2013年11月05日
P「春香が階段から落ちた」
P「俺にしか貴音が見えない」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379200422/
上の続きを書きたくなって書いた。
注意
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379200422/
上の続きを書きたくなって書いた。
注意
誤字が結構あります。
しっかり推敲しましたが残ってるかもしれません。
相変わらず読みにくい文章です。
上の前スレを読めば酷さがわかると思います。
それでもよろしければという方はゆっくり更新しますのでお付き合いよろしくお願いします。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1380058781
俺と貴音がひっそりと付き合い始めてから2週間が経った。
事務所内では少しだけ噂が広まったことがある。あの2人の微妙な空気は何なのかと。
双海特攻隊が「もしかして付き合ってんじゃ……」とつぶやいたが、それはないないとアイドル達みんな否定した。
貴音ですら否定しているのは結構ショックなのだが、彼氏がいることなんて世間に広まったら2人そろって駆け落ちもいいところだ。
もちろん。デートは1回もしていない。というよりも複数人でお出掛けの付き添いでしか貴音とは出掛けた記憶がない。
大体貴音とはラーメンだけで、それ以外では美希に春香達の服の買い物やライブ頑張ったご褒美のファミレス。
考えると出費が自費であることなのか貴音とはともかく、アイドル達とはまとも出掛けてないことが分かった。
まあ、出掛けてないからどうかしたか。というわけではない。むしろ、この浮いたお金をコツコツ貯めていけばどこか旅行に行けるという一石一鳥だ。二鳥ではないのはアイドルとの交流が少ないためである。
それに貴音も出掛けるというよりは俺と一緒にいる方が良いのか、遊びに行こうかと夜に提案しても却下されてしまう。
デート先でお熱いアピールする痛々しいバカップルよりはプライベートでいちゃこらする俺たちの方が目の毒にならなくて良いだろう。
午後のことである。
本日の予定はレッスン場の送り迎えといった簡単な仕事と写真集用の写真を撮影しに行く営業である。
と言っても送る順番さえ間違わなければ営業先には時間通りに。送る順番を間違えても営業先に送るのも信号と交通状態が味方してくれたら楽勝なのである。
もし、渋滞でレッスン組を送り届けた帰りが遅れそうになっても営業組は最悪社長か音無さんが送って行ってくれる。
前に結構無茶して身体を壊してしまったので今回は多分だが、音無さんか社長がレッスン組を送って行ってくれる保険があるためそこまで心配する必要はない。
アイドル達の到着を事務所で今週のスケジュールを見直しながら待っていると……ガチャリとドアが開いた。
「こんにちはー!」
「お! 来たか」
「えへへ。今日は一番乗りみたいですね!!」
「そのようだな。他は何か用事があるんじゃないかな。しかし、春香は早いな」
「今日は午前中で終わったんですよ」
最初に顔を出したのは天海春香。この事務所の顔と言っても過言ではない。
トレードマークと言えるリボンを付けて事務所に来た。
春香が来るということはそろそろ他のアイドルもぞろぞろと事務所に入ってくるだろう。アイドルが来ると言ってもコーヒーを飲む時間くらいはある。
俺は春香に準備しとけと注文をし、コーヒーを淹れに給湯室に向かった。
コーヒーを給湯室で砂糖とミルクの調節をしている間に事務所が、賑やかになっていた。
戻ると春香、亜美と真美にやよい。そして真と貴音が揃っていた。
他はまだ来ていなかったが、本日の営業組だけは揃っていたのでホッとした。
誰かが休んだら休ませてもらわないといけないからである。
現在ユニットを組ませている。その1組が律子プロデューサーの竜宮小町。
そして、2組目が俺のプロデュースしている春香・貴音・真美のユニットである。
では残ったアイドル達はどうしているのか。 もちろん「ソロ」でだがちゃんとアイドル活動をしている。
ユニットに選ばれたのがこの3人だけでユニットかソロの違いだけであり、競争性を持たせてはいる。
しかし、それ以上にアイドル達の仲間意識が強いので竜宮以外のランクは1ランク低いが、どのアイドル達も最低Bランクというエリートなアイドル達である。
これも仲間意識の結果だろう。
……と、言うのは嘘で。実際はユニットに力を入れているせいかランクが事務所トップである。やはりアイドルの数が多いと出来るパフォーマンスの数が増える。
ソロ組も要望があればユニットを組ませてやりたいが、悲しいことにだーれもユニットで動きたがるアイドルがいなかったので1ユニットだけが俺のプロデュースを受けている。
もちろん残りのソロ組のプロデュースもしている。
今日の営業もユニットの仕事なのであり、3人とも揃っていないと撮影が出来ずに次回に繰り越しされてしまう。
だから俺は少し不安だったが、3人とも来てくれたようで一安心だ。
しかし、問題はここから営業先に送り届けることである。まず、1番の問題が悪戯姉妹の姉の真美。なかなか動こうとしない。
以前は物で釣っていたのだが、最近では餌を豪華にしないと釣れない。
そんな毎日餌代を消費していたら生活費がなくなる。
最近ではユニットの仲間に頼んで活動に参加させている。真美にとってはユニットの声が苦手である。
特に貴音には以前営業に消極的だった真美をくすぐり地獄を味わわせたのだ。それがものすごく過激だったらしく止めに入った春香も巻き添えに遭う。
結果、仕事はキャンセルする羽目になった。
それ以降、貴音には警戒するようになった真美。
なので、俺は貴音に言いつけるというと急にシャキッとしだす。その貴音もうさぎの時に復讐されてしまったのだが。
付け加えておくが、真美もこういう時の貴音が苦手なだけであり、決して普段の貴音も嫌いというわけではない。
まあ真美がこう動かない原因は最近俺と遊んでないからその反動みたいなものであり、俺のせいであるのは春香と貴音には黙っている。
「今日はどのようなお仕事なのですか?」
「写真集用の写真撮影だ。3人で撮りたいのがあるからってどうしても……な」
「じゃあ3人揃っての撮影がメインですか?」
「そう」
「へぇ〜んじゃあパパッと終わっちゃう系?」
「カメラさんがOK出せばな」
「もう出発ですか?」
「そうだな。時間よりに早く着くことに越したことないからな」
「すみません音無さん、お願いできますか?」
「わかりました。前みたいに倒れてもらっては困りますからね」
「ぐ…すみません」
音無さんにレッスン組の送り迎えをお願いして俺は3人を連れて営業先に向かった。
ボロい社用車でも意外と車内は快適なのである。
それは運転席以外の乗車人の言う言葉であり、運転者の俺は全然快適ではない。
それでも汚い言い方としてアイドルは大事な事務所の商品であるから大事に扱わなくてはならない。だから運転席の座席がボロボロでも助手席に後部座席は座布団が設置されていて高級感が現れているのである。
内緒だが、座布団は貴音が座っている助手席だけは後部座席の座布団より少し豪華である。何が豪華というと貴音の座布団は洗いたてなのである。それだけだが豪華であることには変わりない。
「おーし着いたぞ」
「意外と早く着きましたね」
「信号が味方をしてくれたんだよ」
「と言いながら赤信号走ってたよね?」
「あれは黄色になった時に急ブレーキ掛けないと停止線に止まれない状態だったら進んでいいんだよ」
営業先に着き、俺を先頭に今日の撮影場所に向かう。
カメラさんやらに挨拶して撮影が始まる。
要求通り服装はきわどい衣装ではない。だから色気がない。まあこの3人にはセクシーな衣装よりは地味な方が似合っている気がするのだが。
それを口にすると自称せくちーの真美には言うと腰を(タックルされて)やられそうで黙っている。
そうしている間に撮影はすぐに終わった。
謎のアイドル達のやる気にNG3回だけでOKを貰い、予想時間よりも30分早く終わった。
というわけで、事務所に一番乗りで戻ってきた。正確には音無さんがいるはずだから2番である。
撮影でも疲れるもので、真美は飲み物を要求してきた。
要求は事務所の冷蔵庫ということで階段を上る。真美が走って1番乗りで事務所のドアを開け中に入って行く。
続いて俺と貴音がドサッ!!
謎の衝撃音に少し見回して階段の下で春香が倒れていた。
慌てて駆け寄り抱き起して声をかけるが返答はない。意識がない。
すぐに貴音に音無さんに救急車を呼ぶように伝え、俺はゆっくりと春香を事務所のソファーに運んだ。
春香が転ぶことはよくあったのだが、今回のように意識を失うほどの強い衝撃で転んだことはない。転ぶことが春香の個性の一つである。
その個性の一つであった転びで自滅してしまうとは……プロテクターでも装着しないとダメなのか。情けない。
その後、救急車が来て春香と俺は救急車に乗り、音無さんは連絡係とお留守番係で残ってもらった。
少し貴音が悲しそうな顔をしていたため、今日の機嫌取りは大変な気がする。
理由は二つありそうだけど知りたくなかった。
症状は軽い脳震盪だった。多分階段から滑り落ちた時に頭を強くぶつけたのだろう。
何故予想かというのは誰も春香が滑り落ちているところを見ていないからである。
ひょっとしたら手すりを乗り越えて落ちたかもしれないが、そんなアホなことはさせないし、多分気づくと思う。
なので、滑り落ちただろうということである。
春香はベッドで寝ているが直に起きるだろう。
そんなに心配しなくても大丈夫と医者は言っている。しかし、親御さんから春香を預かっている以上、こちらの責任には変わりない。
外傷などのスキャンとかは起きてからするそうだが、一応目の届く範囲で外傷チェックをしておこう。
と、俺は春香の髪に手を伸ばす。
バシッ
「それはわたくし達が行います」
と、自力で辿り着いた貴音に手を払われてしまった。
来るのが早すぎる。どうやって来た。
更にしばらく戻って来られないようにか
「ジュース買ってきて」
と、貴音と一緒に来た真美に追撃もされてしまった。
春香を見守るのを貴音と真美に任せて俺はジュースを買いに行くはめになった。
自販機で何を買おうか悩んでいると連絡を知り、駆けつけてきた律子に会った。
経緯を話すと「私はお茶」と言い残し春香の病室に向かってしまった。今度センブリ茶を淹れてあげよう。
適当に選んで病室に戻ってくると春香の病室前で真美が待っており、起きたと俺に教えてくれた。
真美にジュースを押し付け病室に入ると確かに春香は起きて律子と貴音と談笑していた。
これは良かった。
俺はホッとしてみんなジュースを手渡していたが、春香だけがおかしい。
初対面の人と会うかのように談笑していた時の柔和な顔が強張り始める。
嫌な予感がするのだが、少なからず予感なのでまだ確定したではない。
たとえ1%でもSRとか出たりするので嫌な予感が99%だとしたら残りの1%に賭ける。
頼む。予感的中しないでくれ。
「……えっと、どちら様ですか? 律子さん知っていますか?」
99%は強すぎる。
春香は断片的な記憶喪失で、俺と社長とアイドル活動の記憶がすっぽり抜けているようだった。
まー野郎である俺と社長の記憶はないのは仕方がないがアイドルである記憶が抜けてしまっているのは少し悲しい。
だからと言ってこの記憶喪失が反対に俺と社長とアイドル活動だけしか覚えてなかったらどう親御さんに説明しようか。おまけにアイドルのやる気もガクッと下がる。
結果的に考えるとアイドル活動と野郎2人の記憶だけ抜けたのは不幸中の幸いだったかもしれない。
音無さんに連絡して春香は律子に任せて俺は事務所に戻ることにした。
貴音と真美はまだ春香の傍にいるようで、完全に俺が除け者扱いされているようで辛い。
せめてと目を配ったけど、可愛い彼女はニコッと笑顔だけをしてこっちの味方になってはくれなかった。
事務所に戻ると音無さんと何か白い物体だけ残っていた。
訂正しよう。音無さんと社長らしき白い物体が残っていた。
どうやら白い物体は社長のようで、音無さんから春香のことをある程度聞いて、社長のことを覚えてないと知ってしまったことにショックらしい。
そのショックにより燃え尽きてしまったようだ。どうやら白い物体ではなく燃え尽きた結果らしい。
ただ、勝手に燃え尽きるのは良いけど速く帰ってほしい。
これから春香の親御さんに電話してその後、そこそこ溜まっている仕事終わらせる。
なので、仕事もしないでそこで燃え尽きてもらっていると思わず老若男女平等パンチを食らわしたくなる。
時計の長針が本日23周をし、24周目に向けて動いている。
事務所に残っているのも俺だけになった。
ここでいつもの来客がガチャリとドアを開けて入ってくる。
もうちょっと早く入って来て欲しかったのだが、そこまで無理に言うわけにはいかない。
というかそんなことで嫌われたくない。
「お仕事は終わりましたか」
「いやー終わらない。手伝ってくれよ」
「どのようなお仕事なのですか」
「電話。春香がアイドル活動していた時のことを覚えてないのならしばらく休ませようかと考えていたんだよ」
「しかし、もう23時を過ぎています」
「だーから終わらないんだよ」
そう言いながら俺はお手上げポーズを取る。
すると彼女はクスっと笑って事務所内の明かりを消した。
一瞬で真っ暗になる事務所。これじゃ仕事ができない。
「貴音よ。これじゃあ仕事ができない」
「電話は明かりを消したままでも出来ますよ」
「そうは言ってもな、電話は出来るけどメモが取れないんだよ」
「では今日は中止です。それに向こうにも迷惑です」
「そうだな」
「そもそもそのような電話は先にするはずですが……」
「ごもっともです。明日朝一に電話だな。遅くても午前中までには」
貴音は俺の膝に座る。あの時以来ずっとこの調子だ。
俺もあれ以来アイドルをほぼ膝に座らせたことがない。
っても座りに来るアイドルなんてそうそういないけど。
膝に座りに来るアイドルは貴音自身が甘えたのかまだみんなが事務所にいるのにも関わらず座りに来る。思いっきり抱きしめたくなる。
他にはたまに双海姉妹で、稀にソファーを奪われてご機嫌ななめな美希が来るだけである。
その度、貴音の特等席を奪われてムスッとする彼女を宥めるのは結構大変で、最近では頬を撫でたり、お姫様抱っこをしてあげたりと少し過激な接待をしないと機嫌が治らないのである。
ただ、過激であると言ってもあまり度が過ぎると逆に余計怒らせてしまう。前はディープで顔を真っ赤にしながら頬を叩かれた。
悪いことをしたなと思うと同時にもう少し受け入れてくれると言う悪魔な俺がいたのは秘密である。
まだ俺は貴音の拒絶を示すボーダーラインがイマイチわからない。
叩かれる前のことである。寒かったので膝に座っている貴音を抱きしめた。普段はここまでなのだが、手が冷たくなっていたので貴音の肌に直接触れて温めたい。そう思い、貴音の服の中に手を突っ込み豊満な胸を直に揉みしだいた。あの貴音からちょっとした悲鳴を聞けて手も温かくなって満足だった。
その反面貴音の逆鱗に触れてしまったわけで、普通なら今頃俺はここにいないのだが、(数日アイドル活動以外では口聞いてくれなかったけど)なんとか許してくれたのである。
だが、最近再び直に揉みしだこうと手を伸ばしたら叩かれてしまったのだ。
そのため、どこまでがOKで、どこからがNOなのか。細かくは未だによくわからないのである。
だからご機嫌取りは先に言ったとおり、お姫様抱っこ辺りで、それ以外はハグが大体の目安と現在は想定している。
本音としては抱っこは腰がきついから座ったままの抱っこが良いのだが。
「今日はどうしますか。美しいお嬢さん」
「では、今日はわたくしの家にお泊りを……」
「はいっていきなりどうした?」
「…………」
「……わかりましたよ。春香の件はわるーござんした」
「わかればよろしいのです」
おそらく外傷チェックの件だろう。可愛いやつだ。
俺は貴音にキスをした。
次の日の朝。
芸能ニュースで天海春香アイドル活動休業という見出しニュースを見て仕事速いなと感心した。
そのためか現在進行形で俺の携帯はなり続けている。
貴音にはしぃーと人差し指を口元に立てて静かにさせ、俺は電話に出て応対し始めた。
すべての応対が終わったのは9時半で、遅刻確定の俺は先に打ち合わせ先に謝りの電話をしてから、貴音を連れて猛ダッシュで事務所に向かった。
少し話がそれるが、俺は最近車を買ってもらった。もらったというのは貴音に8割資金を出してもらい買った車であり、ほとんどが貴音の送迎のために存在している。
あとは俺の通勤用で、たまにアイドル達の送迎車に代わる。
それだけだが、車のおかげで事務所にはママチャリ時よりも20分早く着いた。
そこからオンボロ社用車に乗り換えて打ち合わせ先に向かった。10時半に着き、俺は土下座して許してもらった。
打ち合わせでは主に春香の休業に関することと、その穴埋めアイドルを誰にするかで話が進んだ。
その打ち合わせも終わり、事務所に帰ろうかと駐車場に向かっているとうさぎはどうしたのかと聞かれた。
俺は社長の時のように言ってやると「残念だったね」とか「頭大丈夫?」と言われた。
後者はまだ俺の頭がおかしいというのか。
今回はここまでです
書き溜め→寝かせる→推敲→投下という一般的な書き溜めスタイルで行くので遅いです。
それでもゴールは見えているのでよろしくお願いします。
多分この話も短いと思います。
追記
ひょっとしたら書き溜めスタイルの寝かせるが時間の都合上でなくなるかもしれないです
なくならないように気を付けます
しっかり推敲しましたが残ってるかもしれません。
相変わらず読みにくい文章です。
上の前スレを読めば酷さがわかると思います。
それでもよろしければという方はゆっくり更新しますのでお付き合いよろしくお願いします。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1380058781
俺と貴音がひっそりと付き合い始めてから2週間が経った。
事務所内では少しだけ噂が広まったことがある。あの2人の微妙な空気は何なのかと。
双海特攻隊が「もしかして付き合ってんじゃ……」とつぶやいたが、それはないないとアイドル達みんな否定した。
貴音ですら否定しているのは結構ショックなのだが、彼氏がいることなんて世間に広まったら2人そろって駆け落ちもいいところだ。
もちろん。デートは1回もしていない。というよりも複数人でお出掛けの付き添いでしか貴音とは出掛けた記憶がない。
大体貴音とはラーメンだけで、それ以外では美希に春香達の服の買い物やライブ頑張ったご褒美のファミレス。
考えると出費が自費であることなのか貴音とはともかく、アイドル達とはまとも出掛けてないことが分かった。
まあ、出掛けてないからどうかしたか。というわけではない。むしろ、この浮いたお金をコツコツ貯めていけばどこか旅行に行けるという一石一鳥だ。二鳥ではないのはアイドルとの交流が少ないためである。
それに貴音も出掛けるというよりは俺と一緒にいる方が良いのか、遊びに行こうかと夜に提案しても却下されてしまう。
デート先でお熱いアピールする痛々しいバカップルよりはプライベートでいちゃこらする俺たちの方が目の毒にならなくて良いだろう。
午後のことである。
本日の予定はレッスン場の送り迎えといった簡単な仕事と写真集用の写真を撮影しに行く営業である。
と言っても送る順番さえ間違わなければ営業先には時間通りに。送る順番を間違えても営業先に送るのも信号と交通状態が味方してくれたら楽勝なのである。
もし、渋滞でレッスン組を送り届けた帰りが遅れそうになっても営業組は最悪社長か音無さんが送って行ってくれる。
前に結構無茶して身体を壊してしまったので今回は多分だが、音無さんか社長がレッスン組を送って行ってくれる保険があるためそこまで心配する必要はない。
アイドル達の到着を事務所で今週のスケジュールを見直しながら待っていると……ガチャリとドアが開いた。
「こんにちはー!」
「お! 来たか」
「えへへ。今日は一番乗りみたいですね!!」
「そのようだな。他は何か用事があるんじゃないかな。しかし、春香は早いな」
「今日は午前中で終わったんですよ」
最初に顔を出したのは天海春香。この事務所の顔と言っても過言ではない。
トレードマークと言えるリボンを付けて事務所に来た。
春香が来るということはそろそろ他のアイドルもぞろぞろと事務所に入ってくるだろう。アイドルが来ると言ってもコーヒーを飲む時間くらいはある。
俺は春香に準備しとけと注文をし、コーヒーを淹れに給湯室に向かった。
コーヒーを給湯室で砂糖とミルクの調節をしている間に事務所が、賑やかになっていた。
戻ると春香、亜美と真美にやよい。そして真と貴音が揃っていた。
他はまだ来ていなかったが、本日の営業組だけは揃っていたのでホッとした。
誰かが休んだら休ませてもらわないといけないからである。
現在ユニットを組ませている。その1組が律子プロデューサーの竜宮小町。
そして、2組目が俺のプロデュースしている春香・貴音・真美のユニットである。
では残ったアイドル達はどうしているのか。 もちろん「ソロ」でだがちゃんとアイドル活動をしている。
ユニットに選ばれたのがこの3人だけでユニットかソロの違いだけであり、競争性を持たせてはいる。
しかし、それ以上にアイドル達の仲間意識が強いので竜宮以外のランクは1ランク低いが、どのアイドル達も最低Bランクというエリートなアイドル達である。
これも仲間意識の結果だろう。
……と、言うのは嘘で。実際はユニットに力を入れているせいかランクが事務所トップである。やはりアイドルの数が多いと出来るパフォーマンスの数が増える。
ソロ組も要望があればユニットを組ませてやりたいが、悲しいことにだーれもユニットで動きたがるアイドルがいなかったので1ユニットだけが俺のプロデュースを受けている。
もちろん残りのソロ組のプロデュースもしている。
今日の営業もユニットの仕事なのであり、3人とも揃っていないと撮影が出来ずに次回に繰り越しされてしまう。
だから俺は少し不安だったが、3人とも来てくれたようで一安心だ。
しかし、問題はここから営業先に送り届けることである。まず、1番の問題が悪戯姉妹の姉の真美。なかなか動こうとしない。
以前は物で釣っていたのだが、最近では餌を豪華にしないと釣れない。
そんな毎日餌代を消費していたら生活費がなくなる。
最近ではユニットの仲間に頼んで活動に参加させている。真美にとってはユニットの声が苦手である。
特に貴音には以前営業に消極的だった真美をくすぐり地獄を味わわせたのだ。それがものすごく過激だったらしく止めに入った春香も巻き添えに遭う。
結果、仕事はキャンセルする羽目になった。
それ以降、貴音には警戒するようになった真美。
なので、俺は貴音に言いつけるというと急にシャキッとしだす。その貴音もうさぎの時に復讐されてしまったのだが。
付け加えておくが、真美もこういう時の貴音が苦手なだけであり、決して普段の貴音も嫌いというわけではない。
まあ真美がこう動かない原因は最近俺と遊んでないからその反動みたいなものであり、俺のせいであるのは春香と貴音には黙っている。
「今日はどのようなお仕事なのですか?」
「写真集用の写真撮影だ。3人で撮りたいのがあるからってどうしても……な」
「じゃあ3人揃っての撮影がメインですか?」
「そう」
「へぇ〜んじゃあパパッと終わっちゃう系?」
「カメラさんがOK出せばな」
「もう出発ですか?」
「そうだな。時間よりに早く着くことに越したことないからな」
「すみません音無さん、お願いできますか?」
「わかりました。前みたいに倒れてもらっては困りますからね」
「ぐ…すみません」
音無さんにレッスン組の送り迎えをお願いして俺は3人を連れて営業先に向かった。
ボロい社用車でも意外と車内は快適なのである。
それは運転席以外の乗車人の言う言葉であり、運転者の俺は全然快適ではない。
それでも汚い言い方としてアイドルは大事な事務所の商品であるから大事に扱わなくてはならない。だから運転席の座席がボロボロでも助手席に後部座席は座布団が設置されていて高級感が現れているのである。
内緒だが、座布団は貴音が座っている助手席だけは後部座席の座布団より少し豪華である。何が豪華というと貴音の座布団は洗いたてなのである。それだけだが豪華であることには変わりない。
「おーし着いたぞ」
「意外と早く着きましたね」
「信号が味方をしてくれたんだよ」
「と言いながら赤信号走ってたよね?」
「あれは黄色になった時に急ブレーキ掛けないと停止線に止まれない状態だったら進んでいいんだよ」
営業先に着き、俺を先頭に今日の撮影場所に向かう。
カメラさんやらに挨拶して撮影が始まる。
要求通り服装はきわどい衣装ではない。だから色気がない。まあこの3人にはセクシーな衣装よりは地味な方が似合っている気がするのだが。
それを口にすると自称せくちーの真美には言うと腰を(タックルされて)やられそうで黙っている。
そうしている間に撮影はすぐに終わった。
謎のアイドル達のやる気にNG3回だけでOKを貰い、予想時間よりも30分早く終わった。
というわけで、事務所に一番乗りで戻ってきた。正確には音無さんがいるはずだから2番である。
撮影でも疲れるもので、真美は飲み物を要求してきた。
要求は事務所の冷蔵庫ということで階段を上る。真美が走って1番乗りで事務所のドアを開け中に入って行く。
続いて俺と貴音がドサッ!!
謎の衝撃音に少し見回して階段の下で春香が倒れていた。
慌てて駆け寄り抱き起して声をかけるが返答はない。意識がない。
すぐに貴音に音無さんに救急車を呼ぶように伝え、俺はゆっくりと春香を事務所のソファーに運んだ。
春香が転ぶことはよくあったのだが、今回のように意識を失うほどの強い衝撃で転んだことはない。転ぶことが春香の個性の一つである。
その個性の一つであった転びで自滅してしまうとは……プロテクターでも装着しないとダメなのか。情けない。
その後、救急車が来て春香と俺は救急車に乗り、音無さんは連絡係とお留守番係で残ってもらった。
少し貴音が悲しそうな顔をしていたため、今日の機嫌取りは大変な気がする。
理由は二つありそうだけど知りたくなかった。
症状は軽い脳震盪だった。多分階段から滑り落ちた時に頭を強くぶつけたのだろう。
何故予想かというのは誰も春香が滑り落ちているところを見ていないからである。
ひょっとしたら手すりを乗り越えて落ちたかもしれないが、そんなアホなことはさせないし、多分気づくと思う。
なので、滑り落ちただろうということである。
春香はベッドで寝ているが直に起きるだろう。
そんなに心配しなくても大丈夫と医者は言っている。しかし、親御さんから春香を預かっている以上、こちらの責任には変わりない。
外傷などのスキャンとかは起きてからするそうだが、一応目の届く範囲で外傷チェックをしておこう。
と、俺は春香の髪に手を伸ばす。
バシッ
「それはわたくし達が行います」
と、自力で辿り着いた貴音に手を払われてしまった。
来るのが早すぎる。どうやって来た。
更にしばらく戻って来られないようにか
「ジュース買ってきて」
と、貴音と一緒に来た真美に追撃もされてしまった。
春香を見守るのを貴音と真美に任せて俺はジュースを買いに行くはめになった。
自販機で何を買おうか悩んでいると連絡を知り、駆けつけてきた律子に会った。
経緯を話すと「私はお茶」と言い残し春香の病室に向かってしまった。今度センブリ茶を淹れてあげよう。
適当に選んで病室に戻ってくると春香の病室前で真美が待っており、起きたと俺に教えてくれた。
真美にジュースを押し付け病室に入ると確かに春香は起きて律子と貴音と談笑していた。
これは良かった。
俺はホッとしてみんなジュースを手渡していたが、春香だけがおかしい。
初対面の人と会うかのように談笑していた時の柔和な顔が強張り始める。
嫌な予感がするのだが、少なからず予感なのでまだ確定したではない。
たとえ1%でもSRとか出たりするので嫌な予感が99%だとしたら残りの1%に賭ける。
頼む。予感的中しないでくれ。
「……えっと、どちら様ですか? 律子さん知っていますか?」
99%は強すぎる。
春香は断片的な記憶喪失で、俺と社長とアイドル活動の記憶がすっぽり抜けているようだった。
まー野郎である俺と社長の記憶はないのは仕方がないがアイドルである記憶が抜けてしまっているのは少し悲しい。
だからと言ってこの記憶喪失が反対に俺と社長とアイドル活動だけしか覚えてなかったらどう親御さんに説明しようか。おまけにアイドルのやる気もガクッと下がる。
結果的に考えるとアイドル活動と野郎2人の記憶だけ抜けたのは不幸中の幸いだったかもしれない。
音無さんに連絡して春香は律子に任せて俺は事務所に戻ることにした。
貴音と真美はまだ春香の傍にいるようで、完全に俺が除け者扱いされているようで辛い。
せめてと目を配ったけど、可愛い彼女はニコッと笑顔だけをしてこっちの味方になってはくれなかった。
事務所に戻ると音無さんと何か白い物体だけ残っていた。
訂正しよう。音無さんと社長らしき白い物体が残っていた。
どうやら白い物体は社長のようで、音無さんから春香のことをある程度聞いて、社長のことを覚えてないと知ってしまったことにショックらしい。
そのショックにより燃え尽きてしまったようだ。どうやら白い物体ではなく燃え尽きた結果らしい。
ただ、勝手に燃え尽きるのは良いけど速く帰ってほしい。
これから春香の親御さんに電話してその後、そこそこ溜まっている仕事終わらせる。
なので、仕事もしないでそこで燃え尽きてもらっていると思わず老若男女平等パンチを食らわしたくなる。
時計の長針が本日23周をし、24周目に向けて動いている。
事務所に残っているのも俺だけになった。
ここでいつもの来客がガチャリとドアを開けて入ってくる。
もうちょっと早く入って来て欲しかったのだが、そこまで無理に言うわけにはいかない。
というかそんなことで嫌われたくない。
「お仕事は終わりましたか」
「いやー終わらない。手伝ってくれよ」
「どのようなお仕事なのですか」
「電話。春香がアイドル活動していた時のことを覚えてないのならしばらく休ませようかと考えていたんだよ」
「しかし、もう23時を過ぎています」
「だーから終わらないんだよ」
そう言いながら俺はお手上げポーズを取る。
すると彼女はクスっと笑って事務所内の明かりを消した。
一瞬で真っ暗になる事務所。これじゃ仕事ができない。
「貴音よ。これじゃあ仕事ができない」
「電話は明かりを消したままでも出来ますよ」
「そうは言ってもな、電話は出来るけどメモが取れないんだよ」
「では今日は中止です。それに向こうにも迷惑です」
「そうだな」
「そもそもそのような電話は先にするはずですが……」
「ごもっともです。明日朝一に電話だな。遅くても午前中までには」
貴音は俺の膝に座る。あの時以来ずっとこの調子だ。
俺もあれ以来アイドルをほぼ膝に座らせたことがない。
っても座りに来るアイドルなんてそうそういないけど。
膝に座りに来るアイドルは貴音自身が甘えたのかまだみんなが事務所にいるのにも関わらず座りに来る。思いっきり抱きしめたくなる。
他にはたまに双海姉妹で、稀にソファーを奪われてご機嫌ななめな美希が来るだけである。
その度、貴音の特等席を奪われてムスッとする彼女を宥めるのは結構大変で、最近では頬を撫でたり、お姫様抱っこをしてあげたりと少し過激な接待をしないと機嫌が治らないのである。
ただ、過激であると言ってもあまり度が過ぎると逆に余計怒らせてしまう。前はディープで顔を真っ赤にしながら頬を叩かれた。
悪いことをしたなと思うと同時にもう少し受け入れてくれると言う悪魔な俺がいたのは秘密である。
まだ俺は貴音の拒絶を示すボーダーラインがイマイチわからない。
叩かれる前のことである。寒かったので膝に座っている貴音を抱きしめた。普段はここまでなのだが、手が冷たくなっていたので貴音の肌に直接触れて温めたい。そう思い、貴音の服の中に手を突っ込み豊満な胸を直に揉みしだいた。あの貴音からちょっとした悲鳴を聞けて手も温かくなって満足だった。
その反面貴音の逆鱗に触れてしまったわけで、普通なら今頃俺はここにいないのだが、(数日アイドル活動以外では口聞いてくれなかったけど)なんとか許してくれたのである。
だが、最近再び直に揉みしだこうと手を伸ばしたら叩かれてしまったのだ。
そのため、どこまでがOKで、どこからがNOなのか。細かくは未だによくわからないのである。
だからご機嫌取りは先に言ったとおり、お姫様抱っこ辺りで、それ以外はハグが大体の目安と現在は想定している。
本音としては抱っこは腰がきついから座ったままの抱っこが良いのだが。
「今日はどうしますか。美しいお嬢さん」
「では、今日はわたくしの家にお泊りを……」
「はいっていきなりどうした?」
「…………」
「……わかりましたよ。春香の件はわるーござんした」
「わかればよろしいのです」
おそらく外傷チェックの件だろう。可愛いやつだ。
俺は貴音にキスをした。
次の日の朝。
芸能ニュースで天海春香アイドル活動休業という見出しニュースを見て仕事速いなと感心した。
そのためか現在進行形で俺の携帯はなり続けている。
貴音にはしぃーと人差し指を口元に立てて静かにさせ、俺は電話に出て応対し始めた。
すべての応対が終わったのは9時半で、遅刻確定の俺は先に打ち合わせ先に謝りの電話をしてから、貴音を連れて猛ダッシュで事務所に向かった。
少し話がそれるが、俺は最近車を買ってもらった。もらったというのは貴音に8割資金を出してもらい買った車であり、ほとんどが貴音の送迎のために存在している。
あとは俺の通勤用で、たまにアイドル達の送迎車に代わる。
それだけだが、車のおかげで事務所にはママチャリ時よりも20分早く着いた。
そこからオンボロ社用車に乗り換えて打ち合わせ先に向かった。10時半に着き、俺は土下座して許してもらった。
打ち合わせでは主に春香の休業に関することと、その穴埋めアイドルを誰にするかで話が進んだ。
その打ち合わせも終わり、事務所に帰ろうかと駐車場に向かっているとうさぎはどうしたのかと聞かれた。
俺は社長の時のように言ってやると「残念だったね」とか「頭大丈夫?」と言われた。
後者はまだ俺の頭がおかしいというのか。
今回はここまでです
書き溜め→寝かせる→推敲→投下という一般的な書き溜めスタイルで行くので遅いです。
それでもゴールは見えているのでよろしくお願いします。
多分この話も短いと思います。
追記
ひょっとしたら書き溜めスタイルの寝かせるが時間の都合上でなくなるかもしれないです
なくならないように気を付けます
15:49│アイマス