2016年01月27日

二宮飛鳥「未来の光景」 佐藤心「昔の想い出☆」

梨沙「おはよー……」



心「おっす、梨沙ちゃん♪ なんかお疲れ?」



梨沙「もうすぐマラソン大会だから、体育が走ってばっかなのよ。疲れるったらないわ」





心「マラソンかあ。懐かしいねえ」



梨沙「勉強して走って、その後直接事務所に来てレッスン。アイドルって大変ね」



心「今さらだな♪」



心「でも本番は頑張るんでしょ?」



梨沙「もちろん! 順位が低いのは嫌だし、パパが応援しに来てくれるって言うから全力よ!」



梨沙「小学校で走るのは最後だし、目標は1位ね!」



心「いけそうなの?」



梨沙「トップ5がお腹壊したらイケると思う」



心「それイケるって言わない」



梨沙「ジョーダンよジョーダン」



梨沙「まー、アタシも結構体力ついてきたし、意外と楽勝で優勝できたりして?」



心「アイドル生活の賜物だね♪」





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梨沙「喉渇いたからジュース買ってくるわ」



心「はぁとのぶんもよろしく☆」



梨沙「なにがいいの?」



心「任せるー」



梨沙「じゃあテキトーに選ぶから。ホントにテキトーだから」ニヤ





ガチャ、バタン





心「なんか怖いな……変な物買ってきそう」



心「……梨沙ちゃんのランドセル、あそこにあるとちょっと邪魔かな。動かしとくか」



心「よいしょっと……あぁ、また『よいしょ』って言っちゃった」



心「……にしても、ランドセルかぁ。昔ははぁともこの赤いのしょって歩いてたんだよね」



心「………」キョロキョロ





心「……ちょっとくらい背負っても、いいよね?」



心(E:ランドセル)「わーっ、サイズちっちゃ!」ワイワイ



心「ランドセルってこんなに小さかったかなぁ……それだけこっちの身体が大きくなったってことか」



心「懐かしいなあ……昔はこうやって、みんなで通学路歩いて先生にあいさつして」



心「せんせー、おはよーございまーす!」



心「みたいな感じで……」





飛鳥「………」←今入ってきた



心「………」



飛鳥「……あー、その」



飛鳥「誰だって、現実から目を背け過去に浸りたい時はある……が、何か悩みがあるなら同僚のよしみで相談に」



心「そんなんじゃないから!」



飛鳥「ボクは逃げることを臆病だとは思わないから」



心「だから違うって言ってんだろっ! 目そらすなーっ!」







梨沙「ただいまー……って、なにしてんの?」





飛鳥「なるほど。そういうことだったのか……」



梨沙「人のランドセルを勝手に使うからそんなことになるのよ」



心「それについてはごめんなさい」



心「でも、ふと懐かしい思い出がよみがえってきちゃって……キミらにはまだわからないだろうけど」



心「うん……若干センチメンタルになるわけよ」シンミリ



飛鳥「振り返るほどの時間を、ボクらはまだ経験していないからね」



梨沙「大人って大変なのね……」





心「ごっこ遊びでうっかり担任の先生の急所に蹴り入れちゃったのも、今となってはよき思い出だな☆」



飛鳥「その思い出は一生経験することはなさそうだ」



梨沙「とんでもないことしてるわね……ハートさんだと想像しやすいけど」



心「しっかし、気づけば学生時代もはるか昔」



心「中学生ですら10年以上前か……はぁとも年食ったなぁ♪」



梨沙「10年かあ」



飛鳥「今から10年後、ボクは何をしているだろうか」



梨沙「アタシは22だから……トップアイドルになって5年くらいかなぁ」



梨沙「ひょっとしたら歌手や女優になってるかも」



心「そんな人生設計してるの?」



梨沙「今思いついただけ」



梨沙「言うだけならタダだし、実現したらすごいでしょ?」



飛鳥「確かに、未来を夢見る権利は誰にでもある、か。見るだけなら、だけど」



梨沙「なーんか引っかかる言い方ね」



飛鳥「あぁ、いや。別にキミの将来設計を否定したいわけじゃないさ」



飛鳥「ボクは想像しようとすると、いらないネガティブな考えが浮かんでくるから」



飛鳥「そういう意味では梨沙が羨ましい」



心「子どものうちはでかい夢持っといたほうがいいぞ♪ そのうち見たくても見られなくなるからな☆」



梨沙「そうなの?」



心「大人になるっていうのは、そういうことなんだぞ?」



心「はぁとも子どもの頃はでっかい夢を見てたもんだ♪」



梨沙「へえ、どんな?」



心「そうだねー」



心「夢の中では、26歳のはぁとは火星人の前で火星ライブをやってたかなあ」



梨沙「宇宙進出してた!」



飛鳥「確かにスケールの大きな夢だ……小学生らしい」



心「いやこれ高校の時の夢だよ?」



飛鳥「すごいね」



梨沙「でもまあ、10年あったら何があるかわかんないし」



梨沙「考えれば考えるほど、夢が広がるわね!」



心「いいなあ若い子は。キミ達のこれからの10年と、はぁとのこれからの10年じゃ密度が違うだろうし」



梨沙「じゃあハートさんだけ20年後を考えて」



心「や め ろ」



飛鳥「10年経てば24。社会的にはもう立派な大人か」



梨沙「大人かー」チラ



心「なんだよー、またはぁとのこといじるつもりだなー?」



梨沙「違うってば」



飛鳥「ボクらの近くにいる大人は、立派な人だと思ってね」



心「り、りっぱ?」



梨沙「疲れててもレッスンで手を抜いたりしないし」



飛鳥「湿布まみれの身体でも、激しい動作に笑顔で耐えるし」



梨沙「ていうかライブ中は湿布外してるし。ホント、すごいと思うわ」



飛鳥「仕事中はボクらの中で一番エネルギッシュだ。プロ意識を感じるよ」



心「お、おう……なんか、いきなり褒められると照れるな……」



心「……ふたりしてなにか企んでたりする?」



梨沙「してないわよ」



飛鳥「これでも普段から敬意は払っているつもりだよ」



心「飛鳥ちゃんのは嘘だろ☆」



心「まあ、でも……褒め言葉だっていうなら、素直に受け取っちゃうぞ♪」テレテレ



梨沙「あー、今ちょっと照れてるでしょ」ニヤニヤ



飛鳥「ほう」



心「て、照れてはないから! ないからなっ!」



心「そうだ、いい機会だから飛鳥ちゃんもランドセル背負ったら? ていうか背負え☆」



飛鳥「唐突な話題転換でボクを巻きこむのはやめてくれ」



心「いいじゃん♪ ほら、背負え背負えー!」



梨沙「だからそれアタシのランドセルだってば!」





ガチャリ





P「ただいま……あれ、どうしたんだ飛鳥? ランドセルなんて抱えて」



飛鳥「やぁ、P。ちょっと照れ隠しの一環で押しつけられてね」



心「照れ隠しじゃないっつーの☆」



P「? いまいちよくわからないな……」



P「でも、なんだか懐かしいな。飛鳥がランドセル背負ってた姿を思い出すよ」



P「あの頃の飛鳥はもう少し背が低かったな。それはそれでよかった」



飛鳥「昔のほうがよかったかい?」



梨沙「ロリコン?」



心「ロリータコンプレックス?」



P「違います」





心「というか、なんでプロデューサーは飛鳥ちゃんがランドセル背負ってた時のこと知ってるの?」



心「飛鳥ちゃんがアイドルになったの、中学に入ってからだよね?」



P「その前から知り合いなんですよ。言ってなかったですかね」



心「初耳」



梨沙「アタシは知ってた」



心「ふーん……」



心「なんか面白そうな話が聞ける気がする♪ ねえねえ、その話もっと詳しく」



飛鳥「さてP、そろそろ時間じゃないかな」



P「ん? ああ、そうだな。3人ともレッスンに行かないと」



飛鳥「というわけで雑談は終わりだ」



心「ちぇっ」



梨沙「さらっと逃げたわね」



心「やり口がずるいぞー、ぶーぶー!」



飛鳥「これが大人になるということさ」フッ



梨沙「それはなんか違うと思う」





おしまい





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