2016年07月22日
美希「記憶?」伊織「喪失?」
ザーザー バシャバシャ
伊織「今日も凄い雨ね、車で学校まで迎えに来てもらえばよかったわ」
伊織「今日も凄い雨ね、車で学校まで迎えに来てもらえばよかったわ」
ニャーニャー
伊織「ん?猫の声?」
美希「ニャーニャー」
伊織「ってなにあれ、道路の真ん中で何やってんのよあの子。ん?子猫がいる?怪我してるの??」
美希「ネコさん大丈夫なの?」
伊織「動けないのかしら……あ!!危ないトラックが!」
美希「……!?」ビクッ
伊織「危ない!!」ダッ
キキー
ドスン!!!!!
ワーワー女の子が二人弾かれたぞ!!救急車だ!!早く
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伊織「ん……。ここは……。病室?」
美希「あ!目が覚めた??」
伊織「うっ頭が痛ッ!」
美希「無理しちゃ駄目だよ、頭打ってるみたいだし」
伊織「アンタ……」
美希「美希たちトラックに轢かれたらしいの」
伊織「それで私たち病院のベッドの上なのね……」
美希「トラック……ただ美希なにがあったか詳しく思い出せないの……」
伊織「わたしも全然思い出せない、轢かれたってことはなんとなく覚えているけど」
美希「記憶喪失ってやつらしいの。お医者さんが言ってたの、ドラマでよく見るやつ!!」
伊織「記憶喪失……?自分のことや家族のことは思い出せるけど、他はもやもやして思い出せないわ」
美希「美希も似たような感じなの……、ただお医者さんが言うには事故のショックによる一時的なものらしいの。落ち着いてくれば元に戻るんじゃないかな」
伊織「そうなの……何か大切なことも忘れているような。美希ってのがあんたの名前?」
美希「そうなの、美希なの」
伊織「美希……ねえ。どこかで会った気がするんだけど。元々知り合いなの?私たち」
美希「んーん、わかんない。忘れてるだけかもなの」
美希「多分トラックに轢かれる直前に顔を見たんじゃないの??」
伊織「なるほど、そうかしらね」
美希「デコちゃんはなんて名前なの?」
伊織「デコちゃんて……見た目で変なあだ名つけないでよ、伊織よ水瀬伊織」
美希「むむ、みなせ……。覚えにくいの。デコちゃんでいい?」
伊織「よくないわよ、全く」ハァ
伊織「それにしても二人してトラックに轢かれるなんてドジもいいとこね、記憶……はともかくお互いに大きな怪我じゃなさそうで良かったわ、少しの間は入院生活になりそうだけど」
美希「学校休めてラッキーなの」
伊織「アンタって子は……。学校ね、まあ少しの間お休みね。うーん……、何かほかにも引っかかることがあるような」
美希「……思い出せないね、美希も何かあったような。あー、みんなお見舞いに来てくれるかなー」
伊織「みんな?ああ、お友達??」
美希「ちゃんと思い出せないけど、美希たくさん友達がいると思うな、デコちゃんは友達いないの?」
伊織「いない前提をやめなさいよ、私にもそりゃいるわよ、多分。そんな気がする」
美希「じゃ、今頃みんな心配してるかもね!」
伊織「そうね」
美希「んー、デコちゃんが一緒の病室で良かったの!」
伊織「?」
美希「お喋り出来る相手がいないと美希つまんないの」
伊織「ああ」
伊織「それはお互い様ね、暇で暇で死ぬことはなさそうだわ」
美希「デコちゃんの寝顔ずーっと眺めてたけど、なんだか仲良くなれそうな気だけはしてたの!」
伊織「ずーっとって……怖いわね」
数日後
美希「それでねそれでね!」
伊織「はいはい、その話はなんども聞いたわよ」
美希「デコちゃんのけちー」
伊織「デコちゃんいうな!」
カラカラ
美希「あ!看護婦さん!」
看護婦「はーい、看護婦さんですよ〜。ご飯持ってきたわよ〜」
美希「やったの!お腹ペコペコなの」
伊織「病院食もさすがに飽きてきたわね」
美希「病院食嫌いなの??デコちゃん子供みたい」
伊織「まだ年齢的には全然子供よ……」
看護婦「はいはい、ちゃんと食べるのよ〜」パカ
美希「と、豆腐があるの……美希豆腐は味がなくてあまり…」
伊織「お子様ね」
美希「美希も子供でいいの……」
看護婦「はいじゃあかわうぃーお二人さん仲良くね〜」
カラカラ
美希「美希おにぎりだけで十分生きていけるの」
伊織「おにぎりだけって……」
美希「後はイチゴババロアとか?」
伊織「あー好きそうねそういうの、そんな気がするわ。ただ病院じゃ絶対出ないわね」
美希「横暴なのデモ行進なの……」
伊織「どこでそういう言葉覚えるのよ」
また数日後
伊織「美希記憶の方はどう?」
美希「学校のこととか思い出してきたの!治ってまた学校に通う日が迫ってると考えると鬱になるの」
伊織「なんなのそのキャラ」
美希「冗談なの」
伊織「めんどくさいキャラね」
美希「勉強がめんどくさいのは本当なの。デコちゃんはどうなの?」
伊織「私も学校のことは割りとね、あとお仕事のことも少し」
美希「デコちゃん働いてるの?」
伊織「全部思い出せたわけじゃないけどね、家のことで。ほら水瀬財閥の娘ということで色んな業界の人に挨拶してりね、色々あるのよ。それだけじゃなかった気もするけど」
美希「……ふーん」
美希「美希もやっぱりまだ完全には思い出せてない気がするの」
数日後
医者「怪我の具合はふたりともかなりよくなったね。記憶の方もだいぶ戻ったんじゃないのかな」
看護婦「良かったわね、二人とも」
伊織「おかげさまで。ありがとうございます」
美希「なにかまだ忘れてるような??引っかかるような??」
伊織「あれだけ自分のことたくさん話しておいてまだ思い出してないことがあるの?」
美希「うーん」
医者「まあ事故のショックはこの数日で抜けているはずだからこのまま忘れっぱなしということにはならないはずだよ」
医者「数日後には二人とも退院だ!」
美希「つ、ついにこの日が来たの……!」
伊織「どんだけ学校が嫌なのよ」
医者「たぶん同じ日に退院という形になるからそれまで仲良くね」
看護婦「美希ちゃん伊織ちゃんお別れなんて寂しいわ」
美希「美希も寂しいけどまた遊びにくるの!」
伊織「アンタまたトラックに轢かれるつもりじゃないでしょうね……」
看護婦「怪我なんてしなくても会いにきてもいいのよ」
美希「そうするの!」
退院の日
ワラワラワラ 病院外 駐車場
伊織「まさかアンタと退院の時間タイミングまで同じとはね、変な縁だったわ」
美希「家族の迎えの都合もあるからね!」
伊織「私たちの親同士とお医者さんずいぶん話しこんでるみたいね」
美希「楽しそうなの!もし二人とも運悪く死んでたらあんなに笑いながら話せないの!」
伊織「アンタ凄い想像するわね」アキレ
伊織「そういえば全部思い出せたの?」
美希「大切な何かを忘れてるような気もするの」
伊織「……」
美希「……」
ニャー
美希伊織「!!!!!」
美希「子猫なの!」
伊織「あ!」
美希「思い出したの!あの時トラックから子猫を守ろうとしたんだったの!」
伊織「私も思い出したわ。そう猫だったわね。」
美希「これで”全部”思い出したの」
伊織「そう?良かったわ」
美希「さすがにあの時の猫が無事かはわからないの」
伊織「私も特徴まで覚えてないわ。無事なことを信じましょ」
美希「なの」
ダダっ
看護婦「美希ちゃん伊織ちゃん!!!」ダキッ
美希伊織「!!」
看護婦「可愛い二人がいなくなるなんて寂しいわー」
美希「くすぐったいの!」
伊織「ちょちょちょっと恥ずかしいじゃない!」
看護婦「恥ずかしいってまたまた、まだ子供じゃない、お姉さんに甘えなさい!はー、ほんとにかわうぃー、いっそのことアイドルになったらどうなの??」
伊織「アイドル……?」
美希「それすっごいいいの!!デコちゃんも一緒にやろ!」
伊織「なによそれ強引ね、私はうちのこともあるし…」
カンゴフ―シゴトダゾ―
看護婦「あらら呼ばれてるみたい」
美希「じゃあ今度、前にもらった連絡先にまた電話するの☆」
伊織「いつの間にそんな交換を……」
看護婦「ふふ、病院の番号だけどね。また今後会えるの楽しみにしてるわ。またね」
伊織「じゃあ看護婦さんごきげんよう」
美希「さよならなの」
ミキーカエルゾ―、イオリオジョウサマカエリマスヨ
美希「もうそんな時間なの!」
伊織「アンタともとうとうお別れね」
美希「これから会えなくなるなんて寂しくなるの」
伊織「なんでよ、あの看護婦みたいに私にも会いなさいよ」
美希「いいの?」
伊織「変な縁だしね。仲良くなる運命だったのよきっと」
伊織「あんたケータイ持ってないの?また連絡するわ」
美希「持ってるわけないの」
美希「だって美希まだ”小学生”だよ。デコちゃんみたいにお嬢様じゃないし…」
伊織「そっか仕方ないわね」
ミキーイクゾ―
伊織「呼んでるわよ、それじゃごきげんよう」
美希「バイバイなの〜」
バタン!ブーーーン
5年後
P「この事務所に新たなアイドルの卵が入社してくれたぞ!みんな!」
美希「星井美希なの!よろしくなの!!」
ワーワーヨロシクーカワイー
伊織「!?」
伊織「なななななななんであんたが……!」
P「どうした?知り合いか?」
美希「!? デコちゃん久しぶり!なんでここにいるの??」
伊織「それは、その……アイドルやりたくて?」
美希「なんで疑問形なの」
P「いきなり仲良さそうでよかった、安心だよ。で、どんな関係なんだ?」
美希「いっしょにトラックで轢かれたの」
P「えっ!!??」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
伊織「そういえばあの看護婦に会いに行ってるの?」
美希「あのね、今は看護婦じゃなくて看護師っていうんだよ」
伊織「そういえばそんな決まりも出来てたわね」
美希「たまにだけど、会いに行ってるの!!」
伊織「そういえばこの事務所あの病院の医者の娘いるわよ」
美希「そうなの!?」
伊織「それにしてもアンタがアイドルねえ、まあ似合ってるんじゃない?」
美希「デコちゃんもアイドルー!って感じするの!」
伊織「そのデコちゃんってのも懐かしいわね」
美希「やめてって言わないの?」
伊織「もう今更よ」
美希「頑張ってかわうぃーアイドル目指そうね」
伊織「はいはい」
短いけどおしまい