2016年01月11日

茜「恋の病…ですかっ!?」

未央「ふーっ。ごちそうさま」



藍子「あれ? 未央ちゃん、全部食べないんですか?」



未央「いやぁ、この季節食べすぎると色々心配でして」





藍子「ああ…この前、衣装が入らない〜、なんて騒いでましたもんね」



未央「わー! そのことはもう忘れてよ〜!」



茜「………」



未央「これどうしよう、持ち帰っていいかな…? あ、そうだ! 茜ちん食べて…って、あれ?」



茜「はぁ…」



藍子「茜ちゃんも残してますね。いつもは一番に食べ終わっておかわりもしてるのに、珍しい」



茜「なんだか、食欲なくって…」



未央「ええっ、茜ちんが!?」



藍子「まぁ、雪でも降るんじゃ…」



未央「あーちゃん…それ酷いし、冬だから普通だよ」



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未央「それにしても茜ちんがご飯残すなんて、どうしたの?」



茜「えーと…」



藍子「何か、悩みでもあるんですか?」



未央「いやいや〜。茜ちんに限って、悩みなんて…」



茜「は、はい! あの!」



未央「おお!? あった!」



藍子「未央ちゃんも結構酷いんじゃ…」



茜「私、最近なんか変なんです!」



未央「変って? 一昨日、仕事なくなったからって夕日に向かってダッシュしてたけどそのことじゃなくて?」



藍子「未央ちゃん」



未央「ごめんごめん。どうしたの?」



茜「それが、その…」



藍子「何か、言いにくいこと?」



茜「う〜…よし!」パンッ



茜「私、なんか…プロデューサーの顔を見ると、体が熱くなるんです!」



未央「え」



藍子「え…」



未央「えええっ!?」



茜「わっ!? 何か、心当たりあるんですね!」

未央「こ、これはもしかしてあーちゃんさん…」



藍子「もしかしますね、未央ちゃんさん…」



未央「いや、決めつけるのはまだ早い! 茜ちん、他にプロデューサーと話してて変なことは!?」



茜「え、えーと、そうですね! その、運動もしてないのに、汗もいっぱい出てきて…! それから…」



茜「げほっ! げほっ!」



未央「わぁっ、茜ちん興奮しすぎ!」



藍子「はい、水」スッ



茜「あ、ありがとうございます! んぐ、んぐ、んぐ…ぷはーっ、冷たいっ!」

藍子「体が熱くなって、汗がいっぱい出てきて…」



藍子「これってやっぱり、そういうこと…ですよね」



未央「うん、間違いないね」



茜「わかるんですか!? な、何かの病気なんでしょうか!」



藍子「病気…と言えばそうかもしれません」



茜「そんな…! 私、どうすればいいんでしょう!」



未央「茜ちん! それはズバリ、恋だよ!」



茜「鯉!! 鯉を取ってくればいいんですね!? わかりました、行ってきますっ!!」ダッ



未央「あーっ、違う違う! そうじゃなくて!」



藍子「茜ちゃんは、その…恋の病にかかっちゃったんだと思います」



茜「恋の病…ですかっ!?」



未央「ズバリ、茜ちんはプロデューサーに恋してるってこと!」



茜「へ…? 私が、プロデューサーに、こい…」



茜「…………」



茜「えええええ〜っ!?!?」ボンッ

茜「わ、わ、わ、私がプロデューサーに…そんなことっ!」



未央「ないって言い切れる!?」



茜「うぅぅ〜…でも、体は熱くなったりはしますけど、それでプロデューサーに対して恋だなんて…」



未央「いやいや、意識したら緊張しちゃって話せなくなる…よくあることだよ、うん」



茜「うーん…これって、そうなんですかね…?」



藍子「茜ちゃんはプロデューサーさんのこと、嫌いなんですか?」



茜「いえっ! 嫌いだなんて、そんなことあるわけっ!」



未央「じゃあ好きなんだ」



茜「すっ…! ち、ちが、いや…す、好きですけどっ!」



藍子「…やっぱり、好きなんですね」



茜「そ、そ、そ、そういう好きじゃないですっ!」



未央「ですが緊張して、熱くなって、汗もかく! これは恋の症状ですよねあーちゃん先生!」



藍子「話を聞いていると、そんな感じ…ですかね」



茜「そこまで言われると…なんか、そんな気が…」



茜「わ、私、プロデューサーのこと…うああ…」シュゥゥゥゥゥ



茜「そ、外で走ってきます!」



未央「まぁ待ちたまえ茜ちん君! 走って一時的にはすっきりするかもしれない! でも、それじゃ根本的な問題は解決しないぞ!」



茜「それじゃ、どうすれば…」

未央「ここはズバリ、告白だよ茜ちん!」



茜「こく! はく!」



藍子「いきなり告白は早いんじゃ…?」



未央「恋は戦争だよあーちゃん! 何があるかわかんないんだよ、絶対特権主張しなきゃ!」



藍子「そう、ですか…そうですね」



茜「こ、告白…ですか…考えただけで汗が…」ダラダラダラ



藍子「はい、ハンカチ。これで拭いて」



茜「ありがとうございます!」フキフキ



藍子「わ、一瞬でビチャビチャに…」



茜「うぅ…告白…しなきゃダメなんでしょうか…?」



未央「駄目だよ! 茜ちん、もやもやしたまま仕事なんてできないでしょ!」



茜「でも…」



未央「大丈夫、私も上手く行くよう協力するから!」



藍子「未央ちゃん、いいんですか?」



未央「え、何が? ははぁ、もしかしてあーちゃん、私がプロデューサーにそういう気があると思ってるのかなー?」



藍子「ええと…」



未央「って言うか、あーちゃんの方はどうなんだこのこの〜」



藍子「そういうことじゃなくて、未央ちゃんいつも『アイドルなんだから恋愛禁止!』って言ってるじゃないですか」



未央「あ、それかー…うーん、それはそうなんだけどさ」



茜「はぁ…」



未央「こんな茜ちんを見てたらなんとかしてあげたいじゃん?」



藍子「ふふ…そうですね」

未央「さて、協力すると言ったわけだけど…」



藍子「ここは、恋愛経験豊富そうな人にアドバイスを貰いに行くのがいいんじゃ? 美嘉さんとか、楓さんとか」



未央「いや、ここは未央お姉さんに任せなさい! もう頭の中にプランは出来上がってる!」



藍子「茜ちゃんの方が年上じゃ…それに未央ちゃん、そのプランというのは本当に大丈夫なんですか?」



未央「大丈夫! こう見えても私、友達の恋愛を取り持ったこと何度もあるんだよ!」



藍子「未央ちゃん自身は?」



未央「さぁ茜ちん、私についてこい!」



茜「オ…オス! わかりました、師匠!」



藍子「あ、スルーした…」

そして…



未央「よし。私が教えられることは全部教えた…」



茜「なんだか、すごく恋愛体質になった気がします!」



藍子「そうなのかなー…?」



未央「あとは本番、実践して告白に移るだけだ!」



茜「告白…うぅ、考えたらドキドキしてきました…」



未央「よし! 今日の仕事が終わったら実践だ!」



茜「いえ! 仕事の時間まで待ってられません! 今からプロデューサーの所に行ってきます!」



未央「おおっ!?」



藍子「そんなにいきなりで大丈夫ですか?」



茜「大丈夫かはわかりません! でも、こんな気持ちのまま仕事に行くのはいけないと思ったので!」



未央「茜ちん」



茜「失礼します!」



タッタッタッタ…



未央「弟子が師の手を放れていく…うぅ、感慨深い…」



藍子「そんな感動できるような積み重ねがあったのでしょうか…」



未央「いいんだよ、こういうのはノリだよあーちゃん」



藍子「けれど、本当にこれでよかったんですか?」



未央「例えフラれても、モヤモヤした気持ちはなくなるでしょ。もちろん、上手く行って欲しいけどね」



藍子「でも、もしも上手く行っちゃったらポジティブパッションは解散…ですよね。茜ちゃんが隠せるとも思えませんし…」



未央「………」



未央「ど、ど、ど、どうしよあーちゃん!?」



藍子「うーん…まぁ、なるようにしかなりませんよ。きっと」



未央「うわーゆるふわやめてよー! 茜ちんは応援したいけどポジパ解散も嫌だ! どうすればいいんだ私ー!!」

P「土日のスケジュールは…こんなものか」



ドドドドド



P「ん?」



茜「プロデューサーっ!!!」ドドドドド



P「どうしたんだ、茜? 今日の仕事の事か?」



茜「いえ! 私、プロデューサーに言いたいことがあって!」



P「? なんだ?」



茜「はっ!」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜



茜『告白というのは、やっぱりストレートに想いを伝えるのがいいんでしょうか!』



未央『茜ちん、それは駄目だよ! 心の用意もできてないのに告白されても、びっくりさせるだけ!』



未央『まずは相手に「もしかして、告白されるんじゃないか?」そう思わせること! これが大事!』



未央『だから、まずは何かあるんじゃないかって雰囲気を出すのだ!』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜



茜「そうでした…」



P「何が?」



茜「あの! プロデューサー、えーと…そうだ! 外に出て歩きませんか!?」



P「歩く…でいいのか?」



茜「はいっ! 行きましょう!」

茜「うーん、空気が冷たくて気持ちいい…!」



P「で、俺に言いたいことってのはなんだ?」



茜「あっ、いえっ! それはまだです!」



P「…? 何か話したいことがあったんじゃ…」



茜「まだ早いです! プロデューサーが何かあるって思ってくれないと!」



P「は、はぁ…? 何かあるのか…?」



茜「あっ!? え、えっと…その…!」



P「…とりあえず、近くの公園にでも行くか」



茜「公園! それはいいですねっ! 行きましょう!」



ビュゥゥゥ…



P「うぅっ、それにしても寒いな…」



茜「あれ、寒いですか!? こんな時は、体を動かせば暖まります!」



P「なんだ、結局走るのか」



茜「あっ!? そ、そうですよね! やっぱり…」



P「うーん、そうだな…茜、付き合ってくれ」



茜「え…えっ!? は、はいっ! よろしくお願いしますっ!」



P「よし。最近運動不足だし、ひとっ走り行くか」



茜「あっ…そ、そうですよね! お供します!」

未央「もう、茜ちんってば…」



未央「意識しすぎだよ! しかも、なんで二人で走ることになってんのさ! それじゃいつも通りじゃん!」



藍子「あの、こんな物陰からこそこそ伺っていいんでしょうか」



未央「私たちには茜ちんの行動を見届ける義務がある! あーちゃんだって気になるでしょ!」



藍子「それは…まぁ」



茜『ふぅ、ふぅ…』



P『どうした茜、ペースが遅いぞ』



未央「あっ! 行っちゃう、追いかけないと!」



藍子「ま、待ってくださいっ」

茜「はぁ、はぁ、はぁ…」



P「どうしたんだ? いつもなら俺を置いて行くくらいのペースで走ってるのに」



茜「そ、それは…プロデューサーが…」



P「ほら、水」スッ



茜「あ、ありがとうございます! んぐ、んぐ、んぐ…ぷはーっ、おいしいっ!」



P「それで、何かあるのか?」



茜「え? 何の話ですか?」



P「俺に話があるんだろう?」



茜「あっ!? すっかり忘れてました!」



P「わ、忘れてたのか…」



茜「あの、私!」



P「ん! おう」



茜「私…」



茜「………」カァァァァァ…



P「ど、どうした? 顔が赤いぞ」



茜「ちょ、ちょっと待ってください…私の方に心の準備が…」

P「茜…お前、大丈夫か…?」



茜「だ、大丈夫ですとも!」



P「そうか…? なんか、様子がおかしいぞ…凄く」



茜「おかしいのは私のせいじゃなくて…あ、熱い…」



P「…熱い?」



茜「そ、その…プロデューサー…」



P「…茜、お前その顔」



茜「へっ?」



P「………」ジッ



茜「う…」



P「お前、もしかして…」



茜「んーっ…」ギュッ



P「…どうしたんだ? 目閉じたりして…」



茜「あれ…? ちゅ、ちゅーじゃないんですか!?」



P「は!? お、お前何言って…!?」



茜「こ、こうやって、顔をじっと見つめてきたら、ちゅーだって!」



P「未央の奴だな! あいつ、何のつもりだ…!?」

未央「うわ、バレたか…」



藍子「それは、普段の茜ちゃんを見てれば誰でも気付くと思いますよ」



未央「まぁ、ここから見ていることまではわかるまい。しかし茜ちん、ちゅーを求めるなんてやりますな」



藍子「求めてる、と言うか未央ちゃんの言ったことを鵜呑みにしてるだけのような…」



茜『ちゅー、しないんですか?』



P『そ、それは…いや、したくないってわけじゃないが…』



未央「ん? プロデューサー、なんだって?」



藍子「へぇ…したくないわけじゃないんですね…」



未央「え、なになに? 聞こえてたの? 教えてよー」』



藍子「それにしても茜ちゃん、結構大胆ですよね」



未央「うん、しかも天然でやってるよあれ。恐ろしい子…」



藍子「茜ちゃんみたいな子にちゅーして、なんて迫られたら大変ですね」



未央「まぁでも、プロデューサーだからなぁ」



P『はぁー…茜』



茜『えっ? あの、顔が近…』



スッ…



未央「………」



藍子「………」

未央「ちょ…ちょっ!? 今、プロデューサー、茜ちんに、ちゅ、ちゅーしなかった…!?」



藍子「………」



未央「あ、あの…あーちゃん?」



藍子「あまりのことに言葉を失いました…」



茜『………』シュゥゥゥゥ…



未央「うわ! 茜ちん、顔から湯気出して固まってるし!」



P『あ、悪い…嫌だったか?』



未央「嫌って言うか、いきなりすぎるよ! 段階飛ばしすぎだよプロデューサー!」



茜『ぷ、ぷろでゅーさー…?』



P『茜、すまん』



ヒョイッ



未央「おおおおおっ!? お姫様抱っこだっ!! すごい…!」



藍子「み、未央ちゃん、興奮しすぎですよ…!」



未央「だって! お姫様抱っこだよ!?」



ザッザッ



未央「あっ、どっか行っちゃう! 追いかけなきゃ!」



藍子「ど、どこに連れていくつもりなんでしょう…!?」

ウィーン



未央「あれ、事務所に戻ってきた」



カツカツ



未央「プロデューサー、どこに向かってるんだろ…? 茜ちんを抱っこしたまま…」



藍子「こっちの方向は…医務室ですね」



未央「医務室?」



藍子「医務室には、ベッドがありますよね…まさか…」



未央「えーっ! それはまだ早いよプロデューサー!? せめてあと1年、18歳になってからだよ!」



パタン



未央「うわぁ、入ってっちゃった!」



藍子「な、中の様子を聞いてみましょう!」



未央「う、うん! 壁に耳つけて…」ピタッ



P『茜、これ咥えて』



茜『えっ、あっ、そのっ』



藍子「わわわ…」



未央「うわーっ、何やってんのさ!?」

茜『わ、私! その…初めてだから、よくわかりません! 優しくお願いします…!』



未央「なんか茜ちんも乗り気だし!」



藍子「私達も入りましょう…!」



未央「そうだね、流石にこれは止めなきゃ!」



P『先っぽを…』



バンッ



未央「ストーップ! 何やってんのケダモノプロデューサー!!」



藍子「越えたらダメですよ、一線っ!」



茜「え…未央ちゃん…? 藍子ちゃん…?」



P「なんだ、お前ら…」



未央「あり…? プロデューサー、服着てる…」



P「なんだ、その…着ているのがおかしいような言い方は」



藍子「その手に持ってるのは…」



P「…体温計だよ。舌の裏側に入れるやつだ」

ピピピ…



茜「38度…」



P「風邪だな」



未央「か、風邪…」



P「おかしいと思ったんだ。様子はおかしいし、顔は赤いし、体力はないし…」



藍子「じゃあ、体が熱くなったりすると言っていたのも…」



P「風邪だな」



未央「お昼ご飯、あんま食べてなかったのも…」



P「そうなのか? それも風邪だろう」



茜「………」



茜「私、風邪引いたんですかっ!?」

未央「ちょ、ちょっと待って! じゃあ、さっきのは何なのさ!」



P「さっきの?」



未央「プロデューサー、茜ちんにちゅーしてたじゃん!」



P「はぁっ!?」



茜「ちゅ、ちゅーなんてしてませんよ!」



P「お前ら、ずっと見てたな…!?」



茜「え、見てたんですか!?」



未央「それは…はい。見てました、ごめんなさい…」



藍子「でも、ちゅーでないのなら、あれは一体…」



P「額を当てて、熱があるかどうか調べてただけだ!」



茜「そうですよ!」



藍子「熱を調べるためなら、わざわざおでこじゃなくても手でよかったのでは…?」



P「冷え性なんだよ。手じゃ冷たいし、ちゃんとわからないんだ」



藍子「そう、なんですか」



茜「凄くびっくりしました…プロデューサーの顔が凄く近くにあって…」



P「…そういうことは口に出さなくていい」

未央「それにしても、恋じゃなかったんだね。そういえば、咳とかしてたよね」ヒソヒソ



藍子「プロデューサーさんを見た時に熱くなるのも、たまたまその時に熱を出していただけなのかもしれませんね」ヒソヒソ



P「何をこそこそ話してるんだ?」



未央「ううん、なんでも! 茜ちん、ごめんね。風邪だって気づいてあげられなくて」



茜「いえっ! そんなことはないですっ!」



P「まぁ、仕方ないよ。茜が風邪引くなんて思わないからな…俺も気づくのに時間がかかった」



藍子「言われてみれば、風邪の症状ですよね。勘違いしてしまいました」



P「何だと思ってたんだ?」



未央「たはは…まぁ、いいじゃんそれは」

茜「あの…今日の仕事は…」



P「茜は休みだ」



藍子「そうですよ。茜ちゃんが風邪引くことなんて滅多にないんだから、無茶しちゃダメです」



茜「でも…」



未央「大丈夫だよ、茜ちんの分は私達が頑張るからさ。任せて!」



茜「…はい」



P「さて、医師の先生を呼ばなきゃならないが…来るまでにちょっと時間かかるな」



未央「じゃあ、それまで私たちも茜ちんの看病するよ!」



茜「あ、えっと…! 気持ちは嬉しいんですが」



P「駄目だ。今日は収録だろ? 本番前に、お前達に移ったらどうするんだ」



未央「う、確かに…」



藍子「私達は、向こうで今日のお仕事について話し合いましょうか」



未央「そだねー」



P「そっちである程度まとめておいてくれ、後で打ち合わせしよう」



藍子「はい。それでは、失礼しますね」



P「ああ」



未央「二人きりだからってヘンなことしちゃ駄目だからね、プロデューサー」



P「するかっ!」

シーン…



P「しかし、なんだったんだ? 今日のは」



茜「え、えっと…そ、それは…」



P「俺に言いたいことがあるって言ってたけど、それと関係あるのか?」



茜「それは…! その、関係はあるんですが、勘違いだったと言うか…」



P「…そうか。ちょっと待っててくれ、電話してくる」



茜「は、はい。いってらっしゃい」



P「うん、行ってきます」



パタン



茜「はぁ…」



茜(恋じゃなかったのかぁ。そっか)



茜(でも、これでよかったのかも。そういうの、まだよくわかんないし)

ガチャ



P「ただいま」



茜「おかえりなさい! …あれ? プロデューサー、それは?」



P「ああ、電話の片手間に作った…と言うか、レトルトパウチ温めただけだけどな」



茜「お粥…」



P「昼飯、あんまり食べてないんだろ? これでも食え」



茜「あ…ありがとうございます! ゴチになります!」



ホカホカ



茜「プロデューサーのお粥…」



P「レトルトだけどな。慌てないで、ゆっくり食えよ」



茜(はっ! 二人きりでご飯…こういう時は…)



P「茜?」



茜「あのっ、プロデューサー!」



P「うん?」



スッ



茜「あ、あーんしてください!」

P「………」



茜「………」



P「いや…茜の食事なのに、俺が食べてどうするんだ…?」



茜「はっ!? 確かに!」



P「…これも未央か?」



茜「はい…男の人はこうしてあげると喜ぶって」



P「そうか…」



ヒョイ



茜「あっ、あれっ!? 没収ですかっ!?」



P「いや…まぁ、女の子が喜ぶかどうかは知らないが」



スッ



P「ほら、茜。あーん」



茜「え」



茜「ええええっ!?」



P「そ、そんなに驚かれると恥ずかしいな…」

茜「あ、あのあのっ! プロデューサーにそこまでさせるわけにはっ!」



P「やることがなくて手持ち無沙汰なんだよ」



茜「てもちぶたさん??」



P「もしかして、嫌だったか…?」



茜「い、嫌だなんてそんな! その…嬉しいです!」



P「それならよかった。ほら、あーん」



茜「あ、あーん…」



パクッ



P「うまいか?」



茜「え、えっと…はい! タマゴが入ってて、それで…」



茜(うわわわわ、プロデューサーと二人きりでこんなの…いいんでしょうかっ!?)

カラン



茜「ふぅ…ごちそうさまでした!」



P「はいよ。しかし、茜も風邪引くんだなぁ」



茜「そうですね、ここ数年で引いたことはありませんでした!」



P「ま、何日か休み取るから、ゆっくり休め。その間の仕事は、俺たちでなんとかしておくから」



茜「休みですか!? そんな、すぐ治りますよ!」



P「ふぅ…」



ナデナデ



茜「あ…」



P「そういうことは、まずは風邪を治してから言え。無茶して悪化しても誰も喜ばないぞ」



茜「…はい」



P「それに、風邪で大変だろうけど、風邪を治してからも大変だぞ〜?」



茜「そうですね…まずはたくさんの人に迷惑や心配をおかけすると思うので、ちゃんと謝りに行きたいです!」



P「そっか。真面目だな、茜は。ま、その時は俺も一緒に行くから」



茜「それと、ファンのみんなに早く元気な姿を見せてあげたいです! 未央ちゃんや藍子ちゃんと一緒に!」



P「ああ、三人一緒でな」



茜「それから、それから…」



P「うん、うん」

ガチャ



医師「ふぅ、お待たせ…」



P「あ、先生! わざわざありがとうございます」



茜「おはようございますっ!」



医師「わ、本当に日野さんが寝てる。珍しいこともあるものね」



茜「あはは…そうみたいです」



P「先生、茜のことお願いします」ペコ



医師「はいはい。任せておきなさい」



P「それじゃ茜、またな。早く元気になれよ」



茜「あ…はいっ、それでは…」



パタン…



医師「それじゃ日野さん、念のためちゃんと診ておくわね」



茜「………」ポーッ…



医師「日野さん?」



茜「あっ、はい! よろしくお願いしますっ!」

次の日…



茜「ふっかーつ!」



未央「お、茜ちん!? 休みなんじゃ…」



茜「治りました! 家でじっとしているのも何ですし、皆さんの顔が見たくて来ちゃいました!」



藍子「茜ちゃん、おはよう。風邪が治ってよかったですね」



茜「ありがとうございます! 昨日はご迷惑おかけしました!」ペコッ



未央「うむ、過ぎたことは仕方ない! これから挽回だ!」



藍子「茜ちゃんが治ったと知ったら、プロデューサーさんも喜びますね」



茜「! そ、そうですね…」



未央「あれ、元気が無くなった…もしかして、本当は治ってないんじゃ!?」



茜「ああ、いえ! 風邪は完治しましたよ! この通り元気爆発ボンバーですとも!」



藍子「もしかして、昨日あの後プロデューサーさんと何かありました?」



茜「え、えーと…それは…」



未央「え、あったの!?」



茜「い、いえっ! そういう変な事はなかったんですがっ! その!」



ガチャ



P「お、みんな揃ってるな」



茜「!!」ドキッ

藍子「おはようございます、プロデューサーさん」



未央「おお、噂をすれば。おっはよー、プロデューサー!」



P「おう、おはよう!」



茜「あ、あのっ、お、おは、おはようございましゅ!」



P「あれ、茜!? 風邪はもうよくなったのか? 凄いな」



茜「おかげさまで! あ、あのっ…治ったので、休み明けに頑張りますっ!」



P「よーし、頑張れ!」ナデナデ



茜「あ…えへへ…」



未央「茜ちんがこんな治るの早いと、そう何日も休み取る必要なかったんじゃない?」



P「そうだな…まぁ、でも万が一があったら大変だからな」



藍子「ですね」



P「まぁ、そういうことだったら今後のスケジュール調整でもするか。未央、藍子、ちょっと待っててくれ」ポンッ



藍子「わっ」



未央「もー髪触るのやめてよー」



茜「あっ…」



藍子「行ってらっしゃい、プロデューサーさん」



P「ああ、今日も1日頑張ろう!」

パタン



未央「いやー、プロデューサーも元気だねー。茜ちんが元気になったのが嬉しかったのかな?」



茜「はぁ〜…」



未央「茜ちん?」



茜「あ、あのっ! なんか私、変なんです!」



未央「え、また風邪?」



茜「風邪は治りましたって! そうじゃなくて…」



藍子「確かに様子がおかしかったけど…どういう風に変なんですか?」



茜「えっと、そのっ! 昨日から頭の中でずっとプロデューサーのこと考えちゃっててっ!」



未央「え…」



茜「それなのに今日会ったらプロデューサーと目合わせられないし、上手く話せないし、心臓もずっとバクバク言ってて…!」



茜「撫でられた時は嬉しかったけど、未央ちゃんや藍子ちゃんの頭にポンってやってるの見たら、モヤモヤーって嫌な気持ちになっちゃって…!」



茜「こんなこと考えるなんて、嫌な子だって思うけど、でも…!」



藍子「それって…」



茜「これって、なんなんでしょう! もしかして、また違う病気ですかっ!!」



終わり



23:30│野々原茜 
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