2016年10月12日
楓「飲と酔う」
瑞樹「それじゃ、早苗ちゃん。音頭お願いね」
早苗「え、あたし? しょうがないわね―……ん゙ん゙っ……えー、それじゃ
友紀「かんぱーい」カチン
楓「かんぱーい♪」カチン
瑞樹「はい、かんぱーい」カチン
早苗「ちょっとぉ!」
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友紀「へへへ、早苗さんもかんぱーい」カチン
早苗「んもー」カチン
楓「ふふっ……早苗さん、友紀ちゃんに完敗、ですね」
瑞樹「楓ちゃん飲む前から絶好調じゃない」
楓「お二人と呑むのは久しぶりですからね」
早苗「あ、そうよ! この前電話かけたらゆっくりしたいって切っちゃうし!」
瑞樹「丁度長いロケが終わって二人共帰ってきてた日だったのよ」
友紀「あ、今一緒に住んでるんだったっけ?」
瑞樹「ご飯食べさせてたら懐いたの」
早苗「なんかあれね、捨て猫みたいな扱いじゃない」
楓「拾われちゃいました、にゃん」
瑞樹「だってね、楓ちゃんの食生活本当にボロ雑巾みたいだったのよ?」
楓「ボロ雑巾」
早苗「そんなに言うほど酷かったの?」
楓「まさか。普通ですよ、普通」
瑞樹「『日本酒と梅酒で日の丸弁当』とか言ってたのはどの口?」
楓「ほら、唇は喋るためにあるんじゃないらしいですよ?」
友紀「キスするの?」
楓「します?」スッ
瑞樹「しないわよ座ってなさい」
楓「にゃーん……」ストン
瑞樹「いや、本当に酷かったのよこの子の食生活」
早苗「まぁ話を聞く限りねぇ……」
瑞樹「冷蔵庫とか開けたらびっくりよ。酒! 肴! でおしまい」
楓「肴は炙ったイカで、まーイーカ。ふふっ」モグモグ
友紀「あっあたしももらいー」モグモグ
早苗「それゲソ天じゃない炙ってないわよ」
楓「揚げたイカでも」モグモグ
友紀「まーイーカ」モグモグ
早苗「まぁ美味しいならいいわ」
楓「やっぱり揚げ物は揚げたてで食べてあげないと」
友紀「ていうか冷蔵庫の中酷いのは早苗さんもおんなじじゃん」
瑞樹「ああ、やっぱり?」
早苗「ちょっと、やっぱりって何よ」モグモグ
瑞樹「とりあえずイカ食べちゃいなさいよ」
友紀「朝開けて絶望したよーなんっにも無いんだもん」
早苗「いいじゃないその後食べに行ったんだから」
楓「ああ、ロイホですよね」
瑞樹「朝っぱらからドすっぴんの女二人がロイホでもそもそ朝飯食らってるのホラーよもう」
早苗「すっぴんじゃないからセーフよセーフ。辛うじてだけど……」
友紀「大丈夫だって綺麗だから」
早苗「友紀ちゃんもかわいいわよ」
友紀「イエーイ」パチン
早苗「イエーイ」パチン
瑞樹「だから何で早々にテンション高いのよ」
楓「低いよりは良いじゃないですか」
瑞樹「テンションで思い出したけど、あの日妙に落ち着きなく電話してきたじゃない」
早苗「そ、そうだったっけ?」
瑞樹「落ち着きなくっていうかもう半狂乱に近かったけど……」
友紀「あー、幽霊にビビってた日かぁ」
早苗「ちょっとぉ!」
瑞樹「なんか……子どもみたいね」
早苗「ユッコちゃんと小梅ちゃんに言われたのよ! 仕方ないでしょ! 仕方ないでしょ!」
友紀「あの日結局早苗さん家まで連れてって泊まるはめになったんだからー。冷蔵庫が壊滅してたのもその時」
楓「早苗さん、ほんっとうに苦手なんですね」
友紀「この前も泊まりに来てって泣きつかれたよ」
早苗「だからなんで言っちゃうのよ!」ペチペチ
友紀「あいて」
瑞樹「というか、早苗ちゃん送ってくって飲んだ時と同じじゃないかしら」
楓「そういえばよく見かける光景ですね」
早苗「最近はそうならないように気をつけてるのよ?」
瑞樹「そう言ってまた潰れるのよきっと」
楓「こてん、って寝ちゃうんですよね」
早苗「皆があたしのこと理解しててくれて嬉しいわ」
友紀「そうなったらまた背負ってくかー」
瑞樹「ちょっとは学習しなさいよ」
早苗「わかってるわよー。でもついつい楽しくてお酒が進んじゃうんだもの」
瑞樹「かわいこぶってもダメよ」
早苗「ぶっ飛ばすわよ」
瑞樹「あら怖い」
早苗「そういうなら皆は怖いもの無いっていうの?」
瑞樹「強いて言うなら時間かしら」
友紀「逆転負けかなー」
楓「今はお銚子が一本怖いですね」ヒラヒラ
瑞樹「ちょっと待って、もう一本空けたの?」
早苗「じゃあ二度と目に入らないようにしないとね」
楓「ああん……友紀ちゃん友紀ちゃん、早苗さんが虐めるんです」
友紀「大丈夫、怖いならあたしが全部飲んだげるよ」
楓「川島さん川島さんあっちの二人が虐めるんです」
瑞樹「自重しなさい」
楓「あれ? 私の味方は居ないんですか?」
瑞樹「……はまぁ冗談としても、飲みすぎないでよ?」
楓「はーい♪」
早苗「妙に聞き分けいいのね」
楓「忠犬ですからね。飼い主の言うことはそこそこ聞きますわん」
友紀「わんこだったりにゃんこだったり忙しいね楓さん」
瑞樹「お手」スッ
楓「わん」ポフ
早苗「ほんとにやるのね」
楓「大体の芸はやりますよ」フンス
早苗「じゃあおまわり」
楓「逮捕しちゃうぞ♪」
友紀「あっはは、それ早苗さんじゃん」
早苗「いや、元よ?」
早苗「はい、ちんちん」
楓「ついてないですね……」
友紀 ブホッ ゲホゲホッ
早苗「あー友紀ちゃんツボっちゃった」
瑞樹「ほら、小学生みたいなバカやってないで何飲むのか決めちゃいなさい」
楓「うーん、二本目も日本酒というのも良いですけれど、梅酒もうめーっしゅから、迷ってしまいますね」
早苗「これアレね、言うためだけにお品書き見てるわね」
瑞樹「必ずやるのよコレ」
友紀「げほっ……あー……ふぅ。あたし楓さんのこれ割と好きだよ。時間の贅沢な使い方って感じで」
瑞樹「友紀ちゃんやっと落ち着いたわね」
楓「これはこれは、すいげいだっさい所をお見せしたかもいずみ、ふふっ」
瑞樹「詰め込みすぎて自動車ショー歌みたいになってるわよ」
早苗「しかも日本酒で心決まってるじゃない」
友紀「あ、あたし……と早苗さんの分もビールビール」
楓「お二人だって早いじゃないですか」
早苗「違う違うこれはゴールデンコーラだから清涼飲料水よ」
楓「それなら、酒の語源も栄え水から来ているという話もありますし水では?」
瑞樹「じゃあもう水飲みなさいよ」
早苗「ペリエとか飲んどいたら? イメージ良いわよ」
友紀「うわー超それっぽい」
楓「うーん……それならホッピー外だけで飲みます」
瑞樹「それなら本当に清涼飲料水ね」
友紀「楓さんホッピーとか飲むんだ」
楓「いつか酒場放浪記の仕事が来たときのために、と思いまして」
瑞樹「って建前で飲むのよ」
友紀「それいいなぁ、あたしビールじゃなくてホッピーにしよ。ちょっとネコッピーっぽいし」
早苗「この世界にまた一つどうでも良い建前が増えたわね」
瑞樹「ところであそこのメニューにあるアレ、何だと思う?」
楓「あのジェラシーって書いてあるアレ、ですか」
瑞樹「そうそう、なんかヒネりを聞かせたメニューかなって思うんだけど……嫉妬、嫉妬かぁ……」
友紀「蛇の心臓」
早苗「猿の脳みそ」
瑞樹「なんでそう猟奇的な物ばっかりなのよ」
早苗「ジビエよジビエ」
瑞樹「猿は狩猟鳥獣に入ってないわ……大体それにしたって安すぎるわよ」
楓「そう言えば沖縄に行ったとき、こーんな小さな瓶に入ったハブの胆三万円でした」
早苗「うわたっか!!」
友紀「シーサー食べた?」
楓「食べてませんね……食べるの忘れて、悲しーさー。ふふっ」
瑞樹「楓ちゃん、まずシーサーが食べられないことに突っ込んで?」
楓「思いついたのを優先しちゃいました」
友紀「あ、楓さんごめんシークヮーサーだった」
早苗「だいぶ違うわよ?」
楓「食べるというか、お料理にかけたり泡盛に絞ったりして頂きましたね」
友紀「へー」
瑞樹「そしてジェラシーの正体はわからずじまい、と」
楓「……あ」
早苗「あ?」
楓「もしかして、わかったかも知れません」
瑞樹「一体何なの?」
楓「ふふっ、答えはCMの後で」
瑞樹「……ああ、なるほど」
友紀「? おもち……あー」
楓「というわけで正解は、焼き餅、でした♪」
早苗「なるほどねー、これは楓ちゃんが強いわね」
瑞樹「うーん、一本取られたわね」
早苗「ところでこれ、餅5個って結構な量じゃない?」
友紀「でも美味しいよ磯辺焼き」モチー
瑞樹「あら、ほんと」モチー
楓「お正月以外で食べるのって、なんだか珍しい気がしますね」モチー
友紀「はい早苗さんどーぞ」
早苗「ちょっと待って2個は無理よ」
楓「美味しいから大丈夫ですよ」
早苗「大丈夫じゃないから言ってるのよ」モチー
瑞樹「シレっと他人の持ちネタパクるんじゃないわよ」
友紀「ネタにはしてないと思うけど……」
早苗「いやこれもう一個はムリムリ。友紀ちゃん……」
友紀「えー、あたしもそんなに要らないよー」
早苗「じゃあ半分でいいから」
友紀「しょうがないなー」
楓「あれ、そういえばお酒は……」
瑞樹「あ、そうそう餅の話ですっかり忘れてたわ」
友紀「やったーかんぱーい」カチン
楓「かんぱーい♪」カチン
早苗「あ、それ毎回やるの?」
友紀「目が合ったからとりあえず乾杯してみたよ」
瑞樹「楽しい?」
友紀「楽しい!」
瑞樹「まぁ楽しいなら良いわ」
早苗「友紀ちゃんほんと……妹気質というか、なんか買ってあげたくなる感じあるわよね」
友紀「ゴチになります」
早苗「却下よ」
友紀「えー、残念ー」
楓「川島さん、ゴチになります」
瑞樹「いや、なんでよ」
楓「そういう流れかと」
瑞樹「楓ちゃん一番高給取りでしょ、シンデレラガール並じゃない」
友紀「ゴチになりまーす」
早苗「ゴチになるわね」
楓「あれ?」
瑞樹「現金ねー」
早苗「そういう流れかと思って」
楓「瑞樹さん慰めてください。わんわん」
瑞樹「捨て犬決定ね」
楓「くぅーん……」
早苗「はー、にしても憧れるわねシンデレラ。王子様やーい」
瑞樹「かぼちゃで継母殴り倒しそうだから駄目なのよ」
友紀「ガラスの靴でビール飲みそうだよね」
早苗「なんでそんな山賊扱いなのよ」
友紀「ビール飲みたくないの?」
早苗「I Love Beer!」
瑞樹「じゃあ問題ないじゃない」
早苗「ほんとだ……」
楓「お酒がうんめーだけに、避けられない運命ってことですね、ふふっ」
友紀「ん゙っぶっ」
早苗「あーほらまた友紀ちゃんの変なツボに入った」
友紀「ちが……げほっ、気管に入っ、ごっ、入っちゃった……」
早苗「しっかりしなさい」サスサス
友紀「あ゙ー……死ぬかと思った、ダジャレでクスっときたのが運の尽きだね」
瑞樹「呪いの言葉みたいね」
楓「のろい……の、ろい……うぅん……」
瑞樹「無理に考えなくていいわよ?」
早苗「もう一種の業よね、これは」
楓「頭を柔らかくする体操ですよ」
友紀「そりゃ大層な効果だね」
楓「友紀ちゃん、中々やりますね」
友紀「頭が柔らかい証拠だよー」
楓「しょうこなくっちゃ……なんて」
早苗「押したら凹むぐらい柔らかそうね」
瑞樹「赤ん坊じゃあるまいし」
早苗「…………シンデレラかぁ……」
瑞樹「何よ急に真面目な顔して」
早苗「後何回お姫様になるチャンスが有るのかなぁと思って」
瑞樹「ちょっとそれあたしにも刺さるんだからね」
早苗「ふと思う時だってあるのよ……負かしたいって訳じゃないけど、負けたくはないじゃない?」
友紀「二番でいいと思ったことなんか一度もないよ。野球も、アイドルも」
楓「頂を目指さなくては、ガラスの靴はいただけません……ふふっ」
瑞樹「気合入ってるんだか入ってないんだかわからない楓ちゃんは置いといて……私は言うまでもないわよね」
早苗「あれだけふざけた話しててもいきなりギラっとした目になるんだから。ほーんと、いい性格よね」
楓「そのぐらい切り替えられたほうが人生楽しいんですよ、きっと」
早苗「モデルからアイドルとか?」
楓「警官からアイドルとか」
早苗「確かにねー……ま、みんないい子なの知ってるからね。願わくばWe Are the Championsなんだけど」
瑞樹「それじゃPrincessじゃなくてQUEENじゃない」
友紀「少なくとも二人は楓さんの影響を受けてるよね」
早苗「え」
瑞樹「えー」
楓「露骨に嫌な顔しましたよね。ねぇ嫌な顔しましたよね」
瑞樹「ふふふ、冗談よ」
早苗「あっははは……いや、ごめんね? いきなりこんな話しちゃって」
瑞樹「いいわよ別に、突拍子もないのはいつもの事じゃない」
早苗「ま、そう言われたらそうね……よーし、気合入れなおして飲むわよー!」グッ
楓「あら、良い飲みっぷり」
友紀「この後どうなるかわかっちゃった」
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早苗「んー……すぅ……」
瑞樹「こうなっちゃう訳ね」
楓「とっても気持ちよさそうな顔で寝てますね」
友紀「さーてと早苗さんごめんねー。よいしょっと」ヒョイ
瑞樹「任せちゃって悪いわね」
楓「友紀ちゃん、大丈夫ですか?」
友紀「早苗さんぐらいならヘーキヘーキ。あたしが好きでやってるんだしね」
瑞樹「あら」
友紀「そりゃそうでしょー、嫌いな人にこんなことしないよ」
楓「あら」
友紀「それじゃ川島さん楓さんまたねー」
瑞樹「気をつけてねー」フリフリ
楓「また飲みましょうねー」フリフリ
友紀「ね、早苗さん起きてる?」
早苗「……気づいてた?」
友紀「そりゃわかるよー」
早苗「ん……ごめん降りるわね。重たいでしょ?」
友紀「ヘーキだって。いいよーこのまんまで」
早苗「……じゃ、お言葉に甘えて」ギュ
友紀「今の早苗さんほっといたらあらぬ方向にすっ転んでいきそうだし」
早苗「ちょっとぉ!」
瑞樹「さてと……私達も帰りましょっか」
楓「そうですね……ね、帰ったらもう少し飲みませんか?」
瑞樹「もー、飲みすぎないでって言ってるのに」
楓「お猪口にちょこっとだけにしますから、ね?」
瑞樹「はいはい、付き合ってあげるわよ」
楓「ふふっ、ありがとうございます。瑞樹さん」
おしまい
08:30│高垣楓