2013年11月07日
P「なあ伊織……アイドルを、『踏み台』にしてみるつもりはないか?」
P「―――律子が?」
社長「ああ、そうなんだ。……彼女の本来の希望については、知っていたかね?」
社長「ああ、そうなんだ。……彼女の本来の希望については、知っていたかね?」
P「ええ、以前本人から聞きました。プロデュース業をやりたいって言って……」
P「普段アイドルのレッスンをしながら、そういう勉強をしていたのは知ってます」
社長「うむ、その通りだ」
P「……でも悩んでいる、ということですけど……」
社長「そうなんだよ。……自分の方針に『確信』が得られない、とね」
P「確信、ですか……」
社長「事務所の子を使っての、アイドルグループの計画も立てていた様なんだが……」
P「自信が無くて、踏ん切りがつかないんですか」
社長「ああ、そのようだ。君の方から、何か言ってあげてはどうだね?」
社長「アイドルの『親』であるプロデューサーとして、そして何より『先輩』として、ね」
P「…………」
P「社長、律子が考えてた計画と、グループに入れる予定だった子たち、誰だかわかりますか?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376060573
春香「プロデューサーさん、正統派ですよ、正統派!」
http://logsoku.com/thread/hayabusa.2ch.net/news4vip/1331564584/
真美「真美は、どんなアイドルになればいいの〜?」
http://logsoku.com/thread/hayabusa.2ch.net/news4vip/1331902325/
真「AKB48……ですか?」
http://logsoku.com/thread/hayabusa.2ch.net/news4vip/1332504358
…………
コンコン
P「どうぞー」
ガチャ
あずさ「失礼します〜」
あずさ「道案内ありがとうね、千早ちゃん」
千早「いえ、ちょうど私もこっちの方に用事があったので」
千早「……プロデューサーと話、ですか?」ペコリ
P「おう……千早は、このあと何か用事でもあるのか?」
千早「ボイスレッスンですよプロデューサー。じゃああずささん、私はこれで」
あずさ「うふふ。じゃあ、千早ちゃんもレッスン頑張ってね」ヒラヒラ
千早「ふふ……はい、ありがとうございます」ニコッ
バタン
あずさ「はいお待たせしました、プロデューサーさん。……お話があると聞いたのですけど〜」
P「はい、そうですよ」
あずさ「え〜と……私、何かやっちゃいましたか? 私がやったことで、プロデューサーさんにご迷惑が?」
P「そういうわけじゃないですけど……」
P「うーーん……本当にいいのかな……」
あずさ「え、何がですか?」
P「いや……何でもありません」
P「えーとですね、あずささんも今度、本格的に芸能活動を開始する目途が立ちました」
あずさ「あら〜♪ 数ヶ月間レッスンばっかりでしたから、ようやくですね」
P「そうですね。実力をつけるためとは言え、プロデュース案も教えずにレッスン漬けにしてしまってすいません」
あずさ「いえいえ、良いんですよプロデューサーさん」
あずさ「……それで、どういう活動をすればいいんでしょうか?」
P「…………」
P「えーと、そのことなんですが……こっちの考えたプランは二つあります」
あずさ「二つ、ですか。何と何になるんでしょう」
P「えー、最終的にどっちがいいかは、あずささんが決めてください」
あずさ「はい」
P「まず一つ目なんですが……アイドルグループのプランです」
P「あずささん含めて複数人で、曲を出してアイドル活動するプランですね」
あずさ「グループですか〜。私の他には、誰が入るんですか?」
P「伊織と、亜美ですね。3人グループを予定しています」
あずさ「伊織ちゃんと、亜美ちゃん……と私、ですね」
P「はい」
P「……グループのコンセプトとしては、『直球アイドルグループ』を考えています」
あずさ「直球? というと…………」
P「奇をてらう様な売り方やキャラ付けをしない、3人の個性をそのまま活かしたグループ……ということですね」
P「リーダーとしてまとめ役になれる伊織と、持ち前の元気で雰囲気を明るくする亜美」
P「そして柔らかな空気感と大人らしさを武器に、二人では得られないファン層を獲得できるあずささん」
P「この3人のそれぞれの持ち味を活かしつつ、曲やダンスも『直球』の、アイドルらしいものを」
あずさ「えーとぉ、どんな曲なんでしょうか?」
P「(律子が用意してたやつだけど)このデモテープに入ってます。一例ですが」
〜♪〜
あずさ「なんだか面白い曲ですね」
P「『SMOKY THRILL』って言います。オーソドックスでいて、新鮮な耳心地のアイドルソングって感じですね」
あずさ「そうですね。こういう曲だったら、歌うのもきっと楽しいと思います〜」
P「……そう言ってもらえると幸いです」
P「で…こういう曲ですから、ダンスも可愛らしく、かつ3人で見栄えのいいものを頼んでおきます」
あずさ「ふふ、お願いしますね」
P「はい。……このグループで決まった場合、『アイドル』の形を崩さずに、3人で歌手活動するのを中心に考えています」
P「ライブに始まり音楽番組への出演や、3人組としてのバラエティ・企画出演なんか、ですかね」
P「活動が軌道に乗ってきたら、改めて個別の活動にも力を入れていくつもりです」
あずさ「(フムフム)」
P「……とまあ、これがこのグループでの方向性になります」
あずさ「はい〜、大体わかりました。グループの活動、とってもいいと思いましたよ」
あずさ「あの二人ほど若くはないですけど……それでもいいんでしたら、精一杯頑張ってみますね」
P「いやいや、何言ってるんですか。……逆にあの二人には、あずささんのような雰囲気は出せないんです」
P「それぞれの個性が光るからこそ、グループってのはバランスが取れるんです。自信持っていいんですよ」
あずさ「うふふ、そんなこと言われたら照れちゃいますよ、プロデューサーさん」
あずさ「あ……それじゃあ、もう一つのプランというのは……?」
P「ああ、もう一つのですね」
P「…………え〜」
P「……」
P(……律子…………)
P(いや、元からそのつもりだったんだし…………行くしかない!)
P「……今言ったグループ活動、俺が考えていただけで、亜美にも伊織にも話していません」
P「それを踏まえた上で聞いてください」
あずさ「? はい〜、わかりました」
P「もう一つが、……あずささんを『ソロ』で売り出すプランです」
あずさ「ソロ……私一人で、ですか……」
P「ああ、あずささんがこっちを選んだ場合の、亜美や伊織のプランもありますから、気にしないで下さい」
あずさ「は、はい」
あずさ「…………」
P「……もしかして、一人だと不安ですか?」
あずさ「え!? い、いや……」
あずさ「……そ、そう……ですね……」
あずさ「あの、実は……ちょっとだけ」
P「……どこらへんが、でしょう」
あずさ「……え、えーとぉ……」
あずさ「あの〜……私って、方向音痴だし、よくボーっとしてるって言われるし……」
あずさ「伊織ちゃんみたいなしっかりした子とか、亜美ちゃんみたいな明るくて元気な子と一緒だったら、大丈夫かな……って思ってたので」
あずさ「改めて一人で活動するのを考えると、ちょっと不安なんです……」
P「ん〜なるほど」
あずさ「す、すみません。こんな頼りなくて情けない理由で……」
P「……」
P「そうですねえ……」
P「あずささんだったら、もっと気楽に考えてもいいと思いますよ」
P「なんなら、もっと能天気でいいんじゃないですか?」
あずさ「え……えぇっ!?」
あずさ「の、のうてんき……ですかぁ?」
あずさ「プロデューサーさん、それはどういう……」
P「あぁいやいやいや……決して、あずささんをけなしているわけじゃありません」
あずさ「じゃあ、なんで……」
P「グループ活動の時にも言いましたが、あずささんは全体の空気を『調和』できる人間です」
P「あずささんがそこに居ることで、何か言うことで、みんなの空気がとってもよく和らぐんですよ」
P「空気を支配する、というのとはちょっと違いますね。『空気を馴染ませる』というのが合ってるかも」
あずさ「はぁ……馴染ませる、ですか」
P「……自覚してませんか」
あずさ「え、えぇ。いきなりそう言われても、何のことだか……」
P「さっきの千早との会話だけでも、その片鱗は見せてましたよ」
あずさ「え? さっきの……って、入ってきたときの、でしょうか?」
P「はい」
あずさ「何かありましたっけ?」
P「……千早はそれこそ、特に仲の良い春香ややよいとじゃないと、あんまり笑顔は見せません」
P「あずささんだって、普段の交流はそこまでないはずです……なのに……」
P「千早があずささんと会話すると、あんなに自然な笑顔が、千早の顔に出たんです」
P「俺だってだいぶ打ち解けてきましたけど、あんな綺麗な笑顔は中々出せません。悔しいですが」
あずさ「千早ちゃんの……笑顔……」
P「あずささんは、ちょっと会話しただけで出せるんです」
P「……人の心や表情を和らげる、それが『調和』」
あずさ「あらあら〜……そ、そうだったんですかぁ」
P「はい。あずささんの持ち味であり、芸能界に入った場合もそれは強みになります」
P「そしてそれに加えて、あずささんは最年長者だから、というだけでは説明がつかないほどの、大きな『母性』を持っています」
P「この母性が、それこそ『調和』に繋がるんだと思います」
P「これはあずささんが元から持っているものであり、最大の特徴と言ってもいいものでしょう」
P「常にマイペースなあずささんだからこそ、ですね」
P「……ですから俺も、『もっと能天気でもいい』と言ったんです」
あずさ「なるほど?…そういう意味で、おっしゃってたんですね」
P「誤解は解いてもらえましたかね」
あずさ「ええ…うふふ、ありがとうございます」
P「……」
P「そしてあずささんには……それ故に、ソロで活動して欲しい」
あずさ「ええとぉ……なぜでしょうか」
P「あずささんの、他のアイドルとの融和性は抜群です」
P「あずささん本人が決して我が強くないのもありますし、その『調和』の能力で、誰とも打ち解けられるからです」
P「だから亜美はもちろん、伊織も、あの強烈な個性を持っていてなお、あずささんが入ってもお互いのイメージを損なわない」
P「それはひとえに、あずささんが彼女たちに『合わせる』ことができるから」
P「我が強くないってのは、そういうことでもありますね」
あずさ「へぇ?……自分だとわからないですけど、そうだったんでしょうかね」
P「だと思ってますよ……でも、もったいなさすぎる、と思うんです」
あずさ「というと?」
P「あずささんは誰と組んでも、その組んだ相手の魅力をより一層引き出せます」
P「でも相手のことを思うがあまり、本来の『三浦あずさ』は、組んだ相手以上に主張することを止めてしまう」
あずさ「主張を、止める……?」
P「……相手に合わせる、ということは、つまりは『自分を引っ込める』ことに繋がります」
あずさ「……!」
P「グループの中の娘たちの魅力を、あずささんが膨らませる」
P「しかしそれは同時に、『三浦あずさ』を、その娘たちの魅力の中に埋もれさせることにもなりますね」
あずさ「……そ、そんな……!」
P「あずささんが献身的に、グループの中で己の立場を弁えて活動するほど、あずささんの魅力は外には出て行きにくくなる」
P「『母性』や『融和性』がグループ内で完結してしまい、グループ内の『立場』や『役割』以上の魅力になり得ない」
P「つまり、本来『全体の』空気を調和できるあずささんが、『グループ内の』調和だけで役割を終えてしまう……」
P「グループの一員であるが故に、その『グループ』という檻にあずささんの魅力も、考え方も、囚われてしまう可能性があるんです」
あずさ「そんな……!」
あずさ「プロデューサーさん、私は……どうすれば……」
あずさ「グループ活動を提案して下さったのに……そんなことを言われたら……」
P「…………」
あずさ「そ、ソロじゃないと、私は埋もれてしまうんですか!?」ガタッ
P「……すいません、ちょっと一方の立場を悪く言い過ぎました」
P「グループ活動にも長所はちゃんとあります。落ち着いて下さい」
あずさ「は、はい……」ストン
あずさ「フゥー……す、すみませんでした。もう、大丈夫です」
P「じゃあグループ活動の長所について、教えますね」
あずさ「例えば、どんなことでしょうか?」
P「まず最初に、あずささんが言っていたように自分が不安な場合でも、仲間がいるから大丈夫だ、と思えること」
P「これは間違いなくグループを組む他のメンバーもそうでしょう。お互いが助け合い、支えあう。グループの強みです」
あずさ「そう……ですよね」
P「次に、売り出しやすいということ。特徴的な3人でのグループなら、1人の時よりもそりゃあ『個性』は多くなります」
P「ですから、アピールポイントが増える分、こちらとしても番組やイベントの選択肢は増えます」
P「あずささんだけではイメージに合わない仕事も、伊織や亜美がいるから、と来る場合がありますし」
あずさ「それは……確かにそうですね」
P「それにああ言いましたけど、すぐ傍に、あずささんの母性や融和性を発揮できる、世間に見せつけることができる相手が二人いるわけです」
P「ソロの時よりも、そういった部分を直接的にアピールできることになりますね」
あずさ「あ……まぁ、はぁ……」
P「……わかりにくいみたいなんで、具体的に言いますと」
あずさ「す、すいません」
P「目に見えない特徴である『母性』や『融和性』を、グループなら『二人のお姉さん的役割』と、形あるものとして担える、ということです」
あずさ「……! な、なるほど……確かに」
P「まぁ……先ほども言ったように、その分、その『二人のお姉さん』の肩書が、あずささんの魅力を広げられない『枷』になることもあります」
P「枷を感じさせずに広く魅力を解放させる活動を考えますけど、その可能性には注意しないといけませんね」
P「……どうしますか? ソロとグループ、どちらも一長一短です」
P「どちらの活動をしてみたいですか?」
あずさ「はい……えっと、その……」
あずさ「…………」ジッ
P「?」
あずさ「プロデューサーさん……プロデューサーさんは、どちらの活動をして欲しいんですか?」
P「え? ……いや、最終的にどういう活動をしたいか決めるのは
あずさ「そうじゃありません。……プロデューサーさん自身は、私にどういうアイドルになって欲しいんですか?」
P「……!」
あずさ「ソロを躊躇った私に対して、『もったいない』って仰って下さいました」
あずさ「だけど……ソロの場合どうやって活動していくのか、まだきちんと教えてもらってないですよ?」
P(……やっぱバレたか)
P「……そ……そう、ですね。そういえば……ハハハハ」
あずさ「うふふ、ちゃあんと、教えてくださいね」
あずさ「そうでなきゃ、私だって考えはまとまりませんから」
P「……はい、そうでした。すいません」
P「……えー……」
P(……もうここまで来たら……俺の考えを……ぶつけるだけだろう)
P(律子には悪いが……もう、引き下がれないな)
P「そうですね……」
P「なぜ、具体的なイメージを描けるグループではなく、抽象的なイメージになるソロを推すのか」
P「それはあずささん自身が……『はっきりと曖昧』だからなんです」
あずさ「……んん?」
あずさ「はっきり、と曖昧……って、全く逆の意味じゃありませんか?」
P「そうですね。……どういうことか説明します」
あずさ「はい、お願いします」
P「芸能人・アイドルに必要な素質の一つに、『非現実感』があります」
P「実在するのに、テレビの向こう側にしかいないような……『遠い存在』になれる素質。それが非現実ということ」
P「これは事務所のみんな、多かれ少なかれ全員が持ってます」
あずさ「全員……」
P「そうです。銀髪にオーラのある佇まいの貴音なんかは言わずもがなで」
P「他の皆も、現実離れした歌唱力や容姿、『理想』を体現できる素質などなど、色々と非現実感を持ってますよ」
あずさ「わ、私は……どうなんでしょう?」
P「ええ、そこであずささんが持っているのが、その『スタイル』になりますね」
あずさ「スタイル……」
あずさ「……も、もしかして、胸……のこととか……?」
P「……そこまで直接的に言っていいものかわかりませんが、その通りです」
あずさ「…………」
P「あずささんのプロポーションは完璧です。胸が大きいというだけでなく、全体的なスタイルそのものが整っていますし」
P「グラビアの仕事を中心に、男性向けの仕事は、おそらく事務所の中で一番取りやすいでしょう。男性ファンの獲得自体も」
P「芸能人としての『個性』の一つとして、あずささん自身は嫌がるかもしれませんが……胸の大きさは間違いなく武器になります」
あずさ「……そう、ですよね…………」
あずさ「すいません、私もわかってはいるんですが……どうしてもはっきりとそう言われてしまうと……」
P「いえ、あずささんには抜群のスタイルがある。……でもそれだけじゃありません」
あずさ「……それって、ひょっとして……」
P「はい、それがさっき言った『母性』です。抽象的だけど、あずささんの発言や行動を見れば理解できる、確かなものです」
あずさ「…………」
P「理想的なスタイル、という目に見える非現実的な特徴。そして母性という、目には見えないけどはっきりわかる、親しみやすい特徴」
P「この二つが合わさることで、芸能人という非現実的な存在でありながら、まさしく『そこに居そう』と思わせられる」
P「事務所の誰よりも現実離れしている部分がありながら、誰よりも身近に感じられる」
P「……それが、『三浦あずさ』という人物だと感じました」
あずさ「それが……私……」
P「ですから、グループ内での『メンバー』としての固定されたイメージではなく、ソロとしての抽象的な『三浦あずさ』の形成に努めたいんです」
あずさ「なるほど……」
P「そしてソロの場合、あずささんには『アクトレスシンガー』として活動してもらいます」
あずさ「アクトレス……女優さんと歌手、の二つということですか?」
P「直訳してしまうとそういうことになるんですが……俺が考えるのはあくまで『アクトレスシンガー』ですね」
あずさ「どう違うんでしょう?」
P「……例えば、まだ本人には言ってませんが、貴音には女優の道を薦めたいと思っています」
あずさ「うふふ。貴音ちゃんは、確かに女優さんが似合うかもしれませんね」
P「ええ、俺もそう思って、色々と案を練ってる最中なんですよ」
P「で、貴音は芝居の活動に重点を置きますが、おそらくはイメージや仕事に幅を持たせるために、歌手活動をすることもあるでしょう」
P「あずささんは……そういう意味では、『女優』という肩書に拘る必要はありません」
P「女優として、役者として仕事をする一方で、それと同じくらいの比重で歌手活動にも取り組んでもらうつもりです」
あずさ「それが『アクトレスシンガー』なんですか?」
P「まあ端的に言えば。『女優』であると同時に『歌手』である、そういうものだと思ってもらえれば結構です」
あずさ「貴音ちゃんの歌手活動との違いが……よくわからないような……」
P「今の説明だけではそうなりますかね」
P「でも芸能界には、アクトレスシンガーとして活躍したアイドルはたくさんいるんですよ」
あずさ「ええとぉ、誰になるんでしょうか?」
P「あくまで一例ですが……『中山美穂』や『小泉今日子』のような感じ、ですかね」
あずさ「……中山美穂さん、小泉今日子さん……」
P「アクトレスシンガーと一般的に呼べる女優やアイドル自体は、他にもたくさんいます」
P「山口百恵や薬師丸ひろ子、広末涼子、最近なら柴咲コウとか」
あずさ「ああ、名前を聞くとなんだか『そうですね』って思えるような人たちですね」
P「はい。そして『歌手活動をする女優』と、『アクトレスシンガー』の違いは何か」
あずさ「どこになるんでしょう?」
P「例えば全盛期の広末涼子は、人気女優であり『大スキ!』なんかのヒット曲を出した売れっ子歌手でもありました」
あずさ「アクトレスシンガー、と呼ばれるくらいですものね」
P「はい。……でもおそらく、ほとんどの人は、広末涼子を『女優』としてしか見ていません」
P「……何故だかわかりますか?」
あずさ「それは……新曲を出していないからじゃないですか?」
あずさ「広末さんの曲、いつの頃からか出なくなりましたもんね」
P「はい、そうです。……じゃあ、なんで新曲が出なくなったか、はわかりますか?」
あずさ「えぇ!? ……え、ええとぉ……」
P「…………」
あずさ「…………な、なんででしょう?」
P「それはですね……彼女が『歌手』ではなかったからですよ」
あずさ「?」
P「あくまで、女優の『歌手活動』というだけで、彼女の仕事は基本的に『女優』に比重が置かれていたんです」
P「歌手として紅白にも出場しましたけど……事務所も世間も、『歌手』ではなく『女優』の広末涼子を求めていた」
P「彼女がブレイクした、アイドルの時期が過ぎたとき、彼女に求められていたものは歌手活動ではなかったんです」
あずさ「……それが…歌手ではない、ということなんですね」
P「そうです。そしてそういう意味で、広末涼子は本当の意味でのアクトレスシンガーではありませんでした」
P「そういう時期があった、というレベルです」
あずさ「小泉今日子さんや中山美穂さんは……違う、ということですか?」
P「ええ。あの二人はアクトレスシンガーの例として最適な二人だと考えています」
P「まず小泉今日子について」
あずさ「お願いします」
P「彼女は歌手活動と女優活動の比率について言えば、最近は完全に女優にシフトしています」
あずさ「え、プロデューサーさん。でもそれじゃあ、広末さんと同じなんじゃ……」
P「いえ、重要なのはここからです。彼女がデビューした当初は、間違いなく歌手としての活動の方が影響力が大きかった」
P「約十年間も歌手人気を持続させて、ヒット曲をたくさん出していきましたから」
P「彼女のその頃を知る者からすれば、小泉今日子は『歌手』であるというイメージが今尚強いでしょう」
あずさ「……!」
あずさ「プロデューサーさん、ひょっとして…最近では女優活動の比重が大きいって言うのことの意味は……」
P「…そう、ちょうど歌手活動をセーブし始めた頃から、彼女は女優活動に力を入れていきます」
P「元々デビュー当時から役者の仕事はしてましたけど、その時期から正に『女優』として活躍していくようになるんです」
P「そして今では、多くのドラマや映画に出る、日本を代表する女優の一人です」
P「つまり彼女は、見る人によって、時代によって、歌手と女優の二つの面を、確実に持っている」
P「それが『小泉今日子』という芸能人なんです」
あずさ「なるほど……それが小泉さんを、アクトレスシンガーだと考える理由なんですね……」
P「はい。…それに最近じゃあ、彼女が歌う、朝の連ドラの劇中歌がオリコンにランクインしていましたし」
P「今や女優としてしかほとんど活動してないのに、たまに歌手活動を再開したらこれだけの結果を残せるってのは……」
あずさ「小泉さんがそれまでに築いてきた『シンガー』としての功績が大きい……ってことなんでしょうね」
P「……ま、あの連ドラ自体が話題性強いのもありますけど……それでも素晴らしいことには変わりありませんね」
P「そして中山美穂は、小泉今日子とはまた違いますね」
あずさ「違う?」
P「彼女は文字通り、『歌手』であると同時に『女優』としてブレイクしました」
P「紅白に複数回出場、ミリオンヒットも出した素晴らしい歌手」
P「そしてそういった実績自体は小泉今日子も同じですが、違うのは……」
P「そのほぼ同時期に、女優として月9を初めとする数々のドラマの主演を務めた点です」
P「歌手から女優へ転向した小泉今日子とは違い、どちらもを同時期に、高次元で両立させていたんです」
あずさ「言われてみると……と、とても凄いことですよね」
P「なので中山美穂は、小泉今日子以上に歌手か女優かのイメージが人によって違います」
P「悪い言い方を敢えてするなら、歌手なのか女優なのか、イメージが固まってないとも」
P「しかし裏を返せば、それは確固たる『アクトレスシンガー』の地位についていた……ということに他なりません」
あずさ「確固たるアクトレスシンガー……」
あずさ「ぷ……ぷろ、プロデューサーさん……」
あずさ「そそそ、そんな凄い人たちに……私、なれるんでしょうか……?」タラタラ
P「い、いやあずささん、そんなに重く考えなくても大丈夫ですよ……」
P(いかんいかん、プレッシャーかけすぎないようにしないと)
P(……ソロか、グループか……)
P(どっちに転んだとしても、あずささんが、あずささんらしく活動出来るような……)
P(そんな環境を、作れるようにしないと)
P(……そう、『彼女』のように、どこまでも自分らしい活動を出来る芸能人に……)
P(……よっし)
P「フゥー……」
P「……あずささん」
あずさ「は、はいっ!」
P「……ここで、あずささんが目指すべき人物を教えます」
あずさ「……え?」
あずさ「いや、あの……目標は、そのお二人のようなアクトレスシンガー……じゃないんですか?」
P「いや、違います」
と、いうわけで今日はここまで
タイトルが伊織なのに伊織まで行かなくてすまぬ
ちゃんと全員分のプランは練ってあるので、あとはそれを文章にするだけです
なので完結するまでにそんなに時間はかからない……はず
もし期待してくれてる人が万が一いるんなら、
気長に待っててもらえれば幸いです
あずささん編の再開は明日か明後日にでもまた始めるけどね
ちょっとしたら再開する
今夜中にはあずささん編までは終わらせたい
あずさ「そ、そうなんですか」
P「ええまあ。あー……正直言うと、ですね……」
P「あずささんに立派なアクトレスシンガーを目指してもらおう、と最初から思っていたわけではありません」
あずさ「……え?」
P「グラビアアイドルやバラエティタレントの分野も考えてはいたんです」
P「でも実情としては俺が、打算的な理由でアクトレスシンガーを推しただけにすぎませんし」
あずさ「と、いうと……」
P「まずあずささんは、そのプロポーションを活かしてのグラビアアイドルとしての活躍が期待できます」
P「が、芸能界にはただスタイルがいいだけのグラドルなんていくらでもいます」
あずさ「……」
P「先ほど言った『母性』は、グラビア写真やイメージビデオだけでは伝わりにくいものです」
P「ですから、グラドルというだけではあずささんの持ち味は発揮しきれないでしょう」
あずさ「だからアクトレスシンガー……ということなんですか?」
P「まあ、そうなりますかね」
P「『女優』としての活動で、その穏やかな空気感や柔らかな表現力を、視聴者に魅せることが出来るでしょうし」
P「どうしても扇情的になりやすいグラビア活動よりも、それならより母性が伝えやすくなることでしょう」
P「……と言っても、若手女優がグラビア活動をすることも珍しくはありません」
P「ですから始めから、そういった活動も視野には入れて行きますけどね」
あずさ「ええ。グラビア活動自体は、私も別にイヤじゃありませんよ」
P「お、ありがたいですね?。話が早くて助かります」
P「で……俺が理由として打算的と言ったのは、それだけではパンチが弱いと感じたからです」
あずさ「よ、弱い……ですかね……?」
P「あ、いや、あずささんの個性が薄いというわけではありませんが……」
P「ただ、貴音ほどの卓越した表現力があるわけではないので……まあアレだけのものを持ってる人もそうそういませんけど」
P「そうなるともう一つ売りが欲しいわけですよ」
あずさ「はい。今までの話で、なんとなく理解できます」
P「それを考えたときに、あずささんが事務所の中でもかなりの歌唱力を持っていることに注目しました」
あずさ「そうだったんですか? 歌唱力……私にあったんでしょうか」
P「躍動感という意味では千早が一番でしょうが、安定感という点を見ると、おそらくあずささんが一番ですよ」
P「聞いていてほっとする……あずささんが歌うと、どんな歌でも馴染む」
P「はは……さっき言った『空気を馴染ませる』というのが、歌に関しても同じことが言えるんですよ」
あずさ「あらあら〜……そ、そんなに良く言わないでくださいよぉ///」
P「いえいえ事実ですから。なので歌手活動もイケるんじゃないかと思ったんです」
あずさ「へぇ〜……あ、そう言えば……」
あずさ「その場合って、さっきの曲はどうなるんでしょう?」
P「ああSMOKY THRILLですね…ソロで歌う場合は、もうちょっと違う曲調になりますね」
P「優しめのミドルポップスとか、バラードとか」
P「あずささん自身の持つ空気感に合う様な、そんな曲を考えてます」
あずさ「うふふ、さっきの曲も良かったですけど、そういう曲も好きですよ」
あずさ「バラードを歌ってみるのも楽しそうですよね」
P「ええ、好みが合うなら何よりですし、あずささん一人で歌うなら、そういう曲の方が良いと俺も思います」
P「ただ…歌手として一本でやっていこうとすると、安定感がありすぎて、小さくまとまってしまう危険性がありました」
P「何を歌っても落ち着いて馴染むだけに、大きな変化や感動が起きににくいんじゃないかとね」
あずさ「うーん……でも、そうですね。プロデューサーさんのおっしゃることももっともだと思います」
あずさ「歌うのは好きなんですけど、私も歌ってるとたまに、眠くなったりしちゃいますしね」
P「……それはそれで別問題な気もしますが……まああずささん自身が自覚して納得してるならそれでいいです」
P「ってことなので、歌手活動という側面から見ても、それ以外の何かしらの付加価値が必要になるんじゃないかな、と」
あずさ「『アクトレスシンガー』ならそのどっちも、ですから……足りない部分を補い合える」
あずさ「そういうことですね、プロデューサーさん」
P「その通りです」
あずさ「なるほど〜、だからアクトレスシンガーさんなんですね〜」
P「あずささんが芸能界で活動しやすくなる、こちらが売り出しやすくなる」
P「先ほど言ったようにそういった打算的な理由ですから、最終的に活動をどちらか一本に絞ってもらっても構いません」
P「極論を言ってしまえば、アクトレスシンガーを踏み台に、あずささんが芸能界でやってみたい違うジャンルにチャレンジする、ってのも全然アリです」
あずさ「わかりました〜、まずは女優と歌手……アクトレスシンガーで、頑張ってみようってことですね」
P「……で、あずささんの目標となる人物ですが……」
あずさ「あら、そう言えばまだ聞いてませんでしたね」
あずさ「小泉今日子さんや中山美穂さんではない、どんなアクトレスシンガーの方なんですか?」
P「……」
P「いえ、最初に言っておくと、彼女は『アクトレスシンガー』とはっきり呼べるような人ではありません」
あずさ「……え?」
P「一応は『女優』という肩書きになりますかね」
あずさ「誰なんでしょうか?」
『深田恭子』
P「……です」
あずさ「深田恭子さん……」
P「彼女は歌手活動もしてましたけど、別に歌で大ヒットを飛ばしたわけではない」
P「じゃあ女優として、もの凄い活躍をしているか……となると……」
P「…………」
あずさ「……し、してるんじゃないんですか?」
P「えーと……一応、代表作は『下妻物語』とか『富豪刑事』とかになるんですかね」
P「ドラマの主演も多いですし、去年の大河ドラマ『平清盛』でもヒロイン役を務めましたか」
あずさ「ほらぁ、やっぱり凄い活躍されてるじゃないですか〜」
P「でも彼女…深田恭子は、捉え所の無い芸能人だと……思いませんか?」
あずさ「捉え所が……無い……ですか?」
P「あずささんもそうであるように、深田恭子はスタイルがかなり良いです」
P「若手の頃はグラビア活動と女優業を並行してやってましたし、その一方で歌手活動も行っていました」
P「……まあ、彼女は歌唱力が高かったわけではないので、歌手活動の方は今はもう全くやっていませんが」
P「でも女優一本でやって行くとなった時に、そこまで突出した演技力があったわけではない」
P「スタイルの良さも、女優として活動する場合は、そこまでのアドバンテージにはなり得ない」
P「捉え所が無い…というか、もの凄く悪く言ってしまえば……『中途半端』な芸能人でした」
あずさ「……そ、そんなに酷く言わなくても……」
P「……が、そうなるとここで一つの疑問が出てくるんですよ」
あずさ「?」
P「なぜそんな『中途半端』な彼女が、今でも女優業を……しかも数多くの主役・ヒロイン役を続けていられるのか」
あずさ「……!」
P「捉え所が無い、中途半端……スタイルの良さとのんびりした性格が一応の個性」
P「そんな彼女が……です」
あずさ「……」
あずさ「…………」
あずさ「も、もしかして……」
あずさ「……同じ、なんですか?」
P「というと?」
あずさ「プロデューサーさんがおっしゃってくださった……私の特徴」
あずさ「『はっきりと曖昧』って……そういうことなんじゃないですか?」
P「……」
P「ええ……大正解です」
あずさ「私と深田恭子さんが……同じ……」
P「抜群のスタイルと可愛らしい容姿という、目に見える非凡な部分」
P「そしてどこか突出しきれずに、ともすれば中途半端と思われてしまう演技力や歌唱力……そんな現実的な部分」
P「両方が合わさり『はっきりと曖昧』であることで、視聴者から『憧れ』と『親しみ』の両方を抱かせる事が出来る」
P「……まあ『はっきりと曖昧』だったら全員が全員そうなるかと言われれば、答えはノーですけど」
P「でも『非凡』な部分……彼女の場合はスタイルと容姿」
P「その一点だけではない、『現実的』な部分との折り合い、バランスの良さが、今の彼女の地位を築いています」
P「後は芸能界に入って彼女も長いですけど、可愛さをキープし続けてる地道な努力も忘れてはいけないですかね」
P「そしてあずささんは、その深田恭子の持つ絶妙なバランスに、近いものを持っている」
あずさ「近いもの……」
P「細かい差異があるのはまあ当然ですけど、共通点かつ一番の違いは……まあ……」
P「深田恭子よりも安定感のある高い歌唱力と、どこか天然チックな深田恭子以上に、あずささんに備わってる天然体質」
P「そんなとこですかね」
P「……とまあ、以上のことを俺は勝手に考えていました」
P「だから俺個人が思うあずささんの目標は、深田恭子なんです」
あずさ「…………」グッ
あずさ「プロデューサーさん、上手く言えないですけど……何か、大事なことがわかったような気がします」
P「……」
あずさ「ソロで…私一人で完璧に出来るかしら、って最初は思ってたんですけど……そうじゃないんですね」
あずさ「失敗しても、それが私にとっての新しい個性になる」
あずさ「私の持つスタイルが『非凡』なんだとしたら……」
あずさ「それと相対するだけの『平凡』な部分があって、それが……私の魅力になってくれる」
あずさ「……そう思っていい……って、ことなんでしょうか?」
P「はい、もちろん。芸能人だからって全てが非凡である必要なんて無いんです」
P「それは、今でも活躍を続けてる、『はっきりと曖昧な女優』……深田恭子という存在」
P「彼女が正に証明していますからね」
あずさ「わかりました」
P「……で、どうしますか?」
P「ソロとグループと……」
P「……って……」
P「あずささん何で笑ってるんですか?」
あずさ「うふふ……」
あずさ「プロデューサーさんって、結構イジワルな人ですよね」
P「……え?」
あずさ「だってこんなに私のことをソロで売り出したいって思ってくれてる」
あずさ「プロデューサーさんの熱意、すっごく伝わってきます」
あずさ「それなのに、まだそうやってどっちがいいか、なんて聞くんですか?」
P「それ…は……」
P(……ある意味しょうがない、か……)
P(そりゃそうだ、結局は俺がこうやって、あずささんと対峙してるわけだもの)
P(……もしも……)
P(もしも律子が俺より先に、同じだけの情熱でもって、グループ活動を薦めていたら……)
P(もしも全く同時に、同じだけの熱意で両方のプランを薦められたら……)
P(俺と律子、どちらを信頼して……)
P(……いや、考えるのはよそう)
P「……ハァー」
あずさ「あらあら、どうしたんですか?」
P「……いや、あの…すみませんでした」
あずさ「謝らないでください。グループの案もすごく良いものだってわかりますし」
あずさ「両方の良い所と悪い所を聞いて、それでも私がやりたいと思った方に行くだけなんですから」
P「じゃああずささん……」
P「運命の人を見つけるまでの間ですけど……アクトレスシンガーとして、ソロで……」
あずさ「はい……頑張らせてもらいますね、プロデューサーさん」ニコッ
P「ありがとうございます……!」
あずさ「うふふ、私だって一人でも大丈夫なんだぞ、ってところ、事務所のみんなに見せてあげなくちゃ」
P「……あずささん、肩の力抜いて大丈夫ですよ」
P「自分らしく、能天気、能天気に」
あずさ「……! そ、そうでしたね」
あずさ「無理に張り切ったりするんじゃなくて……」
あずさ「全力で能天気に、行けばいいんですよね!」
P「……その考え方が既に間違ってますが」
あずさ「えぇ!? じゃ、じゃあどんな風に能天気に行けばいいんでしょうか……?」
P「あずささん、こんな時にナチュラルな天然ボケをかまさないで下さい」
P「……そうですねえ、狙って能天気に行く必要なんて、どこにもないですよ」
P「そのままのあずささんが、一番素敵ですから」
あずさ「……!」
あずさ「……そう、ですか」
P「そうですよ」
あずさ「うふふ……」
あずさ「ありがとうございます、プロデューサーさん」ペコリ
あずささん編おわり
あずささんへのプランは以上
次にタイトルに入ってる伊織編に行くよ
今日はここまでだけど……
あずささんをアクトレスシンガーで、
ってのは結構前から考えてはいたんだけど、
アクトレスシンガーとして活動してる人の上手い表現方法や、
あずささんを現実に当てはめたときにしっくり来る芸能人なんかが中々見当たらなくて
まだメンバー残ってるけど、今の時点で既に一番プロデュース案に苦労しました
でもアイマスに嵌った一番の原因はあずささんなんで、
何が何でも書き上げなければ、と必死こいて頑張りました
ちなみに、プロデュース案がとにかく早く完成したのは貴音と響
千早、春香、美希あたりもイメージが固まりやすかった
次の伊織編、楽しみにしてくれてる人がもしいるなら、
そこそこに期待しつつ長い目で待っていてくれれば幸いです
P「理由の全部ではないけど、ちゃんとした根拠の一つでもあるだろ?」
P「それを自ら言うってことは、伊織が実際に体験したことでもあるのかもしれないしな」
伊織「ん、まあ……」
P「伊織の非常に可愛らしい容姿とか、毎日聞いてるけど何かクセになる声質とか」
P「適正や能力の面で見た場合に、伊織はアイドルとしては逸材だと胸を張って言える」
伊織「……ありがたいけど、褒め方が何か気持ち悪いわよ」
P「……そこは目ぇ瞑ってくれよ」
伊織「はいはい」
P「でまあ、そういうわけだから」
『アイドルを踏み台に〜』
P「とは言ったけど、デビューはきちんと『アイドル』として大々的に売り出すよ」
伊織「…………」
P「曲も衣装も、伊織に合う可愛いものを中心に、揃えるつもりだ」
P「俺とかはもう性格も把握してるけど、芸能界では猫被ったまま、お姫様キャラで売り出してもいい」
P「もちろん地を出して、高飛車なお嬢様キャラでもいい」
伊織「高飛車な、って全く……失礼しちゃうわね、その物言い」
P「……悪い」
伊織「……いいから続けなさい」
P「わかった。……まあ、今言った二つどっち選んでも、一定以上の人気は獲得できるだろう」
P「さっき言った容姿や声質もそうだが、伊織自身が持って生まれた、人を惹きつける魅力みたいなもんだ」
P「『水瀬伊織』がアイドルとして存在するだけで、お前を欲する人間を生み出す事が出来る」
P「そういった、言ってみりゃ『熱狂的なファン』を生み出す力は、ひょっとしたら事務所で一番かもな」
伊織「言葉の響きは悪くは無いけど……素直に喜んでいいものか微妙ね」
P「……」
P「で、ここからが本題だな」
伊織「可愛すぎる、適正がありすぎる……って言ったことの理由でしょ?」
伊織「なんとなくわかっては来たけど……きちんと説明してもらうわよ」
P「よし、今から教えてやる」
P「……女性芸能人の場合は『女性から嫌われる』ってのも、一つのステータスではあるな」
伊織「……」
P「と言っても、伊織の場合は表現がちょっと違うか」
P「『女性から嫌われるようなタイプ』なんじゃなくて……」
P「『人気が男性ファンに集中するタイプ』かな」
伊織「ふむ……なるほどね……」
P「多分、事務所の中で女性人気が高くなりそうなのは真か千早か貴音か…その辺りになるかと思う」
P「千早はストイックな姿勢とよく伸びる歌声が、真は端正な顔立ちが、貴音はその醸し出すオーラが」
P「それぞれ女性に受けやすいと思うし、そういった部分を活かすように売り出すのが効果的だろうと思う」
伊織「その三人なら、確かにね」
P「で、男性人気に特化させようと思って、そういう活動をさせるなら」
P「男性の心を掴むような女性らしさ、女の子らしさが溢れているメンバー……具体的に言うなら」
P「伊織やあずささんや春香、雪歩、美希がそういう活動に向いてるだろう、ということになる」
P「残った響ややよい、亜美真美は、老若男女訳隔てなく、人気を獲得できる可能性が高い」
伊織「そうね」
P「つってもアレだな、実際のとこ、春香や美希に女性ウケを狙わせるのも全然アリだ」
P「逆に貴音に、男性ファン向けの仕事をさせるのも全く難しくない」
P「貴音はスタイルがいいってのもあるけど、そうでない千早や真にだってその路線の活動は出来る」
伊織「……後でその二人に今の話、言いつけてもいいかしら?」
P「勘弁して」
伊織「にひひっ……ま、よしとくわ」
P「ヒヤヒヤさすなよ……えーと、男性人気の高くなりそうなメンバーに、そうでない活動をさせるって話だったな」
P「事実、美希に対してはティーン雑誌で活躍できるような、モデルの仕事を薦めるつもり」
P「さっきの話で言うなら、男性から人気が出そうな美希に、女性ウケを狙った活動をさせることになる」
伊織「美希がモデル……ま、悪くないんじゃないの」
P「はは、ありがとな」
P「……男性ファンにアピールするか、女性ファンにアピールするか」
P「そういう話になった時に、伊織は『可愛すぎる』のが大きな障壁に成り得る」
伊織「……」
伊織「それってつまり……」
伊織「……男性ファン向けのアイドルの『適正』に特化しすぎてる……」
伊織「そういうこと?」
P「そう……その通り」
P「伊織は『熱狂的なファン』を生み出す力が強い」
P「でもその原動力たる容姿や声質、そして伊織の持つ魅力は、男性に向かって強く訴えかけるものだ」
P「伊織が芸能人として活動する場合、男性向けのアイドルとして売り出すのが最も効果的な反面……」
P「それ以外の選択肢が非常に少ない」
伊織「こ…この伊織ちゃんよ? 別にアンタが無理だと思ったって、何でもこなしてみせることくらい……出来るわよ」
P「いや、俺も出来るとは思うよ」
伊織「じゃあ……何でよ!」
P「伊織が最も『ファンの数』を増やす事が出来る……と思われる活動は、さっき言った男性向けアイドルの仕事」
P「それ以外の部分で、少数の女性ファンを無理に増やそうとしても、どこかで頭打ちになるからだ」
伊織「……女性ファンが出来ないって言い切るわけじゃないのね」
P「まあな。どこまでも男性向けに特化させた『アイドル』でも、それでも一部の女性層からは支持を得られる」
P「ただその場合は、その一部の女性層が熱烈に支持してくれるだけにとどまりやすい」
P「基本的には女性から嫌われる立場のアイドルになっちゃうな」
伊織「それってぇ、具体的に言うと、誰になるのかしら?」
P「……わざわざ言わすのかよ」
伊織「私には知る権利がある。そうでしょ?」
P「そうだな……えーと……」
P「わかりやすい例で言うなら、『小倉優子』や『嗣永桃子』みたいなアイドルか」
P「言い換えるなら『ゆうこりん』と『ももち』」
伊織「……ふぅ?ん」
P「伊織が本来の性格を隠してお姫様キャラで行く場合は、この二人のようなアイドル像を目指すことになる」
P「この二人と伊織に共通してるのは、強烈なキャラクターを『仕込んでる』ってとこだな」
伊織「仕込んでるって……アンタ……」
P「いや、言い方はアレだけど実際仕込んでるだろ。猫被ったときの伊織含めて」
伊織「……」
伊織「そうね、そうでしょうとも……ふんっ」
P「怒るなよ……とにかくインパクトのあるキャラを仕込むのは、アイドルでなくても芸能界なら定石だろ?」
P「ていうか視聴者の大半も、『自分が一番可愛い!』なんて主張が本当に全部、素の性格だなんて思ってないだろうし」
伊織「多少は地の部分もあるんじゃないの? ……それこそ私みたいに」
P「……まあ、な。自分の性格や考えと近い所があるから、あそこまで極端なキャラでもハマりやすいってのはあるよな」
P「まあそれでも、ある程度強い個性を持った芸能人を、『演じてる』と思いながらもそれ込みで楽しむのも暗黙のルールだ」
P「キャラを作る、仕込むということに対して悪く言う気は無いさ」
P「プロデューサーって立場ならなおのことな」
伊織「それは、まあ…そうかしらね」
P「それ以前は全く別のキャラだった『ゆうこりん』は、こりん星云々が受けて、そこからブレイクしたわけだし」
P「後々『こりん星』を捨てるか否か、でも話題を作る事が出来た。一種の持ちネタになってたわけだ」
P「あと『ももち』の強烈な自己主張っぷりは、苛立ちや脱力を生むことも多いが印象には強く残る」
P「二人ともこういったキャラでやっていくのに必要な『可愛らしい容姿』はあるから…」
P「キャラクターに頼らなくてもいい場面では、ただ画面に映るだけでも華があって目立ちやすい」
P「その上で二人とも、自分の持つ強烈なキャラクターを使ってテレビの露出を増やしていったわけだ」
伊織「私のお姫様キャラも、そういう感じで行けってこと?」
P「伊織の場合はあんなに極端でなくてもいいと思う」
P「小悪魔風な、それこそ可愛らしいお姫様の中に、伊織の素の性格を少しだけ出す感じで十分だろう」
伊織「……じゃあ、それで問題ないんなら、いいじゃないの」
伊織「なんでその活動で、私が女性から嫌われなきゃいけないのよ」
P「えーとだな、そもそもアイドルとして『可愛さ』をアピールすると……」
P「多かれ少なかれ『自分を可愛く見せたい』という主張が『ぶりっ子』に映ってしまいがちなんだ」
伊織「……」
P「そんでもって、伊織は『可愛すぎる』」
伊織「…………」
P「例えクールな歌をうたいこなすような、堅実でカッコいい路線で活動したとしてもだな…」
P「その『必要以上に可愛すぎる容姿』が、可愛く見せよう、という主張だと受け取られかねない」
伊織「……可愛いのが欠点……そういうこと……」
P「……ただし、その群を抜いた可愛さ自体が、一部の女性から支持される動機にもなるんだけどな」
伊織「少ないけど出来るっていう、女性のファンのことね」
P「ああ。春香に既に提案していたんだが、『正統派アイドル』の方針と同じになるな」
『自分もあんな風に可愛くなりたい』
P「そう受け取ってくれる女性がいれば、『お姫様』の伊織に憧れを抱かせられる」
伊織「ちょ、ちょっと……春香がそう思われるのと、私がそう思われるのと、どこに違いがあるって言うのよ」
伊織「それなら春香だって、女性から嫌われやすいアイドルになるんじゃないの?」
間違えた、まだ春香にプロデュース案を提案してない体でストーリーを進めるつもりだった
>P「春香に既に提案していたんだが〜」
の部分は
P「春香にも提案しようと思っていたんだが、『正統派アイドル』の方針と同じになるな」
で脳内変換して読んで頂戴
P「……それはだな……伊織は春香以上に、人を……」
P「もっと言うなら男性を惹きつける魅力が、全面に押し出されすぎてるんだ」
伊織「押し出され……すぎてる?」
P「春香は伊織とはベクトルが違うだろうが、実際のとこ女の子らしくて可愛い。可愛いが……どこか平凡なとこがあるな」
伊織「……ま、私と比べたらね」
P「でもその平凡さや普遍的な女の子らしさは、視聴者やファンに対して、親近感を与えるんだ」
P「『自分もこうなりたい』って憧れは、その目標が遠すぎる場合は抱かせにくい」
P「どこかで自分が『真似できる』ってレベルじゃないと、逆効果になってしまうんだ」
P「だから親近感の湧く、女の子らしいアイドルである春香が、女性に憧れを抱かせるのは難しくない」
P「春香の平凡さは、視聴者やファンに自分の可愛さをアピールしつつ」
P「時には主張を控えて堅実に自己を磨く事が出来る、という長所でもある」
伊織「ふぅ〜ん……春香が…ねえ……」
P「で、それを踏まえたとき、伊織は女性から共感を得にくい立場にいる」
伊織「私が可愛すぎるのがいけない……ってことでしょ?」
P「ああ……」
『自分は伊織ほど可愛くなんてないし、努力してもなれそうにない』
『自分は伊織のように可愛らしい声を持ってないし、お嬢様らしい、しとやかな立ち振る舞いが出来ない』
『せめて真似だけでもしてみたいけど、とてもなりきれそうにない』
P「と、こう思われるかも…ってとこ」
P「あとは中学生っていう若さも影響してくる」
伊織「な……! と、歳はどうしようもないじゃないの!」
P「……でも事実だ」
P「その若さで完成されたビジュアル、という点が、男性から強く支持されて女性から支持されにくい原因となる」
P「まあ男性なら、伊織くらいメチャクチャ可愛い娘がいたら普通は好きになるよ」
P「性格は置いといても、ビジュアルだけで見れば。俺も凄く可愛いと思って見てるし」
伊織「……ふんっ。褒め言葉だと受け取っておくわ」
P「でも女性は『真似』をしようとしても、伊織が似合うようないかにも可愛いって服や歌は、伊織くらいの年齢でなきゃ全く似合わない」
P「自分には無いものを『持ちすぎて』いる、才能に『恵まれすぎている』人がテレビで活躍しているのを見て……」
P「同性の人たちから、『ちょっと可愛いからって調子に乗って……』と嫉妬される可能性は想像に難くない」
伊織「ほーんとそういうの、勘弁して欲しいわよね……」フゥ
P「女性のそういう、可愛い人や綺麗な人に対する嫉妬ってのも、俺からみればおぞましい世界ではあるんだよなぁ」
伊織「まあアンタにはあんまり縁のない世界かもしれないわね」
P「でも男性だって……ていうか俺だって、誰かに嫉妬することも結構あるよ」
P「人から好かれやすいって人物は、それだけ嫉妬を買いやすいって側面が存在するわけだ」
P「伊織は男性から好かれやすい分、女性から嫉妬されやすい」
P「若さも考慮に入れると、20代、30代の女性からの支持を得るのは困難……という結論になる」
P「伊織に限らずだけど、元々男性向けアイドルって、そういう立場になりやすいものなんだけどな」
伊織「……そうね」
P「かと言って同年代の女の子の場合、逆に大人っぽい女性に憧れるものだから……」
P「伊織よりは千早や貴音に着いていく事のほうが考えられる」
P「つまりは、10〜30代の女性人気を得るのが単純に難しい」
伊織「でも……それって、私がキャラを作った場合の話でしょ?」
伊織「私がアンタが言ったみたいに素を出して……『お嬢様』で行くんなら、何も問題無いんじゃないの?」
P「そうだなぁ……いや、どんなキャラで行こうと同じだと思う」
伊織「そ、そんな……!」
P「どんな売り出し方をしても結局は『可愛い』という点に、伊織の最大の特徴とセールスポイントが集約する」
P「欠点が『可愛すぎる』ってのはそういう意味でもある」
P「クールな路線、大人っぽい路線で行こうとしても、可愛さがそういった路線でのイメージを阻害するから」
P「……だからって可愛さを見せずに活動なんてしたら、それこそ伸び悩む可能性の方が高いけど」
伊織「な、何よ……それ……」
P「お嬢様キャラなぁ……これで伊織の年齢が高いなら『理想のお姉様』で行けないこともないんだけどなぁ」
P「やっぱ中学生ってのも辛いとこなんだよなぁ……」
伊織「……」
P「そうなると、それほどの強烈な自己主張に憧れを抱く女性というのも限られてきてしまう」
P「でも中には、その強烈な自己主張に憧れを抱いてしまう女性もいるんだよな」
P「これが……熱狂的なファンの女性層側ということになるな」
P「……わかってもらえたか?」
伊織「……」
伊織「ええ……大体ね」
P「まあ、そんなに悪く考えることもないさ」
P「男性ファンはたくさん獲得できるってのはさっき言ったとおりだ」
P「熱狂的なファンを母体に活動していくなら、大金を動かせるアイドルにだってなれる」
伊織「でも……でもそれじゃあ……!」
P「……」
P「…………そう、だな」
P「この表現でいいものかはわからんが……『可愛さを撒き散らしてアピールしている』」
P「そう捉えられかねない……女性からは、あまり快く思われない芸能人になるな」
伊織「…………」グッ
伊織「……もう、わかったわよ」
P「ん、何がわかったんだ?」
伊織「……っ」
伊織「アタシがアイドルに向きすぎてる、それ以外の選択肢が少ない……ってことがわかったって言ってんのよ!」
伊織「……じゃあどうすればいいわけ!?」
伊織「どうしたら女性たちや……あと、お兄様たちを認めさせられるような、そんな芸能人になれるっていうのよ!」
P「……」
P「伊織……さっき俺が言ったことを、もう忘れたのか?」
伊織「何よ……いつの、どの話のことよ!」
P「…………」ニヤリ
P「その『アイドル』って立場を、『踏み台』にしてやればいいんだよ」
今日はここまで
1日に2、3レスってこともあるだろうけど、
不定期にちまちま書いてくよ
見返してみたら、>>80が何か前後の文章と矛盾してた
>P「アイドル活動を、ももちはそこ以外での人気を得るために『踏み台にしている』と言えるな」
の部分は、
P「さっき大きくは言えない、って言ったけど、それは『踏み台』という言葉に悪いイメージがあるからだ」
P「ももちはアイドル活動を『踏み台』ではなく、そこ以外での人気を得るための『土台』にしていると言えるな」
に脳内修正してください。すまぬ
P「俺は大真面目だ。キリッ」
伊織「……もう一回キツイの、ぶち込んであげようかしら」
P「ごめん! ふざけないから止めて!」
伊織「ハァ……で、どういうことなの?」
P「ふふふ……伊織ぃ」
伊織「な、何よ変な声色して」
P「さっきは欠点なんて挙げさせたけど……」
P「今度は逆に、俺が思う伊織の良い部分…つまり『長所』を、言ってみようじゃないか」
伊織「私の長所? ……いくらでもあると思うけど、アンタが何を挙げるかは検討も付かないわね」
伊織「……それこそ、さっき欠点だなんて言っておいて、『可愛いのが長所』とかしたり顔で言ってきそうなもんだわ」
P「おお、それもアリだな。……いや、俺が挙げるのは今回は違うんだけどな」
伊織「何になるの?」
P「『プライドが高いこと』」
伊織「……」
P「伊織の長所は、その『プライドの高さ』にある」
伊織「…………ま、マジ…で?」
P「うんマジで。キリッ…とか言わないくらい、今回は大マジ」
伊織「な、なんで私のプライドが高いのが長所になるのよ……」
伊織「ていうか…コメンテーター? それとプライドの高さが、どう関わってくるのよ」
P「……伊織、『プライドが高い』ってことは、さっきちょっと言ったけど、『自分に誇りを持っている』ってことだ」
伊織「……!」
P「さっきビンタされた時に、伊織の本音を聞かせてもらった」
P「伊織が自分を落とすような活動をしたくない理由、そこには、伊織の確固たる考えがあった」
P「自分を誇りに思うからこそ持てた、伊織の『信念』だな」
伊織「信念、ね……」
P「ひょっとしたら、本当に単なる伊織のわがままなだけで、本当はそういう活動の方が成功する可能性が高いかもしれない」
P「でも伊織は自分を曲げずに自分が正しいと思った方へと、『信念』を貫き通した」
P「……行き過ぎると『過信』や『妄信』に繋がる危険性もあるっちゃある」
P「でも俺は思う。伊織はきっと、過信によってもたらされる不幸すらも、自分の信念で成功に変えてしまうんじゃないかって」
伊織「そんなとんとん拍子に上手く……」
伊織「……ま、この私なら、行けるかしらね。ふふ」
P「そう、それに多分、伊織が自分の信念に基づいて行動した結果……失敗した場合」
P「その場合、伊織は自分を省みることが出来る。反省して改善して、次の成功に繋げることが出来る」
P「自分の考え、行動によってもたらされた不幸を、他人のせいにしない」
P「たまーに俺とかに八つ当たりすることもあるけど……本気じゃないだろう」
P「……と、俺は思いたいが」
伊織「ふふん、あったりまえじゃない」
伊織「この伊織ちゃんが、本気で誰かに責任をなすりつけたりするわけないでしょ」
伊織「もし私の考えで失敗することが……そうね、万が一、億が一、あるんだとしたら」
伊織「それでもそれは、きっと私のせいなんだもの」
伊織「誰かを責める動機になんて成り得ないわ」
P「おおぉ、よく言ってくれた」
伊織「もーっと褒めて崇め奉ってくれてもいいのよ? にひひっ」
P「あぁ〜伊織様〜……で、」
伊織「ナチュラルに崇めてナチュラルにスルーしたわね……」
P「……で、そうなると伊織はコメンテーターの座には適任なんだ」
伊織「信念…があることが、理由?」
P「そう。それ以外にも、伊織が海外やら、大企業のパーティやらで培った『常識』もプラス要素になる」
P「社会的なふるまい、一般的な意味での幅広い知識、社交的な…ていうか猫被ったときの態度」
伊織「猫はもういいでしょ」
P「いやいやぁ、丁寧な対応が出来ると、それだけでも視聴者の見る目は変わってくるぞ」
P「コメンテーターは、ニュースの感想を聞かれたり、自分なりの考えを述べたりする立場だ」
P「だから大学教授や医者なんかの、『権威』や『知識』のある人が求められる」
P「そして、どんなことに対しても曖昧な感想にならず、はっきりとした考えを持てることも大事になる」
伊織「……なるほど、だからコメンテーターを推してるってわけ」
P「そう。伊織はまだ『権威』は無いし、『知識』も中学生にしては高いってレベル」
P「でも並の大人ですら持てないような、自分に対するはっきりした『信念』」
P「それとどんな場合でも、相手をいなしたり切り込んだり出来る『対応力』がある」
P「普段の事務所での光景で言うなら、亜美真美のイタズラ、美希のぞんざいな対応、あずささんの天然ボケ……」
P「そういう諸々に、律子ともども華麗に突っ込んだりな」
伊織「……事務所のしょーもない一幕で、よくもまあそこまで大げさに考えられたものね」
P「でもあんだけ華麗に全部突っ込んでるの見たら、誰だって多少は思うぞ」
P「それこそバラエティで弄られ役をやるって提案したけど、あの突っ込みスキルがあるなら成功の可能性は本当に高い」
伊織「嬉しくないわね」
P「だろうな……いや、まあその話は忘れよう」
P「ともかく、伊織は自分の持つ確固たる考え……つまり信念と、あと対応力の高さを活かせば……」
P「どこぞの大学教授や、どこぞの弁護士、医者、代議士、経済評論家」
P「そういった人たちとも渡り合えるくらいのコメンテーターになれる」
伊織「でもちょっと……私、浮きすぎじゃない?」
伊織「それに『アベノミクス』くらいならまだ大丈夫だけど、専門的な話になったら流石に全然よ?」
P「……誰も、『朝まで生討論』みたいなガチガチの報道番組に出るとは言ってないぞ」
P「そうだな……『スッキリ!』とか『サンデージャポン』とか、そういうワイドショー番組を想定してる」
P「というか、ポジション的には『西川史子』のような立場になりたい」
伊織「うげっ……西川って……あの女医の人?」
伊織「医者の仕事なんてまともにしてなさそうだし、口ばっかりでなぁーんか、好きになれないんだけど」
P「西川先生はな、バラエティ的な立場での『ご意見番』なんだよ」
P「『女医』って肩書きと『毒舌キャラ』で、はっきり物事を言う人、と世間から認識される」
P「実績自体はそんなに必要ない。ワイドショーのコメンテーターとして、そう思わせられる人材だから、必要とされてるんだ」
伊織「でも、ねぇ……」
P「……俺が言いたいのは、必ずしも専門的な知識や大層な権威は必要では無いってことだ」
P「はっきり物事を言える人、発言に説得力のある人なら、コメンテーターは勤まる」
伊織「アタシでも?」
P「ああ、伊織でも」
P「ただはっきりと物事を言えるのはわかってるが、説得力はまだ無いな」
伊織「じゃあダメじゃないの」
P「ああ。だから可愛いアイドルとして活動して、熱狂的なファンをガッチリと獲得する一方で……」
P「まずは、クイズ番組に出てもらいたい」
伊織「クイズ?」
P「『Qさま』とか『ネプリーグ』とか、ああいう一般常識をはかるクイズ番組が最適だろう」
P「中学生として授業で習う範囲の問題がバンバン出るから、その時点で伊織にとっては答えやすい」
P「その上で、得意な英語やとっさの判断力で、活躍できる可能性がさらに高い」
伊織「クイズ番組に出て活躍するのがどうなるっていうのよ」
P「……『インテリアイドル』なんて肩書きでも付こうもんなら、もうこっちのもんじゃないか?」
P「あくまでワイドショーで欲してもらえるレベルの、ではあるけど……伊織に権威が……」
P「伊織の発言に説得力が、生まれるんだよ」
伊織「……!!」グッ
P「大学教授や経済評論家と渡り合えるってのは、知識量や立場でじゃない」
P「というか、伊織自身が渡り合うわけじゃない」
P「『番組』という同じ土俵に立って、視聴者から『コメンテーター』だと同じように認識されること」
P「そのことを言っているんだ」
伊織「わ、私……が……」
P「華々しく活動する、非常に可愛らしい稀代のアイドル」
P「しかし一方で、ワイドショーで芸能界や政治に、自分の『信念』でもって豪気な発言を投げかけるコメンテーター」
P「もちろんバラエティでの弄られ役よりも高いハードルで、困難な道になる」
P「でももしそんな立場になったとしたら……」
伊織「……」
P「お金を稼ぐのはもちろん、自分の信念を、全国に向かって発信する」
P「そんなアイドルは俺は今まで見たことが無い」
P「だから『ただ可愛いだけ』じゃない。女性からの『憧れ』だって間違いなく生まれる」
P「そして……きっと伊織のお兄さんたちも、伊織のことを『立派』だと思うことだろう」
P「ワイドショーでする発言の内容についてじゃない」
P「伊織が自分の考えを、テレビを通して伝えているという事実に対してだ」
伊織「……」グッ
P「どうだ伊織」
P「つっても……俺の考えにも、色々と穴はある……」
P「そう上手く行く保障なんて無いってのが一番だな」
P「言っちゃえば理想論、伊織の努力と、俺のサポートと、あと運と
伊織「この……!」
P「(ビクッ)!? び、ビンタは止めてくれよ……! ていうか理想論とは言ってもな、俺だって無い頭使って必死に
伊織「怒らないわよ! 早とちりしないで」
伊織「フゥー……この伊織ちゃんが、そんなことで怖気づくとでも思ったの?」
伊織「……って、言いたかっただけよ!」
P「……あ、そうでしたか」
伊織「まったく……」
伊織「アイドルとしてちゃんと活動できて、その上でコメンテーターとしてしっかり者だってアピールする」
伊織「そういうことでしょ?」
P「そうだな」
伊織「私を誰だと思ってるわけ? 天下の『水瀬伊織』ちゃんよ?」
伊織「クイズ番組? ワイドショー? アイドルとしてファンを獲得?」
伊織「ナメんじゃないわよ……全部、成功させてみせるんだから……!」
P「後悔は……しないか」
伊織「当たり前でしょ」
伊織「ま……今までの話、アンタの考えにしては悪くなかったわね」
伊織「本当ならアイドルとして活躍するだけで、みーんなが私の虜になると思ってたけど」
伊織「……それはちょっと難しそうだから、やめておくわ」
P「……そっか」
伊織「それに女性のファンも獲得したいし、何よりお兄様たちに認められる……」
伊織「その可能性が、まあ高そうだから……」
伊織「仕方なく…そうね、仕方なく……アンタの提案、乗ってあげようじゃないの」
P「……本当にありがとう、伊織。俺のわがままに付き合ってくれて」
伊織「……」ニヤリ
伊織「フゥ……ほーんと、わかってないわね」
P「え?」
伊織「私がこの道を選んだのは……まあ多少はアンタのお陰もあるけど」
伊織「最終的には、私の『信念』がそうさせた……」
伊織「それだけのことよ」
P「……! そうか、これは一本とられたな……ふ、クク……」
伊織「にひひっ! バリバリ活動してやるんだから、覚悟しなさいよ!」
伊織編おわり
やっと伊織編終わった……
プラン自体はかなりはっきり出来上がってたのに、
表現方法に悩んだ結果、(自分の中で)かなり冗長になってしまいました
>>89
このSSって、アイドルたちが掛け合いで会話をしてくれないと
プロデューサーが偉そうに講釈垂れるだけ……になってしまいがちなんで、
その結果だと思います。すまぬ。
だから色々と変化を付けたかったんですが
「伊織は中途半端なプランじゃ納得しなさそう」
→「逆に、伊織が納得しそうもないプランを提示して、伊織からぶん殴られるのはどうだろう」
→「あ、なんか面白そう」
って考えて構成した結果、先の展開に大いに悩むという自爆をする破目になりました
ひょっとしたらPのウザさはそっちが原因だったかもしれません。すまぬ
りっちゃんに関してはまだノーコメントの状態で
P「普段アイドルのレッスンをしながら、そういう勉強をしていたのは知ってます」
社長「うむ、その通りだ」
P「……でも悩んでいる、ということですけど……」
社長「そうなんだよ。……自分の方針に『確信』が得られない、とね」
P「確信、ですか……」
社長「事務所の子を使っての、アイドルグループの計画も立てていた様なんだが……」
P「自信が無くて、踏ん切りがつかないんですか」
社長「ああ、そのようだ。君の方から、何か言ってあげてはどうだね?」
社長「アイドルの『親』であるプロデューサーとして、そして何より『先輩』として、ね」
P「…………」
P「社長、律子が考えてた計画と、グループに入れる予定だった子たち、誰だかわかりますか?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376060573
春香「プロデューサーさん、正統派ですよ、正統派!」
http://logsoku.com/thread/hayabusa.2ch.net/news4vip/1331564584/
真美「真美は、どんなアイドルになればいいの〜?」
http://logsoku.com/thread/hayabusa.2ch.net/news4vip/1331902325/
真「AKB48……ですか?」
http://logsoku.com/thread/hayabusa.2ch.net/news4vip/1332504358
…………
コンコン
P「どうぞー」
ガチャ
あずさ「失礼します〜」
あずさ「道案内ありがとうね、千早ちゃん」
千早「いえ、ちょうど私もこっちの方に用事があったので」
千早「……プロデューサーと話、ですか?」ペコリ
P「おう……千早は、このあと何か用事でもあるのか?」
千早「ボイスレッスンですよプロデューサー。じゃああずささん、私はこれで」
あずさ「うふふ。じゃあ、千早ちゃんもレッスン頑張ってね」ヒラヒラ
千早「ふふ……はい、ありがとうございます」ニコッ
バタン
あずさ「はいお待たせしました、プロデューサーさん。……お話があると聞いたのですけど〜」
P「はい、そうですよ」
あずさ「え〜と……私、何かやっちゃいましたか? 私がやったことで、プロデューサーさんにご迷惑が?」
P「そういうわけじゃないですけど……」
P「うーーん……本当にいいのかな……」
あずさ「え、何がですか?」
P「いや……何でもありません」
P「えーとですね、あずささんも今度、本格的に芸能活動を開始する目途が立ちました」
あずさ「あら〜♪ 数ヶ月間レッスンばっかりでしたから、ようやくですね」
P「そうですね。実力をつけるためとは言え、プロデュース案も教えずにレッスン漬けにしてしまってすいません」
あずさ「いえいえ、良いんですよプロデューサーさん」
あずさ「……それで、どういう活動をすればいいんでしょうか?」
P「…………」
P「えーと、そのことなんですが……こっちの考えたプランは二つあります」
あずさ「二つ、ですか。何と何になるんでしょう」
P「えー、最終的にどっちがいいかは、あずささんが決めてください」
あずさ「はい」
P「まず一つ目なんですが……アイドルグループのプランです」
P「あずささん含めて複数人で、曲を出してアイドル活動するプランですね」
あずさ「グループですか〜。私の他には、誰が入るんですか?」
P「伊織と、亜美ですね。3人グループを予定しています」
あずさ「伊織ちゃんと、亜美ちゃん……と私、ですね」
P「はい」
P「……グループのコンセプトとしては、『直球アイドルグループ』を考えています」
あずさ「直球? というと…………」
P「奇をてらう様な売り方やキャラ付けをしない、3人の個性をそのまま活かしたグループ……ということですね」
P「リーダーとしてまとめ役になれる伊織と、持ち前の元気で雰囲気を明るくする亜美」
P「そして柔らかな空気感と大人らしさを武器に、二人では得られないファン層を獲得できるあずささん」
P「この3人のそれぞれの持ち味を活かしつつ、曲やダンスも『直球』の、アイドルらしいものを」
あずさ「えーとぉ、どんな曲なんでしょうか?」
P「(律子が用意してたやつだけど)このデモテープに入ってます。一例ですが」
〜♪〜
あずさ「なんだか面白い曲ですね」
P「『SMOKY THRILL』って言います。オーソドックスでいて、新鮮な耳心地のアイドルソングって感じですね」
あずさ「そうですね。こういう曲だったら、歌うのもきっと楽しいと思います〜」
P「……そう言ってもらえると幸いです」
P「で…こういう曲ですから、ダンスも可愛らしく、かつ3人で見栄えのいいものを頼んでおきます」
あずさ「ふふ、お願いしますね」
P「はい。……このグループで決まった場合、『アイドル』の形を崩さずに、3人で歌手活動するのを中心に考えています」
P「ライブに始まり音楽番組への出演や、3人組としてのバラエティ・企画出演なんか、ですかね」
P「活動が軌道に乗ってきたら、改めて個別の活動にも力を入れていくつもりです」
あずさ「(フムフム)」
P「……とまあ、これがこのグループでの方向性になります」
あずさ「はい〜、大体わかりました。グループの活動、とってもいいと思いましたよ」
あずさ「あの二人ほど若くはないですけど……それでもいいんでしたら、精一杯頑張ってみますね」
P「いやいや、何言ってるんですか。……逆にあの二人には、あずささんのような雰囲気は出せないんです」
P「それぞれの個性が光るからこそ、グループってのはバランスが取れるんです。自信持っていいんですよ」
あずさ「うふふ、そんなこと言われたら照れちゃいますよ、プロデューサーさん」
あずさ「あ……それじゃあ、もう一つのプランというのは……?」
P「ああ、もう一つのですね」
P「…………え〜」
P「……」
P(……律子…………)
P(いや、元からそのつもりだったんだし…………行くしかない!)
P「……今言ったグループ活動、俺が考えていただけで、亜美にも伊織にも話していません」
P「それを踏まえた上で聞いてください」
あずさ「? はい〜、わかりました」
P「もう一つが、……あずささんを『ソロ』で売り出すプランです」
あずさ「ソロ……私一人で、ですか……」
P「ああ、あずささんがこっちを選んだ場合の、亜美や伊織のプランもありますから、気にしないで下さい」
あずさ「は、はい」
あずさ「…………」
P「……もしかして、一人だと不安ですか?」
あずさ「え!? い、いや……」
あずさ「……そ、そう……ですね……」
あずさ「あの、実は……ちょっとだけ」
P「……どこらへんが、でしょう」
あずさ「……え、えーとぉ……」
あずさ「あの〜……私って、方向音痴だし、よくボーっとしてるって言われるし……」
あずさ「伊織ちゃんみたいなしっかりした子とか、亜美ちゃんみたいな明るくて元気な子と一緒だったら、大丈夫かな……って思ってたので」
あずさ「改めて一人で活動するのを考えると、ちょっと不安なんです……」
P「ん〜なるほど」
あずさ「す、すみません。こんな頼りなくて情けない理由で……」
P「……」
P「そうですねえ……」
P「あずささんだったら、もっと気楽に考えてもいいと思いますよ」
P「なんなら、もっと能天気でいいんじゃないですか?」
あずさ「え……えぇっ!?」
あずさ「の、のうてんき……ですかぁ?」
あずさ「プロデューサーさん、それはどういう……」
P「あぁいやいやいや……決して、あずささんをけなしているわけじゃありません」
あずさ「じゃあ、なんで……」
P「グループ活動の時にも言いましたが、あずささんは全体の空気を『調和』できる人間です」
P「あずささんがそこに居ることで、何か言うことで、みんなの空気がとってもよく和らぐんですよ」
P「空気を支配する、というのとはちょっと違いますね。『空気を馴染ませる』というのが合ってるかも」
あずさ「はぁ……馴染ませる、ですか」
P「……自覚してませんか」
あずさ「え、えぇ。いきなりそう言われても、何のことだか……」
P「さっきの千早との会話だけでも、その片鱗は見せてましたよ」
あずさ「え? さっきの……って、入ってきたときの、でしょうか?」
P「はい」
あずさ「何かありましたっけ?」
P「……千早はそれこそ、特に仲の良い春香ややよいとじゃないと、あんまり笑顔は見せません」
P「あずささんだって、普段の交流はそこまでないはずです……なのに……」
P「千早があずささんと会話すると、あんなに自然な笑顔が、千早の顔に出たんです」
P「俺だってだいぶ打ち解けてきましたけど、あんな綺麗な笑顔は中々出せません。悔しいですが」
あずさ「千早ちゃんの……笑顔……」
P「あずささんは、ちょっと会話しただけで出せるんです」
P「……人の心や表情を和らげる、それが『調和』」
あずさ「あらあら〜……そ、そうだったんですかぁ」
P「はい。あずささんの持ち味であり、芸能界に入った場合もそれは強みになります」
P「そしてそれに加えて、あずささんは最年長者だから、というだけでは説明がつかないほどの、大きな『母性』を持っています」
P「この母性が、それこそ『調和』に繋がるんだと思います」
P「これはあずささんが元から持っているものであり、最大の特徴と言ってもいいものでしょう」
P「常にマイペースなあずささんだからこそ、ですね」
P「……ですから俺も、『もっと能天気でもいい』と言ったんです」
あずさ「なるほど?…そういう意味で、おっしゃってたんですね」
P「誤解は解いてもらえましたかね」
あずさ「ええ…うふふ、ありがとうございます」
P「……」
P「そしてあずささんには……それ故に、ソロで活動して欲しい」
あずさ「ええとぉ……なぜでしょうか」
P「あずささんの、他のアイドルとの融和性は抜群です」
P「あずささん本人が決して我が強くないのもありますし、その『調和』の能力で、誰とも打ち解けられるからです」
P「だから亜美はもちろん、伊織も、あの強烈な個性を持っていてなお、あずささんが入ってもお互いのイメージを損なわない」
P「それはひとえに、あずささんが彼女たちに『合わせる』ことができるから」
P「我が強くないってのは、そういうことでもありますね」
あずさ「へぇ?……自分だとわからないですけど、そうだったんでしょうかね」
P「だと思ってますよ……でも、もったいなさすぎる、と思うんです」
あずさ「というと?」
P「あずささんは誰と組んでも、その組んだ相手の魅力をより一層引き出せます」
P「でも相手のことを思うがあまり、本来の『三浦あずさ』は、組んだ相手以上に主張することを止めてしまう」
あずさ「主張を、止める……?」
P「……相手に合わせる、ということは、つまりは『自分を引っ込める』ことに繋がります」
あずさ「……!」
P「グループの中の娘たちの魅力を、あずささんが膨らませる」
P「しかしそれは同時に、『三浦あずさ』を、その娘たちの魅力の中に埋もれさせることにもなりますね」
あずさ「……そ、そんな……!」
P「あずささんが献身的に、グループの中で己の立場を弁えて活動するほど、あずささんの魅力は外には出て行きにくくなる」
P「『母性』や『融和性』がグループ内で完結してしまい、グループ内の『立場』や『役割』以上の魅力になり得ない」
P「つまり、本来『全体の』空気を調和できるあずささんが、『グループ内の』調和だけで役割を終えてしまう……」
P「グループの一員であるが故に、その『グループ』という檻にあずささんの魅力も、考え方も、囚われてしまう可能性があるんです」
あずさ「そんな……!」
あずさ「プロデューサーさん、私は……どうすれば……」
あずさ「グループ活動を提案して下さったのに……そんなことを言われたら……」
P「…………」
あずさ「そ、ソロじゃないと、私は埋もれてしまうんですか!?」ガタッ
P「……すいません、ちょっと一方の立場を悪く言い過ぎました」
P「グループ活動にも長所はちゃんとあります。落ち着いて下さい」
あずさ「は、はい……」ストン
あずさ「フゥー……す、すみませんでした。もう、大丈夫です」
P「じゃあグループ活動の長所について、教えますね」
あずさ「例えば、どんなことでしょうか?」
P「まず最初に、あずささんが言っていたように自分が不安な場合でも、仲間がいるから大丈夫だ、と思えること」
P「これは間違いなくグループを組む他のメンバーもそうでしょう。お互いが助け合い、支えあう。グループの強みです」
あずさ「そう……ですよね」
P「次に、売り出しやすいということ。特徴的な3人でのグループなら、1人の時よりもそりゃあ『個性』は多くなります」
P「ですから、アピールポイントが増える分、こちらとしても番組やイベントの選択肢は増えます」
P「あずささんだけではイメージに合わない仕事も、伊織や亜美がいるから、と来る場合がありますし」
あずさ「それは……確かにそうですね」
P「それにああ言いましたけど、すぐ傍に、あずささんの母性や融和性を発揮できる、世間に見せつけることができる相手が二人いるわけです」
P「ソロの時よりも、そういった部分を直接的にアピールできることになりますね」
あずさ「あ……まぁ、はぁ……」
P「……わかりにくいみたいなんで、具体的に言いますと」
あずさ「す、すいません」
P「目に見えない特徴である『母性』や『融和性』を、グループなら『二人のお姉さん的役割』と、形あるものとして担える、ということです」
あずさ「……! な、なるほど……確かに」
P「まぁ……先ほども言ったように、その分、その『二人のお姉さん』の肩書が、あずささんの魅力を広げられない『枷』になることもあります」
P「枷を感じさせずに広く魅力を解放させる活動を考えますけど、その可能性には注意しないといけませんね」
P「……どうしますか? ソロとグループ、どちらも一長一短です」
P「どちらの活動をしてみたいですか?」
あずさ「はい……えっと、その……」
あずさ「…………」ジッ
P「?」
あずさ「プロデューサーさん……プロデューサーさんは、どちらの活動をして欲しいんですか?」
P「え? ……いや、最終的にどういう活動をしたいか決めるのは
あずさ「そうじゃありません。……プロデューサーさん自身は、私にどういうアイドルになって欲しいんですか?」
P「……!」
あずさ「ソロを躊躇った私に対して、『もったいない』って仰って下さいました」
あずさ「だけど……ソロの場合どうやって活動していくのか、まだきちんと教えてもらってないですよ?」
P(……やっぱバレたか)
P「……そ……そう、ですね。そういえば……ハハハハ」
あずさ「うふふ、ちゃあんと、教えてくださいね」
あずさ「そうでなきゃ、私だって考えはまとまりませんから」
P「……はい、そうでした。すいません」
P「……えー……」
P(……もうここまで来たら……俺の考えを……ぶつけるだけだろう)
P(律子には悪いが……もう、引き下がれないな)
P「そうですね……」
P「なぜ、具体的なイメージを描けるグループではなく、抽象的なイメージになるソロを推すのか」
P「それはあずささん自身が……『はっきりと曖昧』だからなんです」
あずさ「……んん?」
あずさ「はっきり、と曖昧……って、全く逆の意味じゃありませんか?」
P「そうですね。……どういうことか説明します」
あずさ「はい、お願いします」
P「芸能人・アイドルに必要な素質の一つに、『非現実感』があります」
P「実在するのに、テレビの向こう側にしかいないような……『遠い存在』になれる素質。それが非現実ということ」
P「これは事務所のみんな、多かれ少なかれ全員が持ってます」
あずさ「全員……」
P「そうです。銀髪にオーラのある佇まいの貴音なんかは言わずもがなで」
P「他の皆も、現実離れした歌唱力や容姿、『理想』を体現できる素質などなど、色々と非現実感を持ってますよ」
あずさ「わ、私は……どうなんでしょう?」
P「ええ、そこであずささんが持っているのが、その『スタイル』になりますね」
あずさ「スタイル……」
あずさ「……も、もしかして、胸……のこととか……?」
P「……そこまで直接的に言っていいものかわかりませんが、その通りです」
あずさ「…………」
P「あずささんのプロポーションは完璧です。胸が大きいというだけでなく、全体的なスタイルそのものが整っていますし」
P「グラビアの仕事を中心に、男性向けの仕事は、おそらく事務所の中で一番取りやすいでしょう。男性ファンの獲得自体も」
P「芸能人としての『個性』の一つとして、あずささん自身は嫌がるかもしれませんが……胸の大きさは間違いなく武器になります」
あずさ「……そう、ですよね…………」
あずさ「すいません、私もわかってはいるんですが……どうしてもはっきりとそう言われてしまうと……」
P「いえ、あずささんには抜群のスタイルがある。……でもそれだけじゃありません」
あずさ「……それって、ひょっとして……」
P「はい、それがさっき言った『母性』です。抽象的だけど、あずささんの発言や行動を見れば理解できる、確かなものです」
あずさ「…………」
P「理想的なスタイル、という目に見える非現実的な特徴。そして母性という、目には見えないけどはっきりわかる、親しみやすい特徴」
P「この二つが合わさることで、芸能人という非現実的な存在でありながら、まさしく『そこに居そう』と思わせられる」
P「事務所の誰よりも現実離れしている部分がありながら、誰よりも身近に感じられる」
P「……それが、『三浦あずさ』という人物だと感じました」
あずさ「それが……私……」
P「ですから、グループ内での『メンバー』としての固定されたイメージではなく、ソロとしての抽象的な『三浦あずさ』の形成に努めたいんです」
あずさ「なるほど……」
P「そしてソロの場合、あずささんには『アクトレスシンガー』として活動してもらいます」
あずさ「アクトレス……女優さんと歌手、の二つということですか?」
P「直訳してしまうとそういうことになるんですが……俺が考えるのはあくまで『アクトレスシンガー』ですね」
あずさ「どう違うんでしょう?」
P「……例えば、まだ本人には言ってませんが、貴音には女優の道を薦めたいと思っています」
あずさ「うふふ。貴音ちゃんは、確かに女優さんが似合うかもしれませんね」
P「ええ、俺もそう思って、色々と案を練ってる最中なんですよ」
P「で、貴音は芝居の活動に重点を置きますが、おそらくはイメージや仕事に幅を持たせるために、歌手活動をすることもあるでしょう」
P「あずささんは……そういう意味では、『女優』という肩書に拘る必要はありません」
P「女優として、役者として仕事をする一方で、それと同じくらいの比重で歌手活動にも取り組んでもらうつもりです」
あずさ「それが『アクトレスシンガー』なんですか?」
P「まあ端的に言えば。『女優』であると同時に『歌手』である、そういうものだと思ってもらえれば結構です」
あずさ「貴音ちゃんの歌手活動との違いが……よくわからないような……」
P「今の説明だけではそうなりますかね」
P「でも芸能界には、アクトレスシンガーとして活躍したアイドルはたくさんいるんですよ」
あずさ「ええとぉ、誰になるんでしょうか?」
P「あくまで一例ですが……『中山美穂』や『小泉今日子』のような感じ、ですかね」
あずさ「……中山美穂さん、小泉今日子さん……」
P「アクトレスシンガーと一般的に呼べる女優やアイドル自体は、他にもたくさんいます」
P「山口百恵や薬師丸ひろ子、広末涼子、最近なら柴咲コウとか」
あずさ「ああ、名前を聞くとなんだか『そうですね』って思えるような人たちですね」
P「はい。そして『歌手活動をする女優』と、『アクトレスシンガー』の違いは何か」
あずさ「どこになるんでしょう?」
P「例えば全盛期の広末涼子は、人気女優であり『大スキ!』なんかのヒット曲を出した売れっ子歌手でもありました」
あずさ「アクトレスシンガー、と呼ばれるくらいですものね」
P「はい。……でもおそらく、ほとんどの人は、広末涼子を『女優』としてしか見ていません」
P「……何故だかわかりますか?」
あずさ「それは……新曲を出していないからじゃないですか?」
あずさ「広末さんの曲、いつの頃からか出なくなりましたもんね」
P「はい、そうです。……じゃあ、なんで新曲が出なくなったか、はわかりますか?」
あずさ「えぇ!? ……え、ええとぉ……」
P「…………」
あずさ「…………な、なんででしょう?」
P「それはですね……彼女が『歌手』ではなかったからですよ」
あずさ「?」
P「あくまで、女優の『歌手活動』というだけで、彼女の仕事は基本的に『女優』に比重が置かれていたんです」
P「歌手として紅白にも出場しましたけど……事務所も世間も、『歌手』ではなく『女優』の広末涼子を求めていた」
P「彼女がブレイクした、アイドルの時期が過ぎたとき、彼女に求められていたものは歌手活動ではなかったんです」
あずさ「……それが…歌手ではない、ということなんですね」
P「そうです。そしてそういう意味で、広末涼子は本当の意味でのアクトレスシンガーではありませんでした」
P「そういう時期があった、というレベルです」
あずさ「小泉今日子さんや中山美穂さんは……違う、ということですか?」
P「ええ。あの二人はアクトレスシンガーの例として最適な二人だと考えています」
P「まず小泉今日子について」
あずさ「お願いします」
P「彼女は歌手活動と女優活動の比率について言えば、最近は完全に女優にシフトしています」
あずさ「え、プロデューサーさん。でもそれじゃあ、広末さんと同じなんじゃ……」
P「いえ、重要なのはここからです。彼女がデビューした当初は、間違いなく歌手としての活動の方が影響力が大きかった」
P「約十年間も歌手人気を持続させて、ヒット曲をたくさん出していきましたから」
P「彼女のその頃を知る者からすれば、小泉今日子は『歌手』であるというイメージが今尚強いでしょう」
あずさ「……!」
あずさ「プロデューサーさん、ひょっとして…最近では女優活動の比重が大きいって言うのことの意味は……」
P「…そう、ちょうど歌手活動をセーブし始めた頃から、彼女は女優活動に力を入れていきます」
P「元々デビュー当時から役者の仕事はしてましたけど、その時期から正に『女優』として活躍していくようになるんです」
P「そして今では、多くのドラマや映画に出る、日本を代表する女優の一人です」
P「つまり彼女は、見る人によって、時代によって、歌手と女優の二つの面を、確実に持っている」
P「それが『小泉今日子』という芸能人なんです」
あずさ「なるほど……それが小泉さんを、アクトレスシンガーだと考える理由なんですね……」
P「はい。…それに最近じゃあ、彼女が歌う、朝の連ドラの劇中歌がオリコンにランクインしていましたし」
P「今や女優としてしかほとんど活動してないのに、たまに歌手活動を再開したらこれだけの結果を残せるってのは……」
あずさ「小泉さんがそれまでに築いてきた『シンガー』としての功績が大きい……ってことなんでしょうね」
P「……ま、あの連ドラ自体が話題性強いのもありますけど……それでも素晴らしいことには変わりありませんね」
P「そして中山美穂は、小泉今日子とはまた違いますね」
あずさ「違う?」
P「彼女は文字通り、『歌手』であると同時に『女優』としてブレイクしました」
P「紅白に複数回出場、ミリオンヒットも出した素晴らしい歌手」
P「そしてそういった実績自体は小泉今日子も同じですが、違うのは……」
P「そのほぼ同時期に、女優として月9を初めとする数々のドラマの主演を務めた点です」
P「歌手から女優へ転向した小泉今日子とは違い、どちらもを同時期に、高次元で両立させていたんです」
あずさ「言われてみると……と、とても凄いことですよね」
P「なので中山美穂は、小泉今日子以上に歌手か女優かのイメージが人によって違います」
P「悪い言い方を敢えてするなら、歌手なのか女優なのか、イメージが固まってないとも」
P「しかし裏を返せば、それは確固たる『アクトレスシンガー』の地位についていた……ということに他なりません」
あずさ「確固たるアクトレスシンガー……」
あずさ「ぷ……ぷろ、プロデューサーさん……」
あずさ「そそそ、そんな凄い人たちに……私、なれるんでしょうか……?」タラタラ
P「い、いやあずささん、そんなに重く考えなくても大丈夫ですよ……」
P(いかんいかん、プレッシャーかけすぎないようにしないと)
P(……ソロか、グループか……)
P(どっちに転んだとしても、あずささんが、あずささんらしく活動出来るような……)
P(そんな環境を、作れるようにしないと)
P(……そう、『彼女』のように、どこまでも自分らしい活動を出来る芸能人に……)
P(……よっし)
P「フゥー……」
P「……あずささん」
あずさ「は、はいっ!」
P「……ここで、あずささんが目指すべき人物を教えます」
あずさ「……え?」
あずさ「いや、あの……目標は、そのお二人のようなアクトレスシンガー……じゃないんですか?」
P「いや、違います」
と、いうわけで今日はここまで
タイトルが伊織なのに伊織まで行かなくてすまぬ
ちゃんと全員分のプランは練ってあるので、あとはそれを文章にするだけです
なので完結するまでにそんなに時間はかからない……はず
もし期待してくれてる人が万が一いるんなら、
気長に待っててもらえれば幸いです
あずささん編の再開は明日か明後日にでもまた始めるけどね
ちょっとしたら再開する
今夜中にはあずささん編までは終わらせたい
あずさ「そ、そうなんですか」
P「ええまあ。あー……正直言うと、ですね……」
P「あずささんに立派なアクトレスシンガーを目指してもらおう、と最初から思っていたわけではありません」
あずさ「……え?」
P「グラビアアイドルやバラエティタレントの分野も考えてはいたんです」
P「でも実情としては俺が、打算的な理由でアクトレスシンガーを推しただけにすぎませんし」
あずさ「と、いうと……」
P「まずあずささんは、そのプロポーションを活かしてのグラビアアイドルとしての活躍が期待できます」
P「が、芸能界にはただスタイルがいいだけのグラドルなんていくらでもいます」
あずさ「……」
P「先ほど言った『母性』は、グラビア写真やイメージビデオだけでは伝わりにくいものです」
P「ですから、グラドルというだけではあずささんの持ち味は発揮しきれないでしょう」
あずさ「だからアクトレスシンガー……ということなんですか?」
P「まあ、そうなりますかね」
P「『女優』としての活動で、その穏やかな空気感や柔らかな表現力を、視聴者に魅せることが出来るでしょうし」
P「どうしても扇情的になりやすいグラビア活動よりも、それならより母性が伝えやすくなることでしょう」
P「……と言っても、若手女優がグラビア活動をすることも珍しくはありません」
P「ですから始めから、そういった活動も視野には入れて行きますけどね」
あずさ「ええ。グラビア活動自体は、私も別にイヤじゃありませんよ」
P「お、ありがたいですね?。話が早くて助かります」
P「で……俺が理由として打算的と言ったのは、それだけではパンチが弱いと感じたからです」
あずさ「よ、弱い……ですかね……?」
P「あ、いや、あずささんの個性が薄いというわけではありませんが……」
P「ただ、貴音ほどの卓越した表現力があるわけではないので……まあアレだけのものを持ってる人もそうそういませんけど」
P「そうなるともう一つ売りが欲しいわけですよ」
あずさ「はい。今までの話で、なんとなく理解できます」
P「それを考えたときに、あずささんが事務所の中でもかなりの歌唱力を持っていることに注目しました」
あずさ「そうだったんですか? 歌唱力……私にあったんでしょうか」
P「躍動感という意味では千早が一番でしょうが、安定感という点を見ると、おそらくあずささんが一番ですよ」
P「聞いていてほっとする……あずささんが歌うと、どんな歌でも馴染む」
P「はは……さっき言った『空気を馴染ませる』というのが、歌に関しても同じことが言えるんですよ」
あずさ「あらあら〜……そ、そんなに良く言わないでくださいよぉ///」
P「いえいえ事実ですから。なので歌手活動もイケるんじゃないかと思ったんです」
あずさ「へぇ〜……あ、そう言えば……」
あずさ「その場合って、さっきの曲はどうなるんでしょう?」
P「ああSMOKY THRILLですね…ソロで歌う場合は、もうちょっと違う曲調になりますね」
P「優しめのミドルポップスとか、バラードとか」
P「あずささん自身の持つ空気感に合う様な、そんな曲を考えてます」
あずさ「うふふ、さっきの曲も良かったですけど、そういう曲も好きですよ」
あずさ「バラードを歌ってみるのも楽しそうですよね」
P「ええ、好みが合うなら何よりですし、あずささん一人で歌うなら、そういう曲の方が良いと俺も思います」
P「ただ…歌手として一本でやっていこうとすると、安定感がありすぎて、小さくまとまってしまう危険性がありました」
P「何を歌っても落ち着いて馴染むだけに、大きな変化や感動が起きににくいんじゃないかとね」
あずさ「うーん……でも、そうですね。プロデューサーさんのおっしゃることももっともだと思います」
あずさ「歌うのは好きなんですけど、私も歌ってるとたまに、眠くなったりしちゃいますしね」
P「……それはそれで別問題な気もしますが……まああずささん自身が自覚して納得してるならそれでいいです」
P「ってことなので、歌手活動という側面から見ても、それ以外の何かしらの付加価値が必要になるんじゃないかな、と」
あずさ「『アクトレスシンガー』ならそのどっちも、ですから……足りない部分を補い合える」
あずさ「そういうことですね、プロデューサーさん」
P「その通りです」
あずさ「なるほど〜、だからアクトレスシンガーさんなんですね〜」
P「あずささんが芸能界で活動しやすくなる、こちらが売り出しやすくなる」
P「先ほど言ったようにそういった打算的な理由ですから、最終的に活動をどちらか一本に絞ってもらっても構いません」
P「極論を言ってしまえば、アクトレスシンガーを踏み台に、あずささんが芸能界でやってみたい違うジャンルにチャレンジする、ってのも全然アリです」
あずさ「わかりました〜、まずは女優と歌手……アクトレスシンガーで、頑張ってみようってことですね」
P「……で、あずささんの目標となる人物ですが……」
あずさ「あら、そう言えばまだ聞いてませんでしたね」
あずさ「小泉今日子さんや中山美穂さんではない、どんなアクトレスシンガーの方なんですか?」
P「……」
P「いえ、最初に言っておくと、彼女は『アクトレスシンガー』とはっきり呼べるような人ではありません」
あずさ「……え?」
P「一応は『女優』という肩書きになりますかね」
あずさ「誰なんでしょうか?」
『深田恭子』
P「……です」
あずさ「深田恭子さん……」
P「彼女は歌手活動もしてましたけど、別に歌で大ヒットを飛ばしたわけではない」
P「じゃあ女優として、もの凄い活躍をしているか……となると……」
P「…………」
あずさ「……し、してるんじゃないんですか?」
P「えーと……一応、代表作は『下妻物語』とか『富豪刑事』とかになるんですかね」
P「ドラマの主演も多いですし、去年の大河ドラマ『平清盛』でもヒロイン役を務めましたか」
あずさ「ほらぁ、やっぱり凄い活躍されてるじゃないですか〜」
P「でも彼女…深田恭子は、捉え所の無い芸能人だと……思いませんか?」
あずさ「捉え所が……無い……ですか?」
P「あずささんもそうであるように、深田恭子はスタイルがかなり良いです」
P「若手の頃はグラビア活動と女優業を並行してやってましたし、その一方で歌手活動も行っていました」
P「……まあ、彼女は歌唱力が高かったわけではないので、歌手活動の方は今はもう全くやっていませんが」
P「でも女優一本でやって行くとなった時に、そこまで突出した演技力があったわけではない」
P「スタイルの良さも、女優として活動する場合は、そこまでのアドバンテージにはなり得ない」
P「捉え所が無い…というか、もの凄く悪く言ってしまえば……『中途半端』な芸能人でした」
あずさ「……そ、そんなに酷く言わなくても……」
P「……が、そうなるとここで一つの疑問が出てくるんですよ」
あずさ「?」
P「なぜそんな『中途半端』な彼女が、今でも女優業を……しかも数多くの主役・ヒロイン役を続けていられるのか」
あずさ「……!」
P「捉え所が無い、中途半端……スタイルの良さとのんびりした性格が一応の個性」
P「そんな彼女が……です」
あずさ「……」
あずさ「…………」
あずさ「も、もしかして……」
あずさ「……同じ、なんですか?」
P「というと?」
あずさ「プロデューサーさんがおっしゃってくださった……私の特徴」
あずさ「『はっきりと曖昧』って……そういうことなんじゃないですか?」
P「……」
P「ええ……大正解です」
あずさ「私と深田恭子さんが……同じ……」
P「抜群のスタイルと可愛らしい容姿という、目に見える非凡な部分」
P「そしてどこか突出しきれずに、ともすれば中途半端と思われてしまう演技力や歌唱力……そんな現実的な部分」
P「両方が合わさり『はっきりと曖昧』であることで、視聴者から『憧れ』と『親しみ』の両方を抱かせる事が出来る」
P「……まあ『はっきりと曖昧』だったら全員が全員そうなるかと言われれば、答えはノーですけど」
P「でも『非凡』な部分……彼女の場合はスタイルと容姿」
P「その一点だけではない、『現実的』な部分との折り合い、バランスの良さが、今の彼女の地位を築いています」
P「後は芸能界に入って彼女も長いですけど、可愛さをキープし続けてる地道な努力も忘れてはいけないですかね」
P「そしてあずささんは、その深田恭子の持つ絶妙なバランスに、近いものを持っている」
あずさ「近いもの……」
P「細かい差異があるのはまあ当然ですけど、共通点かつ一番の違いは……まあ……」
P「深田恭子よりも安定感のある高い歌唱力と、どこか天然チックな深田恭子以上に、あずささんに備わってる天然体質」
P「そんなとこですかね」
P「……とまあ、以上のことを俺は勝手に考えていました」
P「だから俺個人が思うあずささんの目標は、深田恭子なんです」
あずさ「…………」グッ
あずさ「プロデューサーさん、上手く言えないですけど……何か、大事なことがわかったような気がします」
P「……」
あずさ「ソロで…私一人で完璧に出来るかしら、って最初は思ってたんですけど……そうじゃないんですね」
あずさ「失敗しても、それが私にとっての新しい個性になる」
あずさ「私の持つスタイルが『非凡』なんだとしたら……」
あずさ「それと相対するだけの『平凡』な部分があって、それが……私の魅力になってくれる」
あずさ「……そう思っていい……って、ことなんでしょうか?」
P「はい、もちろん。芸能人だからって全てが非凡である必要なんて無いんです」
P「それは、今でも活躍を続けてる、『はっきりと曖昧な女優』……深田恭子という存在」
P「彼女が正に証明していますからね」
あずさ「わかりました」
P「……で、どうしますか?」
P「ソロとグループと……」
P「……って……」
P「あずささん何で笑ってるんですか?」
あずさ「うふふ……」
あずさ「プロデューサーさんって、結構イジワルな人ですよね」
P「……え?」
あずさ「だってこんなに私のことをソロで売り出したいって思ってくれてる」
あずさ「プロデューサーさんの熱意、すっごく伝わってきます」
あずさ「それなのに、まだそうやってどっちがいいか、なんて聞くんですか?」
P「それ…は……」
P(……ある意味しょうがない、か……)
P(そりゃそうだ、結局は俺がこうやって、あずささんと対峙してるわけだもの)
P(……もしも……)
P(もしも律子が俺より先に、同じだけの情熱でもって、グループ活動を薦めていたら……)
P(もしも全く同時に、同じだけの熱意で両方のプランを薦められたら……)
P(俺と律子、どちらを信頼して……)
P(……いや、考えるのはよそう)
P「……ハァー」
あずさ「あらあら、どうしたんですか?」
P「……いや、あの…すみませんでした」
あずさ「謝らないでください。グループの案もすごく良いものだってわかりますし」
あずさ「両方の良い所と悪い所を聞いて、それでも私がやりたいと思った方に行くだけなんですから」
P「じゃああずささん……」
P「運命の人を見つけるまでの間ですけど……アクトレスシンガーとして、ソロで……」
あずさ「はい……頑張らせてもらいますね、プロデューサーさん」ニコッ
P「ありがとうございます……!」
あずさ「うふふ、私だって一人でも大丈夫なんだぞ、ってところ、事務所のみんなに見せてあげなくちゃ」
P「……あずささん、肩の力抜いて大丈夫ですよ」
P「自分らしく、能天気、能天気に」
あずさ「……! そ、そうでしたね」
あずさ「無理に張り切ったりするんじゃなくて……」
あずさ「全力で能天気に、行けばいいんですよね!」
P「……その考え方が既に間違ってますが」
あずさ「えぇ!? じゃ、じゃあどんな風に能天気に行けばいいんでしょうか……?」
P「あずささん、こんな時にナチュラルな天然ボケをかまさないで下さい」
P「……そうですねえ、狙って能天気に行く必要なんて、どこにもないですよ」
P「そのままのあずささんが、一番素敵ですから」
あずさ「……!」
あずさ「……そう、ですか」
P「そうですよ」
あずさ「うふふ……」
あずさ「ありがとうございます、プロデューサーさん」ペコリ
あずささん編おわり
あずささんへのプランは以上
次にタイトルに入ってる伊織編に行くよ
今日はここまでだけど……
あずささんをアクトレスシンガーで、
ってのは結構前から考えてはいたんだけど、
アクトレスシンガーとして活動してる人の上手い表現方法や、
あずささんを現実に当てはめたときにしっくり来る芸能人なんかが中々見当たらなくて
まだメンバー残ってるけど、今の時点で既に一番プロデュース案に苦労しました
でもアイマスに嵌った一番の原因はあずささんなんで、
何が何でも書き上げなければ、と必死こいて頑張りました
ちなみに、プロデュース案がとにかく早く完成したのは貴音と響
千早、春香、美希あたりもイメージが固まりやすかった
次の伊織編、楽しみにしてくれてる人がもしいるなら、
そこそこに期待しつつ長い目で待っていてくれれば幸いです
P「理由の全部ではないけど、ちゃんとした根拠の一つでもあるだろ?」
P「それを自ら言うってことは、伊織が実際に体験したことでもあるのかもしれないしな」
伊織「ん、まあ……」
P「伊織の非常に可愛らしい容姿とか、毎日聞いてるけど何かクセになる声質とか」
P「適正や能力の面で見た場合に、伊織はアイドルとしては逸材だと胸を張って言える」
伊織「……ありがたいけど、褒め方が何か気持ち悪いわよ」
P「……そこは目ぇ瞑ってくれよ」
伊織「はいはい」
P「でまあ、そういうわけだから」
『アイドルを踏み台に〜』
P「とは言ったけど、デビューはきちんと『アイドル』として大々的に売り出すよ」
伊織「…………」
P「曲も衣装も、伊織に合う可愛いものを中心に、揃えるつもりだ」
P「俺とかはもう性格も把握してるけど、芸能界では猫被ったまま、お姫様キャラで売り出してもいい」
P「もちろん地を出して、高飛車なお嬢様キャラでもいい」
伊織「高飛車な、って全く……失礼しちゃうわね、その物言い」
P「……悪い」
伊織「……いいから続けなさい」
P「わかった。……まあ、今言った二つどっち選んでも、一定以上の人気は獲得できるだろう」
P「さっき言った容姿や声質もそうだが、伊織自身が持って生まれた、人を惹きつける魅力みたいなもんだ」
P「『水瀬伊織』がアイドルとして存在するだけで、お前を欲する人間を生み出す事が出来る」
P「そういった、言ってみりゃ『熱狂的なファン』を生み出す力は、ひょっとしたら事務所で一番かもな」
伊織「言葉の響きは悪くは無いけど……素直に喜んでいいものか微妙ね」
P「……」
P「で、ここからが本題だな」
伊織「可愛すぎる、適正がありすぎる……って言ったことの理由でしょ?」
伊織「なんとなくわかっては来たけど……きちんと説明してもらうわよ」
P「よし、今から教えてやる」
P「……女性芸能人の場合は『女性から嫌われる』ってのも、一つのステータスではあるな」
伊織「……」
P「と言っても、伊織の場合は表現がちょっと違うか」
P「『女性から嫌われるようなタイプ』なんじゃなくて……」
P「『人気が男性ファンに集中するタイプ』かな」
伊織「ふむ……なるほどね……」
P「多分、事務所の中で女性人気が高くなりそうなのは真か千早か貴音か…その辺りになるかと思う」
P「千早はストイックな姿勢とよく伸びる歌声が、真は端正な顔立ちが、貴音はその醸し出すオーラが」
P「それぞれ女性に受けやすいと思うし、そういった部分を活かすように売り出すのが効果的だろうと思う」
伊織「その三人なら、確かにね」
P「で、男性人気に特化させようと思って、そういう活動をさせるなら」
P「男性の心を掴むような女性らしさ、女の子らしさが溢れているメンバー……具体的に言うなら」
P「伊織やあずささんや春香、雪歩、美希がそういう活動に向いてるだろう、ということになる」
P「残った響ややよい、亜美真美は、老若男女訳隔てなく、人気を獲得できる可能性が高い」
伊織「そうね」
P「つってもアレだな、実際のとこ、春香や美希に女性ウケを狙わせるのも全然アリだ」
P「逆に貴音に、男性ファン向けの仕事をさせるのも全く難しくない」
P「貴音はスタイルがいいってのもあるけど、そうでない千早や真にだってその路線の活動は出来る」
伊織「……後でその二人に今の話、言いつけてもいいかしら?」
P「勘弁して」
伊織「にひひっ……ま、よしとくわ」
P「ヒヤヒヤさすなよ……えーと、男性人気の高くなりそうなメンバーに、そうでない活動をさせるって話だったな」
P「事実、美希に対してはティーン雑誌で活躍できるような、モデルの仕事を薦めるつもり」
P「さっきの話で言うなら、男性から人気が出そうな美希に、女性ウケを狙った活動をさせることになる」
伊織「美希がモデル……ま、悪くないんじゃないの」
P「はは、ありがとな」
P「……男性ファンにアピールするか、女性ファンにアピールするか」
P「そういう話になった時に、伊織は『可愛すぎる』のが大きな障壁に成り得る」
伊織「……」
伊織「それってつまり……」
伊織「……男性ファン向けのアイドルの『適正』に特化しすぎてる……」
伊織「そういうこと?」
P「そう……その通り」
P「伊織は『熱狂的なファン』を生み出す力が強い」
P「でもその原動力たる容姿や声質、そして伊織の持つ魅力は、男性に向かって強く訴えかけるものだ」
P「伊織が芸能人として活動する場合、男性向けのアイドルとして売り出すのが最も効果的な反面……」
P「それ以外の選択肢が非常に少ない」
伊織「こ…この伊織ちゃんよ? 別にアンタが無理だと思ったって、何でもこなしてみせることくらい……出来るわよ」
P「いや、俺も出来るとは思うよ」
伊織「じゃあ……何でよ!」
P「伊織が最も『ファンの数』を増やす事が出来る……と思われる活動は、さっき言った男性向けアイドルの仕事」
P「それ以外の部分で、少数の女性ファンを無理に増やそうとしても、どこかで頭打ちになるからだ」
伊織「……女性ファンが出来ないって言い切るわけじゃないのね」
P「まあな。どこまでも男性向けに特化させた『アイドル』でも、それでも一部の女性層からは支持を得られる」
P「ただその場合は、その一部の女性層が熱烈に支持してくれるだけにとどまりやすい」
P「基本的には女性から嫌われる立場のアイドルになっちゃうな」
伊織「それってぇ、具体的に言うと、誰になるのかしら?」
P「……わざわざ言わすのかよ」
伊織「私には知る権利がある。そうでしょ?」
P「そうだな……えーと……」
P「わかりやすい例で言うなら、『小倉優子』や『嗣永桃子』みたいなアイドルか」
P「言い換えるなら『ゆうこりん』と『ももち』」
伊織「……ふぅ?ん」
P「伊織が本来の性格を隠してお姫様キャラで行く場合は、この二人のようなアイドル像を目指すことになる」
P「この二人と伊織に共通してるのは、強烈なキャラクターを『仕込んでる』ってとこだな」
伊織「仕込んでるって……アンタ……」
P「いや、言い方はアレだけど実際仕込んでるだろ。猫被ったときの伊織含めて」
伊織「……」
伊織「そうね、そうでしょうとも……ふんっ」
P「怒るなよ……とにかくインパクトのあるキャラを仕込むのは、アイドルでなくても芸能界なら定石だろ?」
P「ていうか視聴者の大半も、『自分が一番可愛い!』なんて主張が本当に全部、素の性格だなんて思ってないだろうし」
伊織「多少は地の部分もあるんじゃないの? ……それこそ私みたいに」
P「……まあ、な。自分の性格や考えと近い所があるから、あそこまで極端なキャラでもハマりやすいってのはあるよな」
P「まあそれでも、ある程度強い個性を持った芸能人を、『演じてる』と思いながらもそれ込みで楽しむのも暗黙のルールだ」
P「キャラを作る、仕込むということに対して悪く言う気は無いさ」
P「プロデューサーって立場ならなおのことな」
伊織「それは、まあ…そうかしらね」
P「それ以前は全く別のキャラだった『ゆうこりん』は、こりん星云々が受けて、そこからブレイクしたわけだし」
P「後々『こりん星』を捨てるか否か、でも話題を作る事が出来た。一種の持ちネタになってたわけだ」
P「あと『ももち』の強烈な自己主張っぷりは、苛立ちや脱力を生むことも多いが印象には強く残る」
P「二人ともこういったキャラでやっていくのに必要な『可愛らしい容姿』はあるから…」
P「キャラクターに頼らなくてもいい場面では、ただ画面に映るだけでも華があって目立ちやすい」
P「その上で二人とも、自分の持つ強烈なキャラクターを使ってテレビの露出を増やしていったわけだ」
伊織「私のお姫様キャラも、そういう感じで行けってこと?」
P「伊織の場合はあんなに極端でなくてもいいと思う」
P「小悪魔風な、それこそ可愛らしいお姫様の中に、伊織の素の性格を少しだけ出す感じで十分だろう」
伊織「……じゃあ、それで問題ないんなら、いいじゃないの」
伊織「なんでその活動で、私が女性から嫌われなきゃいけないのよ」
P「えーとだな、そもそもアイドルとして『可愛さ』をアピールすると……」
P「多かれ少なかれ『自分を可愛く見せたい』という主張が『ぶりっ子』に映ってしまいがちなんだ」
伊織「……」
P「そんでもって、伊織は『可愛すぎる』」
伊織「…………」
P「例えクールな歌をうたいこなすような、堅実でカッコいい路線で活動したとしてもだな…」
P「その『必要以上に可愛すぎる容姿』が、可愛く見せよう、という主張だと受け取られかねない」
伊織「……可愛いのが欠点……そういうこと……」
P「……ただし、その群を抜いた可愛さ自体が、一部の女性から支持される動機にもなるんだけどな」
伊織「少ないけど出来るっていう、女性のファンのことね」
P「ああ。春香に既に提案していたんだが、『正統派アイドル』の方針と同じになるな」
『自分もあんな風に可愛くなりたい』
P「そう受け取ってくれる女性がいれば、『お姫様』の伊織に憧れを抱かせられる」
伊織「ちょ、ちょっと……春香がそう思われるのと、私がそう思われるのと、どこに違いがあるって言うのよ」
伊織「それなら春香だって、女性から嫌われやすいアイドルになるんじゃないの?」
間違えた、まだ春香にプロデュース案を提案してない体でストーリーを進めるつもりだった
>P「春香に既に提案していたんだが〜」
の部分は
P「春香にも提案しようと思っていたんだが、『正統派アイドル』の方針と同じになるな」
で脳内変換して読んで頂戴
P「……それはだな……伊織は春香以上に、人を……」
P「もっと言うなら男性を惹きつける魅力が、全面に押し出されすぎてるんだ」
伊織「押し出され……すぎてる?」
P「春香は伊織とはベクトルが違うだろうが、実際のとこ女の子らしくて可愛い。可愛いが……どこか平凡なとこがあるな」
伊織「……ま、私と比べたらね」
P「でもその平凡さや普遍的な女の子らしさは、視聴者やファンに対して、親近感を与えるんだ」
P「『自分もこうなりたい』って憧れは、その目標が遠すぎる場合は抱かせにくい」
P「どこかで自分が『真似できる』ってレベルじゃないと、逆効果になってしまうんだ」
P「だから親近感の湧く、女の子らしいアイドルである春香が、女性に憧れを抱かせるのは難しくない」
P「春香の平凡さは、視聴者やファンに自分の可愛さをアピールしつつ」
P「時には主張を控えて堅実に自己を磨く事が出来る、という長所でもある」
伊織「ふぅ〜ん……春香が…ねえ……」
P「で、それを踏まえたとき、伊織は女性から共感を得にくい立場にいる」
伊織「私が可愛すぎるのがいけない……ってことでしょ?」
P「ああ……」
『自分は伊織ほど可愛くなんてないし、努力してもなれそうにない』
『自分は伊織のように可愛らしい声を持ってないし、お嬢様らしい、しとやかな立ち振る舞いが出来ない』
『せめて真似だけでもしてみたいけど、とてもなりきれそうにない』
P「と、こう思われるかも…ってとこ」
P「あとは中学生っていう若さも影響してくる」
伊織「な……! と、歳はどうしようもないじゃないの!」
P「……でも事実だ」
P「その若さで完成されたビジュアル、という点が、男性から強く支持されて女性から支持されにくい原因となる」
P「まあ男性なら、伊織くらいメチャクチャ可愛い娘がいたら普通は好きになるよ」
P「性格は置いといても、ビジュアルだけで見れば。俺も凄く可愛いと思って見てるし」
伊織「……ふんっ。褒め言葉だと受け取っておくわ」
P「でも女性は『真似』をしようとしても、伊織が似合うようないかにも可愛いって服や歌は、伊織くらいの年齢でなきゃ全く似合わない」
P「自分には無いものを『持ちすぎて』いる、才能に『恵まれすぎている』人がテレビで活躍しているのを見て……」
P「同性の人たちから、『ちょっと可愛いからって調子に乗って……』と嫉妬される可能性は想像に難くない」
伊織「ほーんとそういうの、勘弁して欲しいわよね……」フゥ
P「女性のそういう、可愛い人や綺麗な人に対する嫉妬ってのも、俺からみればおぞましい世界ではあるんだよなぁ」
伊織「まあアンタにはあんまり縁のない世界かもしれないわね」
P「でも男性だって……ていうか俺だって、誰かに嫉妬することも結構あるよ」
P「人から好かれやすいって人物は、それだけ嫉妬を買いやすいって側面が存在するわけだ」
P「伊織は男性から好かれやすい分、女性から嫉妬されやすい」
P「若さも考慮に入れると、20代、30代の女性からの支持を得るのは困難……という結論になる」
P「伊織に限らずだけど、元々男性向けアイドルって、そういう立場になりやすいものなんだけどな」
伊織「……そうね」
P「かと言って同年代の女の子の場合、逆に大人っぽい女性に憧れるものだから……」
P「伊織よりは千早や貴音に着いていく事のほうが考えられる」
P「つまりは、10〜30代の女性人気を得るのが単純に難しい」
伊織「でも……それって、私がキャラを作った場合の話でしょ?」
伊織「私がアンタが言ったみたいに素を出して……『お嬢様』で行くんなら、何も問題無いんじゃないの?」
P「そうだなぁ……いや、どんなキャラで行こうと同じだと思う」
伊織「そ、そんな……!」
P「どんな売り出し方をしても結局は『可愛い』という点に、伊織の最大の特徴とセールスポイントが集約する」
P「欠点が『可愛すぎる』ってのはそういう意味でもある」
P「クールな路線、大人っぽい路線で行こうとしても、可愛さがそういった路線でのイメージを阻害するから」
P「……だからって可愛さを見せずに活動なんてしたら、それこそ伸び悩む可能性の方が高いけど」
伊織「な、何よ……それ……」
P「お嬢様キャラなぁ……これで伊織の年齢が高いなら『理想のお姉様』で行けないこともないんだけどなぁ」
P「やっぱ中学生ってのも辛いとこなんだよなぁ……」
伊織「……」
P「そうなると、それほどの強烈な自己主張に憧れを抱く女性というのも限られてきてしまう」
P「でも中には、その強烈な自己主張に憧れを抱いてしまう女性もいるんだよな」
P「これが……熱狂的なファンの女性層側ということになるな」
P「……わかってもらえたか?」
伊織「……」
伊織「ええ……大体ね」
P「まあ、そんなに悪く考えることもないさ」
P「男性ファンはたくさん獲得できるってのはさっき言ったとおりだ」
P「熱狂的なファンを母体に活動していくなら、大金を動かせるアイドルにだってなれる」
伊織「でも……でもそれじゃあ……!」
P「……」
P「…………そう、だな」
P「この表現でいいものかはわからんが……『可愛さを撒き散らしてアピールしている』」
P「そう捉えられかねない……女性からは、あまり快く思われない芸能人になるな」
伊織「…………」グッ
伊織「……もう、わかったわよ」
P「ん、何がわかったんだ?」
伊織「……っ」
伊織「アタシがアイドルに向きすぎてる、それ以外の選択肢が少ない……ってことがわかったって言ってんのよ!」
伊織「……じゃあどうすればいいわけ!?」
伊織「どうしたら女性たちや……あと、お兄様たちを認めさせられるような、そんな芸能人になれるっていうのよ!」
P「……」
P「伊織……さっき俺が言ったことを、もう忘れたのか?」
伊織「何よ……いつの、どの話のことよ!」
P「…………」ニヤリ
P「その『アイドル』って立場を、『踏み台』にしてやればいいんだよ」
今日はここまで
1日に2、3レスってこともあるだろうけど、
不定期にちまちま書いてくよ
見返してみたら、>>80が何か前後の文章と矛盾してた
>P「アイドル活動を、ももちはそこ以外での人気を得るために『踏み台にしている』と言えるな」
の部分は、
P「さっき大きくは言えない、って言ったけど、それは『踏み台』という言葉に悪いイメージがあるからだ」
P「ももちはアイドル活動を『踏み台』ではなく、そこ以外での人気を得るための『土台』にしていると言えるな」
に脳内修正してください。すまぬ
P「俺は大真面目だ。キリッ」
伊織「……もう一回キツイの、ぶち込んであげようかしら」
P「ごめん! ふざけないから止めて!」
伊織「ハァ……で、どういうことなの?」
P「ふふふ……伊織ぃ」
伊織「な、何よ変な声色して」
P「さっきは欠点なんて挙げさせたけど……」
P「今度は逆に、俺が思う伊織の良い部分…つまり『長所』を、言ってみようじゃないか」
伊織「私の長所? ……いくらでもあると思うけど、アンタが何を挙げるかは検討も付かないわね」
伊織「……それこそ、さっき欠点だなんて言っておいて、『可愛いのが長所』とかしたり顔で言ってきそうなもんだわ」
P「おお、それもアリだな。……いや、俺が挙げるのは今回は違うんだけどな」
伊織「何になるの?」
P「『プライドが高いこと』」
伊織「……」
P「伊織の長所は、その『プライドの高さ』にある」
伊織「…………ま、マジ…で?」
P「うんマジで。キリッ…とか言わないくらい、今回は大マジ」
伊織「な、なんで私のプライドが高いのが長所になるのよ……」
伊織「ていうか…コメンテーター? それとプライドの高さが、どう関わってくるのよ」
P「……伊織、『プライドが高い』ってことは、さっきちょっと言ったけど、『自分に誇りを持っている』ってことだ」
伊織「……!」
P「さっきビンタされた時に、伊織の本音を聞かせてもらった」
P「伊織が自分を落とすような活動をしたくない理由、そこには、伊織の確固たる考えがあった」
P「自分を誇りに思うからこそ持てた、伊織の『信念』だな」
伊織「信念、ね……」
P「ひょっとしたら、本当に単なる伊織のわがままなだけで、本当はそういう活動の方が成功する可能性が高いかもしれない」
P「でも伊織は自分を曲げずに自分が正しいと思った方へと、『信念』を貫き通した」
P「……行き過ぎると『過信』や『妄信』に繋がる危険性もあるっちゃある」
P「でも俺は思う。伊織はきっと、過信によってもたらされる不幸すらも、自分の信念で成功に変えてしまうんじゃないかって」
伊織「そんなとんとん拍子に上手く……」
伊織「……ま、この私なら、行けるかしらね。ふふ」
P「そう、それに多分、伊織が自分の信念に基づいて行動した結果……失敗した場合」
P「その場合、伊織は自分を省みることが出来る。反省して改善して、次の成功に繋げることが出来る」
P「自分の考え、行動によってもたらされた不幸を、他人のせいにしない」
P「たまーに俺とかに八つ当たりすることもあるけど……本気じゃないだろう」
P「……と、俺は思いたいが」
伊織「ふふん、あったりまえじゃない」
伊織「この伊織ちゃんが、本気で誰かに責任をなすりつけたりするわけないでしょ」
伊織「もし私の考えで失敗することが……そうね、万が一、億が一、あるんだとしたら」
伊織「それでもそれは、きっと私のせいなんだもの」
伊織「誰かを責める動機になんて成り得ないわ」
P「おおぉ、よく言ってくれた」
伊織「もーっと褒めて崇め奉ってくれてもいいのよ? にひひっ」
P「あぁ〜伊織様〜……で、」
伊織「ナチュラルに崇めてナチュラルにスルーしたわね……」
P「……で、そうなると伊織はコメンテーターの座には適任なんだ」
伊織「信念…があることが、理由?」
P「そう。それ以外にも、伊織が海外やら、大企業のパーティやらで培った『常識』もプラス要素になる」
P「社会的なふるまい、一般的な意味での幅広い知識、社交的な…ていうか猫被ったときの態度」
伊織「猫はもういいでしょ」
P「いやいやぁ、丁寧な対応が出来ると、それだけでも視聴者の見る目は変わってくるぞ」
P「コメンテーターは、ニュースの感想を聞かれたり、自分なりの考えを述べたりする立場だ」
P「だから大学教授や医者なんかの、『権威』や『知識』のある人が求められる」
P「そして、どんなことに対しても曖昧な感想にならず、はっきりとした考えを持てることも大事になる」
伊織「……なるほど、だからコメンテーターを推してるってわけ」
P「そう。伊織はまだ『権威』は無いし、『知識』も中学生にしては高いってレベル」
P「でも並の大人ですら持てないような、自分に対するはっきりした『信念』」
P「それとどんな場合でも、相手をいなしたり切り込んだり出来る『対応力』がある」
P「普段の事務所での光景で言うなら、亜美真美のイタズラ、美希のぞんざいな対応、あずささんの天然ボケ……」
P「そういう諸々に、律子ともども華麗に突っ込んだりな」
伊織「……事務所のしょーもない一幕で、よくもまあそこまで大げさに考えられたものね」
P「でもあんだけ華麗に全部突っ込んでるの見たら、誰だって多少は思うぞ」
P「それこそバラエティで弄られ役をやるって提案したけど、あの突っ込みスキルがあるなら成功の可能性は本当に高い」
伊織「嬉しくないわね」
P「だろうな……いや、まあその話は忘れよう」
P「ともかく、伊織は自分の持つ確固たる考え……つまり信念と、あと対応力の高さを活かせば……」
P「どこぞの大学教授や、どこぞの弁護士、医者、代議士、経済評論家」
P「そういった人たちとも渡り合えるくらいのコメンテーターになれる」
伊織「でもちょっと……私、浮きすぎじゃない?」
伊織「それに『アベノミクス』くらいならまだ大丈夫だけど、専門的な話になったら流石に全然よ?」
P「……誰も、『朝まで生討論』みたいなガチガチの報道番組に出るとは言ってないぞ」
P「そうだな……『スッキリ!』とか『サンデージャポン』とか、そういうワイドショー番組を想定してる」
P「というか、ポジション的には『西川史子』のような立場になりたい」
伊織「うげっ……西川って……あの女医の人?」
伊織「医者の仕事なんてまともにしてなさそうだし、口ばっかりでなぁーんか、好きになれないんだけど」
P「西川先生はな、バラエティ的な立場での『ご意見番』なんだよ」
P「『女医』って肩書きと『毒舌キャラ』で、はっきり物事を言う人、と世間から認識される」
P「実績自体はそんなに必要ない。ワイドショーのコメンテーターとして、そう思わせられる人材だから、必要とされてるんだ」
伊織「でも、ねぇ……」
P「……俺が言いたいのは、必ずしも専門的な知識や大層な権威は必要では無いってことだ」
P「はっきり物事を言える人、発言に説得力のある人なら、コメンテーターは勤まる」
伊織「アタシでも?」
P「ああ、伊織でも」
P「ただはっきりと物事を言えるのはわかってるが、説得力はまだ無いな」
伊織「じゃあダメじゃないの」
P「ああ。だから可愛いアイドルとして活動して、熱狂的なファンをガッチリと獲得する一方で……」
P「まずは、クイズ番組に出てもらいたい」
伊織「クイズ?」
P「『Qさま』とか『ネプリーグ』とか、ああいう一般常識をはかるクイズ番組が最適だろう」
P「中学生として授業で習う範囲の問題がバンバン出るから、その時点で伊織にとっては答えやすい」
P「その上で、得意な英語やとっさの判断力で、活躍できる可能性がさらに高い」
伊織「クイズ番組に出て活躍するのがどうなるっていうのよ」
P「……『インテリアイドル』なんて肩書きでも付こうもんなら、もうこっちのもんじゃないか?」
P「あくまでワイドショーで欲してもらえるレベルの、ではあるけど……伊織に権威が……」
P「伊織の発言に説得力が、生まれるんだよ」
伊織「……!!」グッ
P「大学教授や経済評論家と渡り合えるってのは、知識量や立場でじゃない」
P「というか、伊織自身が渡り合うわけじゃない」
P「『番組』という同じ土俵に立って、視聴者から『コメンテーター』だと同じように認識されること」
P「そのことを言っているんだ」
伊織「わ、私……が……」
P「華々しく活動する、非常に可愛らしい稀代のアイドル」
P「しかし一方で、ワイドショーで芸能界や政治に、自分の『信念』でもって豪気な発言を投げかけるコメンテーター」
P「もちろんバラエティでの弄られ役よりも高いハードルで、困難な道になる」
P「でももしそんな立場になったとしたら……」
伊織「……」
P「お金を稼ぐのはもちろん、自分の信念を、全国に向かって発信する」
P「そんなアイドルは俺は今まで見たことが無い」
P「だから『ただ可愛いだけ』じゃない。女性からの『憧れ』だって間違いなく生まれる」
P「そして……きっと伊織のお兄さんたちも、伊織のことを『立派』だと思うことだろう」
P「ワイドショーでする発言の内容についてじゃない」
P「伊織が自分の考えを、テレビを通して伝えているという事実に対してだ」
伊織「……」グッ
P「どうだ伊織」
P「つっても……俺の考えにも、色々と穴はある……」
P「そう上手く行く保障なんて無いってのが一番だな」
P「言っちゃえば理想論、伊織の努力と、俺のサポートと、あと運と
伊織「この……!」
P「(ビクッ)!? び、ビンタは止めてくれよ……! ていうか理想論とは言ってもな、俺だって無い頭使って必死に
伊織「怒らないわよ! 早とちりしないで」
伊織「フゥー……この伊織ちゃんが、そんなことで怖気づくとでも思ったの?」
伊織「……って、言いたかっただけよ!」
P「……あ、そうでしたか」
伊織「まったく……」
伊織「アイドルとしてちゃんと活動できて、その上でコメンテーターとしてしっかり者だってアピールする」
伊織「そういうことでしょ?」
P「そうだな」
伊織「私を誰だと思ってるわけ? 天下の『水瀬伊織』ちゃんよ?」
伊織「クイズ番組? ワイドショー? アイドルとしてファンを獲得?」
伊織「ナメんじゃないわよ……全部、成功させてみせるんだから……!」
P「後悔は……しないか」
伊織「当たり前でしょ」
伊織「ま……今までの話、アンタの考えにしては悪くなかったわね」
伊織「本当ならアイドルとして活躍するだけで、みーんなが私の虜になると思ってたけど」
伊織「……それはちょっと難しそうだから、やめておくわ」
P「……そっか」
伊織「それに女性のファンも獲得したいし、何よりお兄様たちに認められる……」
伊織「その可能性が、まあ高そうだから……」
伊織「仕方なく…そうね、仕方なく……アンタの提案、乗ってあげようじゃないの」
P「……本当にありがとう、伊織。俺のわがままに付き合ってくれて」
伊織「……」ニヤリ
伊織「フゥ……ほーんと、わかってないわね」
P「え?」
伊織「私がこの道を選んだのは……まあ多少はアンタのお陰もあるけど」
伊織「最終的には、私の『信念』がそうさせた……」
伊織「それだけのことよ」
P「……! そうか、これは一本とられたな……ふ、クク……」
伊織「にひひっ! バリバリ活動してやるんだから、覚悟しなさいよ!」
伊織編おわり
やっと伊織編終わった……
プラン自体はかなりはっきり出来上がってたのに、
表現方法に悩んだ結果、(自分の中で)かなり冗長になってしまいました
>>89
このSSって、アイドルたちが掛け合いで会話をしてくれないと
プロデューサーが偉そうに講釈垂れるだけ……になってしまいがちなんで、
その結果だと思います。すまぬ。
だから色々と変化を付けたかったんですが
「伊織は中途半端なプランじゃ納得しなさそう」
→「逆に、伊織が納得しそうもないプランを提示して、伊織からぶん殴られるのはどうだろう」
→「あ、なんか面白そう」
って考えて構成した結果、先の展開に大いに悩むという自爆をする破目になりました
ひょっとしたらPのウザさはそっちが原因だったかもしれません。すまぬ
りっちゃんに関してはまだノーコメントの状態で
08:51│水瀬伊織