2016年07月13日

白坂小梅のとある1日

朝、目覚まし時計が鳴りだすと、私の今日が始まる。





「ふわぁ……お、おはよう」







いつもの挨拶をして、まだ寝ぼけた顔でゆっくり……ゾンビみたいな動きで、身支度。



今日は、どんな1日になるのかな。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1467887785



朝食を食べてから、学校へ。





授業中は目立つから、おしゃべりはしない。



小さいころ、他の子には見えないって理解する前は、それで周りの子からからかわれたり、嘘つき呼ばわりされてたっけ。





だから今は、静かに授業を聞いてるんだ……ちょっと退屈だけど。



学校が終わったら、お仕事があるから事務所へ。



たしか今日は、幸子ちゃんと輝子ちゃんと一緒に雑誌のインタビュー。



2人に会えるの、嬉しいな。







「おはようございます、小梅さん、輝子さん」



「幸子ちゃん……もう、こんにちは……だよ?」



「あ、あれか、そのほうがギョーカイジンって感じだもんな……フヒヒ」





事務所の応接室にみんなが集まる。

「揃ったな。じゃあもうすぐ記者さん来るから、それまでに着替えるように」





と、プロデューサーさん。



幸子ちゃんや輝子ちゃんも、学校の制服。3人とも違う制服だから、なんだか面白い、かも。





「な、なぁ親友……なんで、わざわざ着替えるんだ……インタビューだろう?」



「そのインタビュー風景を撮って一緒に掲載するからな、流石に通ってる学校の制服はまずいだろう」



「それは、そうだね……うん、わかった」



「では早めに着替えにいきましょう。ボクは何を着てもカワイイですからね!」





……2人の制服姿、新鮮だからもっと見てたかったな。

「今日はよろしくお願いします」



「はい、よろしくお願いします!」



「テーマを出しますので、それについて3人で自由に話して下さい。インタビューというより、対談形式になります」





インタビューと聞いて身構えしてたみたいだけど、それなら大丈夫そうかな?





「うん、その方が……き、緊張しないで、話せる、ね……」



「あぁ……私も嬉しいぞ、フヒッ」



「緊張せずにいつものおしゃべりのように、ですね!」



「そういうことです。写真もその様子をどんどん抜いていくので、目線なども気にしないでください。自然なリラックスした表情でお願いします」

『まずは、そのユニークなユニット名について、何かエピソード等ありましたら』



「そもそも、この3人で正式なユニットと決まってたわけじゃないんですよね」



「うん……撮影のお仕事で、偶然、3人固まったんだよね」



「そこで、チーム名が必要だから何か考えてって言われて……」



「深く考えず決めましたけど、まさかそのままユニットまで組むことになるなんて……わかってたらもっとちゃんとした名前にしてましたよ!」



「で、でもインパクトはあるよな……フヒヒ」



「覚えやすいし……私はこれでよかったかなって、思うよ……?」



「まぁ、このカワイイボクがメンバーにいるユニットだとすぐに解るのは、良いことですね!」







対談の間、カメラマンさんが色んな角度からシャッターを切っている。



前から。斜めから。少し引き目に。一人ひとりをアップで。



みんな素敵な表情をして、それにつられて、私も笑顔になる。



……やっぱり、みんなでおしゃべりしてる時が、一番楽しいの、かも。

「ありがとうございました、今日はこれで以上です。プロデューサーさん、どこか削る所ありましたか?」



「いえ、事務所的にNGを出す部分もなかったですね、全文から使ってくれて構いません。幸子の発言数が多くなり過ぎないように、3人のバランス取ってもらえたら幸いです」



「ではそのように。出来上がったらまたご連絡しますので。お疲れ様でした」



「ありがとうございました!」





記者さんたちが撤収していく。何だかあっという間、だったなぁ……。





「よし、お前らもお疲れ。良かったぞ、いい記事になりそうだ」



「フフーン!ボクがいるから当然です!」



「あぁ、幸子はうまく2人の会話を引き出してたな。偉いぞ」



「そうでしょう!ほら、もっとちゃんと撫でてください!」





幸子ちゃんが、髪の毛をくしゃくしゃにされている。



ちょっと、羨ましい……。





「し、親友……私も頑張ったぞ……!」



「プロデューサーさん、わ、私も……!あの、だから……その……」





私も、頭撫でられたいな……なんて。

夕焼けの中、並んで歩く帰り道。



プロデューサーさんはまだお仕事があるから、送れなくてごめんって謝ってたけど。



みんなと一緒の時間が長くなるから、私はいいかなって、そう思う。





「夕方なのに暑いし、まだまだ太陽が眩しいな……」





と、輝子ちゃんがつぶやく。



私も明るい所より暗い方が好き。

「もうすぐ夏ですからねぇ……コンビニでアイスでも買っていきます?」



「今食べたら、晩ごはん、入らなくなっちゃうよ……?」



「小梅ちゃんは、小食だからな」



「小梅さんはもう少し食べた方がいいと思いますよ」





それは私も思う。





「そう……?別に、大丈夫だよ……?」



「まぁ、3人ともそんなに食べる方じゃないし……」



「確かにボクも人のこと言えないかも知れませんね。あ、2人とも料理できます?」



「わ、私は……あんまり……」



「トモダチを使ったキノコ料理なら、いくつか作れる……フヒヒ……」



「そこでトモダチって表現すると怖いですよ」



「友達を調理するって……スプラッター映画で、ありそうだよね……えへへ」



「小梅さんも良い笑顔で何言ってるんですか!」







さっきまであんなにおしゃべりしてたのに、全然会話が途切れない。



みんな、ほんとに仲良しなんだなって。

晩ごはんを食べて、お風呂に入って、ちょっと勉強したりして……あっという間に、もう寝る時間。



目覚まし時計のセットを確認して、ベッドに潜り込む。





そこから、最後のおしゃべりの時間。



今日あったこと、2人でお話するんだ。

「あのね、今日……何度も、寂しそうな顔してたよね……?」





そっか、気付いてたんだ。





「私……幸子ちゃんも輝子ちゃんも、親友だと思ってるけど……私たちは小さいころから、ずっと一緒だから……負けないくらい、特別だよ……」





……うん、ありがとう。





ほら、眠そうな顔してるよ。また明日、お話ししよう。



おやすみ、小梅ちゃん。





「うん……おやすみ」

後日談





「んー、これはやっぱり……」



「プロデューサーさん、どうかしたの……?」



「小梅か、丁度良かった。ほら、こないだ142'sの3人で対談したよな?その件で至急確認お願いしますって連絡がきてな」



「お、覚えてるけど……なにか、問題があったの……?」



「問題ってわけじゃないんだが……この3人並んでる写真を見てくれ。ここの小梅と幸子の間に」



「……あ、」



「確認なんだが……これって」





ごめんなさい……





「あの子が『ごめんなさい』って言ってる、よ……」



23:30│白坂小梅 
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