2015年12月23日

橘ありす「サンタさんって、いったい何人いるんでしょう」 的場梨沙「うん?」

梨沙「何人って、実際に24日の夜にプレゼントくれるのはひとりだけじゃないの?」



ありす「考えてみてください。世界中の子ども全員に、たった一晩でプレゼントを届けきるなんて、ひとりでできるわけありません」



ありす「時差を考えても無理です」





梨沙「そこはほら、なんか魔法的なアレで」



ありす「非科学的です」キリッ



梨沙「そんなこと言ったらサンタの存在自体……」





薫「きっとねー、サンタさんはいっぱいいーっぱいいるんだよ!」



千佳「白いひげのおじいさんがいっぱい、みんな一斉にトナカイで空を飛ぶの!」



仁奈「おー! サンタクロースってすげーです!」





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ワイワイガヤガヤ





P「よいしょ……っと」エッサ



飛鳥「ふう。ようやくここまで運んでこられたか」ホイサ





薫「あっ、クリスマスツリーだ!」



P「ああ。あと一週間でクリスマスだし、そろそろ出しておこうかなと思って」



千佳「あたし飾りつけするー♪」



仁奈「仁奈にまかせやがってください!」



飛鳥「飾りはこっちの箱だよ。キミ達がやってくれるなら、ボクはもうお役御免かな」



P「ありがとう、飛鳥。一緒に運んでくれて助かった」



飛鳥「いいさ、このくらい」





薫「かざり、かざりー……あれ?」



千佳「……なんか、少ない?」



梨沙「少ない? ……ほんとね。ツリーの大きさに比べたら飾りが足りないわ」



ありす「Pさん。運び残しがあったんじゃないですか」



P「いや、そんなはずはないんだが……ちひろさん、何か知りませんか」



ちひろ「去年片付けた時、飾りの一部がどこかに行ってしまったのかもしれませんね……心当たりはないんですけど」



仁奈「飾りつけ、できないですか?」



P「できないわけじゃないぞ。とりあえず、ここにあるぶんだけでもツリーにつけてあげよう」



千佳「そうだね」



薫「おーっ!」





梨沙「んー、でもこれじゃちょっと味気ないわね……」



ありす「……あれ?」



梨沙「どうしたの」



ありす「飛鳥さん、いつの間にかいなくなっていますけど」



梨沙「どうせ屋上にでも行ったんでしょ。そこにかけてあったジャケットなくなってるし」



ありす「あ、本当……よくすぐに気づきますね」



梨沙「行動パターンがみえみえなのよ、飛鳥は」



梨沙「……あ、そうだ! いいこと思いついたわ」ポン



梨沙「プロデューサー! アレ、確かまだ余ってたわよね」



P「アレ……?」



屋上





飛鳥「………」



飛鳥「やはり、真冬の屋上は冷えるか……」





ぴとっ



飛鳥「っ!?」ビクッ



心「よっ☆寒そうだったからあたたか〜い缶で温めてやったぞ♪」



飛鳥「なんだ、心さんか……」



心「なんだとはいいご挨拶だなぁ。はぁとじゃなくてプロデューサーがよかった?」



飛鳥「……別に。今は誰がここに来ても大差はない」



心「ふーん……あ、この缶コーヒーあげる♪」



心「冬の寒空の下、静かにコーヒーを飲むのはサマになるぞ☆」



飛鳥「コーヒーか……」



心「そのコーヒーはシュガシュガスウィートに糖分たっぷりだから、飛鳥ちゃんでも大丈夫! たぶん」



飛鳥「………」チビチビ



飛鳥「本当だ……苦くない」



心「でしょでしょ?」ニコニコ



心「それで? キミはこのさむーい屋上でなにしてたの?」



飛鳥「少し独りの時間をとりたかっただけさ。深い意味はないよ」



心「そんなこと言って、ちびっ子たちにサンタクロースの話を振られるのが面倒だったんじゃないのー?」



飛鳥「………」



心「図星☆」



飛鳥「……まあ、否定はしない」ハア







心「ま、気持ちはわかる、すっごくわかる♪」



心「サンタさんの正体とか聞かれると、どう返したらいいもんか迷うよね☆」



飛鳥「どこでこんな風習が生まれたんだろうね」



心「いいじゃないの、ロマンチックだし☆」



心「もしかしたら、ほんとのほんとにいるかもしれないよ? サンタクロース」



飛鳥「まさか」









??「へくちっ!」



??「うぅ……遠くで誰かがうわさしてます……」

心「飛鳥ちゃんはいつ気づいたの? サンタさんの正体に」



飛鳥「……6年前だったかな」



心「わお、結構早いな♪」



飛鳥「クリスマスイヴの夜。ボクはサンタの正体を確かめるべく、一晩中起きていることを決意した」



飛鳥「ベッドに潜ったまま、ひたすら眠気と戦い続けたんだ」









6年前





あすか(8歳)「ふわぁ……ねむい」



あすか「でもだめ……起きてないと……」



あすか「……すぅ」









飛鳥父「そろそろ飛鳥も寝たみたいだな……よし」



飛鳥父「………」ソロリソロリ



飛鳥父「(よし、気づかれずにベッドまで……)」





ブツブツブツブツ



飛鳥父「(………ん?)」











あすか「ねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるなねるねるねるね」ギリギリギリ



飛鳥父「うおわああっ!!?」







飛鳥「当時はショックだったよ。サンタクロースの正体を知って」



心「一番ショック受けたの飛鳥ちゃんのパパだと思う」





一方その頃下の階





梨沙「これよ、これ!」



ありす「……短冊ですよね。七夕の時に使った」



梨沙「どうせ来年まで使わないんなら、今使っちゃっても同じでしょ?」



P「まさか、クリスマスツリーに短冊飾るのか?」



梨沙「ツリーが殺風景になるよりマシよ。ねえ?」



薫「たんざく書きたい!」



千佳「お願いごとしていいのー?」



仁奈「楽しそうでいやがりますね!」



梨沙「ほら」



ありす「でも、こういうのはしきたりというものが……」



梨沙「細かいこと気にしてもしょうがないわよ。七夕もクリスマスも、お願いごとするのはどっちも同じよ、同じ!」



P「……まあ、ある意味ウチの事務所らしいか」



ありす「Pさんまで……知りませんからね」



梨沙「と言いつつ、短冊一枚とるのはどうなのかしら」



ありす「わ、私だけ書かないのもムードを損ねると思っただけです!」



梨沙「へー」ニヤニヤ



薫「なに書こうかな〜♪」ウキウキ



千佳「うーんと、魔法少女の変身セットはサンタさんに頼んだから……」



仁奈「………」



梨沙「仁奈? どうかした?」



仁奈「梨沙おねーさん……仁奈、どのお願いごとを書けばいいのか迷っているでごぜーます」



梨沙「頼みたいことがいっぱいあるってこと?」



仁奈「はい……困ったですよ」



仁奈「仁奈は欲張りでいやがりますか……?」シュン



梨沙「………」



梨沙「なら簡単よ。全部書いちゃいなさい」



仁奈「え?」



梨沙「だって短冊の余りいっぱいあるんだから。仁奈がちょっとくらい多く書いたって、なくなりなんてしないわよ」



仁奈「いいんですか……? ひとりひとつまでとか、ルールは」



梨沙「そんなのあるわけないじゃない。クリスマスツリーに短冊飾ってる時点で、決まりもなにもあったもんじゃないし」ウンウン



梨沙「いっぱい飾っておけば、ひとつくらいは叶えてもらえるかもしれないわよ?」



仁奈「……そうですね! 仁奈、いっぱいお願いごと書きやがります!」



梨沙「そうそう、そのくらいの元気でいいのよ」



梨沙「………でも」



梨沙「よく考えたら、アタシはなに書くか思いつかないわね」



ありす「私も実は思いつきません。いきなりの提案だったので」



梨沙「うーん……七夕の時はなにお願いしたんだっけ?」



ありす「あの時は、確か……」



梨沙「………」



梨沙・ありす「あ」





屋上





心「来週、雪降るらしいって知ってる?」



飛鳥「そうなのかい?」



心「そう♪だから今年はホワイトクリスマスになるかもしれないぞ☆」



飛鳥「ふうん。それは、世のカップル達が喜ぶだろうね」



心「うらやましいねえ♪」



心「ね?」



飛鳥「なぜボクに同意を求める……」



心「……まあ本当のところを言うなら、はぁともリア充だから別にうらやましくなんかないんだけどね♪」



飛鳥「リア充?」



心「だってそうでしょ? 憧れのアイドルになれて、愉快な仲間達と一緒に楽しく仕事やれてるんだから☆」



心「これをリア充と言わずしてなんと言う!」



飛鳥「……その『愉快』の中にボクも?」



心「もちろん♪飛鳥ちゃん面白いし☆」



飛鳥「……そうか」







心「というわけで。クリスマスイヴ当日は、ここの屋上から大声で『恋人がなんだこのヤロー!』って叫ぶ予定なので」



心「飛鳥ちゃんも参加する?」



飛鳥「なんだその試みは……」



心「いいじゃんいいじゃん♪きっとスッキリするよ?」



飛鳥「………」



飛鳥「考えるだけ、考えておくよ」フッ



ガチャリ





わいわいがやがや



飛鳥「ツリーに短冊……?」



心「なにしてんの?」



ありす「あ、お二人とも帰ってきましたか」



梨沙「今ちょうど、アタシ達の短冊も完成したところよ。ほら」



飛鳥「ん……」





『飛鳥の胸が蘭子くらいになるますように  的場梨沙』



『飛鳥さんのバストサイズがみりあさんラインを突破しますように  橘ありす』





飛鳥「………」



梨沙「どう? 感謝しなさいよね」



ありす「飛鳥さんと心さんも、短冊どうぞ」



飛鳥「あぁ、ありがとう」





飛鳥「ではボクはボクの短冊の効果でキミ達の短冊をゲームから除外する」ヒョイ



梨沙「あっ! ちょっとなにすんのよ!」



心「………」



心「やっぱり愉快な仲間達だな☆」







おしまい





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