2013年11月07日
モバP「事務所でみんなの交換日記」
P「交換日記も学級日誌も響きだけで懐かしく感じますよ」
ちひろ「プロデューサーさんは交換日記とかやってたんですか?」
ちひろ「プロデューサーさんは交換日記とかやってたんですか?」
P「ええ。少しだけですけど、誘われてやってましたね」
ちひろ「何だか意外です。でもまあ、頑張って下さいね」クス
P「いや、勿論ちひろさんもやるんですよ?」
ちひろ「え?」
P「『みんなで交換日記』ですから。ちひろさんだって事務所の仲間です」
ちひろ「プロデューサーさん……」
P「俺が担任なら、ちひろさんは副担任でしょうかね」ハハ
ちひろ(CGプロ組担任P、副担任私……ふふ――ああ、いけない、私ったら)
P「じゃあ事務所の邪魔にならないところに定位置を作って……っと」
ちひろ「薫ちゃんが帰ってくる前に、記念すべき一ページを書いてくださいね」
P「わかってますよ。じゃあこれ書いてから営業行ってきます」サラサラ
ちひろ「うわ、早いですね。書くこと考えていたんですか?」
P「そうでもないです。ただ、最初ですから軽い感じに……まあ、こんなもんか」パタ
ちひろ「大体の人って、白紙を目にすると迷うものですけどね」クス
P「ああ、わかります。書き出しがわからなかったり」
ちひろ「流石はプロデューサーさんということですね。もう出ますか?」
P「はい。じゃあ行ってきます」フリ
ちひろ「今日も頑張ってきて下さいね」フリ
ガチャン!
ちひろ「……さて、時間もあるし、私も書いておきましょうか」パラ
ちひろ(プロデューサーさん、字が綺麗だな……。文章もしっかりで)
ちひろ(真面目なんだけど堅苦しくなくて、事務員の私にも気さくに話しかけてくれて)カキカキ
ちひろ(アイドルの皆にも好かれて、営業も上手くて……でも時々抜けてたり、ふふ)カキカキ
ちひろ(そんな所がまたプロデューサーさんらしくて格好よかったり――って)カキ…
ちひろ「うわ、私ったら一体何を書いているの!?」ゴシゴシ!!
日誌「クシャクシャ」
ちひろ「何やってんだろ、私……。はあ、無難にアイドル達に軽くルールでも書いておきましょうか」カキカキ
ちひろ「じゃあこれぐらいにして、元の位置に戻して……仕事始めますか。頑張れ、私っ」
・ ・ ・
――翌日、事務所
P「お、昨日から始まったのにもう書き込まれてるな」パラ
ちひろ「ええ、昨日プロデューサーさんが居ない間に来たアイドル達に説明したら色々書いて行きましたよ」
P「それだともう学級日誌よりも単なる自由帳になってますけど…まあいいか」ハハ
ちひろ「ご丁寧にみんなページ下空けてますから、返信したらどうです?」
P「うわ、本当だ。枠まで作ってるアイドルも居るな」
ちひろ(まあ私がそうするように教えたんですけどね)
P「よし、じゃあ休憩の合間に早速書こうか。……一番目のアイドルは凛か」
ちひろ「プロデューサーさんとすれ違いで来てましたからね。呆れつつも結構乗り気でしたよ」
P「はは、凛らしいな。さてと、日記の内容は――」
○月×日 天気:晴れ
担当:渋谷凛
プロデューサーってば、また変な事をやり始めて……って思ったけど違うみたい。
ちひろさんに話を聞くと、どうやら薫が言い出したんだって。
事務所に常備する交換日記っていうのも何だか面白いね。
というわけで、何と最初は私みたい。
何でも好きな事を書いていいってちひろさんは言うけど、考えないとこういうのは難しいね。
…特に何も思いつかないから、とりあえずプロデューサーへ伝言。
この事務所が出来て最初に来たのが私だけど、もう随分と時間が経って、色んな人がやってきたよね。
個性のあるアイドルが沢山来て、当時はプロデューサーのスカウトに疑問を感じたりもしたよ?
でも、みんなそれぞれ活躍してるんだから、凄いよね。
それもこれもプロデューサーの見抜く力があるからなのかな?
それの最初が私なのは、喜んでいいんだよね、ふふっ。
それで……私もみんなも忙しくなって 昔に比べたらプロデューサーと話す機会は減ったね。
一日会わないことも増えていきて……嬉しいんだけど、ちょっと寂しいかな。
でも、私はあの頃から気持ちは変わってないよ。
これからも一緒に頑張ろう、プロデューサー。
そして、みんなともね。
P「凛……」ジーン
ちひろ「事務所設立からずっと頑張ってる子ですから、思い出も多いんでしょうね」
P「俺も失敗続きでよく凛に怒られたなあ……」
ちひろ「それがここまで来れたんですから、やっぱり凛ちゃんはウチのメインアイドルですね」
P「あんまりアイドル内で上下は決めたくないんですけど…密度は断トツです」
ちひろ「じゃあ、早速返信してあげて下さい」
P「そうだな……」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
俺のスカウトにのってくれて本当にありがとう、凛。
事務所がここまでこれたのは、間違いなくお前のおかげだよ。
最近話す機会が無かったのはすまない。
よかったら、いつか時間合わせてどこかご飯でも食べに行こうな。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
P「こんなもんか」
ちひろ「凛ちゃんも喜びそうですね。言ってくれたらスケジュールも調整しますから」
P「ありがとうございます。それならすぐに実現しそうだ」ハハ
ちひろ「じゃあ次のページに行きましょうか」
P「ですね。……ええと、次は友紀? 珍しいな」
ちひろ「オフなんですが、今週の試合のハイライトを見に事務所に来てました」
P「いつも中継で見てるだろうに…というか何故事務所で見る」
ちひろ「私は野球、詳しくないですから……友紀さんなりの好みがあるんでしょうね」
P「全く……まあいいや。内容はっと――」
○月×日 昨日は勝った!明日も勝つよ!
いえい!
キャッツは現在独走中であります!
いやーやっぱりキャッツは良いね。みんなカッコいいし。
また明日もがんばろーって思うもん。
それで気持ちいいオフを家で録画見ながら過ごそうと思ったら事務所に忘れて来ちゃったんだよねー!
だから事務所に来たんだけど、したらちひろちゃんがこの日記のこと教えてくれて書いてみたって訳ですよ!
あたしはこういうの似合わないんだけど……まあキャッツが勝ったから特別にかいてやろーじゃんってことで!
そーいえばさー、聞いてよプロデューサー!
最近夕からの仕事が多くてナイトゲーム見に行けないんだけど!!!
今日はオフなのに試合無いし……。
これはもう他チームから終身名誉キャッツファンのあたしへの妨害工作とみたね。
あたしがキャッツの原動力になってることが脅威なんだよ!
というわけでお願いプロデューサー、あたしに時間をちょーだい!
そうだ、それでプロデューサーも見に行こう! キャッツを見れば、絶対好きになるから、ね!?
熱い声援を送りながら飲むビールは美味しいからさ!
……って、にゃはは、ビールは事務所でもおいしいかな!
目指せキャッツ優勝! そしてビールかけに参加したい!
byユキ
P「……まあ日記らしいといえば日記らしいが」
ちひろ「ついでに言うと友紀さんらしいですね」
P「つーかオフに事務所に来てまでビール飲むなよ友紀! ここは居酒屋じゃない!」バンッ!
ちひろ「事務所内にアルコール専用の冷蔵庫がある時点でもうどうしようもないかと思うんですが」
P「うちのアダルト組、大体アルコールに節操ないからなあ……アイドルなのになあ…」ハァ
ちひろ(プロデューサーさんがアイドル像に嘆いてる…)
P「まあそれも含めて親しみやすさがウケているのも事実なんだが」
ちひろ「野球好きからは特に大人気ですもんね、友紀さん」
P「…たまには一緒に球場に行くのも悪くないか。じゃあ……」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
別に駄目とは言わないが、事務所内での飲酒は控えるように。
トラブルの元だからな。
時間に関しては申し訳ない。
ただ、アイドルなんだから仕事を優先してくれよ?
このまま仕事を続けて、余裕ができたらまた野球を見に行こうか。
俺は野球はあんまり知らないから教えてくれると嬉しい。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「随分と紳士的ですね」
P「お酒が美味しいのは事実ですから…頻度さえ気をつけてもらえば飲んでもいいんですよ」
ちひろ(本人に直接訴えれば治るような気もしますけど)
P(…正直な話、お酒飲んでる友紀は色っぽいんだよなあ)
ちひろ「…何か考えてます?」
P「イエ」
P「そして次に……杏だと!?」ビクッ
ちひろ「やっぱりそう言いますよね」
P「いや、だって、え? あの杏が日記を書くって……」オロオロ
ちひろ「正直私も書かないかなあと思ってたんですけど、存外素直に書いてくれましたよ」
P「あいつ、何が目的だ……?」
ちひろ(担当プロデューサーにそう思われるアイドルって一体……)タラー
P「ま、まあ書いていることは事実だから、まずは読むか…ええと」
同日
杏が書くはずがないって思ったでしょ?
なんかそう思われるのがむかついたんで、ここで少し本気を出してやろうじゃないか
……あー、でもめんどい
交換日記って普通こんなオープンじゃないでしょーが。
別に見られて恥ずかしいもの書かないから杏はいいけどさ
とりあえず凛がそれっぽいこと言ってるんで杏も言うよ。
最近みんな事務所のお茶うけ、もとい飴を食べ過ぎてるんだけど。
即急な供給量増加をもと
うん、つかれたおわり
by書いたからオフくれ
P「杏……」ガックシ
ちひろ(あれ、凛ちゃんの時と同じ感じなのに何か違う)
P「……まあ杏にしてみれば餌もなしによく頑張った、ということにしておこうか」
ちひろ「やればできるんですけどね…」
P「あいつはできないんじゃないんです。やらないだけで」
ちひろ「正直、一層たちが悪いですよねそれ」ハァ
P「いいんだ、それで人気が出てるんだから……世の中がわからないよ」
ちひろ「…それで、返信はどうするんです?」
P「えーっと……まあ、こんな感じで」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
俺は書くと思ってたよ。嘘じゃないぞ?
特に内容を限定するわけじゃないから、よかったらまた書いてくれ。
それでお菓子の件だが、確かに最近よくアイドルが出入りするから
多少減りは早いかもしれないな。
杏達のお陰で事務所もいい感じだし、ちひろさんと相談して
考えるよ。意見ありがとう
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「あの……少し思ったことを言ってもいいですか?」
P「ん、何かありました?」
ちひろ「いや……なんかもうこれ、小売店のご意見カードみたいになってません?」
P「……」
ちひろ「……」
P「今回書いてたアイドルは三人だけだな」パタ
ちひろ(流したーっ!?)ビクッ
P「まあ一人ひとり書いても時間がかかるだろうし、妥当だろうな」
ちひろ「え、ええ。これから順番にオフなんかも回ってきますから、次に見たらまた増えてますよ」アセ
P「薫の案で始まった交換日記でも、中々良いコミュニケーションツールになるもんですね」ハハ
ちひろ「こうして書き記す事が口で伝えるよりも簡単ですから」
P「それもそうだ……っと、思い出した」
ちひろ「どうしました?」
P「俺の次に書いたちひろさんのページにも返信してもいいですか?」
ちひろ「ふぇ!?」
P「注意書きが殆どですが一応書いてくれてるみたいなんで…」
ちひろ「え……じゃ、じゃあお願いします」
P「はは、任されました」
・ ・ ・
――凛の日記、その後
凛「おはよう…あ、プロデューサー」ハッ
P「おお、凛か。日記読んだよ」
凛「…何だか本人の目の前でそう言われるのは照れるね」
P「でも凛の気持ちが知れて俺は嬉しいと思うよ。返信は見てくれたか?」
凛「うん、見たよ。明後日は仕事が昼までなんだけど、プロデューサーはどう?」
P「明後日か……よし、わかった。空けておこう。場所はどうする?」
凛「プロデューサーが決めてくれるならどこでもいいかな」クス
P「あんまり期待するなよ……」
凛「やだよ。期待するからね、ふふっ」
ちひろ(なんといういい雰囲気……!)
・ ・ ・
――友紀の日記、その後
P「ふう……風呂も入ったし、明日も早いから寝るかあ――」ピロリロ
P「って、その前にメールか」ポチポチ
――――――――――――――――――――――――――――――――
やっほー! いつもお疲れ様!
日記見たよ、そんで明日にでも行こうよ!!
――――――――――――――――――――――――――――――――
P「いやいや、明日も仕事入ってるから」ハァ
P(次のオフはいつだったっけ……と、来週は空いてるな)カコカコ
P「来週の水曜日にしよう、と」ピロリーン
P(返信はえぇ……)
――――――――――――――――――――――――――――――――
その日はナイトゲームだね。キャッツがもっとカッコよくなって
もっとビールが美味しくなるよ!
野球を知らないプロデューサーにも好きになってもらうようにあたしも
頑張るから、一杯楽しもうね!
それじゃばいばい!おやすみ!
――――――――――――――――――――――――――――――――
P(大人らしからぬ文面…いや、二十歳なんてこんなもんか)
P「体調崩すなよ、と。よし、俺も寝るか」ケイタイポイッ
P(…まあ、行く前にキャッツのメンバーくらいは覚えておこうかな)
・ ・ ・
――杏の日記、その後
P「そこのソファーのブランケットに埋まってる芋虫アイドルー?」
杏「……なにさ」ニョキ
P「芋虫で反応するのか……いや、日記読んだぞ」
杏「あっそー。じゃあオフはくれるんだね」
P「それはない」キリッ
杏「きちくー……」
P「それはおいといてだ。ほらこれ」ガサッ
杏「……おー、杏の好きなアメじゃないか」パク
P「許可が出たから少し増やしておくからな。…全部食うなよ?」
杏「しかたない、オフの代わりで許してやろうじゃないか」
P「ありがとう、じゃあ今からレッスンだから行けよ」
杏「アメを食べるので忙しいから後にする」
P「そんな言い訳が通じるかっ!」ズルズル
杏「しょけんらんよーだぞばかーやめろー!」ヤメローメロー…
交換日記なようで交換日記でない、そんなノートに書き綴る事務所のSSです。
変わるかもしれませんが、とりあえずこんな感じで進めていきます。
書くキャラや内容等は安価で行なっていきますので良かったら書き込んでいって下さい。
次に日記に書くアイドルは
>>16,>>17,>>18
です。
・ ・ ・
――ある日の事務所
P「ただいま戻りましたー……あっつぅ」ガチャ
ちひろ「おかえりなさい。スタドリ要ります?」スッ
P「いただきま……何普通に売りつけてるんですか」
ちひろ「要らないんですか?」
P「……あー美味しいなあ」ゴクゴク
ちひろ(やったぜ。)
P「体力は回復したけどエアコンが体に効くまで何もしたくないなあ…」グデー
ちひろ「なら、日記の方見てみては?」
P「パソコン触るのも面倒だし、そうするかー……」グデー
ちひろ(夏の暑さでプロデューサーさんが杏ちゃん化してる……)
P「それじゃあ続きは――若葉か」
ちひろ「若葉さんには呼び捨てなんですね」
P「まあ本人はそういうところ気にしてますから。少なくともプロデューサーの立場の人間くらいは意を汲まないと」
ちひろ(そういう所が優しいって言われる所以なんだろうなあ)
P「でも若葉の書く内容ってのは少し気になるな、どれ――」
○月△日。
このページは私、日下部若葉が書くことにしました〜。
みんなもこの日記のことは知ってるのですが、どうやら恥ずかしがっているらしいです。
私は別に大丈夫ですよ?
だって、こういうことは昔からやってみたかったから――って、子供っぽい考えとかそんなんじゃないですからね!
……まあ、私が率先してやることで、恥ずかしがってる人たちにもハードルを下げられたらいいかな、と思ってます〜。
本日、天気は晴れです。雨雲さんは足が遅いみたいです。
今日もまだまだ暑いですが、みんなも一生懸命レッスンや仕事に励んでますっ。
って、そんなことは知ってますよね。Pさん。
ええと……ここは良き大人として、話題を提供するべきですよねっ。
……この前地方ロケに行った時、時間が空いたそうなので一人で観光してたんです。
そうしたら駄菓子屋があって、懐かしいなーと思って入ったら中に居たおばあちゃんがとってもニコニコして私にお菓子を色々くれたんですよ〜。
これ知らんだろ、これ食べてみんさい、いやーこんなところに来るなんて一体どうしたんだい、親御さんはー、一緒に探してやるから、これで辛抱しいなって。
……まだまだ私の成長は続けて行かないと駄目みたいです。
Pさん、よろしくお願いしますね〜。
P「若葉……」ジーン
ちひろ(どうしてだろう、悲しくなってくる)
P「相手がご年配となると、やっぱり知名度も低いのは仕方ないのかなあ」ウーン
ちひろ「初対面の人間相手にそこまでしてくれるってそうそうないですよね、そのお婆さん」
P(あのルックスと性格を活かせばそういう層にもウケそうではあるが……要相談だな)
ちひろ「成長期っていつぐらいまであるんでしたっけ?」
P「うーん、まあ遅ければ22歳らしいですが…」
ちひろ(言外の言葉が読み取れるのが悲しい)
P「まあ人間見た目じゃないぞってことで――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
流石若葉、大人らしくいい率先役になってくれるな。
これでもっと色んなアイドルに書いてもらえたら俺達も嬉しいよ。
地方ロケといえば、2ヶ月前のやつだよな?
あそこはご年配の方々が多いからそんなに気にするなよ。
それに、相手方も若葉を心配してくれての言葉なんだからな。
……って、それで納得できるなら問題はないか。
じゃあ……ああそうだ、今度事務所の中で親交会をやるんだが、
よかったら若葉もセッティングを手伝ってくれないか?
若葉なら効率よく進めてくれそうだからな。余裕があれば頼むよ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「…何か体よく労働力を確保しようとしてません?」
P「いやいや、そんなまさか」
ちひろ(まあアダルト組がそういうのに向いていないといえばそうなりますけど)
P「……若葉は気にし過ぎなんですよ、結局」トン
ちひろ「子供に見られるってことがですか?」
P「はい。アイドルになった時点でそれはもう強力な武器になっているのに、
いつまでも目的に固執しちゃ駄目です」
ちひろ「本人の気持ちですから、難しいですよね」
P「それを自覚して自分の手に持つことが出来れば、もっと輝けると思うんですが……」
ちひろ「それをどうするからプロデューサーさん、あなたの手腕ですよ」
P「ええ。絶対満開にさせてみせます」
ちひろ「心強いですね。…じゃあ、次の人に行きますか」
P「そうですね……と、今度は奈緒だな」
ちひろ「彼女も珍しいような気が。こういうの恥ずかしがるタイプですし」
P「はは、確かに。でもまずは見てみますね――」
○月△日 天気:晴れ
担当:神谷
あー、なんだこの緊張。
別に何も書くことないのになぁ。どうしてこんな物事務所に置いちまったんだ。
……そりゃー、他人の日記を読むのって面白そうだとは思ったけど。
あー、それで書くのは嫌だとは言えないよなあ。卑怯だって話だ。
じゃあ今日の出来事でも書くか。
いつもクールぶってる凛が、スケジュール帳に間違って書いてしまってた黒い曲線を髪の毛だと思って払ったけど払えなくて何度も払ってた。
それでその内気付いた時にはもう加蓮に見られてて『なーにやってたのかなー?』とか言いながらニタニタ笑っておちょくってたよ。
そしたら凛は凛でプロデューサーとロケに行った時の加蓮の浮かれっぷりを槍玉に挙げて反撃するし、何かとばっちりであたしのプロデューサーへの……ってそれはいいだろ!
とにかくあいつら対抗意識強すぎてこっちに何がくるか……気をつけねぇと。
↑嘘をつかないでよ奈緒。私がそんな事に気付かないわけないじゃん
プロデューサーも信じちゃだめだからね、奈緒の言うこと
まあこんなもんか。
前の若葉さんに沿って書いたからこれで合格だろ。
……これ、プロデューサーに見られるんだよな?
あ、あーもうなんか恥ずかしい!
柄じゃないのはわかってるけどさ、若葉さんに誘われて書かざるを得なくなったんだよ!
もういいや、乙。次の人に渡してくる!
P「途中の別の人が書いたらしき文字は……気にしないでおこうか
ちひろ「きっと凛ちゃん、あれが鉛筆の軌跡だと気付かなかったんでしょうね」
P「あいつ、雰囲気は大人っぽいのに、たまにああいう事をするから可愛いんですよ」
ちひろ「付き合い長いですから、お見通しですか」
P「です。……でもまあ、奈緒はまだまだこういうのは恥ずかしいか」ハハ
ちひろ「むしろ奈緒ちゃんってこういうのやってそうですけどね」
P「やりたくても恥ずかしくてやれなかった、ってな所でしょう。文章が楽しそうだ」
ちひろ「若葉さんに誘われたって書いてますけど、やっぱり内面は?」
P「嬉しさ半分、迷い四分の一って所ですかね」
ちひろ「四分の一? 残りは何ですか?」
P「感謝ですよ。作ってくれた薫と、誘ってくれた若葉への」
ちひろ「……プロデューサーさん、柄じゃないです」
P「ほっといてください。じゃあ返信は――」
――――――――――――――――――――――――――――――――
はは、普段のアイドル活動に比べればこれぐらい何ともないだろ?
あんまり恥ずかしがってちゃせっかくの奈緒の可愛い顔が勿体無いぞ。
その顔もまたいいんだけどな?
でもまあ、よく逃げずに書いてくれたよ。
若葉には感謝しないとな。
ただ途中の文字については……二人で話し合ってくれ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「一部投げましたね」
P「あの二人だからですよ。トライアドプリムスは仲が良くて何よりです」ハハ
ちひろ「私から見てもよくわかりますからね、あの三人は」
P「そういうことです。じゃあ次は――」
○月△日 薄着の季節だねっ☆
なんか奈緒さんに渡されちゃったけど、女の子のヒミツが隠されてそうでこりゃ重要機密文書じゃないかなー!
ちょうど事務所の入り口ですれ違った時に渡されたからびっくりしたけどさ、運命とはこういうことだよね☆
というわけでおーぷん……でも何もかいてないじゃないのさー!
こうなったらあたしがそのパイオニアになるよっ☆
……うひひひ、なんかこの言葉っていいよね、今度誰かに言わせてみようっと。
じゃあ第一弾でーす!
最初は卯月さん☆
プロデューサー、よくあんな逸材を見つけられたね!
もちろんあたしの庭はお山なんだけど、卯月さんはもうひとつのお山もすばらしい!
なんといってもあのおしり!
柔らかいんだけど押し込んだ時に強まる弾力!
レッスンで鍛えたものはやっぱり偽物とは違うよね!
本人はそんなことないっていうけど、脂だけが美味しさの全てじゃないってことは、分かる人にはわかるんだよ☆
もちろんそれだけじゃない、卯月さんが素晴らしいのはリアクション!
何度やっても初めは驚いて可愛い声をあげてぇ、それで顔を赤らめて控えめて止めてっていう声色がもう―――
P「はい、やめやめー」バタッ
ちひろ(うん、擁護のしようがなかった)
P「なんなのアイツ。ウチのアイドルにセクハラとか何なの? あいつもウチのアイドルだけど!」
ちひろ「愛海ちゃんをスカウトしたのはプロデューサーさんですよ……」
P「いやね? 確かに初対面で片鱗どころか全部見えてたけどさ、黙ってると可愛いんだよ、愛海」
ちひろ「まあ、音声さえ消せば立派なアイドルですよね」
P「女の子と友達になれるとは言った! だが登山家になれとは言っていない!」ダンッ!
ちひろ「……とりあえず、どうします?」
P「卯月のためにも後半部分は修正を入れるとして…」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
オーケーオーケー、今度俺と契約書を確認し合おう。
人には不可侵の領域がある。そこに踏み込むことは、お前の登山家人生に
幕を下ろすことになるぞ。
…清良さんに相談しておくから、それまでおとなしくしておくように。
あと、プライバシーの関係上一部修正を入れるからな。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「おいたわしや、卯月ちゃん…」
P「あいつなら大丈夫だとは思うが……今度ご飯にでもつれてってやろう」
ちひろ「そうしてあげて下さい、卯月ちゃんのために」
――
――――
――――――
P「はあ……なんだか最後の愛海のせいでどっと疲れたような気がする」
ちひろ「初犯なんて言葉を忘れてしまうぐらい昔からですけどね……」
P「いやまあアイツもボーダーラインは見極めているだろうし、そこまで大事件にはならないだろうが……他のアイドルの士気にも関わるから、考えていかないと」ウーン
ちひろ「それでも、ペアを組ませると相手によってはその子がいい表情をするって向こうのディレクターに人気なんですよね、あの子」
P「アイドルが大勢の男と柔らか談義をするって新時代すぎるわ」
ちひろ(振り分ける属性を間違えたかな……)
P「――っと、もうこんな時間ですか。作業を再開しないと」
ちひろ「あら、いけない。日記は戻しておきますね」
P「すいませんお願いします。……よし、やるか!」ガガガ
・ ・ ・
――若葉の日記、その後
[事務所、応接間]
若葉「――と、以上で行きたいと思うんですがどうでしょうか〜?」
真奈美「ああ、いいと思うぞ。振り分けも問題ない」
雪乃「私も皆さんのためにがんばりますわ♪」
若葉「ありがとうございます〜。では親交会がうまくいくように頑張りましょうっ」
オー…!
P「みんなもちゃんとついていけてるし、若葉に任せてよかったな」ウンウン
ちひろ「でも内心不安だったんじゃ?」
P「そうでもないですよ。ウチのアイドルは皆仲良しですからそうそう争い事なんて」
ちひろ「なら若葉ちゃんじゃなくても……」ボソ
P「あの日記を見て真奈美さんに相談したら、彼女も賛同してくれたんですよ。若葉をまとめ役にしようじゃないか、って」
ちひろ「ああ、そういうことですか」
P「騙すようで悪い気もしますが、実際仕切り方も上手いですからこれで振り切ってもらえるといいんですけどね」
若葉「Pさーん、ちょっとこっちに来てくださ〜い!」フリフリ
P「ああ、わかった。すぐ行くよ!」タッタッタ…
ちひろ(うまいなあ、プロデューサーさん)
・ ・ ・
――奈緒の日記、その後
[事務所]
凛「なーおー……?」ジト
奈緒「ひぃ!? な、なんだよ凛!」
凛「日記見たよ。奈緒は酷いこと書くんだね」
加蓮「きゃー、奈緒ってばさいてーい」
奈緒「…すまん、書いたのは悪かったよ――って、元はといえば普段お前らがあたしを意味なくおちょくるからじゃねえかああ!」ウガーッ
凛「ふふ、ごめんごめん。奈緒の事は大好きだよ」ダキッ
奈緒「い、いいいいきなり抱きついてくるなよ!?」
加蓮「あ、凛ズルい!」ダキッ
奈緒「ちょ、加蓮まで何を――」
加蓮「いつもありがとうね、奈緒」コショコショ
奈緒「うがー! あっついんだから近づくなやめろー!」バタバタ
ギャーギャー
P「いやーやっぱり仲がいいなあ」シミジミ
奈緒「おいそこで見てないで助けろよプロデューサァ!」ジタバタ
ちひろ「……呼ばれてますよ?」
P「奈緒が可愛いのでしばらく観察です」
奈緒「無視するなプロ、プロデュ――ひゃあん!」
凛「かわいー」ゴソゴソ
加蓮「かわいー」ゴソゴソ
P「……助けに行ってくる」フリ
ちひろ「お願いしますね」
奈緒「遅いわばかぁ!」
・ ・ ・
――愛海の日記、その後
[事務所]
愛海「おっはよープロデューサー! 今日も暑くて目が潤うね!」ガチャ
P「おはよう。だがまずは座れ」
愛海「なになに、お山をいただけるのっ?」スタスタ
P「それは後でちひろさんのをあげるから、いいか、よく聞け」
愛海「うん☆」
ちひろ(えぇ!?)ビクッ
P「…お前のやっている登山は違法だ。許されないぞ」
愛海「……そんなことないよ。あたしは夢を追うアイドルだから仕方ないことなの」
P「それが仲間を傷つけているのだとしても、か?」
愛海「あたしだって傷つけたくはない。でも、傷つかずに進む方法なんてないんだよ!」
P「あるはずだ! 手を取り合って、協力して登山する道が!」
愛海「それじゃ駄目なんだよ、プロデューサー! 頂点を目指すには、羞恥に埋もれる女の子の赤らんだ顔が必要なの!」
P「……わかるさ。俺にもわかる。それは大事だよな。それがあってこその登山だよな」
愛海「プロデューサー……」ジーン
P「だが俺はみんなのプロデューサーなんだ。お前だけを支持する訳にはいかない」
愛海「そんな……じゃああたしはこれからどうすれば」ガーン
P「悪いが、しばらくはちひろさんで――」
卯月「ちょっと待って下さい、プロデューサーさん!」ガタンッ!
P「卯月!? 起きて大丈夫なのか!?」
卯月「…確かに愛海ちゃんのやっていることは悪い事なのかもしれません」
卯月「ですが、愛海ちゃんだってただ無差別に上り詰めている訳じゃないんですっ!」
愛海「卯月さん、言わないで!」
P「……卯月、どういうことだ」
卯月「…あの時、私はレッスンでいつもの調子が出せなくて落ち込んでいたんです。そうしたら、愛海ちゃんが私の……それを撫でてくれたんです」
P「撫でた? 登ったんじゃないのか?」
卯月「突然でびっくりしたけど、体がぽかぽかして、落ち込んだ気分がふわっとしてきて……そのおかげで、次のレッスンは大成功したんです」
P「…説明してくれるか、愛海」
愛海「……お山はね、夢と希望と愛情が詰まっているから膨らんでるの。私は、それに触れることで溜め込んだ物を分けて、その人を元気づけることができるんだよ」
P「ということは愛海、お前は――」
愛海「登るべき山があるから、あたしは登る。それがあたしの登山家としての使命なの」
P「そんなことを考えて……」
卯月「だからプロデューサーさん、愛海ちゃんをそんなに責めないであげて下さい」
愛海「卯月さん……」
P「――で、どこまでが本当なんだ」
卯月「無理矢理触って来ました」
ちひろ(えぇー……)
ちひろ「というか卯月ちゃんってそんな小芝居する子でしたっけ!?」
卯月「いえ、そんな……でも、愛海ちゃんが居ることで事務所も明るいんです」
P「明るいというか騒がしいんだけどな?」
卯月「た、確かに恥ずかしいですけど、なんだかんだでみんな笑ってて、それが愛海ちゃんの良さだとしたら、それを奪うのは可哀想だと思うんです」
P「だが、実際に卯月以外に犠牲が出ているんだぞ」
卯月「それは……私が頑張りますっ!」
ちひろ(頑張って済む問題…?)アセ
愛海「卯月さん、そこまであたしのこと……」ジーン
P「――仕方ない、卯月に免じて許してやろう」
卯月「ありがとうございます!」
愛海「ホントっ、プロデューサー!?」
P「ああ。ただそのかわり嫌がってる子も居るんだから、困ったらちひろさんを使いなさい」
愛海「わかったよっ☆」ピース
ちひろ「ちょ、ちょっとプロデューサーさん!?」ビクッ
P「いざゆーけー! むてきーのー!」ビシッ
愛海「むなかたぐんーだんー☆」シュバッ!
ちひろ「ちょ、愛海ちゃんはや――きゃああああああ!!」
本スレにステマしようとしたら規制かかって涙目。
なんかいい区切り方ないかな、と模索中。
次>>37,>>38,>>39です。よろしければどうぞ。
安価ミスってたか…繰下げで>>38以下三名。
二度目にて智香さん頑張った。おめでとう。
>>20
色っぽいというと語弊があるか…警戒心が完全に無くなってる酔い方。
普段のユッキがあれだとすごい嬉しい、個人的に。
>>42
おめでとう。
いや、調理結果がどうなるかはわかりませんけどね?(保険)
>>44
それまで完全に静かなのに安価指定した瞬間に安価埋まって草不可避。
>>46
流石にこの静けさはビビる。
そんな永続魔法、サイクロンで破壊してやるー!
すいません、よろしくお願いします(ぺこり)
>>48
ありがとうございます。
・ ・ ・
――事務所
P「ん、ん、んー…――ふはぁ。メール確認も一段落ついたぁ」ノビー
ちひろ「今日に限ってはよくメール来てたそうですね。何かありましたっけ?」
P「ああ、夏休みに向けた祭り需要ですよ」カチカチ
ちひろ「花火祭りの撮影効果ですねー。みんな可愛く取れてましたし」
P「ですね。浴衣が似合いそうなアイドルから騒ぐのが大好きなアイドルまで、相手の要望は千差万別ですよ」
ちひろ「お祭りの中でも内容はさまざまですからね」クス
P「ウチもアイドル沢山抱えてますから、チョイスも結構気を使います」
ちひろ「プロデューサーさんが決めたことなら、アイドルの子達もみんな納得しますよ」
P「だと嬉しいんですけどねえ」
ちひろ「大丈夫ですよ。――あ、プロデューサーさん、お茶のおかわり要りますか?」
P「おおっと、すいませんお願いします」カチャ
ちひろ「はい、ちょっと待っててくださいね」スタスタ
P「ありがとうございます」
P「……」
P(拝啓、社長様。千川ちひろは天使です)
P(……)
P「疲れたし、日記を見るかな」ガタ
P「前回は若葉、奈緒と……愛海だったな」
P「愛海に関しては予想外というか予想通りというか、結局残念な物ではあったが卯月が許したから勘弁しておいてやろう」
P「若葉は無意識にお姉さん化してくれることを願うとして、奈緒はツンデレのままでいいや、うん」コクリ
ちひろ「お待たせしました――と、日記でしたか」コト
P「ええ、こまめに見ておいたほうがいいかなと思いまして」
ちひろ「プロデューサーさんの返信を見て、アイドル達も楽しんでるみたいですよ」クス
P「はは、何だか本当に学校のクラス担任になったみたいだ」
ちひろ「所属アイドルのほとんどは学生ですから似たようなもんですよ、先生」
P「本物の先生はもっと大変ですよ。……よし、やりましょう」
ちひろ「今日は誰が書いたんですかね?」
P「それも楽しみの一つですね。じゃあ第三回目もはりきって見ていこう。最初は――」パラ
○月□日 美嘉だよ★
こんな変わったモノもやってるんだね★
最近は仕事もそうだけど、今度のオーディションのためのレッスンにネツがはいっちゃってさ、薫に言われてきづいたよ。
大丈夫かって?
へへ、あったりまえじゃん!
アタシはナンバーワン目指してるんだかんね★
んー、でも不安がないわけじゃないかな?
アタシがトップを目指すとおんなじよーに、みんなもトップ目指してる。
そりゃそうなんだけど、やっぱりツライよね。この先誰が落ちてってもアタシには文句言えないもん。
アタシが成功するタビ、誰かが落ちてってる。
見てなくても見られてるんだって思うとフクザツ。
……って、アタシらしくないか★
こんなシメっぽいのはアイドル辞める時に言うもんだね。
あ、でもこうやって書いたらアンガイすっきりしたかも!
レッスン漬けで少し気落ちしてたかもしれないから……プロデューサーと薫にカンシャかな★
らしくないケド、これもアイドルってカンジだね。
へへっ、何だかアタシ、ベテランアイドルっぽくなってきたんじゃない?(フケたとか言ったらヒンシュクだぞ!)
プロデューサー、アタシにドキュメンタリー番組の企画、持ってきてよねー。
みんなをカンドーさせちゃうから!
じゃ、こんなところでバイバイ★
PS.莉嘉もプロデューサーと最近遊びに行ってないってぶーぶー行ってるからアタシも一緒にご飯連れてってよね★
P「…感慨深いなあ」
ちひろ「彼女も昔からいる子ですしね」
P「確か、裾を広げるためにあえてギャル系の人材をスカウトしましたけど、内面ははっきりいって教えるのに苦労するだろうな、とか思ってましたよ」
ちひろ「初めてウチの事務所に来た時、私も難儀な子を連れてきたなって思いましたね」
P「レッスンもサボらないし愛嬌もあるし、何より根性がある。ギャップに驚かされました」ハハ
ちひろ「でも、内心ではこういうことも考えてたんですね…」
P「自信家であるが故にふとこんな事も考える。見た目がどうであろうと根が真面目である証拠です」
ちひろ「アイドルも椅子取りゲームですから、本当に過酷だと思います」
P「レッスンも仕事もあって忙しいし、美嘉には息抜きが必要だな――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
お疲れ。いつも頑張ってるな。
お前がそんな事を考えているのも、らしくない訳じゃないぞ。
ちゃんとアイドルがどういうものなのかよくわかってる、まさにプロ意識だな。
そんなお前を尊敬しているよ。
あと、美嘉が努力家なのは俺が一番知ってるからな。
今ぐらい頑張っていれば美嘉なら絶対に頂点に立てる、俺はそう思って
いつも美嘉と接しているつもりだ。
でも、最近忙しいから私生活は大丈夫か?
オフも入れているが、何かあったらいつでも言ってくれよ。
遊びに行くのは難しいが、今度姉妹セットでレジャーランド系のロケが
取れるように頑張ってみるよ。
そうしたら仕事ついでに遊べるだろうしな。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「あら、プロデューサーさんが優しい」
P「失礼な。俺はいつだってアイドルの味方ですよ」
ちひろ「じゃあ私には?」
P「事務員は仲間です…ってこの話題前もしましたよね」
ちひろ「いいじゃないですか、いい言葉なんですから」
P「まあ言われて悪い気はしないと思いますけど……それにしても、美嘉と莉嘉は仲がいいですよね」
ちひろ「5歳差ですよね。この位の差だと姉妹でいがみ合ったりしないんでしょうか?」
P「城ヶ崎姉妹の場合、妹が姉を尊敬していますから、お互い嫌悪感はないでしょうね」
ちひろ「まさに理想の仲ですね」クス
P「まあ、この先大人になっていくと、色々複雑になっていくんでしょうけど……彼女達なら大丈夫ですよ、きっと」ウン
ちひろ「ふふ、なんだか先生と言うよりも父親みたいですね」
P「俺ってそんなに老けて見えるのかなあ……」ガックリ
ちひろ「褒めてるんですよ。優しさの象徴ですって」
P「アイドルの皆にもウザがられてたら……考えるのをやめよう。よし、次だ次! 次は――」パラ
今日も元気にがんばろーっ!
おはようございます、智香です!
って、読む人は朝とは限りませんよね……こんにちは! こんばんは!
これなら大丈夫ですねっ☆
さて、○月□日、天気は晴れです!
ここずっといい天気が続いて、外でのロケも気持ちいいですよね!
茜ちゃんなんか、日焼け止めを塗るのを忘れて走り出しちゃうくらいです!
アイドルなので肌には気をつけないとだめですよって言うんですけど、ついつい忘れちゃうみたい。
でも、アタシもその気持ちがわかるから、これからも元気な茜ちゃんで居てほしいですっ☆
元気といえば、Pさんはバテていませんか?
夏は楽しいですけど、スーツで外を走り回るのは大変そうですよねっ。
レッスンなんか特にそうです。
部屋の中が暑くて暑くて…前、一緒に練習していた友紀さんなんてユニフォームを脱いで床に倒れ込んじゃったんですよ!
でもそれが気持ちよさそうだったので思わずアタシも真似しちゃいました☆
(トレーナーさんには怒られちゃいましたけど……)
Pさんもこの時期は大変ですが、熱中症には気をつけて下さいね。
がんばり屋さんなのはみんな知ってますから、だからこそ落ち着いて、でもハツラツに頑張って行きましょうっ☆
これからも応援してますよ、Pさん!
智香でした☆
P「微笑ましいなあ」ハハ
ちひろ「文章からでも伝わってくるこの元気さこそ、智香ちゃんの取り柄! って感じですよね」
P「元気な子は沢山いますが、元気にさせられる子っていうのは中々いない。大した子ですよ、智香は」
ちひろ「でもそれだけに、体調管理には気をつけて欲しいですね」
P「夏の暑さは油断できないからなあ。返信は……」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
心配してくれてありがとう。
スーツは蒸し暑いが、水分を多めに取ってしのいでるよ。
智香も、体力はあっても過信しないように。
応援する立場の人間が倒れちゃ元も子もないし、智香は応援する立場であり同時に応援される立場だからな。
お互い元気に、健康に過ごして夏を乗り切ろう。
俺もちひろさんも、お前の活躍を応援しているぞ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
P「こんなところか」コト
ちひろ「智香ちゃんを含めて、アイドルの子たちが倒れないようにこの時期はお互い注意しましょうね」
P「ですね。じゃあ次のページを……」パラ
やっほー☆
未来のカリスマギャル、じょーがさきリカだよ〜!
おねえちゃんから聞いてアタシも書いてみたんだ☆
なんかこれ、カオルがはじめたんだってー?
こうかん日記ってレアだよねー。
自分の日記じゃなくて、みんなの日記を読むんだもん。ブログとは違って何だか面白いよ☆
おねえちゃんもよくわかないけどたくさん書いてるし、アタシも書いちゃおっか☆
あ、そうだ、対抗して事務所にプリ帳置くってのはどう!?
それでみんなでプリとりに行こうよ☆
いっぱいとってー、Pくんに落書きしてー、ケータイに貼って、それで事務所にペタリって!
思い出にのこると思うなー、Pくん、ヨロシク☆
でも……やっぱなんでもない!
んー、アタシはやっぱしゃべるほうが好きかな。
日記だと返ってくるのが遅いもん!
ねぇねぇ、Pくんはしゃべるの好き?
好きならまたデートしようよ!
こんなプリティなJCといっぱいしゃべれるんだから、もちOKだよね☆
リカ☆
P「はは、やっぱり姉妹だな」
ちひろ「丸文字で書いててシールでデコレーションしたり…初めてじゃないですか?」
P「ええ、白紙のページがカラフルで鮮やかです。男にはできないセンスですよ」ペラ
ちひろ「小学生や中学生の女の子って、こういうの好きですよね。ペンとか沢山もってたり」
P「ちひろさんはどうでした?」
ちひろ「そりゃあもう……って、私に聞いてどうするんですか」
P「ははは」
ちひろ「誤魔化さないで下さいっ」
P「でもこういう子供ならではのセンスを大事にして行きたいですね」ウンウン
ちひろ「……それで、最後の所どうするんですか?」ジト
P「うーん、デートは……まあ、小学生ですから俺であればスキャンダルにはならないでしょう。身内ですし、大人ですから」
ちひろ「扱いは気をつけて下さいよー……全員がダメージ受けるんですから」
P「はは、まさか莉嘉もこんな男と本気でデートしたいだなんて思ってませんって。姉みたいに大人ぶりたいんでしょう」ハハ
ちひろ(……本当に大丈夫なんでしょうか)ジト
P「まあ程々に遊ばせるつもりです。莉嘉のやる気向上にも繋がりますしね。それじゃあ……」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
日記を書いてくれてありがとう。
莉嘉たちのクラスは、交換日記とか流行らなかったのか?
やっぱり場所によってあるところと無いところがあるんだな。
プリクラか……俺が入るのは無粋だから、みんなでよく取るようなら
設置も考えるよ。
莉嘉は文字を書くのは嫌いか?
俺は好きだぞ。いつでも読めるからな。
しゃべるのは……どうだろう、多分俺も好きかもしれない。
もちろん莉嘉と話してる時もな。
莉嘉こそ、俺としゃべってて楽しいのか心配だけどな……世代が違うって怖いもんだ。
あとデートって言葉は無闇につかわないこと。
マスコミは耳ざといんだから……でもまあ、遊びに行くのはいいぞ。
みんなも誘って慰安旅行でもできたらいいな。
もしあるなら、それまでに宿題は終わらせておけよ?
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ(うーんこのプロデューサー)
P「よし、こんなもんだろ。ちょうど夏だし、希望者だけでも旅行する計画を立てるか……?」
ちひろ「きっと大人数ですから、予算大丈夫ですか?」
P「いつも頑張ってくれてるんです、多少なら贅沢しても文句は言われませんよ」
ちひろ「まあ金銭的な部分はさておき、スケジュールは長期のオフが難しそうなんで、近場で海とかキャンプとかならいけそうですね」
P「決めるなら早いにこしたことはないので、すみませんが空いてる時間に行けそうな場所ピックアップしておいてくれませんか?」
ちひろ「わかりました。明日にはまとめておきます」
P「ありがとうございます。お願いしますね」
――
――――
――――――
[夜]
P「ああ、今日も終わりかー!」ノビー
ちひろ「プロデューサーさん、午後は打ち合わせで色々忙しかったですからね」
P「その間にアイドルの送迎をやったり撮影を見たりとへとへとですよ、ほんと」ハァ
ちひろ(へとへとで済んでいるプロデューサーが凄すぎるというべきでしょうか…)
P「日記も返信したし、メールチェックも終えた、と…ちひろさんはなにか残ってますか?」
ちひろ「いえ、あとは戸締りして帰るだけです」
P「そうですか……じゃあちひろさん、この後空いてます?」
ちひろ「ええ、空いてますけ――どぇ!?」ビクッ
P「何ですかその驚き方……もしよかったらこの後ご飯どうかなと思いまして」
ちひろ(…なんでこの人はそう気軽に誘えるんだろう。いやプロデューサーだからか)
ちひろ「ならお誘いにのって食べに行きましょうか」クス
P「ありがとうございます。この前芽衣子に教えてもらったお店に行くのに一人は何となく辛かったんですよ」ハハ
ちひろ(……やっぱりそういうことでしたか)ハァ
ちひろ「なるほど。タノシミデスネ」
P「…何か怒ってます?」
ちひろ「怒ってませんっ」プイッ
・ ・ ・
――美嘉の日記、その後
[オーディション会場、ビル前]
美嘉「う、うーん――終わった〜★」
P「はは、お疲れ様。緊張しただろ」
美嘉「…正直言うとね。みんな目がギラギラでいつみてもびっくりするよ」
P「合格発表は一週間後だが……まあ美嘉なら通るから大丈夫だろ」
美嘉「さっすがプロデューサー、アタシの事わかってる★」
P「……嘘つけ」コツン
美嘉「あいたっ」
P「顔がいつもより固いぞ。バレバレだ」
美嘉「……へへっ、プロデューサーには勝てないや」ハハ
P「お前のプロデューサーだからな。…よし、じゃあ事務所に帰って莉嘉と合流するぞ」コツコツ
美嘉「へ、なんで莉嘉と会うのさ? あの子は別の仕事でしょ?」クビカシゲ
P「今日のオーディションは大きな舞台だからな、お疲れ様会兼合格祝いで買い物に行く約束していたんだよ。レジャーランドの仕事はもう少し待ってくれ」
美嘉「早い…というかそんなの聞いてないんだけどー!?」ビクッ
P「言ってないからな」ハハ
美嘉「ヒドー、アタシに隠し事するんだーっ」
P「先に言ったら余計に緊張するからな、お前は」
美嘉「……ちぇー。でも三人で買い物なんて久し振りだね★」
P「おう。なんてったって美嘉の希望だからな」
美嘉「ちょ――ちがっ、あれは莉嘉が言ってたことで、アタシはっ」アセアセ
P「美嘉は行きたくなかったのか?」
美嘉「……ヒキョーモノだよね、プロデューサーって」
P「卑怯者で結構、美嘉の笑顔のためならな。…ほら、車に乗るぞ」ドチャ
美嘉「もおっ!」ガトン!
美嘉(……へへっ、やた★)
[おわり]
・ ・ ・
――智香の日記、その後
[屋外ロケ、地方球場]
ディレクター「はいじゃあ一旦休憩でーす!」パチパチ
オツカレサマデース…
智香「お疲れ様です。いやー、夏といえばスポーツ、スポーツといえば応援ですよねっ!」バサッ
P「はい、お茶。この時期は学生のスポーツ番組からオファーが結構来てるからな、智香ならピッタリだ」ホラ
智香「はい! 頑張るみんなに元気になる応援を届けますよっ☆」
P「その調子だ。タオルも使うか?」
智香「あっ、ありがとうございます!」フキフキ
P「…今はカメラ向けられてないんだからそんなに元気に返事しなくて大丈夫だぞ?」ハハ
智香「いえ、これはPさんへの応援ですから☆」
P「……よく疲れないなあ、智香は」
智香「Pさんが応援してくれてますから、せめてものお返しです。いつもありがとうございます、Pさん」ペコリ
P「はは、ありがとうな、智香」
智香「こちらこそありがとうございます☆」
サイカイハ30プンゴデース…
P「ん、30分後か。長いな」
智香「この時間は暑いですからねー。皆さんも暑そうですっ」
P「だなあ。立ってるだけで汗が出てくるよ」ハハ
智香「あ、じゃあこのタオルで――」フキフキ…
P「それはお前の……じゃ」ピクッ
智香「……あ」////
智香「……ち、近くの売店で何か買いませんかっ!?」アセアセ
P「お、おう、そうだな! 行こうか!」アセアセ
[おわり]
・ ・ ・
――莉嘉の日記、その後
[事務所]
莉嘉「PくんPくん! これ見て見てーっ☆」ドタドタ
仁奈「P! 見るでごぜーます!」パタパタ
P「うおわっ、いきなりどうしたんだ二人とも!?」
莉嘉「これこれっ!」バッ
P「ええ? これは……おお、皆でプリクラとったのか」
仁奈「この前じむしょでひましてやがりましたから、仁奈たちでとったでごぜーます!」ワサワサ
P「んん? って、ああ、そういえばいきなりみんな出て行った時があったなあ。あの時か」
仁奈「Pもいっしょにとりたかったですが、忙しそうだったからできなかったのでごぜーます!」
莉嘉「気を遣ってあげたんだよー、すごいでしょ☆」
P「すまんすまん、あの時は企画作るのに忙しかったからな…ありがとう」
仁奈「だからこんどはPとちひろも入れてとるのですよ!」
ちひろ「私も? ふふ、ありがとう。プリクラ帳も用意しなきゃいけないわね」
P「わかったよ。今度揃ったら撮りに行こう」
仁奈「約束でごぜーますよ! じゃあ仁奈はみゆお姉ちゃんの所に行ってくるです!」パタパタ…
莉嘉「……」
P「はは、美優さんは子供に人気だなあ」
莉嘉「……ね、ねぇ、Pくん」チョンチョン
P「ん、どうした? 莉嘉はあっち行かないのか?」
莉嘉「ちょっと耳貸してっ!」ピョン
P「耳?」
莉嘉「いいからいいから、早くーっ」トントン
P「わ、わかったわかった! ……これでいいか?」カガミ
莉嘉「バッチリっ! ……ええとね」
P「ああ」
莉嘉「――仁奈とアタシだったら、どっちをコイビトにしたい?」コショコショ
P「ブッ!!?」ブフォッ!?
P「げほ、げほ……。いきなり何を言い出すんだお前は!」
莉嘉「えー…だってPくん、仁奈を見る目がやらしーもん☆」
P「んなっ……!?」
ちひろ「……プロデューサーさん?」ジト
P「ちょ、違いますって! 断じて違いますから!」ブンブン
ちひろ「へえー…」ジト
P「信じて下さいよちひろさん……」
莉嘉「へへ、冗談だよん☆」
P「はあ……全く、冗談も大概にしてくれよ?」ハァ
莉嘉「ごめんごめんっ。じゃあ次はホントだから、もう一回、ねっ」
P「本当だろうな……ほら、かがんだぞ」
莉嘉「うん……ええとね」コソ
莉嘉(……よしっ)
莉嘉「アタシは遊びじゃないよ、Pくん」コショ…
P「……へ?」ポツン
莉嘉「じゃーねー! またデートしてねっ、Pくん☆」トタトタ
プロデューサァァァ?
チガウ、チガウカラチヒロサン!!
莉嘉「……へへっ☆」
[おわり]
>>57
予告していないのその速さ。素敵です。
そして智香ちゃんいいですよね。ともかわいい。
>>68も分かってるネ!
>>62
JCと書いてJSと読んでしまった。
なんという情けなさ…
>>62さんには感謝。申し訳ないです。
>>59のPの発言は『小学生ですから→中学生ですから』に変換お願いします。
最後に[おわり]を付けてみたり、色々試行錯誤中。
次は>>70,>>71,>>72です。
よろしければどうぞ。
そしてこの安価の埋まる速さだよ。ビックリだね。
>>70以下三名様です。
伊吹Pはよろしければ次頑張ってくださいませ。
面白いと思って貰えたら幸いです。ありがとうございました。
>>75
ありがとう、そしてありがとう。お気に召しましたでしょうか(ビクビク
書いたこと無い子ばかりで不安ですが、今後ともよろしくお願いします。
>>77
落ち着け、まだチャンスはある…!
なお、いつ最終回になるかわからない模様
・ ・ ・
――ある日のコンビニ
P「うーん…パスタにいきたいところだけど……」ガサ
ちひろ「あれ、プロデューサーさん?」ピョコ
P「おにぎりが……って、ちひろさんじゃないですか。奇遇ですね」
ちひろ「営業の帰りでプロデューサーさんもお昼ごはんですか?」
P「はい。パスタを食べるかいつものおにぎりかで迷ってて」ウーン
ちひろ「ああ、そういえば一緒に事務所で食べる時はおにぎりでしたね」
P「やっぱり日本人的にはご飯なんだよなあ…ちひろさんは?」
ちひろ「私は夏らしく冷やしうどんにします」
P「あー、それもいいですね。パスタ温めると夏暑いですしね。俺は蕎麦にしようかなあ」
ちひろ「ふふ、じゃあ事務所で少し交換でもしますか?」
P「ええ、そうしましょうか。あとはデザートでも」
ちひろ「あ、私もデザート買おっかな」
P「こういうのってちょっとリッチですよね。あ、先に会計して来ます」
ちひろ「はい。事務所にアイドルが居ますから、そのまま戻っていいですよ」
P「了解です。ではお先に」
――
――――
――――――
[事務所]
P「ただいま戻りましたー……っと、凛か」ガチャ
凛「ああ、おかえり。暑かったでしょ。スーツ掛けるよ」ハイ
P「悪いな」ヌギヌギ
凛「いいよ、別に。普段のお返しだから」カチャ
P「特に返して欲しくて何かしてるわけじゃないんだけどなあ」
凛「私達ってそういうものでしょ。ほら、ご飯食べたら?」
P「…はは、何だか世話されてるみたいだ」スワリ
凛「私は、そ…で……」ボソ
P「ん?」
凛「なんでもない。というか、またコンビニ?」
P「あ、ああ。忙しいからなあ。でもコンビニのご飯も侮れんぞ?」フリフリ
凛「それは知ってるよ。でも毎日は駄目」
P「……手厳しいな、凛は」
凛「これからもずっと頑張ってもらわなきゃいけないんだから当然でしょ?」
P「それもそうだ。ま、もし俺が料理のできる人と結婚するような事でもあれば弁当になるかもな」
凛「……そうだね」
ちひろ「すいませんお待たせしました、プロデューサーさん」ガチャ
P「ああ、別に待ってませんよ。凛が居ましたからね。…そういえば凛、次の予定の時間は大丈夫か?」
凛「午後からレッスンだけど…早めにいこうかな、ご飯食べたし。うん、じゃあ行ってくるよ」
ちひろ「いってらっしゃい、凛ちゃん」
P「いってらっしゃい。頑張れよ」フリ
凛「言われなくても」フリ
トタトタ…ガチャン
ちひろ「……いつ見ても落ち着いてますね、凛ちゃん。何だか憧れちゃう」
P「ちひろさんには向いてませんよ」ハハ
ちひろ「わかってますってばっ」プンスコ
P「はは、ちひろさんはそっちの方がいいですよ。じゃあお昼にしますか」
ちひろ「…そーですね」
・ ・ ・
P「ふぅ、気分転換に買ったアセロラゼリーもおいしいですね」
ちひろ「学校の給食を思い出しますよね」
P「わかります。それでつい買っちゃいました」
ちひろ「ふと記憶が蘇るんですよね……と、まだお昼終わりまで時間ありますけど、どうしますか?」
P「ん、いつものように日記を見ますよ」ガタ
ちひろ「ふふ、もう日課になってますね」クス
P「最近始めたばっかりでも、アイドルの事を知れるのは楽しいですから」
ちひろ「無理に訊いてる訳でもないから気持ちも楽ですし、薫ちゃんと千枝ちゃんもいい事言いましたね」
P「今度美味しいスイーツでもプレゼントするかなあ。…まあそれは後々考えるとして、日記を早速見てみようか――」パラ
○月▲日 担当:水本ゆかり
おはようございます、でいいのでしょうか?
個人的に日記は付けていますが、このような公共的なものに書き込むのは恐らく初めてだと思います。
何だか不思議な感じですね。見られるために書くというのは。
そして、この機会を頂いた事を嬉しく思います。
しかしながら交換日記というものの勝手がわからず、他の方の日記を拝見したのですが、どうやら皆さん思い思いの言葉を書き綴っているようで……でしたら、私も自由に書いてみようと思います。
本日も青い空が顔を出し、様々なものに鮮やかな色を生み出す夏という季節は、私にとっても素晴らしいになるでしょう。
なぜかというと、今度、音楽コンクールのフルート部門に出場できることが決まったからです。
毎日学業やお仕事、レッスンなど、私だけでなく全員が忙しく感じる今でもこうして融通してくださったPさんには、本当に感謝しています。
そして、その事を知ったトレーナーの方々や皆さんからも激励やアドバイスも頂き、単なる技術勝負ではない、私の、更なる高みへの挑戦という気持ちが込められています。
皆さんも読まれるということで、この場を借りてお礼申し上げます。
……すみません、皆さんのように楽しい日記にはできなかったようです。
歌やダンスに不慣れな私でもPさんのご指導で上手くできるようになったのだから、このような場を和ませるような、そんな愉快な文章を私も書けるようになりたいですね。
だとすると、誰に師事するのがよいのでしょう。
見つかるまでは、よろしければまたあの時のように教えて下さいね、Pさん。
Pさんのご指導なら、私、何でもやりますから。
ちひろ「ん? 今何でもするって」チラッ
P「い……ってませんからね?」
ちひろ「それにしてもまあ、なんというか…文章って、人となりがよく見えてきますね」
P「ですねえ。性格が文字に滲み出てます」
ちひろ(その考えなら、Pさんはとても真面目で丁寧で……あながち間違いでもなさそうなのが悔しい)
P「ゆかりって個人的に日記を書いてるのは初めて知りましたよ」
ちひろ「Pさんにも知らないアイドルの事があるんですね?」
P「そりゃそうですよ。親ですら知らない事だってあるんです、ましてや他人の俺じゃ、知れることなんてたかが知れてますって」
ちひろ「…あんまり他人だなんて言わない方が良いですよ。皆、プロデューサーさんのこと慕ってますから」
P「はは、本当にそうだと嬉しいですね。じゃあ返信はっと…」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
日記を書いてくれてありがとう。
いつみてもゆかりの書く文字は整っていて尊敬するよ。大人の俺でも
習いたいぐらいだ。
そして、まずは改めてコンクール出場おめでとう。
ゆかりの技術なら入賞だって目じゃないさ。
だが、練習時間の方はちゃんととれているのか?
名目上はプライベートだから、こちらとしてはちゃんとした時間は
与えられないから、ちょこちょこ休憩時間を取ることで補填しているが…。
もしもっと練習がしたいなら言ってくれよ。
多少ならいつものレッスンの時間も時間帯も調節できるぞ。
あと、楽しい文章なんてのも意識する必要はない。
ゆかりのありのままが、俺達にとっての楽しいものなんだからな。
それでも目指したいというのなら、俺や他の子が教えてくれるから遠慮せず
訊いてくれ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「ゆかりちゃんって、とても素直ですよね」
P「ええ、時々心配になるぐらいです」ウンウン
ちひろ「……そっちの方がプロデューサーさん的には好みなんですか?」
P「ゲホッ――い、いきなり何てこと言ってるんですか…」ケホッ
ちひろ「いや、ちょっと気になりまして」クス
P「別にそういう所では見てませんよ。アイドルとして素晴らしいとは思いますけど」
ちひろ「何だかはぐらかされた感じですねー…ま、慌てるところが見れたから良しとしましょうか」
P「ちひろさんって結構お茶目ですよね、ホント……まあいいや、次。次は――」パラ
○月▲日 今日もいいお天気ですね♪
以前からこの交換日記は知っていたんですが、私がこの事務所に居る時は大体誰かが書いてるので中々書くのは難しいみたいです。
人気なのっていいことですよね。
というわけで、今回ようやく書く事が出来ました。
この日記も、Pさんに見てもらえるといいな。
私が書きたかった事、それはお散歩していた時の事です。
この前、午後の仕事まで手持ち無沙汰になったので、近所の公園を散歩していたんです。
アスファルトの上はやっぱり暑くて、でもそれが夏らしくて。
季節を感じながら歩いていると、公園の真ん中に大きくはないんですが噴水があるんです、Pさんも知ってますよね?
いつもなら、夏と水に想いを馳せて涼しい気持ちになるだけなんですが、この時は近くに住んでいるらしい家族の方がそこに居らっしゃったんです。
両親と子供。少ない人数でも、子供が噴水ではしゃいで、それを夫婦が楽しそうに見ている。
例え遥か遠い場所に出かけなくても、こんな場所で、小さな世界で幸せを感じられる。
それって、本当に素晴らしいことなんじゃないでしょうか?
そして、これが私達アイドルの役目だとも思うんです。
みんな毎日が幸せとは言えなくても、私達を見て気持ちを和らげてくれる、それがお仕事の目的だって、Pさんを見ててそう思います。
だって、私はPさんを見て、一緒に居て、笑顔で居られるんですから。
そんな私が私で居るためにも、これからもよろしくお願いしますね。
よかったら、またあのカフェで時間をすごしませんか?
ふふ、お返事待ってますから♪
P「優しい気持ちって大事だよなあ」ハァ
ちひろ「普段は荒んでるんですか?」
P「いやまあ、そういう訳じゃないですけど……ただ、毎日駆けずり回ってるとふと疲れる事もありまして」
ちひろ「プロデューサーさんも人間ですから、そういうこともありますよね」
P「人間ですよ、普通に。で、そういう時に藍子に会うとちょっとラッキー、って思っちゃいますね」
ちひろ「ああ、わかります。別に他の人がダメだっていう訳じゃなくて、藍子ちゃんだけは微妙に違いますよね」
P「ええ、声色とか言葉遣いとかじゃ絶対に図れない、彼女独特の空気が良いんですよ」
ちひろ「ファンからもそういう所が人気ですしね。雑誌でも寄り添いたい人ランキングに入選してましたし」
P「励ます訳でもなく、ただ傍にいてゆったりと癒してくれる雰囲気はテレビを通してでもわかりますからね。それじゃあ…」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
はは、こうして皆が興味を示してくれるのは嬉しいことだよ。
藍子の事も知れたから、千枝と薫にも感謝しないとな。
こんな暑い日に散歩にいって疲れないかと俺は思うんだが、藍子が楽しんでるなら
きっと藍子は周りを涼しくしてくれるんだろうな。
藍子となら、こんな日でも公園でのんびりできそうだ。
そう。その家族こそ、藍子が目指す幸せの形。
アイドルには、他の人にはないそれぞれの個性がある。
それが藍子にとっては『ゆるふわ』なんだろうな。
俺も、あの時藍子と行ったカフェではすごく落ち着いて過ごせたよ。
そのカフェの雰囲気も勿論あるが、やっぱり向かいに藍子が居て、些細な事を話しながらゆっくりとした時間を過ごす。
なんてことのない時間でもそれが自然体で居られるような癒しの時間になるのは、この事務所の中でも藍子以外じゃ中々居ないだろうな。
それは藍子の誇るべき事だぞ。
それで、藍子さえよければまた一緒に行こう。
最近忙しかったから、あのカフェに行きたいと思ってた所だったんだよ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ(……何と言うか、口説いてるんじゃないかと思える文章だ)
P「そうだな…お、この時間空いてるか」ペラ
ちひろ「いつも誘われるばかりですけど、今回は乗り気ですね」ハァ
P「はは、差別してる訳じゃないんですけどね。というか休みが欲しい」チラ
ちひろ「この職業に就いた時点で諦めて下さい、それは」
P「ですよねー……。まあいいです、次に行きましょうか」パラ
○月▲日 快晴
私が書いてもよいのでしょうか。
他にも書きたい人がいるのに、と思う私に、高森さんは静かに微笑み、ゆったりとした手つきで渡してきたのです。
そういうことなら、と私は受け取りました。
新人である私にそのような優しさをくださった高森さんに感謝をして、筆を執ることにします。
私は鷺沢文香です。
プロデューサーさんに突然のスカウトを受けて、アイドルの道に進むことになりました。
あの時のプロデューサーさんは、私が混乱するぐらいに熱意があったように思います。
事実、最初は何が何だか分からないでいましたが、彼の話を聞いていると本意というものが隠さずに晒してくれているのだと判りました。
文章から意を汲むのはできても、人の顔から読むのは苦手です。
そんな私でも簡単に理解することができたのですから、よほど彼には思うところがあったのでしょう。
そして、世界は反転して。
場違いな所に、私は居る。
――いや、自虐するのは良くないことです。
何故ならば、そう表現してしまうのは彼の熱意を否定することに他ならないからです。
先輩方に話を聞くと、私と同じようにスカウトを受けた方や応募して所属した方、それぞれ色んな理由でここに居ます。
しかし、それでも皆さんが思い思いに力を発揮してファンの方々を楽しませている。
……私もいつか、そうありたいと思います。
動く時間を見たかった私のためにも、それを見ぬいたプロデューサーさんのためにも。
ですから前を向いて、いつかは天を見上げられるように……レッスンに励んでいます。
こうしてこの場で吐露するのも、背後に鏡を置きたかったからなのかもしれません。
不甲斐ない私ですが、プロデューサーさん、先輩の皆さん、どうかこれからもよろしくお願いします。
鷺沢文香
P「お、おお…日記帳がこのページだけ厳かな雰囲気になってる」
ちひろ「現役大学生で文学部在籍でしたよね。私には中々書けませんよ…」
P「上下関係が薄いのがウチの特徴だとしても、文香に関してはそういうのが特に強いですね。何故なんでしょう?」
ちひろ「うーん…家庭環境とか、今までの学習環境によって出てきますから、私達には推し量れませんね」
P「何としてでもスカウトしたかったのは彼女の佇まいにピンと来たからなんですけど、これが彼女の素なのかどうかは、俺もよくわかってないんですよね、正直」
ちひろ「これから、という感じですか」
P「ですね。良くも悪くも彼女は遠すぎる。文香の個性を残しつつ、この事務所に打ち解けて貰えたら嬉しいですね――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
読ませてもらったぞ。
確かにあの場所からここに来るのは、とても勇気の要る事だろうし、
文香自身も難しい判断だったように思う。
だが、それは間違いではないと俺が保証するよ。
あの場所はあの場所で良い所もあるが、文香には、天高く羽ばたける透明な翼がある。
その翼はごく僅かの人間しか持っていないんだ、使わなきゃ勿体無いと思わないか?
心配や不安は、今も、この先も、ずっと文香の前からやってくるだろうから、その時は絶対に一人で立ち向かわないで、俺やちひろさん、同じ事務所の仲間を頼ってくれ。
文香を誘った責任もある。
絶対に後悔はさせないから、これからも頑張って欲しい。
そしてそうしている内に、徐々にでいいから皆と打ち解けてくれると嬉しい。
改めて、これからもよろしく頼む。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「プロデューサーさんもよく即興で書けますね…」ヘエ
P「割りと好きですよ、こういうのは」
ちひろ「ああ、確か前にも文字を読むのは好きだって言ってましたもんね」
P「似たようなもんです」
――
――――
――――――
[事務所、13時前]
ちひろ「あ、そろそろ時間ですね」チラ
P「日記読んで書き込むだけでも結構時間かかりますからねー。みんな良い文章を書いてくれるおかげですよ」ウンウン
ちひろ「私もそう思います――と、そうだ」ポン
P「どうかしましたか?」
ちひろ「いえ、これをよかったら」ゴソ
P「……お菓子ですか。コンビニで買ってたんですね」
ちひろ「食後のおやつでも、と思いまして…」
P「タイミング的には微妙に外れた感がありますが……ジュース持ってきますね」ガタ
ちひろ「すいません、お願いします」
P「いいですよ。ちょっと食べ過ぎなような気もしますけど」コツコツ
ちひろ「別腹ですから……大丈夫です、ええ」
P(あの間は別の意味で考えたんだろうな)スタッ
ちひろ「さ、さー食べましょうよ、プロデューサーさんっ」
P「はい、あんまり時間もないですからね」
・ ・ ・
――ゆかりの日記、その後
[コンクール会場、入り口前]
P「着いたぞ、ゆかり」プスン…
ゆかり「送ってくださってありがとうございます、Pさん」ガチャ
P「気にするな。会場は遠くないし、丁度暇だったからな」ガタン
ガヤガヤ
ゆかり「それでもありがとうと言わせてください。今度、何かでお返ししますね」コツコツ
P「それは仕事で返してくれればいいよ」
ゆかり「ふふ、ではこれからも頑張りますね――あら?」ピタ
P「どうした?」
ゆかり「いえ、あちらに居る人は――」
P「あちらって……あれは!?」
幸子「――あ、遅いですよ二人ともー! ボクを待たせるなんて感心しませんね!」ビシッ
星花「いけませんわ、幸子ちゃん。この場で騒いでは」
幸子「うっ……わかりました」ピクッ
P「幸子に星花、何故ここに居るんだ!?」
幸子「勿論応援です! 良かったですね、ゆかりさん。カワイイボクが応援すれば優勝間違いなしですよ!」
星花「幸子ちゃん、大声を上げ過ぎると変装がバレてしまいますわ。…あ、わたくしもゆかりさんの応援に参ったのですのよ♪」
ゆかり「幸子さん、星花さん……ありがとうございます」ペコリ
P「いや、それはいいことだが……どうしてお前たちが?」
星花「ゆかりちゃんがコンクールでフルートを演奏するということで、畑違いですが僭越ながらわたくしもお手伝いしたのですわ♪」
幸子「そしてボクはゆかりさんに面白くてカワイイ文章の書き方を教えました! ボクにかかれば造作もありません!」ドヤァ
ゆかり「お二人とも、声をかけて頂いたので協力して頂いていたんです。ですがまさか来て頂けるとは…」
P「幸子はアレだが…ありがとうな、二人とも」
幸子「アレってなんですかアレって…まあ、ボクはカワイイので気にしませんが」
星花「P様もご覧になるのですか?」
P「いや、俺は送迎だけだ。この後また仕事があるからな」
幸子「なんだ、残念――こほん、Pさんが帰ってもボクが居れば全く問題ありませんから安心して下さい」フフン
ゆかり「わざわざすみません、Pさん」
P「まあ星花が着いてるから大丈夫だろ。落ち着いていけばゆかりなら大丈夫だ、頑張ってこいよ」
ゆかり「はい!」ペコリ
星花「いってらっしゃいませ、P様♪」フリ
幸子「今日もボクのために仕事がんばってくださいね!」
P「おう、また後でな」スタスタ
P「……」ピタッ
P(ゆかりの文章はよく気にかけておこう)
[おわり]
・ ・ ・
――藍子の日記、その後
[事務所、午後]
藍子「お疲れ様です、Pさん」コト
P「うん? あ、ああ、藍子か。お茶ありがとう」
藍子「今はちひろさんが出かけてますからその代役です。少しお休みしませんか?」クス
P「んー…まあいいか。ふわぁ」クター
藍子「あ、Pさんもそういうことするんですね。ふふ」
P「俺も人間だからなあ…あー、お茶おいしい」ゴクゴク
藍子「ありがとうございます♪ あ、おかわりは要りますか?」
P「…いや、自分でできるから休んでていいんだぞ?」
藍子「いえ、毎日頑張るPさんのために何かをするのが嬉しいんですっ」
P「ならいいが……」クター
藍子「はい♪」
チク、タク、チク、タク…
藍子「……Pさん、最近特に働き過ぎじゃないですか?」コト
P「そうでもないさ……みんなを支えるんだ、このぐらいやらないと追いつけないからな」
藍子「…なら、今だけはゆっくりしてくださいね」
P「藍子に言われちゃしょうがない……悪い、眠いから少し昼寝してもいいか?」
藍子「いいですよ。何時に起きますか?」
P「あと20分後ぐらいに頼む……ふわぁ」コテン
藍子「わかりました。おやすみなさい、Pさん」
P「また次のカフェに行こうなー……」バタッ
藍子「……」
藍子「……いつもお疲れ様です、Pさん」
[おわり]
・ ・ ・
――文香の日記、その後
[レッスン室・夜]
トレーナー「はい、今日は終わり!」
アリガトウゴザイマシター
ガヤガヤ
文香「はぁ…んくっ――はぁ…はぁっ…!」ペタン
真奈美「……どうだ、文香。調子は」コツコツ
文香「あ……木場さん。その…、なんとか」ゼェゼェ
真奈美「真奈美でいいといっているだろう。…君はあれか、この事務所の空気が苦手なのか?」ハァ
文香「い、いえ……そういうわけでは。すみません」ウツムキ
真奈美「ふむ……そうか」
真奈美(Pがスカウトしてきたと思えば、アイドルにはてんで向いていないようにも見える……何か思うところがあったのだろうか)
ガチャ
P「みんなお疲れ様ーっと――あ、文香…と真奈美さん。レッスンお疲れ様です」トタトタ
文香「…お疲れ様です」コクリ
真奈美「ああ、Pか。お疲れ様。レッスン室にまで来て何か用かな?」
P「はい、少し文香に用があって。立てるか?」ホラ
文香「あ…はい」ギュ
P「疲れてる所悪いな、これを今から読んで欲しい」ピラッ
文香「わ…わかりました。…時間は」
P「とりあえず二十分位で。教えながらやるから軽くでいいぞ。俺は今から皆を寮に送るから、戻ってきたらやろう。じゃあ後でな」フリ
スタスタ…
真奈美「……どういうことだ?」
文香「ええと……その。補習、でしょうか…」
真奈美「レッスンが終わった後に補習だって? あの彼と?」
文香「はい、…あの、私、まだまだ……ですので」
真奈美「…ちょっと、それを見せてくれるか?」
文香「…どうぞ」ピラ
真奈美「これは……基礎レッスンの手引きじゃないか」
真奈美(それにしては、内容が些か容易化するように編集されているが…)フム
文香「トレーナーの方はその、…帰ってしまうので。プロデューサーさんに」
真奈美「…コーチを頼んでいるという訳か」
真奈美(あの人は全く……どうしてこうも一人でやろうとするんだ)ハァ
文香「私は……未熟者ですから。少しでも覚えて、木場さ――すみません、…真奈美さんに追いつきたい…です」コクリ
真奈美「私に?」
文香「はい……ええと、とてもよく……動けてますから」
真奈美「この補習はどのくらいのペースでやってるんだ?」
文香「その、毎日……です」
真奈美「毎日だって?」
文香「そうしなければ…プロデューサーの言葉も、……私の言葉も、裏切って……しまいますので」
真奈美(それに付き合える彼も凄いが……腐らないんだな、この子は)
真奈美「――よし、わかった」クルリ
文香「…はい?」キョトン
真奈美「私は今ではアイドルだが、元々はトレーナーとしてやるつもりだったんだ」
文香「そう……だったのですか…?」
真奈美「Pに負担をかけすぎるのも良くないしな。どうだ、私も手伝ってやろうじゃないか」
文香「そんな…ええと、悪いのでは」オロ…
真奈美「何、君以外にも教えているから問題ないさ。Pを助けると思って私を頼るといい」トンッ
文香「……ありがとうございます、真奈美さん」ニコ
真奈美(何だ、根気もあって、ちゃんと笑えるじゃないか……彼はこういう所を見たのか?)クス
真奈美「よし、じゃあもう一度柔軟から始めるぞ。…彼を驚かせてやれ」
文香「あの……はい…っ!」
[おわり]
長い(小並感)
1レスに収めるのは難しいです。
最初の方ミニストーリーを付けてみました。食玩感覚。
ふみふみは本当に難しかった。
次は
>>97,>>98,>>99です。
よろしければお願いします。
>>97,>>98
なんやこの速さ……待機しすぎィ!
安価先で裏を書かなきゃ(使命感)
というわけでお三人方どうもです。
この単発で颯爽と安価をかっさらっていく姿、嫌いじゃないぜ
いや、怖いけどさ(本音)
>>101
どう感想を抱けばいいのかちょっとわからないです、割りとマジで。
あと、個人的な話ですけど安価決めた方は投下後感想頂けると有難いです。
微妙に違和感が拭えなかったりなんだったりなので。
(いや、レスがないということは不満はないということなのか…?)
>>103
智香さんお疲れ様です私を応援して下さい(真顔)
んー、安価は間隔短いほうが気が楽かなと思ったんですが、
それも考慮してみます。
智香さんありがとう!
>>104,>>105
と思ったらこういう意見もあり。難しい所。
現在試行錯誤してますので騙された方申し訳ないですがご愁傷さまです(保険)。
虎視眈々と私の安価指定レスを伺う姿を想像すると吹く
>>107
楓さんPおめでとう。
でもほのぼのだけとは限らないよ(保険)
あと駄洒落は勘弁して下さい思いつきませんよ楓さん
>>108
予告はしてないからね、仕方ないね。
大体夜に投下してるんで頑張って見つけてくださいませ。
安価取れたら幸運が訪れる、そう思うといいと思います(投げやり)
急に長いレスが来たなと思ったら画像先輩…すげーと思ってたらうづきんで吹いた
わざわざありがとうございます。
よかったら参加していってくださいませませ。
――ある日の朝の事務所前
ジリジリ…
P「っはあ……出社するだけでもあついぞ…」トコトコ
P「車は維持費がなあ……ああ、でも暑いし寒いし――って」ピタッ
琴歌「あら、P様ではありませんか」コツコツ
P「珍しいな。今日は歩きなのか?」
琴歌「はい、今日は電車を使って参りました」
P「電車か……その、こういっちゃなんだが、大丈夫だったか?」
琴歌「ふふ、心配性ですね。P様に付き添ってかなり長いのです。電車の使い方ぐらい理解しています」
P「…ICカードを改札機にねじ込もうとした人間だからなあ」ミアゲ
琴歌「ず、随分昔のことを……もう、意地悪ですね、P様は」カァッ
P「その話を聞いた時は本当に笑ったよ。お前も成長したな」ハハ
琴歌「当然です! …P様の隣を歩くためには、私もこのままではいけないのですからね」
P「はは、ありがとう。んじゃ、暑い中話すのも何だし、事務所に行こうか」フリ
琴歌「はい。――あ」
P「ん、どうした?」
琴歌「私としたことがとんだ失礼を。おはようございます、P様」ペコリ
P「ああそうか。おはよう、琴歌。…様付けはまだ抜けないか?」
琴歌「硬すぎ、とおっしゃるのでしょう? ふふ、これはP様への敬愛の証ですので。さあ、行きましょう」コツコツ
P「……悪い気はしないよなあ」
・ ・ ・
[事務所]
ガチョッ…ガチャ
P「鍵開けてーっと。準備の前にまずはエアコンだ」ピッ
琴歌「今日も暑いですね。体調のほどは大丈夫ですか?」
P「みんなに心配された事もあっておかげさまでな。…俺ってそんな倒れそうに見えるのか?」
琴歌「みなさん、P様の優しさや働きぶりを知っているからこそ、ですよ」ニコ
P「軟弱者と思われそうで複雑なんだが…まあいいか。琴歌は飲み物は何がいい?」
琴歌「そんな、P様にそのようなことをさせるわけには――きゃっ」ビクッ
P「…表情が硬いぞ」ムニー
琴歌「……申し訳ありません。ではお茶をお願いしてもよろしいでしょうか?」ムニー
P「任された。そこに座っていいからな」スタスタ
琴歌「はい。ありがとうございます、P様」
コポコポ…
琴歌「……」ジー
P「お待たせ――と、日記か?」コト
琴歌「ええ。みなさん、手にとっては沢山の思いを書き記していますね」ニコ
P「言いたいことや言えないこと、そういう物を不思議と書かせる日記ってのは不思議なもんだ」ゴクゴク
琴歌「P様にも言えないことがあるのですか?」
P「んー、俺はないか。言わなきゃ伝わらないというのは嫌というほど分かってるのは、こういう立場だからだろうな」
琴歌「…二人出会えば争いは生まれます。そんな不条理の中でこうしてみなさんと仲良くできているのは、P様が作り上げた事務所のこの雰囲気だからでしょうね」
P「そんな大層な事はしてないぞ……テレビでもつけるか」ピッ
キョウモアツイヒガ…
コウスイカクリツはイゼン…
P「…琴歌はこの日記を書かないのか?」
琴歌「日記……実を言いますと、中々書きたいことが思い浮かばなくて、今は遠慮しています」
P「まあ、思いつかないのはよくあることだしな。何かあったらいつか書いてくれ」
琴歌「はい、そうさせて頂きます」ニコ
P「…そうだ、確か琴歌の今日の予定は近場だったよな?」
琴歌「おっしゃるとおり、スタジオでの撮影ですが…いかがなさいましたか?」
P「いや、もしよかったら日記の返信に付き合ってくれないかと思ってな」
琴歌「私が…でしょうか?」キョトン
P「ああ。いつも隣にちひろさんが居て喋りながらやってるんだが、今日は居ないみたいだから寂しくてな。駄目か?」ハハ
琴歌「…そんな。駄目なはずがありません。是非ともお付き合い致します」
P「悪いな。じゃあ早速始めるか――」パラ
○月◇日 佐々木千枝
かおるちゃんと始まった交かん日記が、今こうして事務所のみんなとやってることが、わたしはすごくうれしいです。
あんなこと話してたとか、こんなことしてたとか、わたしの知らないみんなを知れて、言ってよかったなって思います。
かおるちゃんも私といっしょにこの日記を読んだりして、事務所に来ることがもっと楽しくなりました。
ちゃんと日記のばしょを作ってくれて、みんなに教えて回ってくれたプロデューサーさんとちひろさんには、ありがとうございます、と言いたいです。
えへへ、せっかくの日記なのに、これだけじゃつまらないですよね。
この前の話ですが、なつやすみに入る前、とつぜん雨がふったのはおぼえてますか?
その時私は事務所に行こうと思って歩いていたんですが、とちゅうでふってきたのにかさを持ってなかったんです。
だって、テレビでも雨の予報なんてなかったから、すごくびっくりしました。
ぬれてかぜをひいたらプロデューサーさんにめいわくがかかるから、わたしは急いで近くの屋根のあるところにひなんしました。
これからどうやって事務所にいけばいいのだろうって思って、プロデューサーさんにむかえにきてもらうしかないのかな、となやんでいると、とつぜん声をかけられました。
「あれ、千枝ちゃん?」っていう、女の人の声でした。
知らない人から声をかけられたらにげなきゃいけないから、びっくりしてその人を見ると、みおさんだったんです。
みおさんも事務所に向かう途中で、かさをさして歩いている時にわたしをみつけたそうです。
同じかさに入れてもらって、事務所に入ると、タオルとかお茶とかくれました。
その時のみおさんは親切でやさしくて、とてもかっこよかったです。
私も、大きくなったらみおさんのように、やさしい人になりたいです。
P「千枝は普段喋る時は自分のことを千枝と呼んでるけど、日記では私なんだな」
琴歌「作文のような文体で、とても丁寧で素晴らしいです」
P「ああ、そういうことか。薫との交換日記なら千枝と書いてるかもなあ」
琴歌「私達にもこのような時期があるのです…P様の小学生時代はどのような感じだったのですか?」
P「……言わなくちゃ駄目?」
琴歌「ふふ、よろしければ知りたいです」ニコ
P「敵わないな…友達とシモネタ言って笑ってるガキンチョだったよ、俺は」
琴歌「し、しも……!」
P「男は子供から大人まで大体そんなもんだ。…幻滅したか?」
琴歌「い、いえ。そのようなことはありません。ただ、今のP様からは想像できなくて……申し訳ありません」
P「成長するんだよ、誰でも。千枝だって、今よりももっと優しくなって綺麗になるし、琴歌だって、もっと柔らかくなるだろうしな」ハハ
琴歌「…私も、もっと前に出なければなりませんね」
P「それだけが成長じゃないけどな。ええと、返信は――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
この日記を考えだしてくれてありがとう、千枝。薫もな。
そうか、あの時未央と仲良く話をしていたのはそのおかげだったのか。
俺も未央が優しいのはしってるぞ。
先輩後輩関係なく、年齢の上下関係なく別け隔てなく話ができて、
気配りもできる。
未央がいるからこそ、この事務所はこんなにいい雰囲気になっているのかもしれないな。
千枝も、もっと成長して大きくなったら、困ってる人を助けてあげられるような
優しいアイドルになってくれ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
琴歌「……ふふ」
P「いきなり笑ってどうした?」キョトン
琴歌「いえ、ただ、このように返信をするP様は父親のように優しいのだな、と」
P「…プロデューサーだからだぞ」
琴歌「…そういう事にしておきますね、ふふっ」
P「琴歌もとんだ意地悪な奴だよ、全く……じゃあ次のページに行くぞ――」パラ
作戦N実行日:○月◇日
実行者:あずき
ふふふー、このページはあずきの作戦に使うよ!
名付けてはじける日記大作戦!
なんではじけるかっていったら、そりゃもうみんなはじけるぐらい楽しく仲良くできるような日記にしたいからね!
その作戦を今まで温めてきたみんなの思いは忘れない!
…って書いてると、もうみんな会えないみたいになってない? って周子さんに言われちゃった。
ジュースを飲みながら隣であずきの日記を見ているんだけど、作戦の覗き見はだめなんだからね!
…でも、確かに言われてみるとそのフレーズはよくないよね。
じゃあ「みんなの思いをつなげるぞ大作戦!」って言ったら「それでいいんじゃない?」って言ってどこかに逃げていったよ。
むむ、あずきの責任重大だね!
うーん、そう言われると軽々しく言えないもんだねー……そうだ、夏といえば旅行だよ!
陸ときて海ときたら、次は山じゃないかな!
あずきの住んでた長野の夏の高原は自慢できるぐらい涼しくてみんな楽しめると思うよ!
海に行きがちだけど、あずきはキャンプも好きだから、温泉を楽しみつつ避暑もいいと思うんだけどなー…おねだり大作戦を実行する時がきたかな?
暑いけどみんなで頑張って、プロデューサーに旅行をプレゼントしてもらおうじゃないか!
…ダメかな?
と、とにかく考えてね、プロデューサー!
P「俺の財布を破壊するつもりか、あずきは」
琴歌「ふふ、でも同じ事務所の皆のために提案してくださってます」
P「まあ……実のところ、旅行を考えているんだけどな。計画中だ」
琴歌「あら、本当なのですか?」
P「前に…莉嘉の日記だったか、あれをよんでちひろさんと幾つか話し合ったんだよ。昔ならともかく、今の事務所の状態だと全員参加は難しそうだけどな」
琴歌「そうなのですか…。続報、期待していますね」
P「ああ。その時は琴歌も参加してくれたら嬉しいな。返信は…」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
みんなの思いをつなげるぞ大作戦、いい作戦じゃないか。
アイドル達も多くなってあんまり接したことのない子も多くはないが
増えて来ているからな。
そういう所からも、色々アプローチを仕掛けて行きたいと俺は思うよ。
もし決まったら、あずきにも協力してもらおうかな?
まあ、色んな作戦を考えておいてくれ。
だが俺の財布は四次元ポケットじゃないから勘違いしないように。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
P「しかし、甘く見ても大人数なのは絶対なのに、それを収容できる旅行先に行けるのか?」
琴歌「なんだか修学旅行のような大名行列、ですね」
P「確かにその通りだ。……ちひろさんが泣かないといいけど」ペラ
○月◇日 はれ
私、ねがってた
どこか、とおい、そんな世界
つなげてくれた、気持ち、大きな、手
でも、Pの手、一つじゃない
私、ねがった。その先、みんないた
Pと約束。ずっと、信じる
そこに、もう一つ
みんなと、いっしょ。みんなと、どこまでも、行きたい
Pなら、できる。私と約束、したから
でも、Pのひざ、わたさない
P「……独特だな」
琴歌「雪美ちゃんはあまり喋りませんのでどんな日記か気になってましたが、とても素直に書き綴っておりますわ」
P「そうだな。短いが、雪美の気持ちがはっきりと見えてくる」
琴歌「……ところで、P様のひざとはなんなのでしょうか?」
P「やっぱりそれ、気になるか」
琴歌「最後の一文がとても印象的ですので…」
P「なんというか…時々だけどな、雪美は俺の膝に乗りたがるんだよ」
琴歌「まあ、猫みたいですね」ポン
P「実際猫と友だちだからな……それで乗っているんだが、それを見た薫とか仁奈とかメアリーもいつのまにか乗るようになったんだ」
琴歌「…ふふ、何だか微笑ましい光景です」
P「お互いアイドルだから手を出す喧嘩はしないが、それでも睨み合われると俺も参るよ」ハァ
琴歌「それでしたら、私がP様の膝に乗るというのはどうでしょう?」
P「……どういう理屈だ?」キョトン
琴歌「……申し訳ありません、今のは無かったことにして下さいませ」メソラシ
P「お、おう。じゃあ返信は…」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
雪美の日記が見れるとは思ってなかった。
書いてくれてありがとう。
雪美の言うとおり、ここは雪美だけじゃなくて、みんないるんだ。
その中で俺は一人だけだから、最近あまり構ってやれなくて悪いな。
空いてる時で良ければ事務所で話せるから、オフならペロも連れて遊びに来るといい。
待ってるぞ。
……でも、俺の膝は残念ながら誰のものでもないからな?
自由な時は乗ってもいいが、誰かが居たら譲ってあげてくれよ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
琴歌「…P様はプロデューサーなのですよね?」ボソ
P「ん、そうだけど…何かあったか?」
琴歌「いえ、それは解っているのですが、皆さんとお話しつつ莫大な仕事をこなせるのが私には不思議で…」
P「みんながいるからな。みんなを輝かせるために仕事をしてるんだー、って思ったら、案外仕事も多くは感じないさ」
琴歌「……素晴らしき方ですわ、P様」
P(正直スタドリ様々です、本当にありがとうございました)
・ ・ ・
――千枝の日記、その後
[事務所、夕方]
ガチャ
千枝「ただいま戻りましたー…」クタクタ
未央「たっだいまー、千枝ちゃん持って帰ってきたよ〜」
P「千枝は荷物じゃないぞ…おかえり、二人とも。送迎頼んで悪かったな、未央」
未央「いえいえー、いつも頑張るプロデューサーのためですから…なんてねっ」
P「はは、心強いな。……っと、千枝は疲れてるな。帰るまで少しソファで休んでいいぞ。すぐに飲み物を持っていくから」
千枝「はい…ごめんなさい、プロデューサーさん」ウツムキ
トコトコ…
未央「うーん、やっぱりキツいよねー、子供が大人の仕事をするのは」
P「どんな年齢であろうと性別であろうと、仕事があればやらなきゃいけない、それが社会人の辛さだよな。…あとお前も子供だっての」コツン
未央「あうっ。……どうせなら撫でるほうが未央ちゃんは喜ぶのに〜」
P「それはまた今度な。帰る時間は大丈夫か?」
未央「あ、いっけなーい、家に帰らないと! それじゃまた明日ね、プロデューサー!」クルッ
ガチャ…バタン!
P「忙しないアイドルだなあ、未央は……っと、飲み物を持って行かないとな」スタスタ
ソーッ…
P「千枝、大丈夫か? 痛いところはあるか?」コト
千枝「……いえ、大丈夫です。ちょっとお仕事が長引いたので疲れちゃっただけです、え、えへへ」
P「全く、子供に無理をさせるなよな…ほら、スポーツドリンクだ」スイ
千枝「ありがとうございます、プロデューサー…んく、んく……はぁっ」ゴク
P「今日は俺が家まで送るから、それまで休んでていいからな。今日もお疲れ様、千枝」
シーン…
千枝「……やっぱりまだまだですね…私」
P「まだまだって……体力なんてこれからだろうよ。気にしなくていいさ」
千枝「だから、未央さんにも、プロデューサーさんにも迷惑をかけてしまって…」
P「……勘違いするなよ」ポフ
千枝「え?」ユラユラ
P「千枝はもし未央が困っていたら、嫌々助けるのか?」ナデナデ
千枝「そ、そんなわけないです!」
P「だろ? …俺達だってそうだ。仲間だから、千枝だけじゃない、誰が困っていても喜んで助けるし、皆もきっとそうするはずさ」ナデナデ
千枝「……早く、千枝も大人になりたいです」
P「どうしてだ?」
千枝「千枝が大きくなったら…未央さんみたいに誰かを助けられますから」ウル…
P「じゃあ、千枝はまずおっちょこちょいにならないとな」
千枝「……どういうことですか?」
P「未央だよ、未央。アイツ、入ってきた当初は元気があるからなのか、スケジュール管理が苦手でな、仕事好きなくせにたまにすっぽかして……はあ、大変だったよあの時は」
千枝「あの未央さんが、ですか……?」
P「そうだよ。それでも覚えていって、仕事がもっと出来るようになって、みんなの信頼も得て……余裕ができて周りが見えるようになって、手を差し伸べられるような子になったんだ」
千枝「……」
P「だから千枝も今はいっぱい助けられて、千枝ができる範囲で頑張れ。それで大きくなって余裕ができたら、今度は千枝みたいに困った子を助けてあげてくれ」ナデナデ
千枝「プロデューサーさん……はい……っ」
P「はい、じゃあ今は俺に素直に助けられてゆっくり休んでくれ。送る時間になったら連絡するから」スッ
千枝「……あの、プロデューサーさん!」
P「どうした?」
千枝「千枝、千枝……ゆっくり大きくなって、なったら、プロデューサーさんを助けたいです!」
P「……俺ってそんな頼りなく見えるのか」ズーン
千枝「あ、いえ、そういう意味じゃ…!」アタフタ
P「はは、わかってるよ。ありがとうな。じゃあ数年したら、秘書にでもなってもらおうかな?」
千枝「秘書……はい! 千枝、お勉強たくさんします!」
P(プロデューサーに秘書ってなんだ一体)
P「その調子だ。勉強もアイドルも頑張れよ。…だから今は休め」
千枝「はい……ありがとうございます、プロデューサーさん!」
[おわり]
・ ・ ・
――あずきの日記、その後
[事務所]
P「……二人して何やってるんですか?」
ちひろ「あ、おかえりなさい、プロデューサー」
あずき「ねえねえプロデューサー! 見てみてー!」グイ
P「うお、いきなり……って、なんだこれ」ピラ
あずき「あずきの考え……みんなで考えた行きたいスポットだよ! 名付けてアカシックレコード大作戦!」
P「蘭子が伝染ってるぞ、あずき。あとそれお前が行きたい所だけだろ」
あずき「…えへへ」
P「お前なぁ…」ハァ
ちひろ「つい先程から、帰ってきたあずきちゃんと旅行の話をしていたんですよ。それで色々観光地なんか紙に書いていたんです」
P「ああ、あの件ですか。日程案はどんな感じです?」
ちひろ「それが、やっぱりこの時期はみんなそれぞれ仕事もありますし、宿も大きいのは取れないので……」
P「うーん、そうか……難しいですね」
あずき(……!)ピコーン
あずき「…お、今作戦思いついたよ!」
P「ん…どんな作戦だ?」
あずき「名付けてかわりばんこ大作戦!
ちひろ「かわりばんこ?」
あずき「そー! 長い旅行日程をとって、最初に行ける人から参加して、仕事がある人は途中で抜けて仕事に戻るの! それで途中から参加出来る人は参加して…全員一緒に観光できないけど、一度に宿に泊まる人数は少なくて済むよ!」
P「……」
ちひろ「……」
あずき「……って、ダメだった?」
P「いや、それいいな。そうか、必ず同じ日程で全員行く必要はないのかー!」ポン
ちひろ「確かにトータル人数を抑えれば小さめの宿でも行けそうですね」
あずき「……ということは」
P「ナイス作戦だ、あずき。そこまで思いつかなかった。お前のおかげだ」
ちひろ「あずきちゃんが居てよかった。今から具体的に予定組みますか?」
P「そうですね。急がないと、プライベートの予定も埋まっちゃいますから。あずきはどうする? 送ろうか?」
あずき「……ううん、あずきももっと作戦考えるよ!」
P「そうか、ありがとう。頼りにしてるぞ、あずき」
あずき「任せてっ、頑張るよ!」
あずき(…一緒に計画大作戦、成功だねっ!)
[おわり]
――雪美の日記、その後
[事務所、朝]
P「今日は昨日の続きをしないと……頑張らなきゃ」グデー
ちひろ「珍しいですね、仕事を残すなんて」
P「ええ、中々進まなくて…夏バテですかね」ハァ
ちひろ「気をつけてもなりますから……アイドルの子達だけじゃなくて、自分の体も心配してあげてくださいね」
P「ご忠告痛み入ります…」
ガチャ
雪美「…P……ちひろ……おはよう」
ちひろ「あら雪美ちゃん。今日は早いのね」
P「おはよう……でも今日の仕事は昼からだぞ?」
雪美「知ってる……。約束…P……つながってる…私……聞こえた」
ちひろ(え、約束…聞こえた?)
P「…ああ、そういうことか」
ちひろ(……やっぱりプロデューサーさんにはわかるのね)
雪美「だから……果たす…。Pに……あげるの」コクリ
トコトコ…チョコン
P「ペロは来れなかったんだな」ナデナデ
雪美「うん…残念……。でも…大丈夫……Pと私……つながってる」コクリ
ちひろ(何の迷いもなくプロデューサーさんの膝の上にのって撫でられてる雪美ちゃん。そういえば最近見なかったなあ)
P「はは、ありがとう。雪美はしばらくここに居たいか?」
雪美「……当然…最近…取られてたから。P……いや?」クビカシゲ
P「嫌じゃないぞ。ちょっと手を横から…よし、これでパソコンが使えるな」カタカタ
ちひろ(そして雪美ちゃんをのせたままキーボードを打つプロデューサーさん)
ちひろ「……ふふ」
P「…どうしたんですか?」
ちひろ「いえ、なんでもないです」
雪美「力を……貸すの。こうして……きゅ」モタレ
P「……よーし、頑張るか。雪美からパワーをもらったことだしな」
雪美「P…がんばって……」
ちひろ(父娘みたいだなんて……言えないですよ、プロデューサーさん)クス
[おわり]
正直言うとあずき難しすぎる。一体どうすればいいのか…
そして最初のみ使うと言いながらちひろさんの代役となった琴歌さんでした。
多分って言ってたから仕方ないね(めそらし)
皆が安価を所望するなら!
私は可変安価を採用するッッッ!!(球審感)
というわけで次の三人は
>>178,>>179,>>180です。
ミナサンガンバッテ。
熱い心理戦だね(ニッコリ
ちょっと時間かかりましたけど、二度目の正直で泰葉P及び黒川Pおめでとう。
多分前回と同じ人かな?
あと実際書いてみると雪美が一番早かった。
難しいけど単純だからか?
ついでにチャンミオハカワイイデスヨ?
>>164
大正義。横になって持たれて更に後ろ髪を上から前に流してくれると尚よし。
>>168
今回シリアス枠(適当)につき断念…
>>169
やったー! やったぞミハルー!
>>173
みんな違って、みんないい。
>>174
誰かが書いてくれるよ(ニッコリ
>>184
ありがとうございます智香さん。
ものすごく健全です。健康的でいいですよね。昨今の情勢的にも。
>>185
楓Pおかえりなさい、よくぞ生きて帰って来られました!
お仕事お疲れ様です。
ゆっくりと読んでいただければ気力も使わず済むかと…(不安)
>>186
どちらかといえばネタ切れとの勝負…誰かバトンタッチしてもいいのよ(保険)
>>260
おかげで超得フルバーストでしたわ…
>>261
楓P…いや村上組頭領、お疲れ様です。
モバマスジャンルに特攻仕掛けてきます。実は初めてです。
>>262
仮にもみんなが読む日記にそんな恥ずかしい物は書いてはいけませんと
某風紀さんが言っています。
>>265
暴挙アンド暴挙。
>>266
琴歌にしろ歌鈴にしろ、変換できません。マジで。
あ、ちなみに安価だけは指定しておきます。次回は遠くなりますけど。
――ある日の事務所
ちひろ「……はぁ」ズーン
P「どうしたんですか? そんなため息を吐いて…」
ちひろ「これですよ、これ」ピラ
P「これって…先月の電気料金ですか」
ちひろ「はい…この数字を見てると気が遠く」
P(なら見なければいいのに…)
P「事務所の稼働時間も増えて、更に今年は去年よりも暑いですから…まあ必要なコストかと」
ちひろ「それはそうなんですけどねー…家に居るなら無理矢理にでも節約するのに、こう使っていると家に帰りたくなくなるんです…」
P「…実質タダですからね、個人負担としては」
ちひろ「そういうことです」キリッ
P「というか我慢は止めましょうよ、今年は洒落にならないですから」
ちひろ「扇風機も案外涼しいんですよ?」
P「それは知ってますって。ウチならエアコン普通に使ってますし、なんならウチに住みます――」ハハ
ちひろ「は、はいっ!」
P「か、なーんて……」
ちひろ「……」
P「……」
ちひろ「に、日記を見ましょう! 頭を動かさないと鈍ってしまいますよ!」バタバタ
P「そ、そうですね! 気分転換のためにも見ましょう、見ましょう!」ガタ! パラッ!
○月▼日
どもっす!
吉岡沙紀っすよ!
伊吹に渡されて(本人書いてないのにね)そのまま書こうと思ったんすけど…みんな、アイドルなりたての頃の思い出話とか好きなものの話とか、楽しそうにかいてるっすよね!
そういえばアタシも日課のグラフィティを書いてる時に訳の分からない変な男にナンパされたんすよねえ。
はは、今考えても変な顔してたっすよ、Pさん!
それでま、本物だと知ってアイドルになって、グラフィティに拘らない表現を知って、今は本当に楽しいっすね。
アタシはただ自分を表現したかったんだ、ってのがわかったっす。
グラフィティやってたところはそれしか見えてなかったっすから…それがまさかアイドルになるとは思ってなかったっすけど、Pさんには感謝っすね。
あ、かといってグラフィティを引退したわけじゃないっす。
厳密に言えば違うのかもしれないっすけど、今はアーティストとしてテレビで実演することもあるっすから。
最近やったことといえば、寮の壁面にデザインしたことっすかね。
寮の一部分にうちのプロっぽい何かを見出したいってーことで、仲間達で描きまくったっす。
中でも凄かったので比奈っすね!
「いや、アタシは紙の上専門っスから…」とか言ってたっすけど、一度ブラシを握ればアーティストって感じで、ガシガシ描いていってたっす!
他にも蘭子や由愛なんかも綺麗に描けてたっすね。まあ、アタシとは畑違いな感じもするんだけど。
それでできあがった壁はもうサイッコー!
やっぱり思いっきり、思う存分描けるってイイっすね!
確かあの時はPさんは仕事で来てなかったっすよね?
よかったらPさんも何か描くといいっすよ!
ちひろ「プロデューサーさんは完成品見ました?」
P「見ましたよ。皆が好き放題描いてるのか、部分部分で結構描き方が違って面白かったですね」
ちひろ「地味な壁面にあんな派手な物を描く事を提案する人も中々いませんけどね」クス
P「そういえば元々は誰の提案だったんですか?」
ちひろ「ニュージェネレーション、ニューウェーブの面子ですね。ばらばらだから、何か形が欲しい、と言ってました」
P「ああ、なるほど…。これだけ人数がいると一体感は薄くなりますからね」
ちひろ「親睦会としても楽しめたらしいですけど。プロデューサーさんは書かないんですか?」
P「そうですね、また時間があった時にでも――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
沙紀はいつも元気でいい事だ。
確かにあの時の俺は緊張もあってか変な顔をしていたかもな…でも、本気だったんだぞ?
表現する楽しさをしっているからこそ、君にアイドルになって欲しかったんだ。
それを沙紀が答えてくれて嬉しいよ。
寮の壁、あれは中々の傑作だったな。
皆の気持ちが詰まっていて見てる方も楽しくなれたよ。
その場に立ち会えなかったのは残念だったけどな。
だから、俺も次休みに寮に行く時があれば是非隅の方にでも描かせてもらおうかな。
……正直に言うと、絵なんてほとんど描いたことが無いから、腕に不安なんだが。
まあ、楽しめればいい、ってことだよな。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「…そういえば、スカウトした時の変な顔って――」
P「…訊かないで下さい」パラ
ちひろ(何かやらかしたんですね…)
○月▼日。
天候は晴れに等しく、雨は久しく降らず。
空、澄み渡りて海のごとし。
…なんて、仰々しく書いてみました。
こんにちは。藤原肇と申します。
一度自己紹介すれば大丈夫なのですが、やはり肇という字は一般的に見慣れないので初見では読むのは難しいだろうと思います。
私でさえ、綺麗に漢字を書くのに相当な時間を要しましたから。
…私がアイドルとなって、もうかなりの時間が経ちました。
当初といえば、家を飛び出すかの如くこの世界に入ったのですが、今では祖父にも認められ、かつての危機感、反抗心もなく、楽しく仕事ができています。
この度は、あんな私を認めてアイドルとしてプロデュースしてくださって、ありがとうございました。
まだ精進する身ではありますが、改めてお礼を申し上げます。
もしもPさんに認めてもらえていなかったら、きっと私の中に燻る思いを吐き出せないまま、情けない心で陶芸に触れていたことでしょう。
こうして挑戦し、思いの限りを尽くして生きているこそ、私の手から生まれる作品も生き生きとしているのだと思います。
実際、実家に帰ってから作品を完成させ、それを祖父に見せると随分と嬉しそうな顔をしていますから。
……まあ、これは祖父にとって陶芸と関係ない部分もあるのかもしれませんが。
ああ、そうだ。
もう一つ、Pさんにお礼です。
作品展の開催の企画、ありがとうございます。
私の住む岡山で、祖父と共に作品を展示することができるだなんて、夢にも思いませんでした。
…私がアイドルとして生きている限り、そんなことにはならないと決めつけていましたから。
これもPさんの力なのですね。
不可能を可能にする。形なきイメージを、この世に顕現できる。
Pさんだけの、特別な力でしょう。
祖父の作品と私の作品、アイドルとして、祖父の娘として作り上げた作品を多くの方に見てもらうため、現在、仕事の合間ではありますが、色々な物を作り上げています。
完成した暁には、是非Pさんにも見て頂ければと思います。祖父も会いたがっていますしね。
P「…皆俺のことを凄いというが、本当に凄いのは彼女達自身なんだよな」
ちひろ「仕事も増えてみんな忙しいのに、自分のしたいこと、目標に向かっていつも走っていますからね」
P「無論、トップアイドルが目標な子もいますけど…明確な未来を見据えた子の瞳は、宝石よりも輝いています」
ちひろ「…まるでアイドルになることが面白く無いというような言い方ですね?」
P「邪推ですよ。……ただ、トップアイドルという地位を目標にするのは、思考停止に近いんじゃないか、というのが持論なだけです。勿論菜々を否定する訳じゃありませんが」
ちひろ「他の事務所の人に聞かれたら怒られそうな言葉です」
P「構いませんよ。アイドルという肩書きで輝くよりも、趣味や技術とか、人柄とかで、人として輝いたほうがその色は鮮やかなんじゃないかなあ、そう思うんです」
ちひろ「かといって趣味に没頭するようならアイドルは続けられませんけどね」
P「はは、それもそうですけどね。…アイドルを続ければ自然と視野が広くなる。それが高みを目指す子にとって一番の活性剤なんですよ」
ちひろ「流石沢山のアイドルを育て上げた名プロデューサー、言うことが違いますね」クス
P「凄い人間じゃないですよ。ただ道筋を示しているだけの人間ですから――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
肇がそういう文字を書くと、本当に職人のように思えるよ。
いや、アイドルとしても、陶芸家としても、肇はもう職人なんだろう。
最初の頃の切迫した肇の表情を思い出すと、時の流れを感じるな。
こちらこそ、肇をプロデュースさせてくれてありがとう。
展示の企画だが、無事に通って何よりだよ。
今回は仕事ではなく、純粋なお前個人としての活動だから、体裁を気にする必要はないぞ。
ただ有りのままの気持ちを陶芸に捧げてくれ。
プロデューサーとしても、肇とともに歩く人としても、展示会を楽しみにしているよ。
お祖父様ともお話しておきたいからな。
制作、頑張れよ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「プロデューサーさんって、結婚してないんですか?」
P「いきなり何ですか…言うまでもなくずっと独り身ですよ」
ちひろ「い、いえ。なんでもないです。次に行きましょうか」
P「は、はあ…」パラ
ちひろ(その割に父性に溢れすぎている、だなんて言ったら怒られそうですね)
超☆風紀日誌
担当:冴島清美(プロダクション風紀委員会リーダー)
どうもみなさん、規則正しい生活を送っていますか?
最近、どいつもこいつも風紀のことだの露知らず、横暴に振る舞う者がとても増えています。
学校でもそのような輩がおり、対策活動にはとても苦労をしましたね。
ですが! そのかいもあって学校は無事平和になったのです!
そして! 今私は超☆アイドルとしてこの世界の風紀を正しにきたのです!
芸能界といえば悪の組織が氾濫する危ない世界…そんな場所に、いたいけな少女が生き生きと暮らせるはずもありません!
だからこそ、私が来たことによって、立ち上がる時なのです!
そのためには、この世界について知ることが大切です。
なので、最初はこの事務所の風紀を守ろう…としたのですが、どうやらここは風紀が適切に守られており、私の出番はあまりなさそうです。
それは、ひとえに名誉風紀委員ことプロデューサーの手腕、そしてその補佐である千川ちひろ風紀補佐官のおかげなのでしょう。
少女を悪から守り、風紀を守る良き人間として育て上げたからこそ、この事務所は平和なのです。
ああ、風紀が守られた空間は美しい。
そしてそれを守り続けるプロデューサーや千川さんの魂は、何と清いのでしょうか!
くくく、このまま行けば私の風紀力が世界中に及ぶのも長くない話です。
これからも素晴らしい風紀力の発揮、お願いしますね!
ちひろ「……この子をスカウトしたのはどうして何ですか?」
P「いやあ、こう…ティン、と来たんですよ、うん」メソラシ
ちひろ「風紀委員会がないのに独断で風紀維持活動をするアイドルってなんなんですか…」
P「いや、でもほら、彼女が居るおかげで事務所が綺麗になってるじゃないですか」
ちひろ「いや、清掃員をスカウトしても意味ないですよ…」
P「ふむ、清掃員か……アリだな」コクリ
ちひろ「ナシですっ!!」ビシッ
P「……まあ、ああは言ってますけど、皆が気持ちよく生活をできるような環境を作りたいという気持ちは本気ですし、かといってアイドルへの気持ちも充分ですから、彼女はこれから次第ですよ」
ちひろ「資質云々はさておき、たしかに気力にあふれてますもんね」
P「茜あたりと気が合いそうな感じもするが――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
はは、頑張ってるな。
清く正しい生活は健康の基本だからな。
風紀以前に、人として大切なことだから、これからも守ってくれよ。
だが、この事務所が皆楽しくやれてるのは、何も俺達が頑張ったからじゃない。
それぞれのアイドル達が皆いい子だから、相手の気持ちを知る子達だから、こうして
思いやりを持って活動ができるんだぞ。
だから、清美も風紀という言葉に縛られちゃいけない。
ルールは人を縛る縄ではなく、快適に過ごすためのホウキでなくちゃならないんだ。
でも、いざ風紀が乱れた時には是非清美の力を借りたい所だな。
勿論起きないことが一番だが…もしもの時には期待してるぞ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「……あの、思うんですが」
P「どうしました?」
ちひろ「正直、ウチで一番風紀を乱してるのはあの子だと思うんですが」アツミーン
P「……ええ、あの子ですね」アツミーン
・ ・ ・
――沙紀の日記、その後
[寮、玄関前]
沙紀「さあさあ、これを持って下さいっす!」グイ
P「うわ…って、ブラシか」フリフリ
沙紀「Pさんが描きやすいように小さめのを用意したっす! 勿論アタシの使うスプレーでもいいっすけど、どっちがいい?」
P「いや、これでいいよ。素人がスプレー使っても汚くなるだけだしな」ハハ
沙紀「センスありそうっすけどねー、Pさん。まあいいや、あっちに色置いてますから好きなの描いて下さい!」
P「うーん、そうだな…」
沙紀「何でもいいんすよ。ハートの中にアートはあるんすから!」
P(ハートの中にアートか…じゃあ、俺らしく)
P「わかった。いくぞ――」グッ
サッ、スス…、シュシュッ
P「…ふぅ。よし、こんなもんだな」ヌグイ
沙紀「おー、Pさんって英語も上手く描けるんすねー!」
P「なんか嫌な言い方だな……けど、ありがとう。沙紀のおかげで綺麗に描けたよ」
沙紀「ありがとっす…けど、ランウィズドリーム、アンドショウザブルーム…ってどういう意味っすか?」
P「こんなクサい台詞、柄じゃないが…まあ、頑張れよって意味だよ」ハハ
沙紀「へえー…Pさんはこういう時でもやっぱり真面目なんすね」
P「まあな。…というか、これぐらい読んでもらわないとアイドルとして駄目だぞ」
沙紀「…頑張ります」メソラシ
[おわり]
・ ・ ・
――肇の日記、その後
[事務所、扉の前]
カツ、カツ、カツ…
P「ふぅ、ただでさえ暑いのに階段登るのは地獄だな…早く事務所で涼もう――」
ガチャ
P「ただいま――」
肇「ひゃあっ!?」ビクッ!
P「うおっ!? なんだ、どうした!?」
肇「あ、あー…Pさん。なんでもないです、すみません」ペコペコ
P「え? …まあ、なんでもないならいいが」トコトコ
肇「はい…あ、おかえりなさい、です」ウツムキ
P「ああ、ただいま…」
P(なんだろうな、あの驚きぶりは――って、ん?)ジー
P「…なあ肇、その背中にある箱ってなんなんだ!?」
肇「え、嘘、見えて…!?」ガサッ
P「……あー、すまん、見せたくないものだったら見せなくていいからな、うん」
肇(うう…勢いで持って来ちゃったけど…行くしかないですね)
肇「…ええと、すみません。これ、Pさんに見せたい物なんです」オズオズ
P「俺にか?」
肇「はい…これ、空けてみて下さい」ハイ
P「小さな木箱だが……と、これは湯のみか!」
肇「はい。以前にもお渡し事があるとは思うんですが、今の私を知って欲しくて…」
P「なんだ、そういうことか……悪いな。ありがとう、前のもまだあるけど、これも使わせてもらうよ」
肇「ありがとうございます。以前のも持ってくださってるんですね」
P「壊れないように大事に使ってるよ。……それで、この湯のみに書いている『情』ってなんなんだ?」
肇「それは…Pさんが情に溢れているからー、なんて…」
P「はは、なるほどな…肇にそう思ってくれて嬉しいよ。ありがとう」
肇「い、いえ! こちらこそいつもありがとうございます!」
P「これからもよろしくな。じゃあ俺は作業するから、また後でな」
肇「はい、頑張ってください」
スタスタ
肇(…実はもう一つ作ってあるんです)
肇(そこに書かれている文字は……Pさんにはまだ、見せられません)
[おわり]
・ ・ ・
――清美の日記、その後
[静かな事務所]
愛海「んっはぁぁぁん…これは…これはぁ――最高級のおもちやでぇ…うひひ」
卯月「あっ、あつ…み…ちゃんっ、ここは事務所だから……やめっ」
愛海「だってちひろさんはどこかに行ったし、相棒ことプロデューサー兼登山家のPさんは居ないしでそこに居るのが卯月さんなら…これはもういくしかないじゃない☆」
卯月「うう…プロデューサーさぁん…助けてぇ…」グス
バタン!
清美「何やらおかしな声がします!」キリッ
卯月「あ、清美ちゃん…!」
愛海「確か…未認可風紀委員の清美ちゃんだったっけ…」
清美「み、未認可ではありません! 超☆風紀委員です!」
愛海eye「…age15,76-58-78」キュィィィィン
愛海(ふむ…なるほど)
清美「悲しき叫びは正義への渇望! それは悪しき思いを挫くため! ――超☆風紀委員、冴島清美、ここに見参!」バーン
卯月(ポーズまで決めて…考えていたのかな)モマレ
清美「私が来たからにはもう大丈夫です、卯月さん! さあ愛海さん、その捻じ曲がった意思を悔い改めなさい!」
愛海(このままのさばらせるとあたしにとって不利になる…)
清美「さあ、人質を解放しなさい! 今なら大丈夫です! 超☆風紀委員の名のもとに、今なら減刑してあげます!」
愛海「ねえ……風紀委員はそれでいいの?」
清美「事務所の風紀を守ること。それは平和のために大切な事です」
愛海「……ふふ、まだまだ若いね」
清美「…どういうことですか?」
卯月(あ、またなんか始まった)モマレ
愛海「人は美術に恋焦がれる。それは、本能が美という存在に惹かれるから。知っているでしょ?」フリ
清美「勿論です。だから私たちはアイドルという立場にいるんですよ!」
愛海「だったら、その『美』をより高めていくのがアイドルの使命なの。あたしは、こうして女の子と密接にふれあうことで…アイドルの持つ最高の美に近づけているんだよ」
清美「ぐ、確かにアイドルという立場であるなら当然たりうる……それは正義だわ…」
卯月(よくそんな言葉がすぐ出てくるなあ…)サワサワ
愛海「風紀って何? 雁字搦めに縛るもの? …あなたならわかるはず。本当の風紀の意味を!」ビシッ!
清美「……ルールは人を縛る縄ではなく、快適に過ごすためのホウキでなくちゃならない」ボソ
愛海「そう。名誉風紀委員であり、プロフェッショナル登山家であり、名プロデューサーである彼の言葉。……あなたは、そんな彼の言葉を疑うの?」キリッ
清美「愛海さん……いや、愛海風紀実行委員長! 私は風紀という言葉に囚われてアイドルとして間違った考えを持ってしまってすみませんでした!」ガタッ
愛海「いいんだよ。本当の風紀は、許しあうものなの。だから清美ちゃんも、この柔らかなお山に触れて…美を高め――」
ガチャ
拓海「…うーっす。ちひろに呼ばれてきた」ネミー
愛海「」ギクッ
卯月「あ、こっちです」サワサワ
・ ・ ・
[5分後]
愛海「」チーン
拓海「ったく…コイツも懲りねぇな」パシッ
卯月「あ、あはは…助かりました」
拓海「ちひろから息絶えたような声で電話が来た時はマジで焦ったぜ…」ハァ
卯月(あー…やっぱり逃げ出したのって…すみません、ちひろさん)メソラシ
清美「…拓海さん、ありがとうございます。危うく洗脳される所を助けて頂いたおかげで、事務所の風紀がまた守られました」
拓海「あぁ? アンタは…確か冴島、だったか」ジー
清美「そうです! この世界の風紀を守るためにやってきた、風紀系アイドルです!」ドンッ
卯月(風紀系アイドルってなんだろう…)
拓海「…よくわからねぇが、よろしくな。あとコイツは必要悪だから、何かしでかしたらその場で駆除せず周りに助けを求めるといいぜ」
清美「なるほど、流石風紀系姉御! 非常に頼もしいですね!」
拓海「風紀って…アタシは真逆なんだけどな――クソ、丸くなったのもアイツのせいだ。後でメシ奢らせてやる」ボソ
卯月「すみません、わざわざありがとうございました、拓海さん」
拓海「気にすんな、卯月を助けるためだからな。…んじゃ、コイツは持ってくから――ほら、行くぜ」グイッ
愛海「ヴァイ…」ズルズル
ガチャン…
清美「……美しい。これが、力ある風紀委員の形……理想なのですね」コクリ
卯月「あのー…清美ちゃん?」オソルオソル
清美「よし、決めました! 私の目標は――拓海さんです!」ビシッ
卯月(……ちひろさんの頭痛の種が増えたような気がする…)
[おわり]
むしろキャラの定まってない今だからこそできる強引っぷり。
基本的に思いついた事を書いてるので話の内容は運次第です、ええ。
というわけでひとまず休憩。
次回は不明ですが多分13日かもしれません。
次は>>284,285,286です。よろしくお願いします。
難関が来てしまったか…
そして周子Pおめでとうございます。前回遠目だったから…
あと比奈きらりって誰だー、誰なんだー(棒)
>>291
ん? 今何でもするって言ったよね?
じゃあ旅行編書こうか(ゲス顔)
――ある日の事務所
カタッ…
P「今年ももうすぐ終わりですねえ」フゥ
ちひろ「いやいや、まだあるじゃないですか」
P「とは言ったって、夏休みが終ればもうこんな時期ですよ。もう四月から七月はどこに行ったんだって感じです」
ちひろ「それは大人の感覚ですよ。学生の子達にとってはちゃんと毎月ありますって」
P「大人か…。昔思ってた大人像になれてますかね、俺」
ちひろ「どんな風に思ってたんですか?」
P「そりゃあカッコイイスーツを来て高層ビルの最上階でお偉いさんにプレゼンしたり結婚して妻に毎日おいしい料理作ってくれたりとか…」
ちひろ「な、なんだかえらく具体的ですね…」アセ
P「今を思えば違いなんていくらでも。スーツは何十着も潰してるし、家でご飯を食べる事すら稀ですし…」
ちひろ「子供からだと、大人の働いてる所って見えませんから」
P「わかってるんですけどね……何だかふと我に返ると寂しくなります」
ちひろ「……プロデューサーさんは子供の時、父親を尊敬していましたか?」
P「勿論ですよ。帰りが遅い時が多かったのでつまらなく思ってた時もありましたけど、本当に困っていた時にいの一番で助けてくれて……」
ちひろ「いいお父様なんですね。でも――」
ガチャ
薫「おっはよー! あ、せんせぇだぁ♪」ピョン
P「こら薫、いきなり飛びつくんじゃない。あと事務所に来たら?」
薫「おはようございまー!」ニコ
P「よし、今日も元気でよろしい」ナデナデ
薫「うん! かおるね、アイドルだからにこにこするのっ!」ニコ
P「はは、そうだな」
ちひろ(今居るアイドルたちを見て、尊敬されてないなんて思えるはずないじゃないですか、ねえ?)
・ ・ ・
コポコポ…
P「ところで今日は薫一人で来たのか?」
薫「ううん。えとね、じむしょの前までたくみお姉ちゃんといっしょに来てたんだけどね、かいだんのところでばいばいしたの――あ、これ言わないでって言われたんだった、どうしよ…」
P「一人じゃなかったんだな。…じゃあ俺と薫の秘密にしよっか」
薫「ひみつ……えっへへ、かおるとせんせぇのヒミツ! わかった!」ニコッ
P(あとで拓海にバレないように礼でもするか……)
薫「それでね、せんせぇ。きょうのおしごとはまだ時間あるよね?」
P「ん? ああ、今日のは十時からだから……まだ結構時間あるな。宿題でもするのか?」
薫「ふっふーん、かおるはちゃんとおうちでしゅくだいするんだよ!」
P「そうなのか…じゃあ、どうしてはやく来たんだ?」
薫「うん、だいぶ前にこうかんにっき始めたでしょ? それでね、かおる読めない漢字があって、せんせぇに読んでもらおうと思って……だめ?」
P「ああ、なるほど。いいぞ、じゃあ一緒に座って見るか」ポンポン
薫「うん! そっちのソファに行くね!」トタトタ
P「じゃあ俺は日記を――と、また誰かが新しく書いてるな。数日空いただけなのに」パラ
薫「だれか書いたのー?」
P「そうだな。薫はどうする? 読めない日記を先に読むか?」
薫「うーん……先にあたらしいの読んでほしいな! せんせぇが返事を書くところ、見たいんだもん!」
P「はは、そういうことか。よし、じゃあそうしようかな。最初の人は――」ピラッ
×月◆日
酒のつまみに文字を読むなんて、なかなか乙なものじゃない。
そう楓が言ってたけど、私にはどうかしらね?
どちらかといえば、私は文字よりも月を見ている方がなんとなく美味しいと思うわ。
……酒に限っては、の話だけれども。
殊、ワインに限って言えば、見るのは景色だけじゃなくて目の前にあるモノ。
それはワインの色であり、グラスを持つ手であり、そして共に飲む人であり……ワインの色は、ただそれだけじゃないの。
ふふ、お酒を飲まない人にはわからないかもしれないわ。
どう? Pさんならわかる?
私を楽しませてくれるあなたになら、わかってもらわないと困るのだけどもね。
今、私が日記を書くだなんておかしい、と思ったでしょう?
現に私もそう思っているわ。
原因を問えば楓がそう。
だって、三角座りで酒を飲みながらこの本を読んでいたもの。
一緒に飲む予定だったのだけど、私の仕事が遅れてしまったから先に始めてしまったのね。
私が来た頃には少し出来上がってたようで、うわ言のように私のじゃない名を呼んでいたの。
そんな事、私は言わないから余計に彼女が瑞々しいわ。
彼女は私じゃないから、どうしても違いは出てくるものね。一緒に飲んでいると楓が可愛く見えてくるわ。Pさんもそう思うでしょう?
だから、私には可愛さは必要ないわ。
それを混ぜてしまったら……彼女にとっても、私にとっても面白く無いと思うの。
それぞれ味があるから飲み比べが楽しいのだから。
うふふ、Pさんは私と楓を飲み比べて、どちらが美味しいと思ったのかしらね?
・・・
注:私も居たのだがね……。
この記録は志乃さんが口頭と日記にいくつか書き留めていた事を私が改めて書き起こしたものだ。
同様にアルコールの入った楓さんに言われてしまってはな。
いつになく饒舌だったものだから、私も興味がなかったわけではないのだが。
ふふ、思い出すと楽しいですね、こういうの
薫「ねえねえせんせぇ、おさけっておいしいの?」キョトン
P「……あー、そうだな。薫は苦いジュースって好きか?」
薫「ジュースなのに苦いの? かおるはやだなあ」
P「それを美味しいと思うのが大人で、それがお酒だよ」
薫「うーん、むずかしいね?」
P「はは、難しいよな」
P(事実、彼女らがお酒をあそこまで飲むのは単に嗜好云々の話ではないような気がするし)
薫「でも楽しそうだよー。かおるも大人になったらわかるかな?」
P「かもしれないな。今は絶対飲んじゃ駄目だけど、これから薫がいっぱい遊んで勉強して、そして一生懸命アイドルをやって、それで大人になったら、その時は俺と飲もうか」
薫「うん! せんせぇと一緒に飲む! せんせぇと一緒にいたら、苦いのもおいしくなるよね!」
P「……その通りかもな」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
止めろとは言いませんけど、ここはプロデューサーとして一応節度を
持って楽しんでくださいね、と言っておきます。
でもまあ、ワインを美味しそうに飲む志乃さんこそ、今となっては志
乃さんらしいとも思えるようになりました。
最初の頃は、俺も意固地になってたのような気がしますしね。
ワインといえば、最近は俺も結構飲むようになりましたよ。
まだまだ志乃さん程の口利きじゃありませんけど……。
それでも色んな組み合わせとか好みとかを見つけていくのは楽しいと
思います。
勿論プロデューサーとしてあなたを導く意思は変わりませんけど、そ
れとは別に、個人的にオススメなんかも教えてくれたら嬉しいです。
それとあいさんにはもう少し気を遣ってあげて下さいよ。楓さんにも
言えることですけど。
あいさんも貴重な志乃さんの記録ありがとうございました。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
P(あいさん……無理してければいいけどな)
ちひろ「はい、薫ちゃん。ジュース飲んでね」
薫「わーい、ありがと!」
P「すみません、仕事中なのに」
ちひろ「いえいえ。……あー、でもなー。私も最近飲んでないなあ」
薫「……?」
P「……では、今週末にでも」
ちひろ「ふふ、ありがとうございます♪」クス
P「さ、さー次の日記を読もうか、薫」
薫「う、うん。難しくてよくわからなかったけど、次はがんばって読むよ!」
P「よし、その意気だ。それじゃ、次は――」パラ
×月■日
天気、雨、びゅー
担当、関
今日は色んな人にとって残念な日だったよね。
外、すごいよ。
勿論予報は出ていたけど……事務所の窓から見える景色が昼間なのに暗くて、台風ってこんなに激しいんだなって改めて思い知らされた。
私は仕事の収録が終わってPさんに車で送ってもらって事務所に帰ってきたんだけど、Pさんはそのまま傘一本握って急いで出て行って……打ち合わせがあるんだって言ってたけど、こんな天気でも行っちゃうのは凄いよね。
だからこそ、みんなたくさんお仕事出来るのかもしれないけど。
それでその日は雨音鳴り響く中、ちひろさんと二人で事務所で留守番でした。
ちひろさんは何やら忙しいみたいでずっとパソコンと睨めっこしてたので、私はロッカーから雑誌といつものアクセサリーのキットを持ってきて、色んなことを考えながらアクセサリーを作ってたんだ。
昔なら何となくのイメージで作ることの多かったこれも、最近は服とか、付ける人とかを考えながら作るようになってきたみたい。
だって、これは莉嘉ちゃんのためのものだから。
アイドルになって変わったことは沢山あるけど、一番は色んな人と話すようになったことかな。
上手く笑うことができなくて、それから人と顔を合わせることも苦手になってきた私がここまでこれたのは、あの時の決断した私と、私の恐い顔を見たPさんのおかげだよね。
結局、苦手意識があっただけなんだ、ってPさんは言ってたけど、まさにその通り。
ここに来るみんなも、中にはどこか苦手な所があったり避けてた部分があったりして曇っていた人も居るのに、みんな厳しいレッスンをして必死に仕事をしている内にいつのまにか雲が晴れていて。
雨の中を進むPさんがそれを見せているよね。
雨が降っていても、それを見続けているだけじゃいつまでたっても晴れは来ない。
雨が降っていたら、その中で出来る事をする。それが例え雨の中を走ることでも。
そうすれば、いつのまにか雨が止んでいることに気づくんだ。
私もいつのまにか笑えていて、テレビ越しの家族にも友達にも変わったねって言われて、私の雲はもう晴れたよ。
だから、今度は私が周りのみんなの雲を晴らす番。
最後は自分自身で動かなきゃいけなくても、その背中を押すぐらいはできるはず。
なので私はこうしてアクセサリーを作ってます。
そうすることで、誰かの歩く力になれると思うから。
……莉嘉ちゃん、喜んでくれるといいな。
薫「せんせぇ、実はね、かおるももらったんだよ!」
P「おお、薫もなのか。俺にもくれたよ――ほら」チャラ
薫「けーたいのストラップなんだね! かおるはブレスレットっ」
P「この前買い物に行った時も高い物は買ってないし、それでこれだけ綺麗に作れるのは裕美くらいだよ」
薫「ありがとーって言ったらね、どういたしましてって笑ったの! とってもにこにこしてた!」
P「そうか……嬉しそうだったか?」
薫「うん! また作ってあげるねって言ってくれたよっ」
P「よかったな薫。いつか薫もお礼をしなきゃだめだぞ」ナデナデ
薫「そうだけど……どうしたらよろこんでくれるかな?」
P「深く考えなくていいよ。薫が嬉しいなって思ったことを、裕美にもしてあげれば十分だ」
薫「そっかー。……考えてみるねっ」
P「そうそう。いっぱい考えて、薫のお礼をすれば、きっと喜ぶぞ――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
アイドルになる前からアクセサリーを作るのは趣味だと聞いてるけど、
アイドルになって忙しくなった今もずっと作り続けてるのは凄いことだぞ。
俺は昔から三日坊主のようなものだったから、尚更そう思うよ。
それだけでなく、みんなにも作ってくれてありがとう。
裕美の居ないところでそれを着けてる所を見ることがたまにあるけど、
みんな誇らしげに、嬉しそうな顔をしているよ。
材料は高級でなくてもありったけの笑顔を与えてくれる、そんなアクセサ
リーを作れるのは、笑うことの楽しさを知っている裕美くらいだぞ。
あの時は…確か新規ルートだったから、雨でも延期にしたくなかったんだ
よ。
例え結果がどうであれ、皆の可能性が広がるならやるにこしたことはない
しな。
それが伝わっているのかどうかはわからないが、裕美を含めてみんな仕事
をきちんとこなしてくれて嬉しい限りだ。
そして俺の行動が言葉として届いているのなら、これ以上幸せなこともな
いだろう。
これからも沢山の思いを乗せて、アクセサリーと笑顔を振りまいていって
くれ。
裕美を待っている人は世界中に居るんだからな。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
薫「みんなとお友達、楽しそうだね!」
P「いや、薫も歌って踊って笑って、会場のみんなとお友達になってるんだよ」
薫「そうなの? でもおしゃべりしたことないよ?」
P「…薫はアクセサリーをもらった時、どう思った?」
薫「うん? もちろんうれしかったよ! きらきらしてて宝石みたいだった!」
P「そうだな。薫は裕美からおしゃべりじゃなくてアクセサリーをもらって嬉しくなったよな。じゃあ会場のみんなとは?」
薫「うーん……かおるのにこにこ?」
P「そういうことだ。たとておしゃべりしなくとも、薫の笑顔でみんなとつながるんだ」
薫「そっか! じゃあこれからもいっぱいにこにこして、お友達つくらないとね!」
P「頑張ろうな、薫」ナデ
薫「うん!」
・ ・ ・
薫「…あ、そろそろおしごとの時間だっ」
P「ん、もうそんな時間か。送っていくよ」
薫「ありがとね、せんせぇ! いつもありがとう!」
P「いきなりどうしたんだ、薫。そんな改まって…」
薫「あのね、考えたんだけどね、かおるはまだたくさんお礼のやりかたわからないんだ」
P「……」
薫「だから、いっぱい気持ちを込めておしゃべりするの! それがかおるの一番のにこにこなんじゃないかなって思うのっ!」
P「…なるほど、薫らしいな」ポン
薫「うん! だからありがと!」パアア
P「はは……。じゃあちひろさん、行ってきますね」
ちひろ「あ、はい。いってらっしゃい」
薫「いってきまー!」
ガチャ
ちひろ「……」
ちひろ(プロデューサーさんはもう少し灯台の下を見るべきだと思いますよ)
・ ・ ・
――事務所、夕方
カタカタ…
P「よし、今日の分の業務は終わりっと。……今日も色々あったけど、もう終わりか」
P(薫を送った後、ニューウェーブの次のライブ曲の振り付けをチェックして、それから事務所に来た子と喋りながら仕事の連絡をして見送って――)
P「……この本も汚れが目立ってきたなあ」パサッ
P(ちひろさんは用事で外出。ちひろさんが帰る頃には、俺はもう帰宅しているだろう)
P「まさかここまで続くなんてびっくりだ。提案した薫と千枝も喜んでいるだろうな」
P(……)
P「……よし、最後の一仕事でもするか」パラ
カキカキ……
――志乃の日記、その後
[事務所]
志乃「ふふ……遅かったわねえ、Pさん?」クイ
あい「あ、ああ……おかえりPくん……ふぁ」グテ
瑞樹「あら? P君も呼んでたの?」ゴク
P「帰ってきたらこれか……。ちひろさんは?」ハア
楓「合法にごーほーむ……ふふ、えへへ」クピ
P「つまり帰ったということか……はあ。あいさん、起きれますか?」ユサユサ
あい「問題ない…よ、これくらい。ふふ、Pくんに囲まれるのも、悪くない」
P「俺は一人ですから。どんだけ付き合ったんですか」
志乃「まるで王子様のようね……糸は白かしら、赤かしら。…赤がお望みなら、ワインはあるけど、ふふ」
P「酔ってるようでやっぱり冴えてますね、志乃さんは。…ああもう、仮眠室に連れて行きますから、俺の分用意しといて下さい」ガタ
あい「ああ……空が白いな、Pくん」
P「それは天井ですよ、あいさん」
スタスタ…
瑞樹「……まさかお姫様抱っこをリアルで見ることになるとは思わなかったわ」
楓「ぷー…私もしてほしいです」
志乃「楓には無理よ。あいのように仮面を被ってはいないのだから…ふふ」クイ
瑞樹「表目、というべきよね。まあ、続けましょう」グビ
楓「じゃあプロデューサーさんには日本酒をですねぇ」トクトクトク
・ ・ ・
――数十分後
楓「……すぅ」
瑞樹「むにゃ……ふふ」
P「思ったより早く沈んだな……いつから始めてたんですか?」
志乃「いつって…多分夕方ぐらい?」クイ
P「まだ普通に他の人いるじゃないですか…節度を持ってと言ってるのに、全く」グイ
志乃「あら…いい飲みっぷり」
P「別に酒が弱い訳じゃないですからね。仕事で疲れてるから余計に進みますよ」
志乃「うふふ……そこは、アイドルに囲まれてるから、といってほしいわね、プロデューサーさん?」
P「……否定はしないでおきます」
志乃「あら…意外と純情なのね。可愛いわぁ」ナデナデ
P「ワイン片手に頭を撫でないで下さいよ」
志乃「あらぁ…私にとっては、Pさんも子供よ?」
P「バカにしてるんですか?」ムッ
志乃「勘違いしないの。ふふ……子供だから尊敬してるのよ。有りのままに強く生きるあなたが、鮮やかに映るわぁ」
P「……そういうものですか」ゴク
志乃「ええ。そういうもの。人を動かすのは、いつも純粋な感情。…Pさんにしかない、綺麗な血。それを飲めば私も若返るのかもしれないわね、うふふ」
P「どこぞの吸血鬼のような事を……いや、その綺麗さは吸血鬼とでも言うべきですかね?」
志乃「あら、嬉しいわ。……でも、血を吸うのはPさんの方からでも良いのよ、ふふ」
P「俺がですか?」
志乃「この前言った事…記録にされていた文字、読んだのよね? ……じゃあ、飲み比べしたらどう?」
P「飲み比べって…」ピク
志乃「私の唇? それとも楓の首筋? ……ふふ、あなたが娘達を統べるのなら、味を知っておくのも悪く無いと思うわ……」
P「…やっぱり酔ってますよね、志乃さん」チラ
志乃「そう言いながら、視線はどこを向いているの?」クス
P「うっ」ドキ
志乃「ふふ…いいのよ、どこを見ても。今の私の血肉は、あなた同然のなの」
P「……はあ。敵いませんね」
志乃「それでいいの。子供でいるからこそ、私は私でいられるようなものだから」コト
P「……志乃さん?」
志乃「ちょっと進み過ぎたみたいね。少し休ませてもらうわ。……ふふ、そうなったら起きているのはPさん一人ね」
P「ちょっと志乃さん、いきなり何を――」
グイッ!
志乃「…体を温めるのはお酒じゃないわ。…少し、Pさんの温度を借りるわね。…うふふ、お礼なら寝ている間にね?」
P「し、志乃さ……って、寝るの早いな」
シーン…
P「……はあ。俺もまだまだ子供ってことなのか」
[おわり]
――裕美の日記、その後
[事務所・雨]
ガチャ
裕美「ただいま……ふぅ」
P「おかえり、今日も雨だったろ。ほら、タオル」パサ
裕美「わっ…。この時期の雨は冷たいね」フキ
P「ああ。そろそろストーブも導入しないとな……とりあえず体拭いてソファで休んでくれ。その間に温かいもの用意しておくから」
裕美「うん。ごめんね」
P「気にするなよ」
フキ…
スタスタ
P「はい。多めに淹れてるから、おかわりもいいぞ」
裕美「温かい……ふふ、Pさんも何だか慣れてるね」
P「そりゃ、毎年こういう時期はあるからなあ。いっそ執事にでもなってみるか」
裕美「なにそれ、ふふっ」
P「そんなに笑うことはないだろ……座るぞ」ドサ
裕美「仕事はいいの?」
P「とりあえず期限の近いものは終わらせてあるからな。少し休憩だ。……あー、おいし」ゴク
裕美「……うん、おいしい」クピ
ザー…
P「ああ、そうだ。今度莉嘉にアクセサリー作り教えるんだって?」
裕美「え、そうだけど……莉嘉ちゃんに聞いたの?」
P「この前姉妹と出かける機会があってな。その時裕美の作った物を自慢気に俺に見せてくれたよ」
裕美「…よかった、喜んでくれたんだ」
P「美嘉も手先が器用だなって感心してたし、その後の買い物で手芸店に見に行きもしたよ。莉嘉、習うんだーってやる気満々だったな」
裕美「ふふ、いきなり躓かないといいけど」
P「お、手厳しいな」
裕美「違うよ。やる気がありすぎたら、肩透かしをくらっちゃいそうだなって思っただけ」
P「難しそうに見えるけどなあ…」
裕美「ううん。思った以上に簡単なの。…私が笑うことも、楽しく話すことも、皆にとっては簡単なように」コク
P「……」
裕美「ああ、もう大丈夫だよ、大丈夫。笑うことが大好きだし、事務所の皆とも、ファンの皆とも話すことが大好きだからっ」
P「よく頑張ったよ、裕美は。最初は大変だったろうけどな」
裕美「私がヘマをする度に何時間も付き合ってくれたっけ。ふふ、懐かしいな」
P「そのかいあって楽しくやれてるんだ、無駄にならなくて俺も良かったよ」ハハ
裕美「それを皆にも同じようにやってるんだよね……凄いな」
P「別にすごくなんかない……っていうと怒られそうだな。じゃあ、当たり前の事をしただけさ」
裕美「ぷっ、キザっぽいね。似合わない」
P「うるせー」ポン
裕美「わっ。…あはは。照れてる」
P「まさかからかわれるまでになるとはな……まあいいや、ついでに仕事の話をするがいいか?」
裕美「仕事? うん、大丈夫だよ」
P「そうか。じゃあこれを見てくれ」パサッ
裕美「これは……少女向けのファッション雑誌だね」
P「ああ。今度、特集で莉嘉をモデルに裕美、お前が全体をコーディネートすることになった」
裕美「……へ? 全部?」
P「莉嘉のお願いでな。ある程度雑誌側の規定を守りつつ、裕美のセンスを莉嘉に着せてやってほしいんだ。できるか?」
裕美「でも、私にできるのはアクセサリーだけで、服装なんて……」
P「…そろそろもう一度歩き出す頃合いだと思うぞ」
裕美「え?」
P「出来ないと思っていたそれも、いつしか出来るようになって世界が広がったんだ。時間がかかってもいい、一歩進めば、今やっていることも、もっと素晴らしくなるはずだ」
裕美「アクセサリーから、全部に……か。できるかな」
P「出来るさ。出来ないことなんてない。裕美なら知ってるだろ?」
裕美「……うん、そうだね。やってみる」
P「よし、ならそれで行こう。頑張れよ」
裕美「もちろん。莉嘉ちゃんのお願いもあるしね」
P「はは、莉嘉も大分裕美の事を好いてくれてるみたいだぞ」
裕美「ふふ、失敗できないね……あ、そうだ」
P「ん、どうした?」
裕美「この前三人で出かけたって聞いたけど、具体的にどんなことをしたの?」
P「……いや、普通に出かけて」
裕美「具体的に、だよ」
P「う……言わないと駄目か?」タジ
裕美「そこまで言われると逆に何が合ったのか気になるけど…ただ莉嘉ちゃんの好みを知りたんだ」
P「それなら、今度一緒に出かければいいんじゃないか?」
裕美「それもそうだけど、やっぱり莉嘉ちゃんが輝くのは、好きな人と一緒に居る時だから…なんて。言いすぎかな」
P「ああ、なるほど。莉嘉は姉ちゃんにべったりだからな、はは」
裕美「あ、うん…そうだね」
P「そうだな、確か最初にデパートに行った時だったかな――」
ペラペラ…
裕美(…センスを磨かないと駄目なのは、Pさんの方かも)
[おわり]
・ ・ ・
――事務所、夜
カタカタ…
ちひろ「――少し休憩しようかしら」フゥ
ちひろ(関係企業との打ち合わせを終え、帰ってくればもう夜遅く。プロデューサーさんも既に帰宅していて、私独りの事務所は何だか久しぶりなような気がします)
ちひろ「……私のこの景色も、毎日見てきたなあ」
ちひろ(プロデューサーさんと出会って、一人目のアイドルと出会って、それから見届けて、応援して)
ちひろ「覚えていないことも多いけど、ずっと歩いてきた気がする…なんて、独り言も酷いわね、私」
ちひろ(ずっと過ごしてきても、誰もいない夜の事務所は昔の景色と似ています)
ちひろ「…でも、前には進んでるのよね。今は、日記がそれを証明書かしら、ふふ」パラッ
ちひろ(アイドルと、プロデューサーさんと、私の歩んできた記録。掻き消されそうでも、みんなと共有することで消えない思いを築いた日記)パラッ
ちひろ「みんなもページいっぱいに書いて、プロデューサーさんも全部にコメントして――って、これは……」パラ
ちひろ(そんな記録集の、小さな区切り。それをつけたのは――)
ちひろ「……ふふ、プロデューサーさんも律儀ね」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
×月■日
歩くのは俺だけじゃない。同時に、皆一人ひとりだけじゃない。
二人三脚、三人四脚、あるいは全員で一緒に歩く時もある。
この日記を読んで、俺の知らない、魅力的な世界が広がっているんだと知ったよ。
何を見て聞いて何を思い、何を夢想しどう歩むのか。
例え同じ物を見たとしても、決してそれらは同じにはならない。
それは皆がアイドルとして強く輝いている証拠だ。
そんな皆に接することは、俺がプロデューサーとしては勿論、一人の人間として最高の
出会いと出来事を経験しているのだと思う。
この先、何が起こるかはわからない。
泣き叫ぶかもしれない。怒り狂うかもしれない。あるいは、絶望するかもしれない。
未来は、どうとでも転ぶ。
だが、皆を見ていると俺は自然と信じられる。
手を取り合って競い合って、時には支えあって、輝きを増し――いつかは、同じ舞台で
最高のパフォーマンスで全世界のファンを魅了させることができるんだ、と。
だからこそ、俺は皆と一緒に居たい。
いつか一人ひとりの道を歩んで最高の輝きを見せるその瞬間を、間近で見てみたいから
だ。
そのために、全力で頑張るよ。
だから、申し訳ないがもう少しだけ、こんな俺が一緒に歩くことを許してほしい。
その代わり、必ず皆をトップに立たせるから。
この事務所に居る未来あるアイドル達に、願わくば幸せたらんことを。
そして、一つだけの人生と時間を、最高の瞬間で刻まんことを。
拙いプロデューサー、Pより
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
空白期間入れて三ヶ月くらい?
とりあえずくぅ疲。色んな子が書けて楽しかったです。
特に蘭子とか周子とか。
とにかくお疲れ様でした。
安価取って下さった方、ありがとうございました。
あと目次も置いときます。計算したら20回やってるのねこれ…
〜目次〜
・第一回(>>1->>14)
渋谷凛、姫川友紀、双葉杏
・第ニ回(>>23->>36)
日下部若葉、神谷奈緒、棟方愛海
・第三回(>>50->>67)
城ヶ崎美嘉、若林智香、城ヶ崎莉嘉
・第四回(>>79->>95)
水本ゆかり、高森藍子、鷺沢文香
・第五回(>>110->>121)
大原みちる、小日向美穂、高垣楓
・第六回(>>155->>172)
佐々木千枝、桃井あずき、佐城雪美
・第七回(>>193->>209)
三船美優、黒川千秋、岡崎泰葉
・第八回(>>238->>241)
ヘレン、相原雪乃、道明寺歌鈴
・第九回(>>268->>281)
吉岡沙紀、藤原肇、冴島清美
・第十回(>>305->>319)
高峯のあ、塩見周子、島村卯月
・第十一回(>>334->>345)
神崎蘭子、水木聖來、アナスタシア
・第十ニ回(>>358->>367)
本田未央、松原早耶、十時愛梨
・第十三回(>>380->>389)
諸星きらり、千川ちひろ
・第十四回(>>399->>407)
松本紗理奈、森久保乃々
・第十五回(>>416->>423)
前川みく、緒方智絵里
・第十六回(>>433->>442)
喜多見柚、北条加蓮
・第十七回(>>451->>459)
ケイト、鷹富士茄子
・第十八回(>>467->>476)
工藤忍、川島瑞樹
・第十九回(>>483->>493)
栗原ネネ、氏家むつみ
・第二十回(>>507->>520)
柊志乃、関裕美
合計52人
ちひろ「何だか意外です。でもまあ、頑張って下さいね」クス
P「いや、勿論ちひろさんもやるんですよ?」
ちひろ「え?」
P「『みんなで交換日記』ですから。ちひろさんだって事務所の仲間です」
ちひろ「プロデューサーさん……」
P「俺が担任なら、ちひろさんは副担任でしょうかね」ハハ
ちひろ(CGプロ組担任P、副担任私……ふふ――ああ、いけない、私ったら)
P「じゃあ事務所の邪魔にならないところに定位置を作って……っと」
ちひろ「薫ちゃんが帰ってくる前に、記念すべき一ページを書いてくださいね」
P「わかってますよ。じゃあこれ書いてから営業行ってきます」サラサラ
ちひろ「うわ、早いですね。書くこと考えていたんですか?」
P「そうでもないです。ただ、最初ですから軽い感じに……まあ、こんなもんか」パタ
ちひろ「大体の人って、白紙を目にすると迷うものですけどね」クス
P「ああ、わかります。書き出しがわからなかったり」
ちひろ「流石はプロデューサーさんということですね。もう出ますか?」
P「はい。じゃあ行ってきます」フリ
ちひろ「今日も頑張ってきて下さいね」フリ
ガチャン!
ちひろ「……さて、時間もあるし、私も書いておきましょうか」パラ
ちひろ(プロデューサーさん、字が綺麗だな……。文章もしっかりで)
ちひろ(真面目なんだけど堅苦しくなくて、事務員の私にも気さくに話しかけてくれて)カキカキ
ちひろ(アイドルの皆にも好かれて、営業も上手くて……でも時々抜けてたり、ふふ)カキカキ
ちひろ(そんな所がまたプロデューサーさんらしくて格好よかったり――って)カキ…
ちひろ「うわ、私ったら一体何を書いているの!?」ゴシゴシ!!
日誌「クシャクシャ」
ちひろ「何やってんだろ、私……。はあ、無難にアイドル達に軽くルールでも書いておきましょうか」カキカキ
ちひろ「じゃあこれぐらいにして、元の位置に戻して……仕事始めますか。頑張れ、私っ」
・ ・ ・
――翌日、事務所
P「お、昨日から始まったのにもう書き込まれてるな」パラ
ちひろ「ええ、昨日プロデューサーさんが居ない間に来たアイドル達に説明したら色々書いて行きましたよ」
P「それだともう学級日誌よりも単なる自由帳になってますけど…まあいいか」ハハ
ちひろ「ご丁寧にみんなページ下空けてますから、返信したらどうです?」
P「うわ、本当だ。枠まで作ってるアイドルも居るな」
ちひろ(まあ私がそうするように教えたんですけどね)
P「よし、じゃあ休憩の合間に早速書こうか。……一番目のアイドルは凛か」
ちひろ「プロデューサーさんとすれ違いで来てましたからね。呆れつつも結構乗り気でしたよ」
P「はは、凛らしいな。さてと、日記の内容は――」
○月×日 天気:晴れ
担当:渋谷凛
プロデューサーってば、また変な事をやり始めて……って思ったけど違うみたい。
ちひろさんに話を聞くと、どうやら薫が言い出したんだって。
事務所に常備する交換日記っていうのも何だか面白いね。
というわけで、何と最初は私みたい。
何でも好きな事を書いていいってちひろさんは言うけど、考えないとこういうのは難しいね。
…特に何も思いつかないから、とりあえずプロデューサーへ伝言。
この事務所が出来て最初に来たのが私だけど、もう随分と時間が経って、色んな人がやってきたよね。
個性のあるアイドルが沢山来て、当時はプロデューサーのスカウトに疑問を感じたりもしたよ?
でも、みんなそれぞれ活躍してるんだから、凄いよね。
それもこれもプロデューサーの見抜く力があるからなのかな?
それの最初が私なのは、喜んでいいんだよね、ふふっ。
それで……私もみんなも忙しくなって 昔に比べたらプロデューサーと話す機会は減ったね。
一日会わないことも増えていきて……嬉しいんだけど、ちょっと寂しいかな。
でも、私はあの頃から気持ちは変わってないよ。
これからも一緒に頑張ろう、プロデューサー。
そして、みんなともね。
P「凛……」ジーン
ちひろ「事務所設立からずっと頑張ってる子ですから、思い出も多いんでしょうね」
P「俺も失敗続きでよく凛に怒られたなあ……」
ちひろ「それがここまで来れたんですから、やっぱり凛ちゃんはウチのメインアイドルですね」
P「あんまりアイドル内で上下は決めたくないんですけど…密度は断トツです」
ちひろ「じゃあ、早速返信してあげて下さい」
P「そうだな……」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
俺のスカウトにのってくれて本当にありがとう、凛。
事務所がここまでこれたのは、間違いなくお前のおかげだよ。
最近話す機会が無かったのはすまない。
よかったら、いつか時間合わせてどこかご飯でも食べに行こうな。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
P「こんなもんか」
ちひろ「凛ちゃんも喜びそうですね。言ってくれたらスケジュールも調整しますから」
P「ありがとうございます。それならすぐに実現しそうだ」ハハ
ちひろ「じゃあ次のページに行きましょうか」
P「ですね。……ええと、次は友紀? 珍しいな」
ちひろ「オフなんですが、今週の試合のハイライトを見に事務所に来てました」
P「いつも中継で見てるだろうに…というか何故事務所で見る」
ちひろ「私は野球、詳しくないですから……友紀さんなりの好みがあるんでしょうね」
P「全く……まあいいや。内容はっと――」
○月×日 昨日は勝った!明日も勝つよ!
いえい!
キャッツは現在独走中であります!
いやーやっぱりキャッツは良いね。みんなカッコいいし。
また明日もがんばろーって思うもん。
それで気持ちいいオフを家で録画見ながら過ごそうと思ったら事務所に忘れて来ちゃったんだよねー!
だから事務所に来たんだけど、したらちひろちゃんがこの日記のこと教えてくれて書いてみたって訳ですよ!
あたしはこういうの似合わないんだけど……まあキャッツが勝ったから特別にかいてやろーじゃんってことで!
そーいえばさー、聞いてよプロデューサー!
最近夕からの仕事が多くてナイトゲーム見に行けないんだけど!!!
今日はオフなのに試合無いし……。
これはもう他チームから終身名誉キャッツファンのあたしへの妨害工作とみたね。
あたしがキャッツの原動力になってることが脅威なんだよ!
というわけでお願いプロデューサー、あたしに時間をちょーだい!
そうだ、それでプロデューサーも見に行こう! キャッツを見れば、絶対好きになるから、ね!?
熱い声援を送りながら飲むビールは美味しいからさ!
……って、にゃはは、ビールは事務所でもおいしいかな!
目指せキャッツ優勝! そしてビールかけに参加したい!
byユキ
P「……まあ日記らしいといえば日記らしいが」
ちひろ「ついでに言うと友紀さんらしいですね」
P「つーかオフに事務所に来てまでビール飲むなよ友紀! ここは居酒屋じゃない!」バンッ!
ちひろ「事務所内にアルコール専用の冷蔵庫がある時点でもうどうしようもないかと思うんですが」
P「うちのアダルト組、大体アルコールに節操ないからなあ……アイドルなのになあ…」ハァ
ちひろ(プロデューサーさんがアイドル像に嘆いてる…)
P「まあそれも含めて親しみやすさがウケているのも事実なんだが」
ちひろ「野球好きからは特に大人気ですもんね、友紀さん」
P「…たまには一緒に球場に行くのも悪くないか。じゃあ……」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
別に駄目とは言わないが、事務所内での飲酒は控えるように。
トラブルの元だからな。
時間に関しては申し訳ない。
ただ、アイドルなんだから仕事を優先してくれよ?
このまま仕事を続けて、余裕ができたらまた野球を見に行こうか。
俺は野球はあんまり知らないから教えてくれると嬉しい。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「随分と紳士的ですね」
P「お酒が美味しいのは事実ですから…頻度さえ気をつけてもらえば飲んでもいいんですよ」
ちひろ(本人に直接訴えれば治るような気もしますけど)
P(…正直な話、お酒飲んでる友紀は色っぽいんだよなあ)
ちひろ「…何か考えてます?」
P「イエ」
P「そして次に……杏だと!?」ビクッ
ちひろ「やっぱりそう言いますよね」
P「いや、だって、え? あの杏が日記を書くって……」オロオロ
ちひろ「正直私も書かないかなあと思ってたんですけど、存外素直に書いてくれましたよ」
P「あいつ、何が目的だ……?」
ちひろ(担当プロデューサーにそう思われるアイドルって一体……)タラー
P「ま、まあ書いていることは事実だから、まずは読むか…ええと」
同日
杏が書くはずがないって思ったでしょ?
なんかそう思われるのがむかついたんで、ここで少し本気を出してやろうじゃないか
……あー、でもめんどい
交換日記って普通こんなオープンじゃないでしょーが。
別に見られて恥ずかしいもの書かないから杏はいいけどさ
とりあえず凛がそれっぽいこと言ってるんで杏も言うよ。
最近みんな事務所のお茶うけ、もとい飴を食べ過ぎてるんだけど。
即急な供給量増加をもと
うん、つかれたおわり
by書いたからオフくれ
P「杏……」ガックシ
ちひろ(あれ、凛ちゃんの時と同じ感じなのに何か違う)
P「……まあ杏にしてみれば餌もなしによく頑張った、ということにしておこうか」
ちひろ「やればできるんですけどね…」
P「あいつはできないんじゃないんです。やらないだけで」
ちひろ「正直、一層たちが悪いですよねそれ」ハァ
P「いいんだ、それで人気が出てるんだから……世の中がわからないよ」
ちひろ「…それで、返信はどうするんです?」
P「えーっと……まあ、こんな感じで」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
俺は書くと思ってたよ。嘘じゃないぞ?
特に内容を限定するわけじゃないから、よかったらまた書いてくれ。
それでお菓子の件だが、確かに最近よくアイドルが出入りするから
多少減りは早いかもしれないな。
杏達のお陰で事務所もいい感じだし、ちひろさんと相談して
考えるよ。意見ありがとう
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「あの……少し思ったことを言ってもいいですか?」
P「ん、何かありました?」
ちひろ「いや……なんかもうこれ、小売店のご意見カードみたいになってません?」
P「……」
ちひろ「……」
P「今回書いてたアイドルは三人だけだな」パタ
ちひろ(流したーっ!?)ビクッ
P「まあ一人ひとり書いても時間がかかるだろうし、妥当だろうな」
ちひろ「え、ええ。これから順番にオフなんかも回ってきますから、次に見たらまた増えてますよ」アセ
P「薫の案で始まった交換日記でも、中々良いコミュニケーションツールになるもんですね」ハハ
ちひろ「こうして書き記す事が口で伝えるよりも簡単ですから」
P「それもそうだ……っと、思い出した」
ちひろ「どうしました?」
P「俺の次に書いたちひろさんのページにも返信してもいいですか?」
ちひろ「ふぇ!?」
P「注意書きが殆どですが一応書いてくれてるみたいなんで…」
ちひろ「え……じゃ、じゃあお願いします」
P「はは、任されました」
・ ・ ・
――凛の日記、その後
凛「おはよう…あ、プロデューサー」ハッ
P「おお、凛か。日記読んだよ」
凛「…何だか本人の目の前でそう言われるのは照れるね」
P「でも凛の気持ちが知れて俺は嬉しいと思うよ。返信は見てくれたか?」
凛「うん、見たよ。明後日は仕事が昼までなんだけど、プロデューサーはどう?」
P「明後日か……よし、わかった。空けておこう。場所はどうする?」
凛「プロデューサーが決めてくれるならどこでもいいかな」クス
P「あんまり期待するなよ……」
凛「やだよ。期待するからね、ふふっ」
ちひろ(なんといういい雰囲気……!)
・ ・ ・
――友紀の日記、その後
P「ふう……風呂も入ったし、明日も早いから寝るかあ――」ピロリロ
P「って、その前にメールか」ポチポチ
――――――――――――――――――――――――――――――――
やっほー! いつもお疲れ様!
日記見たよ、そんで明日にでも行こうよ!!
――――――――――――――――――――――――――――――――
P「いやいや、明日も仕事入ってるから」ハァ
P(次のオフはいつだったっけ……と、来週は空いてるな)カコカコ
P「来週の水曜日にしよう、と」ピロリーン
P(返信はえぇ……)
――――――――――――――――――――――――――――――――
その日はナイトゲームだね。キャッツがもっとカッコよくなって
もっとビールが美味しくなるよ!
野球を知らないプロデューサーにも好きになってもらうようにあたしも
頑張るから、一杯楽しもうね!
それじゃばいばい!おやすみ!
――――――――――――――――――――――――――――――――
P(大人らしからぬ文面…いや、二十歳なんてこんなもんか)
P「体調崩すなよ、と。よし、俺も寝るか」ケイタイポイッ
P(…まあ、行く前にキャッツのメンバーくらいは覚えておこうかな)
・ ・ ・
――杏の日記、その後
P「そこのソファーのブランケットに埋まってる芋虫アイドルー?」
杏「……なにさ」ニョキ
P「芋虫で反応するのか……いや、日記読んだぞ」
杏「あっそー。じゃあオフはくれるんだね」
P「それはない」キリッ
杏「きちくー……」
P「それはおいといてだ。ほらこれ」ガサッ
杏「……おー、杏の好きなアメじゃないか」パク
P「許可が出たから少し増やしておくからな。…全部食うなよ?」
杏「しかたない、オフの代わりで許してやろうじゃないか」
P「ありがとう、じゃあ今からレッスンだから行けよ」
杏「アメを食べるので忙しいから後にする」
P「そんな言い訳が通じるかっ!」ズルズル
杏「しょけんらんよーだぞばかーやめろー!」ヤメローメロー…
交換日記なようで交換日記でない、そんなノートに書き綴る事務所のSSです。
変わるかもしれませんが、とりあえずこんな感じで進めていきます。
書くキャラや内容等は安価で行なっていきますので良かったら書き込んでいって下さい。
次に日記に書くアイドルは
>>16,>>17,>>18
です。
・ ・ ・
――ある日の事務所
P「ただいま戻りましたー……あっつぅ」ガチャ
ちひろ「おかえりなさい。スタドリ要ります?」スッ
P「いただきま……何普通に売りつけてるんですか」
ちひろ「要らないんですか?」
P「……あー美味しいなあ」ゴクゴク
ちひろ(やったぜ。)
P「体力は回復したけどエアコンが体に効くまで何もしたくないなあ…」グデー
ちひろ「なら、日記の方見てみては?」
P「パソコン触るのも面倒だし、そうするかー……」グデー
ちひろ(夏の暑さでプロデューサーさんが杏ちゃん化してる……)
P「それじゃあ続きは――若葉か」
ちひろ「若葉さんには呼び捨てなんですね」
P「まあ本人はそういうところ気にしてますから。少なくともプロデューサーの立場の人間くらいは意を汲まないと」
ちひろ(そういう所が優しいって言われる所以なんだろうなあ)
P「でも若葉の書く内容ってのは少し気になるな、どれ――」
○月△日。
このページは私、日下部若葉が書くことにしました〜。
みんなもこの日記のことは知ってるのですが、どうやら恥ずかしがっているらしいです。
私は別に大丈夫ですよ?
だって、こういうことは昔からやってみたかったから――って、子供っぽい考えとかそんなんじゃないですからね!
……まあ、私が率先してやることで、恥ずかしがってる人たちにもハードルを下げられたらいいかな、と思ってます〜。
本日、天気は晴れです。雨雲さんは足が遅いみたいです。
今日もまだまだ暑いですが、みんなも一生懸命レッスンや仕事に励んでますっ。
って、そんなことは知ってますよね。Pさん。
ええと……ここは良き大人として、話題を提供するべきですよねっ。
……この前地方ロケに行った時、時間が空いたそうなので一人で観光してたんです。
そうしたら駄菓子屋があって、懐かしいなーと思って入ったら中に居たおばあちゃんがとってもニコニコして私にお菓子を色々くれたんですよ〜。
これ知らんだろ、これ食べてみんさい、いやーこんなところに来るなんて一体どうしたんだい、親御さんはー、一緒に探してやるから、これで辛抱しいなって。
……まだまだ私の成長は続けて行かないと駄目みたいです。
Pさん、よろしくお願いしますね〜。
P「若葉……」ジーン
ちひろ(どうしてだろう、悲しくなってくる)
P「相手がご年配となると、やっぱり知名度も低いのは仕方ないのかなあ」ウーン
ちひろ「初対面の人間相手にそこまでしてくれるってそうそうないですよね、そのお婆さん」
P(あのルックスと性格を活かせばそういう層にもウケそうではあるが……要相談だな)
ちひろ「成長期っていつぐらいまであるんでしたっけ?」
P「うーん、まあ遅ければ22歳らしいですが…」
ちひろ(言外の言葉が読み取れるのが悲しい)
P「まあ人間見た目じゃないぞってことで――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
流石若葉、大人らしくいい率先役になってくれるな。
これでもっと色んなアイドルに書いてもらえたら俺達も嬉しいよ。
地方ロケといえば、2ヶ月前のやつだよな?
あそこはご年配の方々が多いからそんなに気にするなよ。
それに、相手方も若葉を心配してくれての言葉なんだからな。
……って、それで納得できるなら問題はないか。
じゃあ……ああそうだ、今度事務所の中で親交会をやるんだが、
よかったら若葉もセッティングを手伝ってくれないか?
若葉なら効率よく進めてくれそうだからな。余裕があれば頼むよ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「…何か体よく労働力を確保しようとしてません?」
P「いやいや、そんなまさか」
ちひろ(まあアダルト組がそういうのに向いていないといえばそうなりますけど)
P「……若葉は気にし過ぎなんですよ、結局」トン
ちひろ「子供に見られるってことがですか?」
P「はい。アイドルになった時点でそれはもう強力な武器になっているのに、
いつまでも目的に固執しちゃ駄目です」
ちひろ「本人の気持ちですから、難しいですよね」
P「それを自覚して自分の手に持つことが出来れば、もっと輝けると思うんですが……」
ちひろ「それをどうするからプロデューサーさん、あなたの手腕ですよ」
P「ええ。絶対満開にさせてみせます」
ちひろ「心強いですね。…じゃあ、次の人に行きますか」
P「そうですね……と、今度は奈緒だな」
ちひろ「彼女も珍しいような気が。こういうの恥ずかしがるタイプですし」
P「はは、確かに。でもまずは見てみますね――」
○月△日 天気:晴れ
担当:神谷
あー、なんだこの緊張。
別に何も書くことないのになぁ。どうしてこんな物事務所に置いちまったんだ。
……そりゃー、他人の日記を読むのって面白そうだとは思ったけど。
あー、それで書くのは嫌だとは言えないよなあ。卑怯だって話だ。
じゃあ今日の出来事でも書くか。
いつもクールぶってる凛が、スケジュール帳に間違って書いてしまってた黒い曲線を髪の毛だと思って払ったけど払えなくて何度も払ってた。
それでその内気付いた時にはもう加蓮に見られてて『なーにやってたのかなー?』とか言いながらニタニタ笑っておちょくってたよ。
そしたら凛は凛でプロデューサーとロケに行った時の加蓮の浮かれっぷりを槍玉に挙げて反撃するし、何かとばっちりであたしのプロデューサーへの……ってそれはいいだろ!
とにかくあいつら対抗意識強すぎてこっちに何がくるか……気をつけねぇと。
↑嘘をつかないでよ奈緒。私がそんな事に気付かないわけないじゃん
プロデューサーも信じちゃだめだからね、奈緒の言うこと
まあこんなもんか。
前の若葉さんに沿って書いたからこれで合格だろ。
……これ、プロデューサーに見られるんだよな?
あ、あーもうなんか恥ずかしい!
柄じゃないのはわかってるけどさ、若葉さんに誘われて書かざるを得なくなったんだよ!
もういいや、乙。次の人に渡してくる!
P「途中の別の人が書いたらしき文字は……気にしないでおこうか
ちひろ「きっと凛ちゃん、あれが鉛筆の軌跡だと気付かなかったんでしょうね」
P「あいつ、雰囲気は大人っぽいのに、たまにああいう事をするから可愛いんですよ」
ちひろ「付き合い長いですから、お見通しですか」
P「です。……でもまあ、奈緒はまだまだこういうのは恥ずかしいか」ハハ
ちひろ「むしろ奈緒ちゃんってこういうのやってそうですけどね」
P「やりたくても恥ずかしくてやれなかった、ってな所でしょう。文章が楽しそうだ」
ちひろ「若葉さんに誘われたって書いてますけど、やっぱり内面は?」
P「嬉しさ半分、迷い四分の一って所ですかね」
ちひろ「四分の一? 残りは何ですか?」
P「感謝ですよ。作ってくれた薫と、誘ってくれた若葉への」
ちひろ「……プロデューサーさん、柄じゃないです」
P「ほっといてください。じゃあ返信は――」
――――――――――――――――――――――――――――――――
はは、普段のアイドル活動に比べればこれぐらい何ともないだろ?
あんまり恥ずかしがってちゃせっかくの奈緒の可愛い顔が勿体無いぞ。
その顔もまたいいんだけどな?
でもまあ、よく逃げずに書いてくれたよ。
若葉には感謝しないとな。
ただ途中の文字については……二人で話し合ってくれ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「一部投げましたね」
P「あの二人だからですよ。トライアドプリムスは仲が良くて何よりです」ハハ
ちひろ「私から見てもよくわかりますからね、あの三人は」
P「そういうことです。じゃあ次は――」
○月△日 薄着の季節だねっ☆
なんか奈緒さんに渡されちゃったけど、女の子のヒミツが隠されてそうでこりゃ重要機密文書じゃないかなー!
ちょうど事務所の入り口ですれ違った時に渡されたからびっくりしたけどさ、運命とはこういうことだよね☆
というわけでおーぷん……でも何もかいてないじゃないのさー!
こうなったらあたしがそのパイオニアになるよっ☆
……うひひひ、なんかこの言葉っていいよね、今度誰かに言わせてみようっと。
じゃあ第一弾でーす!
最初は卯月さん☆
プロデューサー、よくあんな逸材を見つけられたね!
もちろんあたしの庭はお山なんだけど、卯月さんはもうひとつのお山もすばらしい!
なんといってもあのおしり!
柔らかいんだけど押し込んだ時に強まる弾力!
レッスンで鍛えたものはやっぱり偽物とは違うよね!
本人はそんなことないっていうけど、脂だけが美味しさの全てじゃないってことは、分かる人にはわかるんだよ☆
もちろんそれだけじゃない、卯月さんが素晴らしいのはリアクション!
何度やっても初めは驚いて可愛い声をあげてぇ、それで顔を赤らめて控えめて止めてっていう声色がもう―――
P「はい、やめやめー」バタッ
ちひろ(うん、擁護のしようがなかった)
P「なんなのアイツ。ウチのアイドルにセクハラとか何なの? あいつもウチのアイドルだけど!」
ちひろ「愛海ちゃんをスカウトしたのはプロデューサーさんですよ……」
P「いやね? 確かに初対面で片鱗どころか全部見えてたけどさ、黙ってると可愛いんだよ、愛海」
ちひろ「まあ、音声さえ消せば立派なアイドルですよね」
P「女の子と友達になれるとは言った! だが登山家になれとは言っていない!」ダンッ!
ちひろ「……とりあえず、どうします?」
P「卯月のためにも後半部分は修正を入れるとして…」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
オーケーオーケー、今度俺と契約書を確認し合おう。
人には不可侵の領域がある。そこに踏み込むことは、お前の登山家人生に
幕を下ろすことになるぞ。
…清良さんに相談しておくから、それまでおとなしくしておくように。
あと、プライバシーの関係上一部修正を入れるからな。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「おいたわしや、卯月ちゃん…」
P「あいつなら大丈夫だとは思うが……今度ご飯にでもつれてってやろう」
ちひろ「そうしてあげて下さい、卯月ちゃんのために」
――
――――
――――――
P「はあ……なんだか最後の愛海のせいでどっと疲れたような気がする」
ちひろ「初犯なんて言葉を忘れてしまうぐらい昔からですけどね……」
P「いやまあアイツもボーダーラインは見極めているだろうし、そこまで大事件にはならないだろうが……他のアイドルの士気にも関わるから、考えていかないと」ウーン
ちひろ「それでも、ペアを組ませると相手によってはその子がいい表情をするって向こうのディレクターに人気なんですよね、あの子」
P「アイドルが大勢の男と柔らか談義をするって新時代すぎるわ」
ちひろ(振り分ける属性を間違えたかな……)
P「――っと、もうこんな時間ですか。作業を再開しないと」
ちひろ「あら、いけない。日記は戻しておきますね」
P「すいませんお願いします。……よし、やるか!」ガガガ
・ ・ ・
――若葉の日記、その後
[事務所、応接間]
若葉「――と、以上で行きたいと思うんですがどうでしょうか〜?」
真奈美「ああ、いいと思うぞ。振り分けも問題ない」
雪乃「私も皆さんのためにがんばりますわ♪」
若葉「ありがとうございます〜。では親交会がうまくいくように頑張りましょうっ」
オー…!
P「みんなもちゃんとついていけてるし、若葉に任せてよかったな」ウンウン
ちひろ「でも内心不安だったんじゃ?」
P「そうでもないですよ。ウチのアイドルは皆仲良しですからそうそう争い事なんて」
ちひろ「なら若葉ちゃんじゃなくても……」ボソ
P「あの日記を見て真奈美さんに相談したら、彼女も賛同してくれたんですよ。若葉をまとめ役にしようじゃないか、って」
ちひろ「ああ、そういうことですか」
P「騙すようで悪い気もしますが、実際仕切り方も上手いですからこれで振り切ってもらえるといいんですけどね」
若葉「Pさーん、ちょっとこっちに来てくださ〜い!」フリフリ
P「ああ、わかった。すぐ行くよ!」タッタッタ…
ちひろ(うまいなあ、プロデューサーさん)
・ ・ ・
――奈緒の日記、その後
[事務所]
凛「なーおー……?」ジト
奈緒「ひぃ!? な、なんだよ凛!」
凛「日記見たよ。奈緒は酷いこと書くんだね」
加蓮「きゃー、奈緒ってばさいてーい」
奈緒「…すまん、書いたのは悪かったよ――って、元はといえば普段お前らがあたしを意味なくおちょくるからじゃねえかああ!」ウガーッ
凛「ふふ、ごめんごめん。奈緒の事は大好きだよ」ダキッ
奈緒「い、いいいいきなり抱きついてくるなよ!?」
加蓮「あ、凛ズルい!」ダキッ
奈緒「ちょ、加蓮まで何を――」
加蓮「いつもありがとうね、奈緒」コショコショ
奈緒「うがー! あっついんだから近づくなやめろー!」バタバタ
ギャーギャー
P「いやーやっぱり仲がいいなあ」シミジミ
奈緒「おいそこで見てないで助けろよプロデューサァ!」ジタバタ
ちひろ「……呼ばれてますよ?」
P「奈緒が可愛いのでしばらく観察です」
奈緒「無視するなプロ、プロデュ――ひゃあん!」
凛「かわいー」ゴソゴソ
加蓮「かわいー」ゴソゴソ
P「……助けに行ってくる」フリ
ちひろ「お願いしますね」
奈緒「遅いわばかぁ!」
・ ・ ・
――愛海の日記、その後
[事務所]
愛海「おっはよープロデューサー! 今日も暑くて目が潤うね!」ガチャ
P「おはよう。だがまずは座れ」
愛海「なになに、お山をいただけるのっ?」スタスタ
P「それは後でちひろさんのをあげるから、いいか、よく聞け」
愛海「うん☆」
ちひろ(えぇ!?)ビクッ
P「…お前のやっている登山は違法だ。許されないぞ」
愛海「……そんなことないよ。あたしは夢を追うアイドルだから仕方ないことなの」
P「それが仲間を傷つけているのだとしても、か?」
愛海「あたしだって傷つけたくはない。でも、傷つかずに進む方法なんてないんだよ!」
P「あるはずだ! 手を取り合って、協力して登山する道が!」
愛海「それじゃ駄目なんだよ、プロデューサー! 頂点を目指すには、羞恥に埋もれる女の子の赤らんだ顔が必要なの!」
P「……わかるさ。俺にもわかる。それは大事だよな。それがあってこその登山だよな」
愛海「プロデューサー……」ジーン
P「だが俺はみんなのプロデューサーなんだ。お前だけを支持する訳にはいかない」
愛海「そんな……じゃああたしはこれからどうすれば」ガーン
P「悪いが、しばらくはちひろさんで――」
卯月「ちょっと待って下さい、プロデューサーさん!」ガタンッ!
P「卯月!? 起きて大丈夫なのか!?」
卯月「…確かに愛海ちゃんのやっていることは悪い事なのかもしれません」
卯月「ですが、愛海ちゃんだってただ無差別に上り詰めている訳じゃないんですっ!」
愛海「卯月さん、言わないで!」
P「……卯月、どういうことだ」
卯月「…あの時、私はレッスンでいつもの調子が出せなくて落ち込んでいたんです。そうしたら、愛海ちゃんが私の……それを撫でてくれたんです」
P「撫でた? 登ったんじゃないのか?」
卯月「突然でびっくりしたけど、体がぽかぽかして、落ち込んだ気分がふわっとしてきて……そのおかげで、次のレッスンは大成功したんです」
P「…説明してくれるか、愛海」
愛海「……お山はね、夢と希望と愛情が詰まっているから膨らんでるの。私は、それに触れることで溜め込んだ物を分けて、その人を元気づけることができるんだよ」
P「ということは愛海、お前は――」
愛海「登るべき山があるから、あたしは登る。それがあたしの登山家としての使命なの」
P「そんなことを考えて……」
卯月「だからプロデューサーさん、愛海ちゃんをそんなに責めないであげて下さい」
愛海「卯月さん……」
P「――で、どこまでが本当なんだ」
卯月「無理矢理触って来ました」
ちひろ(えぇー……)
ちひろ「というか卯月ちゃんってそんな小芝居する子でしたっけ!?」
卯月「いえ、そんな……でも、愛海ちゃんが居ることで事務所も明るいんです」
P「明るいというか騒がしいんだけどな?」
卯月「た、確かに恥ずかしいですけど、なんだかんだでみんな笑ってて、それが愛海ちゃんの良さだとしたら、それを奪うのは可哀想だと思うんです」
P「だが、実際に卯月以外に犠牲が出ているんだぞ」
卯月「それは……私が頑張りますっ!」
ちひろ(頑張って済む問題…?)アセ
愛海「卯月さん、そこまであたしのこと……」ジーン
P「――仕方ない、卯月に免じて許してやろう」
卯月「ありがとうございます!」
愛海「ホントっ、プロデューサー!?」
P「ああ。ただそのかわり嫌がってる子も居るんだから、困ったらちひろさんを使いなさい」
愛海「わかったよっ☆」ピース
ちひろ「ちょ、ちょっとプロデューサーさん!?」ビクッ
P「いざゆーけー! むてきーのー!」ビシッ
愛海「むなかたぐんーだんー☆」シュバッ!
ちひろ「ちょ、愛海ちゃんはや――きゃああああああ!!」
本スレにステマしようとしたら規制かかって涙目。
なんかいい区切り方ないかな、と模索中。
次>>37,>>38,>>39です。よろしければどうぞ。
安価ミスってたか…繰下げで>>38以下三名。
二度目にて智香さん頑張った。おめでとう。
>>20
色っぽいというと語弊があるか…警戒心が完全に無くなってる酔い方。
普段のユッキがあれだとすごい嬉しい、個人的に。
>>42
おめでとう。
いや、調理結果がどうなるかはわかりませんけどね?(保険)
>>44
それまで完全に静かなのに安価指定した瞬間に安価埋まって草不可避。
>>46
流石にこの静けさはビビる。
そんな永続魔法、サイクロンで破壊してやるー!
すいません、よろしくお願いします(ぺこり)
>>48
ありがとうございます。
・ ・ ・
――事務所
P「ん、ん、んー…――ふはぁ。メール確認も一段落ついたぁ」ノビー
ちひろ「今日に限ってはよくメール来てたそうですね。何かありましたっけ?」
P「ああ、夏休みに向けた祭り需要ですよ」カチカチ
ちひろ「花火祭りの撮影効果ですねー。みんな可愛く取れてましたし」
P「ですね。浴衣が似合いそうなアイドルから騒ぐのが大好きなアイドルまで、相手の要望は千差万別ですよ」
ちひろ「お祭りの中でも内容はさまざまですからね」クス
P「ウチもアイドル沢山抱えてますから、チョイスも結構気を使います」
ちひろ「プロデューサーさんが決めたことなら、アイドルの子達もみんな納得しますよ」
P「だと嬉しいんですけどねえ」
ちひろ「大丈夫ですよ。――あ、プロデューサーさん、お茶のおかわり要りますか?」
P「おおっと、すいませんお願いします」カチャ
ちひろ「はい、ちょっと待っててくださいね」スタスタ
P「ありがとうございます」
P「……」
P(拝啓、社長様。千川ちひろは天使です)
P(……)
P「疲れたし、日記を見るかな」ガタ
P「前回は若葉、奈緒と……愛海だったな」
P「愛海に関しては予想外というか予想通りというか、結局残念な物ではあったが卯月が許したから勘弁しておいてやろう」
P「若葉は無意識にお姉さん化してくれることを願うとして、奈緒はツンデレのままでいいや、うん」コクリ
ちひろ「お待たせしました――と、日記でしたか」コト
P「ええ、こまめに見ておいたほうがいいかなと思いまして」
ちひろ「プロデューサーさんの返信を見て、アイドル達も楽しんでるみたいですよ」クス
P「はは、何だか本当に学校のクラス担任になったみたいだ」
ちひろ「所属アイドルのほとんどは学生ですから似たようなもんですよ、先生」
P「本物の先生はもっと大変ですよ。……よし、やりましょう」
ちひろ「今日は誰が書いたんですかね?」
P「それも楽しみの一つですね。じゃあ第三回目もはりきって見ていこう。最初は――」パラ
○月□日 美嘉だよ★
こんな変わったモノもやってるんだね★
最近は仕事もそうだけど、今度のオーディションのためのレッスンにネツがはいっちゃってさ、薫に言われてきづいたよ。
大丈夫かって?
へへ、あったりまえじゃん!
アタシはナンバーワン目指してるんだかんね★
んー、でも不安がないわけじゃないかな?
アタシがトップを目指すとおんなじよーに、みんなもトップ目指してる。
そりゃそうなんだけど、やっぱりツライよね。この先誰が落ちてってもアタシには文句言えないもん。
アタシが成功するタビ、誰かが落ちてってる。
見てなくても見られてるんだって思うとフクザツ。
……って、アタシらしくないか★
こんなシメっぽいのはアイドル辞める時に言うもんだね。
あ、でもこうやって書いたらアンガイすっきりしたかも!
レッスン漬けで少し気落ちしてたかもしれないから……プロデューサーと薫にカンシャかな★
らしくないケド、これもアイドルってカンジだね。
へへっ、何だかアタシ、ベテランアイドルっぽくなってきたんじゃない?(フケたとか言ったらヒンシュクだぞ!)
プロデューサー、アタシにドキュメンタリー番組の企画、持ってきてよねー。
みんなをカンドーさせちゃうから!
じゃ、こんなところでバイバイ★
PS.莉嘉もプロデューサーと最近遊びに行ってないってぶーぶー行ってるからアタシも一緒にご飯連れてってよね★
P「…感慨深いなあ」
ちひろ「彼女も昔からいる子ですしね」
P「確か、裾を広げるためにあえてギャル系の人材をスカウトしましたけど、内面ははっきりいって教えるのに苦労するだろうな、とか思ってましたよ」
ちひろ「初めてウチの事務所に来た時、私も難儀な子を連れてきたなって思いましたね」
P「レッスンもサボらないし愛嬌もあるし、何より根性がある。ギャップに驚かされました」ハハ
ちひろ「でも、内心ではこういうことも考えてたんですね…」
P「自信家であるが故にふとこんな事も考える。見た目がどうであろうと根が真面目である証拠です」
ちひろ「アイドルも椅子取りゲームですから、本当に過酷だと思います」
P「レッスンも仕事もあって忙しいし、美嘉には息抜きが必要だな――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
お疲れ。いつも頑張ってるな。
お前がそんな事を考えているのも、らしくない訳じゃないぞ。
ちゃんとアイドルがどういうものなのかよくわかってる、まさにプロ意識だな。
そんなお前を尊敬しているよ。
あと、美嘉が努力家なのは俺が一番知ってるからな。
今ぐらい頑張っていれば美嘉なら絶対に頂点に立てる、俺はそう思って
いつも美嘉と接しているつもりだ。
でも、最近忙しいから私生活は大丈夫か?
オフも入れているが、何かあったらいつでも言ってくれよ。
遊びに行くのは難しいが、今度姉妹セットでレジャーランド系のロケが
取れるように頑張ってみるよ。
そうしたら仕事ついでに遊べるだろうしな。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「あら、プロデューサーさんが優しい」
P「失礼な。俺はいつだってアイドルの味方ですよ」
ちひろ「じゃあ私には?」
P「事務員は仲間です…ってこの話題前もしましたよね」
ちひろ「いいじゃないですか、いい言葉なんですから」
P「まあ言われて悪い気はしないと思いますけど……それにしても、美嘉と莉嘉は仲がいいですよね」
ちひろ「5歳差ですよね。この位の差だと姉妹でいがみ合ったりしないんでしょうか?」
P「城ヶ崎姉妹の場合、妹が姉を尊敬していますから、お互い嫌悪感はないでしょうね」
ちひろ「まさに理想の仲ですね」クス
P「まあ、この先大人になっていくと、色々複雑になっていくんでしょうけど……彼女達なら大丈夫ですよ、きっと」ウン
ちひろ「ふふ、なんだか先生と言うよりも父親みたいですね」
P「俺ってそんなに老けて見えるのかなあ……」ガックリ
ちひろ「褒めてるんですよ。優しさの象徴ですって」
P「アイドルの皆にもウザがられてたら……考えるのをやめよう。よし、次だ次! 次は――」パラ
今日も元気にがんばろーっ!
おはようございます、智香です!
って、読む人は朝とは限りませんよね……こんにちは! こんばんは!
これなら大丈夫ですねっ☆
さて、○月□日、天気は晴れです!
ここずっといい天気が続いて、外でのロケも気持ちいいですよね!
茜ちゃんなんか、日焼け止めを塗るのを忘れて走り出しちゃうくらいです!
アイドルなので肌には気をつけないとだめですよって言うんですけど、ついつい忘れちゃうみたい。
でも、アタシもその気持ちがわかるから、これからも元気な茜ちゃんで居てほしいですっ☆
元気といえば、Pさんはバテていませんか?
夏は楽しいですけど、スーツで外を走り回るのは大変そうですよねっ。
レッスンなんか特にそうです。
部屋の中が暑くて暑くて…前、一緒に練習していた友紀さんなんてユニフォームを脱いで床に倒れ込んじゃったんですよ!
でもそれが気持ちよさそうだったので思わずアタシも真似しちゃいました☆
(トレーナーさんには怒られちゃいましたけど……)
Pさんもこの時期は大変ですが、熱中症には気をつけて下さいね。
がんばり屋さんなのはみんな知ってますから、だからこそ落ち着いて、でもハツラツに頑張って行きましょうっ☆
これからも応援してますよ、Pさん!
智香でした☆
P「微笑ましいなあ」ハハ
ちひろ「文章からでも伝わってくるこの元気さこそ、智香ちゃんの取り柄! って感じですよね」
P「元気な子は沢山いますが、元気にさせられる子っていうのは中々いない。大した子ですよ、智香は」
ちひろ「でもそれだけに、体調管理には気をつけて欲しいですね」
P「夏の暑さは油断できないからなあ。返信は……」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
心配してくれてありがとう。
スーツは蒸し暑いが、水分を多めに取ってしのいでるよ。
智香も、体力はあっても過信しないように。
応援する立場の人間が倒れちゃ元も子もないし、智香は応援する立場であり同時に応援される立場だからな。
お互い元気に、健康に過ごして夏を乗り切ろう。
俺もちひろさんも、お前の活躍を応援しているぞ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
P「こんなところか」コト
ちひろ「智香ちゃんを含めて、アイドルの子たちが倒れないようにこの時期はお互い注意しましょうね」
P「ですね。じゃあ次のページを……」パラ
やっほー☆
未来のカリスマギャル、じょーがさきリカだよ〜!
おねえちゃんから聞いてアタシも書いてみたんだ☆
なんかこれ、カオルがはじめたんだってー?
こうかん日記ってレアだよねー。
自分の日記じゃなくて、みんなの日記を読むんだもん。ブログとは違って何だか面白いよ☆
おねえちゃんもよくわかないけどたくさん書いてるし、アタシも書いちゃおっか☆
あ、そうだ、対抗して事務所にプリ帳置くってのはどう!?
それでみんなでプリとりに行こうよ☆
いっぱいとってー、Pくんに落書きしてー、ケータイに貼って、それで事務所にペタリって!
思い出にのこると思うなー、Pくん、ヨロシク☆
でも……やっぱなんでもない!
んー、アタシはやっぱしゃべるほうが好きかな。
日記だと返ってくるのが遅いもん!
ねぇねぇ、Pくんはしゃべるの好き?
好きならまたデートしようよ!
こんなプリティなJCといっぱいしゃべれるんだから、もちOKだよね☆
リカ☆
P「はは、やっぱり姉妹だな」
ちひろ「丸文字で書いててシールでデコレーションしたり…初めてじゃないですか?」
P「ええ、白紙のページがカラフルで鮮やかです。男にはできないセンスですよ」ペラ
ちひろ「小学生や中学生の女の子って、こういうの好きですよね。ペンとか沢山もってたり」
P「ちひろさんはどうでした?」
ちひろ「そりゃあもう……って、私に聞いてどうするんですか」
P「ははは」
ちひろ「誤魔化さないで下さいっ」
P「でもこういう子供ならではのセンスを大事にして行きたいですね」ウンウン
ちひろ「……それで、最後の所どうするんですか?」ジト
P「うーん、デートは……まあ、小学生ですから俺であればスキャンダルにはならないでしょう。身内ですし、大人ですから」
ちひろ「扱いは気をつけて下さいよー……全員がダメージ受けるんですから」
P「はは、まさか莉嘉もこんな男と本気でデートしたいだなんて思ってませんって。姉みたいに大人ぶりたいんでしょう」ハハ
ちひろ(……本当に大丈夫なんでしょうか)ジト
P「まあ程々に遊ばせるつもりです。莉嘉のやる気向上にも繋がりますしね。それじゃあ……」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
日記を書いてくれてありがとう。
莉嘉たちのクラスは、交換日記とか流行らなかったのか?
やっぱり場所によってあるところと無いところがあるんだな。
プリクラか……俺が入るのは無粋だから、みんなでよく取るようなら
設置も考えるよ。
莉嘉は文字を書くのは嫌いか?
俺は好きだぞ。いつでも読めるからな。
しゃべるのは……どうだろう、多分俺も好きかもしれない。
もちろん莉嘉と話してる時もな。
莉嘉こそ、俺としゃべってて楽しいのか心配だけどな……世代が違うって怖いもんだ。
あとデートって言葉は無闇につかわないこと。
マスコミは耳ざといんだから……でもまあ、遊びに行くのはいいぞ。
みんなも誘って慰安旅行でもできたらいいな。
もしあるなら、それまでに宿題は終わらせておけよ?
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ(うーんこのプロデューサー)
P「よし、こんなもんだろ。ちょうど夏だし、希望者だけでも旅行する計画を立てるか……?」
ちひろ「きっと大人数ですから、予算大丈夫ですか?」
P「いつも頑張ってくれてるんです、多少なら贅沢しても文句は言われませんよ」
ちひろ「まあ金銭的な部分はさておき、スケジュールは長期のオフが難しそうなんで、近場で海とかキャンプとかならいけそうですね」
P「決めるなら早いにこしたことはないので、すみませんが空いてる時間に行けそうな場所ピックアップしておいてくれませんか?」
ちひろ「わかりました。明日にはまとめておきます」
P「ありがとうございます。お願いしますね」
――
――――
――――――
[夜]
P「ああ、今日も終わりかー!」ノビー
ちひろ「プロデューサーさん、午後は打ち合わせで色々忙しかったですからね」
P「その間にアイドルの送迎をやったり撮影を見たりとへとへとですよ、ほんと」ハァ
ちひろ(へとへとで済んでいるプロデューサーが凄すぎるというべきでしょうか…)
P「日記も返信したし、メールチェックも終えた、と…ちひろさんはなにか残ってますか?」
ちひろ「いえ、あとは戸締りして帰るだけです」
P「そうですか……じゃあちひろさん、この後空いてます?」
ちひろ「ええ、空いてますけ――どぇ!?」ビクッ
P「何ですかその驚き方……もしよかったらこの後ご飯どうかなと思いまして」
ちひろ(…なんでこの人はそう気軽に誘えるんだろう。いやプロデューサーだからか)
ちひろ「ならお誘いにのって食べに行きましょうか」クス
P「ありがとうございます。この前芽衣子に教えてもらったお店に行くのに一人は何となく辛かったんですよ」ハハ
ちひろ(……やっぱりそういうことでしたか)ハァ
ちひろ「なるほど。タノシミデスネ」
P「…何か怒ってます?」
ちひろ「怒ってませんっ」プイッ
・ ・ ・
――美嘉の日記、その後
[オーディション会場、ビル前]
美嘉「う、うーん――終わった〜★」
P「はは、お疲れ様。緊張しただろ」
美嘉「…正直言うとね。みんな目がギラギラでいつみてもびっくりするよ」
P「合格発表は一週間後だが……まあ美嘉なら通るから大丈夫だろ」
美嘉「さっすがプロデューサー、アタシの事わかってる★」
P「……嘘つけ」コツン
美嘉「あいたっ」
P「顔がいつもより固いぞ。バレバレだ」
美嘉「……へへっ、プロデューサーには勝てないや」ハハ
P「お前のプロデューサーだからな。…よし、じゃあ事務所に帰って莉嘉と合流するぞ」コツコツ
美嘉「へ、なんで莉嘉と会うのさ? あの子は別の仕事でしょ?」クビカシゲ
P「今日のオーディションは大きな舞台だからな、お疲れ様会兼合格祝いで買い物に行く約束していたんだよ。レジャーランドの仕事はもう少し待ってくれ」
美嘉「早い…というかそんなの聞いてないんだけどー!?」ビクッ
P「言ってないからな」ハハ
美嘉「ヒドー、アタシに隠し事するんだーっ」
P「先に言ったら余計に緊張するからな、お前は」
美嘉「……ちぇー。でも三人で買い物なんて久し振りだね★」
P「おう。なんてったって美嘉の希望だからな」
美嘉「ちょ――ちがっ、あれは莉嘉が言ってたことで、アタシはっ」アセアセ
P「美嘉は行きたくなかったのか?」
美嘉「……ヒキョーモノだよね、プロデューサーって」
P「卑怯者で結構、美嘉の笑顔のためならな。…ほら、車に乗るぞ」ドチャ
美嘉「もおっ!」ガトン!
美嘉(……へへっ、やた★)
[おわり]
・ ・ ・
――智香の日記、その後
[屋外ロケ、地方球場]
ディレクター「はいじゃあ一旦休憩でーす!」パチパチ
オツカレサマデース…
智香「お疲れ様です。いやー、夏といえばスポーツ、スポーツといえば応援ですよねっ!」バサッ
P「はい、お茶。この時期は学生のスポーツ番組からオファーが結構来てるからな、智香ならピッタリだ」ホラ
智香「はい! 頑張るみんなに元気になる応援を届けますよっ☆」
P「その調子だ。タオルも使うか?」
智香「あっ、ありがとうございます!」フキフキ
P「…今はカメラ向けられてないんだからそんなに元気に返事しなくて大丈夫だぞ?」ハハ
智香「いえ、これはPさんへの応援ですから☆」
P「……よく疲れないなあ、智香は」
智香「Pさんが応援してくれてますから、せめてものお返しです。いつもありがとうございます、Pさん」ペコリ
P「はは、ありがとうな、智香」
智香「こちらこそありがとうございます☆」
サイカイハ30プンゴデース…
P「ん、30分後か。長いな」
智香「この時間は暑いですからねー。皆さんも暑そうですっ」
P「だなあ。立ってるだけで汗が出てくるよ」ハハ
智香「あ、じゃあこのタオルで――」フキフキ…
P「それはお前の……じゃ」ピクッ
智香「……あ」////
智香「……ち、近くの売店で何か買いませんかっ!?」アセアセ
P「お、おう、そうだな! 行こうか!」アセアセ
[おわり]
・ ・ ・
――莉嘉の日記、その後
[事務所]
莉嘉「PくんPくん! これ見て見てーっ☆」ドタドタ
仁奈「P! 見るでごぜーます!」パタパタ
P「うおわっ、いきなりどうしたんだ二人とも!?」
莉嘉「これこれっ!」バッ
P「ええ? これは……おお、皆でプリクラとったのか」
仁奈「この前じむしょでひましてやがりましたから、仁奈たちでとったでごぜーます!」ワサワサ
P「んん? って、ああ、そういえばいきなりみんな出て行った時があったなあ。あの時か」
仁奈「Pもいっしょにとりたかったですが、忙しそうだったからできなかったのでごぜーます!」
莉嘉「気を遣ってあげたんだよー、すごいでしょ☆」
P「すまんすまん、あの時は企画作るのに忙しかったからな…ありがとう」
仁奈「だからこんどはPとちひろも入れてとるのですよ!」
ちひろ「私も? ふふ、ありがとう。プリクラ帳も用意しなきゃいけないわね」
P「わかったよ。今度揃ったら撮りに行こう」
仁奈「約束でごぜーますよ! じゃあ仁奈はみゆお姉ちゃんの所に行ってくるです!」パタパタ…
莉嘉「……」
P「はは、美優さんは子供に人気だなあ」
莉嘉「……ね、ねぇ、Pくん」チョンチョン
P「ん、どうした? 莉嘉はあっち行かないのか?」
莉嘉「ちょっと耳貸してっ!」ピョン
P「耳?」
莉嘉「いいからいいから、早くーっ」トントン
P「わ、わかったわかった! ……これでいいか?」カガミ
莉嘉「バッチリっ! ……ええとね」
P「ああ」
莉嘉「――仁奈とアタシだったら、どっちをコイビトにしたい?」コショコショ
P「ブッ!!?」ブフォッ!?
P「げほ、げほ……。いきなり何を言い出すんだお前は!」
莉嘉「えー…だってPくん、仁奈を見る目がやらしーもん☆」
P「んなっ……!?」
ちひろ「……プロデューサーさん?」ジト
P「ちょ、違いますって! 断じて違いますから!」ブンブン
ちひろ「へえー…」ジト
P「信じて下さいよちひろさん……」
莉嘉「へへ、冗談だよん☆」
P「はあ……全く、冗談も大概にしてくれよ?」ハァ
莉嘉「ごめんごめんっ。じゃあ次はホントだから、もう一回、ねっ」
P「本当だろうな……ほら、かがんだぞ」
莉嘉「うん……ええとね」コソ
莉嘉(……よしっ)
莉嘉「アタシは遊びじゃないよ、Pくん」コショ…
P「……へ?」ポツン
莉嘉「じゃーねー! またデートしてねっ、Pくん☆」トタトタ
プロデューサァァァ?
チガウ、チガウカラチヒロサン!!
莉嘉「……へへっ☆」
[おわり]
>>57
予告していないのその速さ。素敵です。
そして智香ちゃんいいですよね。ともかわいい。
>>68も分かってるネ!
>>62
JCと書いてJSと読んでしまった。
なんという情けなさ…
>>62さんには感謝。申し訳ないです。
>>59のPの発言は『小学生ですから→中学生ですから』に変換お願いします。
最後に[おわり]を付けてみたり、色々試行錯誤中。
次は>>70,>>71,>>72です。
よろしければどうぞ。
そしてこの安価の埋まる速さだよ。ビックリだね。
>>70以下三名様です。
伊吹Pはよろしければ次頑張ってくださいませ。
面白いと思って貰えたら幸いです。ありがとうございました。
>>75
ありがとう、そしてありがとう。お気に召しましたでしょうか(ビクビク
書いたこと無い子ばかりで不安ですが、今後ともよろしくお願いします。
>>77
落ち着け、まだチャンスはある…!
なお、いつ最終回になるかわからない模様
・ ・ ・
――ある日のコンビニ
P「うーん…パスタにいきたいところだけど……」ガサ
ちひろ「あれ、プロデューサーさん?」ピョコ
P「おにぎりが……って、ちひろさんじゃないですか。奇遇ですね」
ちひろ「営業の帰りでプロデューサーさんもお昼ごはんですか?」
P「はい。パスタを食べるかいつものおにぎりかで迷ってて」ウーン
ちひろ「ああ、そういえば一緒に事務所で食べる時はおにぎりでしたね」
P「やっぱり日本人的にはご飯なんだよなあ…ちひろさんは?」
ちひろ「私は夏らしく冷やしうどんにします」
P「あー、それもいいですね。パスタ温めると夏暑いですしね。俺は蕎麦にしようかなあ」
ちひろ「ふふ、じゃあ事務所で少し交換でもしますか?」
P「ええ、そうしましょうか。あとはデザートでも」
ちひろ「あ、私もデザート買おっかな」
P「こういうのってちょっとリッチですよね。あ、先に会計して来ます」
ちひろ「はい。事務所にアイドルが居ますから、そのまま戻っていいですよ」
P「了解です。ではお先に」
――
――――
――――――
[事務所]
P「ただいま戻りましたー……っと、凛か」ガチャ
凛「ああ、おかえり。暑かったでしょ。スーツ掛けるよ」ハイ
P「悪いな」ヌギヌギ
凛「いいよ、別に。普段のお返しだから」カチャ
P「特に返して欲しくて何かしてるわけじゃないんだけどなあ」
凛「私達ってそういうものでしょ。ほら、ご飯食べたら?」
P「…はは、何だか世話されてるみたいだ」スワリ
凛「私は、そ…で……」ボソ
P「ん?」
凛「なんでもない。というか、またコンビニ?」
P「あ、ああ。忙しいからなあ。でもコンビニのご飯も侮れんぞ?」フリフリ
凛「それは知ってるよ。でも毎日は駄目」
P「……手厳しいな、凛は」
凛「これからもずっと頑張ってもらわなきゃいけないんだから当然でしょ?」
P「それもそうだ。ま、もし俺が料理のできる人と結婚するような事でもあれば弁当になるかもな」
凛「……そうだね」
ちひろ「すいませんお待たせしました、プロデューサーさん」ガチャ
P「ああ、別に待ってませんよ。凛が居ましたからね。…そういえば凛、次の予定の時間は大丈夫か?」
凛「午後からレッスンだけど…早めにいこうかな、ご飯食べたし。うん、じゃあ行ってくるよ」
ちひろ「いってらっしゃい、凛ちゃん」
P「いってらっしゃい。頑張れよ」フリ
凛「言われなくても」フリ
トタトタ…ガチャン
ちひろ「……いつ見ても落ち着いてますね、凛ちゃん。何だか憧れちゃう」
P「ちひろさんには向いてませんよ」ハハ
ちひろ「わかってますってばっ」プンスコ
P「はは、ちひろさんはそっちの方がいいですよ。じゃあお昼にしますか」
ちひろ「…そーですね」
・ ・ ・
P「ふぅ、気分転換に買ったアセロラゼリーもおいしいですね」
ちひろ「学校の給食を思い出しますよね」
P「わかります。それでつい買っちゃいました」
ちひろ「ふと記憶が蘇るんですよね……と、まだお昼終わりまで時間ありますけど、どうしますか?」
P「ん、いつものように日記を見ますよ」ガタ
ちひろ「ふふ、もう日課になってますね」クス
P「最近始めたばっかりでも、アイドルの事を知れるのは楽しいですから」
ちひろ「無理に訊いてる訳でもないから気持ちも楽ですし、薫ちゃんと千枝ちゃんもいい事言いましたね」
P「今度美味しいスイーツでもプレゼントするかなあ。…まあそれは後々考えるとして、日記を早速見てみようか――」パラ
○月▲日 担当:水本ゆかり
おはようございます、でいいのでしょうか?
個人的に日記は付けていますが、このような公共的なものに書き込むのは恐らく初めてだと思います。
何だか不思議な感じですね。見られるために書くというのは。
そして、この機会を頂いた事を嬉しく思います。
しかしながら交換日記というものの勝手がわからず、他の方の日記を拝見したのですが、どうやら皆さん思い思いの言葉を書き綴っているようで……でしたら、私も自由に書いてみようと思います。
本日も青い空が顔を出し、様々なものに鮮やかな色を生み出す夏という季節は、私にとっても素晴らしいになるでしょう。
なぜかというと、今度、音楽コンクールのフルート部門に出場できることが決まったからです。
毎日学業やお仕事、レッスンなど、私だけでなく全員が忙しく感じる今でもこうして融通してくださったPさんには、本当に感謝しています。
そして、その事を知ったトレーナーの方々や皆さんからも激励やアドバイスも頂き、単なる技術勝負ではない、私の、更なる高みへの挑戦という気持ちが込められています。
皆さんも読まれるということで、この場を借りてお礼申し上げます。
……すみません、皆さんのように楽しい日記にはできなかったようです。
歌やダンスに不慣れな私でもPさんのご指導で上手くできるようになったのだから、このような場を和ませるような、そんな愉快な文章を私も書けるようになりたいですね。
だとすると、誰に師事するのがよいのでしょう。
見つかるまでは、よろしければまたあの時のように教えて下さいね、Pさん。
Pさんのご指導なら、私、何でもやりますから。
ちひろ「ん? 今何でもするって」チラッ
P「い……ってませんからね?」
ちひろ「それにしてもまあ、なんというか…文章って、人となりがよく見えてきますね」
P「ですねえ。性格が文字に滲み出てます」
ちひろ(その考えなら、Pさんはとても真面目で丁寧で……あながち間違いでもなさそうなのが悔しい)
P「ゆかりって個人的に日記を書いてるのは初めて知りましたよ」
ちひろ「Pさんにも知らないアイドルの事があるんですね?」
P「そりゃそうですよ。親ですら知らない事だってあるんです、ましてや他人の俺じゃ、知れることなんてたかが知れてますって」
ちひろ「…あんまり他人だなんて言わない方が良いですよ。皆、プロデューサーさんのこと慕ってますから」
P「はは、本当にそうだと嬉しいですね。じゃあ返信はっと…」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
日記を書いてくれてありがとう。
いつみてもゆかりの書く文字は整っていて尊敬するよ。大人の俺でも
習いたいぐらいだ。
そして、まずは改めてコンクール出場おめでとう。
ゆかりの技術なら入賞だって目じゃないさ。
だが、練習時間の方はちゃんととれているのか?
名目上はプライベートだから、こちらとしてはちゃんとした時間は
与えられないから、ちょこちょこ休憩時間を取ることで補填しているが…。
もしもっと練習がしたいなら言ってくれよ。
多少ならいつものレッスンの時間も時間帯も調節できるぞ。
あと、楽しい文章なんてのも意識する必要はない。
ゆかりのありのままが、俺達にとっての楽しいものなんだからな。
それでも目指したいというのなら、俺や他の子が教えてくれるから遠慮せず
訊いてくれ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「ゆかりちゃんって、とても素直ですよね」
P「ええ、時々心配になるぐらいです」ウンウン
ちひろ「……そっちの方がプロデューサーさん的には好みなんですか?」
P「ゲホッ――い、いきなり何てこと言ってるんですか…」ケホッ
ちひろ「いや、ちょっと気になりまして」クス
P「別にそういう所では見てませんよ。アイドルとして素晴らしいとは思いますけど」
ちひろ「何だかはぐらかされた感じですねー…ま、慌てるところが見れたから良しとしましょうか」
P「ちひろさんって結構お茶目ですよね、ホント……まあいいや、次。次は――」パラ
○月▲日 今日もいいお天気ですね♪
以前からこの交換日記は知っていたんですが、私がこの事務所に居る時は大体誰かが書いてるので中々書くのは難しいみたいです。
人気なのっていいことですよね。
というわけで、今回ようやく書く事が出来ました。
この日記も、Pさんに見てもらえるといいな。
私が書きたかった事、それはお散歩していた時の事です。
この前、午後の仕事まで手持ち無沙汰になったので、近所の公園を散歩していたんです。
アスファルトの上はやっぱり暑くて、でもそれが夏らしくて。
季節を感じながら歩いていると、公園の真ん中に大きくはないんですが噴水があるんです、Pさんも知ってますよね?
いつもなら、夏と水に想いを馳せて涼しい気持ちになるだけなんですが、この時は近くに住んでいるらしい家族の方がそこに居らっしゃったんです。
両親と子供。少ない人数でも、子供が噴水ではしゃいで、それを夫婦が楽しそうに見ている。
例え遥か遠い場所に出かけなくても、こんな場所で、小さな世界で幸せを感じられる。
それって、本当に素晴らしいことなんじゃないでしょうか?
そして、これが私達アイドルの役目だとも思うんです。
みんな毎日が幸せとは言えなくても、私達を見て気持ちを和らげてくれる、それがお仕事の目的だって、Pさんを見ててそう思います。
だって、私はPさんを見て、一緒に居て、笑顔で居られるんですから。
そんな私が私で居るためにも、これからもよろしくお願いしますね。
よかったら、またあのカフェで時間をすごしませんか?
ふふ、お返事待ってますから♪
P「優しい気持ちって大事だよなあ」ハァ
ちひろ「普段は荒んでるんですか?」
P「いやまあ、そういう訳じゃないですけど……ただ、毎日駆けずり回ってるとふと疲れる事もありまして」
ちひろ「プロデューサーさんも人間ですから、そういうこともありますよね」
P「人間ですよ、普通に。で、そういう時に藍子に会うとちょっとラッキー、って思っちゃいますね」
ちひろ「ああ、わかります。別に他の人がダメだっていう訳じゃなくて、藍子ちゃんだけは微妙に違いますよね」
P「ええ、声色とか言葉遣いとかじゃ絶対に図れない、彼女独特の空気が良いんですよ」
ちひろ「ファンからもそういう所が人気ですしね。雑誌でも寄り添いたい人ランキングに入選してましたし」
P「励ます訳でもなく、ただ傍にいてゆったりと癒してくれる雰囲気はテレビを通してでもわかりますからね。それじゃあ…」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
はは、こうして皆が興味を示してくれるのは嬉しいことだよ。
藍子の事も知れたから、千枝と薫にも感謝しないとな。
こんな暑い日に散歩にいって疲れないかと俺は思うんだが、藍子が楽しんでるなら
きっと藍子は周りを涼しくしてくれるんだろうな。
藍子となら、こんな日でも公園でのんびりできそうだ。
そう。その家族こそ、藍子が目指す幸せの形。
アイドルには、他の人にはないそれぞれの個性がある。
それが藍子にとっては『ゆるふわ』なんだろうな。
俺も、あの時藍子と行ったカフェではすごく落ち着いて過ごせたよ。
そのカフェの雰囲気も勿論あるが、やっぱり向かいに藍子が居て、些細な事を話しながらゆっくりとした時間を過ごす。
なんてことのない時間でもそれが自然体で居られるような癒しの時間になるのは、この事務所の中でも藍子以外じゃ中々居ないだろうな。
それは藍子の誇るべき事だぞ。
それで、藍子さえよければまた一緒に行こう。
最近忙しかったから、あのカフェに行きたいと思ってた所だったんだよ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ(……何と言うか、口説いてるんじゃないかと思える文章だ)
P「そうだな…お、この時間空いてるか」ペラ
ちひろ「いつも誘われるばかりですけど、今回は乗り気ですね」ハァ
P「はは、差別してる訳じゃないんですけどね。というか休みが欲しい」チラ
ちひろ「この職業に就いた時点で諦めて下さい、それは」
P「ですよねー……。まあいいです、次に行きましょうか」パラ
○月▲日 快晴
私が書いてもよいのでしょうか。
他にも書きたい人がいるのに、と思う私に、高森さんは静かに微笑み、ゆったりとした手つきで渡してきたのです。
そういうことなら、と私は受け取りました。
新人である私にそのような優しさをくださった高森さんに感謝をして、筆を執ることにします。
私は鷺沢文香です。
プロデューサーさんに突然のスカウトを受けて、アイドルの道に進むことになりました。
あの時のプロデューサーさんは、私が混乱するぐらいに熱意があったように思います。
事実、最初は何が何だか分からないでいましたが、彼の話を聞いていると本意というものが隠さずに晒してくれているのだと判りました。
文章から意を汲むのはできても、人の顔から読むのは苦手です。
そんな私でも簡単に理解することができたのですから、よほど彼には思うところがあったのでしょう。
そして、世界は反転して。
場違いな所に、私は居る。
――いや、自虐するのは良くないことです。
何故ならば、そう表現してしまうのは彼の熱意を否定することに他ならないからです。
先輩方に話を聞くと、私と同じようにスカウトを受けた方や応募して所属した方、それぞれ色んな理由でここに居ます。
しかし、それでも皆さんが思い思いに力を発揮してファンの方々を楽しませている。
……私もいつか、そうありたいと思います。
動く時間を見たかった私のためにも、それを見ぬいたプロデューサーさんのためにも。
ですから前を向いて、いつかは天を見上げられるように……レッスンに励んでいます。
こうしてこの場で吐露するのも、背後に鏡を置きたかったからなのかもしれません。
不甲斐ない私ですが、プロデューサーさん、先輩の皆さん、どうかこれからもよろしくお願いします。
鷺沢文香
P「お、おお…日記帳がこのページだけ厳かな雰囲気になってる」
ちひろ「現役大学生で文学部在籍でしたよね。私には中々書けませんよ…」
P「上下関係が薄いのがウチの特徴だとしても、文香に関してはそういうのが特に強いですね。何故なんでしょう?」
ちひろ「うーん…家庭環境とか、今までの学習環境によって出てきますから、私達には推し量れませんね」
P「何としてでもスカウトしたかったのは彼女の佇まいにピンと来たからなんですけど、これが彼女の素なのかどうかは、俺もよくわかってないんですよね、正直」
ちひろ「これから、という感じですか」
P「ですね。良くも悪くも彼女は遠すぎる。文香の個性を残しつつ、この事務所に打ち解けて貰えたら嬉しいですね――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
読ませてもらったぞ。
確かにあの場所からここに来るのは、とても勇気の要る事だろうし、
文香自身も難しい判断だったように思う。
だが、それは間違いではないと俺が保証するよ。
あの場所はあの場所で良い所もあるが、文香には、天高く羽ばたける透明な翼がある。
その翼はごく僅かの人間しか持っていないんだ、使わなきゃ勿体無いと思わないか?
心配や不安は、今も、この先も、ずっと文香の前からやってくるだろうから、その時は絶対に一人で立ち向かわないで、俺やちひろさん、同じ事務所の仲間を頼ってくれ。
文香を誘った責任もある。
絶対に後悔はさせないから、これからも頑張って欲しい。
そしてそうしている内に、徐々にでいいから皆と打ち解けてくれると嬉しい。
改めて、これからもよろしく頼む。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「プロデューサーさんもよく即興で書けますね…」ヘエ
P「割りと好きですよ、こういうのは」
ちひろ「ああ、確か前にも文字を読むのは好きだって言ってましたもんね」
P「似たようなもんです」
――
――――
――――――
[事務所、13時前]
ちひろ「あ、そろそろ時間ですね」チラ
P「日記読んで書き込むだけでも結構時間かかりますからねー。みんな良い文章を書いてくれるおかげですよ」ウンウン
ちひろ「私もそう思います――と、そうだ」ポン
P「どうかしましたか?」
ちひろ「いえ、これをよかったら」ゴソ
P「……お菓子ですか。コンビニで買ってたんですね」
ちひろ「食後のおやつでも、と思いまして…」
P「タイミング的には微妙に外れた感がありますが……ジュース持ってきますね」ガタ
ちひろ「すいません、お願いします」
P「いいですよ。ちょっと食べ過ぎなような気もしますけど」コツコツ
ちひろ「別腹ですから……大丈夫です、ええ」
P(あの間は別の意味で考えたんだろうな)スタッ
ちひろ「さ、さー食べましょうよ、プロデューサーさんっ」
P「はい、あんまり時間もないですからね」
・ ・ ・
――ゆかりの日記、その後
[コンクール会場、入り口前]
P「着いたぞ、ゆかり」プスン…
ゆかり「送ってくださってありがとうございます、Pさん」ガチャ
P「気にするな。会場は遠くないし、丁度暇だったからな」ガタン
ガヤガヤ
ゆかり「それでもありがとうと言わせてください。今度、何かでお返ししますね」コツコツ
P「それは仕事で返してくれればいいよ」
ゆかり「ふふ、ではこれからも頑張りますね――あら?」ピタ
P「どうした?」
ゆかり「いえ、あちらに居る人は――」
P「あちらって……あれは!?」
幸子「――あ、遅いですよ二人ともー! ボクを待たせるなんて感心しませんね!」ビシッ
星花「いけませんわ、幸子ちゃん。この場で騒いでは」
幸子「うっ……わかりました」ピクッ
P「幸子に星花、何故ここに居るんだ!?」
幸子「勿論応援です! 良かったですね、ゆかりさん。カワイイボクが応援すれば優勝間違いなしですよ!」
星花「幸子ちゃん、大声を上げ過ぎると変装がバレてしまいますわ。…あ、わたくしもゆかりさんの応援に参ったのですのよ♪」
ゆかり「幸子さん、星花さん……ありがとうございます」ペコリ
P「いや、それはいいことだが……どうしてお前たちが?」
星花「ゆかりちゃんがコンクールでフルートを演奏するということで、畑違いですが僭越ながらわたくしもお手伝いしたのですわ♪」
幸子「そしてボクはゆかりさんに面白くてカワイイ文章の書き方を教えました! ボクにかかれば造作もありません!」ドヤァ
ゆかり「お二人とも、声をかけて頂いたので協力して頂いていたんです。ですがまさか来て頂けるとは…」
P「幸子はアレだが…ありがとうな、二人とも」
幸子「アレってなんですかアレって…まあ、ボクはカワイイので気にしませんが」
星花「P様もご覧になるのですか?」
P「いや、俺は送迎だけだ。この後また仕事があるからな」
幸子「なんだ、残念――こほん、Pさんが帰ってもボクが居れば全く問題ありませんから安心して下さい」フフン
ゆかり「わざわざすみません、Pさん」
P「まあ星花が着いてるから大丈夫だろ。落ち着いていけばゆかりなら大丈夫だ、頑張ってこいよ」
ゆかり「はい!」ペコリ
星花「いってらっしゃいませ、P様♪」フリ
幸子「今日もボクのために仕事がんばってくださいね!」
P「おう、また後でな」スタスタ
P「……」ピタッ
P(ゆかりの文章はよく気にかけておこう)
[おわり]
・ ・ ・
――藍子の日記、その後
[事務所、午後]
藍子「お疲れ様です、Pさん」コト
P「うん? あ、ああ、藍子か。お茶ありがとう」
藍子「今はちひろさんが出かけてますからその代役です。少しお休みしませんか?」クス
P「んー…まあいいか。ふわぁ」クター
藍子「あ、Pさんもそういうことするんですね。ふふ」
P「俺も人間だからなあ…あー、お茶おいしい」ゴクゴク
藍子「ありがとうございます♪ あ、おかわりは要りますか?」
P「…いや、自分でできるから休んでていいんだぞ?」
藍子「いえ、毎日頑張るPさんのために何かをするのが嬉しいんですっ」
P「ならいいが……」クター
藍子「はい♪」
チク、タク、チク、タク…
藍子「……Pさん、最近特に働き過ぎじゃないですか?」コト
P「そうでもないさ……みんなを支えるんだ、このぐらいやらないと追いつけないからな」
藍子「…なら、今だけはゆっくりしてくださいね」
P「藍子に言われちゃしょうがない……悪い、眠いから少し昼寝してもいいか?」
藍子「いいですよ。何時に起きますか?」
P「あと20分後ぐらいに頼む……ふわぁ」コテン
藍子「わかりました。おやすみなさい、Pさん」
P「また次のカフェに行こうなー……」バタッ
藍子「……」
藍子「……いつもお疲れ様です、Pさん」
[おわり]
・ ・ ・
――文香の日記、その後
[レッスン室・夜]
トレーナー「はい、今日は終わり!」
アリガトウゴザイマシター
ガヤガヤ
文香「はぁ…んくっ――はぁ…はぁっ…!」ペタン
真奈美「……どうだ、文香。調子は」コツコツ
文香「あ……木場さん。その…、なんとか」ゼェゼェ
真奈美「真奈美でいいといっているだろう。…君はあれか、この事務所の空気が苦手なのか?」ハァ
文香「い、いえ……そういうわけでは。すみません」ウツムキ
真奈美「ふむ……そうか」
真奈美(Pがスカウトしてきたと思えば、アイドルにはてんで向いていないようにも見える……何か思うところがあったのだろうか)
ガチャ
P「みんなお疲れ様ーっと――あ、文香…と真奈美さん。レッスンお疲れ様です」トタトタ
文香「…お疲れ様です」コクリ
真奈美「ああ、Pか。お疲れ様。レッスン室にまで来て何か用かな?」
P「はい、少し文香に用があって。立てるか?」ホラ
文香「あ…はい」ギュ
P「疲れてる所悪いな、これを今から読んで欲しい」ピラッ
文香「わ…わかりました。…時間は」
P「とりあえず二十分位で。教えながらやるから軽くでいいぞ。俺は今から皆を寮に送るから、戻ってきたらやろう。じゃあ後でな」フリ
スタスタ…
真奈美「……どういうことだ?」
文香「ええと……その。補習、でしょうか…」
真奈美「レッスンが終わった後に補習だって? あの彼と?」
文香「はい、…あの、私、まだまだ……ですので」
真奈美「…ちょっと、それを見せてくれるか?」
文香「…どうぞ」ピラ
真奈美「これは……基礎レッスンの手引きじゃないか」
真奈美(それにしては、内容が些か容易化するように編集されているが…)フム
文香「トレーナーの方はその、…帰ってしまうので。プロデューサーさんに」
真奈美「…コーチを頼んでいるという訳か」
真奈美(あの人は全く……どうしてこうも一人でやろうとするんだ)ハァ
文香「私は……未熟者ですから。少しでも覚えて、木場さ――すみません、…真奈美さんに追いつきたい…です」コクリ
真奈美「私に?」
文香「はい……ええと、とてもよく……動けてますから」
真奈美「この補習はどのくらいのペースでやってるんだ?」
文香「その、毎日……です」
真奈美「毎日だって?」
文香「そうしなければ…プロデューサーの言葉も、……私の言葉も、裏切って……しまいますので」
真奈美(それに付き合える彼も凄いが……腐らないんだな、この子は)
真奈美「――よし、わかった」クルリ
文香「…はい?」キョトン
真奈美「私は今ではアイドルだが、元々はトレーナーとしてやるつもりだったんだ」
文香「そう……だったのですか…?」
真奈美「Pに負担をかけすぎるのも良くないしな。どうだ、私も手伝ってやろうじゃないか」
文香「そんな…ええと、悪いのでは」オロ…
真奈美「何、君以外にも教えているから問題ないさ。Pを助けると思って私を頼るといい」トンッ
文香「……ありがとうございます、真奈美さん」ニコ
真奈美(何だ、根気もあって、ちゃんと笑えるじゃないか……彼はこういう所を見たのか?)クス
真奈美「よし、じゃあもう一度柔軟から始めるぞ。…彼を驚かせてやれ」
文香「あの……はい…っ!」
[おわり]
長い(小並感)
1レスに収めるのは難しいです。
最初の方ミニストーリーを付けてみました。食玩感覚。
ふみふみは本当に難しかった。
次は
>>97,>>98,>>99です。
よろしければお願いします。
>>97,>>98
なんやこの速さ……待機しすぎィ!
安価先で裏を書かなきゃ(使命感)
というわけでお三人方どうもです。
この単発で颯爽と安価をかっさらっていく姿、嫌いじゃないぜ
いや、怖いけどさ(本音)
>>101
どう感想を抱けばいいのかちょっとわからないです、割りとマジで。
あと、個人的な話ですけど安価決めた方は投下後感想頂けると有難いです。
微妙に違和感が拭えなかったりなんだったりなので。
(いや、レスがないということは不満はないということなのか…?)
>>103
智香さんお疲れ様です私を応援して下さい(真顔)
んー、安価は間隔短いほうが気が楽かなと思ったんですが、
それも考慮してみます。
智香さんありがとう!
>>104,>>105
と思ったらこういう意見もあり。難しい所。
現在試行錯誤してますので騙された方申し訳ないですがご愁傷さまです(保険)。
虎視眈々と私の安価指定レスを伺う姿を想像すると吹く
>>107
楓さんPおめでとう。
でもほのぼのだけとは限らないよ(保険)
あと駄洒落は勘弁して下さい思いつきませんよ楓さん
>>108
予告はしてないからね、仕方ないね。
大体夜に投下してるんで頑張って見つけてくださいませ。
安価取れたら幸運が訪れる、そう思うといいと思います(投げやり)
急に長いレスが来たなと思ったら画像先輩…すげーと思ってたらうづきんで吹いた
わざわざありがとうございます。
よかったら参加していってくださいませませ。
――ある日の朝の事務所前
ジリジリ…
P「っはあ……出社するだけでもあついぞ…」トコトコ
P「車は維持費がなあ……ああ、でも暑いし寒いし――って」ピタッ
琴歌「あら、P様ではありませんか」コツコツ
P「珍しいな。今日は歩きなのか?」
琴歌「はい、今日は電車を使って参りました」
P「電車か……その、こういっちゃなんだが、大丈夫だったか?」
琴歌「ふふ、心配性ですね。P様に付き添ってかなり長いのです。電車の使い方ぐらい理解しています」
P「…ICカードを改札機にねじ込もうとした人間だからなあ」ミアゲ
琴歌「ず、随分昔のことを……もう、意地悪ですね、P様は」カァッ
P「その話を聞いた時は本当に笑ったよ。お前も成長したな」ハハ
琴歌「当然です! …P様の隣を歩くためには、私もこのままではいけないのですからね」
P「はは、ありがとう。んじゃ、暑い中話すのも何だし、事務所に行こうか」フリ
琴歌「はい。――あ」
P「ん、どうした?」
琴歌「私としたことがとんだ失礼を。おはようございます、P様」ペコリ
P「ああそうか。おはよう、琴歌。…様付けはまだ抜けないか?」
琴歌「硬すぎ、とおっしゃるのでしょう? ふふ、これはP様への敬愛の証ですので。さあ、行きましょう」コツコツ
P「……悪い気はしないよなあ」
・ ・ ・
[事務所]
ガチョッ…ガチャ
P「鍵開けてーっと。準備の前にまずはエアコンだ」ピッ
琴歌「今日も暑いですね。体調のほどは大丈夫ですか?」
P「みんなに心配された事もあっておかげさまでな。…俺ってそんな倒れそうに見えるのか?」
琴歌「みなさん、P様の優しさや働きぶりを知っているからこそ、ですよ」ニコ
P「軟弱者と思われそうで複雑なんだが…まあいいか。琴歌は飲み物は何がいい?」
琴歌「そんな、P様にそのようなことをさせるわけには――きゃっ」ビクッ
P「…表情が硬いぞ」ムニー
琴歌「……申し訳ありません。ではお茶をお願いしてもよろしいでしょうか?」ムニー
P「任された。そこに座っていいからな」スタスタ
琴歌「はい。ありがとうございます、P様」
コポコポ…
琴歌「……」ジー
P「お待たせ――と、日記か?」コト
琴歌「ええ。みなさん、手にとっては沢山の思いを書き記していますね」ニコ
P「言いたいことや言えないこと、そういう物を不思議と書かせる日記ってのは不思議なもんだ」ゴクゴク
琴歌「P様にも言えないことがあるのですか?」
P「んー、俺はないか。言わなきゃ伝わらないというのは嫌というほど分かってるのは、こういう立場だからだろうな」
琴歌「…二人出会えば争いは生まれます。そんな不条理の中でこうしてみなさんと仲良くできているのは、P様が作り上げた事務所のこの雰囲気だからでしょうね」
P「そんな大層な事はしてないぞ……テレビでもつけるか」ピッ
キョウモアツイヒガ…
コウスイカクリツはイゼン…
P「…琴歌はこの日記を書かないのか?」
琴歌「日記……実を言いますと、中々書きたいことが思い浮かばなくて、今は遠慮しています」
P「まあ、思いつかないのはよくあることだしな。何かあったらいつか書いてくれ」
琴歌「はい、そうさせて頂きます」ニコ
P「…そうだ、確か琴歌の今日の予定は近場だったよな?」
琴歌「おっしゃるとおり、スタジオでの撮影ですが…いかがなさいましたか?」
P「いや、もしよかったら日記の返信に付き合ってくれないかと思ってな」
琴歌「私が…でしょうか?」キョトン
P「ああ。いつも隣にちひろさんが居て喋りながらやってるんだが、今日は居ないみたいだから寂しくてな。駄目か?」ハハ
琴歌「…そんな。駄目なはずがありません。是非ともお付き合い致します」
P「悪いな。じゃあ早速始めるか――」パラ
○月◇日 佐々木千枝
かおるちゃんと始まった交かん日記が、今こうして事務所のみんなとやってることが、わたしはすごくうれしいです。
あんなこと話してたとか、こんなことしてたとか、わたしの知らないみんなを知れて、言ってよかったなって思います。
かおるちゃんも私といっしょにこの日記を読んだりして、事務所に来ることがもっと楽しくなりました。
ちゃんと日記のばしょを作ってくれて、みんなに教えて回ってくれたプロデューサーさんとちひろさんには、ありがとうございます、と言いたいです。
えへへ、せっかくの日記なのに、これだけじゃつまらないですよね。
この前の話ですが、なつやすみに入る前、とつぜん雨がふったのはおぼえてますか?
その時私は事務所に行こうと思って歩いていたんですが、とちゅうでふってきたのにかさを持ってなかったんです。
だって、テレビでも雨の予報なんてなかったから、すごくびっくりしました。
ぬれてかぜをひいたらプロデューサーさんにめいわくがかかるから、わたしは急いで近くの屋根のあるところにひなんしました。
これからどうやって事務所にいけばいいのだろうって思って、プロデューサーさんにむかえにきてもらうしかないのかな、となやんでいると、とつぜん声をかけられました。
「あれ、千枝ちゃん?」っていう、女の人の声でした。
知らない人から声をかけられたらにげなきゃいけないから、びっくりしてその人を見ると、みおさんだったんです。
みおさんも事務所に向かう途中で、かさをさして歩いている時にわたしをみつけたそうです。
同じかさに入れてもらって、事務所に入ると、タオルとかお茶とかくれました。
その時のみおさんは親切でやさしくて、とてもかっこよかったです。
私も、大きくなったらみおさんのように、やさしい人になりたいです。
P「千枝は普段喋る時は自分のことを千枝と呼んでるけど、日記では私なんだな」
琴歌「作文のような文体で、とても丁寧で素晴らしいです」
P「ああ、そういうことか。薫との交換日記なら千枝と書いてるかもなあ」
琴歌「私達にもこのような時期があるのです…P様の小学生時代はどのような感じだったのですか?」
P「……言わなくちゃ駄目?」
琴歌「ふふ、よろしければ知りたいです」ニコ
P「敵わないな…友達とシモネタ言って笑ってるガキンチョだったよ、俺は」
琴歌「し、しも……!」
P「男は子供から大人まで大体そんなもんだ。…幻滅したか?」
琴歌「い、いえ。そのようなことはありません。ただ、今のP様からは想像できなくて……申し訳ありません」
P「成長するんだよ、誰でも。千枝だって、今よりももっと優しくなって綺麗になるし、琴歌だって、もっと柔らかくなるだろうしな」ハハ
琴歌「…私も、もっと前に出なければなりませんね」
P「それだけが成長じゃないけどな。ええと、返信は――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
この日記を考えだしてくれてありがとう、千枝。薫もな。
そうか、あの時未央と仲良く話をしていたのはそのおかげだったのか。
俺も未央が優しいのはしってるぞ。
先輩後輩関係なく、年齢の上下関係なく別け隔てなく話ができて、
気配りもできる。
未央がいるからこそ、この事務所はこんなにいい雰囲気になっているのかもしれないな。
千枝も、もっと成長して大きくなったら、困ってる人を助けてあげられるような
優しいアイドルになってくれ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
琴歌「……ふふ」
P「いきなり笑ってどうした?」キョトン
琴歌「いえ、ただ、このように返信をするP様は父親のように優しいのだな、と」
P「…プロデューサーだからだぞ」
琴歌「…そういう事にしておきますね、ふふっ」
P「琴歌もとんだ意地悪な奴だよ、全く……じゃあ次のページに行くぞ――」パラ
作戦N実行日:○月◇日
実行者:あずき
ふふふー、このページはあずきの作戦に使うよ!
名付けてはじける日記大作戦!
なんではじけるかっていったら、そりゃもうみんなはじけるぐらい楽しく仲良くできるような日記にしたいからね!
その作戦を今まで温めてきたみんなの思いは忘れない!
…って書いてると、もうみんな会えないみたいになってない? って周子さんに言われちゃった。
ジュースを飲みながら隣であずきの日記を見ているんだけど、作戦の覗き見はだめなんだからね!
…でも、確かに言われてみるとそのフレーズはよくないよね。
じゃあ「みんなの思いをつなげるぞ大作戦!」って言ったら「それでいいんじゃない?」って言ってどこかに逃げていったよ。
むむ、あずきの責任重大だね!
うーん、そう言われると軽々しく言えないもんだねー……そうだ、夏といえば旅行だよ!
陸ときて海ときたら、次は山じゃないかな!
あずきの住んでた長野の夏の高原は自慢できるぐらい涼しくてみんな楽しめると思うよ!
海に行きがちだけど、あずきはキャンプも好きだから、温泉を楽しみつつ避暑もいいと思うんだけどなー…おねだり大作戦を実行する時がきたかな?
暑いけどみんなで頑張って、プロデューサーに旅行をプレゼントしてもらおうじゃないか!
…ダメかな?
と、とにかく考えてね、プロデューサー!
P「俺の財布を破壊するつもりか、あずきは」
琴歌「ふふ、でも同じ事務所の皆のために提案してくださってます」
P「まあ……実のところ、旅行を考えているんだけどな。計画中だ」
琴歌「あら、本当なのですか?」
P「前に…莉嘉の日記だったか、あれをよんでちひろさんと幾つか話し合ったんだよ。昔ならともかく、今の事務所の状態だと全員参加は難しそうだけどな」
琴歌「そうなのですか…。続報、期待していますね」
P「ああ。その時は琴歌も参加してくれたら嬉しいな。返信は…」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
みんなの思いをつなげるぞ大作戦、いい作戦じゃないか。
アイドル達も多くなってあんまり接したことのない子も多くはないが
増えて来ているからな。
そういう所からも、色々アプローチを仕掛けて行きたいと俺は思うよ。
もし決まったら、あずきにも協力してもらおうかな?
まあ、色んな作戦を考えておいてくれ。
だが俺の財布は四次元ポケットじゃないから勘違いしないように。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
P「しかし、甘く見ても大人数なのは絶対なのに、それを収容できる旅行先に行けるのか?」
琴歌「なんだか修学旅行のような大名行列、ですね」
P「確かにその通りだ。……ちひろさんが泣かないといいけど」ペラ
○月◇日 はれ
私、ねがってた
どこか、とおい、そんな世界
つなげてくれた、気持ち、大きな、手
でも、Pの手、一つじゃない
私、ねがった。その先、みんないた
Pと約束。ずっと、信じる
そこに、もう一つ
みんなと、いっしょ。みんなと、どこまでも、行きたい
Pなら、できる。私と約束、したから
でも、Pのひざ、わたさない
P「……独特だな」
琴歌「雪美ちゃんはあまり喋りませんのでどんな日記か気になってましたが、とても素直に書き綴っておりますわ」
P「そうだな。短いが、雪美の気持ちがはっきりと見えてくる」
琴歌「……ところで、P様のひざとはなんなのでしょうか?」
P「やっぱりそれ、気になるか」
琴歌「最後の一文がとても印象的ですので…」
P「なんというか…時々だけどな、雪美は俺の膝に乗りたがるんだよ」
琴歌「まあ、猫みたいですね」ポン
P「実際猫と友だちだからな……それで乗っているんだが、それを見た薫とか仁奈とかメアリーもいつのまにか乗るようになったんだ」
琴歌「…ふふ、何だか微笑ましい光景です」
P「お互いアイドルだから手を出す喧嘩はしないが、それでも睨み合われると俺も参るよ」ハァ
琴歌「それでしたら、私がP様の膝に乗るというのはどうでしょう?」
P「……どういう理屈だ?」キョトン
琴歌「……申し訳ありません、今のは無かったことにして下さいませ」メソラシ
P「お、おう。じゃあ返信は…」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
雪美の日記が見れるとは思ってなかった。
書いてくれてありがとう。
雪美の言うとおり、ここは雪美だけじゃなくて、みんないるんだ。
その中で俺は一人だけだから、最近あまり構ってやれなくて悪いな。
空いてる時で良ければ事務所で話せるから、オフならペロも連れて遊びに来るといい。
待ってるぞ。
……でも、俺の膝は残念ながら誰のものでもないからな?
自由な時は乗ってもいいが、誰かが居たら譲ってあげてくれよ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
琴歌「…P様はプロデューサーなのですよね?」ボソ
P「ん、そうだけど…何かあったか?」
琴歌「いえ、それは解っているのですが、皆さんとお話しつつ莫大な仕事をこなせるのが私には不思議で…」
P「みんながいるからな。みんなを輝かせるために仕事をしてるんだー、って思ったら、案外仕事も多くは感じないさ」
琴歌「……素晴らしき方ですわ、P様」
P(正直スタドリ様々です、本当にありがとうございました)
・ ・ ・
――千枝の日記、その後
[事務所、夕方]
ガチャ
千枝「ただいま戻りましたー…」クタクタ
未央「たっだいまー、千枝ちゃん持って帰ってきたよ〜」
P「千枝は荷物じゃないぞ…おかえり、二人とも。送迎頼んで悪かったな、未央」
未央「いえいえー、いつも頑張るプロデューサーのためですから…なんてねっ」
P「はは、心強いな。……っと、千枝は疲れてるな。帰るまで少しソファで休んでいいぞ。すぐに飲み物を持っていくから」
千枝「はい…ごめんなさい、プロデューサーさん」ウツムキ
トコトコ…
未央「うーん、やっぱりキツいよねー、子供が大人の仕事をするのは」
P「どんな年齢であろうと性別であろうと、仕事があればやらなきゃいけない、それが社会人の辛さだよな。…あとお前も子供だっての」コツン
未央「あうっ。……どうせなら撫でるほうが未央ちゃんは喜ぶのに〜」
P「それはまた今度な。帰る時間は大丈夫か?」
未央「あ、いっけなーい、家に帰らないと! それじゃまた明日ね、プロデューサー!」クルッ
ガチャ…バタン!
P「忙しないアイドルだなあ、未央は……っと、飲み物を持って行かないとな」スタスタ
ソーッ…
P「千枝、大丈夫か? 痛いところはあるか?」コト
千枝「……いえ、大丈夫です。ちょっとお仕事が長引いたので疲れちゃっただけです、え、えへへ」
P「全く、子供に無理をさせるなよな…ほら、スポーツドリンクだ」スイ
千枝「ありがとうございます、プロデューサー…んく、んく……はぁっ」ゴク
P「今日は俺が家まで送るから、それまで休んでていいからな。今日もお疲れ様、千枝」
シーン…
千枝「……やっぱりまだまだですね…私」
P「まだまだって……体力なんてこれからだろうよ。気にしなくていいさ」
千枝「だから、未央さんにも、プロデューサーさんにも迷惑をかけてしまって…」
P「……勘違いするなよ」ポフ
千枝「え?」ユラユラ
P「千枝はもし未央が困っていたら、嫌々助けるのか?」ナデナデ
千枝「そ、そんなわけないです!」
P「だろ? …俺達だってそうだ。仲間だから、千枝だけじゃない、誰が困っていても喜んで助けるし、皆もきっとそうするはずさ」ナデナデ
千枝「……早く、千枝も大人になりたいです」
P「どうしてだ?」
千枝「千枝が大きくなったら…未央さんみたいに誰かを助けられますから」ウル…
P「じゃあ、千枝はまずおっちょこちょいにならないとな」
千枝「……どういうことですか?」
P「未央だよ、未央。アイツ、入ってきた当初は元気があるからなのか、スケジュール管理が苦手でな、仕事好きなくせにたまにすっぽかして……はあ、大変だったよあの時は」
千枝「あの未央さんが、ですか……?」
P「そうだよ。それでも覚えていって、仕事がもっと出来るようになって、みんなの信頼も得て……余裕ができて周りが見えるようになって、手を差し伸べられるような子になったんだ」
千枝「……」
P「だから千枝も今はいっぱい助けられて、千枝ができる範囲で頑張れ。それで大きくなって余裕ができたら、今度は千枝みたいに困った子を助けてあげてくれ」ナデナデ
千枝「プロデューサーさん……はい……っ」
P「はい、じゃあ今は俺に素直に助けられてゆっくり休んでくれ。送る時間になったら連絡するから」スッ
千枝「……あの、プロデューサーさん!」
P「どうした?」
千枝「千枝、千枝……ゆっくり大きくなって、なったら、プロデューサーさんを助けたいです!」
P「……俺ってそんな頼りなく見えるのか」ズーン
千枝「あ、いえ、そういう意味じゃ…!」アタフタ
P「はは、わかってるよ。ありがとうな。じゃあ数年したら、秘書にでもなってもらおうかな?」
千枝「秘書……はい! 千枝、お勉強たくさんします!」
P(プロデューサーに秘書ってなんだ一体)
P「その調子だ。勉強もアイドルも頑張れよ。…だから今は休め」
千枝「はい……ありがとうございます、プロデューサーさん!」
[おわり]
・ ・ ・
――あずきの日記、その後
[事務所]
P「……二人して何やってるんですか?」
ちひろ「あ、おかえりなさい、プロデューサー」
あずき「ねえねえプロデューサー! 見てみてー!」グイ
P「うお、いきなり……って、なんだこれ」ピラ
あずき「あずきの考え……みんなで考えた行きたいスポットだよ! 名付けてアカシックレコード大作戦!」
P「蘭子が伝染ってるぞ、あずき。あとそれお前が行きたい所だけだろ」
あずき「…えへへ」
P「お前なぁ…」ハァ
ちひろ「つい先程から、帰ってきたあずきちゃんと旅行の話をしていたんですよ。それで色々観光地なんか紙に書いていたんです」
P「ああ、あの件ですか。日程案はどんな感じです?」
ちひろ「それが、やっぱりこの時期はみんなそれぞれ仕事もありますし、宿も大きいのは取れないので……」
P「うーん、そうか……難しいですね」
あずき(……!)ピコーン
あずき「…お、今作戦思いついたよ!」
P「ん…どんな作戦だ?」
あずき「名付けてかわりばんこ大作戦!
ちひろ「かわりばんこ?」
あずき「そー! 長い旅行日程をとって、最初に行ける人から参加して、仕事がある人は途中で抜けて仕事に戻るの! それで途中から参加出来る人は参加して…全員一緒に観光できないけど、一度に宿に泊まる人数は少なくて済むよ!」
P「……」
ちひろ「……」
あずき「……って、ダメだった?」
P「いや、それいいな。そうか、必ず同じ日程で全員行く必要はないのかー!」ポン
ちひろ「確かにトータル人数を抑えれば小さめの宿でも行けそうですね」
あずき「……ということは」
P「ナイス作戦だ、あずき。そこまで思いつかなかった。お前のおかげだ」
ちひろ「あずきちゃんが居てよかった。今から具体的に予定組みますか?」
P「そうですね。急がないと、プライベートの予定も埋まっちゃいますから。あずきはどうする? 送ろうか?」
あずき「……ううん、あずきももっと作戦考えるよ!」
P「そうか、ありがとう。頼りにしてるぞ、あずき」
あずき「任せてっ、頑張るよ!」
あずき(…一緒に計画大作戦、成功だねっ!)
[おわり]
――雪美の日記、その後
[事務所、朝]
P「今日は昨日の続きをしないと……頑張らなきゃ」グデー
ちひろ「珍しいですね、仕事を残すなんて」
P「ええ、中々進まなくて…夏バテですかね」ハァ
ちひろ「気をつけてもなりますから……アイドルの子達だけじゃなくて、自分の体も心配してあげてくださいね」
P「ご忠告痛み入ります…」
ガチャ
雪美「…P……ちひろ……おはよう」
ちひろ「あら雪美ちゃん。今日は早いのね」
P「おはよう……でも今日の仕事は昼からだぞ?」
雪美「知ってる……。約束…P……つながってる…私……聞こえた」
ちひろ(え、約束…聞こえた?)
P「…ああ、そういうことか」
ちひろ(……やっぱりプロデューサーさんにはわかるのね)
雪美「だから……果たす…。Pに……あげるの」コクリ
トコトコ…チョコン
P「ペロは来れなかったんだな」ナデナデ
雪美「うん…残念……。でも…大丈夫……Pと私……つながってる」コクリ
ちひろ(何の迷いもなくプロデューサーさんの膝の上にのって撫でられてる雪美ちゃん。そういえば最近見なかったなあ)
P「はは、ありがとう。雪美はしばらくここに居たいか?」
雪美「……当然…最近…取られてたから。P……いや?」クビカシゲ
P「嫌じゃないぞ。ちょっと手を横から…よし、これでパソコンが使えるな」カタカタ
ちひろ(そして雪美ちゃんをのせたままキーボードを打つプロデューサーさん)
ちひろ「……ふふ」
P「…どうしたんですか?」
ちひろ「いえ、なんでもないです」
雪美「力を……貸すの。こうして……きゅ」モタレ
P「……よーし、頑張るか。雪美からパワーをもらったことだしな」
雪美「P…がんばって……」
ちひろ(父娘みたいだなんて……言えないですよ、プロデューサーさん)クス
[おわり]
正直言うとあずき難しすぎる。一体どうすればいいのか…
そして最初のみ使うと言いながらちひろさんの代役となった琴歌さんでした。
多分って言ってたから仕方ないね(めそらし)
皆が安価を所望するなら!
私は可変安価を採用するッッッ!!(球審感)
というわけで次の三人は
>>178,>>179,>>180です。
ミナサンガンバッテ。
熱い心理戦だね(ニッコリ
ちょっと時間かかりましたけど、二度目の正直で泰葉P及び黒川Pおめでとう。
多分前回と同じ人かな?
あと実際書いてみると雪美が一番早かった。
難しいけど単純だからか?
ついでにチャンミオハカワイイデスヨ?
>>164
大正義。横になって持たれて更に後ろ髪を上から前に流してくれると尚よし。
>>168
今回シリアス枠(適当)につき断念…
>>169
やったー! やったぞミハルー!
>>173
みんな違って、みんないい。
>>174
誰かが書いてくれるよ(ニッコリ
>>184
ありがとうございます智香さん。
ものすごく健全です。健康的でいいですよね。昨今の情勢的にも。
>>185
楓Pおかえりなさい、よくぞ生きて帰って来られました!
お仕事お疲れ様です。
ゆっくりと読んでいただければ気力も使わず済むかと…(不安)
>>186
どちらかといえばネタ切れとの勝負…誰かバトンタッチしてもいいのよ(保険)
>>260
おかげで超得フルバーストでしたわ…
>>261
楓P…いや村上組頭領、お疲れ様です。
モバマスジャンルに特攻仕掛けてきます。実は初めてです。
>>262
仮にもみんなが読む日記にそんな恥ずかしい物は書いてはいけませんと
某風紀さんが言っています。
>>265
暴挙アンド暴挙。
>>266
琴歌にしろ歌鈴にしろ、変換できません。マジで。
あ、ちなみに安価だけは指定しておきます。次回は遠くなりますけど。
――ある日の事務所
ちひろ「……はぁ」ズーン
P「どうしたんですか? そんなため息を吐いて…」
ちひろ「これですよ、これ」ピラ
P「これって…先月の電気料金ですか」
ちひろ「はい…この数字を見てると気が遠く」
P(なら見なければいいのに…)
P「事務所の稼働時間も増えて、更に今年は去年よりも暑いですから…まあ必要なコストかと」
ちひろ「それはそうなんですけどねー…家に居るなら無理矢理にでも節約するのに、こう使っていると家に帰りたくなくなるんです…」
P「…実質タダですからね、個人負担としては」
ちひろ「そういうことです」キリッ
P「というか我慢は止めましょうよ、今年は洒落にならないですから」
ちひろ「扇風機も案外涼しいんですよ?」
P「それは知ってますって。ウチならエアコン普通に使ってますし、なんならウチに住みます――」ハハ
ちひろ「は、はいっ!」
P「か、なーんて……」
ちひろ「……」
P「……」
ちひろ「に、日記を見ましょう! 頭を動かさないと鈍ってしまいますよ!」バタバタ
P「そ、そうですね! 気分転換のためにも見ましょう、見ましょう!」ガタ! パラッ!
○月▼日
どもっす!
吉岡沙紀っすよ!
伊吹に渡されて(本人書いてないのにね)そのまま書こうと思ったんすけど…みんな、アイドルなりたての頃の思い出話とか好きなものの話とか、楽しそうにかいてるっすよね!
そういえばアタシも日課のグラフィティを書いてる時に訳の分からない変な男にナンパされたんすよねえ。
はは、今考えても変な顔してたっすよ、Pさん!
それでま、本物だと知ってアイドルになって、グラフィティに拘らない表現を知って、今は本当に楽しいっすね。
アタシはただ自分を表現したかったんだ、ってのがわかったっす。
グラフィティやってたところはそれしか見えてなかったっすから…それがまさかアイドルになるとは思ってなかったっすけど、Pさんには感謝っすね。
あ、かといってグラフィティを引退したわけじゃないっす。
厳密に言えば違うのかもしれないっすけど、今はアーティストとしてテレビで実演することもあるっすから。
最近やったことといえば、寮の壁面にデザインしたことっすかね。
寮の一部分にうちのプロっぽい何かを見出したいってーことで、仲間達で描きまくったっす。
中でも凄かったので比奈っすね!
「いや、アタシは紙の上専門っスから…」とか言ってたっすけど、一度ブラシを握ればアーティストって感じで、ガシガシ描いていってたっす!
他にも蘭子や由愛なんかも綺麗に描けてたっすね。まあ、アタシとは畑違いな感じもするんだけど。
それでできあがった壁はもうサイッコー!
やっぱり思いっきり、思う存分描けるってイイっすね!
確かあの時はPさんは仕事で来てなかったっすよね?
よかったらPさんも何か描くといいっすよ!
ちひろ「プロデューサーさんは完成品見ました?」
P「見ましたよ。皆が好き放題描いてるのか、部分部分で結構描き方が違って面白かったですね」
ちひろ「地味な壁面にあんな派手な物を描く事を提案する人も中々いませんけどね」クス
P「そういえば元々は誰の提案だったんですか?」
ちひろ「ニュージェネレーション、ニューウェーブの面子ですね。ばらばらだから、何か形が欲しい、と言ってました」
P「ああ、なるほど…。これだけ人数がいると一体感は薄くなりますからね」
ちひろ「親睦会としても楽しめたらしいですけど。プロデューサーさんは書かないんですか?」
P「そうですね、また時間があった時にでも――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
沙紀はいつも元気でいい事だ。
確かにあの時の俺は緊張もあってか変な顔をしていたかもな…でも、本気だったんだぞ?
表現する楽しさをしっているからこそ、君にアイドルになって欲しかったんだ。
それを沙紀が答えてくれて嬉しいよ。
寮の壁、あれは中々の傑作だったな。
皆の気持ちが詰まっていて見てる方も楽しくなれたよ。
その場に立ち会えなかったのは残念だったけどな。
だから、俺も次休みに寮に行く時があれば是非隅の方にでも描かせてもらおうかな。
……正直に言うと、絵なんてほとんど描いたことが無いから、腕に不安なんだが。
まあ、楽しめればいい、ってことだよな。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「…そういえば、スカウトした時の変な顔って――」
P「…訊かないで下さい」パラ
ちひろ(何かやらかしたんですね…)
○月▼日。
天候は晴れに等しく、雨は久しく降らず。
空、澄み渡りて海のごとし。
…なんて、仰々しく書いてみました。
こんにちは。藤原肇と申します。
一度自己紹介すれば大丈夫なのですが、やはり肇という字は一般的に見慣れないので初見では読むのは難しいだろうと思います。
私でさえ、綺麗に漢字を書くのに相当な時間を要しましたから。
…私がアイドルとなって、もうかなりの時間が経ちました。
当初といえば、家を飛び出すかの如くこの世界に入ったのですが、今では祖父にも認められ、かつての危機感、反抗心もなく、楽しく仕事ができています。
この度は、あんな私を認めてアイドルとしてプロデュースしてくださって、ありがとうございました。
まだ精進する身ではありますが、改めてお礼を申し上げます。
もしもPさんに認めてもらえていなかったら、きっと私の中に燻る思いを吐き出せないまま、情けない心で陶芸に触れていたことでしょう。
こうして挑戦し、思いの限りを尽くして生きているこそ、私の手から生まれる作品も生き生きとしているのだと思います。
実際、実家に帰ってから作品を完成させ、それを祖父に見せると随分と嬉しそうな顔をしていますから。
……まあ、これは祖父にとって陶芸と関係ない部分もあるのかもしれませんが。
ああ、そうだ。
もう一つ、Pさんにお礼です。
作品展の開催の企画、ありがとうございます。
私の住む岡山で、祖父と共に作品を展示することができるだなんて、夢にも思いませんでした。
…私がアイドルとして生きている限り、そんなことにはならないと決めつけていましたから。
これもPさんの力なのですね。
不可能を可能にする。形なきイメージを、この世に顕現できる。
Pさんだけの、特別な力でしょう。
祖父の作品と私の作品、アイドルとして、祖父の娘として作り上げた作品を多くの方に見てもらうため、現在、仕事の合間ではありますが、色々な物を作り上げています。
完成した暁には、是非Pさんにも見て頂ければと思います。祖父も会いたがっていますしね。
P「…皆俺のことを凄いというが、本当に凄いのは彼女達自身なんだよな」
ちひろ「仕事も増えてみんな忙しいのに、自分のしたいこと、目標に向かっていつも走っていますからね」
P「無論、トップアイドルが目標な子もいますけど…明確な未来を見据えた子の瞳は、宝石よりも輝いています」
ちひろ「…まるでアイドルになることが面白く無いというような言い方ですね?」
P「邪推ですよ。……ただ、トップアイドルという地位を目標にするのは、思考停止に近いんじゃないか、というのが持論なだけです。勿論菜々を否定する訳じゃありませんが」
ちひろ「他の事務所の人に聞かれたら怒られそうな言葉です」
P「構いませんよ。アイドルという肩書きで輝くよりも、趣味や技術とか、人柄とかで、人として輝いたほうがその色は鮮やかなんじゃないかなあ、そう思うんです」
ちひろ「かといって趣味に没頭するようならアイドルは続けられませんけどね」
P「はは、それもそうですけどね。…アイドルを続ければ自然と視野が広くなる。それが高みを目指す子にとって一番の活性剤なんですよ」
ちひろ「流石沢山のアイドルを育て上げた名プロデューサー、言うことが違いますね」クス
P「凄い人間じゃないですよ。ただ道筋を示しているだけの人間ですから――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
肇がそういう文字を書くと、本当に職人のように思えるよ。
いや、アイドルとしても、陶芸家としても、肇はもう職人なんだろう。
最初の頃の切迫した肇の表情を思い出すと、時の流れを感じるな。
こちらこそ、肇をプロデュースさせてくれてありがとう。
展示の企画だが、無事に通って何よりだよ。
今回は仕事ではなく、純粋なお前個人としての活動だから、体裁を気にする必要はないぞ。
ただ有りのままの気持ちを陶芸に捧げてくれ。
プロデューサーとしても、肇とともに歩く人としても、展示会を楽しみにしているよ。
お祖父様ともお話しておきたいからな。
制作、頑張れよ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「プロデューサーさんって、結婚してないんですか?」
P「いきなり何ですか…言うまでもなくずっと独り身ですよ」
ちひろ「い、いえ。なんでもないです。次に行きましょうか」
P「は、はあ…」パラ
ちひろ(その割に父性に溢れすぎている、だなんて言ったら怒られそうですね)
超☆風紀日誌
担当:冴島清美(プロダクション風紀委員会リーダー)
どうもみなさん、規則正しい生活を送っていますか?
最近、どいつもこいつも風紀のことだの露知らず、横暴に振る舞う者がとても増えています。
学校でもそのような輩がおり、対策活動にはとても苦労をしましたね。
ですが! そのかいもあって学校は無事平和になったのです!
そして! 今私は超☆アイドルとしてこの世界の風紀を正しにきたのです!
芸能界といえば悪の組織が氾濫する危ない世界…そんな場所に、いたいけな少女が生き生きと暮らせるはずもありません!
だからこそ、私が来たことによって、立ち上がる時なのです!
そのためには、この世界について知ることが大切です。
なので、最初はこの事務所の風紀を守ろう…としたのですが、どうやらここは風紀が適切に守られており、私の出番はあまりなさそうです。
それは、ひとえに名誉風紀委員ことプロデューサーの手腕、そしてその補佐である千川ちひろ風紀補佐官のおかげなのでしょう。
少女を悪から守り、風紀を守る良き人間として育て上げたからこそ、この事務所は平和なのです。
ああ、風紀が守られた空間は美しい。
そしてそれを守り続けるプロデューサーや千川さんの魂は、何と清いのでしょうか!
くくく、このまま行けば私の風紀力が世界中に及ぶのも長くない話です。
これからも素晴らしい風紀力の発揮、お願いしますね!
ちひろ「……この子をスカウトしたのはどうして何ですか?」
P「いやあ、こう…ティン、と来たんですよ、うん」メソラシ
ちひろ「風紀委員会がないのに独断で風紀維持活動をするアイドルってなんなんですか…」
P「いや、でもほら、彼女が居るおかげで事務所が綺麗になってるじゃないですか」
ちひろ「いや、清掃員をスカウトしても意味ないですよ…」
P「ふむ、清掃員か……アリだな」コクリ
ちひろ「ナシですっ!!」ビシッ
P「……まあ、ああは言ってますけど、皆が気持ちよく生活をできるような環境を作りたいという気持ちは本気ですし、かといってアイドルへの気持ちも充分ですから、彼女はこれから次第ですよ」
ちひろ「資質云々はさておき、たしかに気力にあふれてますもんね」
P「茜あたりと気が合いそうな感じもするが――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
はは、頑張ってるな。
清く正しい生活は健康の基本だからな。
風紀以前に、人として大切なことだから、これからも守ってくれよ。
だが、この事務所が皆楽しくやれてるのは、何も俺達が頑張ったからじゃない。
それぞれのアイドル達が皆いい子だから、相手の気持ちを知る子達だから、こうして
思いやりを持って活動ができるんだぞ。
だから、清美も風紀という言葉に縛られちゃいけない。
ルールは人を縛る縄ではなく、快適に過ごすためのホウキでなくちゃならないんだ。
でも、いざ風紀が乱れた時には是非清美の力を借りたい所だな。
勿論起きないことが一番だが…もしもの時には期待してるぞ。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
ちひろ「……あの、思うんですが」
P「どうしました?」
ちひろ「正直、ウチで一番風紀を乱してるのはあの子だと思うんですが」アツミーン
P「……ええ、あの子ですね」アツミーン
・ ・ ・
――沙紀の日記、その後
[寮、玄関前]
沙紀「さあさあ、これを持って下さいっす!」グイ
P「うわ…って、ブラシか」フリフリ
沙紀「Pさんが描きやすいように小さめのを用意したっす! 勿論アタシの使うスプレーでもいいっすけど、どっちがいい?」
P「いや、これでいいよ。素人がスプレー使っても汚くなるだけだしな」ハハ
沙紀「センスありそうっすけどねー、Pさん。まあいいや、あっちに色置いてますから好きなの描いて下さい!」
P「うーん、そうだな…」
沙紀「何でもいいんすよ。ハートの中にアートはあるんすから!」
P(ハートの中にアートか…じゃあ、俺らしく)
P「わかった。いくぞ――」グッ
サッ、スス…、シュシュッ
P「…ふぅ。よし、こんなもんだな」ヌグイ
沙紀「おー、Pさんって英語も上手く描けるんすねー!」
P「なんか嫌な言い方だな……けど、ありがとう。沙紀のおかげで綺麗に描けたよ」
沙紀「ありがとっす…けど、ランウィズドリーム、アンドショウザブルーム…ってどういう意味っすか?」
P「こんなクサい台詞、柄じゃないが…まあ、頑張れよって意味だよ」ハハ
沙紀「へえー…Pさんはこういう時でもやっぱり真面目なんすね」
P「まあな。…というか、これぐらい読んでもらわないとアイドルとして駄目だぞ」
沙紀「…頑張ります」メソラシ
[おわり]
・ ・ ・
――肇の日記、その後
[事務所、扉の前]
カツ、カツ、カツ…
P「ふぅ、ただでさえ暑いのに階段登るのは地獄だな…早く事務所で涼もう――」
ガチャ
P「ただいま――」
肇「ひゃあっ!?」ビクッ!
P「うおっ!? なんだ、どうした!?」
肇「あ、あー…Pさん。なんでもないです、すみません」ペコペコ
P「え? …まあ、なんでもないならいいが」トコトコ
肇「はい…あ、おかえりなさい、です」ウツムキ
P「ああ、ただいま…」
P(なんだろうな、あの驚きぶりは――って、ん?)ジー
P「…なあ肇、その背中にある箱ってなんなんだ!?」
肇「え、嘘、見えて…!?」ガサッ
P「……あー、すまん、見せたくないものだったら見せなくていいからな、うん」
肇(うう…勢いで持って来ちゃったけど…行くしかないですね)
肇「…ええと、すみません。これ、Pさんに見せたい物なんです」オズオズ
P「俺にか?」
肇「はい…これ、空けてみて下さい」ハイ
P「小さな木箱だが……と、これは湯のみか!」
肇「はい。以前にもお渡し事があるとは思うんですが、今の私を知って欲しくて…」
P「なんだ、そういうことか……悪いな。ありがとう、前のもまだあるけど、これも使わせてもらうよ」
肇「ありがとうございます。以前のも持ってくださってるんですね」
P「壊れないように大事に使ってるよ。……それで、この湯のみに書いている『情』ってなんなんだ?」
肇「それは…Pさんが情に溢れているからー、なんて…」
P「はは、なるほどな…肇にそう思ってくれて嬉しいよ。ありがとう」
肇「い、いえ! こちらこそいつもありがとうございます!」
P「これからもよろしくな。じゃあ俺は作業するから、また後でな」
肇「はい、頑張ってください」
スタスタ
肇(…実はもう一つ作ってあるんです)
肇(そこに書かれている文字は……Pさんにはまだ、見せられません)
[おわり]
・ ・ ・
――清美の日記、その後
[静かな事務所]
愛海「んっはぁぁぁん…これは…これはぁ――最高級のおもちやでぇ…うひひ」
卯月「あっ、あつ…み…ちゃんっ、ここは事務所だから……やめっ」
愛海「だってちひろさんはどこかに行ったし、相棒ことプロデューサー兼登山家のPさんは居ないしでそこに居るのが卯月さんなら…これはもういくしかないじゃない☆」
卯月「うう…プロデューサーさぁん…助けてぇ…」グス
バタン!
清美「何やらおかしな声がします!」キリッ
卯月「あ、清美ちゃん…!」
愛海「確か…未認可風紀委員の清美ちゃんだったっけ…」
清美「み、未認可ではありません! 超☆風紀委員です!」
愛海eye「…age15,76-58-78」キュィィィィン
愛海(ふむ…なるほど)
清美「悲しき叫びは正義への渇望! それは悪しき思いを挫くため! ――超☆風紀委員、冴島清美、ここに見参!」バーン
卯月(ポーズまで決めて…考えていたのかな)モマレ
清美「私が来たからにはもう大丈夫です、卯月さん! さあ愛海さん、その捻じ曲がった意思を悔い改めなさい!」
愛海(このままのさばらせるとあたしにとって不利になる…)
清美「さあ、人質を解放しなさい! 今なら大丈夫です! 超☆風紀委員の名のもとに、今なら減刑してあげます!」
愛海「ねえ……風紀委員はそれでいいの?」
清美「事務所の風紀を守ること。それは平和のために大切な事です」
愛海「……ふふ、まだまだ若いね」
清美「…どういうことですか?」
卯月(あ、またなんか始まった)モマレ
愛海「人は美術に恋焦がれる。それは、本能が美という存在に惹かれるから。知っているでしょ?」フリ
清美「勿論です。だから私たちはアイドルという立場にいるんですよ!」
愛海「だったら、その『美』をより高めていくのがアイドルの使命なの。あたしは、こうして女の子と密接にふれあうことで…アイドルの持つ最高の美に近づけているんだよ」
清美「ぐ、確かにアイドルという立場であるなら当然たりうる……それは正義だわ…」
卯月(よくそんな言葉がすぐ出てくるなあ…)サワサワ
愛海「風紀って何? 雁字搦めに縛るもの? …あなたならわかるはず。本当の風紀の意味を!」ビシッ!
清美「……ルールは人を縛る縄ではなく、快適に過ごすためのホウキでなくちゃならない」ボソ
愛海「そう。名誉風紀委員であり、プロフェッショナル登山家であり、名プロデューサーである彼の言葉。……あなたは、そんな彼の言葉を疑うの?」キリッ
清美「愛海さん……いや、愛海風紀実行委員長! 私は風紀という言葉に囚われてアイドルとして間違った考えを持ってしまってすみませんでした!」ガタッ
愛海「いいんだよ。本当の風紀は、許しあうものなの。だから清美ちゃんも、この柔らかなお山に触れて…美を高め――」
ガチャ
拓海「…うーっす。ちひろに呼ばれてきた」ネミー
愛海「」ギクッ
卯月「あ、こっちです」サワサワ
・ ・ ・
[5分後]
愛海「」チーン
拓海「ったく…コイツも懲りねぇな」パシッ
卯月「あ、あはは…助かりました」
拓海「ちひろから息絶えたような声で電話が来た時はマジで焦ったぜ…」ハァ
卯月(あー…やっぱり逃げ出したのって…すみません、ちひろさん)メソラシ
清美「…拓海さん、ありがとうございます。危うく洗脳される所を助けて頂いたおかげで、事務所の風紀がまた守られました」
拓海「あぁ? アンタは…確か冴島、だったか」ジー
清美「そうです! この世界の風紀を守るためにやってきた、風紀系アイドルです!」ドンッ
卯月(風紀系アイドルってなんだろう…)
拓海「…よくわからねぇが、よろしくな。あとコイツは必要悪だから、何かしでかしたらその場で駆除せず周りに助けを求めるといいぜ」
清美「なるほど、流石風紀系姉御! 非常に頼もしいですね!」
拓海「風紀って…アタシは真逆なんだけどな――クソ、丸くなったのもアイツのせいだ。後でメシ奢らせてやる」ボソ
卯月「すみません、わざわざありがとうございました、拓海さん」
拓海「気にすんな、卯月を助けるためだからな。…んじゃ、コイツは持ってくから――ほら、行くぜ」グイッ
愛海「ヴァイ…」ズルズル
ガチャン…
清美「……美しい。これが、力ある風紀委員の形……理想なのですね」コクリ
卯月「あのー…清美ちゃん?」オソルオソル
清美「よし、決めました! 私の目標は――拓海さんです!」ビシッ
卯月(……ちひろさんの頭痛の種が増えたような気がする…)
[おわり]
むしろキャラの定まってない今だからこそできる強引っぷり。
基本的に思いついた事を書いてるので話の内容は運次第です、ええ。
というわけでひとまず休憩。
次回は不明ですが多分13日かもしれません。
次は>>284,285,286です。よろしくお願いします。
難関が来てしまったか…
そして周子Pおめでとうございます。前回遠目だったから…
あと比奈きらりって誰だー、誰なんだー(棒)
>>291
ん? 今何でもするって言ったよね?
じゃあ旅行編書こうか(ゲス顔)
――ある日の事務所
カタッ…
P「今年ももうすぐ終わりですねえ」フゥ
ちひろ「いやいや、まだあるじゃないですか」
P「とは言ったって、夏休みが終ればもうこんな時期ですよ。もう四月から七月はどこに行ったんだって感じです」
ちひろ「それは大人の感覚ですよ。学生の子達にとってはちゃんと毎月ありますって」
P「大人か…。昔思ってた大人像になれてますかね、俺」
ちひろ「どんな風に思ってたんですか?」
P「そりゃあカッコイイスーツを来て高層ビルの最上階でお偉いさんにプレゼンしたり結婚して妻に毎日おいしい料理作ってくれたりとか…」
ちひろ「な、なんだかえらく具体的ですね…」アセ
P「今を思えば違いなんていくらでも。スーツは何十着も潰してるし、家でご飯を食べる事すら稀ですし…」
ちひろ「子供からだと、大人の働いてる所って見えませんから」
P「わかってるんですけどね……何だかふと我に返ると寂しくなります」
ちひろ「……プロデューサーさんは子供の時、父親を尊敬していましたか?」
P「勿論ですよ。帰りが遅い時が多かったのでつまらなく思ってた時もありましたけど、本当に困っていた時にいの一番で助けてくれて……」
ちひろ「いいお父様なんですね。でも――」
ガチャ
薫「おっはよー! あ、せんせぇだぁ♪」ピョン
P「こら薫、いきなり飛びつくんじゃない。あと事務所に来たら?」
薫「おはようございまー!」ニコ
P「よし、今日も元気でよろしい」ナデナデ
薫「うん! かおるね、アイドルだからにこにこするのっ!」ニコ
P「はは、そうだな」
ちひろ(今居るアイドルたちを見て、尊敬されてないなんて思えるはずないじゃないですか、ねえ?)
・ ・ ・
コポコポ…
P「ところで今日は薫一人で来たのか?」
薫「ううん。えとね、じむしょの前までたくみお姉ちゃんといっしょに来てたんだけどね、かいだんのところでばいばいしたの――あ、これ言わないでって言われたんだった、どうしよ…」
P「一人じゃなかったんだな。…じゃあ俺と薫の秘密にしよっか」
薫「ひみつ……えっへへ、かおるとせんせぇのヒミツ! わかった!」ニコッ
P(あとで拓海にバレないように礼でもするか……)
薫「それでね、せんせぇ。きょうのおしごとはまだ時間あるよね?」
P「ん? ああ、今日のは十時からだから……まだ結構時間あるな。宿題でもするのか?」
薫「ふっふーん、かおるはちゃんとおうちでしゅくだいするんだよ!」
P「そうなのか…じゃあ、どうしてはやく来たんだ?」
薫「うん、だいぶ前にこうかんにっき始めたでしょ? それでね、かおる読めない漢字があって、せんせぇに読んでもらおうと思って……だめ?」
P「ああ、なるほど。いいぞ、じゃあ一緒に座って見るか」ポンポン
薫「うん! そっちのソファに行くね!」トタトタ
P「じゃあ俺は日記を――と、また誰かが新しく書いてるな。数日空いただけなのに」パラ
薫「だれか書いたのー?」
P「そうだな。薫はどうする? 読めない日記を先に読むか?」
薫「うーん……先にあたらしいの読んでほしいな! せんせぇが返事を書くところ、見たいんだもん!」
P「はは、そういうことか。よし、じゃあそうしようかな。最初の人は――」ピラッ
×月◆日
酒のつまみに文字を読むなんて、なかなか乙なものじゃない。
そう楓が言ってたけど、私にはどうかしらね?
どちらかといえば、私は文字よりも月を見ている方がなんとなく美味しいと思うわ。
……酒に限っては、の話だけれども。
殊、ワインに限って言えば、見るのは景色だけじゃなくて目の前にあるモノ。
それはワインの色であり、グラスを持つ手であり、そして共に飲む人であり……ワインの色は、ただそれだけじゃないの。
ふふ、お酒を飲まない人にはわからないかもしれないわ。
どう? Pさんならわかる?
私を楽しませてくれるあなたになら、わかってもらわないと困るのだけどもね。
今、私が日記を書くだなんておかしい、と思ったでしょう?
現に私もそう思っているわ。
原因を問えば楓がそう。
だって、三角座りで酒を飲みながらこの本を読んでいたもの。
一緒に飲む予定だったのだけど、私の仕事が遅れてしまったから先に始めてしまったのね。
私が来た頃には少し出来上がってたようで、うわ言のように私のじゃない名を呼んでいたの。
そんな事、私は言わないから余計に彼女が瑞々しいわ。
彼女は私じゃないから、どうしても違いは出てくるものね。一緒に飲んでいると楓が可愛く見えてくるわ。Pさんもそう思うでしょう?
だから、私には可愛さは必要ないわ。
それを混ぜてしまったら……彼女にとっても、私にとっても面白く無いと思うの。
それぞれ味があるから飲み比べが楽しいのだから。
うふふ、Pさんは私と楓を飲み比べて、どちらが美味しいと思ったのかしらね?
・・・
注:私も居たのだがね……。
この記録は志乃さんが口頭と日記にいくつか書き留めていた事を私が改めて書き起こしたものだ。
同様にアルコールの入った楓さんに言われてしまってはな。
いつになく饒舌だったものだから、私も興味がなかったわけではないのだが。
ふふ、思い出すと楽しいですね、こういうの
薫「ねえねえせんせぇ、おさけっておいしいの?」キョトン
P「……あー、そうだな。薫は苦いジュースって好きか?」
薫「ジュースなのに苦いの? かおるはやだなあ」
P「それを美味しいと思うのが大人で、それがお酒だよ」
薫「うーん、むずかしいね?」
P「はは、難しいよな」
P(事実、彼女らがお酒をあそこまで飲むのは単に嗜好云々の話ではないような気がするし)
薫「でも楽しそうだよー。かおるも大人になったらわかるかな?」
P「かもしれないな。今は絶対飲んじゃ駄目だけど、これから薫がいっぱい遊んで勉強して、そして一生懸命アイドルをやって、それで大人になったら、その時は俺と飲もうか」
薫「うん! せんせぇと一緒に飲む! せんせぇと一緒にいたら、苦いのもおいしくなるよね!」
P「……その通りかもな」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
止めろとは言いませんけど、ここはプロデューサーとして一応節度を
持って楽しんでくださいね、と言っておきます。
でもまあ、ワインを美味しそうに飲む志乃さんこそ、今となっては志
乃さんらしいとも思えるようになりました。
最初の頃は、俺も意固地になってたのような気がしますしね。
ワインといえば、最近は俺も結構飲むようになりましたよ。
まだまだ志乃さん程の口利きじゃありませんけど……。
それでも色んな組み合わせとか好みとかを見つけていくのは楽しいと
思います。
勿論プロデューサーとしてあなたを導く意思は変わりませんけど、そ
れとは別に、個人的にオススメなんかも教えてくれたら嬉しいです。
それとあいさんにはもう少し気を遣ってあげて下さいよ。楓さんにも
言えることですけど。
あいさんも貴重な志乃さんの記録ありがとうございました。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
P(あいさん……無理してければいいけどな)
ちひろ「はい、薫ちゃん。ジュース飲んでね」
薫「わーい、ありがと!」
P「すみません、仕事中なのに」
ちひろ「いえいえ。……あー、でもなー。私も最近飲んでないなあ」
薫「……?」
P「……では、今週末にでも」
ちひろ「ふふ、ありがとうございます♪」クス
P「さ、さー次の日記を読もうか、薫」
薫「う、うん。難しくてよくわからなかったけど、次はがんばって読むよ!」
P「よし、その意気だ。それじゃ、次は――」パラ
×月■日
天気、雨、びゅー
担当、関
今日は色んな人にとって残念な日だったよね。
外、すごいよ。
勿論予報は出ていたけど……事務所の窓から見える景色が昼間なのに暗くて、台風ってこんなに激しいんだなって改めて思い知らされた。
私は仕事の収録が終わってPさんに車で送ってもらって事務所に帰ってきたんだけど、Pさんはそのまま傘一本握って急いで出て行って……打ち合わせがあるんだって言ってたけど、こんな天気でも行っちゃうのは凄いよね。
だからこそ、みんなたくさんお仕事出来るのかもしれないけど。
それでその日は雨音鳴り響く中、ちひろさんと二人で事務所で留守番でした。
ちひろさんは何やら忙しいみたいでずっとパソコンと睨めっこしてたので、私はロッカーから雑誌といつものアクセサリーのキットを持ってきて、色んなことを考えながらアクセサリーを作ってたんだ。
昔なら何となくのイメージで作ることの多かったこれも、最近は服とか、付ける人とかを考えながら作るようになってきたみたい。
だって、これは莉嘉ちゃんのためのものだから。
アイドルになって変わったことは沢山あるけど、一番は色んな人と話すようになったことかな。
上手く笑うことができなくて、それから人と顔を合わせることも苦手になってきた私がここまでこれたのは、あの時の決断した私と、私の恐い顔を見たPさんのおかげだよね。
結局、苦手意識があっただけなんだ、ってPさんは言ってたけど、まさにその通り。
ここに来るみんなも、中にはどこか苦手な所があったり避けてた部分があったりして曇っていた人も居るのに、みんな厳しいレッスンをして必死に仕事をしている内にいつのまにか雲が晴れていて。
雨の中を進むPさんがそれを見せているよね。
雨が降っていても、それを見続けているだけじゃいつまでたっても晴れは来ない。
雨が降っていたら、その中で出来る事をする。それが例え雨の中を走ることでも。
そうすれば、いつのまにか雨が止んでいることに気づくんだ。
私もいつのまにか笑えていて、テレビ越しの家族にも友達にも変わったねって言われて、私の雲はもう晴れたよ。
だから、今度は私が周りのみんなの雲を晴らす番。
最後は自分自身で動かなきゃいけなくても、その背中を押すぐらいはできるはず。
なので私はこうしてアクセサリーを作ってます。
そうすることで、誰かの歩く力になれると思うから。
……莉嘉ちゃん、喜んでくれるといいな。
薫「せんせぇ、実はね、かおるももらったんだよ!」
P「おお、薫もなのか。俺にもくれたよ――ほら」チャラ
薫「けーたいのストラップなんだね! かおるはブレスレットっ」
P「この前買い物に行った時も高い物は買ってないし、それでこれだけ綺麗に作れるのは裕美くらいだよ」
薫「ありがとーって言ったらね、どういたしましてって笑ったの! とってもにこにこしてた!」
P「そうか……嬉しそうだったか?」
薫「うん! また作ってあげるねって言ってくれたよっ」
P「よかったな薫。いつか薫もお礼をしなきゃだめだぞ」ナデナデ
薫「そうだけど……どうしたらよろこんでくれるかな?」
P「深く考えなくていいよ。薫が嬉しいなって思ったことを、裕美にもしてあげれば十分だ」
薫「そっかー。……考えてみるねっ」
P「そうそう。いっぱい考えて、薫のお礼をすれば、きっと喜ぶぞ――」カキカキ
――――――――――――――――――――――――――――――――
アイドルになる前からアクセサリーを作るのは趣味だと聞いてるけど、
アイドルになって忙しくなった今もずっと作り続けてるのは凄いことだぞ。
俺は昔から三日坊主のようなものだったから、尚更そう思うよ。
それだけでなく、みんなにも作ってくれてありがとう。
裕美の居ないところでそれを着けてる所を見ることがたまにあるけど、
みんな誇らしげに、嬉しそうな顔をしているよ。
材料は高級でなくてもありったけの笑顔を与えてくれる、そんなアクセサ
リーを作れるのは、笑うことの楽しさを知っている裕美くらいだぞ。
あの時は…確か新規ルートだったから、雨でも延期にしたくなかったんだ
よ。
例え結果がどうであれ、皆の可能性が広がるならやるにこしたことはない
しな。
それが伝わっているのかどうかはわからないが、裕美を含めてみんな仕事
をきちんとこなしてくれて嬉しい限りだ。
そして俺の行動が言葉として届いているのなら、これ以上幸せなこともな
いだろう。
これからも沢山の思いを乗せて、アクセサリーと笑顔を振りまいていって
くれ。
裕美を待っている人は世界中に居るんだからな。
Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――
薫「みんなとお友達、楽しそうだね!」
P「いや、薫も歌って踊って笑って、会場のみんなとお友達になってるんだよ」
薫「そうなの? でもおしゃべりしたことないよ?」
P「…薫はアクセサリーをもらった時、どう思った?」
薫「うん? もちろんうれしかったよ! きらきらしてて宝石みたいだった!」
P「そうだな。薫は裕美からおしゃべりじゃなくてアクセサリーをもらって嬉しくなったよな。じゃあ会場のみんなとは?」
薫「うーん……かおるのにこにこ?」
P「そういうことだ。たとておしゃべりしなくとも、薫の笑顔でみんなとつながるんだ」
薫「そっか! じゃあこれからもいっぱいにこにこして、お友達つくらないとね!」
P「頑張ろうな、薫」ナデ
薫「うん!」
・ ・ ・
薫「…あ、そろそろおしごとの時間だっ」
P「ん、もうそんな時間か。送っていくよ」
薫「ありがとね、せんせぇ! いつもありがとう!」
P「いきなりどうしたんだ、薫。そんな改まって…」
薫「あのね、考えたんだけどね、かおるはまだたくさんお礼のやりかたわからないんだ」
P「……」
薫「だから、いっぱい気持ちを込めておしゃべりするの! それがかおるの一番のにこにこなんじゃないかなって思うのっ!」
P「…なるほど、薫らしいな」ポン
薫「うん! だからありがと!」パアア
P「はは……。じゃあちひろさん、行ってきますね」
ちひろ「あ、はい。いってらっしゃい」
薫「いってきまー!」
ガチャ
ちひろ「……」
ちひろ(プロデューサーさんはもう少し灯台の下を見るべきだと思いますよ)
・ ・ ・
――事務所、夕方
カタカタ…
P「よし、今日の分の業務は終わりっと。……今日も色々あったけど、もう終わりか」
P(薫を送った後、ニューウェーブの次のライブ曲の振り付けをチェックして、それから事務所に来た子と喋りながら仕事の連絡をして見送って――)
P「……この本も汚れが目立ってきたなあ」パサッ
P(ちひろさんは用事で外出。ちひろさんが帰る頃には、俺はもう帰宅しているだろう)
P「まさかここまで続くなんてびっくりだ。提案した薫と千枝も喜んでいるだろうな」
P(……)
P「……よし、最後の一仕事でもするか」パラ
カキカキ……
――志乃の日記、その後
[事務所]
志乃「ふふ……遅かったわねえ、Pさん?」クイ
あい「あ、ああ……おかえりPくん……ふぁ」グテ
瑞樹「あら? P君も呼んでたの?」ゴク
P「帰ってきたらこれか……。ちひろさんは?」ハア
楓「合法にごーほーむ……ふふ、えへへ」クピ
P「つまり帰ったということか……はあ。あいさん、起きれますか?」ユサユサ
あい「問題ない…よ、これくらい。ふふ、Pくんに囲まれるのも、悪くない」
P「俺は一人ですから。どんだけ付き合ったんですか」
志乃「まるで王子様のようね……糸は白かしら、赤かしら。…赤がお望みなら、ワインはあるけど、ふふ」
P「酔ってるようでやっぱり冴えてますね、志乃さんは。…ああもう、仮眠室に連れて行きますから、俺の分用意しといて下さい」ガタ
あい「ああ……空が白いな、Pくん」
P「それは天井ですよ、あいさん」
スタスタ…
瑞樹「……まさかお姫様抱っこをリアルで見ることになるとは思わなかったわ」
楓「ぷー…私もしてほしいです」
志乃「楓には無理よ。あいのように仮面を被ってはいないのだから…ふふ」クイ
瑞樹「表目、というべきよね。まあ、続けましょう」グビ
楓「じゃあプロデューサーさんには日本酒をですねぇ」トクトクトク
・ ・ ・
――数十分後
楓「……すぅ」
瑞樹「むにゃ……ふふ」
P「思ったより早く沈んだな……いつから始めてたんですか?」
志乃「いつって…多分夕方ぐらい?」クイ
P「まだ普通に他の人いるじゃないですか…節度を持ってと言ってるのに、全く」グイ
志乃「あら…いい飲みっぷり」
P「別に酒が弱い訳じゃないですからね。仕事で疲れてるから余計に進みますよ」
志乃「うふふ……そこは、アイドルに囲まれてるから、といってほしいわね、プロデューサーさん?」
P「……否定はしないでおきます」
志乃「あら…意外と純情なのね。可愛いわぁ」ナデナデ
P「ワイン片手に頭を撫でないで下さいよ」
志乃「あらぁ…私にとっては、Pさんも子供よ?」
P「バカにしてるんですか?」ムッ
志乃「勘違いしないの。ふふ……子供だから尊敬してるのよ。有りのままに強く生きるあなたが、鮮やかに映るわぁ」
P「……そういうものですか」ゴク
志乃「ええ。そういうもの。人を動かすのは、いつも純粋な感情。…Pさんにしかない、綺麗な血。それを飲めば私も若返るのかもしれないわね、うふふ」
P「どこぞの吸血鬼のような事を……いや、その綺麗さは吸血鬼とでも言うべきですかね?」
志乃「あら、嬉しいわ。……でも、血を吸うのはPさんの方からでも良いのよ、ふふ」
P「俺がですか?」
志乃「この前言った事…記録にされていた文字、読んだのよね? ……じゃあ、飲み比べしたらどう?」
P「飲み比べって…」ピク
志乃「私の唇? それとも楓の首筋? ……ふふ、あなたが娘達を統べるのなら、味を知っておくのも悪く無いと思うわ……」
P「…やっぱり酔ってますよね、志乃さん」チラ
志乃「そう言いながら、視線はどこを向いているの?」クス
P「うっ」ドキ
志乃「ふふ…いいのよ、どこを見ても。今の私の血肉は、あなた同然のなの」
P「……はあ。敵いませんね」
志乃「それでいいの。子供でいるからこそ、私は私でいられるようなものだから」コト
P「……志乃さん?」
志乃「ちょっと進み過ぎたみたいね。少し休ませてもらうわ。……ふふ、そうなったら起きているのはPさん一人ね」
P「ちょっと志乃さん、いきなり何を――」
グイッ!
志乃「…体を温めるのはお酒じゃないわ。…少し、Pさんの温度を借りるわね。…うふふ、お礼なら寝ている間にね?」
P「し、志乃さ……って、寝るの早いな」
シーン…
P「……はあ。俺もまだまだ子供ってことなのか」
[おわり]
――裕美の日記、その後
[事務所・雨]
ガチャ
裕美「ただいま……ふぅ」
P「おかえり、今日も雨だったろ。ほら、タオル」パサ
裕美「わっ…。この時期の雨は冷たいね」フキ
P「ああ。そろそろストーブも導入しないとな……とりあえず体拭いてソファで休んでくれ。その間に温かいもの用意しておくから」
裕美「うん。ごめんね」
P「気にするなよ」
フキ…
スタスタ
P「はい。多めに淹れてるから、おかわりもいいぞ」
裕美「温かい……ふふ、Pさんも何だか慣れてるね」
P「そりゃ、毎年こういう時期はあるからなあ。いっそ執事にでもなってみるか」
裕美「なにそれ、ふふっ」
P「そんなに笑うことはないだろ……座るぞ」ドサ
裕美「仕事はいいの?」
P「とりあえず期限の近いものは終わらせてあるからな。少し休憩だ。……あー、おいし」ゴク
裕美「……うん、おいしい」クピ
ザー…
P「ああ、そうだ。今度莉嘉にアクセサリー作り教えるんだって?」
裕美「え、そうだけど……莉嘉ちゃんに聞いたの?」
P「この前姉妹と出かける機会があってな。その時裕美の作った物を自慢気に俺に見せてくれたよ」
裕美「…よかった、喜んでくれたんだ」
P「美嘉も手先が器用だなって感心してたし、その後の買い物で手芸店に見に行きもしたよ。莉嘉、習うんだーってやる気満々だったな」
裕美「ふふ、いきなり躓かないといいけど」
P「お、手厳しいな」
裕美「違うよ。やる気がありすぎたら、肩透かしをくらっちゃいそうだなって思っただけ」
P「難しそうに見えるけどなあ…」
裕美「ううん。思った以上に簡単なの。…私が笑うことも、楽しく話すことも、皆にとっては簡単なように」コク
P「……」
裕美「ああ、もう大丈夫だよ、大丈夫。笑うことが大好きだし、事務所の皆とも、ファンの皆とも話すことが大好きだからっ」
P「よく頑張ったよ、裕美は。最初は大変だったろうけどな」
裕美「私がヘマをする度に何時間も付き合ってくれたっけ。ふふ、懐かしいな」
P「そのかいあって楽しくやれてるんだ、無駄にならなくて俺も良かったよ」ハハ
裕美「それを皆にも同じようにやってるんだよね……凄いな」
P「別にすごくなんかない……っていうと怒られそうだな。じゃあ、当たり前の事をしただけさ」
裕美「ぷっ、キザっぽいね。似合わない」
P「うるせー」ポン
裕美「わっ。…あはは。照れてる」
P「まさかからかわれるまでになるとはな……まあいいや、ついでに仕事の話をするがいいか?」
裕美「仕事? うん、大丈夫だよ」
P「そうか。じゃあこれを見てくれ」パサッ
裕美「これは……少女向けのファッション雑誌だね」
P「ああ。今度、特集で莉嘉をモデルに裕美、お前が全体をコーディネートすることになった」
裕美「……へ? 全部?」
P「莉嘉のお願いでな。ある程度雑誌側の規定を守りつつ、裕美のセンスを莉嘉に着せてやってほしいんだ。できるか?」
裕美「でも、私にできるのはアクセサリーだけで、服装なんて……」
P「…そろそろもう一度歩き出す頃合いだと思うぞ」
裕美「え?」
P「出来ないと思っていたそれも、いつしか出来るようになって世界が広がったんだ。時間がかかってもいい、一歩進めば、今やっていることも、もっと素晴らしくなるはずだ」
裕美「アクセサリーから、全部に……か。できるかな」
P「出来るさ。出来ないことなんてない。裕美なら知ってるだろ?」
裕美「……うん、そうだね。やってみる」
P「よし、ならそれで行こう。頑張れよ」
裕美「もちろん。莉嘉ちゃんのお願いもあるしね」
P「はは、莉嘉も大分裕美の事を好いてくれてるみたいだぞ」
裕美「ふふ、失敗できないね……あ、そうだ」
P「ん、どうした?」
裕美「この前三人で出かけたって聞いたけど、具体的にどんなことをしたの?」
P「……いや、普通に出かけて」
裕美「具体的に、だよ」
P「う……言わないと駄目か?」タジ
裕美「そこまで言われると逆に何が合ったのか気になるけど…ただ莉嘉ちゃんの好みを知りたんだ」
P「それなら、今度一緒に出かければいいんじゃないか?」
裕美「それもそうだけど、やっぱり莉嘉ちゃんが輝くのは、好きな人と一緒に居る時だから…なんて。言いすぎかな」
P「ああ、なるほど。莉嘉は姉ちゃんにべったりだからな、はは」
裕美「あ、うん…そうだね」
P「そうだな、確か最初にデパートに行った時だったかな――」
ペラペラ…
裕美(…センスを磨かないと駄目なのは、Pさんの方かも)
[おわり]
・ ・ ・
――事務所、夜
カタカタ…
ちひろ「――少し休憩しようかしら」フゥ
ちひろ(関係企業との打ち合わせを終え、帰ってくればもう夜遅く。プロデューサーさんも既に帰宅していて、私独りの事務所は何だか久しぶりなような気がします)
ちひろ「……私のこの景色も、毎日見てきたなあ」
ちひろ(プロデューサーさんと出会って、一人目のアイドルと出会って、それから見届けて、応援して)
ちひろ「覚えていないことも多いけど、ずっと歩いてきた気がする…なんて、独り言も酷いわね、私」
ちひろ(ずっと過ごしてきても、誰もいない夜の事務所は昔の景色と似ています)
ちひろ「…でも、前には進んでるのよね。今は、日記がそれを証明書かしら、ふふ」パラッ
ちひろ(アイドルと、プロデューサーさんと、私の歩んできた記録。掻き消されそうでも、みんなと共有することで消えない思いを築いた日記)パラッ
ちひろ「みんなもページいっぱいに書いて、プロデューサーさんも全部にコメントして――って、これは……」パラ
ちひろ(そんな記録集の、小さな区切り。それをつけたのは――)
ちひろ「……ふふ、プロデューサーさんも律儀ね」
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×月■日
歩くのは俺だけじゃない。同時に、皆一人ひとりだけじゃない。
二人三脚、三人四脚、あるいは全員で一緒に歩く時もある。
この日記を読んで、俺の知らない、魅力的な世界が広がっているんだと知ったよ。
何を見て聞いて何を思い、何を夢想しどう歩むのか。
例え同じ物を見たとしても、決してそれらは同じにはならない。
それは皆がアイドルとして強く輝いている証拠だ。
そんな皆に接することは、俺がプロデューサーとしては勿論、一人の人間として最高の
出会いと出来事を経験しているのだと思う。
この先、何が起こるかはわからない。
泣き叫ぶかもしれない。怒り狂うかもしれない。あるいは、絶望するかもしれない。
未来は、どうとでも転ぶ。
だが、皆を見ていると俺は自然と信じられる。
手を取り合って競い合って、時には支えあって、輝きを増し――いつかは、同じ舞台で
最高のパフォーマンスで全世界のファンを魅了させることができるんだ、と。
だからこそ、俺は皆と一緒に居たい。
いつか一人ひとりの道を歩んで最高の輝きを見せるその瞬間を、間近で見てみたいから
だ。
そのために、全力で頑張るよ。
だから、申し訳ないがもう少しだけ、こんな俺が一緒に歩くことを許してほしい。
その代わり、必ず皆をトップに立たせるから。
この事務所に居る未来あるアイドル達に、願わくば幸せたらんことを。
そして、一つだけの人生と時間を、最高の瞬間で刻まんことを。
拙いプロデューサー、Pより
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空白期間入れて三ヶ月くらい?
とりあえずくぅ疲。色んな子が書けて楽しかったです。
特に蘭子とか周子とか。
とにかくお疲れ様でした。
安価取って下さった方、ありがとうございました。
あと目次も置いときます。計算したら20回やってるのねこれ…
〜目次〜
・第一回(>>1->>14)
渋谷凛、姫川友紀、双葉杏
・第ニ回(>>23->>36)
日下部若葉、神谷奈緒、棟方愛海
・第三回(>>50->>67)
城ヶ崎美嘉、若林智香、城ヶ崎莉嘉
・第四回(>>79->>95)
水本ゆかり、高森藍子、鷺沢文香
・第五回(>>110->>121)
大原みちる、小日向美穂、高垣楓
・第六回(>>155->>172)
佐々木千枝、桃井あずき、佐城雪美
・第七回(>>193->>209)
三船美優、黒川千秋、岡崎泰葉
・第八回(>>238->>241)
ヘレン、相原雪乃、道明寺歌鈴
・第九回(>>268->>281)
吉岡沙紀、藤原肇、冴島清美
・第十回(>>305->>319)
高峯のあ、塩見周子、島村卯月
・第十一回(>>334->>345)
神崎蘭子、水木聖來、アナスタシア
・第十ニ回(>>358->>367)
本田未央、松原早耶、十時愛梨
・第十三回(>>380->>389)
諸星きらり、千川ちひろ
・第十四回(>>399->>407)
松本紗理奈、森久保乃々
・第十五回(>>416->>423)
前川みく、緒方智絵里
・第十六回(>>433->>442)
喜多見柚、北条加蓮
・第十七回(>>451->>459)
ケイト、鷹富士茄子
・第十八回(>>467->>476)
工藤忍、川島瑞樹
・第十九回(>>483->>493)
栗原ネネ、氏家むつみ
・第二十回(>>507->>520)
柊志乃、関裕美
合計52人
08:14│モバマス