2016年09月12日

北条加蓮「残暑厳しい幸せな日」




―――泰葉のルーム







ミーンミンミンミンミン……

ジジジジジ……





加蓮「あつーい……」グデー





李衣菜「もう9月なのにねぇ……はぁ、そろそろ涼しくなってくれてもいいのに」パタパタ



泰葉「完全に台風一過ね……。ふう……」



加蓮「あー……もっと扇いでぇ……」



李衣菜「はいはい……」パタパタ…



泰葉「アイスはもう無いし……あ、そうだ」



加蓮「ん……なに、泰葉」



泰葉「加蓮、誕生日おめでとう……」



李衣菜「あぁ、そういえば……。おめっと、加蓮……」



加蓮「……今世界で一番やる気のないおめでとうをありがとう……」



泰葉「うん……」





「「「暑い……」」」



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ミーンミンミンミンミンミッ……ミーンミーン……





李衣菜「プレゼントなにがいい……?」



加蓮「アイス……」



李衣菜「いやもっとなにかあるでしょ……」



泰葉「昨日の夜食べたモナカで最後だったから……コンビニに行かないと」



加蓮「……この暑い中を?」



泰葉「この暑い中を」



李衣菜「気温30℃超えてるんだけど……」





「「「…………」」」





加蓮「さいしょはグーっ」



李衣菜「じゃーんけーんっ」



泰葉「ぽんっ」

李衣菜「…………」



泰葉「…………」



加蓮「…………」





加蓮「……やっぱアイスいらない」クテン



泰葉「あっ負けたからってずるい。買ってきて加蓮」



加蓮「やだぁ……。こんな炎天下に外歩いたら干からびちゃうぅ……」



李衣菜「干からびてもいいから早く」



加蓮「それが誕生日の人間に対して言う言葉ぁ……?」

李衣菜「あはは、冗談冗談」



加蓮「んもー……」



泰葉「夕方なら少しは涼しくなると思うから……そしたら一緒に買いに行きましょう」



李衣菜「うん、だったらコンビニじゃなくてスーパー行こっか。夕飯に加蓮の好きなもの作ってあげる」



加蓮「え、いいの?」



泰葉「私も手伝うね。誕生日の加蓮のために腕によりをかけて」



加蓮「やった! じゃあお言葉に甘えちゃおうかな♪」

李衣菜「へへ、誕生日っぽくなってきたね」



加蓮「暑くなければ最高の1日なんだけどね……お祝いされるのは素直に嬉しいけど」



泰葉「ふふっ……他に欲しいものはある? 今日はわがまま、聞いてあげるから」



李衣菜「いつもわがまま聞いてる気がするけどね」



加蓮「むっ、私だって李衣菜のロックに付き合ってあげてるでしょー」



李衣菜「頼んでないもーん」



加蓮「なによー」ペシペシ



李衣菜「あは、くすぐったいってー♪」



泰葉「ふふふ、もう。暑いのにそんなくっついて……♪」

加蓮「んで、欲しいものだっけ。んーとねー」ノシッ



李衣菜「あの、重いんだけど……暑いし」



泰葉「欲しいものじゃなくても、私たちにしてもらいたいことでもいいよ?」



加蓮「んー……。色々あるけど……こうして一緒にいてくれるだけでいいんだよね、正直」ムギュ



李衣菜「暑いってば……」



加蓮「誕生日だからって、なにか特別なことするとかじゃなくて……普通に、いつもみたいにこうやってさ」



李衣菜「…………」



泰葉「……うん」



加蓮「それだけでいいの。2人がいてくれれば、それで。ねっ」

李衣菜「…………」



泰葉「…………」



加蓮「……な、なんか言ってよ……恥ずかしいこと言ってる自覚あるんだから」



泰葉「ううん、恥ずかしいなんてそんなこと。ありがとう、そう言ってもらえると私も嬉しいな……♪」



加蓮「えへ。来年も同じこと言っちゃうかもだけど♪」



李衣菜「とりあえず離れてくんない? いい加減暑苦しい」グイッ



加蓮「ああっ、ちょっといいこと言ったつもりだったのにひどいっ」コテーン

李衣菜「はぁ……また1年加蓮のお世話しないとならないのかー」



加蓮「やん、ツレないこと言わないでよ李衣菜♪」プニプニ



李衣菜「うみゅ。へへ、大丈夫。私も加蓮のこと頼りにしてるからねっ」



加蓮「うんっ。泰葉っていう芸能界の大先輩もついてるしねー?」



泰葉「あ、そういうこと言うの。だったら加蓮にはもうなにも教えてあげない」



加蓮「あっウソ、ウソだよ! もっと色んなこと教えて泰葉っ!」



泰葉「つーん」



李衣菜「あははは♪」



―――



――









ジジッ、ジジジ……ミーンミンミン……

カナカナカナカナ……





泰葉「――さ、そろそろ出かける準備しましょう。涼しくなってきたし」



加蓮「ワタシ…モウゲンカイ…ヒカラビタ」ゴロゴロ…



泰葉「なに言ってるの。ほら、起きて」



加蓮「うー……髪梳かしてくるぅ」トテトテ



泰葉「うん、待ってるから」





李衣菜「……泰葉。例のアレは?」コソッ



泰葉「大丈夫。ちゃんと1ヶ月前に予約しておいたから」



李衣菜「へへ、早く加蓮の驚く顔みたいなぁ♪」

泰葉「私が受け取りに行くから、李衣菜はその間加蓮をお願いね」



李衣菜「おっけー、任せてよ。てきとーに連れ回しとくから」



泰葉「ふふ……特注のケーキ、喜んでくれるかな」



李衣菜「くれなきゃ困るよ。せっかくの誕生日なんだし、盛大にお祝いしないとね!」



泰葉「ええ、そうね♪」

加蓮「――準備できたよー。なんの話してるの?」



李衣菜「んーん、なんでも。って、お? ポニテにしたんだ?」



加蓮「あ、うん。暑いしちょうどいいかなって」



李衣菜「へー、いいじゃん」



泰葉「……ぽにぽに」サワサワ



加蓮「ひゃっ! な、なに泰葉っ、別に珍しくもないでしょっ。ていうかぽにぽにってなにっ?」



泰葉「ふふっ、ぽにぽに……♪」



李衣菜「ぽにぽにー♪」

加蓮「もーっ、なんなの2人してー! 早く行こっ、今日は私のリクエストに答えてくれるんでしょ?」



李衣菜「えへへ、なんでもいいよ。加蓮のお好きなように」



泰葉「付け合わせ、フライドポテトにしてあげたら?」クスクス



加蓮「!!!」





加蓮「置いてくよ2人とも!!」ダッ



李衣菜「ちょっ!? 待ってよスーパーは逃げないよ!」

加蓮「逃げるよポテトは! 早く! ポテト!」



李衣菜「逃げるポテトってなに!? 加蓮、待ってってば――!」





泰葉「……余計なこと言っちゃったかな。ふふふ」



泰葉「幸せそうな顔……また1年間見せてね、加蓮♪」







泰葉「待ってー、2人ともー!」



李衣菜「ほ、ほら泰葉がまだ……!」



加蓮「ぽってとーぽってとー、ぽってっとー♪」



李衣菜「聞いてないし……あはは、もー……」





加蓮「ふふっ♪ いつもありがとねっ、李衣菜、泰葉!」







おわり



20:30│北条加蓮 
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