2016年05月29日

ありす「素直になる薬」

※一応百合注意



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ありす(どうも、橘です)





ありす(先ほど志希さんから素直になる薬というものをもらいました)



ありす(……押し付けられたわけではありません)



ありす(私から頼んだのです)



ありす(どうしても、欲しかったので)



ありす(……)



ありす(自分で言うのもなんですが、私は素直ではありません)



ありす(思ったことをそのまま伝えられなかったりすることが多々あります)



ありす(……本当は、こんな薬に頼らずに、できたらいいんでしょうけど)



ありす(……)



ありす(……どうしても、失敗したくないので)



ありす(私は、弱い子かもしれません)



ありす(いえ、弱い子でしょう)



ありす(……)



ありす(それでも……!)



ありす「……」



ありす「……」ゴクッ



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





フレデリカ「フンフンフフーン♪」ガチャ



フレデリカ「フンフフ〜♪」



フレデリカ「おや、ありすちゃん!」



ありす「あ……」



フレデリカ「おっはよー!」



フレデリカ「ありすちゃん、私の名前わかるー?」



ありす「おはようございます、フレデリカさん」



フレデリカ「間違えなかった!」



ありす「間違えるわけないじゃないですか」



ありす「大好きなフレデリカさんなんですから」



フレデリカ「そっかー」



フレデリカ「……」



フレデリカ「……ん?」



ありす「どうしました?」



フレデリカ「ねー、ありすちゃん?」



ありす「はい?」



フレデリカ「今さー、なんて?」



ありす「……?」



ありす「……ああ」



ありす「大好きなフレデリカさん、って言いましたが」



フレデリカ「」

フレデリカ「えっ……あ、ありすちゃん?」



ありす「はい、ありすですけど」



フレデリカ「えっとぉ……」



フレデリカ「本当にありすちゃん?」



ありす「それ以外の誰に見えるんですか?」



フレデリカ「ううん、ありすちゃんにしか見えないけど……」



フレデリカ「……はっ!」



フレデリカ「もしかして、変装したありすちゃん以外の誰かだ!」



ありす「違います!」



ありす「本物の橘ありすです!」



ありす「橘です!」



フレデリカ「はっ、その言い方は間違いなくありすちゃん!」



ありす「そこで判断してたんですか……」



フレデリカ「実は第一判断材料だったり?」



ありす「そうですか……」



ありす「……ちょっと悲しいですね」



フレデリカ「ん?」



ありす「私、ありすって呼ばれて嬉しいのに」



ありす「橘です……って言い続けないとフレデリカさんに橘ありすって認めてもらえないなんて」



ありす「うぅ……ぐすっ」



フレデリカ「!」



フレデリカ「う、嘘!」



フレデリカ「嘘だよ、ちゃんとありすちゃんだってわかってるよー!」



ありす「嘘ですか……よかった……」



ありす「ほっ……」

フレデリカ「今日はどうしたの、ありすちゃん?」



フレデリカ「なんだかいつもと違う感じだねー?」



ありす「そう見えますか?」



フレデリカ「うん」



フレデリカ「いつもはもっとむすーって感じ!」



ありす「……私はそんなイメージですか」



フレデリカ「そんなありすちゃんが可愛いーって思ってるよー?」



ありす「そうですか……えへへ」



ありす「……あれ?」



ありす「じゃあ、今の私は嫌いですか?」



フレデリカ「ううん、そんなことないよー」



フレデリカ「今のありすちゃんも可愛い!」



ありす「……よかったぁ」



フレデリカ「うふふっ」



ありす「……実は」



ありす「私、今日は素直にいようって思ってるんです」



フレデリカ「素直?」



ありす「はい……自分の思いにまっすぐに、一直線にいようって」



フレデリカ「ふーん」

ありす「だから、あの……フレデリカさん!」



フレデリカ「ん、なーに?」



ありす「……私、フレデリカさんのこと本当に尊敬してるんです!」



フレデリカ「わお!」



ありす「本当ですよ!」



ありす「事務所の中で、誰よりも尊敬してます!」



フレデリカ「うふふっ、嬉しいなー♪」



ありす「スタイルがよく、綺麗なところとか」



ありす「どんな場面でもアドリブが効くところとか」



ありす「実は視野がとても広いところとか」



フレデリカ「……そろそろフレちゃんも恥ずかしくなってきちゃうなー」



ありす「ほかにもたくさんあるんですけど……ともかく私、フレデリカさんを尊敬してるんです!」



フレデリカ「そっかー」



フレデリカ「……あれ?」



フレデリカ「ありすちゃん、フミカちゃんのことも尊敬してなかったっけ?」



ありす「文香さんは崇拝してます」



フレデリカ「崇拝」



ありす「はい、崇拝です」



ありす「文香さんは女神であり、彼女を信仰することにより世界に平和が訪れます」

ありす「おっと、話がそれました」



ありす「ともかく、私はフレデリカさんを尊敬しているんです!」



ありす「大好きなんです!」



ありす「寝ても、覚めてもフレデリカさんのことばかり考えている自分が居ます」



ありす「フレデリカさんがそばを通ると、つい目で追ってしまう自分が居るんです」



フレデリカ「……もしかして、フレちゃん告白されてる?」



ありす「いえ、告白は別の時にするので」



フレデリカ「するつもりはあるんだー」



ありす「といっても、すぐじゃありませんよ」



ありす「私がフレデリカさんに釣り合うような人間になってから」



ありす「具体的にはあと4年後を目処に――」



フレデリカ「ありすちゃん、ありすちゃん」



フレデリカ「素直っていうのは包み隠さず話しちゃうことじゃないと思うなー、フレちゃんは」



ありす「そうですか?」



フレデリカ「うんうん」



ありす「では、話を戻して」



ありす「私はフレデリカさんが、好きです」



ありす「何よりも、感謝しています」

フレデリカ「感謝?」



ありす「はい」



フレデリカ「フレちゃんそんな感謝されるようなことしたかなー?」



ありす「してますよ」



ありす「いつも、私と話してくれてるじゃないですか」



フレデリカ「ありすちゃんと話してるのは楽しいからねー」



フレデリカ「……って、それだけ?」



ありす「はい」



ありす「……フレデリカさんと話すのは、私一番楽しいんです」



フレデリカ「そうなんだ!」



フレデリカ「ずっと嫌がってるのかなって思ってたよー」



ありす「そんなわけないじゃないですか!」



ありす「いつもは……ちょっと、鬱陶しがったりしますけど……でも」



ありす「本当は、すっごく嬉しいんですから!」



フレデリカ「……よかったー、ふふっ」



ありす「むしろ、鬱陶しそうな態度を見せてるのはかまって欲しいからです!」



フレデリカ「それは話しちゃってよかったのかなー?」



フレデリカ「……」



フレデリカ「……ちなみになんだけどー、フミカちゃんと話す時より?」



ありす「文香さんは別格です」



フレデリカ「別格」



ありす「神様、天使様と並ぶ文香さんと話せるんですよ、嬉しいなんて言葉で表せるわけないじゃないですか」



ありす「文香さんと話したら、ただ幸福が訪れます」



ありす「楽しい、つまらない、嬉しい、悲しい、なんて感情ではおさまらないんです」



ありす「ただ、幸せに浸れます」



フレデリカ「そっかー」

ありす「……で、私はフレデリカさんを尊敬し、感謝しているので」



ありす「プレゼントを買ったんです」



フレデリカ「プレゼント?」



フレデリカ「あたしの誕生日って今日だったっけ!」



ありす「いえ、誕生日プレゼントではなく」



ありす「ただ、日ごろの感謝を込めたプレゼントです」



ありす「……もらってくれますか?」



フレデリカ「うん」



フレデリカ「ありがとね、ありすちゃん」



ありす「いえ……では、これをどうぞ」



フレデリカ「……包み開けていーい?」



ありす「もちろんです!」



フレデリカ「じゃあ、さっそくー……」



フレデリカ「……」



フレデリカ「これ、ネックレス?」



ありす「はい!」



ありす「フレデリカさんに似合うと思って……」



フレデリカ「うふふっ、ありがとっ!」



フレデリカ「じゃあ早速……どう?」



ありす「やっぱり……とても似合ってますよ」



フレデリカ「やった!」



フレデリカ「ありすちゃん、ナイスコーディネーター!」



ありす「えへへ……それほどでも……」

ありす「……あの、実はですね」



フレデリカ「ん、どしたのー?」



ありす「それ、私とおそろいなんです」



フレデリカ「わお、ペアルック!」



ありす「はい……ほら」



フレデリカ「本当だ!」



フレデリカ「偶然だねー?」



ありす「いや、狙ったんですけどね」



ありす「その……フレデリカさんとペアルックしたいなって思って……」



フレデリカ「!」



フレデリカ「やーん、ありすちゃん可愛いーっ!」ギュッ



ありす「きゃっ!」



ありす「も、もう……いきなり抱きつかないでください」



フレデリカ「可愛いありすちゃんがいけないんだよ?」



ありす「そ、そうですか……」



ありす「えへへ……フレデリカさんに可愛いっていってもらえると嬉しいです……!」



フレデリカ「そっかそっかー」



フレデリカ「じゃあ、もっといっぱい言ってあげる!」



フレデリカ「ありすちゃん可愛い! ありすちゃん可愛い! ありすちゃんかーわーいーいー!」



ありす「も、もうっ、嬉しくて死んじゃいます!」



フレデリカ「うふふっ!」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





ありす「……」



ありす「……」



ありす(目的は達成できました)



ありす(無事、フレデリカさんにプレゼントを渡すこともできましたし)



ありす(ペアルックにしたいって私の思いも告げることができました)



ありす(変に素直になれず、渡せない、告げられないといった事態は無事回避できました)



ありす(できました、が)



ありす「昨日の私は何だ!?」



志希「わっ!?」



志希「びっくりしたぁー……」



志希「急に叫んでどしたの、ありすちゃん?」



ありす「橘です」



ありす「……志希さん、いたんですか?」



志希「この前杏ちゃんがソファの下にもぐりこんでたからさー」



志希「どんな感じなのか確かめてみてた!」



ありす「……そうですか」



志希「それより、渡した薬の効果はどうだったー?」



ありす「効きが良すぎます!」



ありす「しゃべりたいこと、しゃべりたくないこと、全部話しちゃいましたよ!」



志希「だって、それが素直ってことでしょー?」



志希「自分の気持ちに正直に……にゃはっ」



ありす「だからって……」



ありす「……」



ありす「あんなに、包み隠さず話して……もし嫌われたら……」



志希「んー?」



志希「そんなことない――」



フレデリカ「――おっはようございまーっす!」ガチャ

フレデリカ「あ、シキちゃんおっはよー!」



志希「おっはよー、フレちゃん」



フレデリカ「ありすちゃんもおっはよー!」



ありす「……おはようございます」



フレデリカ「……お、ありすちゃん、ネックレスつけてるねー」



フレデリカ「あたしもつけてるよー、キラン!」



ありす「あ、本当ですね……」



ありす「えへへ……おそろい……」



フレデリカ「……あれあれ?」



フレデリカ「もしかして、今日も素直なありすちゃん?」



ありす「!」



ありす「きっ、昨日のは違います!」



フレデリカ「何がー?」



ありす「何がって……えっと、その……あのっ、とにかく違うんです!」



ありす「その……プラズマ的な何かの仕業です!」



フレデリカ「?」



志希「くんくん……この匂いは嘘をついている匂い……」



志希「フレちゃんフレちゃん、昨日のありすちゃんはねー」



志希「このあたし特性素直になる薬を飲んでいたのだ!」



ありす「志希さん!」



志希「だからねー、昨日言ったことは全部ありすちゃんの本心だよー?」



ありす「ちょっと!」



フレデリカ「ふーん……」



ありす「あっ、いや、あの……本当に!」



ありす「えっと、違って……あの、だから……」



ありす「……嫌いにならないでください」



フレデリカ「……」



フレデリカ「……や」



フレデリカ「やっぱり、ありすちゃん可愛いーっ!」ギュッ



ありす「きゃっ!」



ありす「またハグですか!」



フレデリカ「フランス人はハグが好きなのだ!」



ありす「本当ですか、それ!?」



フレデリカ「本当だよー♪」



フレデリカ「ほら、ぎゅーっ!」



ありす「ひゃっ!」



フレデリカ「ありすちゃんは可愛いなーっ!」



フレデリカ「フレちゃんがありすちゃんを嫌いになるわけないじゃん!」



ありす「もっ、もう、やめてください!」



フレデリカ「でもでもー、昨日の素直なありすちゃんが教えてくれたけど、これって嬉しいんだよねー?」



ありす「あ、あぅ……でっ、でも!」



フレデリカ「それに、かまって欲しくて鬱陶しい態度とっちゃうんだよねー?」



ありす「やっ、えっと、その……そうじゃっ――」



フレデリカ「――4年後まで待ってるね」ボソ



ありす「!?」



フレデリカ「なんちゃってー♪」



ありす「もっ、も、もうっ!」



フレデリカ「あははっ、ありすちゃんは可愛いなー!」



ありす「やめてください、はなして、はーなーしーてー!」



志希「……にゃはは」



志希「耳まで真っ赤なんだから、嫌われる心配はないと思うなー」













おわり



12:30│橘ありす 
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