2014年07月15日
あずさ「まっくらやみ」
小鳥「雨、止みませんね」
あずさ「そうですね〜」
小鳥「停電しちゃいましたし」
あずさ「まっくらですね〜」
小鳥「電車も止まっちゃってますし」
あずさ「帰れなくなっちゃいましたね〜」
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小鳥「携帯の明かりだけじゃ心許ないですね」
あずさ「そうですね〜」
小鳥「あずささん、怖くないですか?」
あずさ「まぁ、まっくらだからって怖がったりしませんよ」
小鳥「の割には震えているような」
あずさ「こ、これは雨で冷えて寒いだけです」
小鳥「寒いんですか?じゃあ、何か温かい飲み物でも取って来ますね」
すくっ
あずさ「え?あ、あの……」
小鳥「すぐ戻りますからここで待っててください」
あずさ「は、はい」
すたすた
あずさ「あ……」
ざぁぁぁぁぁ!!!
ごぉぉぉぉぉ!!!
がたがたがた!!!
あずさ「うぅぅ……」
すくっ
すたすた
あずさ「お、音無さぁ〜ん……」
小鳥「あれ、あずささん。どうしたんです?」
あずさ「い、いえ、その……」
小鳥「やっぱり怖くなっちゃったんですか?」
あずさ「うぅぅ……は、はい……」
小鳥「やっぱり」
あずさ「だ、だってこんなまっくらの中で風はごーって吹いてるし
窓だってがたがた震えて、事務所が壊れちゃうんじゃないかって……」
小鳥「大丈夫ですよ、確かにちょっとボロいですけど、そう簡単には壊れませんって」
あずさ「それは、分かってはいるんですけど……」
小鳥「それに、万が一の時は私があずささんを守りますから!」
あずさ「え……?」
小鳥「大事なアイドルですから!」
あずさ「……ふふっ」
小鳥「あっ」
あずさ「どうしました?」
小鳥「キッチンにろうそくがありました」
あずさ「まぁ!」
小鳥「これで真っ暗とおさらばですよ」
あずさ「そうですね〜」
小鳥「もうこれで怖くないですね」
あずさ「も、もう!音無さん、意地悪です……」
小鳥「あはは、すみません。それじゃあ、戻りましょうか」
あずさ「は〜い」
すたすた
あずさ「ろうそくの火って、暖かいですよね」
小鳥「まぁ火ですからね」
あずさ「そうじゃなくってこう、ぽわ〜っとしてて、見てると気持ちが安らぐというか」
小鳥「なるほど、何だかあずささんみたいですね」
あずさ「えぇ!?」
小鳥「ぽわ〜っとしてて癒されるなんて、あずささんそのものですよ」
あずさ「私、そんなにぽわ〜ってしてますか?
自分ではシャキっとしているつもりなんですけれど……」
小鳥「ステージではシャキっとしてますけど、普段のあずささんはぽわ〜ってしてますね」
あずさ「そうなんですか……」
小鳥「そこが好きなんですけどね」
あずさ「……えぇ!?」
小鳥「どうしました?」
あずさ「あ、あの、す、好きって……。それどういう……?」
小鳥「あずささんの良い所だって思いますよ」
あずさ「そ、そうですか……」
小鳥「違う方が良かったですか?」
あずさ「え?」
小鳥「ふふっ、冗談ですよ〜」
あずさ「……はい」
小鳥「え?」
あずさ「って言ったら、どうします?」
小鳥「ど、どうって……その……」
あずさ「うふふ、冗談です」
小鳥「あ、あずささぁ〜ん」
あずさ「あんまり意地悪しちゃいやですよ〜?」
小鳥「す、すいません……」
ざぁぁぁぁぁ!!
ごぉぉぉぉぉ!!
がたがたがた!!
あずさ「雨、やみませんね〜」
小鳥「少し弱くなった気がしますね」
あずさ「早く電気が復旧するといいのだけれど」
小鳥「さっきよりは明るいですよ」
あずさ「電車は動いたかしら?」
小鳥「……まだ、みたいですね。再開の目処は立っていないそうです」
あずさ「お茶、美味しいです」
小鳥「ふふふ、それは良かったです。震えは収まりました?」
あずさ「もうすっかり」
小鳥「確かめてみましょうか」
あずさ「え?」
ぎゅっ
あずさ「おお、音無さん!?」
小鳥「あれ、震えてるじゃないですか」
あずさ「そ、それは……!」
小鳥「う〜そ〜つき〜だ〜ね〜」
あずさ「もう!…………音無さんだって震えてるじゃないですか」
小鳥「……えへへ、バレちゃいましたか」
あずさ「これだけ密着してたらすぐ分かります」
ざぁぁぁぁぁ!
ごぉぉぉぉぉ!
がたがたがた!
あずさ「……音無さん」
小鳥「はい?」
あずさ「音無さんにとって、私はただのアイドルですか?」
小鳥「……あずささんにとって私はただの事務員ですか?」
あずさ「…………ずるい人ですね」
小鳥「大人は皆ずるいんですよ」
あずさ「私は――――」
ちかちかっ
ぱっ
小鳥「あ、電気点いた」
あずさ「……はぁ」
小鳥「ん〜、やっぱり明るい方がいいですね」
あずさ「そうですね〜」
小鳥「…」
あずさ「…」
小鳥「は、離れますね、私」
あずさ「…」
小鳥「あずささん……?」
あずさ「もう少し、このままで」
小鳥「え?」
あずさ「ダメ……ですか?」
小鳥「あ、いや、その……分かりました」
あずさ「……音無さん」
小鳥「はい?」
あずさ「いつか、ちゃんと答えを聞かせてくださいね」
小鳥「……はい」
あずさ「今度は怖くても、ちゃ〜んと待ってますから」
おわり
17:30│三浦あずさ