2017年01月18日
律子「全く、亜美はチュー威力三万なのよ」亜美「!?」
亜美「三万!?」
律子「そうよ」
亜美「へぇー! それってすごい? えらい!?」
律子「そうよ」
亜美「へぇー! それってすごい? えらい!?」
律子「何バカなこと言ってるの! ダメダメよ」
亜美「えっ、ダメなの!? だって三万なんでしょ!?」
律子「三万だからダメなのよ!」
亜美「……そなの?」
律子「あなたは普段からチュー威力が足りないって言ってるの」
亜美「さ、三万じゃ足りないんだ……」
律子「当たり前でしょ。三万ってのは全然足りないって意味よ」
亜美「うあうあ〜……そうだったんだぁ……」
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亜美「で、でもさ!」
律子「?」
亜美「亜美が三万ってことは、他のみんなはもっとあるってこと?」
律子「そうね……まあ亜美よりは、ってところかしら」
亜美「みんな?」
律子「……うーん……そうね、たとえば春香……」
亜美「うん」
律子「あの子も、どっちかっていうとチュー威力ないほうね。何もないところでこけるし」
亜美「よ、よくこけるのが関係あるの?」
律子「まあそりゃね。何もないところでこけるのは相当チュー威力ないわよ」
亜美「まじか…とりあえずこけないように気をつけよ…」
律子「?」
亜美「ていうかさ、じゃあ律っちゃんはチュー威力どんくらいなのさ!」
律子「私? 人一倍ってほどでもないけど、まあ一兆前には備わってるつもりよ」
亜美「い、一兆も!?」
律子「?」
亜美「やばい……」
律子「そう、このままじゃダメなのよ亜美」
亜美「て、ていうか……いつ亜美がチュー威力三万だって……」
律子「まあ普段の行動を見てたら分かるけど」
亜美「普段!? 亜美、そういうこと何もしてないよ!」
律子「してないから問題なんでしょう!」
亜美「ひえぇ〜……」
律子「とにかく、日ごろからもっと積極的に考えて行動して、チュー威力を鍛えなさい」
亜美「で、できるわけないよ! 誰としろっていうの!?」
律子「一人でだって出来るでしょう?」
亜美「うそ!?」
律子「……分かったわ。確かに自分だけだと、どういうところに気をつければいいか気づきにくいものね」
亜美「そ、そうだよ……だいたいそんな……やり方なんてわかんないし……」ボソボソ
律子「伊織やあずささんに色々アドバイスしてもらいなさい」
亜美「あの二人に!?」
律子「だって毎日一緒に活動してるんだから、やりやすいでしょ?」
亜美「……いやいや……だってそーいうのは……付き合ったり、してからじゃないと……」
律子「いざって時は私も付き合うから」
亜美「マジで!?」
律子「当たり前よ。私は竜宮小町のプロデューサーよ? こういうときに私を頼らなくてどうするの」
亜美「そ、そーいう問題じゃないよ!」
律子「そういう問題よ? 事実伊織やあずささんに足りない部分があるときは私がアドバイスしてるんだから」
亜美「ぅぁ……ぁ……」
律子「どうかした?」
亜美「知らなかった……いつの間に……」
律子「私はいつだって全員に気を配ってるのよ」
亜美「し、しらなかった……」
律子「ふふっ。プロデューサーである私を舐めないでよ」
亜美「な、舐めるわけないじゃん!」
律子「殊勝な心がけね。よろしい」
亜美「ぅぅ……本当の竜宮小町ってそんな感じだったんだ……」
──────
亜美「……って言われてもなぁ……そんなの練習なんて出来るわけないじゃん……」
亜美「しかもいおりんとかあずさお姉ちゃん相手に……女同士じゃんか! 全く!」
亜美「……でも、そうしないと亜美チュー威力三万のままなんだ……」
伊織「亜美」
亜美「あ、いおりん……」
伊織「ちょうど良かったわ。さっき律子から連絡があってね」
亜美「何?」
伊織「あずさが風邪を引いて来られなくなっちゃったんですって。で、律子がお見舞いに行ってるの」
亜美「そなの? 大丈夫かな……」
伊織「だから今日の全員レッスンはチューしよ」
亜美「ふぁっ!?」
亜美「い、今なんて!?」
伊織「だから、今日の全員レッスンは私たち二人しかいないからチューしよ」
亜美「なななな何言ってるかわかってんの!?」
伊織「二人きりなんだからそうするしかないじゃない」
亜美「何でそうなんのさぁ!?」
伊織「当たり前のことだと思うけど?」
亜美「マジで!?」
伊織「?」
亜美「あ、亜美たちしかいないからってそこまでする必要ないと思うんだけど……」
伊織「何がよ。……あぁ、さっきの『チューしよ』って言ったアレ?」
亜美「う、うん……」
伊織「だから、私たちで勝手に練習しようと思って誘ったんだけど」
亜美「何でさ!?」
伊織「ライブまでもう時間がないのよ? 本番でカンペキなのを披露しなきゃいけないんだからサボってられないわ」
亜美「マジで!?」
伊織「?」
亜美「……うえぇぇ……」
伊織「ちょっ……どうしたのよ。アンタも具合悪いの?」
亜美「……そ、そうじゃなくて……」
伊織「へぇ……そりゃ律子から見れば亜美はチュー威力三万かもしれないわね」
亜美「いおりんも毎日訓練してるの?」
伊織「訓練ってほどじゃないけど、事務所や家でも心がけてるわよ」
亜美「いおりんのチュー威力はどんくらい?」
伊織「どのくらいって……べつに、私程度なら五万といるとおもうけど」
亜美「……なんだ。いおりんもたいがいショボいんだ」
伊織「ちょっと気になる言い方だけど……まあ否定はしないわ」
亜美「律っちゃんは一兆いったんだって」
伊織「自分で言ってたの? 律子は謙遜するから、一長一短っていう評価は当てにならないわ」
亜美「律っちゃんはもっとすごいの?」
伊織「当たり前じゃない」
亜美「すっげー……」
伊織「ほら! 私たちも始めるわよ」
亜美「えっ、ぁ……」
伊織「……今度は何?」
亜美「い、いおりん……レッスン、ほんとにチューしちゃうの?」
伊織「はぁ? やるっていってるでしょ」
亜美「ほ、ホントのホントに今日のレッスン、チューしちゃうの……?」
伊織「……?」
伊織「えっと……だから、中止ちゃうよ、っいうとるやないの……?」
亜美「そっか……」
伊織「ええ……」
亜美「(何でいきなり関西弁?)」
伊織「(何でいきなり関西弁?)」
──────
亜美「はぁ〜……なんだかんだ、あの後いおりんとそんな練習なんてしなかったし……」
『本番でカンペキなのを披露するんだから』
亜美「……いおりん、目がガチだったよ……」
亜美「……まあべつにいおりん相手ならいいけどさ…どーせノーカンだし……」
ガチャ
あずさ「おはようございます〜…」
亜美「! あ、あずさお姉ちゃん!」
あずさ「あら、亜美ちゃんだけ? この前はごめんなさいね、急に体調崩しちゃって……」
亜美「ううんううん! もうダイジョブなの?」
あずさ「ええ。律子さんにもきて頂いたし、おかげさまで」
亜美「そっか…………よかったね」
あずさ「ありがとう、亜美ちゃん」
亜美「うん……」
あずさ「……」
亜美「……」
あずさ「……あの〜、亜美ちゃん?」
亜美「んっ、何?」
あずさ「ずいぶん元気なさそうだけど……どうかした?」
亜美「あっ、ううん! 元気がないわけじゃなくて! ちょっと悩み事……」
あずさ「あら、そうなの? 私でよかったら聞いてあげましょうか?」
亜美「……いいの?」
あずさ「……なるほど……律子さんに叱られたのね」
亜美「いおりんとさ、今度のライブでカンペキにして披露しようって……」
あずさ「そうなの…それはとってもいいことだと思うわ。私も頑張らなきゃ」
亜美「あ、あずさお姉ちゃんもやるの?」
あずさ「ふふっ、当たり前でしょう? 同じ竜宮小町の仲間なんですもの、みんなをアッーと言わせてあげましょうね〜」
亜美「……すごいことになりそう……」
あずさ「?」
亜美「で、でもさ、亜美まだ子供だし……まあせくちー度は上がったけどさ、いきなり身につくもんじゃないじゃん?」
あずさ「確かにね〜。私も、子供のころからよく言われてたわ……」
亜美「えっ、あずさお姉ちゃんも?」
亜美「いや、あずさおねえちゃんはだいぶすごそうなんだけど……」
あずさ「そんなことないわよ〜。 私だってどちらかというとチュー威力は三万なほうよ」
亜美「まじで!?」
あずさ「そ、そんなに驚くことかしら?」
亜美「だって…あずさお姉ちゃん、そんなナリなのに!?」
あずさ「な、なりは関係ないと思うけど……」
亜美「よかったぁ〜……他にも仲間がいて……」
あずさ「?」
亜美「あずさお姉ちゃん……一緒にがんばろう! はい! 握手!」ギュッ
あずさ「えっ? ええ……」ギュッ
亜美「正直、ライブももう近いし……いまさら練習してもどうにかなるもんじゃないから……あとはぶっつけ本番で行こう!」
あずさ「えっ、そうなの?」
亜美「何とかなる! 亜美の最強を見せ付けてやる!!」
あずさ「……が、頑張りましょうね……?」
──────
ワァァァ!!!
ワァアアアア!!!
キャァァァ!!!
イェェェェェェェェェイ!!!!
律子「さあみんな! 会場はもう熱気ムンムンよ」
伊織「いつもより一段と盛り上がってるわね。 新年初のライブにはもってこいだわ」
あずさ「楽しくなりそうね。早く始めたいわ〜」
亜美「…………」
律子「そうね。私もとっても楽しみです! 見せ付けてやりましょう、本当の竜宮小町を!」
亜美「…………!」
伊織「行ってくるわ!」タッ
あずさ「さあ、頑張りましょう!」タッ
亜美「…………」
律子「……亜美、だいじょうぶ?さっきからだんまりよ」
亜美「……あっ、ごめん。考え事してた」
律子「大丈夫? 今から余計なこと考えちゃダメよ。集中して!」
亜美「……大丈夫。 うん、大丈夫!」
亜美「……りっちゃん」
律子「ん?」
亜美「こないだの後、いおりんと話したんだ。ライブでカンペキなのを見せ付けてやろうって」
律子「……」
亜美「本当の竜宮小町ってやつ、亜美が見せ付けてあげるよ」
律子「……おっ。期待してるわよ!」
亜美「威力バッチリのね!」
律子「思い切ってやっちゃいなさい!」
亜美「よっしゃぁ! 待ってろよいおりん!口洗って待っていやがれぃ!」ダダダッ
律子「……洗うのは首よ!」
<首にしたって意味ないでしょー!
律子「……何のことかしら?」
──────
ワァァァ!!!
ワァアアアア!!!
キャァァァ!!!
イェェェェェェェェェイ!!!!
伊織「みんなーっ! 今日は本当にありがとうー!」
あずさ「皆さんのおかげで!とっても楽しかったです!うふふっ」
亜美「…………」
伊織「……亜美!何とか言いなさい」
亜美「あっ、うん! あ、ありがとぉぉぉおっ!!!」
亜美「(アンコールも終わった……今しかないよね)」
亜美「い、いおりん!」
伊織「え、何?」
亜美「ぶっつけ本番やけど……やるでぇ!!」ダッ
伊織「へっ!? 何を!? 何でこっち来るの!?」
亜美「覚悟せんかああぁぁああい!!」ダダダダッ
伊織「何でいきなり関西弁!?」
ガッ
亜美「うわっ……」
ドターーーーーン!!!!!!
「まぁ! 亜美ちゃん大丈夫!?」
「何やってんのよ、何もないところでこけるなんて春香じゃあるまいし!!」
「いったたたたた……やばい、こけちゃった……だめだこりゃ……」
ワァァァ…
ワァアアアア…
キャァァァ…
イェェェェェェェェェイ!!!!…
律子「……はぁ……」
律子「カンペキだと思ったのに……ほんと、あの子ったら」
律子「注意力散漫なんだから……」
終わり
23:30│双海亜美