2016年05月18日

亜美「ねーねーりっちゃん」


亜美(12)「ねーねーりっちゃん」



律子「んー?」





亜美「なんでアイドルやめちゃうの?」



律子「なんでって、私元々アイドル志望で入ってきたわけじゃないのよ?」



亜美「そーなの?」



律子「そう。最初はプロデューサーや経営者を目指してこの事務所に来たの」



律子「だから、これからはそういう勉強もしていかないと……」



亜美「ふーん」ニコニコ



律子「……なによニヤニヤして」



亜美「よかったなー、って安心しちゃった」



律子「何が?」



亜美「……りっちゃん、アイドルするのを嫌になっちゃったのかなって、亜美思ってたから」



律子「……まったく」ナデナデ



亜美「んっ……」



律子「亜美に心配かけるなんて、私もまだまだね」



亜美「ううん!全然問題ないよ!ドンドンかけちゃってよ律子隊員!」



律子「調子に乗らないの!」





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亜美(13)「ねーねーりっちゃん」



律子「んー?」



亜美「この衣装すっごいキレイだね!」



律子「当たり前よ!竜宮小町の晴れ舞台よ!気合い入れてデザインしてもらったわ!」



亜美「すっごいよね!テレビだよテレビ!真美に自慢しちゃおーっと!」



亜美「へへーん!りっちゃんは大船になったつもりで見ててくれたまえ!」



律子「それを言うなら大船に乗った、でしょ」



亜美「あり?まあそうとも言うね!」



律子「……頼んだわよ、亜美」ナデナデ



亜美「まかせて!りっちゃんと我々の夢の第一歩だかんね!絶対成功させてくるよ!」





亜美(14)「ねーねーりっちゃん」



律子「んー?」



亜美「クラスの男子から告白されちゃった」



律子「はぁ!?」



亜美「真美が」



律子「あ、真美がか……よかった……いや、よくないわね……」



亜美「……なんで……」



律子「?」



亜美「なんで、亜美じゃなかったんだろ?」



律子「亜美……どっちにしろあなたたちはアイドルなんだから、断らないといけないのよ?」



亜美「わかってるけど……」



律子「……あなたと真美は双子で、とっても仲良しで、すごくよく似てるわ」



律子「でも、2人は別の人間で、それぞれ良いところと悪いところがあって、どっちが上とかそういうことじゃないのよ」



律子「たまたま今回の男の子のタイプが真美だっただけで、あなただって真美と同じくらいたくさんいいところがあるわ」



律子「……私は亜美のいいところ、たくさん知ってるから」



亜美「りっちゃん……」



律子「それに、もし亜美が告白されたとしても、私が認めた相手じゃないと交際は許さないわよ!」



亜美「ふふっ……。りっちゃん、お母さんみたい……」



亜美「……ありがと、りっちゃん」



律子「……ん、どういたしまして」





亜美「ところで、りっちゃんは彼氏いるの?」



律子「余計なお世話!」ポカッ





亜美(15)「ねーねーりっちゃん」



律子「んー?」



亜美「勉強おしえてー!このままじゃ卒業できないよー!」



律子「どれどれ……うわっ、亜美あんたこれ……」



亜美「このままじゃ亜美、おバカアイドルで売っていくことになっちゃうよ!」



律子「アホなこと言ってないで勉強するわよ!ほら!ペン持って!」



亜美「あっそうだ、授業中にペン回しの新技考えたんだ。りっちゃんに見せたげるね!」



律子「真面目に授業を受けなさい!本当にバカキャラで売り出すわよ!」ポカッ



亜美「ヒイ〜!それだけはカンベン〜!」



律子(中学は勉強できなくても卒業できるってのは、教えないでおこう……)





亜美(16)「ねーねーりっちゃん」



律子「んー?」



亜美「りっちゃんってさ、高校のころ部活してた?」



律子「なによいきなり」



亜美「クラスの友達はさ、けっこーみんな部活しててさ」



亜美「でも私はアイドルやってるし、部活入れないからさー、りっちゃんはどうだったのかなーって」



律子「高校かぁ……あんま覚えてないわね」



亜美「ええー?高校生活楽しくなかったの?」



律子「うーん、楽しかったのは楽しかったんだけど」



律子「部活もやってなかったし、後半はアイドルや事務員との兼業みたいになってたし」



律子「なんて言うか、忙しかった記憶ばっかり残ってるわね」



亜美「ふーん……大変だったんだね」



律子「他人事じゃないのよ?あんたもこれから女子高生とアイドルの二足のわらじなんだから」



亜美「あっ、そっか……でもヘーキヘーキ!」



律子「なんでよ?」



亜美「だって私には、我らが無敵のプロデューサー、りっちゃん様がついてるからね!!」



亜美「アシストよろしくね!りっちゃんプロデューサー!」



律子「……やれやれ、調子いいんだから……」





亜美(17)「ねーねーりっちゃん」



律子「んー?」



亜美「私17歳だね」



律子「そうね」



亜美「結婚できちゃうね」



律子「まあ、法律上はね」



亜美「……私、大人になったかな?」



律子「……どうしたの?」



亜美「はるるんや千早お姉ちゃんやミキミキを見てたけど、17歳ってもっと大人だと思ってた」



律子「今はどう?」



亜美「……わかんないや」



律子「そう。ま、そんなものよ」



亜美「りっちゃんはどう思う?」



亜美「私、大人かな?子供かな?」



律子「……どうかしら?」



亜美「えー」



律子「ふふっ、心配しないでも、私から見たらいつまで経っても子供よ」



亜美「なにそれー?」





亜美(18)「ねーねーりっちゃん」



律子「んー?」



亜美「勉強おしえてー!このままじゃ卒業できないよー!」



律子「……この光景、前にもあったような……」



律子「まあでも今回は本当に卒業できないかもしれないし、面倒見てやるかな……。ほら、見せてみなさい」



亜美「わーい!ありがとりっちゃん!」



律子「……あれ?そんなに悪くない……っていうかむしろ良いじゃない、これ」



亜美「前にりっちゃんに『授業を真面目に受けろ』って言われたからね!頑張ったよ私!」



律子「……正直見直したわ、亜美」ナデナデ



亜美「んっふっふ〜!」



律子「でも、じゃあなんで私に教わりにきたのよ?」



亜美「えーっと……それは、その……」



律子「それは?」



亜美「……最後にりっちゃんに、いつもみたいに勉強教えてもらいたくって……」



亜美「……高校卒業したらもう勉強なんてしないだろうから、もうこういうことも無いんだなって思うとなんだか寂しくって……最後の思い出にって思って……」



律子「……」



亜美「……ダメ?」



律子「……ダメじゃないわよ。このくらい、いつでもしてあげるわ」ナデナデ



亜美「……うん!ありがと、りっちゃん!」



律子「でも、やる以上は手は抜かないわよ!早くペンを持ちなさい!」



亜美「了解であります律子教官!」





亜美(19)「ねーねーりっちゃん」



律子「んー?」



亜美「私高校卒業しちゃったね」



律子「もう2ヶ月になるわよ?いまさら何言ってるの」



亜美「……私、これからどうなるのかな?」



律子「……何かあったの?」



亜美「何かあったっていうか、何もないっていうか……」



律子「……言ってみなさい」



亜美「……私、今アイドルすっごく楽しいよ」



亜美「人気もあるし、後輩もたくさんいるし……」



亜美「でも、このままでいいのかなって……」



律子「……よくわからないわ」



亜美「アイドル生活に満足してるし、飽きたとかそんなことはもちろんないし、まだまだ続けたいと思ってる……」



亜美「でも、他にやりたいことがあるような、やるべきことがあるような気がするんだ……」



律子「やりたいこと?」



亜美「うん。なんなのかは全然わかんない、すっごくバクゼンとした感覚なんだけど……」



律子「そう……」



亜美「うーん、自分でもよくわかんないや」



律子「まあ、相談にはいつでものるわよ」



亜美「うん。ありがとね、りっちゃん」



律子「それと」



亜美「?」



律子「あなたがアイドル以外にやりたいことができたなら、私はそれを応援するわ」



律子「プロデューサーとしてじゃなくって、1人の友人としてね」





亜美(20)「ねーねーりっちゃん」



律子「んー?」



亜美「お酒っておいしーね」



律子「まあね」



亜美「んっふっふ〜、これで私も大人の仲間入りだね!」



律子「……亜美も大人になったわね……。昔はこーんなにちっちゃかったのに……」



亜美「えー?なにもー感傷に浸っちゃってぇ。そもそも中学入ったくらいにはりっちゃん追い抜いてたよ?」



律子「あら、そうだったかしら?」



律子「でも、なんか亜美はずーっと子供って感じなのよね、私の中では」



亜美「もう!私だってもうハタチだよ!出会った頃のりっちゃんより年上だもんね!」



律子「ふふっ……そうね。ごめんごめん」



亜美「もおー……」





亜美「……」



亜美「ねーねーりっちゃん」



律子「んー?」



亜美「プロデューサーってたのしい?」



律子「えー?なによいきなり……」



亜美「いいからいいから」



律子「……どうかしら」



律子「仕事は大変で毎日残業だし、あちこち営業してまわるから足は痛いし、業界にはセクハラおやじも多いし……」



亜美「……」



律子「……でも、楽しいわ」



律子「自分がプロデュースしたアイドルがステージを成功させたり……」



律子「ドラマやバラエティで活躍したり……」



律子「CDが売れたり、曲が流行ったり、歌番組に出たり……」



律子「アイドルとプロデューサーは二人三脚ってよく言うけど、まさにその通りで、本当に自分のことのようにうれしいの」



律子「辛いことや苦しいことも多いけど、それと同じくらい、ううん、それよりもっとたくさんの楽しいことや嬉しいことがある」



律子「笑顔も涙もアイドルたちと分かち合える」



律子「誇りを持てる、すばらしい仕事だと思うわ」





亜美「りっちゃん……」



律子「それに……」ギュッ



亜美「あっ……」



律子「こうやって亜美や、伊織や、あずささんと出会えたんだもの」



律子「とっても素敵な仕事だわ」



亜美「……ありがと、りっちゃん」



律子「こちらこそありがとう、亜美」



亜美「……」



亜美「ねーねーりっちゃん」



律子「んー?」



亜美「私ね、やりたいこと、見つけたよ!」





数年後……



亜美(2X)「みんな準備できたー?そろそろ車乗ってー!」



A「待ってよ亜美ちゃーん!」



亜美「こら!プロデューサーをちゃん付けで呼ばない!」



B「ちょっと!あんたを探してたせいで私まで遅刻ギリギリじゃないの!」



C「あら〜、今日はいつもより早起きしたはずなのにおかしいわ〜」



亜美「やれやれ……いつもギリギリなんだから……」



A「ヤバい終わんないよ〜!亜美ちゃん助けてぇー!」



B「そうよ!あんたプロデューサーならちょっとくらい手伝いなさい!」



亜美「自分のことは自分でやる!できないなら置いてくからね!」



A.B「ヒィー!鬼教官!」



亜美「誰が鬼教官よ!まったく……先が思いやられるわね……」





律子「あら、あなたも昔はあんなものだったでしょう?」





亜美「うぇっ!?しゃ、社長!?」



律子「あら、昔みたいにりっちゃんって呼んでくれないの?」



亜美「そ、それはみんなの前だから……」



A「あー!社長さんだ!」



C「社長おはようございます〜」



律子「はい、おはようございますCさん」



B「『昔は』って?社長、昔の亜美を知ってるの?」



律子「そりゃもちろん。なにせ、亜美のプロデューサーをしていたのは私なのよ?」



A「えー!?そうだったの!?」



律子「そうだったのよ。デビューしたての頃の亜美は、それはもうへなちょこで……」



B「ふーん……」



C「あらあら……」



亜美「あーもー!それは言わないでいいからりっちゃん!!」



B「あっ!今りっちゃんって呼んだわよ!」



亜美「あんたらも!準備しないとマジで遅れるわよ!」



A「本当だぁ!二人とも〜!助けて〜!」



ドタバタドタバタ……





亜美「ふぅ……」



律子「どう?初の担当ユニットは?」



亜美「まだわかんないけど……大変だね、これ……」



律子「まあね」



律子「……でも、楽しいでしょ?」



亜美「……うん!すっごく!」





亜美「ねーねーりっちゃん」



律子「んー?」



亜美「これからもよろしくね!!」



律子「ええ、もちろん!」







おしまい



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