2013年11月09日
モバP「それでも俺は、やってない!」
ザワザワ ガヤガヤ
早苗「はーい、静粛にー」コンコン
早苗「はーい、静粛にー」コンコン
早苗「ではこれより、プロデューサー君の裁判を開廷しまーす」
マキノ「検察側、準備完了しています」
留美「弁護側も既に準備完了しているわ」
P「………」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1383744161
早苗「じゃあマキノちゃん、簡潔に説明お願いねー」
マキノ「一昨日の午後10時頃、事務所において……」
マキノ「被告人、プロデューサーは三船美優さん(25)を押し倒すという暴挙を働きました」
マキノ「極めて下劣かつ度し難い犯行であったと、目撃した複数の人間が証言しています」
P「ち、違う!誤解なんだ、俺は何も……」
マキノ「本法廷にて、検察側はその点を完璧に立証してご覧にいれましょう」
早苗「はい分かりました。それじゃ審議に入……」
留美「異議あり」スッ
早苗「ん?」
マキノ「異議?どこに異議が?」
留美「被害者である三船美優は25歳ではなく、実際の年齢は26歳……」
留美「つまり1歳サバを読んでる事になるけれど。初っ端から虚偽申告かしら?」
マキノ「自己申告ですので。ただの数え間違いでは」
早苗「異議を認めます。マキノちゃん、年齢確認は正確にするように」
マキノ「わ、分かりました……」
留美「……ふっ」
マキノ「ではまず、最初の証人に尋問を……」
友紀「………」グデーン
マキノ「……あの、友紀さん」
友紀「何ー?」ダラーン
マキノ「証言してください」
友紀「……証言ー?何のー?」ブラーン
マキノ「一昨日の!午後10時頃!目撃!したことを!」
友紀「あーはいはい、アレねアレー」
友紀「分かってまーす、分かってますよー」
マキノ「………」イラッ
早苗「ちょっとちょっと、何その態度。もうお酒入ってるの?」
友紀「別にー?酔ってませんけどー?」ダラーン
P「一体どうしたんだあいつは……」
留美「………」
マキノ「それで、目撃した内容は?」
友紀「えーっと……プロデューサーがー、美優ちゃんをー」
友紀「……押し倒してたんじゃないのー?うん」
ザワザワ ガヤガヤ
P「」
マキノ「押し倒してたんですね?」
友紀「みたいだねー、良く分かんないけど」
マキノ「押し倒してたんですね?」
友紀「だからー、そうじゃないのー?って言うかマキノちゃんそう言っt」
マキノ「以上です」ダンッ
留美「……どうやら、選ぶ証人を誤ったようね」
早苗「えーと……留美ちゃんからも、何か尋問する?」
留美「もちろん」
早苗「そりゃそうよね〜」
友紀「何ー?」グデーン
留美「一昨日の午後10時頃は、どこに?」
友紀「んー?ソファーに……座ってた、かなー」ダラダラ
留美「つまり犯行現場を背にしてる位置のソファーにいたのね?」
友紀「そうだけどー?」ブラブラ
留美「背にしてるのに、どうやって目撃を?」
友紀「……じゃあ、後ろ向いてたんじゃないのー?」
留美「……ねぇ、友紀ちゃん」
友紀「んー?」
留美「今年日本一になったのは、どこだったかしら?」
友紀「」ピクッ
留美「日本シリーズは確か一昨日、勝敗が決したはずなのだけれど」
友紀「………」プルプル
マキノ「友紀さん、余計なことは喋らずとも」
留美「こっちはまだ尋問中よ」
マキノ「ぐっ……」
留美「日本一が決まったのなら、その記念セールがあるはずよね?」
友紀「……………」プルプルプルプル
留美「それでね、どこの球団が日本一になったのかチェックしt」
友紀「快楽天んんんんんんんんんんんっ!!!!」ダンッ
留美「一昨日の試合内容は?」
友紀「キャッツ対快楽天ズッ!」
留美「勝敗は?」
友紀「0-3の空振り三振でがっくしだよっ!!」ダンッ
留美「それは新聞で?」
友紀「テレビで観戦してたに決まってるでしょっ!!?」
友紀「何で打てなかったかなぁー!?現地で応援できてればなぁー!!あぁーっ!もぉー!!」
早苗「友紀ちゃん、もう少し声押さえて。この部屋結構響くから」
留美「午後10時過ぎまで試合をやってたわよね、確か」
友紀「そうだよ」
留美「証言の通りだと、貴女は試合中に他所見をするのかしら?」
友紀「何で?」
留美「いや、何でって……」
友紀「そもそもあたしは一番近くにいたってだけだし。目撃なんかしてないけど」
留美「は?」
マキノ「………」
早苗「説明してもらえる?」
マキノ「証人、姫川友紀は現場から一番近くのソファーにいました」
マキノ「当時はビール缶片手にテレビにかじりついており、今回の騒ぎにも一貫して我関せず……」
マキノ「とは言え、まだ何か新しい情報を持っているとも限らない、と期待していたのですが」
マキノ「まさか本件に関する証言が全て伝聞や推測だとは……私も想像外でした」
早苗「そう。想像外なら仕方ないわね〜」
P「えぇー……」
留美「言い訳はそれだけ?」
マキノ「………」
留美「小細工を弄してもムダよ。とっととカードを切りなさい」
マキノ「……では、次の証人を」
P「る、留美さん……」
留美「プロデューサー君……ピンチの時ほど、ふてぶてしく笑うものよ?」
椿「江上椿です。19歳A型、利き手は左で趣味は写真を撮ることです」
早苗「……マキノちゃん、尋問をお願い」
マキノ「江上さん。貴女は一体、何を目撃したのですか?」
椿「見てもいるんですけど、撮りもしました。このカメラに、バッチリと」
マキノ「何を撮影されたんです?」
椿「プロデューサーさんが美優さんを押し倒している、決定的瞬間ですね」グッ
P「」
マキノ「……えー、こちらがその写真になります」
ザワザワ ガヤガヤ
早苗「……完全に押し倒しちゃってるわね〜」
椿「『_| ̄|○』そのものですよね」
早苗「?……今何て?」
椿「『_| ̄|○』ですよ、『_| ̄|○』」
早苗「えっ?」
P「だ、だから違うんだ!俺から押し倒してなんか……!」
マキノ「こちらからは以上です」
早苗「留美ちゃんからは何かある?」
留美「えぇもちろん。江上さん」
椿「はい」
留美「写真はこの正面一枚だけ?」
椿「いえ、まだありますよ」
マキノ「え?」
椿「正面と左右からの180度展開で、被写体が動く前に素早く激写しました」
早苗「……どんだけ撮ってんのあなた」
椿「30度間隔で3回程ですね。それから出来が良いのを吟味しますので」
留美「じゃあ、それも見せていただける?」
椿「いいですよ。全て現像済みですから」ゴソゴソ
ザワザワ ガヤガヤ
留美「………」
P「………」
早苗「……えーと、留美ちゃん?」
留美「何かしら」
早苗「全部の写真でプロデューサー君が押し倒してる訳だけど……これが、何?」
P「る、留美さぁん!?」
留美「早苗さん。残念だけど、見るべきところはそこじゃないの」
留美「注目すべきはプロデューサー君ではなく、その隣……」
早苗「ん?……脚立と、段ボール?」
マキノ「何ですって……!?」ガタッ
留美「椿さん」
椿「あ、はい」
留美「どうして貴女はこの決定的瞬間に居合わせて、撮影することができたのかしら」
椿「寮に帰ろうとしていた矢先に、大きな物音がしたんです」
留美「物音、と言うと?」
椿「ガシャンって、何かが倒れる音がして……」
椿「それで音のした方に駆け付けてみたら、丁度写真の様になっていたんですよ」
留美「その時の現場の状態は、本当に写真の通りだったのね?」
椿「もちろんです。状態そのままで、弄ったりなんかしていません」
留美「そう。ところで、その時聞いた物音というのは……この音?」ピッ
ガシャン
椿「あ、それです!その音です。ハッキリと聞きました」
マキノ「そのレコーダーは……」
留美「これは脚立が倒れた音を録音したものよ」
早苗「……つまり、どういうこと?」
留美「周囲に散乱してるファイルは、後ろの本棚の上に置かれた段ボールに入っていた物なの」
留美「その日の夕方頃に整理した物だと、ちひろさんに確認を取ったわ」
留美「現場には本棚があり、上に積まれていたはずのファイルが下に散乱……」
留美「脚立は倒れ、折り重なる二人……これらが示すものは?」
椿「それって、まさか……」
マキノ「……度し難いな」
早苗「じゃあ何?留美ちゃんは、これをラッキースケベ的な事故だと主張するの?」
留美「そう考えざるを得ないわ」
P「だからあの時も事故だって言ってたじゃないか!これは不可抗力だったんだ!」
早苗「じゃあその時何をやってたのか、プロデューサー君に話してもらいましょうか」
P「い、いいだろう!俺は無実なんだ、やましい事は何もない!」
留美「………」
マキノ「………」
早苗「今度は留美ちゃんからね。彼に尋問をお願い」
留美「事故の前は何を?」
P「美優さんの手伝いを……ファイルの積まれた段ボールを降ろそうとしていたので」
留美「脚立に乗っていたのは誰?」
P「もちろん美優さんです」
留美「プロデューサー君は何を?」
P「バランスを崩さないよう、足下を押さえていました」
留美「それでも事故が起きたのは何故?」
P「どうも降ろす段ボールの重さが予想外だったみたいで……」
留美「つまり、引き降ろした勢いでぶちまけちゃったわけね」
P「俺は美優さんが何とかケガをしないよう、受け止めようとして……」
P「そしたら、あんな体勢になってしまって。それだけなんだよ」
留美「弁護側からは以上よ」
早苗「はーい。じゃあ次マキノちゃん」
マキノ「……プロデューサーは、足下を押さえていた」
P「あぁ、そうだ」
マキノ「足下、と言うのは?」
P「そりゃあ、脚を掴んd」
早苗「は?」
P「えっ?」
マキノ「脚、と言うのは……もしかして、太ももを?」
P「そ、そうだが」
ザワザワ ガヤガヤ
マキノ「脚立ではなく、太ももを掴んだ。それは一体何故?」
P「いや、何故って……その方が安定するかなーって」
マキノ「しません」
P「えっ」
マキノ「質問を変えるわ。貴方はその状態で上を見上げたりした?」
P「あ、あぁ。大丈夫かどうかの確認をする為に、一度……」
留美「プ、プロデューサー君!」
P「へっ!?」
マキノ「当時、被害者はワンピースを着用していました」
マキノ「プロデューサーは、無遠慮にもそのイヤらしい手で彼女の太ももを掴み……」
マキノ「それだけでなく、何食わぬ顔で被害者の下着を拝み己の性的欲求を満たしていた!」
P「いやまぁ確かにそういう事も出来たかもしれないが……あ、いや!違う!違うぞ!」
マキノ「手伝うフリをしながら、堂々と被害者にセクハラを行っていたのです」
マキノ「手のこそばゆさに耐えきれなくなった被害者は案の定、バランスを崩して転倒」
マキノ「もちろん助けようと受けとめはしたのでしょう。しかし彼はその後の状況さえも利用しようと」
P「ち、違う!俺はそんなつもりじゃ……本当だ!」
ザワザワ ガヤガヤ
「インターネットでそういうことをする漫画を見たことがあります」
「その漫画はまだ早すぎるッス。未成年は見ちゃダメッスよ」
「プロデューサーさん。あなたを、犯人です!」ビシッ
「おや。今日はレナ君のおごりかな?」
「わ、私はプロデューサーさんを信じてるから」
P「(ま、マズいぞ。このまま心象が悪化すれば、俺は……)」チラッ
早苗「はいはい、静粛にー」コンコン
P「(……確実に、シメられる……!)」ガタガタ
留美「早苗さん」スッ
早苗「なぁに?留美ちゃん」
留美「弁護側は被害者、三船美優の証言を要求します」
マキノ「!」
早苗「そういえば美優ちゃん、まだ見てないわね」
マキノ「彼女の精神的外傷を鑑みても、証言させると言うのは……」
留美「セクハラと感じたかどうかは当人にしか分からない。そうでしょう?」
マキノ「で、ですが!」
早苗「別にいいんじゃない?美優ちゃんの証言で決着、つきそうだし?」
早苗「これ以上裁判が長引いてもね〜」
マキノ「くっ……」
P「だ、大丈夫なんですか?」
留美「それはあの子次第ね」
P「うぐっ……」
美優「み、三船美優と申します……出身は岩手で、趣味はアロマテラピーです」
マキノ「貴女は一昨日の午後10時頃、何をしていたのですか?」
美優「プロデューサーさんに、頼まれて……その、ファイルを取ろうと……」
マキノ「では、プロデューサーが頼んだ仕事をしていた訳ですね?」
美優「は、はい」
P「た、たまたま必要になったファイルをちひろさんが片付けてしまってたんだよ、それで」
早苗「プロデューサー君はちょっと黙ってて」
マキノ「自分が頼んだ仕事なのにプロデューサーが手伝おうとしたのですか?」
美優「それは、私から頼んだんです。支えててくれませんかって……」
マキノ「それで、脚を掴まれたんですね?」
美優「はい……少し、くすぐったかったです」
マキノ「その時のプロデューサーの様子は?」
美優「すみません、私……段ボールの方につきっきりで。結局、あんな事に……」
マキノ「以上です」
早苗「……もう判決、出していい?」
P「る、留美さぁーん!!」ガタガタ
留美「美優、貴女今日はタイトスカートなのね」
美優「え、えぇ……」
留美「一昨日はワンピースだったのよね?ニーソックスを履いて」
美優「あ、はい。そう、ですけど」
留美「その時の下着の色は?」
美優「えっと、確か……えっ!?」
P「」ガタッ
マキノ「早苗さん!今の尋問は、本件とは全く関係ありません!」
留美「いいえ、大いに関係あるわ」
早苗「そうなの?じゃ、続けて」
美優「そ、その……」
留美「?」
美優「ど、どうしても、言わなきゃ……ダメですか?」
P「………」ゴクリ
留美「……彼に痴漢のレッテルを貼りたければ、別に言わなくても構わないわ」
美優「そ、そんなことは……!」
留美「なら答えて」
美優「ぅ……」
留美「このままだと、彼は『早苗さんに』『シメ上げられて』しまうのよ?」
留美「それでもいいの?」
美優「……………」
早苗「?」
マキノ「早苗さん、これ以上無駄な時間を費やすのは……!」
美優「………す……」ボソ
留美「え?」
美優「………ろです……」ボソボソ
留美「何?聞こえないわ」
美優「……く、黒ですっ……!!」
ザワザワ ガヤガヤ
P「」
留美「どうして、黒を?」
美優「……プロデューサーさんが、先週……『黒も似合うんじゃないですか』って……」
美優「だ、だから、その……奮発して……あ、新しいのを……」
P「ち、チクショオォォォォッ!!!」ガンガンガンガン
早苗「プロデューサー君!?」
P「何やってたんだよ一昨日の俺ぇぇぇ!!Aaaaaaaaaaaaaaah!!!!」ガンガンガンガンガン
留美「えー、先程のプロデューサー君の鬼気迫る態度を見ても分かる通り……」
留美「彼は、美優の下着の色を知らなかった」
留美「もし知っていたとしたら、驚愕よりも羞恥プレイに対する喜びの方が大きかったはずよね」
早苗「それは、確かに……」
留美「プロデューサー君は当時、痴漢行為を働いてはいなかった。全くの善意で動いていたのよ」
早苗「うーん……」
マキノ「い、異議ありっ!!」ダンッ
早苗「ま、マキノちゃん?」
マキノ「美優さん!」
美優「はひっ!?」
マキノ「貴女はファイルを取ろうとして転倒しました、それは間違いないですよね!」
美優「え、えぇ、間違いありません……」
マキノ「貴女の上にプロデューサーが覆いかぶさってきたのも、間違いありませんよね!」
美優「は、はい……」
マキノ「その時プロデューサーの股間が、貴女の身体に触れていた!そうですね!」
留美「何ですって!?」ガタッ
美優「あ、えと……その……」
早苗「それは本当なの?」
美優「……チャックの辺りが少し……盛り上がってて……そ、それが……」
P「」
ザワザワ ガヤガヤ
早苗「はいはい静粛にー!」コンコンコン
マキノ「いいですか?プロデューサーの善意だの、美優さんの下着の色だの……」
マキノ「そんなものはどーでもよろしい!」
マキノ「完全な事故であったのか!一瞬でもその状況で美優さんを襲おうとしていたのか!」
マキノ「それだけが争点なんです!」ダンッ
マキノ「転倒した美優さんに覆いかぶさった時、彼は性的欲求に逆らえなかった」
マキノ「その時、プロデューサーは――」
マキノ「間違いなく、勃起していたはず!」ダンッ
ザワザワ ガヤガヤ
美優「ぼ、ぼぼっ……」
早苗「勃起、ねぇ……」
P「な、なななナニを言い出すんだマキノは……!」
留美「それをどうやって立証するのよ?」
マキノ「再現するしかありませんね」
留美「再現?」
マキノ「もう一度写真にあるポーズをとらせるんです」
留美「……どうするの?」
早苗「そりゃあ……再現するしかないんじゃない?検証はしないと」
美優「えっ!?あ、あの……ここで?」
早苗「あ、ここじゃなくて、隣の別室でね」ガタッ
P「移動ですか」ガタッ
マキノ「では私も」ガタッ
留美「貴女はダメよ」
マキノ「……は?」
早苗「じゃ、検証してくるから。皆ちょっと待っててね〜」スタスタ
マキノ「ち、ちょっと!何故私だけ……!?」
P「マキノは未成年だからなぁ」
マキノ「はい!?」
〜別室〜
ガチャン
P「………」
留美「………」
美優「………」
早苗「さて、と……」
早苗「美優ちゃん役はー、あたしがやるから」
留美「は?」
美優「え?」
早苗「仰向けになるから。プロデューサー君はその上からまたがってね」
留美「ち、ちょっと早苗さん?これは再現なのよ?」
美優「私が、やるんじゃ……?」
早苗「美優ちゃんは被害者でしょ?留美ちゃんは弁護側……」
早苗「残ってるのは、最終的な判断をする中立のあたしだけ。そうでしょ?」
美優「で、でも……」
早苗「大丈夫大丈夫。変な気起こしたら、すぐシメるから♪」
P「じ、じゃあ、またがりますよ早苗さん」
P「……よっこらせっと」モソモソ
早苗「えっと……顔、近くない?」
P「こんな感じでしたので」
早苗「そ、そっか……」
美優「………」
留美「………」ギリッ
早苗「……あ、プロデューサー君」
P「何でしょう」
早苗「その……股間が、ね?」
美優「あっ……」
留美「!……う、嘘よ!そんな……こんな事って……」ヘナヘナ
P「えぇと……何と言うか、その……」
P「俺、まだ勃起してないんですけど」
早苗「えっ?」
P「いや、これ単にズボンの生地が盛り上がってるだけで……」
P「座ってる時とかに股を広げると、よくこうなるんですよ」
早苗「……ちょっと触っていい?」
P「あ、はい」
グシャ
早苗「あ、ホントだわ。空洞になってる」
P「昔からよくからかわれてたんですよね、これで」ハハハ
美優「(握り潰してる……)」
留美「そ、それじゃあプロデューサー君は……」
美優「そうですね……多分、私の勘違いd」
早苗「ちょっと待って」
P「ま、まだ何か?」
早苗「まだ、勃起してないのよね?」
P「えぇ」
早苗「実際に勃起した時の状態と見比べなきゃ、ダメなんじゃない?」
留美「……何ですって?」
早苗「美優ちゃんの見た股間が、勃起してた時なのか、そうでない時の股間なのか」
早苗「それをはっきりさせない事には、マキノちゃんも納得しないと思うのよね」
留美「……あ、貴女って人は……!」ギリッ
早苗「という訳で美優ちゃん、しっかり確認しといてね〜」
美優「は、はぁ……」
早苗「さぁプロデューサー君!もう焦らすのはナシよ?」
早苗「あたしを見て、興奮しなさい♪って言うか、しろ♪」
P「い、いきなりそう言われましても……」
早苗「……き、今日は、その……特別、だからね?」
P「!?」ドキッ
P「………」
早苗「………」
留美「………」
美優「………」
早苗「美優ちゃん、どう?」
美優「いえ……変化、ありませんけど……」
早苗「……プロデューサー君」
P「な、何でしょう」
早苗「これはどういうことかな?どうして、勃起しないのかな?」
P「………」
早苗「胸もこんなにはだけてるよね?……あたしじゃ、勃たないって言うの?」
P「え、いや……あの……」
留美「」プッ
美優「ち、ちょっと留美さん!」
早苗「……そ、そうだよね……あたしもう、28だもんね……」
P「さ、早苗さん?」
早苗「お姉さん……そんなに、魅力っ……無かった、かなぁ……?」グスッ
P「!?」
早苗「無理強い、させちゃって……ごめんね……?」
P「そ、そんな事は断じてありませんっ!!!」
留美「でも服の上からじゃ、今だって何も……」
P「違うんです!俺……ほ、本当は……本当はっ……!!」カチャカチャ
美優「ぷ、プロデューサーさん!?」
バサッ
早苗「!?」
美優「……まぁ」
留美「……あぁ……そ、そういうこと……」
〜会議室〜
椿「……遅いですね」
マキノ「………」イライライライラ
友紀「未成年お断りの検証って、一体何してんだろうね〜」
椿「さぁ……」
ガチャッ
友紀「あ、帰ってきた」
早苗「……えー、判決を言い渡します」
留美「………」
P「………」
マキノ「………」
美優「………」
早苗「プロデューサー君は……無罪!」
マキノ「なっ!?」ガタッ
早苗「美優ちゃん立ち会いの下で検証しました結果……」
早苗「あの体勢で勃起していたかどうかの立証は、残念ながらできませんでした」
早苗「疑わしきは罰せず。という訳で、今回はお咎めなしってことで」
マキノ「あ、あり得ない……こんな、不合理な事が……!」ガクッ
早苗「質問は一切受け付けません!これにて閉廷!」コンコン
P「………」
留美「プロデューサー君?」
P「………」
留美「……あのね、プロデューサー君」
P「る、留美さん……」
留美「女は皆、大きい方が好きだなんて……それこそ幻想よ?」
留美「もっと自分に、自信を持って。ね?」
P「っ……!!」ブワッ
冗長過ぎた、一旦切って寝る
再開
美優「そうですよ。元気、出してください……」
P「美優さん……」
美優「……私は、プロデューサーさんの………が……その……」ゴニョゴニョ
美優「…………好き、ですから」
P「えっ!?」
美優「ほ……本当、ですよ……?」
P「……み、美優さんっ……!」
早苗「はいはいはいはい。ちょっといい?」
早苗「……ね、ねぇ、プロデューサー君」
P「な、何でしょう」
早苗「今日はさ、あたしのおごりでいいから……」
早苗「お互い、飲んで忘れましょう?」グッ
P「え?……な、何を?」
早苗「いいからいいから。ね?」
美優「早苗さんは、単に飲みたいだけなんじゃ……」
早苗「そ、そんなんじゃないわよ。プロデューサー君にはホントに、悪い事したなぁって……」
留美「『そうだよね、もう28だもんね』」ボソッ
早苗「」
留美「『お姉さん、そんなに魅力、なかったかなぁ?』」
早苗「留ー美ーちゃーんっ!?」
P「あぁ……そういえばあの時の早苗さん、とても可愛かったですよ」
早苗「うが……ぎ、ぐ……」プルプル
留美「あんまり反応が面白かったから、録っておいたのよね」スッ
早苗「!?」
美優「あ、私ももう一度だけ聞いてみたいですね」
留美「プロデューサー君は?聞きたい?」
早苗「ちょ……ね、やめよう?お願いだから……ほ、ホントに勘弁しt」
P「是非」
早苗「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
ワイワイ キャイキャイ
マキノ「理解できない……あの四人、一体何があったと言うの?」
P「(この裁判で、俺は色々と大事なものを失った……ような、気がした)」
P「(その代わり、自分を曝け出すことで得られたのは……かけがえのないものだった)」
P「(やっぱり体一つで、アイドル達にはぶつかっていくべきなんだろう)」
P「(そのためにも……)」
P「(頑張ろう。ビッグになろう)」
P「(もっとアイドル達の信頼に応えられるプロデューサーに……)」
P「(俺は、なるんだ!)」グッ
〜翌日〜
ザワザワ ガヤガヤ
P「………」
ザワザワ ガヤガヤ
清良「はい、静粛に……」コンコン
清良「ではこれより、裁判を開廷します」
清美「検察側!超☆準備完了していますっ!」ビシッ
まゆ「弁護側、準備完了していまぁす」
P「……………」
清良「清美ちゃん、簡潔に説明をお願いね」
清美「昨日の午前10時頃、事務所において……」
清美「水本ゆかりさん(15)所有のフルートが、何者かによって唾液まみれにされていました!」ダンッ
清美「その数十分前!ゆかりさんが席を外した際に、フルートを手にしていたのは……」
清美「そこにいるプロデューサーだったと、複数の人間が証言しております!」ダンッ
P「………」
清美「今時こんな小学生でもやらないような事を、彼はやってしまったのです!」ダンッ
清美「それも前日の裁判を控えた午前中にですよ!信じられますか!?」
清美「瑛梨華さん風に言わせてもらえば、まったく以てDO・SHI・GA・TA・I☆と言わざるを得ません!」ダンッ
まゆ「どうしてそんな、デタラメばかり言えるんですかぁ?」
清美「デタラメじゃありません!これは事実なんです」
まゆ「……仮に、まゆのプロデューサーさんがですよ?」
まゆ「そのフルートを舐め回す瞬間を、見た人は?いるんですかぁ?」
清美「そ、それは……」
まゆ「い ま せ ん よ ね ぇ ?」
清美「っ……」ギリッ
清良「唾液のDNA鑑定をすれば、一発なんですけどね」
P「………」
まゆ「そもそもプロデューサーさんが、そんな事するはずないじゃないですか」
P「………」
まゆ「……するはずが、ないんです。絶対に」
P「……………」
まゆ「そうですよね?まゆのプロデューサーさんは……」
まゆ「絶対に、そんな事、しませんよ、ねぇ?」
P「えぇっと……そ、その……」
まゆ「………」ニコッ
清良「……どうなんですか?」
清美「プロデューサー!答えてください!」ダンッ
P「そ、それでも……それでも俺はっ!やってない!!」
おわり
あ、マキノちゃんお誕生日おめでとう
マキノ「検察側、準備完了しています」
留美「弁護側も既に準備完了しているわ」
P「………」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1383744161
早苗「じゃあマキノちゃん、簡潔に説明お願いねー」
マキノ「一昨日の午後10時頃、事務所において……」
マキノ「被告人、プロデューサーは三船美優さん(25)を押し倒すという暴挙を働きました」
マキノ「極めて下劣かつ度し難い犯行であったと、目撃した複数の人間が証言しています」
P「ち、違う!誤解なんだ、俺は何も……」
マキノ「本法廷にて、検察側はその点を完璧に立証してご覧にいれましょう」
早苗「はい分かりました。それじゃ審議に入……」
留美「異議あり」スッ
早苗「ん?」
マキノ「異議?どこに異議が?」
留美「被害者である三船美優は25歳ではなく、実際の年齢は26歳……」
留美「つまり1歳サバを読んでる事になるけれど。初っ端から虚偽申告かしら?」
マキノ「自己申告ですので。ただの数え間違いでは」
早苗「異議を認めます。マキノちゃん、年齢確認は正確にするように」
マキノ「わ、分かりました……」
留美「……ふっ」
マキノ「ではまず、最初の証人に尋問を……」
友紀「………」グデーン
マキノ「……あの、友紀さん」
友紀「何ー?」ダラーン
マキノ「証言してください」
友紀「……証言ー?何のー?」ブラーン
マキノ「一昨日の!午後10時頃!目撃!したことを!」
友紀「あーはいはい、アレねアレー」
友紀「分かってまーす、分かってますよー」
マキノ「………」イラッ
早苗「ちょっとちょっと、何その態度。もうお酒入ってるの?」
友紀「別にー?酔ってませんけどー?」ダラーン
P「一体どうしたんだあいつは……」
留美「………」
マキノ「それで、目撃した内容は?」
友紀「えーっと……プロデューサーがー、美優ちゃんをー」
友紀「……押し倒してたんじゃないのー?うん」
ザワザワ ガヤガヤ
P「」
マキノ「押し倒してたんですね?」
友紀「みたいだねー、良く分かんないけど」
マキノ「押し倒してたんですね?」
友紀「だからー、そうじゃないのー?って言うかマキノちゃんそう言っt」
マキノ「以上です」ダンッ
留美「……どうやら、選ぶ証人を誤ったようね」
早苗「えーと……留美ちゃんからも、何か尋問する?」
留美「もちろん」
早苗「そりゃそうよね〜」
友紀「何ー?」グデーン
留美「一昨日の午後10時頃は、どこに?」
友紀「んー?ソファーに……座ってた、かなー」ダラダラ
留美「つまり犯行現場を背にしてる位置のソファーにいたのね?」
友紀「そうだけどー?」ブラブラ
留美「背にしてるのに、どうやって目撃を?」
友紀「……じゃあ、後ろ向いてたんじゃないのー?」
留美「……ねぇ、友紀ちゃん」
友紀「んー?」
留美「今年日本一になったのは、どこだったかしら?」
友紀「」ピクッ
留美「日本シリーズは確か一昨日、勝敗が決したはずなのだけれど」
友紀「………」プルプル
マキノ「友紀さん、余計なことは喋らずとも」
留美「こっちはまだ尋問中よ」
マキノ「ぐっ……」
留美「日本一が決まったのなら、その記念セールがあるはずよね?」
友紀「……………」プルプルプルプル
留美「それでね、どこの球団が日本一になったのかチェックしt」
友紀「快楽天んんんんんんんんんんんっ!!!!」ダンッ
留美「一昨日の試合内容は?」
友紀「キャッツ対快楽天ズッ!」
留美「勝敗は?」
友紀「0-3の空振り三振でがっくしだよっ!!」ダンッ
留美「それは新聞で?」
友紀「テレビで観戦してたに決まってるでしょっ!!?」
友紀「何で打てなかったかなぁー!?現地で応援できてればなぁー!!あぁーっ!もぉー!!」
早苗「友紀ちゃん、もう少し声押さえて。この部屋結構響くから」
留美「午後10時過ぎまで試合をやってたわよね、確か」
友紀「そうだよ」
留美「証言の通りだと、貴女は試合中に他所見をするのかしら?」
友紀「何で?」
留美「いや、何でって……」
友紀「そもそもあたしは一番近くにいたってだけだし。目撃なんかしてないけど」
留美「は?」
マキノ「………」
早苗「説明してもらえる?」
マキノ「証人、姫川友紀は現場から一番近くのソファーにいました」
マキノ「当時はビール缶片手にテレビにかじりついており、今回の騒ぎにも一貫して我関せず……」
マキノ「とは言え、まだ何か新しい情報を持っているとも限らない、と期待していたのですが」
マキノ「まさか本件に関する証言が全て伝聞や推測だとは……私も想像外でした」
早苗「そう。想像外なら仕方ないわね〜」
P「えぇー……」
留美「言い訳はそれだけ?」
マキノ「………」
留美「小細工を弄してもムダよ。とっととカードを切りなさい」
マキノ「……では、次の証人を」
P「る、留美さん……」
留美「プロデューサー君……ピンチの時ほど、ふてぶてしく笑うものよ?」
椿「江上椿です。19歳A型、利き手は左で趣味は写真を撮ることです」
早苗「……マキノちゃん、尋問をお願い」
マキノ「江上さん。貴女は一体、何を目撃したのですか?」
椿「見てもいるんですけど、撮りもしました。このカメラに、バッチリと」
マキノ「何を撮影されたんです?」
椿「プロデューサーさんが美優さんを押し倒している、決定的瞬間ですね」グッ
P「」
マキノ「……えー、こちらがその写真になります」
ザワザワ ガヤガヤ
早苗「……完全に押し倒しちゃってるわね〜」
椿「『_| ̄|○』そのものですよね」
早苗「?……今何て?」
椿「『_| ̄|○』ですよ、『_| ̄|○』」
早苗「えっ?」
P「だ、だから違うんだ!俺から押し倒してなんか……!」
マキノ「こちらからは以上です」
早苗「留美ちゃんからは何かある?」
留美「えぇもちろん。江上さん」
椿「はい」
留美「写真はこの正面一枚だけ?」
椿「いえ、まだありますよ」
マキノ「え?」
椿「正面と左右からの180度展開で、被写体が動く前に素早く激写しました」
早苗「……どんだけ撮ってんのあなた」
椿「30度間隔で3回程ですね。それから出来が良いのを吟味しますので」
留美「じゃあ、それも見せていただける?」
椿「いいですよ。全て現像済みですから」ゴソゴソ
ザワザワ ガヤガヤ
留美「………」
P「………」
早苗「……えーと、留美ちゃん?」
留美「何かしら」
早苗「全部の写真でプロデューサー君が押し倒してる訳だけど……これが、何?」
P「る、留美さぁん!?」
留美「早苗さん。残念だけど、見るべきところはそこじゃないの」
留美「注目すべきはプロデューサー君ではなく、その隣……」
早苗「ん?……脚立と、段ボール?」
マキノ「何ですって……!?」ガタッ
留美「椿さん」
椿「あ、はい」
留美「どうして貴女はこの決定的瞬間に居合わせて、撮影することができたのかしら」
椿「寮に帰ろうとしていた矢先に、大きな物音がしたんです」
留美「物音、と言うと?」
椿「ガシャンって、何かが倒れる音がして……」
椿「それで音のした方に駆け付けてみたら、丁度写真の様になっていたんですよ」
留美「その時の現場の状態は、本当に写真の通りだったのね?」
椿「もちろんです。状態そのままで、弄ったりなんかしていません」
留美「そう。ところで、その時聞いた物音というのは……この音?」ピッ
ガシャン
椿「あ、それです!その音です。ハッキリと聞きました」
マキノ「そのレコーダーは……」
留美「これは脚立が倒れた音を録音したものよ」
早苗「……つまり、どういうこと?」
留美「周囲に散乱してるファイルは、後ろの本棚の上に置かれた段ボールに入っていた物なの」
留美「その日の夕方頃に整理した物だと、ちひろさんに確認を取ったわ」
留美「現場には本棚があり、上に積まれていたはずのファイルが下に散乱……」
留美「脚立は倒れ、折り重なる二人……これらが示すものは?」
椿「それって、まさか……」
マキノ「……度し難いな」
早苗「じゃあ何?留美ちゃんは、これをラッキースケベ的な事故だと主張するの?」
留美「そう考えざるを得ないわ」
P「だからあの時も事故だって言ってたじゃないか!これは不可抗力だったんだ!」
早苗「じゃあその時何をやってたのか、プロデューサー君に話してもらいましょうか」
P「い、いいだろう!俺は無実なんだ、やましい事は何もない!」
留美「………」
マキノ「………」
早苗「今度は留美ちゃんからね。彼に尋問をお願い」
留美「事故の前は何を?」
P「美優さんの手伝いを……ファイルの積まれた段ボールを降ろそうとしていたので」
留美「脚立に乗っていたのは誰?」
P「もちろん美優さんです」
留美「プロデューサー君は何を?」
P「バランスを崩さないよう、足下を押さえていました」
留美「それでも事故が起きたのは何故?」
P「どうも降ろす段ボールの重さが予想外だったみたいで……」
留美「つまり、引き降ろした勢いでぶちまけちゃったわけね」
P「俺は美優さんが何とかケガをしないよう、受け止めようとして……」
P「そしたら、あんな体勢になってしまって。それだけなんだよ」
留美「弁護側からは以上よ」
早苗「はーい。じゃあ次マキノちゃん」
マキノ「……プロデューサーは、足下を押さえていた」
P「あぁ、そうだ」
マキノ「足下、と言うのは?」
P「そりゃあ、脚を掴んd」
早苗「は?」
P「えっ?」
マキノ「脚、と言うのは……もしかして、太ももを?」
P「そ、そうだが」
ザワザワ ガヤガヤ
マキノ「脚立ではなく、太ももを掴んだ。それは一体何故?」
P「いや、何故って……その方が安定するかなーって」
マキノ「しません」
P「えっ」
マキノ「質問を変えるわ。貴方はその状態で上を見上げたりした?」
P「あ、あぁ。大丈夫かどうかの確認をする為に、一度……」
留美「プ、プロデューサー君!」
P「へっ!?」
マキノ「当時、被害者はワンピースを着用していました」
マキノ「プロデューサーは、無遠慮にもそのイヤらしい手で彼女の太ももを掴み……」
マキノ「それだけでなく、何食わぬ顔で被害者の下着を拝み己の性的欲求を満たしていた!」
P「いやまぁ確かにそういう事も出来たかもしれないが……あ、いや!違う!違うぞ!」
マキノ「手伝うフリをしながら、堂々と被害者にセクハラを行っていたのです」
マキノ「手のこそばゆさに耐えきれなくなった被害者は案の定、バランスを崩して転倒」
マキノ「もちろん助けようと受けとめはしたのでしょう。しかし彼はその後の状況さえも利用しようと」
P「ち、違う!俺はそんなつもりじゃ……本当だ!」
ザワザワ ガヤガヤ
「インターネットでそういうことをする漫画を見たことがあります」
「その漫画はまだ早すぎるッス。未成年は見ちゃダメッスよ」
「プロデューサーさん。あなたを、犯人です!」ビシッ
「おや。今日はレナ君のおごりかな?」
「わ、私はプロデューサーさんを信じてるから」
P「(ま、マズいぞ。このまま心象が悪化すれば、俺は……)」チラッ
早苗「はいはい、静粛にー」コンコン
P「(……確実に、シメられる……!)」ガタガタ
留美「早苗さん」スッ
早苗「なぁに?留美ちゃん」
留美「弁護側は被害者、三船美優の証言を要求します」
マキノ「!」
早苗「そういえば美優ちゃん、まだ見てないわね」
マキノ「彼女の精神的外傷を鑑みても、証言させると言うのは……」
留美「セクハラと感じたかどうかは当人にしか分からない。そうでしょう?」
マキノ「で、ですが!」
早苗「別にいいんじゃない?美優ちゃんの証言で決着、つきそうだし?」
早苗「これ以上裁判が長引いてもね〜」
マキノ「くっ……」
P「だ、大丈夫なんですか?」
留美「それはあの子次第ね」
P「うぐっ……」
美優「み、三船美優と申します……出身は岩手で、趣味はアロマテラピーです」
マキノ「貴女は一昨日の午後10時頃、何をしていたのですか?」
美優「プロデューサーさんに、頼まれて……その、ファイルを取ろうと……」
マキノ「では、プロデューサーが頼んだ仕事をしていた訳ですね?」
美優「は、はい」
P「た、たまたま必要になったファイルをちひろさんが片付けてしまってたんだよ、それで」
早苗「プロデューサー君はちょっと黙ってて」
マキノ「自分が頼んだ仕事なのにプロデューサーが手伝おうとしたのですか?」
美優「それは、私から頼んだんです。支えててくれませんかって……」
マキノ「それで、脚を掴まれたんですね?」
美優「はい……少し、くすぐったかったです」
マキノ「その時のプロデューサーの様子は?」
美優「すみません、私……段ボールの方につきっきりで。結局、あんな事に……」
マキノ「以上です」
早苗「……もう判決、出していい?」
P「る、留美さぁーん!!」ガタガタ
留美「美優、貴女今日はタイトスカートなのね」
美優「え、えぇ……」
留美「一昨日はワンピースだったのよね?ニーソックスを履いて」
美優「あ、はい。そう、ですけど」
留美「その時の下着の色は?」
美優「えっと、確か……えっ!?」
P「」ガタッ
マキノ「早苗さん!今の尋問は、本件とは全く関係ありません!」
留美「いいえ、大いに関係あるわ」
早苗「そうなの?じゃ、続けて」
美優「そ、その……」
留美「?」
美優「ど、どうしても、言わなきゃ……ダメですか?」
P「………」ゴクリ
留美「……彼に痴漢のレッテルを貼りたければ、別に言わなくても構わないわ」
美優「そ、そんなことは……!」
留美「なら答えて」
美優「ぅ……」
留美「このままだと、彼は『早苗さんに』『シメ上げられて』しまうのよ?」
留美「それでもいいの?」
美優「……………」
早苗「?」
マキノ「早苗さん、これ以上無駄な時間を費やすのは……!」
美優「………す……」ボソ
留美「え?」
美優「………ろです……」ボソボソ
留美「何?聞こえないわ」
美優「……く、黒ですっ……!!」
ザワザワ ガヤガヤ
P「」
留美「どうして、黒を?」
美優「……プロデューサーさんが、先週……『黒も似合うんじゃないですか』って……」
美優「だ、だから、その……奮発して……あ、新しいのを……」
P「ち、チクショオォォォォッ!!!」ガンガンガンガン
早苗「プロデューサー君!?」
P「何やってたんだよ一昨日の俺ぇぇぇ!!Aaaaaaaaaaaaaaah!!!!」ガンガンガンガンガン
留美「えー、先程のプロデューサー君の鬼気迫る態度を見ても分かる通り……」
留美「彼は、美優の下着の色を知らなかった」
留美「もし知っていたとしたら、驚愕よりも羞恥プレイに対する喜びの方が大きかったはずよね」
早苗「それは、確かに……」
留美「プロデューサー君は当時、痴漢行為を働いてはいなかった。全くの善意で動いていたのよ」
早苗「うーん……」
マキノ「い、異議ありっ!!」ダンッ
早苗「ま、マキノちゃん?」
マキノ「美優さん!」
美優「はひっ!?」
マキノ「貴女はファイルを取ろうとして転倒しました、それは間違いないですよね!」
美優「え、えぇ、間違いありません……」
マキノ「貴女の上にプロデューサーが覆いかぶさってきたのも、間違いありませんよね!」
美優「は、はい……」
マキノ「その時プロデューサーの股間が、貴女の身体に触れていた!そうですね!」
留美「何ですって!?」ガタッ
美優「あ、えと……その……」
早苗「それは本当なの?」
美優「……チャックの辺りが少し……盛り上がってて……そ、それが……」
P「」
ザワザワ ガヤガヤ
早苗「はいはい静粛にー!」コンコンコン
マキノ「いいですか?プロデューサーの善意だの、美優さんの下着の色だの……」
マキノ「そんなものはどーでもよろしい!」
マキノ「完全な事故であったのか!一瞬でもその状況で美優さんを襲おうとしていたのか!」
マキノ「それだけが争点なんです!」ダンッ
マキノ「転倒した美優さんに覆いかぶさった時、彼は性的欲求に逆らえなかった」
マキノ「その時、プロデューサーは――」
マキノ「間違いなく、勃起していたはず!」ダンッ
ザワザワ ガヤガヤ
美優「ぼ、ぼぼっ……」
早苗「勃起、ねぇ……」
P「な、なななナニを言い出すんだマキノは……!」
留美「それをどうやって立証するのよ?」
マキノ「再現するしかありませんね」
留美「再現?」
マキノ「もう一度写真にあるポーズをとらせるんです」
留美「……どうするの?」
早苗「そりゃあ……再現するしかないんじゃない?検証はしないと」
美優「えっ!?あ、あの……ここで?」
早苗「あ、ここじゃなくて、隣の別室でね」ガタッ
P「移動ですか」ガタッ
マキノ「では私も」ガタッ
留美「貴女はダメよ」
マキノ「……は?」
早苗「じゃ、検証してくるから。皆ちょっと待っててね〜」スタスタ
マキノ「ち、ちょっと!何故私だけ……!?」
P「マキノは未成年だからなぁ」
マキノ「はい!?」
〜別室〜
ガチャン
P「………」
留美「………」
美優「………」
早苗「さて、と……」
早苗「美優ちゃん役はー、あたしがやるから」
留美「は?」
美優「え?」
早苗「仰向けになるから。プロデューサー君はその上からまたがってね」
留美「ち、ちょっと早苗さん?これは再現なのよ?」
美優「私が、やるんじゃ……?」
早苗「美優ちゃんは被害者でしょ?留美ちゃんは弁護側……」
早苗「残ってるのは、最終的な判断をする中立のあたしだけ。そうでしょ?」
美優「で、でも……」
早苗「大丈夫大丈夫。変な気起こしたら、すぐシメるから♪」
P「じ、じゃあ、またがりますよ早苗さん」
P「……よっこらせっと」モソモソ
早苗「えっと……顔、近くない?」
P「こんな感じでしたので」
早苗「そ、そっか……」
美優「………」
留美「………」ギリッ
早苗「……あ、プロデューサー君」
P「何でしょう」
早苗「その……股間が、ね?」
美優「あっ……」
留美「!……う、嘘よ!そんな……こんな事って……」ヘナヘナ
P「えぇと……何と言うか、その……」
P「俺、まだ勃起してないんですけど」
早苗「えっ?」
P「いや、これ単にズボンの生地が盛り上がってるだけで……」
P「座ってる時とかに股を広げると、よくこうなるんですよ」
早苗「……ちょっと触っていい?」
P「あ、はい」
グシャ
早苗「あ、ホントだわ。空洞になってる」
P「昔からよくからかわれてたんですよね、これで」ハハハ
美優「(握り潰してる……)」
留美「そ、それじゃあプロデューサー君は……」
美優「そうですね……多分、私の勘違いd」
早苗「ちょっと待って」
P「ま、まだ何か?」
早苗「まだ、勃起してないのよね?」
P「えぇ」
早苗「実際に勃起した時の状態と見比べなきゃ、ダメなんじゃない?」
留美「……何ですって?」
早苗「美優ちゃんの見た股間が、勃起してた時なのか、そうでない時の股間なのか」
早苗「それをはっきりさせない事には、マキノちゃんも納得しないと思うのよね」
留美「……あ、貴女って人は……!」ギリッ
早苗「という訳で美優ちゃん、しっかり確認しといてね〜」
美優「は、はぁ……」
早苗「さぁプロデューサー君!もう焦らすのはナシよ?」
早苗「あたしを見て、興奮しなさい♪って言うか、しろ♪」
P「い、いきなりそう言われましても……」
早苗「……き、今日は、その……特別、だからね?」
P「!?」ドキッ
P「………」
早苗「………」
留美「………」
美優「………」
早苗「美優ちゃん、どう?」
美優「いえ……変化、ありませんけど……」
早苗「……プロデューサー君」
P「な、何でしょう」
早苗「これはどういうことかな?どうして、勃起しないのかな?」
P「………」
早苗「胸もこんなにはだけてるよね?……あたしじゃ、勃たないって言うの?」
P「え、いや……あの……」
留美「」プッ
美優「ち、ちょっと留美さん!」
早苗「……そ、そうだよね……あたしもう、28だもんね……」
P「さ、早苗さん?」
早苗「お姉さん……そんなに、魅力っ……無かった、かなぁ……?」グスッ
P「!?」
早苗「無理強い、させちゃって……ごめんね……?」
P「そ、そんな事は断じてありませんっ!!!」
留美「でも服の上からじゃ、今だって何も……」
P「違うんです!俺……ほ、本当は……本当はっ……!!」カチャカチャ
美優「ぷ、プロデューサーさん!?」
バサッ
早苗「!?」
美優「……まぁ」
留美「……あぁ……そ、そういうこと……」
〜会議室〜
椿「……遅いですね」
マキノ「………」イライライライラ
友紀「未成年お断りの検証って、一体何してんだろうね〜」
椿「さぁ……」
ガチャッ
友紀「あ、帰ってきた」
早苗「……えー、判決を言い渡します」
留美「………」
P「………」
マキノ「………」
美優「………」
早苗「プロデューサー君は……無罪!」
マキノ「なっ!?」ガタッ
早苗「美優ちゃん立ち会いの下で検証しました結果……」
早苗「あの体勢で勃起していたかどうかの立証は、残念ながらできませんでした」
早苗「疑わしきは罰せず。という訳で、今回はお咎めなしってことで」
マキノ「あ、あり得ない……こんな、不合理な事が……!」ガクッ
早苗「質問は一切受け付けません!これにて閉廷!」コンコン
P「………」
留美「プロデューサー君?」
P「………」
留美「……あのね、プロデューサー君」
P「る、留美さん……」
留美「女は皆、大きい方が好きだなんて……それこそ幻想よ?」
留美「もっと自分に、自信を持って。ね?」
P「っ……!!」ブワッ
冗長過ぎた、一旦切って寝る
再開
美優「そうですよ。元気、出してください……」
P「美優さん……」
美優「……私は、プロデューサーさんの………が……その……」ゴニョゴニョ
美優「…………好き、ですから」
P「えっ!?」
美優「ほ……本当、ですよ……?」
P「……み、美優さんっ……!」
早苗「はいはいはいはい。ちょっといい?」
早苗「……ね、ねぇ、プロデューサー君」
P「な、何でしょう」
早苗「今日はさ、あたしのおごりでいいから……」
早苗「お互い、飲んで忘れましょう?」グッ
P「え?……な、何を?」
早苗「いいからいいから。ね?」
美優「早苗さんは、単に飲みたいだけなんじゃ……」
早苗「そ、そんなんじゃないわよ。プロデューサー君にはホントに、悪い事したなぁって……」
留美「『そうだよね、もう28だもんね』」ボソッ
早苗「」
留美「『お姉さん、そんなに魅力、なかったかなぁ?』」
早苗「留ー美ーちゃーんっ!?」
P「あぁ……そういえばあの時の早苗さん、とても可愛かったですよ」
早苗「うが……ぎ、ぐ……」プルプル
留美「あんまり反応が面白かったから、録っておいたのよね」スッ
早苗「!?」
美優「あ、私ももう一度だけ聞いてみたいですね」
留美「プロデューサー君は?聞きたい?」
早苗「ちょ……ね、やめよう?お願いだから……ほ、ホントに勘弁しt」
P「是非」
早苗「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
ワイワイ キャイキャイ
マキノ「理解できない……あの四人、一体何があったと言うの?」
P「(この裁判で、俺は色々と大事なものを失った……ような、気がした)」
P「(その代わり、自分を曝け出すことで得られたのは……かけがえのないものだった)」
P「(やっぱり体一つで、アイドル達にはぶつかっていくべきなんだろう)」
P「(そのためにも……)」
P「(頑張ろう。ビッグになろう)」
P「(もっとアイドル達の信頼に応えられるプロデューサーに……)」
P「(俺は、なるんだ!)」グッ
〜翌日〜
ザワザワ ガヤガヤ
P「………」
ザワザワ ガヤガヤ
清良「はい、静粛に……」コンコン
清良「ではこれより、裁判を開廷します」
清美「検察側!超☆準備完了していますっ!」ビシッ
まゆ「弁護側、準備完了していまぁす」
P「……………」
清良「清美ちゃん、簡潔に説明をお願いね」
清美「昨日の午前10時頃、事務所において……」
清美「水本ゆかりさん(15)所有のフルートが、何者かによって唾液まみれにされていました!」ダンッ
清美「その数十分前!ゆかりさんが席を外した際に、フルートを手にしていたのは……」
清美「そこにいるプロデューサーだったと、複数の人間が証言しております!」ダンッ
P「………」
清美「今時こんな小学生でもやらないような事を、彼はやってしまったのです!」ダンッ
清美「それも前日の裁判を控えた午前中にですよ!信じられますか!?」
清美「瑛梨華さん風に言わせてもらえば、まったく以てDO・SHI・GA・TA・I☆と言わざるを得ません!」ダンッ
まゆ「どうしてそんな、デタラメばかり言えるんですかぁ?」
清美「デタラメじゃありません!これは事実なんです」
まゆ「……仮に、まゆのプロデューサーさんがですよ?」
まゆ「そのフルートを舐め回す瞬間を、見た人は?いるんですかぁ?」
清美「そ、それは……」
まゆ「い ま せ ん よ ね ぇ ?」
清美「っ……」ギリッ
清良「唾液のDNA鑑定をすれば、一発なんですけどね」
P「………」
まゆ「そもそもプロデューサーさんが、そんな事するはずないじゃないですか」
P「………」
まゆ「……するはずが、ないんです。絶対に」
P「……………」
まゆ「そうですよね?まゆのプロデューサーさんは……」
まゆ「絶対に、そんな事、しませんよ、ねぇ?」
P「えぇっと……そ、その……」
まゆ「………」ニコッ
清良「……どうなんですか?」
清美「プロデューサー!答えてください!」ダンッ
P「そ、それでも……それでも俺はっ!やってない!!」
おわり
あ、マキノちゃんお誕生日おめでとう
08:18│モバマス