2016年10月30日

塩見周子「赤ずきん?」 喜多見柚「ゆずずきん!」

モバマスSSです。





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「柚は準備、オッケーだよ!」





はーい。それでは赤ずきんの、はじまりはじまり……。







こほん。





むかしむかしあるところに、とても可愛らしい女の子がいました。





その女の子は、おばあさんからもらった赤いずきんを頭に……。





「パーカー!」





えっ?





「柚はパーカーがいいなっ」





え、えっと……じゃあ、パーカーにしますね。





その女の子は、おばあさんからもらった赤いパーカーをよく着ていました。





フードをかぶった姿がとってもよく似合っていたので……。





「ゆずずきん!」





……そう、みんなからゆずずきんと呼ばれていました。





「やった! ゆずずきんだっ♪」







ある日の事でした。お母さんが、ゆずずきんを呼んで言いました。





……あれっ、これも私の台詞ですか?





「そうだよー。ほら、早く早く」





「あっ、駄目だよおおかみサン! まだ出番じゃないよ!」





「ごめんごめん。出番来なくてヒマでさー」







いいですか? では、続けますね。





「赤ず……ゆずずきん、おばあさんが病気になってしまったの」





……あれ、おばあさん役って私ですよね?





「細かいことは、気にしないっ」





「そうそう。あたし達4人しかいないし」





そ、そうですか……そうですよね。よしっ!





「おばあさんのお見舞いに行ってきてくれるかしら。きっと喜ぶわよ」





「はーいっ! 柚におまかせっ」







「ありがとう、ゆずずきん。でもお母さん、用事があって一緒には行けないの」





「へーきへーき! 柚一人でも、大丈夫大丈夫っ♪」





「それじゃあ、このケーキとワインを持って行ってね。おばあさんも喜ぶわ」





ですが、ゆずずきんが一人でおばあさんの所に行くのは、これが初めてです。





お母さんは、ゆずずきんのことが心配で心配でなりませんでした。





「いい、ゆずずきん? 途中で道草をしてはいけませんよ」





「それから、おおかみには気を付けてね? 何を言われても、信じては駄目よ」





「はーいっ! ゆずずきん、行ってきまーす!」





ゆずずきんは元気よく、おばあさんの家へと出掛けて行きました。









……こんな感じで、良かったんでしょうか?





「うんうん、演技派って感じ。さすが泰葉だねー」





ふふ……ありがとうございます。





「泰葉チャン、本当にお母サンみたい!」





えっと……それは、喜んでいいのかな……?







……おばあさんの家は、赤ずきんの家から歩いて30分くらいの森の中にあります。





「こーんこんっ……あ、間違った。わおーん。おおかみだぞー」





楽しそうに歩いていたゆずずきんでしたが、そこにおおかみが近づいていました。





「……おっ、ゆずずきんだ。おーい、ゆずずきーん」





「あれ、おおかみサンだ。こんにちは、おおかみサン!」





おおかみはにこにこしながら、ゆずずきんに近づきます。





「こんなところに一人で来て、どしたのゆずずきん?」





「へへっ、よくぞ聞いてくれました! 柚はこれから、おばあサンのお見舞いに行くんだー♪」





「へぇー。ゆずずきんは偉いね。えらいえらい」





「ありがとっ、おおかみサン!」





おおかみは少し考えたあとに、にやりと笑ってゆずずきんに尋ねました。





「そのバスケットには、何が入ってるの?」





「ケーキとワインだよっ。おばあさんに持って行くんだー」





「なるほどなるほど。ゆずずきんのおばあさんって、どこに住んでるん?」





「このまままっすぐ! あと10分くらい?」







おおかみは、さらに考えました。





おばあさんの家を探して、おばあさんを食べてしまうには、もう少し時間が必要そうです。





「んー、なるほどね。ゆずずきん、いいこと教えてあげるよ」





「いいこと?」





「ゆずずきん、おばあさんにお花を持っていったらいいんじゃない? おばあさん喜ぶよー」





「あっ、確かに! ありがとおおかみサン!」





「さらに今なら……はい。うちの実家の和菓子まで付けちゃう」





「おおー……いいの、おおかみサン?」





「ん、いーのいーの。和菓子はゆずずきんにあげたんだから、お花でも見ながらのんびり食べなよ」





「へへっ、ありがとうおおかみサン!」





「それじゃ頑張ってねー。あたしはお散歩してこよっかな」





ゆずずきんはおおかみと別れて、さっそくお花を……。





「んっ……生八つ橋うまー♪」





……お花を見ながら、のんびりしていました。







ゆずずきんと別れたおおかみは、おばあさんの家に来ていました。





「へへっ、おばあさんの家はここだなー?」





とんとん、とドアを叩くと……あっ、私ですよね。





「はいはい、どなたでしょう?」





と、おばあさんの声がしました。





「ん、あたしあたし。ゆずずきんだよー。おばあさんのお見舞いに来たんだ」





それを聞いたおばあさんは、うれしそうに言いました。





「おや、ゆずずきんだったのね。いらっしゃい、鍵はかかっていないから、勝手に入っておくれ」





「はいはーい。それじゃあ遠慮なく……どーん!」





おおかみはドアを蹴破ると、ベッドに寝ていたおばあさんに飛びかかり……あっ、周子さん、待って! やめっ……!





「ふっふー……お腹すいたーん♪」





あっ、周子さ、そこはダメ……ひゃぁっ!?





ゆっ、柚ちゃっ、あとは任せ……ひゃっ、や、やめっ! あはっ、あははっ、くすぐったい、ですってばっ!





「えぇー……仕方ないなぁ」







「えーっと……がぶーっ! おおかみサンはおばあサンを食べてしまいました!」





「それからおおかみサンは、おばあサンの着ていた服を着て……」





「おおっ?」





やっ、ダメです! ダメですからね!?





「ダメだよ周子サン?」





「ちぇー」





「おばあサンになりすましたおおかみサンは、おばあサンのベッドに潜り込みました!」









「……大丈夫、泰葉チャン?」





ええ、なんとか……いっぱいくすぐられましたけど……。





「はい、泰葉チャン落ち着いて……」





ありがとう、柚ちゃん……ふう、あとは私がやりますね。







一方その頃、ゆずずきんは……。





「うーん、お花はこれくらいでいいカナ? そろそろおばあさんの家に行かなきゃ!」





やっとおばあさんの家に行くことを思い出しました。





「おばあサン、大丈夫かなー?」





その時、たまたま通りかかった猟師がゆずずきんに声を……あれ、乃々ちゃんは?





「あれっ、さっきまでここに……あーっ! いなくなってる!」





「また机の下とか……って、ここにはいないね」





ちょっと探してみましょうか。別の机かもしれませんし。







「あっ、いたいた。乃々ちゃんみーっけ」





「うぅ……なんでまた、もりくぼは猟師なんですか……ぜったいに猟師なんて向いてないんですけど……」





「まあまあ、乃々チャン。気にしない気にしないっ」





そうですよ。それに乃々ちゃんの衣装、とても似合ってますよ!





「あ、あぅ……」







気を取り直して……ゆずずきんがおばあさんの家に向かおうとした、その時でした。





「あ、あの……」





「あれ、どうしたの猟師サン?」





「この辺りにおおかみが現れるって聞いて、来たんですけど……というか、さっきおおかみと話しているのを見たんですけど……」





「そうだよ! やさしいおおかみサンだったかも? 生八つ橋くれたし」





「おおかみに餌付けされてるんですけど……」





「……あっ!? 確かに!」





「その、おおかみは嘘を付きますし、危ないので近づかないでほしいんですけど……」





「はーいっ! 分かりました!」





「もしおおかみを見つけたら……私に教えてください。私がもっとすごい猟師さんに伝えるので……」





「おおー……って、猟師サンはおおかみサンと戦わないの?」





「おおかみとか怖いですし……もりくぼにはむーりぃー……」





「そんなぁ、それじゃあおおかみサンと出会ったらどうするの?!」





「撃ちますけど……」





「えっ」





「死にたくないですし……」







おおかみを探しに行った猟師と別れ、ゆずずきんはおばあさんの家に着きました。





「あれっ? ドアがないよ?」





ゆずずきんは疑問に思いました。でも……





「おや、ゆずずきんかい? 今ちょっと換気をしてるんだ、入っていいよー」





「なるほどー。それじゃ、おじゃましますっ♪」





あっさり入ってしまいました。





「こんにちは、おばあサン! 具合は大丈夫?」





「あー、うん。もう大丈夫だよ。それより、そのバスケットのケーキが食べたいなー」





「はーい……って、おばあサン? どうしてケーキを持ってきたのが分かったの?」





「あっ」





おおかみは冷や汗を浮かべました。





それもそのはず、おばあさんはゆずずきんがケーキを持ってくることなんて知りません。





おばあさんになりすましたおおかみは、どうするのでしょうか。







「えーと、そう。あたしは鼻がいいからね」





「……そうだっけ?」





ゆずずきんは、おばあさんがいつもとは違うことにようやく気付きました。





「あっ! おばあサンの耳、とっても大きい!」





「それは、ゆずずきんの声をよく聞くためだよ」





「おばあサンの肌、すごく真っ白!」





「あたし、日焼けしたら赤くなっちゃうんだー」





「おばあサンの髪、サラサラできれい!」





「でしょ? よく聞かれるけど、地毛なんだよねー」





「えっと、それから……なんだっけ、泰葉チャン?」





……口ですよ、ゆずずきん。





「あ、そうそう♪ おばあサンの口は、どうしてそんなに大きいの?」





「おっ、ようやく聞いてくれたね。それは……」







「お前を食べるためだからだーっ!」





「わぁーっ!?」









おおかみはそう言うと、大きな口を開けてゆずずきんを食べてしまいました。





「へへへ、いただきまーすっ」





「お、お手柔らかに……ひぁっ!? しゅ、周子サン、そこはダメっ!」





「ほれほれー、ここかー? ここがええのんかー?」





「ひゃっ、くすぐったいってば! あはっ、あはははっ! やめてよ周子サンっ、あっ、ひゃぁぁぁっ!」





「あ、あの、もりくぼ帰っていいですか……」





……乃々ちゃん、私を一人にしないでください!





「でも……これは、ちょっと……」





……こほん。周子さん、そろそろ続けてもいいですか?





「あ、ごめんごめん」





「うぅ……ひどいよ周子サン……」







……えー、残念ながらゆずずきんはおおかみに食べられてしまいました。





「はー、美味しかったーん♪」





おおかみはおばあさんとゆずずきんを食べて、お腹がいっぱいです。





なんだか、眠くなってきました。





「ふぁぁー……んー、眠くなってきたなー」





おおかみはベッドに横たわると、すっかり眠ってしまいました。









「ぐがー、ぐおー」





「なんだか嫌な音が聞こえるんですけど……すっごく棒読みないびきなんですけど……」





たまたま近くを通った猟師が、おばあさんの異変に気付いたようです。





「えぇ……行きたくないんですけど……帰っていいですか……」





……乃々ちゃん、お話が進みませんから早く私達を助けて下さい!





「は、はいぃ……」







「あ、あの、おばあさんはいますか……というかドアが外れてるんですけど……」





猟師はびくびくしながら、銃を構えて中に入りました。





ベッドに近づくと……。





「ぐおー、ぐがー」





「ひぃっ、お、お、おおかみ、おおかみ……!!!」





突然おおかみに出くわした猟師でしたが、なんとかこらえました。





「すー、はー、すー、はー……え、えっと……どうしたらいいんでしょう……」





「ぐがー、すぴー」





猟師は、おおかみのお腹がとっても大きくなっていることに気付きました。





それにおばあさんの姿も、ゆずずきんの姿も見えません。





「あ、あれ……?」





おばあさんやゆずずきんは、おおかみに食べられてしまったのでは、と猟師は考えました。





「あ、あわわ……大変なんですけど……」







もしかしたら、おばあさんやゆずずきんはまだ生きているかもしれません。





「でも……た、助けるの……むーりぃー」





「乃々チャン、頑張って!」





「ぐー、ぐー」





「えっと……おおかみのお腹を切れば出てきますか……」





いいえ、もっといい方法を猟師は思いつきました!





「えっ?」





おおかみのお腹を思いっきりくすぐったら、おばあさんやゆずずきんがお腹から出られるかもしれません!





「ちょっ、泰葉! 台本とちが……」





今です、乃々ちゃん! 柚ちゃん!





「へへっ、周子サンかくごっ!」





「あっ、柚!? 泰葉!?」





今です、乃々ちゃん! 私達が押さえているうちに!







「ねっ、乃々ちゃん? ちょっと待とうよ、台本通りに……」





「えっと……もりくぼは食べられたくないので……」





「あっ、ちょ、乃々ちゃ……ひゃぁっ?!」











「あっ、あははっ、の、乃々ちゃ、やめっ、あたし、逃げられないのにっ、やっ、あっ、ひゃぁっ!」





「……」





「ちょっ、激しっ、やんっ! 待って、待って待って! あっ、あぁ……んっ!」





乃々ちゃん……いいえ、猟師のおかげで、おばあさんとゆずずきんはおおかみのお腹から出られました。





「……なんだかすごく喜びづらい気がする!」





「あの、周子さん、ごめんなさい……もりくぼも生きるのに必死なので……」





「あぅぅ……もうお嫁に行かれへん……」





「え、えっと……元気だしてください……」







おばあさんとゆずずきんを吐き出した衝撃で、おおかみは気絶してしまいました。





「や、やられたー。ばたんっ」





「やった! 柚、ふっかーつ!」





「あら、ありがとうねぇ、猟師さん」





「い、いえ……私は特に、何もしてませんけど……」





そして、おばあさんはゆずずきんに言いました。





「ゆずずきんや、庭にある石をいっぱい持ってきてちょうだい。悪いおおかみは、こらしめないといけないからねぇ」





「はーいっ!」





「え、もう十分こらしめれたんだけど……」





ゆずずきんが庭にある石を持ってくると……あ、どうしましょう。





「おおかみのお腹が開いてないから、石が詰め込めないんですけど……」





じゃあ食べさせましょう。





「えっ」





「くらえーっ!」





「わぁーっ!?」







こうしておおかみのお腹には石が詰め込まれました。





ゆずずきんとおばあさん、猟師はこっそり隠れて、おおかみが起きるのを待ちました。





「ふぁぁ……ん、よく寝たーん」





喉が乾いたおおかみは、川へ水を飲みに行きました。





「あれ、お腹が重い……食べ過ぎたかなー」





「ま、いっか……うわーっ」





おおかみが水を飲もうとしたその時、お腹の石が重くておおかみはバランスを崩してしまいました。





そしてそのまま川にどぼん、と落ちてしまいました。





「わー、お腹が重くて泳げなーい」





それを見た三人は、ほっと一安心。





悪いおおかみをこらしめて、大喜びです。





「やったーっ!」





「せ、正義は勝ちますけど……」







「これでめでたしめでたしだねっ!」





ゆずずきん、なにか忘れていませんか?





「えっ? なんだろ……あ、ケーキとワイン!」





違います。





「えー……?」





ほら、お母さんから言われたでしょう?





道草をしない、おおかみには気をつけて、って……。





「あ、確かに!」







……こほん。ゆずずきんはお母さんの言いつけを思い出しました。





そして、道草をしないこと、おおかみには気を付けることを自分に言い聞かせたのでした。





めでたしめでたし……。







――――――――――――――――――――





泰葉「めでたしめでたし……」





柚「……」





周子「……」





乃々「……」







柚「……柚たち、結構いけるかも!?」





周子「思いつきだったけど、結構楽しかったねー。あ、ケーキ食べよ?」





泰葉「そうですね……でもみんな、台本無視してませんでしたか?」





周子「でも泰葉だってアドリブしてたでしょ?」





乃々「元はと言えば周子さんが悪いのでは……?」





柚「周子サン、次はくすぐり禁止だよ?」





周子「あー、うんうん。流石にあたしも懲りたからね」





泰葉「それじゃあ、次は何をやりましょうか!」





乃々「ま、またやるんですか……」









ワイワイガヤガヤ……





P「……」





P「……そろそろ、机の前を返してくれないかなぁ」







12:30│喜多見柚 
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