2016年05月23日

まゆ「プロデューサーさんのためだもの」

P「うーん…発注書の書き方って、これで良かったっけ」



まゆ(…)



P「あれ?この稟議書、ハンコないじゃん…ミスったな」





まゆ(…いつに増して忙しそうですね、プロデューサーさん)



P「ああ、もう…ちひろさんがインフルエンザで休みだなんて、鬼の霍乱だな」



まゆ(机の下から眺めているだけで幸せだけど…全然構ってもらえないのは、ちょっと寂しい)



P「…そうだ。この企画書、人数分コピー取っておかなきゃ…」



まゆ(…あ、コピー機の方に行っちゃった)



P「…ってえ!」



まゆ(机の向こうから大きな音が…!)



まゆ「ぷ、プロデューサーさん!?」



P「いてて…ああ、大丈夫だよ、まゆ。ちょっと躓いただけだから」



まゆ「何もないところで躓くなんて…余程お疲れなんじゃないですか?」



P「かもなあ…普段から唯でさえ忙しいのに、そこにちひろさんの分の仕事まで回ってきて…もうお手上げだよ」



まゆ「大丈夫ですか?…まゆ、プロデューサーさんが心配です」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1462926269



P「ごめん、アイドルに気を遣わせるなんてプロデューサー失格だな。俺なら本当に大丈夫だから…」



まゆ「でもプロデューサーさん…昨夜は4時間しか寝ていないですよね」



P「ん?どうして知ってるんだ?確か昨日は自宅に帰って寝たはず…」



まゆ「それにここ3日間の夕食はレトルト食品で済ませています」



P「だからどうやって知り得てるの?」



まゆ「マキノさんの協力を得て、ここ一週間のプロデューサーさんの生活を数値化してみました。こちらのフリップをご覧下さい」



P「何でそんなもの作ってきたの?」



まゆ「まず食生活から。ちゃんとカロリーは取れてますが、野菜の摂取量が極端に少ないんです。これは喝です!」



P「ついていけないんだけど、俺がおかしいの?」



まゆ「内蔵脂肪の量が増えてますね。不規則な生活でホルモンバランスが崩れてしまっているんでしょう。このままでは生活習慣病を患う可能性もあります。喝!」



P「どうすればいいの?喝にゃん」



まゆ「特別なことは必要ありません。しっかり寝て、しっかり食べて、しっかり運動する。健康的な生活を心がけて下さい」



P「この前、清良さんにも同じことを言われたなあ…まあ、今の忙しさを乗り切ってから考えるよ。ありがとう、まゆ」



まゆ「プロデューサーさん…」



まゆ(…まゆは、何ていけない子なんでしょう)



まゆ(プロデューサーさんは、私達のために頑張って仕事をしてくれているのに…まゆは何もしないばかりか、あまつさえプロデューサーさんに構って貰いたいだなんて…)



まゆ(…落ち込んでいたってしょうがない。まゆ、貴女に出来ることを考えるの。そう、まゆもプロデューサーさんのために何かしなきゃ…)

【翌日】



P「ふああ…眠い」



まゆ「今日も寝不足のご様子ですね、プロデューサーさん」



P「おはよう、まゆ。そんなこと…ふああ…ないぞ」



まゆ「無理しなくていいんですよ。今日はまゆ、プロデューサーさんのために色々用意して来たんです」



P「色々?」



まゆ「はい。今日はまゆが、プロデューサーさんのアシスタントをします」



P「そうか、まゆがアシスタントかあ…えっ、何それ?何をするつもりなの?」



まゆ「まゆは、ちひろさんみたいにお仕事のお手伝いが出来るわけではないので…代わりにプロデューサーさんのお身体のサポートをします」



P「いやいや…いいよ、そんなの。っていうか今日はまゆ、オフだったろ?自分のために過ごしなさい」



まゆ「プロデューサーさんのためになることが、まゆのためになるんです。お願いします、邪魔になるようなことはしませんから」



P「まゆはいい子だな…まあ、今日はデスクワーク中心だし、誰にも迷惑はかからないだろう」



まゆ「じゃあ…」



P「でも、もしアシスタントがまゆの負担になると俺が判断した場合は、大人しく帰って貰うからな」



まゆ「…うふ、一生懸命ご奉仕します」

P「さてと、今日はまずメールチェックからだな」



まゆ「そしてまゆはプロデューサーさんのマッサージをします」



P「…マッサージ?」



まゆ「以前、美波さんと、泥酔状態でしたけど楓さんから教わったんです。大丈夫ですよ、プロデューサーさんは気にせずお仕事を続けて下さい」



P「いや、なんか聞き過ごせないキーワードが含まれてたぞ!?」



まゆ「ほら、リラックスして…肩から胸にかけて揉んでいきますね」



P「心配だなあ…お、おお?こ、これは良いな」



まゆ「…溜まってますね、プロデューサーさん」



P「…耳元で囁かないでくれ」



まゆ「美波さんはこうやってましたよ?」



P「そんなところ再現しなくていいよ…」



まゆ「次はふくらはぎを揉んでいきますね。机の下、失礼します」



P「くおお…き、効くな。よく分からないけど効いてる気がする」



まゆ「よいしょと。次は…太もも」



P「いや…まゆ、そこは止めておこう」



まゆ「でもリンパの滞りが見られますから、しっかりマッサージしないと…大丈夫ですよ、痛くありませんから」



P「いや、そうじゃなくて…うおおっ」



まゆ「楽にっ…して下さい…っ」



P「嫌でも緊張するから!こんなところ誰かに見られたら…」



みく「…」



P「…」



みく「…」



P「…」



まゆ「どうかしたんですか、プロデューサーさん?」



P「…いや、事務所に猫が入ってきたんだけど、死んだ魚の目をして出て行った。大の魚嫌いなのに、その魚とすっかり同じ目をして…」



まゆ「お魚が嫌いな猫ちゃんなんて珍しいですね…はい、終わりましたよ。気分はどうですか?」



P「なんか逆に気疲れが…ん?でも待てよ…体はだいぶ軽くなったよ!」



まゆ「うふふ…お役に立てたようで良かったです」



P「いやはや、ありがとう、まゆ。これなら仕事が捗りそうな気がする!」



まゆ「では、まゆは飲み物でも淹れてきますね」



P「…よし、メールチェック終了。次は企画のプレゼン準備だな」

まゆ「お待たせしました、まゆドリです」



P「ああ、ありがとう…ん?何だって?」



まゆ「まゆドリです。プロデューサーさんが今摂るべき食材を液状にした、まゆ特製のドリンクです」



P「…これ、飲んでも大丈夫なのか?凄い色してるけど…なんか『絶望』を色にしたら、こんな感じになる気がする」



まゆ「確かに見た目は悪いですけど、味は保証します。悠貴ちゃんにも監修して貰いました」



P「じゃあ…一口だけ」



まゆ「…いかがですか?」



P「うまっ」



まゆ「良かったあ」



P「俺が今まで飲まされてた謎のドリンクは何だったの?まゆ、みんなにも作ってあげなよ、これ」



まゆ「でも作るためには時間とコストがとってもかかるんです…それに、今のプロデューサーさんに必要な栄養だけしか入っていませんから…」



P「まゆ、俺のためにそこまで…」



まゆ「あと、プロデューサーさん以外には口にして欲しくないものも入ってますし…」



P「…本当に飲んで大丈夫だったんだろうな、これ」



まゆ「それじゃあ、まゆはお昼ごはん作ってきますね」



P「ちゃんと質問に答えていって!?それに、お昼ごはん作ってくるって…」

まゆ「お弁当を作ってきても良かったんですけど、今は栄養を一番に考えたいので…そうなると、色々気にしなくて済む手料理の方がいいかなって」



P「でも事務所のキッチン、ロクなもん置いてないぞ」



ます「大丈夫です。食材などは、ちゃんと自分で準備してきましたから」



P「…そこまでさせると申し訳ないが、ここでまゆの気持ちを無下にするわけにもいかないしな…まゆのご飯を楽しみにしながら、仕事を頑張ることにするよ」



まゆ「はい、頑張って下さいね」



P「…さて、と」



凛「おはよう、プロデューサー」



P「おはよう、凛。今日は昼からレッスンだったよな」



凛「うん。…ちひろさん、まだ来れないんだ」



P「医者が言うには、あと2、3日で復帰できるそうだ」



凛「ふーん…そうなんだ。でも、その間はプロデューサーが大変だね。私にできることがあったら言ってよ」



P「お前までそんなこと言い出して。大丈夫、このくらいわけないよ」



凛「…お前『まで』?」



P「…いや、深い意味は無いけど」



凛「…事務所の前でみくが頭を抱えて座り込んでたけど、何か関係してるのかな?」



まゆ「プロデューサーさぁん、もうすぐ出来ますからねぇ」



凛「…今の声はまゆだね。キッチンの方から聞こえたけど…プロデューサー、まゆと何してるの?」

P「いや、今日はまゆがアシスタントというだけで…」



凛「何それ。今日はまゆを囲って、一日中イチャついてやろうってわけ?」



P「言葉に棘があり過ぎるんだけど…」



凛「…まあ好きにすればいいよ。それなら私にも考えがあるから…レッスン行ってきます」



P「…何だよ、考えって…嫌な予感しかしないな」



まゆ「プロデューサーさん、ご飯の準備が出来ましたよ…あら?どうかしました?」



P「い、いや。何でもないよ。今行く」



まゆ(この香りは凛ちゃんですね…でも貴女の予定が、今日一日はレッスンで埋まっているのは調査済みです…ふふ、まゆの邪魔はできませんよ)



P「さて、どんなもんかな…うおっ、これは豪勢だな!」



まゆ「腕によりをかけました。いっぱい食べて下さいね」



P「頂きます。じゃあまず、煮物から…」



まゆ「…お味の方はどうですか?味付け、濃くありませんか?」



P「ううん、丁度良いよ!お世話抜きにウマイ!」



まゆ「ふふ、良かったです。プロデューサーさんがお気に入りのお店のお味に近付けてみました」



P「話した覚えも連れて行った覚えもないんだが、何でその店の事を知っているのかな?…おっ、卵焼き」



まゆ「最近プロデューサーさんは甘めの卵焼きに凝っているので、これも甘めの味付けにしてみました」



P「これもウマイ!ウマイけど、何で知っているのかな?」



まゆ「このヒジキ煮も食べてみて下さい。子供の頃のプロデューサーさんはヒジキが苦手で…それを克服させようと、実はお祖母様は色々と味に工夫をされていたわけですが…その味を真似てみました」



P「なんか怖さが先行して味が分からなくなってきたよ?」



まゆ「食事中に考え事はよくないですよ。細かいことは気にせず召し上がれ…うふ」

P「…ふぅ、もうお腹いっぱいだよ。ご馳走でした」



まゆ「お粗末様でした。あ、お片づけはまゆがしておくので、プロデューサーさんはどうぞお仕事に戻って下さい」



P「済まないね。きっとまゆは良いお嫁さんになるよ」



まゆ「はい、その時は宜しくお願いしますねぇ」



P「…まあいいや、書類作りに戻ろう」



P「心なしか、今日はいつもより仕事が順調に進んでいる気がする。まゆのお陰だな」



まゆ「…プロデューサーさん、お昼寝の時間ですよ」



P「…え?」



まゆ「ですから、お昼寝の時間です。お寝んねして休憩しましょう?」



P「いや…確かにちょっと眠いけど、せっかく進捗がいい感じだからさ、このまま仕事を…」



まゆ「ただでさえプロデューサーさんは睡眠時間が不足していますから…それにお昼寝が仕事の効率を上げるという説もありますし、海外でも勤務中にお昼寝の時間を取る国があるんですよ」



P「シエスタってやつか?なんか、最近は撤廃の趣にあると聞くけど…」



まゆ「ほら、プロデューサーさん。こっちに来て…」



P「どうした、ソファに座って…まさか膝枕する気か?」



まゆ「寝心地は悪くないはずです」



P「寝心地どうこうじゃなくて…」



まゆ「…なかなか素直になってくれませんね。こうなったら、亜里沙先生直伝の子守唄を付けちゃいます」



P「…くっ!き、急に睡魔が…まぶたが重くなって…この歌はまずい」



まゆ「…来て、プロデューサーさん」



P「…わあ、天使がいる。天使がお花畑で手招きしてる…もういいや。それ、天使の太ももにダーイブ…」



まゆ「…お休みなさい、プロデューサーさん…」



P「…はっ!」



まゆ「目が覚めましたか?プロデューサーさん」



P「お、俺寝てたのか?どれくらい寝てた?」



まゆ「一時間弱といったところでしょうか…」



P「よ、良かった…寝過ごしてしまっていたらどうしようかと…」



まゆ「あまりに長いお昼寝は、逆に仕事の効率を低下させてしまうそうですから…もしプロデューサーさんが起きなくても、まゆが起こすつもりだったんですよ」



P「ほ、本当か?うーん…それにしても、なんか頭がスッキリした気がする」



まゆ「では残りのお仕事も頑張りましょう。まゆは、午後のまゆドリを作ってきますね」



P「おう…昼寝のお陰かな、なんだか体がやる気に満ちてる気がする。よし、このまま一気に片付けてやるか!」



P「…よし、終業!」



まゆ「お疲れ様です、プロデューサーさん」



P「いやあ、今日はいつもの倍以上に捗ったよ。正直を言えば最初は不安だったんだけど、今になってみればまゆのアシスタントは最高だったよ」



まゆ「まゆはプロデューサーさんのアイドルとして、当然のことをしたまでです」



P「何かお礼できることはないかな」



まゆ「お礼だなんて、そんな…でもご褒美が貰えるなら…」



P「リクエストがあれば何でも言ってくれ」



まゆ「…なでなで、して貰えませんか?」



P「…えっと、これでいいのか?」



まゆ「…うふふ、気持ちいいです」



P「…まゆは小っちゃいな。小っちゃい体で、いっぱい頑張ってくれたんだな。ありがとう」



まゆ「…まゆ、幸せです…これなら、まゆも明日からのお仕事頑張れそうです」



P「それなら良かった。さて、そろそろいいか?」



まゆ「もうちょっとだけ…」



P「…もういいか?」



まゆ「もうちょっと…」



P「…」



みく「…」



P「…」



みく「…」



P「…」



まゆ「…プロデューサーさん?」



P「…何でもないよ」

ちひろ『…もしもし、プロデューサーさんですか?』



P「ちひろさん?調子はどうですか?」



ちひろ『すっかり良くなりました。明日には復帰出来ます』



P「なら良かったです」



ちひろ『…プロデューサーさん…この度はご迷惑をおかけしてしまい、本当に、本当に、本当にごめんなさい!』



P「そこまで気にしなくて大丈夫なんですが…とにかく、明日には必ず戻ってきて下さい」



ちひろ『な、何かありましたか?』



P「…」



凛「プロデューサー、揉み足りないところはない?」



ありす「疲労に効くツボを調べて来たので、プロデューサーさんのマッサージ役は私に代わって下さい」



P「ありがとう…もう大丈夫だから…」



卯月「プロデューサーさん!お腹空いてませんか?お昼ごはん、頑張って作りました!」



幸子「待って下さい!ボクのカワイイお弁当を食べるのが先です!」



莉嘉「ねーP君、膝枕してあげる!」



美嘉「ちょっと莉嘉、まだあんたには早い!それよりプロデューサー、私の膝なら…」



まゆ「今日は一段と賑やかですね…ねぇ、プロデューサーさん」



P「…何?」



まゆ「また、まゆのアシスタントが必要になったら…いつでも言って下さいね」



みく「…」



みく「…もう終わりにして!」



17:30│佐久間まゆ 
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