2016年07月18日
夕美「ここにしか咲かない花」
注意
・夕美ちゃんとPと時々ちひろさんしか出ません
・6月15日に発売されたPassion jewelries!003の話です
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468001506
夕美「…ってホントっ!?」
P「あぁ!そうだ!今回のjewelriesで夕美が歌うカバー曲はコブクロさんの『ここにしか咲かない花』に決まったんだ!」
夕美「それ、コブクロさんの曲、あんまり詳しくない私でも聴いたことがある有名な曲だ!楽しみだな♪」
P「俺だけじゃなく、他のプロデューサー達も夕美が歌うってわかって納得してくれたよ。きっとファンも気に入ってくれるはずだ!」
夕美「そうだといいな♪あ、そうだ!この曲が入ってるCD買ってきてちゃんと聴き直してみようかな」
P「そうだな。まだ曲が決まっただけで詳細はこれからだからCD聴いたり、カラオケで試しに歌ってみたらいいんじゃないか?」
夕美「だよねっ!じゃあ、お花に水もあげたからさっそく行ってくるねっ!行ってきます!」
P「ま、待て待て!今日はこの後すぐに雑誌の取材があっただろ!?」
夕美「あ、そっかぁ…でもすぐ戻ってくるよ?行ってきちゃダメ?」
P「う、うぐ…」
ちひろ「もう!ダメですよ、Pさん!記者の方すぐにお見えになるんですから!」
夕美「はぁ…やっぱりだめかぁ……」
P「そ、そうだ!そうだぞ!(ちひろさん、いたのか……)」
ちひろ「まったく…Pさんは相変わらず押しに弱いんですね(逆に何故いないと思ったんですか)」
P(こいつ、直接脳内に…!?)
夕美「ちひろさん、それ本当ですか?いいこと聞いちゃった♪」
P(こいつ、これからちょくちょくおねがいに…!?)
ちひろ「なんなら取材が終わった後にでも、一緒にCD買ってきたらどうです?」
夕美「それいいねっ!Pさん、一緒に行こ?」
P「うぇ…」
夕美「嫌、かな…?Pさんも忙しいもんね……」
P「い、いや違う!今のはウィって言ったんだ!黒井社長リスペクトだ!(あぁ…今月はちょっと美味しいもの食べに行こうと思ってたんだけどなぁ……)」
ちひろ「あ、支払いはPさんでお願いしますね」
P「???…そりゃ一緒に行くんだから夕美に払わせるわけないじゃないですか」
ちひろ「」←経費で落とせるのに全然そういう交渉してこない上に謎の気前の良さを発揮するPのことが理解できない顔
夕美「一緒に行ってくれるの?えへへ♪Pさんありがとっ」
P「わかったわかった。ちゃんと一緒に行くから取材はきっちり受けてくれよ?」
夕美「はーい!」
ちひろ(まるで甘え上手な妹と妹にダダ甘なお兄ちゃんね)
────────
次の日
夕美「うーん…」
P「おっ?夕美が事務所で音楽プレーヤー出してるなんて珍しいな。花のお世話とか他の子とお喋りとかもしないでどうしたんだ?」
夕美「あ、Pさん!実は昨日買ってもらったアルバムをこれに入れて繰り返し聴いてたんだ」
P「そっかそっか、ベストアルバムだから聴いたことのある曲も多かったんじゃないか?」
夕美「そうだね、素敵な曲がいっぱいで何回も聴いてたら大好きになっちゃった!今までコブクロさんの曲をじっくり聴いたことなかったから他のアルバムの曲も聴いてみたいなぁ」
P「随分気に入ったみたいで何よりだ」
夕美「……でもね?」
P「うん?」
夕美「歌うってなったらすっごい難しいの…」
P「あー、そっか。そりゃそうだよな…」
夕美「あんなに力強い声が出せないな、とかハモリの部分はどうするんだろう、とか色々考えちゃうんだ……」
P「うーん…」
夕美「Pさん?」
P「むぅ……」
夕美「Pさーん?」
P「これは夕美に伝えるつもりはなかったんだけど…」
夕美「だけど?」
P「今、夕美が悩んでいるのなら逆に言うべき事なのかも知れないな……」
夕美「もう!そんな言われ方すると気になっちゃうよっ」
P「あぁ、ごめんな。実は他のプロデューサーの一部には夕美にこの曲は適してないんじゃないかっていう声もあったんだ」
夕美「……え?」
P「いやいや!ネガティブな意見じゃなくてだな!夕美にはもっと元気が出るような明るい曲調の方が合ってるんじゃないか、みたいなのだぞ!?」
夕美「でも、それだけじゃないんだよね…?」
P「うぐっ……確かにそれだけじゃなくて夕美があの2人の力強い曲を歌うのは難しいだろうとか互いの魅力を損なうんじゃないかとかも言われはした」
夕美「やっぱりそうだよね…」
P「だけど!このことをあえて伝えたのは理由があるんだ。夕美にはそれに気づいて欲しい」
夕美「今の話を聞いて気づくことなんて、やっぱり私には難しいんじゃないかなってことくらいだよ……」
P「……」
夕美「花をイメージ出来るような曲を選んだのかも知れないけど、花がモチーフの曲は他にもあるよね?どうしてこの曲になったんだろう…」
P「……イメージが先行した面も確かにあるんだろうけど、それだけじゃないはずだし、たぶん夕美は少し勘違いをしているんだと思う」
夕美「勘違い?」
P「あぁ、カバーはコピーじゃない。だからカバーする側は本元の魅力を損なわせてしまうんじゃないかという心配をするよりも、曲の魅力を別の方向から引き出す努力をしなければいけないんだ。夕美にはこのことに気づいてもらいたかった」
夕美「あの2人みたいな力強い歌声じゃなくても私なりの方法で曲の魅力を引き出すべきだ…ってこと?」
P「曲自体の難易度に対する解決にはならないかもしれないが、そのためには明るい曲調のlilac timeの時とは違った夕美らしさをみせなきゃいけないんじゃないかと俺は思ってる」
夕美「新しい私らしさ…」
P「そしてそれが夕美の魅力だけじゃなくて曲自体に新たな可能性を持たせるんだ。夕美のカバーと原曲で違った良さがあっていいじゃないか」
夕美「そう、なのかな?…私が私らしく歌えば、それが私にとっても曲にとっても新しい魅力になるのかな?」
P「今はまだはっきりとわからなくてもいいよ。レコーディングの時まで一緒に目一杯悩もう」
夕美「うん、わかった……」
────────
レコーディング日
P「あれから何回か話し合ったりしたけど、今の気分はどうだ?」
夕美「正直なことを言うとまだ不安でいっぱいだよ。でも、真っ直ぐな気持ちで歌うことは出来ると思う」
P「そうか…」
夕美「……ねぇ、Pさん?」
P「ん、なんだ?」
夕美「Pさんは私がこの曲を歌うのは花がモチーフだからってだけじゃないって言ってたよね。結局それ以外の理由って聞いてなかったから教えてくれないかな?」
P「あぁ、そういえばあの時はそこまで言わなかったな。でもそれは決まった時に言われたものじゃなくて、俺が個人的にこの曲は夕美に合ってるって思った理由なんだがそれでもいいか?」
夕美「うん!私はむしろそっちの方が聞きたいな」
P「わかった……実はこの曲が夕美にぴったりだと思った理由の根拠は、ライブ後の夕美の言葉なんだ」
夕美「ええっ!?そうだったの!?」
P「あぁ……初めての大きなステージに立った後、夕美は────」
『私のステージでみんなの笑顔が咲いて……アイドルになってよかった』
『最初に言ったよね。お花を育てるのと似てるって。私を咲かせてくれた、プロデュースと同じってことだったんだ』
『でも、お花はずっとお世話してあげたら何度でも咲くよ。だから、私も…たくさん咲かせてくれたらうれしいなっ♪』
P「──って言ったんだ」
夕美「えへへ…なんだか恥ずかしいな。でも、その時のことちゃんと覚えてるよ」
P「やっぱり夕美も覚えてたか……俺はここにしか咲かない花を夕美が歌うって聞いたとき、アイドル相葉夕美はファンの前で何度でも咲く『ここにしか咲かない花』なんじゃないかって、この言葉を思い出しながら考えたんだ」
夕美「そっか…アイドルは応援してくれるファンがいなきゃアイドルとは言えないもんね」
P「それにこの曲は変わらないものの優しさや、出会いと別れの中で生まれる生きている証を歌っているように俺は思える。それってステージの上で何度でも咲いて日々新たな一面を見せるけど根元は変わらない相葉夕美っていう花に合ってるんじゃないかな」
夕美「…ふふっそうかな?でも、Pさんかっこつけすぎだよっ」
P「…やっぱりそう思う?実は自分でもそう思うし、こじつけに近いかもなって気がしたから今まで言えなかったんだ」
夕美「えー?そんな理由で今まで教えてくれなかったの?ずるいなぁ…」
P「柄にもないこと言ってる自覚はあるから恥ずかしいんだよ……そういえば、夕美だってここにしか咲かない花がどんな花なのか考えたりしたことはあるんじゃないのか?」
夕美「うん、あるよっ♪でも奇遇だね」
P「奇遇?」
夕美「私にとってのここにしか咲かない花はファンのみんななんだ。Pさんの考えとは真逆のようでなんか似てるよね」
P「あー……なるほど。そういえば『みんなの笑顔が咲いた』って言ってたもんな。確かに視点が違うだけで考え方は似ているかも…」
夕美「でしょ?みんなの笑顔もそうだしライブの時なんかはステージから見るとサイリウムが風に揺れる一面の花畑にも見えるんだ♪アイドル相葉夕美を変わらずに待ってくれる優しい場所……」
P「それはステージに立つ夕美にしか見えない光景だなぁ」
夕美「うん、だからあの景色をまた見たくて私も何度でも咲きたいって感じるんだろうね。花弁がサイリウムの色で、花言葉が『優しい場所』とか『変わらずに待つ』だったりする花を見に……なんてね♪」
P「…あまり心配はしてなかったけど、もう大丈夫そうだな」
夕美「えっ?」
P「今の優しい表情の夕美は十分に魅力的だよ。夕美らしさが出て、それでいて新たな一面が見えそうな…そんな顔だ」
夕美「そっか…これでいいのかな……」
P「そうそう、前に言った言葉で混乱させちゃったのかもってちょっと不安だったんだけど今なら問題ないさ。『どんなときも 私らしく笑って 過ごしたい』んだろう?」
夕美「えっあっ…lilac timeの歌詞!……そうだね、どんな私でも私は私!私らしさはちゃんと繋がってるんだねっ」
P「そうそう、元気なだけじゃなくて優しい一面も夕美の一部だろ?人が色んな面を持つのは不自然なことじゃない。こんなにも色んな魅力があるんだったら見せないのは勿体無いよ」
夕美「私、いつもの私らしくないって言われるのが怖かったのかも…でも普段見せない一面、って意味なら良いのかも!」
P「よし、夕美の調子も良さそうだし、丁度いい時間だな。レコーディングに向かおう!」
夕美「うん!ありがとう、Pさんっ♪」
────その後のレコーディングで、夕美は優しい声でここにしか咲かない花を歌いきった。
その時の顔は、また何度でもみたいと思わせるような魅力的な笑顔だった。
誰よりも近くでこの笑顔が見れるなんてファンが知ったら羨むだろうな……
だけど、この笑顔とこの声がファンの元へちゃんと届くようにするのが俺の仕事だ…!
なんだか励ましたつもりなのに、こっちがやる気もらっちゃったな。これからもプロデュース頑張ろう……!
おわり
おまけ
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数日後
ちひろ「話は聞きましたけど、なんで最初からこの曲は夕美ちゃんに合ってるっていうPさんの思いを伝えてあげなかったんですか?」
P「え、あ、いきなりですね……いやー…まぁ恥ずかしかったですし悩む時間も夕美のこれからのために必要だと思ったので…」
ちひろ「…そうですか。じゃあPさんが一般応募のリクエストでこの曲を送っていて、それが通ったっていうのを伝えなかった理由は?」
P「それは、俺だけがこの曲をリクエストしたわけじゃなかったみたいです…し……ってなんで知ってるんですか」
ちひろ「私、選考する側ですもん♪」
P「……初耳なんですけど!?」
ちひろ「言ってないですからねー。というかプロデューサーのみなさんよりも公正な選考が出来て、上役の方たちよりもアイドルのみんなを近くで見ている私は選考役にぴったりだと思いませんか?」
P「た、確かに…(だからってただの事務員には絶対回ってこない役回りだぞ!?)」
ちひろ「あ、なんか変なこと考えてますね?」
P「い、いや…あ!それにしたって俺の投稿時の名前を知ってるのおかしくないですか!?(ナチュラルに心を読むなよ…)」
ちひろ「あぁ、だってPさんその名前でソーシャルゲームとかやったりしてるじゃないですか。課金額をチェックしてる身としてはなんか覚えちゃってたんですよねー」
P「なにそれこわい」
ちひろ「なにも怖いことないですよ!課金はうちが提携してるところのゲームなんで特に止めてないですし、その情報だってPさんの懐に余裕のある時にドリンクをすぐ勧めれるように配慮した結果なんですから!」
P「違う、そうじゃない…というか普通に怖いんですけど!?なんで人の懐具合と課金額を知ってるんですか!変な配慮で個人情報抜き取らないでくださいよ!」
ちひろ「Pさんが欲しくなって自主的にドリンクを買う、私がPさんの余裕のある時を見計らってドリンクをおすすめする。そこになんの違いもありはしないじゃないですか!」
P「違うのだ!…というかちひろさん、僕が押しに弱いの知ってるじゃないですか!余裕があっても結局なくなるまで削られてたら意味が無いんですよ!」
ちひろ「……バレましたか」
P「……」
ちひろ「そういえばPさん、前に夕美ちゃんにCD買ってあげてましたけどあれ経費で落とせるって知ってました?」
P「なんで今言うんですか……」
ちひろ「いやーつい言うの忘れてました。でも、これで今月は外食出来なかった代わりにドリンク買うことができますね!」
P(もう、何も言うまい…)チャリンチャリン
ちひろ「お買い上げありがとうございます♪」
本当におわり
20:30│相葉夕美