2016年09月11日

晴「頼むから静かにしてろよ梨沙」梨沙「ンンーッ!ンー!」

【モバマスSS】です





――――事務所





晴「……」キョロキョロ



晴「……よし、他の奴らはいないな、今のうちに……」



梨沙「んん……ング……」モゴモゴ



晴「わわっ!? だからタオル外そうとするんじゃねえって! 今のお前喋ったらやばいんだぞ!?」グイ



梨沙「ンンー!!」モガモガ



晴「ああもう、とにかくさっさとちひろさん見つけねーとこんな所誰かに見られたら」



友紀「うん、ヤバイね」



晴「ああ、ほんとに……ってうわあああっ!? 友紀!? お前いつからそこに!?」



友紀「いや今来たところだけど……それよりもさ、晴ちゃん」ジーッ





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梨沙「ん、ング……ンンッ!」モゴモゴ



友紀「あんまり人の趣味をどうこう言うつもりはないけどね? そのね? そういう遊びはもうちょっと大きくなってからしたほうが……」



晴「ちげーよ!? 遊びじゃねえよ! 真剣なんだよこれは!」



友紀「ええっ!? そ、そんな……晴ちゃんがあたしの知らないところでイケナイ感じに大人に……///」



晴「ま、待てよ! 誤解! 誤解だッ! 変な意味じゃないって!!」



梨沙「ンン……」スリスリ



晴「ひゃ!? おい、梨沙やめろ!? この状況でじゃれついてくるな! 余計話がややこしく……!」



友紀「……あ、ごめん、どうもあたしはお邪魔だったみたいで……ビールを冷蔵庫から取り出したらすぐに帰るからあとはごゆっくり……」



晴「違う違う待て! お願いだから待て友紀! せめてそのニヤニヤした表情やめろぉ!」



友紀「えー、だって晴ちゃんがそんな、梨沙ちゃんの口をタオルで封じて甘えさせてるから……」





晴「だからこれには訳が……! あーもう、しょうがない! こうなったら友紀も梨沙を治すのに協力してくれ!」



友紀「治すって? 言っておくけどあたしそういう特殊な趣味についてはあんまり詳しくないよ?」



晴「だからこれは……とにかく見てもらうのが一番はえーぜ。今の梨沙すげえ変なんだ」シュルシュル



梨沙「ん!」



友紀「すでに目の前の光景が変だけどね? それでタオル外してなにが」



梨沙「ぷは……がうっ!」



友紀「え」



梨沙「がおがお! がおーっ♪」スリスリ



晴「な?」ナデナデ



友紀「……え、え、え? 待って、なにその、どういうこと?」





晴「オレにもよくわかんねえよ。ただ梨沙の奴、今朝からずっと「がお」や「がう」とかしか喋らなくなっちまったんだ」



友紀「それで晴ちゃんが今、頭や喉を撫でてあげてるのはなんで?」



晴「がおがお言い始めてからなんか妙に猫みたいにじゃれついてくるようになってさ。こうしてやると落ち着くんだよ今の梨沙」



梨沙「♪」ゴロゴロ



友紀「……うそぉ」



晴「ほんとなんだって! だから困ってて、どうにかするために事務所に連れてきたんだ」



友紀「もしかしてさっきタオルで口封じてたのは」



晴「外でいきなり「がお!」とか言い始めたらヤバイから、とにかく喋らせないようにしようと思って……」



友紀「……むしろそっちのほうがまずい光景だったような気がするけど、まぁうん、状況は分かった。それで事務所に連れてきたのは」



晴「こういうのちひろさんならどうにか出来るだろ? だからその、力借りようと思って……」





友紀「あぁ、やっぱりそうか……でも晴ちゃん、残念なことだけど、今ちひろさん事務所にいないんだよね……」



晴「えっ、なんで!?」



友紀「なんでも総選挙の後始末が忙しいとかで出かけてて、戻るのは明日になるってホワイトボードに」



晴「そ、そんなはず! ……うわぁマジだ、どうしよう……」



梨沙「がうー?」ペシペシ



晴「ああうん慰めなくていいから。とりあえずじっとしてろ梨沙」



梨沙「がお……」シュン



友紀「……気のせいかな、一瞬梨沙ちゃんにネコミミみたいなのと尻尾が見えたんだけど」



晴「あ、やっぱり友紀もなのか。なんかこうなってから時々耳とか尻尾が梨沙にチラチラ見えるんだよ。これ絶対ヤバイよなぁ」



友紀「まぁ、少なくともこのままじゃ確実に特定の人には見せられないね。絶対梨沙ちゃんの身が危ない」





――――城ヶ崎家



美嘉「くしゅん!」



莉嘉「お姉ちゃん風邪?」カリカリ



美嘉「うーんなんだろ、だれかアタシのウワサをしてる気が」



莉嘉「……気のせいじゃない? それよりもお姉ちゃん、ちゃんと莉嘉を見て、アタシを見て」



美嘉「はいはい、分かってますって。ほら、そこの計算式間違ってるよ」





――――事務所



晴「……うん、なんだ? 今すごい寒気が」



友紀「あたしも感じた……悪寒っていうのかな……梨沙ちゃんがこの状態でいるのは本当にまずいってことかな」



晴「そうだよな……友紀、どうしたらいいと思う?」



友紀「うーん、まずどうして梨沙ちゃんがこうなったとか、思い当たることはない?」



晴「とくには……昨日、動物園の仕事から帰ってきた時はすげえ楽しそうにしてたけど、いつもの梨沙だったし……」



友紀「あぁ、あの色んな動物と触れ合うテレビ番組のリポーターになったんだっけ梨沙ちゃん」



晴「そうそう、それで昨日はその話ばっかされてさ、特にホワイトタイガーが可愛かったって言ってたなぁ……まさかそれが?」ジッ



友紀「言われてみれば虎もネコ科か……」ジッ



梨沙「がう?」



晴「……いやでも、流石に関係ないか。ホワイトタイガーが可愛かったからって、梨沙がこうなる原因とは思えないし」





友紀「でも梨沙ちゃんの行動が猫っぽいのは事実だね……ボールとかあげたらじゃれつくかな?」



晴「まさか、いくらなんでもそこまで」



友紀「何事も試すのが一番! というわけで持ってた野球ボールをー」ゴソゴソ



梨沙「!」



友紀「それ、ポイッと!」



梨沙「がうー!」タタッ パシッ



梨沙「♪」ペシペシ カミカミ ペロペロ



晴「……」



友紀「……」



梨沙「がお?」キョトン



晴「……やべえ、今なんかすげえ胸が」キュン



友紀「写真撮ったら怒るかなぁ、怒るよなぁ……勿体無いなぁ……」



梨沙「♪」ペシペシ





友紀「……ともかく、これで梨沙ちゃんが猫みたいになってると分かったわけで、ボールに気が向いてる内に対策考えよう晴ちゃん!」



梨沙「がうがう♪」コロコロ



晴「……」ジーッ



友紀「おーい、晴ちゃーん?」



晴「……はっ!? わ、悪い! なんだっけ?」



友紀「梨沙ちゃんを元に戻す方法考えようって話だよ。ちひろさんが戻ってくるのを待ってもいいけど、一日このままってのもいけないでしょ?」



晴「そ、そうだよな。ちひろさんがいないんならオレ達でどうにかするしかないもんな! でも一日か……」チラッ



梨沙「がおー♪」ペシッ タタタッ



晴(一日だけならこのままでも……)



友紀「一日だけならあのままでもいいかもとか考えてない?」



晴「うえ!? そ、そんなことは……」





友紀「顔に書いてたよ、気持ちは分からなくもないけどね。でも、あの状態が長引くとどうなるかわからない以上は」



晴「……ああ、分かってる。そのために事務所に連れてきたんだしな……それで、なにかいい考えはあるのか友紀?」



友紀「そうだなぁ……例えば梨沙ちゃんが正気を取り戻すようななにかを見せるとか……」



晴「なにかってなんだよ」



友紀「えーと……梨沙ちゃんがすごい好きな物?」



晴「アバウトだな……でも、梨沙がすごい好きな物か、だとしたらあの画像が使えるかな」ゴソゴソ



友紀「お、なにかあるの?」



晴「前に梨沙の家に遊びに行った時、梨沙の親父さんに会ってさ」ゴソゴソ



晴「『あんたにもアタシのパパのカッコよさを教えてあげる』って、梨沙の奴オレの携帯で勝手に写真撮りやがったんだ」



梨沙「がうー?」





晴「正直あいつが携帯持ってないからオレの携帯に画像保存して、いつでも見られるようにしたいだけだと思ったけどな……あった、これだ」ピッ



友紀「へぇ、どれどれ」



晴「ほら、この人。オレと梨沙の間で難しい顔してる」



友紀「あー、この人かぁ。最近プロデューサーが仲良くしてる人だ」



晴「……そうなのか?」



友紀「うん。夜中に電話してたり、たまに会ってるってのも聞いたような……」



晴「……なんで?」



友紀「さぁねー? でもこの写真、梨沙ちゃんのお父さんがいないと晴ちゃんと梨沙ちゃんの仲の良いツーショットにも見えるね」



晴「……は? な、なにいってんだか。それより、これで梨沙が正気に戻るか試してみるからな!」



友紀「へへっ、そうだね、そうしよう!」



晴「そんじゃ……おーい梨沙! ちょっとこっちに来てくれ!」



梨沙「がおー♪」タタタッ





晴「よしよし……さて梨沙、悪いがこいつを見てくれるか?」スッ



梨沙「がう?」



晴「ほら、お前の親父さんだ。今の梨沙の姿、親父さんが見たらなんて思うだろうな? だから早く元に戻ってくれよ、な?」



梨沙「……? がおがお!」スリスリ



晴「わわっ、だからオレにじゃれついてくるんじゃねえって! こっち、こっちの画像見ろって……もぉ!」



友紀「あー、ダメだったかぁ。やっぱり画像とかじゃダメなのかな?」



梨沙「がうー♡」グググ



晴「うおお押し倒すな梨沙ぁ!? ちょ、友紀、見てないで助けてくれ!」



友紀「あらら。ほらほら梨沙ちゃん、晴ちゃん困ってるからちょっと離れよう」



梨沙「がうっ!」ペシッ



友紀「え、ええー……手を払いのけられた……いやいやそんな、おーい梨沙ちゃーん」スッ





梨沙「がうー!!」カプッ!



友紀「いったー!? ……くない? 甘噛み?」



梨沙「がうううう……」カミカミ



晴(梨沙の力が緩んだ! 今のうちにに)ズリズリ



梨沙「! がうー……」シュン



晴「ふぅ、びっくりした……おい友紀、大丈夫か?」



友紀「あ、うん、手を噛まれたけど全然痛くなかったから。それにしても梨沙ちゃん、どうも晴ちゃんと一緒にいるの邪魔しようとすると怒るみたい?」



晴「オレが離れたらなんか元気なくなったしなぁ……普段の梨沙と全然違うからこっちまで調子狂っちまうぜ……」



梨沙「がおー……?」クルッ



友紀「こうなったら、ちひろさんが帰ってくるまで晴ちゃんが責任持って梨沙ちゃんの面倒を見るしかないのかなー」



晴「さすがにこんなことしてくる梨沙とずっと一緒にいたらオレまでおかしくなっちまうって! どうにかならないのかよぉ……」



友紀「そうは言ってもなぁ、こういう事態に対処出来そうな人って言ったらちひろさん以外だとあと誰が――」





芳乃「……ふむー」



晴・友紀「!?」



芳乃「なるほどー、これは少々厄介なことにー」



友紀「よ、芳乃ちゃん!? い、いつからそこに……」



芳乃「事務所にて奇妙な気を感じ今しがた現れた次第でしてー。それにしても梨沙殿は災難だったかとー」



晴「梨沙がこんな猫みたいになってる原因が分かったのか?」



芳乃「はいー、どうやら梨沙殿の動物園での行動が気に入ったのかー、虎の霊が彼女に取り憑いてしまったようでしてー」



晴「と、虎の霊……!? そんなホラーな話なのか!?」



芳乃「いえいえー、この霊に邪念はありませぬー。ただ無邪気故に加減が分からず、梨沙殿の身体を動かすのが楽しくなってしまったようでー」



友紀「無邪気だからって……あの、霊にもそんなことあるの? 良く分からないけど……」





芳乃「不思議な言い方となりますがー、霊として魂の幼さがまだ残っていればー、稀にこのようなこともありましてー」



晴・友紀「???」



芳乃「……ようするに幼子のような虎の霊がー、梨沙殿の身体を通しこの世に触れられるのが楽しくー、やめられなくなっておりー」



友紀「それって結構迷惑なことだと思うんだけど……」



芳乃「故にこれからわたくしが霊を祓おうかと思いますがー、お二人はそれでよろしいのでしてー?」



晴「そ、それで梨沙が元に戻るなら、頼む!」



友紀「そんな話されちゃうとね……お願いするしかないよ」



芳乃「はいー、ではお二人はその場から動かずにー。今から始めるのでしてー……」スゥ





芳乃『高天原に神留座す。神魯伎神魯美の詔以て』



リィン



芳乃『皇御祖神伊邪那岐大神』



晴(なんか、いきなり感じが……――)



友紀(なにこれ、目の前で起きてることなのに意識出来ない、どうなって……――)



芳乃『筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に――』



芳乃『――』



――ガオオッ!!





――――事務所



友紀「――……はっ!?」ガバッ



晴「――……あれ?」



友紀「な、なにか今すごい物を見てた気がするんだけど……晴ちゃんは?」



晴「オレもそんな気が……でもなんだろう、少し前のことがぼやっとした感じで……」



梨沙「……ん、ンンッ……」



晴「……あっ、梨沙! おい、大丈夫か!?」



梨沙「……晴? ……どうしたのよ、そんな顔して……あれ、というかここ事務所? なんで、アタシ……」



友紀「良かった、元に戻ってる……」





梨沙「元に戻る? 何言ってるの……?」



晴「なにって、さっきまで梨沙お前…………ん?」



友紀「……あれ、そういえば何があったから梨沙ちゃんが元に戻ったなんて思ったんだっけあたし達……」



晴「な、なんだっけ……すげえことがあったような気がするんだけど……」



梨沙「ちょっと二人共どうしたのよ大丈夫? 疲れて寝ぼけてたりしたんじゃない?」



友紀「そ、そうなのかなぁ」



晴「んなわけない……と思うけど、なんだこれ……うーん、変な感じだぜ」



梨沙「もう、本当にどうしたの……ふぁ、そんなのじゃこっちまで疲れて変になりそうよ」



晴「悪い悪い。なんだか良く分からないけど、まぁ、問題ないって気がしてきたし、それでいいよな……な、友紀!」





友紀「え!? あー、うん、そうだよね……うん、晴ちゃんがいて梨沙ちゃんがいて、うん、なにも問題はない……はず」



梨沙「まったく、しっかりしてよ二人共。そんなに変な気分なら気晴らしに行かない? この前パパとデートした時美味しいレストラン見つけたの!」



晴「お前またかよ。よく飽きないよなそういうことして……」



梨沙「当たり前でしょ! パパとの時間は最高なんだから! その思い出を晴達にも分けてあげるの感謝してほしいくらいよ?」



晴「へいへい。とりあえずその美味しいレストランってのに行こうぜ、なんかオレ腹が減っちまった」



梨沙「そこまで言うなら仕方ないわね♪ さぁ行くわよ! ほら友紀、あんたはどうするの?」



友紀「あ、じゃああたしも行く! 行くからまってー!?」タタタッ



晴「まったく、いい大人なんだからもっとなぁ――」



バタンッ





――――???



芳乃「……ふぅー」ストッ



芳乃「そなたの行いの記憶をそのままにしておくのは気が引けた故ー、書き換えてはみましたがー、やはり疲れまするー……」グッタリ



虎の霊『――』



芳乃「そもそもそなたが斯様なことをしなければー、わたくしは乃々ともうしばらく遊べていたのでしてー。分かっているのでしてー?」



虎の霊『――』



芳乃「謝らずともよいのでしてー。今回は仕方なしということで滅するまでにはしませぬがー、次はなきことを忘れずー」



虎の霊『――』



芳乃「……せっかく動物園から離れたからもうしばらく遊びたいとー? むぅー……そなた、本当に分かっているのでしてー?」



虎の霊『――』



芳乃「……まったく、良いでしょうー、そなたにはわたくしおすすめの場所に案内するのでそれで満足しなさいー」



虎の霊『――』



芳乃「喜びすぎでしてー。さぁ、行きましょうー」



〈終〉





12:30│結城晴 
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