2014年07月02日

蚊「いおりん」

プ〜ン



伊織「…うえ、最悪…蚊が入ってきてるじゃない」シッシッ



春香「ホントだ。さっき一緒に入って来ちゃったのかな?」





プ〜ン



伊織「……っ!」パチン



伊織「…ダメね。逃げたわ」ハァ



春香「蚊が入ってくると、気になって何も出来ないよね…っと!」パンッ



春香「あ、ダメだ」チラ



伊織「何よもう、鬱陶しいわね!さっきからこの伊織ちゃんの周りをブンブンブンブン!」イラッ



伊織「…って春香?なに私のこと見てるのよ?」



春香「ごめん伊織。動かないで」シュッ



ペチーン



伊織「痛あっ!?何すんのよ春香!」



春香「やったよ伊織!伊織のおでこに付いてた蚊を潰せたよ!」パアッ





伊織「えっ…そ、そう?ならいいけど…」アゼン



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プーン



貴音「…おや、蚊でも出ましたか」



伊織「また?誰か窓を中途半端に開けたんじゃないでしょうね?」



貴音「はて…また、とは?」



伊織「この間も蚊が出たのよ!この伊織ちゃんの額に止まったのを、春香が叩き潰したの。

春香のやつ、蚊を殺すために人の頭叩くなんて、どうかしてるわ!」プンプン



貴音「それは真、災難でしたね。





では…今、伊織の額に留まっている蚊は、叩かない方がよろしいのでしょうか」ピッ



伊織「!?」サッ



伊織「…え、ええ。優しく追い払ってから潰して頂戴」パッ



貴音「承知いたしました。では」チョイチョイ



プ〜ン



貴音「このまま、目の前に現れた所を…おや」



ピトッ



貴音「…また伊織の額に」



伊織「えっ…ま、また追い払ってくれるかしら?」



貴音「承知」チョイチョイ



プ〜ン



ピトッ



貴音「……またです。埒が空きませんね」シュッシュッ



伊織「た、貴音?あんたまさか…」ヒクヒク



貴音「ーーーーーー覚悟っ!」ヒュッ



パチーン



伊織「痛っ!」



貴音「仕留めました」ドヤッ

プ〜ン



伊織「っ!」ババッ



美希「でこちゃん?なんでファイティングポーズとってるの?」モグモグ



伊織「でこちゃん言うな!あっ、あんたも見張ってて!蚊が私の額に近付かないように!」



美希「一瞬、でこちゃんが何言ってるか分かんなかったの。それにもう付いてるよ?」ピッ



伊織「ヒッ!?この、離れなさい!」ブンブン



プ〜ン



ピトッ



美希「あ、またなの」モグモグ



伊織「何なのよこの間から!アンタ達のせいで2回も頭を叩かれたのよ!?」ブンッ



プ〜ン



美希「…でこちゃんって、そんなにおでこ触られるのヤなの?」アフゥ



伊織「それもあるけ、どっ!」パチン



プ〜ン



伊織「普通に考えて蚊の死体が私の頭にっ!」ペチンッ



プ〜ン



伊織「こびりついちゃうじゃないっ!アレを落とすとき、どれだけ空しいと思ってるのよっ!」ブンッ



プ〜ン



伊織「ハア、ハア……ああもう鬱陶しいわね!」クワッ



ピトッ



美希「それより、でこちゃんの顔に虫刺されができる方がダメって思うな」クチャッ



伊織「」



美希「うん、潰れたの! …あ、でこちゃんゴメンなの。

ミキ、おにぎり食べた手で潰しちゃったからおでこに色々こびりついてるの。洗ってこよ?」クイクイ



伊織「」

プ〜ン



伊織「嫌ッ!」ガバッ



P「伊織?どうしたんだ、両腕で自分の頭を庇うなんて」



伊織「な、なんでもないわ。大声なんてあげて悪かったわね」



律子「なんでもないわけ無いでしょ?何があったのよ」



伊織「…なんでもないって言ってるじゃない。本当に大したことじゃないから、心配しないで」



律子「ちょっと伊織…」



伊織「…お願い。聞かないで」



P「………」



P「…伊織」スッ



伊織「…何?」



P「いいから話してみてくれよ。お前がどんなに下らないって思う事でも、俺達は笑ったりなんかしないからさ」



伊織「気にしないでって言」



P「伊織」



伊織「……」



P「信じてくれ」



伊織「……っ!」ジワ



伊織「……律子は」



律子「!」



伊織「律子は、笑ったりしない?

バカな事で悩んでるって、笑ったりしない?」



律子「……」ハァ



律子「バカにするわけないでしょ。

うちのアイドルが悩んでるってのに、下らない理由なんてあるわけないじゃない」



伊織「…本当?」



律子「ええ、本当よ」



P「伊織。大丈夫だ」



伊織「……」



伊織「…約束よ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



伊織「…って事なの」



P「……」



律子「……」



伊織「笑っちゃうでしょ?このスーパーアイドル伊織ちゃんが、蚊一匹に怯えて暮らしているのよ。

潰れた蚊を拭うだけなのに、ね」クスッ



P「…伊織。今まで何匹の蚊に噛まれたんだ」



伊織「もう数え切れないわ」



伊織「街中で噛まれて、ロケ先で噛まれて、防虫対策をしっかりしてるはずの家の中でまで噛まれて。

みんなみんな、私のために蚊を捕らえようと奮闘してくれるんだけど、あいつらは全部かわして私の額にまとわりついてくる」



伊織「不思議と虫刺されは出来なかったけど……代わりに蚊の死体や私自身、それと他人の赤黒くて生々しい血がどんどんどんどん私の頭に混ざり込んでくるのがわかるわ」



P「……」



伊織「…何で? 何で私ばっかりこんな、尊厳を否定される真似をされなきゃいけないの?

この伊織ちゃんが慢心していたから?身分にあわないほど傲っていたから?

あんた達や皆に偉そうな口聞いて、お姫様ぶっていたからバチが当たったって言うの!?」

律子「……」



伊織「ふざけないでよっ!ダメなら直せって最初に言いなさいよっ!

私の悪い所を直そうともしないで、いきなり罰だけ与えないでよっ!

そこまでどうしようも無い人間だって言いたいの!?水瀬伊織は、救いようの無い高慢な小娘だって言いたいの!?」



P「伊織…」



伊織「傲慢がダメって言うなら直すから……謙虚になれって言うならそうするからぁ……!

これ以上、私のプライドを踏みにじらないでよぉ……!」グス

小鳥「ただいまー…って伊織ちゃん!?一体どうしたの!?」



伊織「小鳥ぃ……!」グスグス



小鳥「おでこに蚊が止まってるじゃない!」ペチンッ



P「あ」



律子「あっ」



伊織「」ピシッ





伊織は壊れてしまった。終



08:30│水瀬伊織 
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