2016年11月10日

的場梨沙「寒い……」 佐藤心「そんな日は鍋☆」

ある日の夕方 女子寮 飛鳥の部屋





梨沙「おなべ、おなべ♪」





飛鳥「お鍋はいいんだが、なぜ開催場所がボクの部屋なんだ」



梨沙「え?」



飛鳥「その『なんでそんな当たり前のこと聞くわけ?』みたいな顔はこちらも反応に困る」



梨沙「なぜって聞かれてもねー」



飛鳥「どういう経緯で場所が決まったのか、それだけ教えてくれ」



梨沙「経緯? ええと、確か――」



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昼間





梨沙「へくちっ」



心「大丈夫? 風邪?」



梨沙「違うと思う……けど、最近寒いわよね」



心「ほんとねー。肌を出すのも一苦労って感じ♪」



梨沙「ハートさん、今日も肩出しファッションよね」



心「それは梨沙ちゃんもでしょ?」



梨沙「まあね。だって」



梨沙・心「オシャレは我慢だし!」



心「さっすが、わかってる〜☆」



梨沙「トーゼンよ、トーゼン!」





梨沙「でも寒い」



心「それねー……あったまりたい……」



心「あ、そうだ! お鍋食べよう、お鍋!」



梨沙「お鍋?」



心「そう♪ 寒い日にはみんなでお鍋を囲むのが定番っしょ☆」



梨沙「お鍋……あったかいお鍋……」



心「湧き上がる湯気、部屋に漂うデリシャスな匂い♪」



梨沙「お鍋……」



心「たっぷり汁の染みた鶏団子をれんげですくって、ふーふーしてからゆっくり口の中へ♪」



梨沙「お鍋!」



心「そして広がるスウィーティー☆」



梨沙「お鍋はスイーツじゃないわよ」



心「急に素に戻ってツッコむのやめろ☆」



梨沙「まあいいわ! お鍋はアタシも食べたいし、賛成!」



心「オッケー☆ はぁと、夜はちょこっと用事あるから、先に飛鳥ちゃんの部屋で準備してて♪」



梨沙「わかった!」











梨沙「確かこんな感じで決まったのよね」



飛鳥「なにひとつボクの部屋が選ばれた理由が理解らない」



梨沙「鶏団子の話したからじゃない?」



飛鳥「それで納得できると思うかい?」



梨沙「思わない」



飛鳥「だろうね」



梨沙「でもお鍋は食べたいでしょ?」



飛鳥「………」



飛鳥「たまには、複数人で同じ器を共有するのも一興かな」



梨沙「よし、決まりね! じゃあ早速食材買いに行くわよ♪」





スーパー





P「で、俺が荷物持ちとして召喚されたのか」



梨沙「アタシたちの手作りのお鍋が食べられるのよ? 買い物についてくるくらいいいじゃない」



飛鳥「どうせ鍋を囲むなら、キミも呼びたいと思ったんだ。一晩、付き合ってもらえるかい」



P「まあ、みんなと一緒に晩ご飯を食べるのは、楽しそうだからいいんだけどな」



飛鳥「まずは鍋の素から探そうか」



P「鍋の素は……ここの棚だな。どういう味のにしようか」



P「俺としては、今日は辛いチゲ鍋なんかが食べたい気分なんだが」



梨沙「甘いの」



飛鳥(無言で頷く)



P「はは……了解。普通の寄せ鍋用のつゆにしよう」



P「具だけど、何を買おうか」



飛鳥「お昼に鶏団子の話が出たようだし、それは確定かな」



飛鳥「手間を省くなら、つみれを買えばいいんだけど」



梨沙「アタシお団子作りたい!」



飛鳥「なら、ひき肉か」



P「あとは適当に、ねぎとか豆腐とか買っていこうか」



飛鳥「あと、えのきや春菊もね」



P「お、いいチョイスだ」



飛鳥「ふふっ」



P「梨沙は何か希望とかあるか」



梨沙「おもち!」



P「餅か。それもいいな」



飛鳥「ポン酢とかは家にあるから、あとは……ん、心さんからLINE」





心『缶ビール5個くらいよろしく☆』





飛鳥「………」



梨沙「………」



P「……心さん、酔うと結構めんどくさい絡み方してくるわけだけど」



飛鳥「ボクは限界で2缶だと思う」



梨沙「1コで十分じゃない?」



飛鳥「じゃあ1缶で」



P「あとで文句言われそうだな」



梨沙「飲みすぎるとビール腹になるしちょうどいいわよ」



飛鳥「厳しいな、梨沙は」フフ



飛鳥「ところで、Pは飲まないのかい」



P「俺は帰りが車だからな」



梨沙「あ、チョコレート安いわよ」



飛鳥「鍋に入れるものを探してくれ」



梨沙「あ、あっちはコーヒー豆の安売りしてる」



飛鳥「往こうか」



P「おい」

再び飛鳥の部屋





飛鳥「さて、鍋を作ろうか」



P「俺が全部やってもいいんだぞ?」



飛鳥「いや、キミは荷物持ちをしてくれたからね。あとはそこでゆっくり座って待っていてくれ」



梨沙「待ってなさい♪」



P「そうか」



P「ちなみに飛鳥、鍋を作った経験は」



飛鳥「最後に作ったのは……母の手伝いをした時の3年前かな」



P「………」



10分後





梨沙「えーっと、ひき肉と卵と片栗粉を混ぜて、あと調味料も少々……」コネコネ



飛鳥「………」



梨沙「ふふっ、この肉の冷たさがちょっと気持ちいいのよねー」



飛鳥「………」



梨沙「……ところで飛鳥。なんでひたすら水だけ入った鍋を見つめてるわけ」



飛鳥「……はっ」



梨沙「なんとなくわかるけどね。水をあっためてるとき、沸騰するまでじーっと観察しちゃうの」







梨沙「にぎにぎ……うん! お団子の準備できたわよ」



飛鳥「よし。投入だ」







梨沙「……ねえ。火、強くない?」



飛鳥「こんなものだろう」



梨沙「そうかしら……」



飛鳥「さて、ここでチャッカマンを取り出して」



梨沙「え、なんで?」



飛鳥「鍋の上から火であぶるといいらしい。この前外食したら店員がやっていた」



梨沙「それ、どの鍋でも共通なの? そもそもこの鶏団子とスープしか入れてないタイミングでいいの?」



飛鳥「やるだけやってみる価値はあるさ」グイッ



飛鳥「……ん?」←着火しない



飛鳥「ふんっ……!」グググ



梨沙「飛鳥、飛鳥」



飛鳥「なんだいっ……!」



梨沙「ストッパー、外れてなくない?」



飛鳥「………」



飛鳥「あ」



梨沙「アンタ、やっぱりお鍋づくりで緊張してるでしょ」







P「………」



P「やっぱり俺が手伝おう」



P「飛鳥と梨沙は、洗い物とか食器の準備をしていてくれ。鍋の番は俺がやるよ」



飛鳥「……お願いするよ。料理はある程度できるはずなんだけど……少し、張り切りすぎていた」



P「俺達のために頑張ったんだろう。気持ちだけでうれしいよ」



飛鳥「………そう」フッ



梨沙「にやにや」



飛鳥「っ! 洗い物だね、理解った」プイ



梨沙「プロデューサー! せっかくアタシが形整えたんだから、お団子崩さないでよ!」



P「了解」





コンコン





心「おーっす☆ みんなのはぁとがやってきたぞー☆」



P「お、心さんが来たか」



梨沙「おそーい」



心「いやーめんごめんご☆」ガチャ



梨沙「めんご? ごめんじゃなくて?」



心「また若い者に通じないネタを言っちゃった☆」テヘペロ



飛鳥「懲りないね、アナタも……ところで、その右手に持っている袋は」



心「あ、これ? お鍋の材料♪」



梨沙「材料って、それはアタシたちが」



心「チョコレートでしょ? ピザまんでしょ? ゴーヤでしょ?」



飛鳥「今夜は闇鍋ではないんだが」



心「ええーっ!? 闇鍋じゃないの!?」



梨沙「むしろ昼間の話でなんで闇鍋だと思ったのよ」



心「だって、はぁとの地元だと鍋って言ったら闇鍋のことを指してて」



梨沙「どんな地元なのよ……」



心「しょうがないなあ。チョコとピザまんは部屋に持って帰るから、ゴーヤだけ飛鳥ちゃんにあげるね♪」



飛鳥「体よく押しつけようとするのはやめてほしいな」







P「おーい。おしゃべりしている間に鍋できたぞー」



P「じゃあみんな、手を合わせて」





4人『いただきます!』







心「ん〜〜♪ この温もりが身に染みるー♪」



飛鳥「ふー、ふー……あつっ」



梨沙「大丈夫? お豆腐は汁吸ってるし熱いわよ」



飛鳥「あぁ、大丈夫さ」



梨沙「アブソリュート・ゼロで冷やす?」



飛鳥「心配しているのかからかっているのかどっちかにしてほしいね」



梨沙「ふふっ」



P「鶏団子、うまいな」



梨沙「アタシが作ったんだからトーゼンよ!」ドヤァ



心「梨沙ちゃんこれはいいお嫁さんになるね♪」



梨沙「でしょ?」ニコニコ



飛鳥「器用だね、キミは」



梨沙「飛鳥も、結構いい感じに野菜切れてるわよ」



飛鳥「そうかな」フッ



心「プロデューサー、遠慮せずにどんどん食べてけ♪ ほい、ネギにえのき!」



P「鍋奉行ですね、心さん」



心「ふっふっふ♪ 具が減っていい頃合いになったらご飯を投入して雑炊にするからね☆」



P「いいですねー」



晩ご飯終わって





P「本当に洗い物しなくていいのか?」



心「大丈夫大丈夫♪ プロデューサー、家そこそこ遠いんだから早めに帰らないと」



飛鳥「後片付けくらいは、キミの手を煩わせることなくできるさ」



梨沙「ちゃんと帰って寝て、明日もプロデューサーとしてきびきび頑張りなさいよね」



P「ありがとう。そういうことなら、お言葉に甘えて。また明日」





ガチャ、バタン





心「よーし、ちゃちゃっと片付けちゃうぞ☆」



梨沙「洗い物なら、ママの手伝いでいつもやってるから余裕よ」ゴシゴシ



飛鳥「梨沙、鼻に泡がついてるよ」



梨沙「え? どこ?」



飛鳥「ほら、拭いてあげるから動かないで」



梨沙「あ、うん」



飛鳥「……はい。もういいよ」



梨沙「ありがと」



心「なんだかんだ、飛鳥ちゃんはいいお姉ちゃんだねえ」



飛鳥「なんだかんだ、が気になるな」



梨沙「アタシが妹? どっちかというと逆じゃない?」



飛鳥「逆はないだろう」



梨沙「ある」



飛鳥「ない」



心「あははっ♪ ほんとに姉妹みたい♪」

その後





心「さて、お風呂も入ったし何する?」



梨沙「とりあえずテレビつけましょうよ」



飛鳥「くつろいでいるけど、自然とボクの部屋に泊まる流れになっていないか」



梨沙「うん」



心「もち☆」



飛鳥「言い切ったな……まあ、慣れたからいいけどね」



心「飛鳥ちゃんの描きかけの漫画でも読む?」



梨沙「賛成!」



飛鳥「漫画か……今見せられるのはこのあたりかな」ガサゴソ



心「よーし♪ 明日は3人とも午後から出勤だし、徹夜で遊ぶぞー!」



梨沙「アタシいい子だから夜更かしはしないわよ」



心「ノリが悪いぞ☆」



梨沙「冗談よ、冗談。パパも、たまには夜更かししていいって言ってくれてるし」



飛鳥「ということは」



梨沙「徹夜はダメだけど、今日はちょっと夜更かしするわ!」



心「いえーい☆」





数時間後





飛鳥「なんて、言っていたけれど」





梨沙「すぴー、すぴー」



心「くかー」





飛鳥「ふたりとも、10時には寝てしまったか」



飛鳥(梨沙はともかくとして、心さんまでぐっすりだ)



飛鳥「………」



飛鳥「夜風にでもあたろうかな」



ガラッ





飛鳥「………」



飛鳥「今日は星がよく見えるな」



飛鳥「……っくしゅん」







心「薄着でベランダ出ると、風邪ひいちゃうよ?」



飛鳥「心さん。あぁ、すまない。起こしてしまったか」



心「ううん、なんとなく目が覚めただけ」



心「なにしてるの?」



飛鳥「星を見ている」



心「そっか。はぁともちょっとだけ一緒していい?」



飛鳥「あぁ」



心「やった♪」



飛鳥「………」



心「………」



飛鳥「………」



心「どうかした? こっちじーっと見て」



飛鳥「あぁ、えっと。なんだか、イメージが違うなと思って」



心「イメージ?」



飛鳥「髪をおろして、夜風に当たっている心さんの姿……いつものそれとは、また違った雰囲気だ」



心「大人っぽい?」



飛鳥「……かも、しれないね」



心「それ、普段は大人っぽくないってか〜? このこの♪」



飛鳥「そうとは言っていない……というより、あれを大人っぽいとは表現できないだろう」



心「ふふ、まあね♪」



心「そういう飛鳥ちゃんは……」



飛鳥「ボクは?」



心「変わってない☆」



飛鳥「なら溜めないでくれ」



心「あはは、めんごめんご☆」



飛鳥「そのネタ、ボクにも通じないよ」



心「ジェネレーションギャップ♪」





心「それじゃ、はぁとはそろそろ寝るね」



飛鳥「あぁ。ボクはもう少し、空を見ているよ」



心「じゃあ、このどてら羽織っていいよ。風邪ひいたらいけないし」



飛鳥「いいの?」



心「いいよ♪ ていうか、余ってるしあげてもいいくらい。あったかくておすすめだぞ☆」



飛鳥「……ありがとう」



心「どういたしまして。じゃ、おやすみ」



飛鳥「おやすみ」



飛鳥「………」



飛鳥「あの三ツ星……そうか、もうオリオン座が見える時期か」



飛鳥「………」



飛鳥「どてら……あたたかいな」







おしまい



23:30│佐藤心 
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