましたぁ。これも、由愛ちゃんのおかげ」
由愛「日菜子さんのイメージで、とっても賑やかな絵に出来ました…こっちこそ、ありがとうございます」
日菜子「日菜子、自分の役割は絵と違う所にあるんだと思っていましたけどー…しっかりお役に立てましたかぁ?」
由愛「……あのっ。日菜子さん」
日菜子「はいー?」
由愛「私、それってやっぱり違うと…思うんです」
日菜子「違うって何がです〜?」
由愛「Pさんがリーダーとして頑張る私を見たいって思ってくれてたかもしれないのと同じで……」
由愛「日菜子さんが、思うままに楽しそうに絵を描く所が、Pさんも見たかったんだと思うんです」
日菜子「……はぇ?」
由愛「知ってましたか? 中継が繋がってない時でも、メイキングの為にカメラ…巡回してるんです」
由愛「その、いっぱい撮られてました。楽しそうに絵を描いてる日菜子さん」
日菜子「なん………!」
日菜子「…これはぁ、想定外でしたねぇ〜」
由愛「……ふふっ。でも、良かったです。あんな素敵な笑顔の日菜子さん、Pさんにちゃんと見て欲しかった…から……」
日菜子「むふふー、なんだか最後の最後で日菜子がやり込められています〜♪」
由愛「日菜子さんが頑張ってる所、Pさんはきっと見てくれてますよ…!」
日菜子「……これはぁ、日菜子もうかうかしてられないですねぇ」
由愛「?」
日菜子「こっちの話です〜」
比奈「わっ、Pさん。こっち来たんスか?」
沙紀「コロシアムからこっち1kmあるっすよ? うわぁ汗びっしょり」
日菜子「あらあら、Pさん来ちゃいましたねぇ」
由愛「やっぱり、ちゃんと見ててくれたんですね」
ワーワー、ギャーギャー
日菜子「それじゃあ、私達も行きましょうかぁ」
由愛「……はいっ。あの、日菜子さん」
日菜子「はぁい?」
由愛「手、繋いでいきませんか?」
日菜子「……むふふ。お安いご用です〜♪」
Pサーン オオー、ミテタゾー!
ガンバッタノデゴホウビヲ…… テ、コッチヲニギッテ……
おわり
20:30│成宮由愛