2016年03月28日
相葉夕美「晴れた日は、あの人を誘って」
P「今年もきれいに咲いたな。ここの花たち」
夕美「うん! 心をこめてお世話したかいがあったよ」
夕美「Pさんも、今日は手伝ってくれてありがとう」
夕美「うん! 心をこめてお世話したかいがあったよ」
夕美「Pさんも、今日は手伝ってくれてありがとう」
P「俺もたまには、こいつらの様子を見ておきたいと思っただけだから」
P「……これだけ花壇が華やかだと、公園全体の雰囲気もお洒落に見えてくる気がする」
P「ボランティアで手入れを続けている、夕美のおかげだな」
夕美「ふふっ、そうかな」
夕美「よかったね、お花さんたち。Pさんもきれいだって褒めてくれてるよ?」
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夕美「うーんっ……こうしてベンチでのんびりしていると、なんだか心がやすらぐなぁ」
夕美「疲れた身体も癒されるような」
P「はは、そうだな」
夕美「あー、今お年寄りみたいって思わなかった?」
P「思ってないよ。こんなに天気のいい日なんだから、春の陽気の中でゆっくりしたい気持ちはわかるし」
夕美「ならいいけど」
夕美「でも本当、お日様の光に当たっているだけで元気になれるよ」
P「光合成でもしてるのか?」
夕美「違います。んもう、すぐそうやってからかうんだから」
P「ごめんごめん。夕美みたいな純粋で可愛い子には、つい悪戯したくなるんだ」
夕美「なんでもかわいいって言えばごまかせるわけじゃないんだよ?」
P「ダメか」
夕美「ダメです」
夕美「……うれしいことには、うれしいけどね」エヘヘ
P(かわいい)
P「ジュース買ってきたから、これで許してくれ」
夕美「ありがとう。別に最初から怒ってなかったけど」
P「少しここで休んでいくか」
夕美「そうだね。せっかくのお休みなんだし、今日はのんびりしよ?」
P「最近は人気がうなぎ上りで、仕事もどんどん増えてきたからな。休養はしっかりとってくれ」
夕美「うん」
男の子「かんせーい! 砂のお城!」
女の子「トンネルも作ろうよ!」
P「懐かしいな。昔は俺も、砂場で色々作ってはしゃいでた」
夕美「私も。お友達と一緒に頑張って、大きなお花を作ろうって」
夕美「茎も葉もちゃんとくっついた、超大作」
P「それ、難しそうだな。できたのか?」
夕美「えっとね……確か、途中までしか完成しなかったと思う」
P「どの辺まで?」
夕美「植木鉢」
P「それ途中というか、花の部分はなにひとつできてないよな」
夕美「あはは、その通りだね」
夕美「でも楽しかったよ?」
P「まあ、ああいうのは作る過程を楽しむものだからな」
夕美「今なら、もうちょっと器用に作れるかも」
P「やってみるか? 砂場、まだスペース空いてるみたいだけど」
夕美「うーん……結構魅力的な案だけど、今日はやめとこうかな」
P「どうして」
夕美「今は、Pさんともっとおしゃべりしていたい気分だから」
P「……そうか。なら、それでいいか」
夕美「初めてPさんと会ったのも、こんな感じのぽかぽかした日だったよね」
P「ああ。あの日も君は花に水をやっていて、その姿にピンときた俺がスカウトしたんだった」
夕美「あれから一緒に頑張って、夏と秋と冬が過ぎて……また、春に戻ってきた」
P「どうだった? この一年」
夕美「そうだなぁ……正直言うと、かなり疲れちゃった」
P「ありゃ」
夕美「……でも、その疲れを吹き飛ばすくらいの楽しさがあったかな」フフッ
P「その言葉を聞けて安心した」
P「俺も、夕美や他の子達を一生懸命プロデュースして、充実感のある一年だった」
夕美「なら、お互いに満足だね。めでたしめでたし」
P「まだ終わりじゃないけどな。明日はトレーナーさんの地獄の特別レッスンが待ってるぞ」
夕美「うわぁー、考えないようにしてたのに〜!」
P「………」
P「……ぷっ」
夕美「……あははっ」
夕美「本当、今日は平和だね」
P「そうだな」
夕美「一年一緒に過ごして、Pさんとも少しは解りあえるようになったかな」
P「少しだけなのか」
夕美「まだ一年だけだもん」
夕美「これからもっと解かりあっていく予定」
P「………」
夕美「Pさん?」
P「あざといな」
夕美「えっ、あざといってなに?」
P「男の胸を射抜く一撃だった」
夕美「……? ねえ、それってどういう」
ビュウッ
夕美「きゃっ」
P「おっ、いきなり強い風が吹いたな……」
夕美「びっくりしちゃった……Pさん、服に葉っぱついてるよ」
P「そっちの服にもついてる」
夕美「あ、本当だ」
P「同じ形の葉だな」
夕美「多分、同じ木から飛んできたんじゃないかな」
夕美「おそろいだね。ふふっ」
P「その発想はなかった」
夕美「………」
P「どうしかしたのか」
夕美「あ、うん。小さい頃、こういう葉っぱをチケットがわりにしていたことを思い出したの」
P「チケット?」
夕美「電車ごっことかでね、乗車券としてこれを見せるの。そうしたら、車掌さん役の子がロープの中に入れてくれて……懐かしいなぁ」
P「ああ、なるほど。俺もやってたな、それ」
夕美「でしょ?」
夕美「私とPさんのチケットは同じ葉っぱだから、きっと行き先も同じだよ」
P「行き先って、どこに行くんだ?」
夕美「そうだなあ……」
夕美「うーん……」
P「割と本気で悩むんだな」
夕美「だって、Pさんと一緒に行きたいところはたくさんあるから」
夕美「……よし、決めた!」
P「決まったか」
夕美「うんっ」スタッ
夕美「Pさんと行きたいところ、いっぱいあるけど……それを全部まとめて」
夕美「このチケットは、公園発の『幸せ』行きだよ、なんて」
P「………」
P「ははっ」
夕美「ちょっと、笑わないでよ! 自分でもカッコつけすぎたかなーとは思ってるけど!」カアァ
P「いやいや、別にそういう意味で笑ってるわけじゃなくてだな」
P「行けるといいな。その行き先まで」
夕美「………」
夕美「そうだね」
夕美「一緒に行こうよ、ふたりで」
P「力を合わせて、だな」
夕美「うん、頑張ろう!」ニコッ
公園を出て
P「少しこのあたりを散歩してみるか」
夕美「賛成。せっかくのお散歩日和だし」
P「気持ちのいいくらいの晴れだからな」
夕美「………」
P「………」
夕美「……えへへ」
P「どうした、いきなり笑って」
夕美「ううん、なんでもない」
夕美「ただ……なんだか、幸せだなって」
P「おいおい。もうチケットの行き先にたどり着いちゃったのか?」
夕美「あはは、それは違うよ」
夕美「そっちの幸せは、もっともっと大きな幸せじゃないと」
P「欲張りだな、夕美は」
夕美「ふふ、そうかも」
夕美「でも、私が欲張りになったのはPさんのせいだからね?」
P「俺の?」
夕美「Pさんがキラキラした景色をたくさん見せてくれたおかげで、これからもそういうのをもっと見たいな、感じたいなって。そう思うようになったんだから」
P「そういうことか。なら、俺がちゃんと責任取らないとな」
夕美「うん、そうだよ。だから」
夕美「ずっとよろしくね、Pさん」ニコッ
P「……ああ、もちろん」
夕美「あ、分かれ道。どっち行こうか?」
P「こっちを行くと凛の花屋があるから、冷やかしに行こう」
夕美「ダメだよ、冷やかしは。せっかくだし、何かお花を買おう?」
P「そうするか」
夕美「今日は何にしようかな。この前はあれを買ったから、今度は――」
おわり
23:30│相葉夕美