2016年12月01日

渋谷凛「あ、文香だ」鷺沢文香「どうかなさいましたか?」


渋谷凛「おはよう、パーティ楽しんでる?」



鷺沢文香「はい、おかげさまで。凛さんも楽しまれているようで何よりです」





凛「うん。事務所の飾り付け、やってくれたんだってね」



文香「ええ。私だけではありませんが、皆さんのことを思って日常を彩るのは悪くなく」



凛「凝ってるもんね。文香らしいなって思ったよ」



文香「……熱が入り過ぎてしまうのが悪い癖で……お恥ずかしい」



凛「私はそういうの、文香のいいところだと思うけどね」



文香「であれば、いいのですが……」





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1480433659





凛「文香って変なとこ自信ないよね」



文香「……そう、でしょうか」



凛「だって、飾り付け、頑張ったんでしょ?」



文香「それは、はい。特別な日に手は抜けませんから……」



凛「なら、もっと自信持ったら?『これは私が作ったんだぞー!』って」



文香「……それは、その」



凛「ほら、言ってみなよ。そこの栞モチーフの飾り、作ったの文香だよね?」



文香「はい。やはり……分かりますか」



凛「うん。文香らしくてかわいいと思う」



文香「ありがとう、ございます」



凛「ほら、『これは私が作ったんだぞー!』って。ね?」



文香「……その、ええっと……」



凛「私しか聞いてないし、大丈夫だって。恥ずかしがることないでしょ?」



文香「はい……え、っと。これは……私が作ったんだぞぉ……すみません。どうか忘れてください……」



凛「ぷっ、あはははは。ごめん、ちょっと待って。想像以上だったよ」





文香「あの、凛さん。もしかして、私は今、からかわれたのでしょうか」



凛「違う違う。想像以上にかわいくて、ずるいな、って。それ文香のプロデューサーさんにやってきたら?」



文香「……やはり私をからかってましたよね?」



凛「……ふふっ」



文香「誤魔化さないでください」



凛「ごめんって、お詫びに、はい。ナスのキャビア風ディップ」



文香「それは私が作ったものです」



凛「え、嘘。文香って料理上手なんだね」



文香「レシピ本のおかげです。この数日間はその偉大さが骨身に沁みました」



凛「でも、すごいよ。やっぱり文香は才能あるんだね」



文香「記されている分量通りに調理を進めることで、私のような初心者でもこのような料理を作ることができて……」



凛「やっぱり凝り性だよね、文香ってさ。今度私にも教えてよ」



文香「はい。私でよろしければ、よろこんで」



凛「ありがとう。楽しみにしてるよ」



文香「さて、先ほどの私をからかった件なのですが……」





凛「そこに戻すんだ」



文香「もちろんです」



凛「戻さなくていいのに」



文香「そういうわけにもいきません」



凛「そっか」



文香「そうです」





凛「で、私は何をしたらいいわけ?」



文香「話が早くて助かります。凛さんには、物真似をしていただきたく思います」



凛「物真似? そんな持ちネタないんだけど……」



文香「以前、凛さんはきらりさんの物真似をなさったそうですね」



凛「ごめん、待って。待ってください」



文香「一度、生で見てみたいと思っていたのです」



凛「ごめん、ごめんってば」



文香「では。よろしくお願いしますね?」



凛「……に、にょわぁ……? りんちゃんだにぃ……? りんちゃんのきゅんきゅんぱわーではぴはぴさせるにぃ……?」



文香「ありがとうございました」



凛「……はぁ、高くついたなぁ」



文香「ふふ。仕返し、です」





凛「まぁ、お祝いの席だし、ね。ちょっとくらいの恥ずかしさは忘れることにするよ」



文香「そうですね。きゅんきゅんぱわー、素敵でした」



凛「もう忘れて」



文香「はぴはぴさせられてしまいました」



凛「忘れて、ってば」



文香「……すみません。調子に乗り過ぎましたね」



凛「いいよ。でも文香、今日はほんとに楽しそうだね」



文香「やはり、今日の私はそう見えるのでしょうか?」



凛「うん、すごく。やはり、って?」



文香「プロデューサーさんにも同じことを言われたので……」



凛「ふふっ。惚気なら聞いてあげないよ?」



文香「……そんなつもりはなくて、ですね……」



凛「まぁ、でもこうして文香と話せる時間が作れてよかったよ」



文香「……? それはどういう……」



凛「だって、文香、文香のプロデューサーさんとべったりだったし」



文香「……それは、その。日頃の感謝を、と……」



凛「そうだね。そういうことにしとくよ」



文香「……弁明は、意味を為さないようですね……」



凛「別に、楽しかったら楽しいって言えばいいと思うんだけど。それじゃだめなの?」



文香「そう、ですね。どうやら今日の私はいつにも増して楽しんでいるようです」



凛「ふふっ、アニバーサリーだもんね。それくらいで丁度いいんじゃないかな」



文香「はい、ありがとうございます。ふふ」





凛「それで、私なんかと話してて大丈夫? なんか話し込んじゃって迷惑だったかな」



文香「凛さんとお話しする時間は、私にとってとても有意義で……迷惑だなんて、そんな」



凛「ありがと。私も文香と話すの、楽しいよ」



文香「同じ、ですね。ふふ」



凛「そうだね。ふふっ」



文香「話し込む、といえば凛さんこそ、プロデューサーさんと過ごされなくてよろしかったのですか?」



凛「うーん、さっきまで一緒だったんだけどね。文香を見かけたから、ちょっと話してくるね、って」



文香「わざわざ、私のために時間を作ってくださったのですね」



凛「そんな大層なものでもないけどね。私のプロデューサーも、ふらふらしてるし」



文香「仲が良いのですね」



凛「そうかな? うーん、そうかも」





文香「そういえば、凛さんは事務所にいらっしゃる前にプロデューサーさんとお花屋さんに行かれたそうですね」



凛「あれ、なんで知ってるの? 話したっけ」



文香「いえ、凛さんのプロデューサーさんが自慢してらしたので」



凛「え。自慢、って?」



文香「胸に付けてらっしゃるリンドウのお花を指差しながら『凛と選んできたんだよー』とおっしゃっていたので……」



凛「……はぁ、ほんとにもう」



文香「凛さんと言えば、あのお花ですし。言われなくとも……とは思いましたが」



凛「そんなに私、あの花って感じするかな」



文香「それは、はい。凛さんの衣装に度々配われていたので……」



凛「あー、そっか。まぁ、プロデューサーには後でキツく言っとかないと、かな」





文香「ふふ。それにしては楽しそうですね」



凛「んー、どうかな」



文香「私の目には、今の凛さんはとても楽しそうに映ります」



凛「……え、っと。ちょっと意味が」



文香「とても怒っているようには見えなくて」



凛「いや、怒ってるからね。ほんとに勝手なことばっかされてさ」



文香「そうですか」



凛「そうだよ、まったく」



文香「プロデューサーさんに自慢してもらっていることを知り、少し嬉しそうでしたので」



凛「そんなことないって」



文香「ですが、とても素敵な笑顔ですよ?」



凛「え、嘘。にやけてる?」



文香「……嘘です」



凛「あ。もしかして私、からかわれた?」



文香「……ふふ」



凛「誤魔化さないでよ」



文香「すみません。悪気はないのです」



凛「うん、分かってる。まぁ、文香が楽しそうでよかったよ」





文香「ありがとうございます。本当に夢のような1日で……」



凛「何言ってるの。まだ始まったばかりでしょ?」



文香「それは、そうなのですが。これは夢ではないかと思ってしまう程に……」



凛「私達が作る今は夢なんかより綺麗でしょ? 違う?」



文香「そういった考え方もあるのですね……」



凛「最初も言ったけど文香はさ、もっと自信持っていいよ。今日もおしゃれ、頑張ったんでしょ?」



文香「それは、その……はい。精一杯のおめかし、です」



凛「ヘアバンドしてないの、珍しいよね」



文香「……変、でしょうか」



凛「ううん。綺麗だと思うよ。嫉妬するくらいには」



文香「……凛さんにそこまで言わせておいて、謙遜しては罰が当たりますね……」



凛「ふふっ、そういうこと。分かったら、私に言ったこと文香のプロデューサーさんに言っておいでよ」



文香「凛さんに言ったこと……とは?」



凛「精一杯のおめかしなんでしょ? 褒めてもらわなきゃもったいないよ」



文香「……ふふ。そうですね。では、お言葉に甘えて……」



凛「うん。またね」





凛「……行っちゃった。ふふっ、みんな浮かれてるなぁ」



凛「私も大概、か」



凛「……………」



凛「あ、プロデューサー。ううん、待ってないよ」



凛「あのさ、聞いてよ。文香ってば、おかしいんだ」



―――――



―――



――











おわり





相互RSS
Twitter
更新情報をつぶやきます。
記事検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: