2017年02月07日

モバP「朋と初詣」

朋「あっ、プロデューサー!」



モバP「おう、朋」



朋「ごめん、待たせちゃった?」





モバP「いや、今来たとこだ」



朋「そっか……」



朋「……ふふ」



モバP「どうした?」



朋「ううん、なんでもない!」



朋「……やっぱり、人多いわね」



モバP「そりゃ、正月の初詣だからな」



朋「……それもそうね」



朋「でもよかった、プロデューサーが一緒に来てくれて」



朋「あたし一人じゃちょっと心細かったかも」



モバP「お願いされたからな」



モバP「とはいえ、わざわざ神社前集合とまで指定されるとは思わなかったが」



モバP「別に寮から車で来てもよかったんだがな」



朋「これでいいの」



朋「あたしのお願い聞いてくれてありがとね、プロデューサー」



モバP「いえいえ」



朋「……さ、入り口でじっとしてるのもなんだし、行きましょ!」



モバP「ああ」



モバP「……はぐれないように手つなぐか?」



朋「そんな子供じゃないわよ、もうっ!」



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モバP「そういや、着物着てきてないんだな」



朋「ん、そうね」



朋「……着たほうがよかった?」



モバP「本人が気にしないなら別にいいと思うけどな」



朋「そっか」



朋「ちょっと考えたんだけどね……でもこの時期やっぱり人でいっぱいになるし……動きづらいかなって」



朋「それに、あんたとだし別にいいかなって」



モバP「……どういう意味だよ」



朋「そのまんまの意味よ、ふふっ」



朋「……さて、まずは手水舎行きましょ」



モバP「そういうの気にするんだな」



朋「あたりまえじゃない、そうじゃないと神様だってあたしたちのこと見てくれないだろうし」



朋「ほら、プロデューサー。あっちよ」



モバP「ん」

朋「まずは左手で……次が右手……」



朋「で、左手に水入れて……んくっ」



朋「……ぺっ」



朋「で、左手もっかい洗って……立てかけて……よしっ!」



モバP「……」



朋「……どしたのプロデューサー?」



モバP「いや」



モバP「……これにも順序とかあるんだなって」



朋「まあ身体を清める儀式みたいなもんだしね」



朋「知らなかったの?」



モバP「ああ」



モバP「……というか、朋はよく知ってたな」



朋「あたし神社にはよく来るからね」



朋「こういう場所ってパワースポットもたくさんあるし!」



朋「……で、ちゃんとご利益をもらうためにも、こういう順序は覚えなきゃーって」



モバP「なるほどなぁ」



朋「なんだったらあたしが教えてあげるわよ?」



モバP「じゃあ、お願いしようかな」



朋「ふふっ、任せて!」

モバP「最後に立てかけて……っと」



モバP「これで大丈夫だよな?」



朋「うん、バッチリ!」



モバP「よかった……教えてくれてありがとな」



朋「いえいえ!」



朋「さて! じゃあ、本殿の方に行きましょ!」



朋「あっ、プロデューサー。参道の真ん中は歩いちゃだめだからね?」



モバP「ああ、それは知ってる」



モバP「神様の通り道なんだよな」



朋「そうよ。だからあたしたちは端っこを歩かなきゃだめなの」



朋「鳥居をくぐってから、出るまで、端っこを通らなきゃだめよ?」



モバP「ああ」



モバP「……まあ、今は難しそうだけどな」



朋「そうね。人でいっぱいで……参道が参拝客で埋まっちゃってるわ」



モバP「これじゃあ端を選ぶ……とか真ん中を通らない……なんてしようがないな」



朋「そうね……」



朋「……いいのかな?」



モバP「まあ神様も正月くらいは外に出ないで寝正月するだろうし、道が塞がっててもいいんじゃないか?」



朋「んー……そういうものなのかな」



朋「……ま、いっか」



モバP「さて……朋」



朋「ん?」



モバP「人もさらに増えてきたし、手つなぐか?」



朋「だから大丈夫だってば!」



朋「もう……そんなに心配なの?」



モバP「ああ」



朋「即答されるとちょっとヘコむわ……」

朋「はぁ……わかったわよ」



モバP「ん?」



朋「手、繋ぎましょ?」



モバP「いいのか?」



朋「あんたが繋ごうとしたんでしょ」



モバP「いや、そうなんだけどな」



モバP「さっきまで拒否してたからさ」



朋「まあそうなんだけどね……」



朋「でも……今ここであんたと手を繋ぐ恥ずかしさより、人ごみにもまれて迷子になる恥ずかしさの方が強いかなってちょっと思って」



朋「……あと、なんか少し不安になったから」



朋「だから……ほら、プロデューサー。繋いで?」



モバP「ん」ギュッ



朋「……ふふっ」



朋「……これで絶対はぐれることはない――わ、わわっ!」



モバP「朋!」グイッ



朋「きゃっ!」



朋「はぁ……ありがと、プロデューサー」



モバP「な、繋いでてよかっただろ?」



朋「そうね……まさかあんなこといったそばから人ごみに引っ張られるとは思わなかったわ……」



朋「……繋いでよかった」

モバP「手を繋いでるとはいえあまり離れないようにな」



モバP「さっきみたく、いつ人ごみに飲み込まれるともわかんないし」



朋「ん、ありがと」



朋「離さないでよ?」



モバP「もちろん」



モバP「……さっきまで手を繋ごうとしなかった人とは思えないな」



朋「うるさいわよ、もう……」



朋「……」



モバP「……」



朋「……ねぇ」



モバP「ん?」



朋「あんたの手、あったかいね」



モバP「そうか?」



朋「うん」



朋「手袋なんかより、ずっと」



モバP「や、それは言いすぎだろ」



朋「そんなことないわよ」



朋「……ふふっ」



モバP「……ようやっと俺たちの番だな」



朋「ここまで長かったわね」



朋「……普段だったらぜんぜん並ばないのに」



モバP「1年の初めだからなー」



モバP「朋はお願いすること決まってるのか?」



朋「もちろん」



朋「……プロデューサー。二礼二拍一礼よ?」



モバP「さすがにそれくらいは知ってるよ」



朋「ふふ、そっか」



モバP「さて離していいか?」



朋「良いに決まってるでしょ」



モバP「はははっ」パッ



朋「……」



朋「……さて、お賽銭を……」



朋「えいっ!」チャリン



モバP「……」チャリン



朋「……」ペコリペコリ



モバP「……」ペコリペコリ



朋「……」パンパン



モバP「……」パンパン



朋「……」ペコリ



モバP「……」ペコリ



朋「……」



モバP「……」



朋(あたしのお願い事……)



朋(トップアイドルになること……)



朋(……それと、もうひとつ)



朋(プロデューサーと――)



朋(――)



朋(神様お願い……全部を全部神様に任せることなんてしないから)



朋(ちょっとだけ、力を貸してください)

モバP「……っと」



朋「……ふぅ」



モバP「終わったか?」



朋「あ、うん」



モバP「よし、じゃあ抜けるか」



朋「そうね……あ、おみくじあっちにあるからあっちに抜けましょ!」



モバP「ああ、わかった」



モバP「よい……しょっと」



朋「ふぅ……列から抜けたから少し楽になったわね」



モバP「そうだな……ふぅ」



朋「……ねぇ、プロデューサーは何をお願いしたの?」



モバP「今年一年仕事がうまくいきますようにって」



朋「わ、真面目」



モバP「そりゃ一年の初めの願い事なんだし、当然だろ」



モバP「じゃあ朋はどんなお願い事したんだよ」



朋「秘密」



モバP「おい」



朋「だって話しちゃったらご利益薄れちゃうかもしれないし」



モバP「……俺の願いが薄れたらどうしてくれるんだ」



朋「それは……」



朋「……」



朋「……てへっ」



モバP「おい」



朋「ふふっ、ごめんごめん。冗談よ」



朋「あたしのお願いはね……」



朋「……今年もトップアイドルになるよう頑張るから、ちょっとだけ力を貸してね、って」



モバP「!」



朋「頑張るわよ、プロデューサー!」



モバP「……ああ、頑張ろう!」



朋(……もうひとつのお願い事はやっぱり秘密だけどね)

朋「あ、お守りも見てかなきゃ」



モバP「おみくじの後じゃなくていいのか?」



朋「おみくじは最後のお楽しみよ」



朋「えーっと……これにこれ……うーん、これも……」



モバP「全部網羅する勢いだな」



朋「いっぱい買うとご利益が薄れるからだめなんだけどね」



朋「だからこの中からいくつか選んで――」



朋「――あ、プロデューサー。交通安全のお守りなんてどう?」



モバP「あー……それは欲しいな」



モバP「みんなの送り迎えもあるし」



朋「でしょ?」



朋「あたしもたくさんお世話になるしね」



モバP「……朋は運転する気はないのか?」



朋「んー、あんまりないわね」



朋「車運転できたほうが色々なところへ行くのは楽かもしれないけど……あたし、歩くの好きだし」



朋「歩いた方が誰も知らないようなパワースポットも見つけられるかもしれないしね」



モバP「……そうか」



朋「……ちょっと残念そうね」



モバP「いや、年少組の送り迎え要員が増えるかなって」



朋「仮に免許取ったとしてもそんなのすぐにはできないわよ、怖くて」

朋「んー……」



モバP「……迷ってるな」



朋「うん……」



朋「プロデューサーはもう決まったの?」



モバP「ああ」



朋「んー、そっかー……」



モバP「何で迷ってるんだ?」



朋「えっと……とりあえず二つに買おうと思って……一つは決めたんだけど……」



朋「もうひとつをこれとこれ……どっちにしようかな……と思って」



モバP「……心願成就守りと開運厄除守りか」



朋「……色合い的には……うーん……どっちも好みなのよね……」



朋「んー……」



モバP「……いっそ両方買ったらいいんじゃないか?」



朋「……いいかな?」



モバP「神様だってそこまでケチじゃないだろ、たぶん」



朋「そうよね……」



朋「通り道が塞がれてても怒らないし……きっとおおらかよね、神様って」



朋「うん……よしっ、決めたっ! これとこれとこれ、くださーいっ!」

朋「うん、これで今年もきっとバッチリね!」



モバP「よかったな」



モバP「……ちなみに、もう一つは何のお守りだったんだ?」



朋「それは縁――」



朋「――ううん、秘密っ」



モバP「また秘密か」



朋「また秘密」



朋「そうね……いつかこのお守りが要らなくなったときにでも教えてあげるわ」



モバP「そのころまで覚えてられるかな……」



朋「なんでそんな時間がかかること前提なのよ!」



モバP「はは、冗談だよ冗談」



モバP「何の願いかはわからないが、叶うといいな」



朋「叶うわよ、きっと……」



朋「……さて、じゃあおみくじ引きましょう、おみくじ!」



モバP「おお、やけにテンションあがったな」



朋「だってあたしすっごい楽しみだったんだもん!」



朋「ふふっ、何が出るかな……すいませーん!」

朋「さて……結果は……」



朋「……あっ!」



朋「ねっ、見て、見てみて、プロデューサーっ!」



朋「中吉よ中吉!」



モバP「おお、またあがったな」



朋「うんっ!」



朋「やった、ふふっ!」



朋「ねぇ、ねぇっ、見てみて!」



朋「ほら、いいことたっくさん書いてるわ!」



朋「うれしいっ……ふふふっ!」



モバP「よかったな」



朋「うんっ!」



朋「この前は幸運の想い石のおかげで小吉が引けたけど……今度はプロデューサーのおかげかな?」



朋「いや、この前のもプロデューサーのおかげだったのかも……」



朋「ふふっ、あんたって、ラッキープロデューサーなのかもね」



モバP「……なんだそれ?」



朋「なんだろ……んー……よくわかんないけど……」



朋「でも、幸運の方角に歩いてくとプロデューサーがいるし……」



朋「それに、プロデューサーがそばにいると占いもいつもいい結果が出て……」



朋「……歩くパワースポットみたいなの、プロデューサーって!」



モバP「……?」



朋「あー……うん、ごめん。あたしも言っててちょっと意味わからなかったわ」



朋「でも、本当にそんな感じなのよ」



朋「あたし、プロデューサーと出会ってから運気もいっぱいあがったし……」



モバP「……いや。それは朋自身が掴んだものだ」



朋「……そうね、運気は待つんじゃなくて自分で掴むものって……あんたが教えてくれたわ」



朋「けど、教えてくれなきゃきっとあたしは気づけなかった……ううん、絶対かもしれない」



朋「……自分から占いの結果を変えられるって思えたのはあんたがプロデュースしてくれたからなのよ?」



モバP「……」



朋「あたしのこの運気はあたしとあんたで掴んだものなの……今日のこの中吉だって、きっと」



朋「だから……やっぱりあんたはあたしにとってのラッキープロデューサーなんだと思うわ」



朋「そんなあんたが一緒にいるから……だからあたし、今がとっても楽しいの!」



朋「とっても、とーってもね、ふふっ!」



朋「……ねぇ、プロデューサー! 今年もきっと楽しい年になるわよね?」



モバP「ああ、もちろん」



モバP「休む暇がないくらいたくさんの楽しい仕事を取ってくるよ」



朋「ふふふっ!」



朋「今年もよろしくねっ、プロデューサー!」



朋「……でも、休む暇は欲しいわ」



モバP「そこを真に受けるな」



朋「ところで、プロデューサーのおみくじはどうだったの?」



モバP「そういや開いてなかったな……えーっと」



モバP「……大凶」



朋「あっ……」



朋「……も、もしかしてあたしがプロデューサーの運を吸い取っちゃったのかな……?」



朋「プロデューサーがそばにいたら運気がいいのはプロデューサーの運を吸い取ってるからで……」



朋「だから今日だって普段引いてこともない中吉を引いちゃって……ど、どど、どうしよう、プロデューサー!?」



モバP「落ち着け落ち着け。それはない」



モバP「そんなことになってたらもう今頃運気がすべて抜け落ちて死んでるよ」



朋「そ、そう……?」



モバP「ああ。少なくとも朋のせいで大凶を引いたわけじゃない」



モバP「まあ……たまたま今日はこんな運気だったってことだ」



朋「プロデューサー……」



モバP「しかし大凶か……久しぶりに見たな……」



朋「……うん、決めたっ!」



モバP「ん?」



朋「去年はプロデューサーからたくさん運気をもらったんだし、今年はあたしがプロデューサーにたっくさん運気をあげて幸運にするわ!」



朋「どうやって……かは、まだ決めてないけど……でも、絶対!」



朋「あんたのラッキーアイドルとして、たくさんの幸運を届けるわ!」



モバP「……」



モバP「……ははっ」



朋「ふふっ、変なこと言ってるよね、あたし」



モバP「いや、朋らしくていい言葉だ」



モバP「ははっ。それじゃ、よろしくな、朋」



朋「うん、任せてっ!」













おしまい



08:30│藤居朋 
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