2016年09月07日
瑞希「プロデューサー、クンカーとはキモいものなのでしょうか?」
瑞希「教えて下さい」
P「」
瑞希「」
P「」
瑞希「」
P「…今日は忙しかったもんな。麦茶でも飲むか?」
瑞希「プロデューサー」
P「ひょっとしたら熱があるかもしれんぞ。大丈夫か? 雄っぱい揉む?」
瑞希「至って平熱ですし、雄っぱいは結構です。でも、麦茶はありがたく。……ごくごく」
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P「"真壁瑞希のぽかぽかラジオ"に寄せられたお便り、ねぇ」
瑞希「はい。『ちょっと気になること』というテーマだったのですが」
PN:蒼の波動
真壁さん、こんばんわ。いつも楽しく聞かせて貰ってます。
私は旦那の匂いを嗅ぐのが大好きな、いわゆる"クンカー"な女です。
旦那の仕事が忙しくて会えない時にはこっそりハンカチやスーツの匂いを嗅いでしまいます。
でも、この間知り合いに「そんなことしてると嫌われちゃいますよぉ」なんて言われてしまいました。
これって正直キモいですか? 教えてください。
P「これまた、ドえらいのが来たなぁ」
瑞希「………照れます」
P「いや、褒めてないからね」
P「結局のところ、この質問には答えたのか?」
瑞希「いえ、実際に読むことはありませんでした。ゲストに来られた宮尾さんのトークで大幅に収録時間が押していましたので」
瑞希「ですが、気になってしまって…」
瑞希「『人が身に着けているものを勝手に嗅ぐ』という点だけ見てしまうとクンカーにあまり良い印象はありません」
瑞希「一方で『好きな人に会えない寂しさをその人の匂いで紛らわす』と見てしまうとクンカーにいじらしさを感じてしまいます。それに…」
P「それに?」
瑞希「人の匂いにあまり興味がなかったもので、『異性からいい匂いがする』という感覚がよくわかりません」
瑞希「プロデューサー、仮にまた同じ質問が来た場合は何と答えたら良いのでしょうか? ……難題だぞ」
P「いや、仮も何もそんな質問は二度とないと思うけど―― そうだなぁ……」
ガチャ
可憐「お、おはようございます…」
P「可憐か。おはよう」
瑞希「おはようございます。篠宮さん」
可憐「み、瑞希さんもおはようございます…」ガサッ
瑞希(紙袋?)
P「おっ、そういえば"交換"しないとな。ちょっと待っててくれるか?」ガサゴソ
可憐「はいっ」
瑞希(交換?)
瑞希(篠宮さんの持っている紙袋とプロデューサーの持ち出した紙袋を交換…)
瑞希(中身は何だろう? むむむ…)
可憐「じゃあ、これをロッカーに置いてくるついでに着替えてきますね」
P「まだ、レッスンまで時間はあるからな。ゆっくりでいいぞ」
可憐「わ、わかりました。では…」
ガチャ、トトト…
瑞希「プロデューサー、何を交換されたんですか? 日記ですか? 中学生ですか?」
P「発想がすごく甘酸っぱいけど、それはないから」
瑞希「では、私でよければお相手を」
P「……冗談?」
瑞希「はい」
P「ほんの少し喜んだ自分に悲しくなりました」チョップー
瑞希「いたた。………ごめんなさい」
P「あの中身は―― その、俺のYシャツとか、靴下だよ。流石に下着はないけどな」
瑞希「えっ?」
P「営業に支障が出ないよう、少ない手持ちでローテーション組んでマメに洗ってたんだけど…」
P「この仕事をやっている以上は生活リズムが不規則だろう?」
P「睡眠時間を洗う時間に回してたら、どうしても寝不足になっちゃってさ」
P「フラフラになってたところを可憐に見つかって、ポロっと愚痴をこぼしたんだ」
P「そしたら、『わ、私が洗います!』って言いだしちゃって。何度も断ったんだけど、とうとう押し切られちゃってなぁ」
P「それに返ってくる洗い物もシトラスの香りなんかついてて凄いんだ。寝不足のこともあるし、断り切れなくなっちゃって…」
瑞希「なるほど」
シーン…
P「や、やっぱり、おかしいよな? 自分で洗ったほうがいいよな! すぐに可憐から――」
瑞希「いえ、問題ないかと」
P「えっ?」
瑞希「プロデューサーが私達に最善を尽くしてくれるように、私達もプロデューサに最善を尽くしてあげたいです」
瑞希「頼り、頼られ支え合う。それは素敵なことだと思います。…………無理しないでほしいな」
P「瑞希…」ジーン
瑞希「と、いう訳で私もレッスンに備えて着替えてきます。それではー」
トトト…
P「瑞希…」ジーン
瑞希(そういえば、匂いのスペシャリストと言えば篠宮さんでした)
瑞希(プロデューサーよりも的確な意見を聞かせてくれるかもしれません。わくわく)
ガチャ
瑞希「篠宮さん。実はお話が…」
可憐「…んっ…はぁ…っ!」クンクン…
可憐「ぷ、ぷろでゅーさーさんのにおい、いっぱい…濃くて、たくましくて…」クンクン…
可憐「におい、すごい…よぉっ…! んんっ!」クンクン…ビクビク
瑞希「」
可憐「あ…」
死ーン…
瑞希「失礼しました。ごゆるりと」ガチャ
可憐「ま、待ってくださいっ…! これには理由が! 言い訳が〜っ…!」
――――――――――
瑞希「もしかして、篠宮さんはクンカーなのでしょうか?」
可憐「く、クンカー… ううっ。私、そうなんでしょうか… ち、違うような…」
瑞希「違うんですか?」
可憐「プロデューサーさんは、その、頼れる人というか… す、す、好きだからとかじゃなくて。傍にいるだけで… 安心出来るというだけで…」
可憐「そ、その… 質問された方とは違うと、思います」
瑞希「ふむふむ。好意と友愛は違う、ということですね」
可憐「えっ? い、いや、あの… その…」
可憐「…多分、そうです。はい…」
瑞希「わかりました。では、それはそれとして早速お聞きしたいのですが」ズイッ
可憐「えっ!? ひ、ひゃいっ!」
瑞希「ここ一週間の気温は35度越え。5分も外を歩けば汗が染みだしてきます」
瑞希「つまりこのYシャツには間違いなく、男性の汗という汗が凝縮されている」
瑞希「私は単純に汗"臭い"と思うのですが――」
可憐(く、臭い…? プロデューサーさんのが…?)ピクッ
瑞希「体臭に個人を想起させる要素がある場合、その個人に対する評価次第で"臭い"ものも良いものに思えるということなのでしょうか?」
瑞希「たとえば納豆の匂いをたくさんの人に嗅いで貰った時、『おいしそう』、『"臭い"』と評価が分かれますよね? あのようなモノなのかと…」
瑞希「あれ? でも納豆"臭い"だけじゃお腹が減る一方かな… やっぱりこの例えはナシで――」
可憐「」ブチッ
瑞希「?」
可憐「…嗅いでみませんか?」ニコリ
瑞希「えっ?」ゾクッ
可憐「大丈夫ですよ。た、確かめる為に嗅ぐだけなんですから」テクテク…
可憐「別に変なことじゃ、ありません…」
瑞希「いえ、私は。そんなつもりは――」アトズサリー
トン…
瑞希(壁際…!? い、いつの間に追い詰められて…)
可憐「さあ、どうぞ」
バサッ
瑞希「わぷっ!」
可憐「ゆっくり…長く、深呼吸をして下さい…」
瑞希「」
瑞希(何事も経験。い、一度だけ、なら。……ドキドキ)
スゥー…
瑞希「」
瑞希「」クンクン
瑞希「」クンクンクンクン……
瑞希「」クンクンクンクンクンクン……
瑞希「…………んっ///」ビクッ
可憐「…ふふっ…♪」
――――――――――
数日後
P「いやぁ、とうとうスーツの面倒まで見て貰っちゃって」
P「次のライブが終わったら、しっかりお礼は弾むからな」
可憐「は、はい…楽しみにしてます… てへ…♪」
瑞希「好きでやっていることですので、おかまいなく。…………きゅん///」
トトト…
P「アイドル達に仕事着を洗って貰える人生―― これ程に命を賭ける理由があろうものか」
P「あの子達の為にも、しっかり結果で答えなきゃならん!」
P「よし、今日も仕事だ! スパドリだ! 貯金よ唸れ! 借金回れ! 血反吐出しても頑張るぞ!」
カタカタ…
P「……それにしても」
???「あー、二人だけじゃ手ぇ足らんと思うし私も手伝おうかなー、なんて…///」
???「そ、そうよね。人出は多い方がいいと思うし… プロデューサー君も別にいいわよね?///」
???「おお〜、それなら私はアイロンを用意しておきますね〜///」
???「ギョーカイジンは身だしなみ一つでもうるさいんだから! 仕上がりはしっかりチェックしといてあげるね!///」
???「それなら、ファーストインプレッションをレイズする為にニューセンセーショナルなコーディネートも必要です!///」
???「あ、アイドルちゃん達の家庭的な一面もしっかり抑えておかなくては!///」
???「もう、みんなして仕方がないんだから… か、勘違いしないでください。麺棒を取りに行くだけです!///」
???「素直に手伝いに行くって言えばいいのに… 世話が焼けますよね…///」
P「」
P「……なんか、増えてなくない?」
おわり
08:30│真壁瑞希