2016年02月03日

的場梨沙「お泊まり!」 二宮飛鳥「またボクの部屋か」

心「まったく、失礼しちゃうんだから!」プンスカ



梨沙「機嫌悪いわね。どうしたの?」



心「プロデューサーに裸を見られた」





梨沙「裸!? 何があったのよ」



心「ザ・事故☆ はぁとが着替えてたらプロデューサーがうっかり入ってきちゃったパターン」



梨沙「なんだ、わざとじゃないのか……裸って、下も?」



心「ううん。上もブラだけはつけてたんだけどね」



梨沙「ふーん……」



心「思ったよりたいしたことなさそうで興味なくしかけてるみたいだけど、まだ話終わってないぞ♪」



梨沙「聞かなきゃダメ?」



心「聞いてほしいなぁ☆ 今度お菓子でも買ってあげるから」



梨沙「しょーがないわねー。聞くだけ聞いてあげる」



梨沙「あ、そこのクッキーとって」



心「ほいほい♪」



梨沙「ありがと」モグモグ





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梨沙「で? プロデューサーがハートさんの着替えを見て、どうなったのよ」



心「まずお互い3秒くらい硬直するでしょ? はぁとは着替えのシャツ持ったまんま、プロデューサーはドアノブ握ったまんま」



心「どっちも全然動かない。まるでそのまま何十秒も何十分も経ったかのような感覚」



心「ようやく先に動いたのはプロデューサーのほうだったの」



心「すぐに部屋を出ていくと思ったんだけど、『すみません』って頭を下げてからもなぜかその場に突っ立ったまんまで」



心「いったいどういうつもりなんだろう? ってはぁとは当然思うわけよ」



心「………」



心「ねえねえ、テキトーでいいから相槌くらい打ってくれない? ずっとひとりでしゃべってるみたいでなんかアホっぽいぞ☆」



梨沙「聞くだけって言ったし、ずっとひとりでしゃべってるのは事実でしょ」モグモグ



心「そうだけどさぁー、話が盛り上がらないっていうかさー」バリボリ



心「あ、このポテチおいしい♪」



梨沙「それで、プロデューサーは謝った後どうしたのよ」



心「そう! ここからが重要な場面!」



心「あられもない姿を見られて頭がオーバーヒートしかけのはぁとに向かって、プロデューサーなんて言ったと思う!?」



梨沙「湿布、ずれてるから貼るの手伝いましょうか?」



心「………」



梨沙「………」



心「なんで知ってるの?」



梨沙「いや、テキトーに思いついたこと言っただけなんだけど」



心「あ、そうなんだ……」



梨沙「あー……なんかゴメン。話の盛り上がるところ、盗っちゃった感じ?」



心「いや、別にいいんだけど……そこまで完璧に当てられるとは思ってなかった」



心「とにかく! はぁとの心はショックを受けたの!」モグモグ



心「人の裸を見ておいて、まず目に付くのが湿布ってどういうことだよって!」バリボリ



梨沙「ショックな割にはさっきからずっとお菓子食べてるけど」



心「ショックとしょっく欲は別物、なんちゃって☆」



梨沙「2点」



心「採点厳しいぞ☆」





心「そりゃあさ? プロデューサーだってもっと若い子の裸も見慣れてるんだと思うけどさ?」



梨沙「見慣れてはないでしょ。ヘンタイだけど、多分そこまではしてないわよ」



梨沙「ていうか、逆に聞くけどどんな反応してほしかったの?」



心「へ?」



梨沙「プロデューサーの反応が嫌だったから怒ってるんじゃないの?」



心「えっと……それは、そうなんだけど。どんなこと言ってほしいかと聞かれると……」



心「………」ゴニョゴニョ



梨沙「なに? 声小さくて聞こえない」



心「な、なんでもない、なんでもない」コホン



心「もっとこう、『なんて美しい素肌……心さんのこんな姿を見られてぼかぁ幸せ者だなぁ』みたいなことを言ってくれればいいのに♪」



心「って言ったの☆」



梨沙「いきなり裸見てそんなこと言ったら本物のヘンタイじゃない?」



心「そう?」



梨沙「うん。……でもまあ、あいつはそんな反応絶対しないでしょうね」



心「なんでさ」



梨沙「ロリコンだから」



心「そんなことない! あの人はきっと熟れた果実のほうが好み♪」



梨沙「絶対ロリコンよ。今までアタシや晴にあんな格好やこんな格好させて」



梨沙「アンタもそう思うでしょ?」



飛鳥「さぁね」



心「あれ、飛鳥ちゃんいたんだ」



飛鳥「ここ、ボクの部屋だからね。主がいるのは当然じゃないかい」



心「さっきから静かだけど、何してるの?」



飛鳥「英単語の勉強。週明けに小テストがあるんだ」



梨沙「え、そうなの? 先に言ってくれれば、今日泊まりに来なかったのに」



飛鳥「範囲も少ないし簡単だから、キミが来たって迷惑にはならないさ」



梨沙「そう?」



飛鳥「そうだよ。現にもう復習は終わったことだし」



梨沙「ならいいけど」



心「勉強終わったんなら、こっち来て一緒に遊べ☆」



心「トランプでもやろう♪」



飛鳥「あぁ、そうしようか」



梨沙「あれ、もうさっきの話終わり?」



心「一通り愚痴ったらすっきりした☆」



梨沙「切り替え早いわねー」



心「ポジティブなのがはぁとの取り柄だぞ♪」



30分後





梨沙「ぐぬぬ……ちょっと、誰だか知らないけどいつまでハートの9止めてるのよ!」



飛鳥「さぁ」



光「アタシじゃないよ」



心「光ちゃん、こういう時は正直に言わなくていいの♪」



光「あ、そうか」



飛鳥「やはり七並べは4人くらいいたほうがいいね」



心「突然の招集に応じてくれた南条隊員に敬礼☆」



光「同じ寮の部屋に来ただけだし、アタシもみんなと遊ぶのは楽しいから」ニコニコ



梨沙「ところでハートさん」



心「ん?」



梨沙「なんで、光がハートの9持ってないことが嘘じゃないってわかったの?」



梨沙「じゃないと、『正直に言わなくていい』なんて言えないわよね」



心「………」



心「ひゅーひゅー」



梨沙「犯人はお前だっ!」ビシィッ



心「フハハ、よくぞ見破ったなシャーロック・リサムズ! しかしここからが本当の勝負☆」



梨沙「出しなさい! ハートの9を出しなさーい!」



心「やぁん♪ ハートははぁとのハートで魂、つまりソウルオブハートなんだぞ☆」





光「七並べってこんなゲームだっけ?」



飛鳥「気にしなくていいよ。ちなみにボクはこれでアガリだ」



光「あっ、いつの間に! まさか飛鳥ちゃん、ステルス能力を持っていたのか!」



飛鳥「図らずも、あの二人がボクから注意を逸らしてくれたおかげさ」フッ





なんやかんやあって





心「よーし、できた♪」



心「はぁと特製の肉じゃが、どうぞ召し上がれ☆」



梨沙「いただきまーす……わあ、普通においしい」



光「うちのおばあちゃんの肉じゃがと似てる!」



心「うふふ、せめておふくろの味と言ってほしかったぞ☆」



心「田舎のばーちゃん直伝なのは事実だけどな☆」



飛鳥「悪いね。夕飯を作ってもらって」



心「いいってことよ☆ お邪魔させてもらってる身分だしね♪」



心「それに、こうしてこまめに料理とかして、良妻アピールしとかないとな☆」



梨沙「いやいや、アタシ達にアピールしても意味ないでしょうが」



飛鳥「やるならPを相手にしないと」



心「光ちゅわ〜ん☆ はぁとの肉じゃがの味、プロデューサーに教えてあげてもいいんだぞ☆ ……いいんだぞ☆」



光「うん?」ハグハグ



梨沙「せこっ!」



飛鳥「ボクらにアピールする意味はあるということか……」



梨沙「ハートさんの料理って、基本的に味つけが甘めよね。おいしいからいいけど」



飛鳥「ボクはこのくらいが一番好みだ」



光「アタシも!」



心「それは結構♪ しゅがーはぁとの手作りは、だいたいスウィーティー成分入ってるから♪」



梨沙「やっぱり甘いもの好きなのね」



心「砂糖がないと気合いが入らないからな☆」



心「毎日、朝起きたら砂糖水飲むところから始まるんだぞ☆」



梨沙「うそっ!?」



心「嘘だよ♪」



光「砂糖水……昆虫……はっ!?」



飛鳥「仮面ライダーの暗喩ではないと思うよ」



光「がっくし」

夕食後





心「あ、これ飛鳥ちゃんが描いてる漫画?」



飛鳥「あぁ」



光「なんか梨沙ちゃんに似てるね、このキャラクター」



飛鳥「描くなら自分を主役にしろと頼まれてね」



梨沙「コーエイに思いなさいよねっ」



心「へぇー、きれいに描けてるじゃん♪ どんな話なの?」



飛鳥「繁栄を極めた王国に生まれた第一王女のリサ姫が」



梨沙「うんうん♪」



飛鳥「大臣の陰謀により城から追放され、着の身着のままで路頭に迷うことになる」



梨沙「ちょっと、なんで追放されてるのよ! ずっとお城で幸せに暮らしなさいよ」



飛鳥「物語には起伏がないとつまらないだろう」



梨沙「それはそうかもしれないけど」



飛鳥「それで、実はこの後の展開に悩んでいるんだけど……」



光「そうだ。実は大臣は悪の組織の幹部で、お城の地下でこっそり王国支配の準備を進めていることにしよう!」



心「なるほど♪ それで地下にもどこにでも顔を出すじゃじゃ馬姫が邪魔だから追い出した、と」



梨沙「誰がじゃじゃ馬姫よっ! リサ姫!」



光「そして、さまようじゃじゃリサ姫は悪の手下に襲われる」



梨沙「じゃじゃリサ姫ってなに!? 変に混ぜるんじゃないわよっ」



心「彼女の危機を救ったのは、シュガシュガスウィートなお菓子の国の魔法使い・シュガーハート☆」



光「あ、ずるい! じゃあ追加で、正義のヒーロー・ヒカルも入れないと!」



梨沙「アンタ達ねぇ……!」



梨沙「飛鳥もなんか言いなさいよ。こんなメチャクチャなストーリーでいいわけ?」



飛鳥「うん? そうだな……」



飛鳥「じゃじゃリサ姫はヒーローに弟子入り路線で行こうか」



梨沙「飛鳥!?」



飛鳥「魔法仮面戦士・じゃじゃリサの誕生だね」



梨沙「いい加減『じゃじゃ』をのけなさいよっ!」





その後





光「それじゃ、おやすみ!」



心「あんまり夜更かしすんなよ☆」ヒラヒラ





ガチャ、バタン





梨沙「あー、疲れた……」



飛鳥「途中からツッコミっ放しだったからね」



梨沙「誰かさんが漫画を変な方向に進めようとするからでしょーが」



飛鳥「変でいいのさ。マイノリティに属するのはボクの性分だから」



梨沙「カッコつけてるけど、アタシはよくないのっ」



飛鳥「物語の終わりはハッピーエンドだから心配しなくていい」



梨沙「本当でしょうね……」ジトーー

梨沙「まったく……まあそれはいいとして」



梨沙「それより、ハートさんのことだけど」



飛鳥「なに?」



梨沙「あの人、プロデューサーのこと好き……なのよね?」



飛鳥「………」



飛鳥「所詮他人の感情だから、断定なんてできないけれど……可能性は、高いと思う」



梨沙「よね。だったら好きって直接言えばいいのに」



飛鳥「そうはいかないだろう。彼女はアイドルなんだから」



飛鳥「仮にアイドルをやめたとしても、その後間を置かずにPと交際すれば、それはそれで問題になる。キミだって、理解しているはずだけど」



梨沙「それは……知ってるけど。でも、見ててじれったいのよ」



飛鳥「思ったこと、感じたこと。なんでも素直に言っていいわけじゃない……それがこのセカイのルール、理(ことわり)さ」



梨沙「……メンドーね」



飛鳥「その通り。面倒で、難しい話だ」



飛鳥「だからこそ、人はなんでも言い合える相手を求める。そういうモノさ」



梨沙「なんでも言い合える相手?」



飛鳥「喜びや悲しみ、怒りや楽しみ……そういった感情を、はばかることなく打ち明けられる相手」



梨沙「ふーん……アタシにはパパがいるから平気ね!」



飛鳥「ふふっ、そうだね。キミはそれでいい」



梨沙「飛鳥は?」



飛鳥「さすがに、父や母になんでも包み隠さず話せる時期は過ぎたから……また見つけないといけないかな」



梨沙「そうなんだ。大変ね」



飛鳥「………」



梨沙「……どうしたの? 急に黙って」



飛鳥「いや……キミ相手なら、たいていのことを話しても後腐れがなさそうだと、少しだけ思った……の、かも」



梨沙「? アタシを『なんでも話せる相手』にするってこと?」



飛鳥「ま、まだ確定じゃない。単なる思いつきだから」



梨沙「飛鳥……アンタ」



飛鳥「………」





梨沙「そんなこと言って、ホントはプロデューサーをそういう相手にしたいんじゃないのー?」ニヤニヤ



飛鳥「………」



飛鳥「やっぱりキミはダメだ。絶対に面倒が増える」



梨沙「えー、なによそれー?」



飛鳥「つまり、そういうことさ」



梨沙「どういうことよっ」



飛鳥「キミは今のままでいい、ということかな」フフ



梨沙「……うん? よくわかんないけど……」



梨沙「アンタに言われなくても、アタシはアタシのままよ! 好きなように生きていくんだから」



飛鳥「……それが一番いい」



飛鳥「さて、布団を敷くから手伝ってくれ」



梨沙「はーい」



翌朝





チュンチュン





飛鳥「………ん、ぅ」



飛鳥「朝………」モゾモゾ







梨沙「あ、やっと起きた。アンタ相変わらず朝弱いわね」



飛鳥「……あぁ、そうだ。昨日はキミを泊めたんだったね」



梨沙「それすら忘れてたのか……髪ぼさぼさだし」



飛鳥「……何をしているの? 紙に何か書いているようだけど」



梨沙「これ? 見る?」ペラッ



飛鳥「……『2月14日 佐藤心の予定表』……なんだい、これ」



梨沙「あと1週間でバレンタインデーでしょ? どうせハートさんはプロデューサーにチョコ渡そうとして変なことしそうだから、アタシが前もってスケジュール考えてあげてるのよ」



飛鳥「それは、彼女に頼まれて?」



梨沙「いや、違うけど」



飛鳥「……キミ、世話焼きだな」



梨沙「そんなんじゃないわよ。人の行動をアタシが決めるって考えたら、なんか楽しいから」ニヤリ



飛鳥「ふふ、そういうことにしておこう」



梨沙「なーんか引っかかる言い方ね……まあいいか。それより飛鳥、アンタも手伝いなさいよ」



飛鳥「気が向いたら、ね」



梨沙「それ、要はやる気ないってことじゃないの?」



飛鳥「別にそうは言っていないさ。とりあえず、顔を洗ってくる」



梨沙「協力してよね!」



飛鳥「はいはい」



飛鳥「やれやれ……今日も慌ただしい一日になりそうだ」フッ



飛鳥「………」





飛鳥「鏡の向こうのボク、やけにうれしそうな顔をしているじゃないか……」





おしまい





20:30│的場梨沙 
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