2016年09月15日

モバP「しるぶぷれーなお隣さん」

ちゅんちゅん





P「ふわあ……朝か」







P母『P! もう起きてるー?』





P「起きてるー!」



P母『ごはんもうすぐできるからねー!』



P「わかったー!」





P「……ふう」



P(同僚のひとり暮らしエピソードを聞くたびに、親のもとでぬくぬくと生活していることのありがたみを感じるな)



P「職場が家から通える距離で本当によかった」



P「さて。着替えたら、ご飯食べる前にあいつを起こしに行くか」





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P「おばさん。娘さんを起こしに来ました」



おばさん「あらP君、いつもありがとう。ついでにあの子、お嫁にもらっていかない?」



P「ことあるごとに徹夜を勧めてくるような子はちょっと」



おばさん「そう、残念♪」



P「というか、今更ですけどなぜ俺が毎朝あいつを起こすことになっているんですか」



おばさん「んー……そっちのほうがあの子喜びそうだし?」



おばさん「女の子は、やっぱりかっこいい男の子のキスで目覚めるのが好きなのよ」



P「本音は」



おばさん「あの子なかなか起きないからちょっと面倒☆」



P「でしょうね」



おばさん「やっぱりキスで起こしてるの?」



P「何が『やっぱり』なのか知りませんけど、してませんからね」



おばさん「えー?」



P「この親子、ホントに似てるな……」

コンコン





P「おーい、起きてるかー」



P「………」



P「起きてないなら勝手に入るぞ、いつも通り」





ガチャ





「すぅ……すぅ……」



P「ぐっすりだな……おい、起きろ。朝だぞ」



「むにゃむにゃ……こんなに食べられないよぉ」



P「夢の中で何を食べてるんだ」



「こんな山盛りのガントレット……むしゃむしゃ」



P「たぶん、ガレットの間違いなんだろうな。ガントレットを食べるのは人間じゃない」



「せいかーい……すやすや」



P「というか、もう起きてるだろ。お前」



「……フンフンフフーン。すやすや〜」



P「まったく」



P「狸寝入りを続けるようなら、バケツ一杯の水をぶっかけるぞ。フレデリカ」



フレデリカ「グッモーニン、お兄ちゃん♪」



フレデリカ「あ、間違えた。ボンジュール♪」



P「はいはい。おはよう」



フレデリカ「いつも起こしに来てくれてありがとー」



P「毎度思うが、朝の貴重な時間をよくわからん寸劇で無駄遣いする意味はあるのか」



P「毎朝お前を起こすのに10分くらい使ってるぞ」



フレデリカ「いいじゃんいいじゃん。お兄ちゃんも、こんな美人が隙だらけで寝ているところを見てられるんだし♪」



P「俺が起こしに来ることをわかっていて、スケスケのネグリジェを着ているのは確かに隙だらけだ」



フレデリカ「もち、わざと!」



P「こいつ、自分の武器をわかっていやがる」



フレデリカ「いやあ、それほどでも〜」



P「あんまり褒めてるわけじゃないぞ」



フレデリカ「じゃあすっごい褒めてる?」



P「はっきり言うと褒めてない」



フレデリカ「なん……だと……!?」



P「………」





P「さ。時間もないから俺は朝ご飯食べに戻るよ」



フレデリカ「りょうかーい。今朝もおしゃべりに付き合ってくれてメルシー☆」



フレデリカ「お仕事がんばれ、アイドルのプロデューサー♪」



P「まだ見習いだって。プロデューサーのアシスタントみたいなものだし」



P「お前も、勉強頑張れよ」



フレデリカ「うん。ほどほどにねー」ニコニコ



P「ほどほどかー」



P(宮本フレデリカ、短大生)



P(俺の3つ年下の『黙っていれば美人』な女の子である)



P(俺が小学生の時、彼女とその家族がパリから引っ越してきて。そこから、家が隣だということもあって付き合いが生まれ……そのまま、今も仲の良い隣人という関係を築いている)





P「じゃあ、いってきます」



P母「いってらっしゃい」





ガチャリ





フレデリカ「ボンジュール♪」



P「あれ、どうしたんだ? 今日はずいぶん家を出るのが早いじゃないか」



フレデリカ「フッフーン♪ たまには、お兄ちゃんと一緒に行こうかなーって。駅までは、道同じでしょ?」



P「そうか。じゃあ、行こうか」



フレデリカ「うん!」



フレデリカ「あ、そうそう。昨日、お兄ちゃんがおススメしてた漫画読んだんだけどさ」



P「おお、どうだった?」



フレデリカ「それがですね、なんと」



P「なんと」



フレデリカ「なんと!」



P「なんと」



フレデリカ「かなり面白かったー!」



P「おおーっ……って、大げさだなあ」



フレデリカ「アタシ半分フランス人だから」



P「関係あるのか? それ」



フレデリカ「んー……どうだろ?」



P「適当だなあ」ハハ





P(かなり言動がテキトーな奴だけど……一緒にいるとなんだかんだで楽しいので、不思議な子だと思う)





その日の夜





P「はあ……失敗したなあ」



P(今日は仕事でミスをやらかしてしまった)



P(それも、もう少しでイベントに支障をきたすところだったレベルの、かなり痛いミス)



P(幸い大事には至らず、スタッフもアイドルのみんなも笑って許してくれたけど……)



P「もう、あんな間違いはやらないようにしないとな……はあ」







P「ただいまー」ガチャリ



P母「おかえり。ごはんできてるわよ」



P「もうちょっとしたら食べるよ」





P(とりあえず、部屋に入って着替えよう)



ガチャ



フレデリカ「おかえりなさいませー、ご主人様♪」



P「フレデリカ? 来てたのか」



フレデリカ「うん。たまにはお兄ちゃんのフカフカベッドの味を確かめないとねー」ボヨンボヨン



P「母さんも言ってくれればいいのに」



フレデリカ「アタシが秘密にしてって頼んだの♪ サプライズになるかなーと思って」パタパタ



P「足をぱたぱた振るのはいいけど、パンツ見えてるぞ」



フレデリカ「………」ピタリ



フレデリカ「もち、わざと!」



P「顔赤いぞ」





P「お前、うちのベッド好きだよな」



フレデリカ「だーいすき☆ ちょっと変な匂いがするけど」



P「おい」



フレデリカ「ジョーダン、ジョーダン♪」



P「本当に冗談だろうな」



フレデリカ「バスケのマイケルといえば?」



P「……ジョーダン」



フレデリカ「………」フンス



P「無言のドヤ顔の意味はなんなんだ」



フレデリカ「お兄ちゃんお兄ちゃん♪ というわけで、一緒にパワプロやろうよ!」



P「なにが『というわけ』なのかはわからんが……とりあえず、ご飯食べて風呂入ってからだな」



フレデリカ「もう済んでるよ?」



P「お前は済んでても俺は済んでないの」



フレデリカ「お風呂、久しぶりに一緒に入ってあげよっか? お背中しるぶぷれー?」



P「入れるわけないだろ」デコピン



フレデリカ「あいてっ」



P「はやめに済ませてくるから、漫画でも読んで待っててくれ」



フレデリカ「40秒で仕度しな!」



P「さすがに40秒は無理だな、はは」



フレデリカ「だよねー♪ 待ってるから、ゆっくり済ませておいでー」



P「ああ」



P「ただいま」



フレデリカ「おそーい!」



P「ゆっくりしてきていいって言ったのはフレデリカだぞ」



フレデリカ「あれ、そうだっけ?」



フレデリカ「まあそれはそれとして、お兄ちゃんの湯上り姿だー♪」



P「いつもよりかっこいいか?」



フレデリカ「うんうん♪ いつもより3割増しでセクシー!」



フレデリカ「あと20回くらいお風呂入ったらアタシと釣り合うかも」



P「褒められてるようで貶されてないか」



フレデリカ「てへぺろ☆」



P「よーし、こうなったらパワプロでボコボコにしてやるからな」



フレデリカ「おお、言ったな〜? フレちゃんだってあの時とは違うのだよ。そう、あの時とは!」



P「あの時って、最後に対戦したのいつだっけ」



フレデリカ「んー。おとといくらい?」



P「絶対たいして成長してないだろ。今回もかるーく捻ってやるか」





フレデリカ「お兄ちゃん! アタシ初めてサクセスクリアした!」



P「おおー……って、能力がオールFなんだが」



フレデリカ「あんまり練習しないで遊んでばっかりだったからねー♪」



フレデリカ「でもでも、オールFのオールはオールナイトのオール! オールFのFはフレデリカのF!」



フレデリカ「つまり、今夜はフレちゃんと一緒にオールだね♪」



P「ことあるごとに徹夜を勧めてくるのはやめるべきだと思う」



フレデリカ「でも、明日は仕事お休みでしょ? だったらできるし」



P「そうだけど」



フレデリカ「それに……徹夜でパーッとハイになっちゃえば、嫌な気持ちもどこかに飛んでくと思うんだー♪」



P「……フレデリカ。お前」



フレデリカ「お兄ちゃん、すぐ顔に出るからわかっちゃうんだよねー。アタシの幼なじみアンテナがビビビーって反応するんだ」



フレデリカ「お兄ちゃんがオールしてた頃は、アタシはまだ夜に眠くなっちゃうお年頃だったし……たまには、いいでしょ?」



P「………」



P「そうだな。今日はオールしちゃうか」



フレデリカ「いえーい!」



P「いえーい!」





P母『あんたたちー! あんまり騒ぐんじゃないわよー!!』





フレデリカ「い、いえーい……」



P「……ぷっ」



フレデリカ「あははっ、じゃあほどほどににぎやかにいこー!」





深夜3時





P「部屋にあるゲームも一通りやっちゃったなあ」



フレデリカ「ふわあ……」



P「さすがに眠いか?」



フレデリカ「うーん、まあね。でも、起きる」



P「そうか。なら俺も付き合うよ」



フレデリカ「メレシー☆」



P「メルシーな」



フレデリカ「てへ、寝ぼけちゃった♪」





フレデリカ「ねえねえ、お兄ちゃん。お仕事楽しい?」



P「ん? そうだな……まあ、やりがいはあるかな。アイドル、好きだし。今日はポカしちゃったけど」



フレデリカ「そっかー♪」



P「フレデリカは、やっぱりデザイン系の道に進むのか?」



フレデリカ「んー、どうだろうね?」



P「どうだろうねって、デザインの短大に行ってるのに。じゃあどんな仕事がしたいんだ?」



フレデリカ「楽しいお仕事!」



P「アバウトだなあ」



フレデリカ「でも、大事でしょ?」



P「それはそうだけどさ」



フレデリカ「デザインもね? やってて楽しいのは本当だよ? でも……」



P「でも?」



フレデリカ「……秘密」



P「おいおい、そこまで言ったら気になるじゃないか」



フレデリカ「てへへー」



フレデリカ「女の子には、秘密のひとつやふたつあったほうが魅力的らしいよ?」



P「……まあ、無理には聞かないけどな」



フレデリカ「レガシー☆」



P「メルシーな」



フレデリカ「あははー、また間違えちゃった……ふわ」



P「本当に眠そうだな」



フレデリカ「へーきへーき……せっかくお兄ちゃんと一晩中一緒なんだし……もっと……」



フレデリカ「………すぅ」カクン



P「おっと」ダキッ



P「寝ちゃってるな……かなりはしゃいでたし、疲れたんだろうな」



P「ベッドに運ぶか」



フレデリカ「んぅ……うふふ……むにゃ」



P「楽しい夢でも見てるのか?」



P「……にしても。こいつ、肌白いよな」



P「綺麗な色してるし、きめ細やかだし、柔らかいしすべすべだし」



P「………」



P「もっと肌を見せない寝間着を着てほしいな……こっちが困る」







数カ月後





フレママ「あら、おはようP君」



P「おはようございます。娘さんを起こしに来ました」



フレママ「いつもありがとう。よかったら、あの子もらっていってくれない?」



P「一度のオールに味を占めて、その後週末に毎回俺の部屋に泊まりにくるような子はちょっと」



フレママ「あら残念」



フレママ「あ、そうそう。P君、来月から正式なプロデューサーになるんですって?」



P「ええ。やっと見習い期間も終わりです」



フレママ「おめでとー♪ 今夜は赤飯ね!」



P「はは……ありがとうございます」





コンコン



P「おーい、朝だぞ。起きろフレデリカ」



フレデリカ『あ、おはよう。入っていいよ』



P「あれ? 珍しいな、もう起きてるのか」



ガチャ



フレデリカ「たまには早起きないい子にならないとねー♪」カキカキ



P「いい心がけだけど、何書いてるんだ?」



フレデリカ「履歴書」



P「履歴書? バイトでもするのか」



フレデリカ「バイト……じゃないかも」



P「? どこの会社に出すんだ」



フレデリカ「うん? シンデレラプロダクションだよ?」



P「………」



P「え?」



フレデリカ「できた! これだけ綺麗な字で書けば、きっと一発合格でアイドルになれるよねー」



P「ちょ、ちょっと待て。アイドル? お前が?」



フレデリカ「友達にも言われたんだよねー。その美しい絶世の美女な容姿をいかさない手はない!ってさ」



P「絶対誇張してるだろ」



フレデリカ「うん♪ でも勧められたのはホント」



P「アイドルって、傍から見てても大変だぞ? レッスンも、本番も」



フレデリカ「一応、アタシだってわかってるつもりだよ? でもプロデューサーのお兄ちゃんと一緒ならなんとかなるって♪」



P「なぜ俺がお前の担当になること前提なんだ」



フレデリカ「今度の春から、一人前のプロデューサーとしてプロデュースを始めるんでしょ?」



P「ああ。でも仮にお前がオーディションに受かったとして、俺の担当になるかどうかは」



フレデリカ「なれるなれる!」



P「何を根拠に」



フレデリカ「だって……そうなったほうが、絶対楽しいから♪」



P「………」



フレデリカ「ダメ?」



P「……いいや。俺も、そうなれば楽しいかなと思い始めたところだ」



フレデリカ「さっすがお兄ちゃん♪ というわけで、これからよろしくね」



P「だからまだ何ひとつ決まってないって」



フレデリカ「大丈夫! フレちゃんを信じろー!」



P「まったく……本当、むちゃくちゃだな。お前は」ハハッ



そして――







フレデリカ「フンフンフフーンフンフフー♪」



周子「あ、フレちゃんだ。ボンジュール?」



フレデリカ「ガレットー♪」



奏「あら、フレちゃん。ブエナスタルデス?」



フレデリカ「パエリアー♪」



アーニャ「ドーブラェ ウートラ、フレデリカ」



フレデリカ「ボルシチー♪」







P(結局、フレデリカは俺の担当アイドルとなった)



P(やたらと個性的なうちの事務所のアイドルたちとも、仲良くやれているようだ)



P(俺も、なんとかプロデュースはそこそこうまくいっていて……まあ、楽しいな)



フレデリカ「ねえねえお兄ちゃん?」



P(こいつが近くにいてくれるのも、うまくやれてる要因かな。なんだか安心できるし)



フレデリカ「今日、久しぶりにお兄ちゃんの部屋に泊まりにいっていい?」



P「……と思ったら、いきなり不安になる発言が」



フレデリカ「?」



P「あのなあ、昔とは違うんだ。今のお前はアイドルで、そうほいほい男の部屋に泊まりに来ちゃダメ」



フレデリカ「ええー?」



P「みんなからも言ってやってくれ」



奏「フレちゃんが行くなら私も行っていいかしら」



周子「あたしもいきたーい」



アーニャ「プロデューサーの家でホームパーティーですか?」



P「ダメだこの子達」



フレデリカ「ね? みんなもこう言ってることだし」



P「……百歩譲ってお泊りはなし。うちで夕飯食べていくだけなら」



フレデリカ「それ毎週やってるじゃん」



奏「あら。贅沢なフレデリカには悪いけれど、夕飯だけでも私達にとっては十分魅力的ね」



アーニャ「やはり、パーティー……」



周子「パーチーかどうかは知らないけど、楽しみではあるよねー」



フレデリカ「なっ……アタシの味方が!?」



P「フフフ、これぞ譲歩案を出して他のメンバーを懐柔する作戦だ」



フレデリカ「ぐ、ぐおーっ。謀ったなお兄ちゃん……!」



P「俺を侮ったうぬが不覚よ!」



フレデリカ「ぐ、ぐわーーっ!!」





P「もういいか?」



フレデリカ「うん! お夕飯楽しみー♪」



P「よし。じゃあその前に、今日のレッスン頑張るんだぞ」



フレデリカ「あいあいさー♪」



奏「相変わらず仲がいいわね、あのふたり」



周子「夫婦漫才やないかーい」



アーニャ「仲良きことは、うつくしきかな……ですね」フフ



奏「さ。私達もレッスンに向かいましょう」







フレデリカ「それじゃ、ダンスレッスンにいってきまーす♪」



P「ああ、いってこい」



フレデリカ「あ、でもその前にお願いが」



P「うん?」



フレデリカ「お泊りは諦めるけど……たまには、お兄ちゃんの部屋でめいっぱい遊びたいかな」



フレデリカ「……ふたりっきりでね」



P「え……あ、ああ」



フレデリカ「うふふ、なーんてね♪ それではフレデリカ宮本、いってまいりまーす!」



タタタタッ





P「………」



P「一緒にいると楽しいけど……小悪魔だなあ、俺の幼なじみは」





おしまい





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