2016年11月01日

佐藤心「バッセン行くぞ☆」 二宮飛鳥「打てる気がしない」

心「んー」



飛鳥「どうかしたの」



心「なーんかね……身体を動かしたい☆」





梨沙「毎日ダンスやってるじゃない」



心「それはなんていうか、仕事じゃん♪ はぁとは遊びで運動がしたいの♪」



心「プレッシャーやトレーナーのしごきから解放された、自由な心で!」



梨沙「佐藤ォ! 遊んでいる暇があったら身体を休めろォ!」



心「ぎょえっ!」



梨沙「ふふん、似てたでしょ。トレーナーの真似♪」



飛鳥「ベテトレさんの声はびくりとさせられるからね」



心「うるせー☆ たまには気分転換させろー!」



梨沙「パンケーキのお店に連れて行ってくれたら考えてやろう」



心「しょうがないなあ、連れてってやる♪」



飛鳥「いいのか……」



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心「はぁとも甘いもの好きだし☆ 飛鳥ちゃんもでしょ?」



飛鳥「まあ、そうだけど。というか、その流れだとボクもいくのかい」



心「もち☆ はぁとたち、一心同体だろ♪」



飛鳥「いつからそうなったんだ」



梨沙「むしろ、趣味も性格も結構バラバラじゃない?」



心「そういう些細なことは問題じゃないの!」



心「ただひとつ『トップアイドルを目指している』というつながりさえあれば……」キリッ



飛鳥「それで、いくならどこの店?」



梨沙「やっぱ原宿じゃない? パンケーキ有名だし」



心「おい、目背けんな☆」

数日後





梨沙「ちょっと! なんでパンケーキ食べに行くはずがバッティングセンターに来てるのよ!」



心「スイーツ食べる前にはちゃーんと運動してカロリー消費しとかないと♪」



心「それに……パンケーキのお店に連れて行ったら、身体動かす遊びしていいって話だったでしょ?」



梨沙「む、そういえばそうだった……しょうがないわね。お腹すかせるにはちょうどいいわ」



飛鳥「バッティングセンターか。来るのは初めてだ」



心「ちなみに、バットを握ったことは?」



飛鳥「なくはない。体育で少しだけ」



心「じゃあ、とりあえず一番軽いバットね♪ 梨沙ちゃんも」



梨沙「晴に誘われてサッカーは時々やるけど、野球はテレビで見るだけね」



飛鳥「テレビでは見るんだ」



梨沙「パパが野球観戦好きだから。アタシもちょっとは選手知ってるわよ! オオタニとか、ツツゴーとか!」



飛鳥「ボクでも知っているレベルの有名選手だね」



心「よーし! じゃあ早速バッターボックスへGO☆」

心「まずは一番遅い60キロのマシーンでやってみ☆」



飛鳥「………」フーー



飛鳥「構える」



梨沙「構えたわね」



心「飛鳥ちゃん飛鳥ちゃん。バットは真剣じゃないから正面に構えないんだよ?」



心「ていうか身体自体がバティスタ並に正面向いてるぞ♪」



飛鳥「難しいな……」



梨沙「バティスタって?」



心「もう日本にいたのは10年以上前かなあ。帰ったらパパに聞いてみ☆」



梨沙「パパ、知ってるの?」



心「パパさんの年代で野球好きならまず知ってるぞ、たぶん♪」



飛鳥「心さん。打ち方、これでいいかな」



心「ん? んー、もうちょい肘広げたほうがいいかも」



飛鳥「こう?」



心「そうそう、そんな感じ♪」



飛鳥「よし……では、マシンのスイッチを」



ぽちっ





マシーン「ががが」





びゅんっ!





飛鳥「ひぅっ」





ぼとっ





梨沙「60キロでも結構速いんだ……」



心「怖がらなくても大丈夫だぞー、身体のほうに飛んできたりしないから! バット出してけ☆」



飛鳥「……確かに」



飛鳥「よし」





びゅんっ!



びゅんっ!



びゅんっ!





飛鳥「っ!」





ブン!



ブン!



ブン!





心「胸のエンジン今♪ うなりをあげて伝説になる♪」



飛鳥「今はMidnightでなくMorningだ」



梨沙「よそ見してると次のボールが来るわよ」





飛鳥「結局、最後の1球が掠っただけだった」



心「ま、はじめはそんなもんだよ♪ これからこれから☆」



梨沙「じゃ、次アタシね! 運動神経いいから、飛鳥よりはきっと」







びゅん! びゅん! びゅん!





ぶん! ぶん! ぶん!





心「胸のエンジン今♪」



飛鳥「うなりをあげて伝説になる」



梨沙「なんで飛鳥まで歌ってるのよ!」



飛鳥「………いい曲だから?」



梨沙「理由になってない! いい曲だけど!」



心「さーて、じゃあはぁとが二人にお手本を見せてあげよう♪」





カキーン!



カキーン!



カキーン!





梨沙「うまいわね……」



飛鳥「鋭い当たりばかりだ」



心「ふっふっふ♪ これでも昔は長野のマリー・アントワネットと呼ばれたくらいだから☆」



飛鳥「マリー・アントワネットと野球は関係あるのだろうか」



心「細かいことは気にしなーい☆」



梨沙「ハートさん、もっと速い球が出るところいったほうがいいんじゃない?」



心「まあ、いつもはもう少しスピードの出るマシンでやってるんだけどね。でも今日はキミらのコーチもやらないと」



飛鳥「ボクらのことなら気にしなくてもいい。さっきまでで基本はつかんだから」



梨沙「そのうち慣れるわ。ヨユーよ、ヨユー!」



心「そう? でも」



飛鳥「梨沙の面倒はボクが見るさ」



梨沙「飛鳥の面倒はアタシが見るわ」



飛鳥「………」



梨沙「………」



飛鳥・梨沙「「逆だろう(でしょ)」」



心「ぷっ! あははっ……じゃ、お言葉に甘えて、はぁとは向こう行ってくるね♪」



梨沙「いってらっしゃい」



梨沙「と、送り出したはいいんだけど」





ぶんっ!





飛鳥「スイングは間違っていないはずなんだが」





ぶんっ!!





梨沙・飛鳥「当たらない……!」



梨沙「何がいけないのかしら……」







??「もうちょっとバットを短く持ってみたらどうや」



梨沙「え?」



飛鳥「?」



??「あとは、バッターボックスの後ろのほうに立って……最後までボールから目を切らないことやな」



??「まあ、ワイの現役時代は最後までバット短く持たんかったけど」



梨沙「いや、あの。誰?」



飛鳥(中年の男性……でも、ただならぬオーラを感じる)



??「まあまあ、細かいことは気にせんでええで」



??「これでも最近は野球教室でちびっ子たちにいろいろ教えとるんや。コーチには自信あるで?」



15分後





かきーん!





梨沙「あっ」





かきーんっ!





飛鳥「前に飛んだ……」





??「ふたりとも、ええスイングやったで」



梨沙「ありがと! オジサンのおかげで打てるようになったわ!」



??「はは、オジサンか。ワイも年取ったなあ……もう40越えとるし」



飛鳥「………」



梨沙「飛鳥、どうかした?」



飛鳥「いや……どこかで見たことがあるような」



??「昔はプロの球団でブイブイ言わせとったからな」



梨沙「プロだったの!? じゃあ、OBってやつ? いつ引退したの?」



??「いや、まだ引退はせんで」



飛鳥「え?」



??「チームをクビになって、プロの球団には拾われんかったけど、まだまだやれることがぎょうさんあるからな。やりきるまでは生涯現役や」



飛鳥「……あくまで、現役にしがみつく、と」



飛鳥「なぜ……と、聞いてもいいですか」



??「なぜ、か……そうやな」



??「何個か思い当たるものはあるけど……ワイにも、ようわからんのかもしれんな」



梨沙「よくわからないのに続けるの?」



??「不思議か? ま、キミらにもそのうちわかる日が来るかもしれんで」ハハハ



飛鳥「………」



飛鳥(いつか、年月が過ぎていき……ボクにも、限界が訪れるのかもしれない)



飛鳥(その時、ボクはさっぱりアイドルを諦めるのだろうか。それとも、この人のように――)



??「ま、ひとつ言えることがあるとすれば」



梨沙「すれば?」



??「ワイは、野球が好きってことやな」



梨沙「そりゃそうよね。じゃないとクビになってまで続けないわ」



??「ハハ、はっきり言うなぁ」



飛鳥「………」



飛鳥「好き、か」

??「ほな、ワイはそろそろ行くわ」



梨沙「もう行くの? 何か用事?」



??「東京ドームにな。後輩のクライマックス……初の晴れ舞台を見にいくんや」



梨沙「ふーん」



飛鳥「いい結果だといいですね」



??「そうやな。じゃ、ふたりともホームラン目指して頑張れよ」



梨沙「すぐに打ってやるわ!」



??「その意気や」

その後





心「たっだいまー☆ かっとばしてきたぞー!」



梨沙「あ、おかえり」



飛鳥「ボクたちもそれなりに打てるようになってきたよ」



心「おお、すごいね♪ じゃあ、ぼちぼちパンケーキ食べに行く?」



梨沙「待ってたわ!」



飛鳥「お腹の空き具合もちょうどいいか」



心「お店はここからそんなに遠くないから……ところで、梨沙ちゃんが持ってるそのボールは?」



梨沙「あ、これ? さっき、元プロのオジサンがサインしてくれたの」



心「元プロ?」



飛鳥「生涯現役で、今は野球教室を開いているらしい」



心「……ちょっとそのサイン見せて」



梨沙「うん? はい」



心「………」



心「あ、ああ」



飛鳥「心さん?」

心「も、猛牛戦士だ……!! 会いたかった……!!」



梨沙「そんなに有名な選手なの?」



心「有名なんてもんじゃ……もう帰っちゃったの!?」



梨沙「うん。東京ドームに行くって」



心「あ〜〜〜、なんて間が悪いの私……」



飛鳥「一人称が変わるほどのショックらしい」



心「こうなったらパンケーキやけ食いだ! いくぞちびっ子!!」



梨沙「ちびっ子言うなっ!」



飛鳥「………」



飛鳥(考えなければならないことは、たくさんある。そんな気がする)



飛鳥(けれど、今は)





心「最大サイズひとりで食べてやるからな☆」フンス!



梨沙「言っておくけど、残しちゃダメよ。出された料理は全部食べるのがマナーなんだから」



心「わかってるって♪」



梨沙「飛鳥もよっ」





飛鳥「………」



飛鳥「あぁ。理解っているさ」フッ





飛鳥(今は、まだ見ぬ店のパンケーキに思いを馳せるとしよう)









おしまい





22:30│佐藤心 
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