2016年07月08日

大原みちる「いつものあたしで伝えます」

事務所



P「は〜、忙しい忙しい」



ガチャ





みちる「グモモモモ!(おはようございまーす!)」



P「ははは、いつも通りだな、みちる」



肇「おはようございます」



P「おう、肇もおはよう。今日は2人で来たのか?」



みちる「フゴ、フゴフゴゴ!(最近よく一緒にいるんです!)」



P「言いたい事は伝わるけど、一旦飲み込め、な?」



肇「プロデューサーさんはみちるちゃんのフゴフゴがわかるんですね」



P「街でスカウトしてから基本的に一緒だしな」



みちる「ゴックン、以心伝心ですね。あははー!」



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P「それで、2人が仲良くなった理由は……」



肇「この前のノルウェーのロケがきっかけですね」



P「確かにあのロケを越えたら友情も深まるよな……」



みちる「オフも一緒に過ごしたりするんですよ!」



肇「陶器のお店を見てまわったり……」



みちる「パンケーキの美味しい、可愛いカフェに行ったり……」



肇「理想の窯について話し合ったりするんです」



P「最後のは女の子がする話か」



肇「2人とも実家に窯がありますので♪」



みちる「つまりナカマなんですよ! カマだけに!」



P「……」



みちる「な、何か言ってくださいよ、プロデューサー!」

みちる「ところで、プロデューサー! お腹は空いてませんか?」



P「めちゃくちゃ空いてる。今日は朝早かったから朝飯食べてなくてな……」



みちる「それならこのコロッケパンをどうぞ! ボリュームたっぷりでお腹も満足ですよ!」



P「おぉ! これはありがたい!」



肇「よかったですね、プロデューサーさん」



P「いやぁ、実は今日もみちるがパンをくれるだろうって、少し期待してた」



みちる「あたしも今日はプロデューサーが忙しいって聞いて、食べごたえのあるパンを用意してました!」



肇「ふふ、お2人は息がピッタリなんですね。」

P「うん、うまい。体に染み渡るって感じだ」モグモグ



みちる「気に入ってもらえたなら、大原ベーカリーをプロデュースする件、考えといてくださいね!」



P「素直に褒めにくくなったな……」



肇「でも、みちるちゃんがくれるパンってなんだか優しい味がしますよね。ノルウェーの時もそう思いました」



P「なんか変なものでも入れてるのか?」



みちる「失敬な! あたしのパンはいつでも食べてくれる人の事を想って作った、気持ちのこもったパンなんです!」



P「そりゃ悪かったな。さて、そろそろ外回りに行ってくるか。パンありがとうな、美味かったよ」



みちる「はい! それじゃ、あたし達もレッスンに行きましょうか肇ちゃん」



肇「うん。そうだ、今度のオフもおでかけする?」



みちる「はい! またカフェとか行きましょう!」









数日後 カフェ



みちる「待たせちゃいました? あ、パンケーキとカフェラテをお願いします」



肇「ううん、さっき来たところだから大丈夫。わたしもパンケーキ、あとミルクティーを」



みちる「服を選んでたら時間かかっちゃいまして」



肇「うん、今日のみちるちゃん、とってもかわいいよ」



みちる「本当ですか? このスカートとか、この前肇ちゃんに教えてもらったのを参考にしてまして……」



肇「最近みちるちゃん頑張っておしゃれ勉強してるね」



みちる「はい! 今、かわいいに挑戦してるんです」



肇「かわいいに挑戦?」



みちる「かわいいあたしというのが自分だとあんまりイメージできなくて、格好から近づく努力をしてみようと思って」



肇「そうなんだ。みちるちゃん学校とかでもかわいいって言われてそうなのに」



みちる「言われた事はあるんですけど、女の子に対してというよりは小動物に対してというか」



肇(確かにそういうタイプの子はいるなぁ……)



みちる「まぁ、これもこの前プロデューサーに叱られた事がきっかけなんですけど……」



肇「何かあったの?」

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P「ノルウェーロケ以降仕事のオファーが増えたとはいえ、体張る仕事ばっかりで悪いな」



みちる「いえいえ! あたし動物とふれあうの好きなんで、どんとこいです!」フゴフゴ



P「ほー、そうなのか」



みちる「はい! ノルウェーでもワンちゃんと話せて楽しかったです!」モキュモキュフゴゴ



P「話せるってのもすごいな……。でも、あの時のみちるは確かにいい顔してたな」



みちる「本当ですか? それは良かったです。あははー!」フゴーフゴー



P「……一旦パンは置いとけ」



ワー! ドウシタ! キャー! コッチダ!! ハヤクシロ!



P「なんだか騒がしいな」



みちる「どうしたんでしょう」



スタッフ「撮影用の動物が脱走しました! 危険ですので、出演者の皆さんはこちらへ避難を!」



P「みちる、来い!」ガシッ



みちる「ひゃっ」



P「動くなよ、俺の影に隠れとけ」



みちる「は、はい……(プロデューサー、ち、近い……)」カアッ

スタッフ「脱走した動物はみんな捕まえました! ご迷惑おかけしてすみませんでした!」



P「終わったみたいだな……。もう大丈夫だぞ、みちる」



みちる「あ、ありがとうございます。プロデューサー」ドキドキ



P「無事で済んで良かったよ」



みちる「で、でも大丈夫ですよプロデューサー! あたしなら動物に襲われても、逆に捕まえちゃいますから!」



P「……あのな、みちる。ノルウェーの時も言おうと思ったんだが、お前は無茶をしすぎだ」



みちる「え……」



P「お前がいきいきとしてるのは嬉しい。だけどな、お前だって女の子で、アイドルなんだ。もっと自分を大切にしてくれ」



みちる「でも、あたし他の子みたいに女の子らしくもないし、かわいくも……」



P「いや、お前はかわいい」



みちる「あぇ……」ポト



P「今でもかわいいし、もっとかわいくもなれる。だからこそ、俺はお前をスカウトして、プロデュースしてるんだ」



P「……俺を信じろ」



みちる「は、はい……」カアアアアァ



P「まぁ、あんまりお前に言うのも違うよな。俺はプロデューサーだし、お前の魅力を引き出すような企画を立てるのが筋ってもんだな」



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みちる「……ということがありまして」



肇(後半ずっと顔が真っ赤だったなぁ)



みちる「あたしを信じてくれてるプロデューサーに申し訳ないし、ビックリして落としちゃったパンにも申し訳ない話で……」



肇「パンにも」

みちる「あたし、家では店先よりも後ろでパンを作る事が多かったせいか、自分を裏方と捉えてるみたいで……。肇ちゃんみたいに女の子らしくてかわいい子がいると、あたしが代わりに体張ろうとしちゃうんですよね」



肇「そうなんだ……。確かにノルウェーの時はみちるちゃん、頑張ってくれてたものね」



みちる「プロデューサーがかわいいって言ってくれた時、すごく嬉しかったんです。本当に。だけど、やっぱりあたしが本当にかわいくなれるのか、不安があって……」



グウウウゥゥゥ……



みちる「な、慣れない事で悩んでたらお腹空いちゃいました……。あ、あははー!」



肇「ふふふ、じゃあパンケーキも来たから食べよっか。それが目当てで来たんだもの」



みちる「はい! いただきまーす!」パクッ



みちる「ん〜〜! ふわっふわ! クリームと合わせても食感が損なわれないし、甘さが口の中にたっぷり広がって、幸せですね!!」パアアアァァッ



肇(さっきの顔が嘘みたいなほど眩しい笑顔……)パクッ



肇「あ、本当においしい」

みちる「止まらないですねー、これ!」



肇「……ねぇ、みちるちゃん」



みちる「フゴ?(え?)」



肇「私はね、今のみちるちゃん、とてもかわいくみえるよ」



みちる「……ごくん」



肇「そうやって幸せそうに食べている所も、慣れないオシャレに挑戦したりする所も、いじらしく悩んでる所も。今のみちるちゃんは、精いっぱい女の子してると思う」



みちる「あ……」



肇「今は悩んでる所だから自信を持ってと言っても伝わりにくいかもしれないけど、自分がらしいと思う事も、らしくないと思う事も両方頑張っているみちるちゃんは、きっと誰が見ても輝いているはずだよ」



みちる「うぅ……ありがとう……ございます……」ウルッ



肇「元気出してもらえた?」



みちる「はい! あたし、自分のかわいいと頑張って向き合ってみます!」



肇(よかった……。でも、もうひと押ししてあげようかな?)









後日 事務所



P「みちる! いるか!」ガチャ



みちる「フゴ! フゴゴゴゴ!(はい! ここにいますよ!)」



P「安心するほどに平常運転だな。よし、ミーティングルームまで来てくれるか」



みちる「フゴー!(わかりましたー!)」







ガチャ



みちる「失礼しま……あれ、肇ちゃん?」



肇「待ってたよ、みちるちゃん」



P「みちる、この前言ってたお前のための企画だけどな、この前の会議で通ったんだ!」



みちる「本当ですか!?」



P「あぁ。街にある店を歩いて回る、いわゆるレポート番組だな。念願の食レポもできるぞ!」



みちる「やったーー!」



P「ふふふ、全ては俺の手腕のなせる技……、と言いたい所だが」



肇「私も協力させてもらったの」



みちる「肇ちゃんも?」



P「おう。食レポなんかは肇の提案だな」



肇「みちるちゃん、前に食べてる時の自分が一番らしい笑顔になるって言ってたから。それと、この前カフェでパンケーキを食べてた時の顔を見ても、やっぱり食べ物は外せないなって」



みちる「ううう〜〜……ありがとう、肇ちゃん!」ダバァ



P「涙とよだれを同時に出すんじゃない」

肇「この街には猫カフェもあるそうだから、動物ともふれあえるよ」



P「食べ物に動物、そして仲の良い友達……。これだけそろっていれば、絶対に良い画が撮れるな!」



みちる「仲の良い友達……って事は……」



肇「うん、私も一緒だよ」



みちる「やった〜〜! 肇ちゃん!」ギュッ



肇「ふふ、楽しい収録にしようね、みちるちゃん」



みちる「はい!」



P「収録日は4月12日。誕生日に仕事を入れる形になって悪いが、俺達からの誕生日プレゼントとして受け取ってくれるか?」



みちる「こんなに嬉しい誕生日プレゼントは初めてです! 2人とも本当に、本当にありがとうございます!!」パアアアアァッ



P「うん、いい笑顔だ」



肇「ですね」









あるオフの日 カフェ



肇「ごめん、今日は私が待たせちゃったね。あ、ミルクティー1つ」



みちる「フゴフゴ、フゴゴフゴフゴ(いえいえ、あたしこそ先にパンケーキ頼んじゃってて)」



肇「あ、今の私にもわかっちゃった! ふふ、なんだか嬉しい」



みちる「フゴゴフゴ!?(本当ですか!?) ゴクン! もうすっかり親友ですね、あたしたち!」



肇「うん! そうそう、そういえばこの前の収録、すごく評判よかったね」



みちる「はい! スタッフさん達からも会心の出来だって褒めてもらえて、番組を見てくれた人達からも……うぅ……」グスッ



肇「みちるちゃん、どうしたの!?」



みちる「今まで見たどのみちるちゃんよりもかわいかったとか……、目が離せなくなるくらい魅力的でしたとか……たくさんメッセージをもらえて……」



肇「うんうん」



みちる「これも全部、肇ちゃんとプロデューサーのおかげですっ!」ギュッ



肇「よかったね、みちるちゃん……」ナデナデ



みちる「ううぅ〜〜……」



肇「ほあんまり泣いてるとかわいい顔が台無しだよ、みちるちゃん? ほら、パンケーキ。あーん」



みちる「あーん……。んー! おいしーー!」ニコニコ



肇(本当、百面相って感じだなぁ)

みちる「あ! それでですね、また肇ちゃんに相談があるんですよ」



肇「なに?」



みちる「あたし、今回の事ですごく勇気をもらっちゃって、やっぱりプロデューサーにお礼をしなくちゃって。もちろん肇ちゃんにも!」



みちる「でも、プロデューサーとは付き合いも長いですし、今さら何て言えばいいかわからないというか……伝えたいこともたくさんあるというか……どうやってあたしの気持ちを伝えればいいかわからなくって……」



肇「ふふ、みちるちゃんは本当にプロデューサーさんが大好きなんだね」



みちる「へっ!? いや、別にそういう事では……」カアアアァッ



肇「あれ? 大原ベーカリーのプロデュースもお願いしますっていうのは、そういう意味なんだと思ってたけど」



みちる「ちちちち、違いますよっ! あれはそんな意味で言ってる訳じゃ……」



肇「ふふふ。そうだなぁ。みちるちゃん、焼き物もパンも焼き上げる前には生地を寝かせたりするよね? 多分、これも同じ事だと思うな」



みちる「ど、どういうことでしょう?」



肇「綺麗に仕上げようと思ったら、いきなり特別な事はできないっていう事。たくさん伝えたい事があるなら少しずつ伝えていけばいいの。そして一番大切な気持ちはゆっくり寝かせて、心がいっぱいになるほど大きくなった時、きっとそれは綺麗な形になるはず」



肇「だから今は気負わずに、いつものみちるちゃんらしいやり方で気持ちを伝えればいいんじゃないかな」



みちる「いつものあたし……、そっか! わかりました肇ちゃん! あたしらしい伝え方、やってみます!!」



肇「うん。がんばってね、みちるちゃん」









後日 事務所



みちる「フゴフゴ! フゴフゴゴゴ!(おはようございます! プロデューサー、いますか!)」



P「おう、ここにいるぞ。今日も朝から元気だな、みちる」



みちる「ゴクン! えへへ、今日はプロデューサーにこの前のお礼を持ってきました!」



P「お礼……? あぁ、お前の誕生日の時のか。あれは誕生日プレゼントなんだから、お返しなんていらないぞ」



みちる「それじゃ、あたしの気が済みません! 担当アイドルの気持ちを受け止めるのもプロデューサーの務めですよ! はい、どうぞ!!」



P「……パンか。はは、いつも通りじゃないか」



みちる「はい! いつも通りです!」



P「それじゃ、いただきます」パクッ



みちる「どうですか?」



P「うまい。……いや、なんだろう、いつもより優しい感じがするというか……何というか心が満たされる感じがする……」



P「うん。うまく言葉には出来ないけど、すごく良いパンだ。……ありがとう」



みちる「当然です! あたしのパンには大切な人への、ありったけの気持ちがこもってますから!」







20:30│大原みちる 
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