2016年05月18日

モバP「心さんって、涙腺緩いですよね」

心「え、そうだっけ?」



P「そうですよ」



心「んー……まあ、年取ると涙もろくなっちゃうからなぁ」





P「もう26ですからねえ」



心「だねえ」



P「………」



心「………」



心「女の前で歳の話はするなあっ!!」バンバンッ



P「いまさら!?」





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P「実は子どものころからよく泣いてた……とかではないんですか?」



P「意外と泣き虫だったとか」



心「あははっ! はぁとが泣き虫〜? そんなわけないじゃん☆」



心「小さいころはねえ、それこそ男子とよく喧嘩もしたし、そのたびあつーい友情を積み上げてきたもんよ♪」



心「みんなも『はぁとちゃんつよーい!』って言ってくれてたし、超スウィーティーだったな☆」



P「スウィーティーの欠片も感じないんですが」



心「え? なんで」



P「だって、喧嘩って叩いたり蹴ったりもしたんじゃないんですか?」



心「いや、勝負方法はお菓子作り」



P「超スウィーティーだ!!」



P「え、男子も全員ノってくれたんですか?」



心「料理ができない場合はカラオケでもよかったぞ♪」



P「それ本当に喧嘩だったんですか?」





P「なんか、少女時代から濃ゆい人生送って来たんですね」



心「まーね☆はぁとってばみんなのエンジェルだから、自然といろんな人や物が集まってくるってゆーか☆」



心「いやあ、人気者は辛いわ☆」



P「ところで、最近涙腺が緩くなったというお話ですが」



心「スルーが雑!」



P「これを一緒に見てほしいんですよ」



心「ん? ……映画のDVD?」



P「奏から借りたんですけど、あの子がお勧めしてくるにしては珍しく感動系の物語だそうで」



P「どうせ見るなら思い切り感動したいので、隣に涙もろい人がいてくれたらいいなと」



心「なるほどー。隣が泣いてると自分も涙がじわーっと出てくるアレかぁ♪」



心「でもはぁと、そこまでオンオン泣くわけじゃないけどねー♪」



P「ダメですか」



心「んー……でも、奏ちゃんおススメの映画は興味あるし♪ とりあえず観る☆」



P「お、観てくれますか」



心「うん♪」



P「じゃあ、今から準備しますね」ゴソゴソ



心「………」









心「……ほんとは、あなたと一緒に映画を観たいだけなんだけどね」ボソッ



P「………」ゴソゴソ



心「………」





心「ほんとはっ!! あなたと一緒に映画を観たいだけなんだけどねっ!!!」



P「耳元で叫ばないでくださいっ!」キーーン



心「いや聞こえてないのかと思って」



P「めっちゃ小声で言ってたじゃないですか。あれ聞こえないように言ったんじゃないんですか」



心「ああいうのはボソッと言ったほうが奥ゆかしさがあるだろ☆ や〜ん、はぁとってば大和撫子☆」



P「その後耳を破壊せんとばかりに叫んだら、奥ゆかしさの欠片もないですよね」



心「それはそれ♪ これはこれ♪」



P「いや全然別の話じゃないと思いますが……準備できたんで、映画観ましょうか」



心「よーし、ばっちり感動するぞー☆」





上映開始5分





『じゃあ、いってきます!』





P(この男子学生が主人公かな。家には母親しかいないみたいだけど……)チラ





心「ぐすん」



P(え、もう泣いてる?)



心「うぅ……こういう雰囲気ダメ……」グスグス



P(まだ家から出て登校してるだけなのに!? どこに泣くポイントが……)





上映開始50分





心「うううぅぅ」ズビビビ



心「うっ……ぐすっ……」チーン



心「がんばったね……がんばったね……ううぅ」



P「………」



P(感動のシーンなんだが……隣が号泣しすぎて逆に涙が引っ込んでしまった)



心「しくしくしくしく……」



P(周りが泣きすぎると、そっちに気を取られすぎて感情が収まるものなんだな……初めて実感した)



ガチャリ





奏「ただいま。レッスン、終わったわ」





P「おかえり、奏。ちょうど今、貸してもらった映画を観終わったところだよ」



奏「へえ、そうなの。どう、感想は?」



P「それが――」



心「か゛な゛て゛ぢゃあ゛あ゛ん゛!!」ダキッ



奏「きゃっ」



心「お゛お゛お゛お゛ん゛」



奏「え、ちょっと。なに? ニャンちゅう?」



心「感動したぞこらああ! ずびびび」



奏「は、はあ……それは、なにより?」



P「すごいな、あの奏が珍しく戸惑っている」



P「大号泣でしたね。奏が対応に困って逃げるくらい」



心「た、たまたまだからっ! 普段は感動映画観てもこんなに泣かないんだからな☆」



P「いいじゃないですか。感動できるってことは、登場人物への感情移入ができるってことだろうし、演技系の仕事の素質があるかも」



心「それはそれでうれしいけど!」



心「……泣きすぎて、変な顔になってなかった?」



P「いや、全然」



心「ほっ」





心「とにかく、今回は特別だったの♪ 偶然泣きのスイッチがバシッと入る内容だったから、号泣しただけ!」



心「一週間分の涙流したから、もう当分は何も出てこないぞ☆」



P「そうなんですか?」



心「そう☆ ひょっとして疑ってるの〜?」



心「嘘だと思うなら試してみて♪ また感動映画持ってきてもいいから♪」



P「はあ、それじゃあ」







P「総選挙の中間順位、Paで5位です。前回圏外からの大躍進です」



P「流れに乗れれば3位以内も夢じゃないです」



心「………」



心「………」





心「」ブワッ



P「さっきより涙出る速度がやばい」



心「えぐっ、えぐっ」



P「はいティッシュ」



心「ううううぅ」チーン



心「こ、これは違うから……来週の涙を前借りしてるだけだからぁ」



P「別に強がらなくてもいいじゃないですか。努力の成果が出たわけなんだし、喜んで泣いたって誰も笑いませんよ」



心「で、でも、まだ中間だよ? 最終結果が出たわけでもないのに……それに、まだ上には何人もいるんだし。おかしいって……」



P「かまいません。それに、どうしてもって言うなら」



P「これからもっと頑張って、次は『おかしくないうれし泣き』をできるようにしましょう」



心「………」



心「プロデューサー」



P「はい」





心「そのセリフ、ちょっと臭いね……」



P「えぇ……うまく決めたつもりだったのに」



心「あははっ……うん、おかげで涙引っ込んだ♪ サンキュ☆」



P「涙引くのと同時にドン引きされてません? すごい複雑なんですけど」



心「気にすんな☆ ドン引きまではいってないから☆」



P「フォローが微妙」



心「ま、元気出せよっ!」



P「いつの間に俺が慰められる側になったんですかね」



心「世の中ギブ&テイク☆ やられたらやり返せ☆」



心「はぁとは最後まで全力疾走だから、ちゃーんとついてきてよ?」ニコッ



P「はいはい、わかってますよ」



心「……お願いね、プロデューサー」







心「しっかし、今度こそ涙は出し切った! もう泣かない!」



P「また言ってる」



心「今度こそは本当!」



P「まあ、どっちでもいいですけど……お腹すきましたし、食堂にいきます?」



P「なんか、今日限定の特別なラーメンがあるとか」



心「限定メニュー? いくいく♪ はぁと、そういうのはとりあえず食べるタイプ☆」





その後





P「限定ラーメン……超激辛ピリピリラーメン」



心「辛いぃぃ……スウィーティーじゃなくてスパイシー……」シクシク



P「まだ涙出るじゃないですか」



心「辛いもの食べたら出るのは生理現象だろぉ〜?」



P「あはは」



心「む〜……おまえもくえっ!」グイッ



P「むぐっ! ……辛っ!!」



心「ふはは☆」











奏「………」



奏「お邪魔しないほうがよさそうね、あれは」フフ







おしまい





23:30│佐藤心 
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