2016年03月15日

飛鳥「あいさん、それはボクの箸だよ」






モバマス・二宮飛鳥のSSです。

駄弁るだけの話です。











SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1457427450









あい「……おや、これは申し訳ない」



飛鳥「や、構わないけど。しかし」



あい「せっかくだし取ってあげようか。サラダがいいかな。だし巻きにしようか」



飛鳥「あいさん」



あい「ほら、あーん」



飛鳥「あいさんってば」







P「だいぶ酔ってますね」



あい「……そう見えるかい」



P「ええまあ」



飛鳥「これで酔ってないんだったら、あいさんのイメージは足元から瓦解するところだよ」



あい「フフッ、参ったな。後輩たちに醜態を晒すことは控えたいんだが」フラッ フラッ







あい「……君のせいだよ」クイッ



P「え、ちょっと、あいさん、ちょっと待」



飛鳥「……ジンジャエールのおかわりお願いします」











比奈「何スかねこの飲み会」グビ



惠「まあまあ、私たちも飲みましょうよ」プハー









* * * * * 







ー イベント打ち上げ・居酒屋の個室 ー







真奈美「ふむ。状況をまとめると、つまり」



P「まとめるも何も、真奈美さんも目の当たりにしているこれが全てでして……」







あい「……」ニコ



真奈美「少し遅れて参加したらこの惨状か……やれやれ」







真奈美「あい、しっかりしろ。私がわかるか?」ポンポン



あい「……フフッ、私がわかるかだって? 当たり前じゃないか、君と私の間柄なんだぞ」



真奈美「落ち着け」



あい「私が人生で全幅の信頼を置いている人間を三組挙げるとするなら、一に両親、二にサックスを手ほどきしてくれた恩師、そして三にプロデューサーくんだというのに」



真奈美「今の流れで私を挙げないとはどういう了見だ」



あい「……」



真奈美「……」



あい「すまん、間違えた。三に木場真奈美、君だ」



真奈美「よしたまえ。その修正は脱落したプロデューサー君の心に刺さる」







P「えっいや……大丈夫ですよ」ズーン



真奈美「目に見えてショックを受けているじゃないか」



飛鳥「くくっ、残念ながらあいさんのベスト3には残れなかったようだね」ポンポン



P「なっ、悔しくなんかないぞ!」











惠「飛鳥ちゃん、悪い顔してるわねー」グビグビ



比奈「14歳に茶化されるプロデューサーって……ねぇ」ゴクゴク









* * * * *







あい「♪」



飛鳥「や、だからあいさん、それはボクの箸で」



あい「ああ、ああすまない。そうだったね。返すよ」



飛鳥「……どうも」



あい「何かこう……ね、アレだね。橋をかけたみたいなね。箸だけにね」プフーッ



P「酷い」



飛鳥「ボクの中の魅力的なあいさん像は存亡の危機だよ」



真奈美「むしろまだ危機で済んでいるあたり、普段の人望が伺えるな」







P「以前お花見でお酒を飲んだ時には、頑張って自分を保っていたんだけどな」



飛鳥「……とはいえ」



あい「♪ー」







飛鳥「(髪をかきあげる仕草。少しうつむき加減のその表情。そのすべてが)」



飛鳥「(……顔はお酒でもう真っ赤だが、それでも仕草が絵になる。不思議な人だ)」













真奈美「……酷く酔ったものだな」



あい「ああ、すまないね。だが大丈夫だ」



真奈美「どこが大丈夫なのか問いたいものだよ」



あい「ふふっ、酔っているのは酒にだろうか。それとも、君にだろうか」フラ フラ



真奈美「顔も真っ赤にしているのに、口説き文句は一丁前か」







P「……」



飛鳥「自分が言われたかった、って思っているのかい」



P「そんなんじゃないぞ」



飛鳥「嘘も虚勢もヘタだね、プロデューサー」



P「……」









* * * * *







あい「ふう」



飛鳥「大丈夫なのかい。まだ顔が結構赤いけど」



あい「……ああ。水を飲んで休んでいたら少し楽になったよ。すまないね。恥ずかしい姿をお見せした」



飛鳥「いや……むしろ、そういうこともあるんだなというのは勉強になったよ。あいさんですら、ね」



あい「私はお酒に強くないからね。君も大人になった時は、自分をわきまえるんだよ」



飛鳥「……肝に銘じておくよ」







あい「……飛鳥くん」



飛鳥「なんだい」



あい「今日のイベントもお疲れ様だったね。大人組に混じって歌にダンスにと、かなり疲れたんじゃないかと思うが、大丈夫かい?」



飛鳥「まあ、多少はね。……けれど、八面六臂の大活躍だったあいさんに比べれば」



あい「ははっ、お気遣いありがとう」













あい「飛鳥くんも最近、活躍が目覚ましいね。日々のレッスンがいろいろ形になってきているのかな」



飛鳥「……そうだね、レッスンも、小さなイベント参加の経験も、……あとはプロデューサーや、みんなといる間の学びも、すべて、かな」



あい「うん、うん」







飛鳥「……あいさんも、いろいろ教えてくれるしね」



あい「おや。光栄な言葉だが、はたしてそれほど語ってみせただろうか」



飛鳥「背中で。あるいは言動で。あいさんが見せてくれる”プロ”って、”大人”って、そして”カッコイイ女性”って。そのすべてがボクには憧憬の対象で、羨望の眼差しの先さ」



あい「……フフッ、それはよかった。柄にもない虚勢も張ってみるものだね」



飛鳥「あいさんの実力は本物だろう」



あい「私だって不安になることはたくさんあるよ。それを認めるのも大事なことだ」











比奈「いいこと言ってる気はするんスけどね」



惠「二人とも相変わらず、キメッキメね」









* * * * * 







真奈美「やっぱりだから、栄養バランスを考えるとそれはよくないって話で」



P「いや、それはそうなんですけど、それとは別にー」







ワイワイ







あい「フフッ、あっちもにぎわっているね」



飛鳥「……あいさんは」



あい「うん?」



飛鳥「あいさんはプロデューサーと、とても厚い信頼関係を築いているように思うんだけど、……何かその、大切にしていることみたいなものは、あるんだろうか」







あい「おや、珍しい質問をするね」



飛鳥「まあ、その、ね」







あい「……ふふっ、どうだろうな」



飛鳥「……」







あい「……結局、大切なのは信じることと、ちゃんと語ることだと思っているよ」



飛鳥「ちゃんと語ること……」



あい「そう。言葉にせずとも伝わることがあるのはとても美しい。だけど我々も人間だ。言葉にせずとも、変化が起こるなどということは、ないんだよ」







あい「彼を信じている。信じているから動けるし、もっともっと信じたいから、語るべきことは語る。それだけのことさ」













あい「はは、照れくさいな。酔いは覚めたかと思ったのに顔が熱いよ」パタパタ







P「あ、あいさん大丈夫ですか? またお水いります?」



あい「いや大丈夫だよ、ありがとう。……そうだな、少し外の空気を吸ってくるよ」



P「ひとりで行けますか」



あい「もちろん」



P「足元気を付けてくださいね」



あい「ありがとう」







飛鳥「……ふむ」







♪誰もが全てを理解れやしない 移ろい変わる人を



 それでもボクらは知らずにいられず 何度も何度も問うてく







飛鳥「……大切なのは、信じること、か」









* * * * *







あい「ああ、飛鳥くん」



飛鳥「?」



あい「信頼関係を保つうえで、”多少のことには目を瞑る”というのも時には優しさだからね」



飛鳥「……?」







あい「さっきの私の醜態をあまり拾わずいてくれることとか」



あい「プロデューサーくんが実は下心混じりな気持ちで我々を見ていたとしても、気づかなかったことにするとかね」



P「ちょ、何言ってんですか急に」







飛鳥「……フフッ、そうだね、彼も男性なんだしね」



P「やめて飛鳥」







あい「おや? 事務所に保管されてる写真資料、私と比奈くんの水着の写真だけ別ファイルにしているの、知ってるよ?」







飛鳥「は?」



比奈「へ?」



P「えっ、ちょ、あいさん!?」













あい「去年の夏に撮った水着グラビア、白と黒の二種類あったね。どうやら彼は黒がお気に入りだったようだ。フフッ」



P「ちょっと待ってあいさん、何で知って……ハッ」







真奈美「……」



惠「……」







飛鳥「……」







あい「離席失礼」ピシャ



P「待ってみんな、違うんです。そのですね、あの」



飛鳥「信頼の形はそれぞれだけど……なんというか、ちょっと、その」ススッ



P「待って飛鳥、他意はないんだよこれは、そのね、ちょっと離れないで」







ポン







比奈「……今の話、アタシにも詳しく教えてもらっていいっスか……?」コオオオオ



P「(あっ目が座ってる)」







飛鳥「これからは助平プロデューサーと呼ぼう、それがいい」ツーン



P「飛鳥待って、ちょっと」







ワイワイ











真奈美「なんというか、青春だな」



惠「フフッ、そうかもしれませんね」







あい「♪キミの目が映し出したこのセカイは 今どんな色で揺れる?」





おわり



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